JP5445007B2 - 回路基板及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、コア基板を有する回路基板及びその製造方法に関する。
近年、電子機器の高性能化、小型化が急速に進展している。これに伴い、電子機器を構成する半導体素子、及び半導体素子を実装するための回路基板(以下、配線基板とも呼ぶ)には、小型薄型であること、高い性能を有すること、高い信頼性を有すること等が要求されている。このような要求に応えるべく、半導体素子の実装方法としては、回路基板上に半導体素子を直接実装するベアチップ実装技術が広く用いられている。
また、半導体素子の多端子化に伴い、半導体素子を実装するための回路基板として、配線層を多層化した多層配線基板の重要性が高まっている。多層配線基板には、例えば、絶縁層と導体層とが交互に積層され、微細配線やパッドが配線基板の片面又は両面に形成されたビルトアップ基板がある。
ところで、ベアチップ実装においては一般的に、シリコン(Si)チップが、ガラスエポキシ樹脂基板からなるプリント配線基板上に直接実装される。ここで、例えば室温から200℃程度の温度域において、Siチップの熱膨張率(Coefficient of Thermal Expansion;CTE)は約3.5ppm/℃であるのに対し、ガラスエポキシ樹脂の熱膨張率は12ppm/℃〜20ppm/℃となっている。また、配線やパッドを形成する導体層に典型的に用いられる銅(Cu)の熱膨張率も同温度域において約18ppm/℃となっている。このようにSiチップが実装される配線基板の熱膨張率は、Siチップの熱膨張率より大きく、この熱膨張率の違い(CTE不整合)に起因する応力や歪による疲労破壊や断線等が問題となる。故に、Siチップが実装される配線基板の熱膨張率を低減し、CTE不整合に起因する応力や歪を低減することが重要である。
回路基板の熱膨張率を低減する手法としては、例えばインバー(Fe:Ni=64:36)又は42アロイ(Fe:Ni=58:42)等の低熱膨張率を有する合金をコアに用いたメタルコア基板とする手法が広く知られている。また、低熱膨張率を有する導電性カーボンファイバ(炭素繊維)をコアに用いた導電性コア基板とする手法も知られている。これらの手法において、回路基板は、低熱膨張率材料を有するコアが、その片面又は両面に形成された絶縁層及び導体層の熱膨張を抑制するように構成される。
特表2004−515610号公報
上述のように、半導体素子のベアチップ実装等に用いられる回路基板においては、熱膨張率を低減すべく、低熱膨張率のインバーやカーボンファイバ等の導電性の熱膨張抑制材料をコア基材として用いた基板が用いられるようになっている。
しかしながら、高多層配線を有する回路基板において熱膨張を抑制するには、一般的に、これら熱膨張抑制材料の量を多くする必要がある。このことは、回路基板の電気的要素として機能しないコアのボリュームが増大し、回路基板が、これらの熱膨張抑制材料を用いない基板に比べて厚くなってしまうことを意味する。特に、半導体パッケージ基板などにおいては、半導体素子から見た電源インピーダンスを低減するため、電源ビアやグランドビアが短くなるよう、回路基板の薄化が強く望まれる。
弾性率が160GPa程度のインバーや190GPa程度の42アロイ等の合金は、このような比較的高い弾性率によって応力に起因する変形を抑制し得るので、比較的小さい厚さで回路基板の熱膨張を抑制することができる。図1に、一例として、インバーコアを有するコア基板110を示す。コア基板110は、インバーコア120、コア120の一方の面に形成された絶縁層131及び導体層132、コア120の他方の面に形成されたた絶縁層133及び導体層134を有する。インバーコア120は例えば0.3mmの厚さを有する。絶縁層131及び133は例えばガラスエポキシ樹脂層であり、各々例えば0.1mmの厚さを有する。コア基板110は更に、インバーコア120、絶縁層131及び133を貫通するスルーホール内に、絶縁樹脂135と、導体層132及び134それぞれの対応し合うパターン(電極パッド等)間を電気的に接続するビア136とを有する。
