[第1実施形態]
本発明の第1実施形態による電子装置及びその製造方法を図1乃至図8を用いて説明する。
(電子装置)
まず、本実施形態による電子装置を図1を用いて説明する。図1は、本実施形態による電子装置を示す断面図である。
図1に示すように、例えばエポキシ樹脂より成るコア材(支持基板)10には、貫通孔12が形成されている。貫通孔12の内壁には、導電膜(図示せず)が形成されている。導電膜が形成された貫通孔12内には、ビア14が埋め込まれている。ビア14が埋め込まれた支持基板10の一方の面及び他方の面には、それぞれ配線16,18が形成されている。こうして、コア基板20が構成されている。
コア基板20の一方の面には、配線16を覆うように、例えばガラスクロスエポキシ樹脂より成る絶縁層(層間絶縁膜)22が形成されている。
絶縁層22には、配線16に達するコンタクトホール24が形成されている。
コンタクトホール24内には、例えばCuより成るビア26が埋め込まれている。
ビア26が埋め込まれた絶縁層22上には、ビア26に接続された配線28が形成されている。
配線28が形成された絶縁層22上には、配線28を覆うように、例えばガラスクロスエポキシ樹脂より成る絶縁層(層間絶縁膜)30が形成されている。
絶縁層30には、配線28に達するコンタクトホール32が形成されている。
コンタクトホール32内には、例えばCuより成るビア34が埋め込まれている。
ビア34が埋め込まれた絶縁層30上には、ビア34に接続された配線36が形成されている。
配線36が形成された絶縁層30上には、配線36を覆うように、例えばガラスクロスエポキシ樹脂より成る絶縁層(層間絶縁膜)38が形成されている。
絶縁層38には、配線36に達するコンタクトホール40が形成されている。
コンタクトホール40内には、例えばCuより成るビア42が埋め込まれている。
ビア42が埋め込まれた絶縁層38上には、ビア42に接続された電極(電極パッド)44が形成されている。電極パッド44は、回路基板2上に実装される半導体素子(半導体チップ)4の電極パッド(図示せず)に対応するように形成されている。
電極パッド44が形成された絶縁層38上には、例えば膜厚40μmの発泡体より成るソルダーレジスト膜(保護膜)48が形成されている。ソルダーレジスト膜とは、半田付けが不要な領域への半田の付着を防止するための保護膜のことである。より具体的には、ソルダーレジスト膜とは、プリント基板の半田付けを行う際に、半田付けに必要なランド以外のパターンなどに半田が付着しないようにするための耐熱性のコーティング膜のことである。ソルダーレジスト膜48を構成する発泡体の基材としては、例えばエポキシ樹脂が用いられている。ソルダーレジスト膜48の基材中には、多数の独立した気泡(独立気泡)が形成されている。
なお、ここでは、ソルダーレジスト膜48の材料としてエポキシ樹脂を用いる場合を例に説明したが、ソルダーレジスト膜48の材料はエポキシ樹脂に限定されるものではない。耐熱性、耐薬品性、電気特性、密着性等が優れる材料をソルダーレジスト膜48の材料として適宜用いることができる。例えば、ビスマレイミド・トリアジン(BT)系樹脂、ポリフェニレンエーテル(PPE)系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)系樹脂、シアネートエステル系樹脂、シアノアクリレート系樹脂等をソルダーレジスト膜48の材料として用いてもよい。なお、1種類の樹脂によりソルダーレジスト膜48を形成してもよいし、2種類以上の樹脂の混合物によりソルダーレジスト膜48を形成してもよい。
ソルダーレジスト膜48における熱伝導率は、0.1W/mK以下とすることが望ましい。ソルダーレジスト膜48における熱伝導率をこのように低く設定するのは、以下のような理由によるものである。
即ち、ソルダーレジスト膜48における熱伝導率が比較的高い場合には、不良チップ4a(図2(a)参照)を交換する際に、隣接する半導体チップ4が実装されている箇所に比較的熱が伝わりやすく、隣接する半導体チップ4が実装されている箇所が過度に高温になってしまう虞がある。そうすると、半導体チップ4の半導体基板65と回路基板2との熱膨張率の差に起因して、半田バンプ46等に比較的大きなストレスが加わる。そうすると、半導体チップ4と回路基板2との間において断線が生じる虞がある。
本実施形態による電子装置では、ソルダーレジスト膜48における熱伝導率が、0.1W/mK以下と極めて低く設定されているため、不良チップ4a(図2(a)参照)を交換する際に、隣接する半導体チップ4が実装されている箇所に熱が伝わるのを抑制することができ、隣接する半導体チップ4が実装されている箇所が過度に高温になるのを防止することができる。このため、本実施形態によれば、半導体チップ4aの交換を繰り返し行った場合であっても、不良チップ4aに隣接する半導体チップ4と回路基板2との間において断線が生じるのを防止することが可能となる。
このような理由により、ソルダーレジスト膜48における熱伝導率は、0.1W/mK以下とすることが望ましい。
ここでは、ソルダーレジスト膜48における熱伝導率を、例えば0.05W/mK程度とする。
ソルダーレジスト膜48の気泡の平均直径は、0.1〜30μmの範囲内であることが望ましい。ソルダーレジスト膜48内の気泡の平均直径が30μmより大きい場合には、ソルダーレジスト膜48の表面に大きな孔が形成されてしまう場合がある。また、気泡が互いに繋がって配線(図示せず)等に達する孔が形成されてしまう場合もある。また、ソルダーレジスト膜48の強度も低下してしまう。従って、ソルダーレジスト膜48内の気泡の平均直径は30μm以下であることが望ましい。また、ソルダーレジスト膜48内の気泡の平均直径が0.1μmより小さい場合には、ソルダーレジスト膜48における熱伝導率を十分に小さくすることができず、十分な断熱効果が得られない。このような理由により、ソルダーレジスト膜48内の気泡の平均直径は、0.1〜30μmの範囲内であることが望ましい。
更には、ソルダーレジスト膜48の気泡の平均直径は、2〜20μmの範囲内であることがより望ましい。ソルダーレジスト膜48内の気泡の平均直径を20μm以下とすれば、ソルダーレジスト膜48の表面に大きな孔が形成されるのをより防止することができ、配線(図示せず)等に達する孔が形成されるのをより防止することができ、ソルダーレジスト膜48の強度も十分に確保することが可能となる。また、ソルダーレジスト膜48内の気泡の平均直径が2μm以上であれば、ソルダーレジスト膜48における熱伝導率をより十分に小さくすることができ、より十分な断熱効果が得られる。このような理由により、ソルダーレジスト膜48内の気泡の平均直径は、2〜20μmの範囲内であることが更に望ましい。
ここでは、ソルダーレジスト膜48内の気泡の平均直径を、例えば11〜13μm程度とする。
また、本実施形態においてソルダーレジスト膜48に独立気泡を形成しているのは、以下のような理由によるものである。即ち、ソルダーレジスト膜48内に形成された気泡が連続気泡の場合には、ソルダーレジスト膜48に配線(図示せず)等に達する孔が形成されてしまう虞がある。ソルダーレジスト膜48に配線に達する孔が形成された場合には、配線等にはんだが付着するのを防止するというソルダーレジスト膜の機能が損なわれてしまい、また、ソルダーレジスト膜48の下地に対する密着性も低下してしまう。従って、ソルダーレジスト膜48内には独立気泡を形成することが望ましい。
ソルダーレジスト膜48には、電極パッド44に達する開口部50が形成されている。
一方、コア基板20の他方の面には、配線18を覆うように、例えばガラスクロスエポキシ樹脂より成る絶縁層(層間絶縁膜)52が形成されている。
絶縁層52には、配線18に達するコンタクトホール54が形成されている。
コンタクトホール54内には、例えばCuより成るビア56が埋め込まれている。
ビア56が埋め込まれた絶縁層52の一の面(コア基板20に接する面とは反対側の面)には、ビア56に接続された配線58が形成されている。
配線58が形成された絶縁層52の一の面(コア基板20に接する面とは反対側の面)には、配線58を覆うように、例えばガラスクロスエポキシ樹脂より成る絶縁層(層間絶縁膜)60が形成されている。
絶縁層60には、配線58に達するコンタクトホール62が形成されている。
コンタクトホール62内には、例えばCuより成るビア64が埋め込まれている。
ビア64が埋め込まれた絶縁層60の一の面(絶縁層52に接する面とは反対側の面)には、ビア64に接続された配線66が形成されている。
こうして、回路基板2が構成されている。
回路基板2上には、半導体素子(半導体チップ)4が実装されている。互いに隣接する半導体チップ4の間隔は、例えば12mm程度である。半導体チップ4は、半田バンプ46を介して、回路基板2に形成された電極パッド44に電気的に接続されている。
回路基板2と半導体チップ4との間、より具体的には、ソルダーレジスト膜48と半導体チップ4の半導体基板65との間には、半田バンプ46を埋め込むように、発泡体より成る封止樹脂層(アンダーフィル)68が形成されている。封止樹脂層68の基材中には、多数の独立気泡が形成されている。
封止樹脂層68を構成する発泡体の基材としては、例えば熱硬化性樹脂が用いられている。かかる熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂が用いられている。
なお、ここでは、かかる熱硬化性樹脂としてエポキシ樹脂を用いる場合を例に説明したが、かかる熱硬化性樹脂はエポキシ樹脂に限定されるものではない。耐熱性、耐薬品性、電気特性が優れる熱硬化性樹脂を、封止樹脂層を構成する発泡体の基材として適宜用いることができる。例えば、ポリイミド系樹脂、アクリル系樹脂、シアネートエステル系樹脂、シリコーン系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、オキセタン系樹脂、シアノアクリレート系樹脂等を、封止樹脂層を構成する発泡体の基材として用いてもよい。