しかしながら、インバーや42アロイ等の合金は、キュリー点を有し、キュリー点以上の温度では磁歪による熱膨張抑制効果を喪失してしまう。例えば、インバーの熱膨張率は、室温でほぼ0ppm/℃であるものが、200℃以上において10ppm/℃程度にまで上昇する。なお、実際には、インバーの熱膨張係数はキュリー点温度より低い温度で上昇し始める。故に、例えば、典型的に200℃〜260℃までの温度上昇を伴うはんだリフロー工程において、コア基板110は当該コア基板を含むガラスエポキシ回路基板の熱膨張を効果的に抑制することができない。そして、Siチップと回路基板との間のCTE不整合によって、応力ひいては回路基板やチップの反りが発生し得る。
図2に、コア基板110を含む回路基板140にSiチップである半導体素子150をフリップチップ実装するはんだリフロー工程を概略的に示す。回路基板140は、ここでは、コア基板110の両面に、ガラスエポキシ樹脂やCu配線などを含む配線層161及び164を有するとする。Siチップ150はその表面に多数のはんだバンプ155を有している。例えば260℃といった高温まで加熱するとき(図2(a))、はんだ155は溶融状態にあり、回路基板140及びSiチップ150は各々の熱膨張率に従って熱膨張している。回路基板140は、図1に示したインバーコア120を中心としたコア基板110の対称性により、有意な反りを有しない。しかしながら、これらの組立体を常温まで冷却するとき(図2(b))、組立体に凸状の反りが発生する。これは、高温域においてはインバー材の熱膨張率が増大し、インバーコア110による回路基板140の熱膨張抑制効果が薄れるため、リフロー温度から常温までの温度変化における収縮率が、Siチップ150に対して、回路基板140の方が大きいためである。
よって、はんだリフロー工程は反り及び応力が生じ得る温度変化を伴うため、降温時に、例えば、はんだバンプ155や半導体素子150の配線層間膜などにクラックが発生し得る。また、上述のような反りの残存により、回路基板140及び/又は半導体素子150とこれらに接合される放熱手段との間の熱抵抗が増大され、半導体素子150の動作時の熱耐性が低下され得る。換言すれば、温度変化に伴うこのような反り挙動により、回路基板140と半導体素子150とを含む半導体パッケージ等の信頼性が低下し得る。
従って、常温域だけでなく例えばはんだ融点付近の高温域でも回路基板の熱膨張率及び反りを制御し、回路基板と半導体素子との接続部などの信頼性を向上させ得る回路基板技術が望まれる。
一観点によれば、導電性コア基板と、導電性コア基板の第1の面上に形成された第1の配線層と、導電性コア基板の第1の面と反対側の第2の面上に形成された第2の配線層とを有する回路基板が提供される。導電性コア基板は第1のコア層及び第2のコア層を有する。第1のコア層は、所与の温度以上の温度域において温度上昇に伴って熱膨張率が増大する材料からなり、第2のコア層は、前記所与の温度以上の温度域において、第1のコア層の熱膨張率より低い熱膨張率を有する。
一観点によれば、導電性コア基板を形成する工程と、導電性コア基板の第1の面上に第1の配線層を形成する工程と、導電性コア基板の第1の面と反対側の第2の面上に第2の配線層を形成する工程とを有する回路基板の製造方法が提供される。導電性コア基板を形成する工程は、第1のコア層と第2のコア層とを積層する工程を有する。第1のコア層は、所与の温度以上の温度域において温度上昇に伴って熱膨張率が増大する材料からなり、第2のコア層は、前記所与の温度以上の温度域において、第1のコア層の熱膨張率より低い熱膨張率を有する。
はんだ融点付近の高温域においても回路基板のコアの熱膨張率を制御することが可能となる。故に、回路基板と半導体素子との接続部の熱応力や、半導体素子実装時/後の反りを抑制し、ひいては、回路基板を含む半導体パッケージ等の信頼性を向上させることができる。