また、かかる熱硬化性樹脂に熱可塑性樹脂を添加してもよい。かかる熱可塑性樹脂としては、例えば、フッ素系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエーテルイミド系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリブタジエン系樹脂等を用いることができる。なお、かかる熱可塑性樹脂は、これらに限定されるものではない。なお、熱硬化性樹脂に1種類の熱可塑性樹脂を添加してもよいし、熱硬化性樹脂に2種類以上の熱可塑性樹脂を添加してもよい。
封止樹脂層68における熱伝導率は、0.1W/mK以下とすることが望ましい。封止樹脂層68における熱伝導率をこのように低く設定するのは、以下のような理由によるものである。
即ち、封止樹脂層68における熱伝導率が比較的高い場合には、不良チップ4a(図2(a)参照)を交換する際に、隣接する半導体チップ4が実装されている箇所に熱が伝わりやすく、隣接する半導体チップ4が実装されている箇所が過度に高温になってしまう。そうすると、半導体チップ4の半導体基板65と回路基板2との熱膨張率の差に起因して、半田バンプ46等に大きなストレスが加わる。そうすると、半導体チップ4と回路基板2との間において断線が生じる虞がある。
本実施形態による電子装置では、封止樹脂層68における熱伝導率が、0.1W/mK以下と極めて低く設定されているため、不良チップ4a(図2(a)参照)を交換する際に、隣接する半導体チップ4が実装されている箇所に熱が伝わるのを抑制することができ、隣接する半導体チップ4が実装されている箇所が過度に高温になるのを防止することができる。このため、本実施形態によれば、半導体チップ4aの交換を繰り返し行った場合であっても、不良チップ4aに隣接する半導体チップ4と回路基板2との間において断線が生じるのを防止することが可能となる。
このような理由により、封止樹脂層68における熱伝導率は、0.1W/mK以下とすることが望ましい。
ここでは、封止樹脂層68における熱伝導率を、例えば0.05W/mK程度とする。
封止樹脂層68の気泡の平均直径は、0.1〜30μmの範囲内であることが望ましい。封止樹脂層68内の気泡の平均直径が30μmより大きい場合には、封止樹脂層68の強度が低下してしまう。従って、封止樹脂層68内の気泡の平均直径は30μm以下であることが望ましい。また、封止樹脂層68内の気泡の平均直径が0.1μmより小さい場合には、封止樹脂層68において熱伝導率を十分に小さくすることができず、十分な断熱効果が得られない。このような理由により、封止樹脂層68内の気泡の平均直径は、0.1〜30μmの範囲内であることが望ましい。
更には、封止樹脂層68の気泡の平均直径は、2〜20μmの範囲内であることがより望ましい。封止樹脂層68の気泡の平均直径を20μm以下とすれば、封止樹脂層68の強度を十分に確保することが可能となる。また、封止樹脂層68内の気泡の平均直径が2μm以上であれば、封止樹脂層68における熱伝導率をより十分に小さくすることができ、より十分な断熱効果が得られる。このような理由により、封止樹脂層68内の気泡の平均直径は、2〜20μmの範囲内であることがより望ましい。
ここでは、封止樹脂層68内の気泡の平均直径を、例えば11〜13μm程度とする。
また、封止樹脂層68の体積絶縁抵抗率は、1×1011Ω・cm以上とすることが望ましい。即ち、封止樹脂層68の絶縁性を十分に高く設定することが望ましい。体積絶縁抵抗率とは、絶縁材料と接触した2つの電極に直流電圧を印加し、印加した電圧を材料内部に流れる電流で除算して得られた体積抵抗を、体積抵抗率に換算したものである。
また、封止樹脂層68の引張せん断接着強さは、10MPa以上とすることが望ましい。即ち、封止樹脂層68の下地に対する接着強度を十分に大きく設定することが望ましい。引張せん断接着強さとは、接着面に平行な引っ張りせん断加重を加え、接着が剥がれるときの力の大きさのことである。
また、本実施形態において封止樹脂層68に独立気泡を形成しているのは、以下のような理由によるものである。即ち、封止樹脂層68内に形成された気泡が連続気泡の場合には、十分な機械的強度を得ることができない。また、封止樹脂層68内に形成された気泡が連続気泡の場合には、封止樹脂層68と半導体チップ4との間における接着強度が低下し、また、封止樹脂層68とソルダーレジスト膜48との間における接着強度も低下してしまう。このような理由により、封止樹脂層68内には独立気泡を形成することが望ましい。
こうして本実施形態による電子装置が構成されている。
(評価結果)
次に、本実施形態による電子装置の評価結果について説明する。
まず、本実施形態による電子装置について、回路基板2上に実装された半導体チップ4の交換(リプレース)を繰り返し行った。また、比較例として、ソルダーレジスト膜及び封止樹脂層のいずれにも発泡体が用いられていない電子装置について、半導体チップの交換を繰り返し行った。
回路基板2上に実装された半導体チップ4の交換は以下のようにして行った。図2乃至図4は、半導体チップの交換方法を示す工程断面図である。
即ち、まず、回路基板2上に実装された複数の半導体チップ4のうちの一の半導体チップ(不良チップ)について、NMP(N−メチル−2−ピロリドン)より成る有機溶剤を用いて、封止樹脂層68を溶解した。図2(a)は、不良チップ4aと回路基板2との間に形成されている封止樹脂層68に有機溶剤70を滴下する状態を示す断面図である。
次に、回路基板2を150℃で予備加熱した。
次に、リプレース用のツールヘッド72を用いて、不良チップ4aを320℃で選択的に加熱することにより、不良チップ4aと回路基板2とを接続する半田バンプ46を溶融させた。図2(b)は、ツールヘッドを用いて不良チップを選択的に加熱している状態を示す断面図である。
次に、リプレース用の吸着ヘッド74を用いて不良チップ4aを吸着することにより、不良チップ4aを回路基板2からはずした。図3(a)は、吸着ヘッドを用いて不良チップをはずす状態を示す断面図である。
不良チップ4aをはずした段階では、不良チップ4aが実装されていた箇所に、残渣物76、即ち、不良チップ4aと回路基板2との間を封止していた封止樹脂層68、及び、不良チップ4aと回路基板2とを電気的に接続していた半田46が残存している。
次に、半田吸い取り機(図示せず)や溶剤等を用いて、回路基板2上に残存している残渣物76を除去した。図3(b)は、溶剤78を滴下する状態を示す断面図である。図4(a)は、残渣物76が除去された状態を示す断面図である。
次に、溶剤を用いて、回路基板10の電極パッド44の表面を清浄化した。
次に、不良チップ4aが実装されていた箇所に、新しく用意した半導体チップ4を実装した。
次に、半導体チップ4と回路基板10との間に封止樹脂層68を形成した。
次に、熱処理を行うことにより、封止樹脂層68を発泡させた。
このようにして、回路基板2上に実装された半導体チップ4aの交換を行った。
比較例による電子装置の場合には、半導体チップ4aの交換を同じ箇所で4回繰り返した時点で、隣接する半導体チップ4と回路基板2との間において断線が生じた。隣接する半導体チップ4と回路基板2との間において断線が生じたのは、不良チップ4aを交換する際に、隣接する半導体チップ4が実装されている箇所に熱が伝わり、隣接する半導体チップ4が実装されている箇所が高温になり、半導体チップ4の半導体基板65と回路基板2との熱膨張率の差に起因して、半田バンプ46等に大きなストレスが加わったためと考えられる。
一方、本実施形態による電子装置では、半導体チップ4aの交換を繰り返し行っても、不良チップ4aに隣接する半導体チップ4と回路基板2との間において断線は生じなかった。本実施形態において半導体チップ4と回路基板2との間において断線が生じなかったのは、封止樹脂層68とソルダーレジスト膜98とが熱伝導率が極めて低い発泡体により構成されているため、不良チップ4aを交換する際に、隣接する半導体チップ4が実装されている箇所に熱が伝わるのが抑制され、隣接する半導体チップ4が実装されている箇所が高温になるのが抑制され、半田バンプ46等に大きなストレスが加わるのが抑制されたためと考えられる。
また、熱伝導解析及びCoffin-Manson則を用いて、半導体チップ4と回路基板2との接続寿命についてのシミュレーションを行った。シミュレーションを行う際には、封止樹脂層68とソルダーレジスト膜48とにおける熱伝導率を以下のように設定した。即ち、本実施形態による電子装置については、封止樹脂層68とソルダーレジスト膜48とにおける熱伝導率を0.08(W/mK)とした。比較例による電子装置については、封止樹脂層68とソルダーレジスト膜48とにおける熱伝導率を0.3(W/mK)とした。
シミュレーションの結果、本実施形態による電子装置の場合には、比較例による電子装置と比較して、不良チップ4aに隣接する半導体チップ4が実装されている箇所における温度が、6℃低くなることが分かった。
また、比較例による電子装置の場合には、半導体チップ4と回路基板2との接続寿命は9年7ヶ月であった。
一方、本実施形態による電子装置の場合には、半導体チップ4と回路基板2との接続寿命は10年3ヶ月であった。
これらのことから、本実施形態によれば、不良チップ4aを交換する際に、隣接する半導体チップ4が実装されている箇所における温度上昇をかなり抑制し得ることが分かる。また、本実施形態によれば、製品保証期間が例えば10年に設定された場合であっても、かかる製品保証期間を満足し得ることが分かる。
また、封止樹脂層68の体積絶縁抵抗率について測定を行った。
比較例による電子装置の場合には、体積絶縁抵抗率は1.7×1011Ω・cmであった。
一方、本実施形態による電子装置の場合には、体積絶縁抵抗率は1.5×1011Ω・cmであった。
これらのことから、本実施形態による電子装置においても、比較例による電子装置と同様に、良好な体積絶縁抵抗率が得られることが分かる。即ち、本実施形態においても、比較例による電子装置と同様に、封止樹脂層68において良好な絶縁性が得られることが分かる。
また、封止樹脂層68の引張せん断接着強さについて測定を行った。
比較例による電子装置の場合には、引張せん断接着強さは12MPaであった。
一方、本実施形態による電子装置の場合には、引張せん断接着強さは11MPaであった。
これらのことから、本実施形態による電子装置においても、比較例による電子装置と同様に、十分な引張せん断接着強さが得られることが分かる。
また、封止樹脂層68の弾性率について測定を行った。なお、本実施形態による電子装置においては、封止樹脂層68における気泡の体積率を20%とした。
比較例による電子装置では、封止樹脂層68の弾性率は6GPaであった。
一方、本実施形態による電子装置では、封止樹脂層68の弾性率は4.8GPaであった。
これらのことから、本実施形態によれば、封止樹脂層68において比較的小さい弾性率が得られることが分かる。本実施形態によれば、封止樹脂層68における弾性率が比較的小さいため、半導体チップ4の半導体基板65と回路基板2との熱膨張率の差に起因するストレスを、封止樹脂層68により効果的に吸収し得る。このため、本実施形態によれば、不良チップ4aを交換する際に、隣接する半導体チップ4の半田バンプ46等に大きなストレスが加わるのを防止することができる。
このように、本実施形態によれば、封止樹脂層68とソルダーレジスト膜48とに発泡体が用いられているため、封止樹脂層68とソルダーレジスト膜48とにおける熱伝導率を比較的低くすることができる。このため、不良チップ4aを交換する際に、隣接する半導体チップ4が設けられている箇所が過度に温度上昇するのを防止することができる。このため、本実施形態によれば、不良チップ4aを交換する際に、隣接する半導体チップ4の半田バンプ46等に大きなストレスが加わるのを防止することができる。従って、本実施形態によれば、信頼性や製造歩留りを向上することができ、また、低コスト化を実現することができる。
また、本実施形態によれば、封止樹脂層68等における熱伝導率が比較的低いため、不良チップ4aに熱を加えて半田バンプ46を溶融させ、不良チップ4aを回路基板2上から取り外す際に、半田バンプ46を短時間で溶融させることができる。このため、本実施形態によれば、不良チップ4aの交換に要する時間を短縮することができる。
(電子装置の製造方法)
次に、本実施形態による電子装置の製造方法を図5乃至図8を用いて説明する。図5乃至図8は、本実施形態による電子装置の製造方法を示す工程断面図である。
まず、図5(a)に示すようにコア基板20を用意する。コア基板20は、例えば以下のようにして製造することができる。
即ち、まず、両面にCu膜(銅箔)が形成された支持基板10(コア材)を用意する。支持基板10の材料は、例えばエポキシ樹脂とする。
次に、ドリルマシンを用いて、支持基板10に貫通孔12を形成する。
次に、デスミア処理を行う。即ち、貫通孔12を形成する際に生じたスミアを、薬液を用いて除去する。
次に、無電解めっき法により、全面に例えばCuより成るめっき膜(図示せず)を形成する。これにより、貫通孔12内にCuより成る導電膜(図示せず)が形成される。
次に、貫通孔12内に、金属材料より成るビア14を埋め込む。
次に、フォトリソグラフィ技術を用い、Cu膜をパターニングする。こうして、支持基板10の一方の面及び他方の面に、Cuより成る配線16,18がそれぞれ形成される。
こうして、コア基板20が製造される。
次に、真空プレス装置を用いて、ガラスクロスにエポキシ樹脂を含浸して成るプリプレグを、コア基板20の両面に貼り付ける。こうして、コア基板20の一方の面及び他方の面に、ガラスクロスエポキシ樹脂より成る絶縁層22,24がそれぞれ形成される(図5(b)参照)。
次に、例えば炭酸ガスレーザを用い、コア基板20の一方の面に形成された配線16に達するコンタクトホール24を絶縁層22に形成する。
次に、例えば無電解めっき法により、コンタクトホール24内及び絶縁層22上にシード層(図示せず)を形成する。
次に、スピンコート法により、シード層上にフォトレジスト膜(図示せず)を形成する。
次に、コンタクトホール24内のシード層に達する開口部(図示せず)を、フォトレジスト膜に形成する。かかる開口部は、コンタクトホール24内にビア26を埋め込むためのものである。
次に、例えば電気めっき法により、コンタクトホール24内に例えばCuより成るビア26を埋め込む。この後、フォトレジスト膜を剥離する。
次に、スピンコート法により、絶縁層22上にフォトレジスト膜(図示せず)を形成する。
次に、フォトレジスト膜にシード層に達する開口部(図示せず)を形成する。かかる開口部は、配線28を形成するためのものである。
次に、例えば電気めっき法により、開口部内に例えばCuより成る配線28を形成する。この後、フォトレジスト膜を剥離する(図5(c)参照)。
次に、配線28の周囲に表出しているシード層をウエットエッチングにより除去する。
次に、真空プレス装置を用い、ガラスクロスにエポキシ樹脂を含浸して成るプリプレグを、絶縁層22等が形成されたコア基板20上に貼り付ける。こうして、配線28等が形成された絶縁層22上に、ガラスクロスエポキシ樹脂より成る絶縁層30が形成される。
次に、例えば炭酸ガスレーザを用い、配線28に達するコンタクトホール32を絶縁層30に形成する。
なお、ここでは、炭酸ガスレーザを用いてコンタクトホール32を形成する場合を例に説明したが、コンタクトホール32の形成方法はこれに限定されるものではない。例えば、UV−YAGレーザを用いて絶縁層30にコンタクトホール32を形成することも可能である。また、プラズマを用いたドライエッチング等により絶縁層30にコンタクトホール32を形成することも可能である。
次に、スピンコート法により、シード層上にフォトレジスト膜(図示せず)を形成する。
次に、コンタクトホール32内のシード層に達する開口部(図示せず)を、フォトレジスト膜に形成する。かかる開口部は、コンタクトホール32内にビア34を埋め込むためのものである。
次に、例えば電気めっき法により、コンタクトホール32内に例えばCuより成るビア34を埋め込む。この後、フォトレジスト膜を剥離する。
次に、スピンコート法により、絶縁層30上にフォトレジスト膜(図示せず)を形成する。
次に、フォトレジスト膜にシード層に達する開口部(図示せず)を形成する。かかる開口部は、配線36を形成するためのものである。
次に、例えば電気めっき法により、開口部内に例えばCuより成る配線36を形成する。この後、フォトレジスト膜を剥離する(図5(d)参照)。
次に、配線36の周囲に表出しているシード層をウエットエッチングにより除去する。
次に、例えば炭酸ガスレーザを用い、コア基板20の他方の面(絶縁膜22が形成された面とは反対側の面)に形成された絶縁層52に、配線18に達するコンタクトホール54を形成する。
次に、例えば無電解めっき法により、コンタクトホール54内及び絶縁層52の一の面(コア基板20に接する面とは反対側の面)にシード層(図示せず)を形成する。
次に、スピンコート法により、シード層の一の面(絶縁層52に接する面とは反対側の面)にフォトレジスト膜(図示せず)を形成する。
次に、コンタクトホール54内のシード層に達する開口部(図示せず)をフォトレジスト膜に形成する。かかる開口部は、コンタクトホール54内にビア56を埋め込むためのものである。
次に、例えば電気めっき法により、コンタクトホール54内に例えばCuより成るビア56を埋め込む。この後、フォトレジスト膜を剥離する。
次に、スピンコート法により、絶縁層52の一の面(コア基板20に接する面とは反対側の面)にフォトレジスト膜(図示せず)を形成する。
次に、フォトレジスト膜にシード層に達する開口部(図示せず)を形成する。かかる開口部は、配線58を形成するためのものである。
次に、例えば電気めっき法により、開口部内に例えばCuより成る配線58を形成する。この後、フォトレジスト膜を剥離する(図6(a)参照)。
次に、配線58の周囲に表出しているシード層をウエットエッチングにより除去する。
次に、真空プレス装置を用い、ガラスクロスにエポキシ樹脂を含浸して成るプリプレグを、絶縁層52の一の面(コア基板20に接する面とは反対側の面)に貼り付ける。こうして、配線58等が形成された絶縁層52の一の面(コア基板20に接する面とは反対側の面)に、ガラスクロスエポキシ樹脂より成る絶縁層60が形成される。
次に、例えば炭酸ガスレーザを用い、配線58に達するコンタクトホール62を絶縁層60に形成する。
次に、例えば無電解めっき法により、コンタクトホール62内及び絶縁層60の一の面(絶縁層52に接する面とは反対側の面)にシード層(図示せず)を形成する。
次に、スピンコート法により、シード層の一の面(絶縁層60に接する面とは反対側の面)にフォトレジスト膜(図示せず)を形成する。
次に、コンタクトホール62内のシード層に達する開口部(図示せず)をフォトレジスト膜に形成する。かかる開口部は、コンタクトホール62内にビア64を埋め込むためのものである。
次に、例えば電気めっき法により、コンタクトホール62内に例えばCuより成るビア64を埋め込む。この後、フォトレジスト膜を剥離する。
次に、スピンコート法により、絶縁層60の一の面(絶縁層52に接する面とは反対側の面)にフォトレジスト膜(図示せず)を形成する。
次に、フォトレジスト膜にシード層に達する開口部(図示せず)を形成する。かかる開口部は、配線66を形成するためのものである。
次に、例えば電気めっき法により、開口部内に例えばCuより成る配線66を形成する。この後、フォトレジスト膜を剥離する(図6(b)参照)。
次に、配線66の周囲に表出しているシード層をウエットエッチングにより除去する。
次に、真空プレス装置を用い、ガラスクロスにエポキシ樹脂を含浸して成るプリプレグを、配線36が形成された絶縁層30上に貼り付ける。こうして、配線36等が形成された絶縁層30上に、ガラスクロスエポキシ樹脂より成る絶縁層38が形成される(図6(c)参照)。
次に、例えば炭酸ガスレーザを用い、配線36に達するコンタクトホール40を絶縁層38に形成する(図7(a)参照)。
次に、例えば無電解めっき法により、コンタクトホール40内及び絶縁層38上にシード層(図示せず)を形成する。
次に、スピンコート法により、シード層上にフォトレジスト膜(図示せず)を形成する。
次に、コンタクトホール40内のシード層に達する開口部(図示せず)を、フォトレジスト膜に形成する。かかる開口部は、コンタクトホール40内にビア42を埋め込むためのものである。
次に、例えば電気めっき法により、コンタクトホール40内に例えばCuより成るビア42を埋め込む。この後、フォトレジスト膜を剥離する(図7(b)参照)。