従来技術に係るコア基板を例示する断面図である。 従来技術に係るコア基板を有する回路基板にSiチップを実装するリフロー工程を模式的に示す断面図である。 一実施形態に係る回路基板が有するコア基板を例示する断面図である。 インバー及び炭素繊維強化プラスチック(CFRP)の熱膨張率の測定結果を例示するグラフである。 一実施形態に係る回路基板にSiチップを実装するリフロー工程を模式的に示す断面図である。 一実施形態に係る多層配線基板を例示する断面図である。 図6の多層配線基板を製造する方法を例示する断面図である。 図6の多層配線基板を製造する方法を例示する断面図である。 図6の多層配線基板を製造する方法を例示する断面図である。 図6の多層配線基板を製造する方法を例示する断面図である。 図6の多層配線基板を製造する方法を例示する断面図である。
以下、図面を参照しながら実施形態について詳細に説明する。なお、図面において、種々の構成要素は必ずしも同一の尺度で描かれていない。また、図面全体を通して、同一あるいは対応する構成要素には類似の参照符号を付する。
先ず、図3を参照して、一実施形態に従った回路基板が有する導電性コア基板10を説明する。
導電性コア基板10は、導電性コア20、コア20の一方の面に形成された絶縁層31及び導体層32、コア20の他方の面に形成されたた絶縁層33及び導体層34を有し得る。絶縁層31及び33は、ガラスエポキシ樹脂などの樹脂を有し、特に限定されないが、各々0.1mmの厚さを有する。また、導体層32及び34は例えば銅(Cu)膜とし得る。
回路基板10は更に、導電性コア20、絶縁層31及び33を貫通するスルーホール内に、絶縁樹脂35と、導体層32及び34それぞれの対応し合うパターン(電極パッド等)間を電気的に接続するビア36とを有する。スルーホール及びその内部に形成されたビア36は、回路基板10の配線レイアウト等に応じて、所望の位置に所望の数だけ形成される。絶縁樹脂35は、例えばエポキシ系樹脂であり、導電性のコア20とビア36とを電気的に分離する。スルーホール及びビアの直径は、配線レイアウトに応じて決定されるが、例えば、それぞれ0.8mm及び0.3mmとし得る。また、好ましくは、熱膨張率の低減のため、絶縁樹脂35には例えばアルミナフィラー、窒化アルミニウムフィラー、シリカフィラー等の無機フィラーが混合される。
導電性コア20は、複数のコア層が積層された平板状の複合コアであり、複数のコア層のうちの少なくとも2つの層は互いに異なる材料を有する。図3の例において、導電性コア20は、第1のコア層21と第2のコア層22とがプリプレグ23を介して積層された構成を有する。第1及び第2のコア層21及び22の材料は、より詳細に後述するように、熱膨張率及び弾性率を考慮して決定される。ここでは、好適な一例として、第1のコア層21をインバーコア層、第2のコア層22を炭素繊維強化プラスチック(Carbon Fiber Reinforced Plastics;CFRP)コア層とする。インバーコア層21及びCFRPコア層22の厚さは例えば、それぞれ、0.2mm及び0.1mmとし得る。インバーコア層21とCFRPコア層22との間に介在するプリプレグ23は、2つのコア層21及び22を接着する機能を有し、特に限定されないが、一般的なガラスエポキシ樹脂系のプリプレグとし得る。
CFRPコア層22は、例えば、カーボンファイバの織布にマトリックス樹脂を含浸させたプリプレグを積層して熱硬化させることによって形成し得る。一例として、PAN系のカーボンファイバ(東レ社製M35JB〜M60JB(弾性率350GPa〜600GPa))を平織にし、マトリックス樹脂としてエポキシ樹脂を含有率40vol%〜50vol%で含浸させたプリプレグを用いることができる。それにより、熱膨張率が−1.0ppm/℃〜1.0ppm/℃で、弾性率が50GPa〜120GPaのCFRPコア層22を作り出すことができる。他の一例として、PAN系のカーボンファイバ(東邦テナックス社製UMS35〜UMS55(弾性率350GPa〜540GPa))を平織にし、マトリックス樹脂としてエポキシ樹脂を含有率40vol%〜50vol%で含浸させたプリプレグを用いることができる。それにより、熱膨張率が−1.0ppm/℃〜1.0ppm/℃で、弾性率が50GPa〜100GPaのCFRPコア層22を作り出すことができる。