次に、スピンコート法により、絶縁層38上にフォトレジスト膜(図示せず)を形成する。
次に、フォトレジスト膜にシード層に達する開口部(図示せず)を形成する。かかる開口部は、電極パッド44を形成するためのものである。
次に、例えば電気めっき法により、開口部内に例えばNi層とAu層とを順次形成する。
こうして、Ni層とAu層を順次積層して成る積層膜より成る電極パッド44が形成される。この後、フォトレジスト膜を剥離する(図7(c)参照)。
次に、電極パッド44の周囲に表出しているシード層をウエットエッチングにより除去する。
次に、例えばスピンコート法により、発泡剤を含む樹脂を、電極パッド44が形成された絶縁層38上に塗布する。かかる樹脂は、ソルダーレジスト膜48を形成するためのものである。かかる樹脂としては、例えば感光性のエポキシ系樹脂を用いる。発泡剤としては、例えばアルカリ金属炭酸塩より成る発泡剤を用いる。アルカリ金属炭酸塩としては、例えば炭酸ナトリウムを用いる。より具体的には、発泡剤として粉末状の炭酸ナトリウムを用いる。発泡剤の平均直径は例えば10μm程度とする。樹脂組成物に対する発泡剤の割合としては、樹脂組成物の総量100重量部に対して発泡剤の割合を例えば30重量部とする。発泡剤は、樹脂中に均一に分散させる。
なお、ここでは、ソルダーレジスト膜48の材料としてエポキシ樹脂を用いる場合を例に説明したが、ソルダーレジスト膜48の材料はエポキシ樹脂に限定されるものではない。耐熱性、耐薬品性、電気特性、密着性等が優れる材料をソルダーレジスト膜48の材料として適宜用いることができる。例えば、ビスマレイミド・トリアジン(BT)系樹脂、ポリフェニレンエーテル(PPE)系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)系樹脂、シアネートエステル系樹脂、シアノアクリレート系樹脂等をソルダーレジスト膜48の材料として用いてもよい。なお、1種類の樹脂によりソルダーレジスト膜48を形成してもよいし、2種類以上の樹脂の混合物によりソルダーレジスト膜48を形成してもよい。
次に、ソルダーレジスト膜48に対して熱処理を行う。この熱処理は、ソルダーレジスト膜48を発泡させるとともに、ソルダーレジスト膜48を硬化させるためのものである。熱処理温度は、例えば130℃とする。このような熱処理を行うことにより、発泡剤が反応を起こしてCO2が発生し、樹脂より成る基材中に気泡が形成される。樹脂よりなる基材中には、多数の独立気泡が形成される。こうして発泡体より成るソルダーレジスト膜48が形成される。
ソルダーレジスト膜48の気泡の平均直径は、上述したように、0.1〜30μmの範囲内であることが望ましい。ソルダーレジスト膜48内の気泡の平均直径が30μmより大きい場合には、ソルダーレジスト膜48の表面に大きな孔が形成されてしまう場合があり、ソルダーレジスト膜48の強度も低下してしまう。従って、ソルダーレジスト膜48内の気泡の平均直径は30μm以下であることが望ましい。また、ソルダーレジスト膜48内の気泡の平均直径が0.1μmより小さい場合には、ソルダーレジスト膜48における熱伝導率を十分に小さくすることができず、十分な断熱効果が得られない。このような理由により、ソルダーレジスト膜48内の気泡の平均直径は、0.1〜30μmの範囲内であることが望ましい。
また、上述したように、ソルダーレジスト膜48の気泡の平均直径が2〜20μmの範囲内であることが更に望ましい。ソルダーレジスト膜48内の気泡の平均直径を20μm以下とすれば、ソルダーレジスト膜48の表面に大きな孔が形成されるのをより防止することができ、ソルダーレジスト膜48の強度も十分に確保することが可能となる。また、ソルダーレジスト膜48内の気泡の平均直径が2μm以上であれば、熱伝導率をより十分に小さくすることができ、より十分な断熱効果が得られる。このような理由により、ソルダーレジスト膜48内の気泡の平均直径は、2〜20μmの範囲内であることが更に望ましい。
ここでは、ソルダーレジスト膜48内の気泡の平均直径は、例えば11〜13μm程度とする。
また、上述したように、ソルダーレジスト膜48には独立気泡を形成することが望ましい。即ち、ソルダーレジスト膜48内に形成された気泡が連続気泡の場合には、ソルダーレジスト膜48に配線(図示せず)等に達する孔が形成されてしまう虞がある。ソルダーレジスト膜48に配線に達する孔が形成された場合には、配線等にはんだが付着するのを防止するというソルダーレジスト膜48の機能が損なわれてしまい、また、ソルダーレジスト膜48の下地に対する密着性も低下してしまう。従って、ソルダーレジスト膜48内には独立気泡を形成することが望ましい。
こうして、熱伝導率が例えば0.05W/mK程度の発泡体より成るソルダーレジスト膜48が形成される。
なお、ソルダーレジスト膜48における熱伝導率は、0.05W/mK程度に限定されるものではない。ソルダーレジスト膜48における熱伝導率は、上述したように、0.1W/mK以下とすることが望ましい。
即ち、ソルダーレジスト膜48における熱伝導率が比較的高い場合には、不良チップ4a(図2(a)参照)を交換する際に、隣接する半導体チップ4が実装されている箇所に比較的熱が伝わりやすく、隣接する半導体チップ4が実装されている箇所が過度に高温になってしまう虞がある。そうすると、半導体チップ4の半導体基板65と回路基板2との熱膨張率の差に起因して、半田バンプ46等に比較的大きなストレスが加わる。そうすると、半導体チップ4と回路基板2との間において断線が生じる虞がある。
一方、ソルダーレジスト膜48における熱伝導率を0.1W/mK以下と低く設定すれば、不良チップ4a(図2(a)参照)を交換する際に、隣接する半導体チップ4が実装されている箇所に熱が伝わるのを抑制することができ、隣接する半導体チップ4が実装されている箇所が過度に高温になるのを防止することができる。このため、本実施形態によれば、半導体チップ4aの交換を繰り返し行った場合であっても、不良チップ4aに隣接する半導体チップ4と回路基板2との間において断線が生じるのを防止することが可能となる。
このような理由により、ソルダーレジスト膜48における熱伝導率は、上述したように、0.1W/mK以下とすることが望ましい。
次に、フォトリソグラフィ技術を用い、ソルダーレジスト膜48に電極パッド44に達する開口部50を形成する。
こうして、回路基板2が製造される(図8(a)参照)。
次に、半導体チップ(半導体素子)4を用意する。ここで、半導体チップ4について説明する。半導体チップ4の寸法は、例えば20mm×20mmである。半導体チップ4には、0.22mmのピッチで電極パッド(図示せず)が形成されている。電極パッドのランド径は例えば0.15mmである。電極パッドには、半田ペーストより成る半田バンプ46が形成されている。半田ペーストより成る半田バンプ46は、例えばスクリーン印刷法等により形成されている。半田バンプ46の材料は、例えばSn3Ag0.5Cuである。半田バンプ46には、フラックスが塗布されている。
次に、チップマウンタを用い、回路基板2上に半導体素子4を仮実装する。こうして、複数の半導体チップ4が、例えば12mmのピッチで回路基板2上に仮実装される。
次に、リフロー炉内に回路基板2を導入する。リフロー炉の設定温度は、例えば270℃とする。これにより、半田バンプ46が溶融し、半導体チップ4の電極パッドと回路基板2の電極パッド44とが半田バンプ46により接合される。こうして、回路基板2上に、半導体チップ4が実装される(図8(b)参照)。
次に、回路基板2と半導体チップ4との間、より具体的には、ソルダーレジスト膜48と半導体チップ4との間に、半田バンプ46を埋め込むように、発泡剤を含む樹脂よりアンダーフィル材を注入する。アンダーフィル材は、封止樹脂層68を形成するためのものである。
かかる樹脂としては、例えば熱硬化性樹脂を用いる。かかる熱硬化性樹脂としては、例えばエポキシ系樹脂を用いる。発泡剤としては、例えばアルカリ金属炭酸塩より成る発泡剤を用いる。アルカリ金属炭酸塩より成る発泡剤としては、例えば炭酸ナトリウムを用いる。かかる炭酸ナトリウムとしては、例えば粉末状の炭酸ナトリウムを用いる。発泡剤の平均直径は例えば10μm程度とする。樹脂組成物に対する発泡剤の割合としては、樹脂組成物の総量100重量部に対して発泡剤の割合を例えば1〜30重量部とする。発泡剤は、樹脂中に均一に分散させる。
なお、ここでは、熱硬化性樹脂としてエポキシ樹脂を用いる場合を例に説明したが、かかる熱硬化性樹脂はエポキシ樹脂に限定されるものではない。耐熱性、耐薬品性、電気特性が優れる熱硬化性樹脂を適宜用いることができる。例えば、ポリイミド系樹脂、アクリル系樹脂、シアネートエステル系樹脂、シリコーン系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、オキセタン系樹脂、シアノアクリレート系樹脂等を、封止樹脂層68の材料として用いてもよい。
また、かかる熱硬化性樹脂に熱可塑性樹脂を添加してもよい。かかる熱可塑性樹脂としては、例えば、フッ素系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエーテルイミド系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリブタジエン系樹脂等を用いることができる。なお、かかる熱可塑性樹脂は、これらに限定されるものではない。また、熱硬化性樹脂に1種類の熱可塑性樹脂を添加してもよいし、熱硬化性樹脂に2種類以上の熱可塑性樹脂を添加してもよい。
次に、回路基板2を熱処理装置(オーブン)内に導入し、熱処理を行う。この熱処理は、半導体チップ4と回路基板2との間にアンダーフィル材を入り込ませ、アンダーフィル材を発泡させるとともに、アンダーフィル材を硬化させるためのものである。熱処理温度は、例えば80℃程度とする。熱処理時間は、例えば120分程度とする。このような熱処理を行うことにより、発泡剤が反応を起こしてCO2が発生し、樹脂より成る基材中に気泡が形成される。樹脂よりなる基材中には、多数の独立気泡が形成される。こうして発泡体より成る封止樹脂層(アンダーフィル)68が形成される。