図4に、熱膨張率の温度依存性の概略傾向を示すために、インバー及び上述のようにして形成したCFRPの熱膨張率の測定結果を示す。インバーの熱膨張率は、常温付近では0ppm/℃に近いが、200℃以上の高温域では10ppm/℃程度まで上昇する。一方、CFRPの熱膨張率は、常温付近ではインバーのそれより若干高いものの、図示した−50℃〜250℃の全温度域で低い値を有することが分かる。これらの傾向により、典型的に150℃程度でインバー及びCFRPの熱膨張率の大小関係が逆転し、この温度以上では、CFRPの方がインバーより低い熱膨張率を有することになる。故に、CFRPコア層22は、このように150℃以上でインバーコア層21の熱膨張率より低い熱膨張率を有することにより、はんだリフロー工程等における高温時に、インバーコア層21に代わって、コア基板10を含む回路基板の熱膨張を抑制することができる。
この高温時の低熱膨張率の観点からは、導電性コア20は、インバーコア層21より厚いCFRPコア層22を有することが好ましい。しかしながら、CFRPコア層22は、基材とするカーボンファイバの弾性率に依存するものの、典型的に、160GPa程度であるインバーの弾性率より低い50GPa〜120GPaという弾性率を有する。故に、熱膨張抑制効果に十分な導電性コア層20の厚さが過度に増大しないように導電性コア20全体としての弾性率の低下を抑制する観点からは、導電性コア層20は、CFRPコア層22より厚いインバーコア層21を有することが好ましい。また、100GPa以上、例えば100GPa〜120GPaの弾性率を有するCFRPコア層を得るために、CFRPの基材として540GPa以上、例えば540GPa〜600GPaの弾性率を有するPAN系のカーボンファイバを用いてもよい。
さらに、熱膨張率と、弾性率と、インバーコア層21及びCFRPコア層22の厚さとの関係を利用することにより、インバーコア層21及びCFRPコア層22を含む導電性コア20は、図5に示すような効果を奏することも可能である。
図5は、従来技術に係る図2に対応して、コア基板10を含む回路基板40にSiチップである半導体素子50をフリップチップ実装するはんだリフロー工程を概略的に示している。回路基板40は、ここでは、コア基板10の両面に、ガラスエポキシ樹脂やCu配線などを含む配線層61及び64を有するとする。Siチップ50はその表面に多数のはんだバンプ55を有している。ここでは、回路基板10は、図3と同様の向きで配置され、Siチップ50から遠い側にインバーコア層21を有し、Siチップ50から近い側にCFRPコア層22を有するものとする。常温において(図5(a))、回路基板40及びSiチップ50は何れも反りを有していない。しかしながら、例えば260℃といった高温まで加熱するとき(図5(b))、インバーコア層21及びCFRPコア層22を有することによる非対称性及びそれら間のCTE不整合を利用して、回路基板40を適度に反らせることが可能である。このとき、回路基板40は、該温度にて熱膨張率が相対的に小さいCFRPコア層22側すなわちSiチップ50側が凹面となるように反ることになる。そして、回路基板40とSiチップ50との組立体を常温まで冷却するとき(図5(c))、導電性コア20による回路基板40の熱膨張抑制効果を適切に選択しておくことにより、回路基板40を再び反りのない平坦な状態に近付けることができる。この高温処理時の反り制御のため、弾性率の大小関係に従ってインバーコア層21をCFRPコア層22より厚くしておくことが好ましい。
上述のように、インバーの高温でのCTE増大、故に、高温での熱膨張抑制効果の低下を補償するように、高温で低いCTEを有するCFRPコア層22をインバーコア層21に組み合わせることにより、半導体パッケージの信頼性を高める種々の効果が得られる。例えば、常温及びはんだリフロー温度を含む広い温度域で、回路基板40の熱膨張を制御することが可能になる。この効果はまた、このような広い温度域で、回路基板40の熱膨張率を、その上にベアチップ実装されるSiチップ50の熱膨張率と同等の値に維持し得ることを意味する。また、インバーコア層21及びCFRPコア層22の、熱膨張率、弾性率及び厚さの選択により、高温処理時の反りの制御、例えば、はんだリフロー工程における回路基板40及び半導体素子50の反りの制御が可能になる。なお、これらの効果は、従来のインバーコア(例えば、図1のインバーコア120)の厚さの一部をCFRPコアに置換することにより得られ、必ずしも、コア全体の厚さひいては回路基板全体の厚さを増大させるものではない。例えば、0.3mm厚のインバーコアに対して、その0.1mm〜0.25mmをCFRPコアに置換した場合に、リフロー工程中のはんだ凝固時と、その後に常温まで冷却したとき時との双方で、反りが低減されることが確認された。
なお、以上では第1のコア層21をインバーコア層とし、第2のコア層22をCFRPコア層として説明した。しかしながら、第1及び第2のコア層21及び22は、この特定の材料を有するものに限定されない。第1のコア層21は、インバーに代えて、あるいは加えて、インバーと同様の熱膨張率及びその温度依存性、並びに弾性率を有するその他の合金や金属を有していてもよい。例えば、第1のコア層21は、42アロイ及び/又はコバール(Fe:Ni:Co=54:29:17)等、その他の低熱膨張率合金を有していてもよい。また、第2のコア層22は、CFRPに代えて、あるいは加えて、CFRPと同様の熱膨張率及びその温度依存性、並びに弾性率を有するその他の材料を有していてもよい。例えば、第2のコア層22は、基材としてカーボンナノチューブを40vol%〜50vol%の含有率で含むカーボンナノチューブ強化プラスチック等、その他の低熱膨張率の導電性プラスチックを有していてもよい。
また、導電性コア20は三層以上のコア層を有していてもよい。三層以上のコア層により、回路基板の熱膨張率及び反り挙動の、より高精度な制御が可能になり得る。さらに、導電性コア20は、回路基板の熱膨張率及び反り挙動の制御が可能である限りにおいて、導電性のコア層に加えて絶縁性のコア層を含んでいてもよい。
次に、図6を参照して、一実施形態に係る回路基板の一例として、多層配線基板60を説明する。多層配線基板60は、図3を参照して説明したインバーコア層21及びCFRPコア層22を有する導電性コア基板10を含み得る。ここでは、コア基板10の細部の説明は省略するが、コア基板10はその両側の導体層に、ビア36に電気的に連通したパターン32、34に加え、ビア36に連通しないパターン37、38を含んでいてもよい。また、コア基板10のビア36は、図3に示したような絶縁樹脂35中に形成されたスルーホールを充填した柱状ビアに限定されず、図6に示すような該スルーホールの内壁に形成された筒状ビアであってもよい。
多層配線基板60は、例えば、コア基板10の両面にそれぞれ3層の配線層61−63、64−66を有する。各配線層61−66は、絶縁性の樹脂層61a−66aと、該樹脂層中のスルーホール内に形成されたビア61b−66bと、該樹脂層の表面に形成されたパッド/配線61c−66cとを有する。各樹脂層61−66は例えばエポキシ樹脂等の絶縁性の樹脂を有する。ビア61b−66b及びパッド/配線61c−66cは例えば銅めっき膜とし得る。多層配線基板60は、図示した例においては当該基板を貫通する貫通ビアを有しているが、インタースティシャルビア等のその他の形態のビアを有していてもよい。
多層配線基板60は更に、配線層63の表面に、ソルダーレジスト層71及び電極72を有し得る。電極72は、多層配線基板60に半導体チップ等が実装されるときに該半導体チップ等の端子(はんだバンプ等)に接続される電極であり、少なくとも一部のパッド/配線63c上に形成されている。電極72は例えば、ニッケル(Ni)めっき膜72a及び金(Au)めっき膜72bの積層膜とし得る。ソルダーレジスト層71は、個々の電極72を露出させるように形成されており、半導体チップ等の実装時に隣接する電極72間での電気的な短絡を防止する。多層配線基板60はまた、更なる半導体チップや他の回路基板(例えば、電子機器のマザーボード等)との接続のために、配線層66の表面にもソルダーレジスト層73及び電極74(例えば、Niめっき膜74a及びAuめっき膜74b)を有していてもよい。