こうして、熱伝導率が例えば0.05W/mK程度の発泡体より成る封止樹脂層68が形成される。
なお、封止樹脂層68における熱伝導率は、0.05W/mK程度に限定されるものではない。封止樹脂層68における熱伝導率は、上述したように、0.1W/mK以下とすることが望ましい。
即ち、封止樹脂層68における熱伝導率が比較的高い場合には、不良チップ4a(図2(a)参照)を交換する際に、隣接する半導体チップ4が実装されている箇所に熱が伝わりやすく、隣接する半導体チップ4が実装されている箇所が過度に高温になってしまう。そうすると、半導体チップ4の半導体基板65と回路基板2との熱膨張率の差に起因して、半田バンプ46等に大きなストレスが加わる。そうすると、半導体チップ4と回路基板2との間において断線が生じる虞がある。
一方、封止樹脂層68における熱伝導率を0.1W/mK以下と低く設定すれば、不良チップ4a(図2(a)参照)を交換する際に、隣接する半導体チップ4が実装されている箇所に熱が伝わるのを抑制することができ、隣接する半導体チップ4が実装されている箇所が過度に高温になるのを防止することができる。このため、本実施形態によれば、半導体チップ4aの交換を繰り返し行った場合であっても、不良チップ4aに隣接する半導体チップ4と回路基板2との間において断線が生じるのを防止することが可能となる。
このような理由により、封止樹脂層68における熱伝導率は、0.1W/mK以下とすることが望ましい。
封止樹脂層68の気泡の平均直径は、上述したように、0.1〜30μmの範囲内であることが望ましい。封止樹脂層68内の気泡の平均直径が30μmより大きい場合には、封止樹脂層68の強度が低下してしまう。従って、封止樹脂層68内の気泡の平均直径は30μm以下であることが望ましい。また、封止樹脂層68内の気泡の平均直径が0.1μmより小さい場合には、熱伝導率を十分に小さくすることができず、十分な断熱効果が得られない。このような理由により、封止樹脂層68内の気泡の平均直径は、0.1〜30μmの範囲内であることが望ましい。
また、上述したように、封止樹脂層68の気泡の平均直径は、2〜20μmの範囲内であることが更に望ましい。封止樹脂層68内の気泡の平均直径を20μm以下とすれば、封止樹脂層68の強度を十分に確保することが可能となる。また、封止樹脂層68内の気泡の平均直径が2μm以上であれば、熱伝導率をより十分に小さくすることができ、より十分な断熱効果が得られる。このような理由により、封止樹脂層68内の気泡の平均直径は、2〜20μmの範囲内であることが更に望ましい。
ここでは、封止樹脂層68内の気泡の平均直径を、例えば11〜13μm程度とする。
また、封止樹脂層68の体積絶縁抵抗率は、1×1011Ω・cm以上とすることが望ましい。
また、封止樹脂層68の引張せん断接着強さは、10MPa以上とすることが望ましい。
また、上述したように、本実施形態において封止樹脂層58に独立気泡を形成しているのは、以下のような理由によるものである。即ち、封止樹脂層68内に形成された気泡が連続気泡の場合には、十分な機械的強度を得ることができない。また、封止樹脂層68内に形成された気泡が連続気泡の場合には、封止樹脂層68と半導体チップ4との間における密着性が低下し、また、封止樹脂層68とソルダーレジスト膜48との間における密着性も低下してしまう。従って、封止樹脂層68内には独立気泡を形成することが望ましい。
こうして本実施形態による電子装置が製造される(図8(c)参照)。
次に、こうして製造された電子装置に対して検査を行う。
検査の結果、回路基板2上に実装された半導体チップ4のいずれかに不良チップ4a(図2(a)参照)が発見された場合には、不良チップ4aを新しく用意した半導体チップ4に交換する。
不良チップ4aと新しく用意した半導体チップ4との交換は、例えば以下のようにして行う。
即ち、まず、図2(a)に示すように、不良チップ4aが実装されている箇所の封止樹脂層68を、例えばNMP(N−メチル−2−ピロリドン)より成る有機溶剤70を用いて溶解する。図2(a)は、不良チップ4aと回路基板2との間に形成されている封止樹脂層68に有機溶剤70を滴下する状態を示す断面図である。
次に、回路基板2を例えば150℃で予備加熱する。
次に、図2(b)に示すように、リプレース用のツールヘッド72を用いて、不良チップ4aを例えば320℃で選択的に加熱することにより、不良チップ4aと回路基板2とを接続する半田バンプ46を溶融させる。図2(b)は、ツールヘッドを用いて不良チップを選択的に加熱している状態を示す断面図である。
次に、図3(a)に示すように、リプレース用の吸着ヘッド74を用いて不良チップ4aを吸着することにより、不良チップ4aを回路基板2からはずす。図3(a)は、吸着ヘッドを用いて不良チップをはずす状態を示す断面図である。
不良チップ4aをはずした段階では、不良チップ4aが実装されていた箇所に、残渣物76、即ち、不良チップ4aと回路基板2との間を封止していた封止樹脂層68、及び、不良チップ4aと回路基板2とを電気的に接続していた半田46が残存している。
次に、半田吸い取り機(図示せず)や溶剤等を用いて、回路基板2上に残存している残渣物76を除去する。図3(b)は、溶剤78を滴下する状態を示す断面図である。図4(a)は、残渣物76が除去された状態を示す断面図である。
次に、溶剤を用いて、回路基板10の電極パッド44の表面を清浄化する。
次に、不良チップ4aが実装されていた箇所に、新しく用意した半導体チップ4を実装する。
次に、半導体チップ4と回路基板10との間に封止樹脂層68を形成する。
次に、熱処理を行うことにより、封止樹脂層68を発泡させる。
こうして、不良チップ4aが新しく用意した半導体チップ4に交換される。
すべての不良チップ4aが新しく用意した半導体チップ4に交換された後には、電子装置に対する検査を改めて行う。
検査の結果、回路基板2上に実装された半導体チップ4のいずれかに不良チップ4aが発見された場合には、上記と同様にして、不良チップ4aを新しく用意した半導体チップ4に交換する。
不良チップ4aと新しく用意した半導体チップ4との交換は、検査により不良チップ4aが発見されなくなるまで行われる。
こうして、正常な電子装置が完成する。
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態による電子装置及びその製造方法を図9乃至図12を用いて説明する。図9は、本実施形態による電子装置を示す断面図である。図1乃至図8に示す第1実施形態による電子装置及びその製造方法と同一の構成要素には、同一の符号を付して説明を省略または簡潔にする。
(電子装置)
本実施形態による電子装置は、最上層の絶縁層(層間絶縁膜)38aが発泡体により構成されており、ソルダーレジスト膜48aが発泡体ではない材料により構成されており、かかるソルダーレジスト膜48aが半導体チップ4の実装領域間において分離されていることに主な特徴がある。
図9に示すように、配線36等が形成された絶縁層30上には、例えば膜厚80μmの発泡体より成る絶縁層38aが形成されている。絶縁層38aを構成する発泡体の基材としては、例えばエポキシ樹脂が用いられている。絶縁層38aの基材中には、多数の独立した気泡(独立気泡)が形成されている。
なお、ここでは、絶縁層38aの材料としてエポキシ樹脂を用いる場合を例に説明したが、絶縁層38aの材料はエポキシ樹脂に限定されるものではない。耐熱性、耐薬品性、電気特性、密着性等が優れる材料を絶縁層38aの材料として適宜用いることができる。例えば、ビスマレイミド・トリアジン(BT)系樹脂、ポリフェニレンエーテル(PPE)系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)系樹脂、シアネートエステル系樹脂、シアノアクリレート系樹脂等を絶縁層38aの材料として用いてもよい。なお、1種類の樹脂により絶縁層38aを形成してもよいし、2種類以上の樹脂の混合物により絶縁層38aを形成してもよい。
絶縁層38aにおける熱伝導率は、0.1W/mK以下とすることが望ましい。絶縁層38aにおける熱伝導率をこのように低く設定するのは、以下のような理由によるものである。
即ち、絶縁層38aにおける熱伝導率が比較的高い場合には、不良チップ4a(図2(a)参照)を交換する際に、絶縁層38aを介して、隣接する半導体チップ4が実装されている箇所に比較的熱が伝わりやすく、隣接する半導体チップ4が実装されている箇所が過度に高温になってしまう虞がある。そうすると、半導体チップ4の半導体基板65と回路基板2との熱膨張率の差に起因して、半田バンプ46等に比較的大きなストレスが加わる。そうすると、半導体チップ4と回路基板2との間において断線が生じる虞がある。
本実施形態による電子装置では、絶縁層38aにおける熱伝導率が、0.1W/mK以下と極めて低く設定されているため、不良チップ4a(図2(a)参照)を交換する際に、隣接する半導体チップ4が実装されている箇所に熱が伝わるのを抑制することができ、隣接する半導体チップ4が実装されている箇所が過度に高温になるのを防止することができる。このため、本実施形態によれば、半導体チップ4aの交換を繰り返し行った場合であっても、不良チップ4aに隣接する半導体チップ4と回路基板2との間において断線が生じるのを防止することが可能となる。
このような理由により、絶縁層38aにおける熱伝導率は、0.1W/mK以下とすることが望ましい。ここでは、絶縁層38aにおける熱伝導率を、例えば0.05W/mK程度とする。
絶縁層38aの気泡の平均直径は、0.1〜30μmの範囲内であることが望ましい。絶縁層38a内の気泡の平均直径が30μmより大きい場合には、絶縁層38aの表面に大きな孔が形成されてしまう場合がある。また、気泡が互いに繋がって、配線36等に達する孔が絶縁層38aに形成されてしまう場合もある。また、絶縁層38aの強度も低下してしまう。従って、絶縁層38a内の気泡の平均直径は30μm以下であることが望ましい。また、絶縁層38a内の気泡の平均直径が0.1μmより小さい場合には、絶縁層38aにおける熱伝導率を十分に小さくすることができず、十分な断熱効果が得られない。このような理由により、絶縁層38a内の気泡の平均直径は、0.1〜30μmの範囲内であることが望ましい。
更には、絶縁層38aの気泡の平均直径は、2〜20μmの範囲内であることがより望ましい。絶縁層38a内の気泡の平均直径を20μm以下とすれば、絶縁層38aの表面に大きな孔が形成されるのをより防止することができ、配線36等に達する孔が絶縁層38aに形成されるのをより防止することができ、絶縁層38aの強度も十分に確保することが可能となる。また、絶縁層38a内の気泡の平均直径が2μm以上であれば、絶縁層38aにおける熱伝導率をより十分に小さくすることができ、より十分な断熱効果が得られる。このような理由により、絶縁層38a内の気泡の平均直径は、2〜20μmの範囲内であることが更に望ましい。
ここでは、絶縁層38a内の気泡の平均直径を、例えば11〜13μm程度とする。
また、本実施形態において絶縁層38aに独立気泡を形成しているのは、以下のような理由によるものである。即ち、絶縁層38a内に形成された気泡が連続気泡の場合には、絶縁層38aに配線(図示せず)等に達する孔が形成されてしまう虞がある。絶縁層38aに配線に達する孔が形成された場合には、異なる層に形成された配線が互いに短絡してしまい、また、絶縁層38aの下地に対する密着性も低下してしまう。従って、絶縁層38a内には独立気泡を形成することが望ましい。
電極パッド44が形成された絶縁層38a上には、ソルダーレジスト膜48aが形成されている。本実施形態では、ソルダーレジスト膜48aは発泡体ではなく、気泡が導入されていない樹脂により形成されている。ソルダーレジスト膜48aの材料としては、例えばエポキシ樹脂が用いられている。
ソルダーレジスト膜48aは、半導体チップ4の実装領域間において互いに分離されている。具体的には、ソルダーレジスト膜48aは、電極パッド44の近傍のみに形成されている。本実施形態において、半導体チップ4の実装領域間においてソルダーレジスト膜48を分離しているのは、以下のような理由によるものである。
本実施形態では、ソルダーレジスト膜48aが発泡体により構成されていないため、ソルダーレジスト膜48aにおける熱伝導率は比較的高い。このため、ソルダーレジスト膜48aを全面に形成した場合には、不良チップ4a(図2(a)参照)を交換する際に、ソルダーレジスト膜48aを介して、隣接する半導体チップ4が実装されている箇所に比較的熱が伝わりやすく、隣接する半導体チップ4が実装されている箇所が過度に高温になってしまう虞がある。そうすると、半導体チップ4の半導体基板65と回路基板2との熱膨張率の差に起因して、半田バンプ46等に比較的大きなストレスが加わる。そうすると、半導体チップ4と回路基板2との間において断線が生じる虞がある。
本実施形態による電子装置では、ある半導体チップ4が実装される領域と他の半導体チップ4が実装される領域との間において、ソルダーレジスト膜48aが互いに分離されているため、不良チップ4a(図2(a)参照)を交換する際に、ソルダーレジスト膜48aを介して隣接する半導体チップ4が実装されている箇所に熱が伝わるのを抑制することができる。このため、本実施形態によれば、隣接する半導体チップ4が実装されている箇所が過度に高温になるのを防止することができる。
このような理由により、本実施形態では、半導体チップ4の実装領域間においてソルダーレジスト膜48aを互いに分離している。
こうして、回路基板2が構成されている。
回路基板2上には、半導体チップ4が実装されている。回路基板2と半導体チップ4との間、より具体的には、絶縁層38aと半導体チップ4の半導体基板65との間には、半田バンプ46を埋め込むように、発泡体より成る封止樹脂層(アンダーフィル)68が形成されている。封止樹脂層68における熱伝導率は、上述したように、0.1W/mK以下とすることが望ましい。ここでは、封止樹脂層68における熱伝導率を、例えば0.05W/mK程度とする。
こうして本実施形態による電子装置が構成されている。
(評価結果)
次に、本実施形態による電子装置の評価結果について説明する。
まず、本実施形態による電子装置について、回路基板2上に実装された半導体チップ4の交換(リプレース)を繰り返し行った。また、比較例として、最上層の絶縁層及び封止樹脂層のいずれにも発泡体が用いられていない電子装置について、半導体チップの交換を繰り返し行った。半導体チップの交換方法は、図2乃至図4を用いて上述した交換方法と同様とした。
比較例による電子装置の場合には、半導体チップ4aの交換を同じ箇所で4回繰り返した時点で、隣接する半導体チップ4と回路基板2との間において断線が生じた。隣接する半導体チップ4と回路基板2との間において断線が生じたのは、不良チップ4aを交換する際に、隣接する半導体チップ4が実装されている箇所に熱が伝わり、隣接する半導体チップ4が実装されている箇所が高温になり、半導体チップ4の半導体基板65と回路基板2との熱膨張率の差に起因して、半田バンプ46等に大きなストレスが加わったためと考えられる。
一方、本実施形態による電子装置では、半導体チップ4aの交換を繰り返し行っても、不良チップ4aに隣接する半導体チップ4と回路基板2との間において断線は生じなかった。本実施形態において半導体チップ4と回路基板2との間において断線が生じなかったのは、封止樹脂層68と絶縁層38aとが熱伝導率が極めて低い発泡体により構成されており、しかも、ソルダーレジスト膜48aが半導体チップ4の実装領域間において互いに分離されているため、不良チップ4aを交換する際に、隣接する半導体チップ4が実装されている箇所に熱が伝わるのが抑制され、隣接する半導体チップ4が実装されている箇所が高温になるのが抑制され、半田バンプ46等に大きなストレスが加わるのが抑制されたためと考えられる。
また、熱伝導解析及びCoffin-Manson則を用いて、半導体チップ4と回路基板2との接続寿命についてのシミュレーションを行った。シミュレーションを行う際には、封止樹脂層68とソルダーレジスト膜48とにおける熱伝導率を以下のように設定した。即ち、本実施形態による電子装置については、封止樹脂層68と最上層の樹脂層38aとにおける熱伝導率を0.08(W/mK)とした。比較例による電子装置については、封止樹脂層と最上層の絶縁層とにおける熱伝導率を0.3(W/mK)とした。
シミュレーションの結果、比較例による電子装置の場合には、半導体チップ4と回路基板2との接続寿命は9年7ヶ月であった。
一方、本実施形態による電子装置の場合には、半導体チップ4と回路基板2との接続寿命は10年4ヶ月であった。
これらのことから、本実施形態によれば、製品保証期間が例えば10年に設定された場合であっても、かかる製品保証期間を満足し得ることが分かる。
このように、本実施形態によれば、封止樹脂層68と最上層の絶縁層38aとに発泡体が用いられており、ソルダーレジスト膜48aが半導体チップ4の実装領域間において互いに分離されているため、不良チップ4aを交換する際に、隣接する半導体チップ4が設けられている箇所が過度に高温になるのを防止することができる。このため、本実施形態によっても、不良チップ4aを交換する際に、隣接する半導体チップ4の半田バンプ46等に大きなストレスが加わるのを防止することができる。従って、本実施形態によっても、信頼性や製造歩留りを向上することができ、また、低コスト化を実現することができる。
(電子装置の製造方法)
次に、本実施形態による電子装置の製造方法を図10乃至図12を用いて説明する。図10乃至図12は、本実施形態による電子装置の製造方法を示す工程断面図である。
まず、コア基板20を用意する工程から配線66を形成する工程までは、図5(a)乃至図6(b)に示す第1実施形態による電子装置の製造方法と同様であるので説明を省略する(図10(a)参照)。
次に、例えばスピンコート法により、発泡剤を含む樹脂を、配線66が形成された絶縁層30上に塗布する。かかる樹脂は、絶縁層38aを形成するためのものである。かかる樹脂としては、例えばエポキシ系樹脂を用いる。発泡剤としては、例えばアルカリ金属炭酸塩より成る発泡剤を用いる。アルカリ金属炭酸塩としては、例えば炭酸ナトリウムを用いる。より具体的には、発泡剤として粉末状の炭酸ナトリウムを用いる。発泡剤の平均直径は例えば10μm程度とする。樹脂組成物に対する発泡剤の割合としては、樹脂組成物の総量100重量部に対して発泡剤の割合を例えば1〜30重量部とする。発泡剤は、樹脂中に均一に分散させる。
なお、ここでは、絶縁層38aの材料としてエポキシ樹脂を用いる場合を例に説明したが、絶縁層38aの材料はエポキシ樹脂に限定されるものではない。耐熱性、耐薬品性、電気特性、密着性等が優れる材料を絶縁層38aの材料として適宜用いることができる。例えば、ビスマレイミド・トリアジン(BT)系樹脂、ポリフェニレンエーテル(PPE)系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)系樹脂、シアネートエステル系樹脂、シアノアクリレート系樹脂等を絶縁層38aの材料として用いてもよい。なお、1種類の樹脂により絶縁層38aを形成してもよいし、2種類以上の樹脂の混合物により絶縁層38aを形成してもよい。
次に、絶縁層38aに対して熱処理を行う。この熱処理は、絶縁層38aを発泡させるとともに、絶縁層38aを硬化させるためのものである。熱処理温度は、例えば180℃とする。このような熱処理を行うことにより、発泡剤が反応を起こしてCO2が発生し、樹脂より成る基材中に気泡が形成される。樹脂よりなる基材中には、多数の独立気泡が形成される。
絶縁層38aの気泡の平均直径は、上述したように、0.1〜30μmの範囲内であることが望ましい。また、上述したように、絶縁層38aの気泡の平均直径は、2〜20μmの範囲内であることが更に望ましい。ここでは、絶縁層38a内の気泡の平均直径は、例えば11〜13μm程度とする。
また、上述したように、絶縁層38aには独立気泡を形成することが望ましい。
こうして、熱伝導率が例えば0.05W/mK程度の発泡体より成る絶縁層38aが形成される。
なお、絶縁層38aにおける熱伝導率は、0.05W/mK程度に限定されるものではない。絶縁層38aにおける熱伝導率は、上述したように、0.1W/mK以下とすることが望ましい。
こうして、発泡体より成る絶縁層38aが形成される(図10(b)参照)。