多層配線基板60においては、インバーコア層21及びCFRPコア層22を有するコア基板10により、常温域のみでなく例えば200℃〜260℃といった高温域においても、当該基板全体としての熱膨張率が低減される。すなわち、広範な温度域において、例えばガラスエポキシ樹脂を有する樹脂層61a−66a及びCuを有するパッド/配線61c−66cによる当該基板の熱膨張や反りが、コア基板10によって抑制され得る。
なお、多層配線基板60は、より少ない配線層(例えば、配線層61及び64のみ)を有していてもよいし、例えば10層を超えるような、より多くの配線層を有していてもよい。また、多層配線基板60は、少なくとも1つの配線層にベタパターンの電源プレーンを有し、少なくとも1つの配線層にベタパターンのグランドプレーンを有していてもよい。好ましくは、多層配線基板60は、複合コア基板10の両側に同数の配線層を有し、複合コア基板10の一方の側に上記電源プレーンを、他方側に上記グランドプレーンを有する。このようなコア基板を中心とした配線層の対称性は、複合コア基板10による多層配線基板60の反り制御を容易化し得る。例えば、コア基板10が有するインバーコア層21及びCFRPコア層22の熱膨張率の温度依存性に基づいて、半導体チップ等の実装時のはんだリフロー工程において、CFRPコア層22側が凹面となるように多層配線基板60を反らせることができる。
続いて、図7−11を参照して、多層配線基板60の製造方法の一実施例を説明する。なお、ここで説明する製造方法は一例であり、各工程には当業者に知られた種々の手法を用い得る。
積層コア20として、インバー合金21上に、接着用プリプレグ23を介して、カーボンファイバ織布にエポキシ系樹脂組成物を含浸させたプリプレグ22を1枚レイアップし、積層コア20の両側にガラスエポキシプリプレグ31、33を1枚ずつ配置した(図7(a))。インバー合金21及びCFRPプリプレグ22の厚さはそれぞれ0.2mm及び0.1mmとし、ガラスエポキシプリプレグ31及び33の厚さは0.1mmとした。そして、真空プレスによって、180℃、3MPa、1hの条件で加圧し、厚さ約0.5mmの複合コア基材10’を作製した(図7(b))。この複合コア基材10’は、温度範囲25℃−200℃において、面方向の平均熱膨張率が1ppm/℃、厚さ方向の平均熱膨張率が60ppm/℃であった。そして、複合コア基材10’に、直径0.8mmの複数のスルーホール35’を形成し(図7(c))、各スルーホール35’に絶縁樹脂35を充填した(図7(d))。この絶縁樹脂35は、スルーホール35’の内壁面を覆い、後に形成されるビアと導電性コア21及び22とを確実に絶縁する。
次に、このスルーホール35’に充填された絶縁樹脂35の各々に、直径0.3mmの更なるスルーホール36’を形成した(図8(a))。そして、無電解銅めっきによるシード層の形成後、電解銅めっきによりスルーホール36’の内壁と複合コア基材10’の表面及び裏面とに銅めっき膜36”を形成した(図8(b))。次いで、絶縁樹脂35と同様の材料でスルーホール36’を充填し、蓋めっきを行った後、サブトラクティブ法によってパッド/配線32、34、37、38のパターニングを行った(図8(c))。以上により、インバーコア層21及びCFRPコア層22と、基板両側の対応し合う導体パターンを電気的に連通するビア36とを有する導電性コア基板10が完成された。
このコア基板10を用いて、両面にビルドアップ樹脂層となるBステージのエポキシ樹脂61a及び64aをラミネートしてキュアを行った(図9(a))。そして、COレーザによるビア孔61b’及び64b’の形成(図9(b))後、デスミア及び無電解銅めっきを行い、めっきシード層61b”及び64b”を形成した(図9(c))。
次に、ドライフィルムレジスト61c’及び64c’のパターニング(図10(a))後、電解銅めっきによってビア61b及び64bとパッド/配線61c及び64cとを形成した(図10(b))。そして、ドライフィルムレジスト61c’及び64c’の剥離後、めっきシード層である無電解銅めっき膜61b”及び64b”をパネルエッチングした(図10(c))。ここでは、エッチング液として過酸化水素水と硫酸との混合液を用いた。これにより、コア基板10の両面に各一層の配線層61及び64が形成された。