次に、図7(a)を用いて上述した第1実施形態による電子装置の製造方法と同様にして、配線36に達するコンタクトホール40を絶縁層38に形成する(図10(c)参照)。
次に、図7(b)を用いて上述した第1実施形態による電子装置の製造方法と同様にして、コンタクトホール40内にビア42を埋め込む(図11(a)参照)。
次に、図7(c)を用いて上述した第1実施形態による電子装置の製造方法と同様にして、絶縁層38上に電極パッド44を形成する(図11(b)参照)。
次に、例えばスピンコート法により、電極パッド44が形成された絶縁層38上に、樹脂より成るソルダーレジスト膜48aを形成する。かかる樹脂としては、例えば感光性のエポキシ系樹脂を用いる。ソルダーレジスト膜48aの膜厚は、例えば40μmとする。
なお、ここでは、ソルダーレジスト膜48aの材料としてエポキシ樹脂を用いる場合を例に説明したが、ソルダーレジスト膜48aの材料はエポキシ樹脂に限定されるものではない。耐熱性、耐薬品性、電気特性、密着性等が優れる材料をソルダーレジスト膜48aの材料として適宜用いることができる。例えば、ビスマレイミド・トリアジン(BT)系樹脂、ポリフェニレンエーテル(PPE)系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)系樹脂、シアネートエステル系樹脂、シアノアクリレート系樹脂等をソルダーレジスト膜48aの材料として用いてもよい。なお、1種類の樹脂によりソルダーレジスト膜48aを形成してもよいし、2種類以上の樹脂の混合物によりソルダーレジスト膜48aを形成してもよい。
次に、ソルダーレジスト膜48aに対して熱処理を行う。この熱処理は、ソルダーレジスト膜48を硬化させるためのものである。熱処理温度は、例えば130℃とする。
こうして、樹脂より成るソルダーレジスト膜48aが形成される。
次に、フォトリソグラフィ技術を用い、ソルダーレジスト膜48aをパターニングする。こうして、電極パッド44に達する開口部50がソルダーレジスト膜48aに形成される。また、半導体チップ4の実装領域間において、ソルダーレジスト膜48aが互いに分離される。
こうして、回路基板2が製造される(図11(c)参照)。
次に、図8(b)を用いて上述した第1実施形態による電子装置の製造方法と同様にして、回路基板2上に半導体チップ4を実装する(図12(a)参照)。
次に、図8(b)を用いて上述した第1実施形態による電子装置の製造方法と同様にして、回路基板2と半導体チップ4との間、より具体的には、絶縁層48aと半導体チップ4との間に、封止樹脂層68を形成する。
こうして本実施形態による電子装置が製造される(図12(b)参照)。
次に、こうして製造された電子装置に対して検査を行う。
検査の結果、回路基板2上に実装された半導体チップ4のいずれかに不良チップ4a(図2(a)参照)が発見された場合には、図2(a)乃至図4(c)を用いて上述した第1実施形態による電子装置の製造方法と同様にして、不良チップ4aを新しく用意した半導体チップ4に交換する。
こうして、不良チップ4aが新しく用意した半導体チップ4に交換される。
すべての不良チップ4aが新しく用意した半導体チップ4に交換された後には、電子装置に対する検査を改めて行う。
検査の結果、回路基板2上に実装された半導体チップ4のいずれかに不良チップ4aが発見された場合には、上記と同様にして、不良チップ4aを新しく用意した半導体チップ4に交換する。
不良チップ4aと新しく用意した半導体チップ4との交換は、検査により不良チップ4aが発見されなくなるまで行われる。
こうして、正常な電子装置が完成する。
[第3実施形態]
本発明の第3実施形態による電子装置及びその製造方法を図13乃至図15を用いて説明する。図13は、本実施形態による電子装置を示す断面図である。図1乃至図12に示す第1又は第2実施形態による電子装置及びその製造方法と同一の構成要素には、同一の符号を付して説明を省略または簡潔にする。
(電子装置)
本実施形態による電子装置は、最上層の絶縁層38aとソルダーレジスト膜48と封止樹脂層68のいずれもが発泡体により構成されていることに主な特徴がある。
図13に示すように、配線36等が形成された絶縁層30上には、例えば膜厚80μmの発泡体より成る絶縁層38aが形成されている。絶縁層38aにおける熱伝導率は、上述したように、0.1W/mK以下とすることが望ましい。ここでは、絶縁層38aにおける熱伝導率を、例えば0.05W/mK程度とする。
電極パッド44が形成された絶縁層38a上には、例えば膜厚40μmの発泡体より成るソルダーレジスト膜48が形成されている。ソルダーレジスト膜48における熱伝導率は、上述したように、0.1W/mK以下とすることが望ましい。ここでは、ソルダーレジスト膜48における熱伝導率を、例えば0.05W/mK程度とする。
回路基板2上には、半導体チップ4が実装されている。回路基板2と半導体チップ4との間、より具体的には、絶縁層38aと半導体チップ4の半導体基板65との間には、半田バンプ46を埋め込むように、発泡体より成る封止樹脂層(アンダーフィル)68が形成されている。封止樹脂層68における熱伝導率は、上述したように、0.1W/mK以下とすることが望ましい。ここでは、封止樹脂層68における熱伝導率を、例えば0.05W/mK程度とする。
このように本実施形態では、最上層の絶縁層38aとソルダーレジスト膜48と封止樹脂層68のいずれもが発泡体により構成されている。
こうして本実施形態による電子装置が構成されている。
(評価結果)
次に、本実施形態による電子装置の評価結果について説明する。
まず、本実施形態による電子装置について、回路基板2上に実装された半導体チップ4の交換(リプレース)を繰り返し行った。また、比較例として、最上層の絶縁層及び封止樹脂層のいずれにも発泡体が用いられていない電子装置について、半導体チップの交換を繰り返し行った。半導体チップの交換方法は、図2乃至図4を用いて上述した交換方法と同様とした。
比較例による電子装置の場合には、半導体チップ4aの交換を同じ箇所で4回繰り返した時点で、隣接する半導体チップ4と回路基板2との間において断線が生じた。隣接する半導体チップ4と回路基板2との間において断線が生じたのは、不良チップ4aを交換する際に、隣接する半導体チップ4が実装されている箇所に熱が伝わり、隣接する半導体チップ4が実装されている箇所が高温になり、半導体チップ4の半導体基板65と回路基板2との熱膨張率の差に起因して、半田バンプ46等に大きなストレスが加わったためと考えられる。
一方、本実施形態による電子装置では、半導体チップ4aの交換を繰り返し行っても、不良チップ4aに隣接する半導体チップ4と回路基板2との間において断線は生じなかった。本実施形態において半導体チップ4と回路基板2との間において断線が生じなかったのは、封止樹脂層68と絶縁層38aとが熱伝導率が極めて低い発泡体により構成されており、しかも、ソルダーレジスト膜48aが半導体チップ4の実装領域間において互いに分離されているため、不良チップ4aを交換する際に、隣接する半導体チップ4が実装されている箇所に熱が伝わるのが抑制され、隣接する半導体チップ4が実装されている箇所が高温になるのが抑制され、半田バンプ46等に大きなストレスが加わるのが抑制されたためと考えられる。
また、熱伝導解析及びCoffin-Manson則を用いて、半導体チップ4と回路基板2との接続寿命についてのシミュレーションを行った。シミュレーションを行う際には、封止樹脂層68とソルダーレジスト膜48とにおける熱伝導率を以下のように設定した。即ち、本実施形態による電子装置については、封止樹脂層68と最上層の樹脂層38aとにおける熱伝導率を0.08(W/mK)とした。比較例による電子装置については、封止樹脂層と最上層の絶縁層とにおける熱伝導率を0.3(W/mK)とした。
シミュレーションの結果、比較例による電子装置の場合には、半導体チップ4と回路基板2との接続寿命は9年7ヶ月であった。
一方、本実施形態による電子装置の場合には、半導体チップ4と回路基板2との接続寿命は10年5ヶ月であった。
これらのことから、本実施形態によれば、製品保証期間が例えば10年に設定された場合であっても、かかる製品保証期間を満足し得ることが分かる。
このように、本実施形態によれば、封止樹脂層68とソルダーレジスト膜48と最上層の絶縁層38aのいずれもが発泡体により構成されているため、不良チップ4aを交換する際に、隣接する半導体チップ4が設けられている箇所が過度に高温になるのを更に防止することができる。このため、本実施形態によれば、不良チップ4aを交換する際に、隣接する半導体チップ4の半田バンプ46等に大きなストレスが加わるのを更に防止することができる。従って、本実施形態によれば、信頼性や製造歩留りを更に向上することができ、また、更なる低コスト化を実現することができる。
(電子装置の製造方法)
次に、本実施形態による電子装置の製造方法を図14及び図15を用いて説明する。図14及び図15は、本実施形態による電子装置の製造方法を示す工程断面図である。
まず、コア基板20を用意する工程から電極パッド44を形成する工程までは、図10(a)乃至図11(b)を用いて上述した第2実施形態による電子装置の製造方法と同様であるので説明を省略する(図14(a)参照)。
この後の、ソルダーレジスト膜48aを形成する工程から封止樹脂層68を形成する工程までは、図8(a)乃至8(c)を用いて上述した第1実施形態による電子装置の製造方法と同様であるので説明を省略する(図14(b)乃至図15)。
こうして本実施形態による電子装置が製造される。
次に、こうして製造された電子装置に対して検査を行う。
検査の結果、回路基板2上に実装された半導体チップ4のいずれかに不良チップ4a(図2(a)参照)が発見された場合には、図2(a)乃至図4(c)を用いて上述した第1実施形態による電子装置の製造方法と同様にして、不良チップ4aを新しく用意した半導体チップ4に交換する。
こうして、不良チップ4aが新しく用意した半導体チップ4に交換される。
すべての不良チップ4aが新しく用意した半導体チップ4に交換された後には、電子装置に対する検査を改めて行う。
検査の結果、回路基板2上に実装された半導体チップ4のいずれかに不良チップ4aが発見された場合には、上記と同様にして、不良チップ4aを新しく用意した半導体チップ4に交換する。
不良チップ4aと新しく用意した半導体チップ4との交換は、検査により不良チップ4aが発見されなくなるまで行われる。
こうして、正常な電子装置が完成する。
[変形実施形態]
本発明は上記実施形態に限らず種々の変形が可能である。
例えば、第1実施形態では、ソルダーレジスト膜48と封止樹脂層68の両方に発泡体を用いたが、封止樹脂層68として発泡体を用いず、ソルダーレジスト膜48のみに発泡体を用いてもよい。封止樹脂層68が発泡体ではなく、ソルダーレジスト膜48のみが発泡体である場合であっても、不良チップ4aを交換する際に、不良チップ4aから隣接する半導体チップ4に熱が伝達されるのを、ある程度抑制することが可能である。但し、不良チップ4aを交換する際に、不良チップ4aから隣接する半導体チップ4に熱が伝達されるのを十分に抑制するためには、ソルダーレジスト膜48と封止樹脂層68の両方に発泡体を用いることが望ましい。
また、第2実施形態では、絶縁層38aと封止樹脂層68の両方に発泡体を用いたが、封止樹脂層68として発泡体を用いず、絶縁層38aのみに発泡体を用いてもよい。封止樹脂層68が発泡体ではなく、絶縁層38aのみが発泡体である場合であっても、不良チップ4aを交換する際に、不良チップ4aから隣接する半導体チップ4に熱が伝達されるのを、ある程度抑制することが可能である。但し、不良チップ4aを交換する際に、不良チップ4aから隣接する半導体チップ4に熱が伝達されるのを十分に抑制するためには、絶縁層38aと封止樹脂層68の両方に発泡体を用いることが望ましい。
また、第3実施形態では、絶縁層38aとソルダーレジスト膜48と封止樹脂層68のいずれにおいても発泡体を用いたが、封止樹脂層68として発泡体を用いず、絶縁層38aとソルダーレジスト膜48とに発泡体を用いてもよい。封止樹脂層68が発泡体ではなく、絶縁層38a及びソルダーレジスト膜48が発泡体である場合であっても、不良チップ4aを交換する際に、不良チップ4aから隣接する半導体チップ4に熱が伝達されるのを、ある程度抑制することが可能である。但し、不良チップ4aを交換する際に、不良チップ4aから隣接する半導体チップ4に熱が伝達されるのを十分に抑制するためには、絶縁層38aとソルダーレジスト膜48と封止樹脂層68のいずれにおいても発泡体を用いることが望ましい。
また、上記実施形態では、絶縁層22,ソルダーレジスト膜48と封止樹脂層68の両方に発泡体を用いたが、封止樹脂層68として発泡体を用いず、ソルダーレジスト膜48のみに発泡体を用いてもよい。封止樹脂層68が発泡体ではなく、ソルダーレジスト膜48のみが発泡体である場合であっても、不良チップ4aを交換する際に、不良チップ4aから隣接する半導体チップ4に熱が伝達されるのを、ある程度抑制することが可能である。但し、不良チップ4aを交換する際に、不良チップ4aから隣接する半導体チップ4に熱が伝達されるのを十分に抑制するためには、ソルダーレジスト膜48と封止樹脂層68の両方に発泡体を用いることが望ましい。30,38,52,60の材料として、ガラスクロスエポキシ樹脂を用いる場合を例に説明したが、絶縁層22,30,38,52,60の材料はガラスクロスエポキシ樹脂に限定されるものではない。耐熱性、耐薬品性、電気特性、密着性等が優れる樹脂を絶縁層22,30,38,52,60の材料として適宜用いることができる。例えば、ビスマレイミド・トリアジン(BT)系樹脂、ポリフェニレンエーテル(PPE)系樹脂、ポリフェニレンオキサイド(PPO)系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)系樹脂、シアネートエステル系樹脂、シアノアクリレート系樹脂等を絶縁層22,30,38,52,60の材料として用いてもよい。なお、1種類の樹脂により絶縁層22,30,38,52,60を形成してもよいし、2種類以上の樹脂の混合物により絶縁層22,30,38,52,60を形成してもよい。
また、上記実施形態では、ガラスクロスエポキシ樹脂、即ち、ガラス繊維をエポキシ樹脂で固めたものを絶縁層22,30,38,52,60の材料として用いる場合を例に説明したが、これに限定されるものではなく、アラミド繊維等の他の繊維を樹脂で固めたものを絶縁層22,30,38,52,60の材料として用いてもよい。また、ガラスやセラミック等の無機系フィラーを樹脂中に混入したものを絶縁層22,30,38,52,60の材料として用いてもよい。
以上詳述したように、本発明の特徴をまとめると以下のようになる。
(付記1)
電極が形成された基板と、
前記基板上に実装され、半田バンプを介して前記電極に電気的に接続された半導体素子と、
前記基板と前記半導体素子との間に、前記半田バンプを埋め込むように形成された封止樹脂層とを有し、
前記封止樹脂層は、熱伝導率が0.1W/mK以下の発泡体より成る
ことを特徴とする電子装置。
(付記2)
電極が形成された基板と、
前記電極に達する開口部が形成され、半田付けが不要な領域への半田の付着を防止する保護膜と、
前記基板上に実装され、半田バンプを介して前記電極に電気的に接続された半導体素子と、
前記基板と前記半導体素子との間に、前記半田バンプを埋め込むように形成された封止樹脂層とを有し、
前記保護膜が発泡体より成る
ことを特徴とする電子装置。
(付記3)
付記2記載の電子装置において、
前記封止樹脂層が発泡体より成る
ことを特徴とする電子装置。
(付記4)
配線が形成された基板と、
前記配線を覆うように前記基板上に形成された絶縁層と、
前記絶縁層上に形成され、前記配線に電気的に接続された電極と、
前記基板上に実装され、半田バンプを介して前記電極に電気的に接続された半導体素子と、
前記基板と前記半導体素子との間に、前記半田バンプを埋め込むように形成された封止樹脂層とを有し、
前記絶縁層が発泡体より成る
ことを特徴とする電子装置。
(付記5)
付記4記載の電子装置において、
前記封止樹脂層が発泡体より成る
ことを特徴とする電子装置。
(付記6)
付記4又は5記載の電子装置において、
前記電極に達する開口部が形成され、半田付けが不要な領域への半田の付着を防止する保護膜を更に有し、
前記保護膜が発泡体より成る
ことを特徴とする電子装置。
(付記7)
付記2、3又は6記載の電子装置において、
前記保護膜の熱伝導率は、0.1W/mK以下である
ことを特徴とする電子装置。
(付記8)
付記4乃至6のいずれかに記載の電子装置において、
前記絶縁層の熱伝導率は、0.1W/mK以下である
ことを特徴とする電子装置。
(付記9)
付記3又は5記載の電子装置において、
前記封止樹脂層の熱伝導率は、0.1W/mK以下である
ことを特徴とする電子装置。
(付記10)
電極が形成された基板上に、半田バンプを介して前記電極に電気的に接続される半導体素子を実装する工程と、
前記基板と前記半導体素子との間に、前記半田バンプを埋め込むように、熱伝導率が0.1W/mK以下の発泡体より成る封止樹脂層を形成する工程と
を有することを特徴とする電子装置の製造方法。
(付記11)
電極が形成された基板上に、前記電極に達する開口部が形成され、半田付けが不要な領域への半田の付着を防止する、発泡体より成る保護膜を形成する工程と、
前記基板上に、半田バンプを介して前記電極に電気的に接続される半導体素子を実装する工程と
を有することを特徴とする電子装置の製造方法。
(付記12)
付記11記載の電子装置の製造方法において、
前記半導体素子を実装する工程の後に、前記基板と前記半導体素子との間に、前記半田バンプを埋め込むように、発泡体より成る封止樹脂層を形成する工程を更に有する
を有することを特徴とする電子装置の製造方法。
(付記13)
配線が形成された基板上に、発泡体より成る絶縁層を形成する工程と、
前記絶縁層上に、前記配線に電気的に接続された電極を形成する工程と、
前記基板上に、半田バンプを介して前記電極に電気的に接続される半導体素子を実装する工程と
を有することを特徴とする電子装置の製造方法。
(付記14)
付記13記載の電子装置の製造方法において、
前記半導体素子を実装する工程の後に、前記基板と前記半導体素子との間に、前記半田バンプを埋め込むように、発泡体より成る封止樹脂層を形成する工程を更に有する
を有することを特徴とする電子装置の製造方法。
(付記15)
付記13又は14記載の電子装置の製造方法において、
前記電極を形成する工程の後、前記半導体素子を実装する工程の前に、前記電極に達する開口部が形成され、半田付けが不要な領域への半田の付着を防止する、発泡体より成る保護膜を、前記絶縁層上に形成する工程を更に有する
ことを特徴とする電子装置の製造方法。
(付記16)
付記10、12又は14記載の電子装置の製造方法において、
前記封止樹脂層を形成する工程は、前記基板と前記半導体素子との間に、発泡剤を含む樹脂を注入する工程と;熱処理を行い、前記発泡剤を反応させることにより、前記発泡体より成る前記封止樹脂層を形成する工程とを有する
ことを特徴とする電子装置の製造方法。
(付記17)
付記11、12又は15記載の電子装置の製造方法において、
前記保護膜を形成する工程は、前記基板上に発泡剤を含む樹脂を塗布する工程と;熱処理を行い、前記発泡剤を反応させることにより、前記発泡体より成る前記保護膜を形成する工程とを有する
ことを特徴とする電子装置の製造方法。
(付記18)
付記13乃至15のいずれかに記載の電子装置の製造方法において、
前記絶縁層を形成する工程は、前記基板上に発泡剤を含む樹脂を塗布する工程と;熱処理を行い、前記発泡剤を反応させることにより、前記発泡体より成る前記絶縁層を形成する工程とを有する
ことを特徴とする電子装置の製造方法。
(付記19)
付記16乃至18のいずれかに記載の電子装置の製造方法において、
前記発泡剤は、アルカリ金属炭酸塩、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、又は、アルカリ金属炭酸水素塩より成る
ことを特徴とする電子装置の製造方法。
(付記20)
付記10乃至19のいずれかに記載の電子装置の製造方法において、
前記半導体素子を実装する工程の後に、検査を行う工程と;検査により不良と判断された前記半導体素子を他の半導体素子に交換する工程とを更に有する
ことを特徴とする電子装置の製造方法。