そして、図9及び10の工程群を更に二度繰り返し、コア基板10の両面に各三層の配線層61−63及び64−66を得た(図11(a))。次いで、スクリーン印刷及びフォトリソグラフィ法を用いて、配線層63及び66のパッド63c及び66cを露出させるように、それぞれソルダーレジスト71及び73を形成した(図11(b))。最後に、露出されたパッド63c及び66c上に、無電解Niめっき膜72a及び74aと、Auめっき膜72b及び74bとを形成し、電極72及び74を有する多層配線基板60を完成させた(図11(c))。
こうして形成された多層配線基板60に半導体チップをフリップチップ実装し、接合部のX線CT観察を行った。具体的には、多層配線基板のC4エリアにはんだペーストを印刷した後にリフローし、フラックス洗浄を行って予備はんだを形成した。フリップチップボンダにより、半導体チップと多層配線基板60の位置合わせを行って仮留めし、リフロー炉で加熱処理して相互に接合させた。はんだバンプの接続状況を確認するため、X線CT装置ではんだバンプの形状を確認したところ、観察した全てのバンプが互いに同様の楕円形状を有していた。また、クラック等の発生なく、多層配線基板60の電極72及び74と半導体チップの電極とが接合されていることが確認された。
以上、実施形態について詳述したが、本発明は特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された要旨の範囲内において、種々の変形及び変更が可能である。
以上の説明に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記1)
導電性コア基板と、
前記導電性コア基板の第1の面上に形成された、1以上の樹脂層及び1以上の導体層が積層された第1の配線層と、
前記導電性コア基板の前記第1の面と反対側の第2の面上に形成された、1以上の樹脂層及び1以上の導体層が積層された第2の配線層と、
を有する回路基板であって、
前記導電性コア基板は第1のコア層及び第2のコア層を有し、
前記第1のコア層は、所与の温度以上の温度域において温度上昇に伴って熱膨張率が増大する材料からなり、
前記第2のコア層は、前記所与の温度以上の温度域において、前記第1のコア層の熱膨張率より低い熱膨張率を有する、
回路基板。
(付記2)
前記第1のコア層は、前記第2のコア層の弾性率より高い弾性率を有し、且つ前記第2のコア層の厚さより大きい厚さを有する、付記1に記載の回路基板。
(付記3)
前記第1のコア層は合金を有し、前記第2のコア層は導電性プラスチックを有する、付記1又は2に記載の回路基板。
(付記4)
前記第1のコア層は、インバー、コバール及び42アロイのうちの少なくとも1つを有する、付記1乃至3の何れか一に記載の回路基板。
(付記5)
前記第2のコア層は、炭素繊維強化プラスチック及びカーボンナノチューブ強化プラスチックのうちの少なくとも1つを有する、付記1乃至4の何れか一に記載の回路基板。
(付記6)
前記導電性コア基板の前記第1の面は前記第1のコア層側の面であり、前記導電性コア基板の前記第2の面は前記第2のコア層側の面であり、
当該回路基板は更に、前記第2の配線層上に形成された半導体素子実装用電極を有する、
付記1乃至5の何れか一に記載の回路基板。
(付記7)
前記第1及び第2のコア層は、接着性プリプレグを介して積層されている、付記1乃至6の何れか一に記載の回路基板。
(付記8)
前記第1の配線層及び前記第2の配線層は、前記導電性コアを中心として、対称に構成されている、付記1乃至7の何れか一に記載の回路基板。
(付記9)
前記導電性コア基板は更に、
前記第1のコア層の側に形成された第1の絶縁層と、
前記第1の絶縁層上に形成された第1の導体層と、
前記第2のコア層の側に形成された第2の絶縁層と、
前記第2の絶縁層上に形成された第2の導体層と、
前記第1及び第2のコア層を貫通し、前記第1の導体層と前記第2の導体層とを電気的に接続するビアと
を有する、付記1乃至8の何れか一に記載の回路基板。
(付記10)
前記第2のコア層は炭素繊維強化プラスチックを有し、前記炭素繊維強化プラスチックは基材として、350GPaから600GPaの範囲内の弾性率を有する炭素繊維を含む、付記1乃至9の何れか一に記載の回路基板。
(付記11)
導電性コア基板を形成する工程と、
前記導電性コア基板の第1の面上に、1以上の樹脂層及び1以上の導体層が積層された第1の配線層を形成する工程と、
前記導電性コア基板の前記第1の面と反対側の第2の面上に、1以上の樹脂層及び1以上の導体層が積層された第2の配線層を形成する工程と、
を有する回路基板の製造方法であって、
前記導電性コア基板を形成する工程は、第1のコア層と第2のコア層とを積層する工程を有し、
前記第1のコア層は、所与の温度以上の温度域において温度上昇に伴って熱膨張率が増大する材料からなり、
前記第2のコア層は、前記所与の温度以上の温度域において、前記第1のコア層の熱膨張率より低い熱膨張率を有する、
回路基板の製造方法。
10 コア基板
20 導電性コア
21 第1のコア層
22 第2のコア層
23 プリプレグ
31、33 絶縁層
32、34、37、38 導体層
35 絶縁樹脂
35’、36’ スルーホール
36 ビア
40、60 回路基板(配線基板)
50 半導体素子
55 はんだバンプ
61−66 配線層
61a−66a 樹脂層
61b−66b ビア
61c−66c パッド/配線
71、73 ソルダーレジスト
72、74 電極

Claims (7)

  1. 導電性コア基板と、
    前記導電性コア基板の第1の面上に形成された、1以上の樹脂層及び1以上の導体層が積層された第1の配線層と、
    前記導電性コア基板の前記第1の面と反対側の第2の面上に形成された、1以上の樹脂層及び1以上の導体層が積層された第2の配線層と、
    を有する回路基板であって、
    前記導電性コア基板は第1のコア層及び第2のコア層を有し、
    前記第1のコア層は、所与の温度以上の温度域において温度上昇に伴って熱膨張率が増大する材料からなり、
    前記第2のコア層は、前記所与の温度以上の温度域において、前記第1のコア層の熱膨張率より低い熱膨張率を有し、
    前記第1のコア層は、前記第2のコア層の弾性率より高い弾性率を有する、
    回路基板。
  2. 前記第1のコア層は、前記第2のコア層の厚さより大きい厚さを有する、請求項1に記載の回路基板。
  3. 前記第1のコア層は、インバー、コバール及び42アロイのうちの少なくとも1つを有する、請求項1又は2に記載の回路基板。
  4. 前記第2のコア層は、炭素繊維強化プラスチック及びカーボンナノチューブ強化プラスチックのうちの少なくとも1つを有する、請求項1乃至3の何れか一項に記載の回路基板。
  5. 前記導電性コア基板の前記第1の面は前記第1のコア層側の面であり、前記導電性コア基板の前記第2の面は前記第2のコア層側の面であり、
    当該回路基板は更に、前記第2の配線層上に形成された半導体素子実装用電極を有する、
    請求項1乃至4の何れか一項に記載の回路基板。
  6. 導電性コア基板を形成する工程と、
    前記導電性コア基板の第1の面上に、1以上の樹脂層及び1以上の導体層が積層された第1の配線層を形成する工程と、
    前記導電性コア基板の前記第1の面と反対側の第2の面上に、1以上の樹脂層及び1以上の導体層が積層された第2の配線層を形成する工程と、
    を有する回路基板の製造方法であって、
    前記導電性コア基板を形成する工程は、第1のコア層と第2のコア層とを積層する工程を有し、
    前記第1のコア層は、所与の温度以上の温度域において温度上昇に伴って熱膨張率が増大する材料からなり、
    前記第2のコア層は、前記所与の温度以上の温度域において、前記第1のコア層の熱膨張率より低い熱膨張率を有し、
    前記第1のコア層は、前記第2のコア層の弾性率より高い弾性率を有する、
    回路基板の製造方法。
  7. 前記第2のコア層は炭素繊維強化プラスチックを有し、前記炭素繊維強化プラスチックは基材として、350GPaから600GPaの範囲内の弾性率を有する炭素繊維を含む、請求項1乃至5の何れか一項に記載の回路基板。
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