JP5279540B2 - シート処理装置及び画像形成装置 - Google Patents

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Description

本発明は、シートを移動して処理位置にて前記シートに処理を施すことが可能なシート処理装置及び前記シート処理装置を備えた画像形成装置に関する。
従来、シートに画像を形成する画像形成装置には、装置本体で画像形成されたシートを束状にしてから綴じて折り曲げて冊子状にするシート処理装置が設けられることがある。このようなシート処理装置としては特許文献1に記載の発明が開示されている。特許文献1に記載のシート処理装置は、シートをトレイで順次受け取って束にして整合し、中央付近を綴じて、その中央部を突き出し部材で突いて折りローラ対のニップに押し込み、その折りローラ対でシート束を搬送しながら折り曲げるようになっている。
このような従来のシート処理装置の動作を図17乃至図19を用いて説明する。図17に示すように、シート処理装置は、先ず、前記トレイとしての集積部(収納ガイド)803で複数枚のシートを整合した後、その搬送方向の中央部を針綴じする。続いて、前記突き出し部材としての中折り板(突き出し)部材830でシート束の中央部を突いて折りローラ対810a,810bのニップに押し込む。シート束は、折りローラ対810a,810bによって折り曲げられて、第1折り搬送ローラ対811a,811b及び第2折り搬送ローラ対812a,812bで搬送され、一旦停止させられる。
その折り曲げた部分は、第1折り搬送ローラ対811a,811bと第2折り搬送ローラ対812a,812bで挟み、プレスローラ対をシートの折り目に沿って(搬送方向に対して直交方向)に移動させて折り部の強化処理をする。これによって、シート束が中折りされた中折りシート束(以下、単に「折りシート束」という)となる。その後、シート束を搬送して折り束排出トレイ840に排出する。
特開2007−76793号公報
ところで、近年ではシートが多様化し、画像形成装置の画質レベルが向上してきている。例えば、コート紙のような表面加工された特殊紙や、シートが適応する坪量の範囲の広い紙(腰の弱い薄紙や腰の強い厚紙)などのシートに印字できるようになった。
しかしながら、図18に示すように、腰の弱い薄紙を傾斜のあるトレイ上で積載したり、積載されたシートの移動を行ったりした場合、以下のような問題が考えられる。例えば、シート束を積載位置の上方にあるステイプラ820による綴じ位置(処理位置)に移動するときに、シート受け止め部材805のみでシート束を持ち上げると、シート束の自重を支えきれずシート束は座屈する。その結果、図19に示すように、座屈した分だけステイプルの綴じ位置がずれていた。
特に、略垂直なシート積載手段でシートを整合する直立パス整合構成においては、上記現象が顕著であった。また、この対策として自重の影響を受けないようにシート積載手段を略水平に配置することも考えられるが、装置が横方向に大型化し、その結果、装置の設置面積が増えてしまっていた。
本発明の目的は、装置を大型化することなく、シート束の座屈に起因する処理位置のずれを防止して、多様化した多くの種類のシートに対応できるシート処理装置及び画像形成装置を提供することである。
上記目的を達成するための本発明のシート処理装置は、シートを排出するシート排出手段と、前記シート排出手段により排出されたシートが積載される、傾斜したシート積載面を有するシート積載手段と、前記シート積載手段に積載されたシートを各々シート積載面の傾斜に沿った方向に離れた2つの位置で把持し、前記シート積載面の傾斜に沿った方向に沿ってそれぞれ移動可能な第1、第2把持部材と、シートに処理を施すシート処理手段と、前記第1、第2把持部材により把持されたシートを前記シート処理手段に対して前記シート積載面の傾斜に沿った方向の位置決めするよう前記第1、第2把持部材の移動を制御する制御部と、を備えることを特徴とする。
本発明によれば、装置を大型化することなく、シート束の座屈に起因する処理位置のずれを防止して、多様化した多くの種類のシートに対応できるシート処理装置及び画像形成装置を提供することができる。
本発明の第1実施形態に係る中綴じ製本部を備える複写機の断面図である。 フィニッシャの内部の構成を示す断面図である。 シート処理装置の構成を示す断面図である。 中綴じ製本部の構成の一部を示し、特にシート受け止め部材の近傍の構成を示す斜視図である。 中綴じ製本部の構成の一部を示し、特に把持部材の近傍の構成を示す斜視図である。 把持部材近傍の拡大図である。 把持部材の動作を示す拡大図である。 把持部材の構成と、把持部材及びシートの配置関係を示す拡大図である。 フィニッシャのフィニッシャ制御部の構成を示す機能ブロック図である。 複写機の制御ブロック図である。 把持部材の駆動動作及びシートの搬送動作を示す工程図である。 把持部材の駆動動作及びシートの搬送動作を示す工程図である。 把持部材の把持力と摩擦係数との関係を示す説明図である。 把持部材及びシート受け止め部材の駆動動作、並びに、シートの搬送動作を示す工程図である。 シート処理装置の制御工程を示すフローチャートである。 本発明の第2実施形態に係る中綴じ製本部における把持部材及びシート受け止め部材の駆動動作、並びに、シートの搬送動作を示す工程図である。 従来のシート処理装置の構成を示す断面図である。 従来のシート処理装置の動作を示す工程図である。 従来のシート処理装置の問題点を説明するシートの平面図である。
以下、図面を参照して、本発明の好適な実施の形態を例示的に詳しく説明する。ただし、以下の実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、それらの相対配置などは、本発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものである。従って、特に特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
〔第1実施形態〕
図1は第1実施形態に係るシート処理装置を備えた画像形成装置としての複写機1000の断面図である。なお、本実施形態で取り上げる数値は参考数値に過ぎず、その数値によって本発明は限定されない。
画像形成装置の一例である複写機1000は、原稿給送部100、イメージリーダ部200、プリンタ部300、折り処理部400、『シート処理装置』としてのフィニッシャ500、インサータ900等を備えている。折り処理部400、インサータ900等は、オプションとして装備することができる。シート処理装置であるフィニッシャ500は、後述する中綴じ製本部を備えている。
原稿給送部100のトレイ1001上には、フェイスアップ状態(画像が形成されている面が上向きの状態)で原稿Dがセットされるようになっている。原稿Dの綴じ位置は、原稿Dの左端部であるとする。トレイ1001上にセットされた原稿Dは、原稿給送部100により先頭頁から順に1枚ずつ左方向、すなわち、綴じ位置を先頭にして搬送される。そして、原稿Dは、湾曲したパスを通過してプラテンガラス102上を左から右へ搬送され、その後、排紙トレイ112上に排出される。このとき、スキャナユニット104は、所定の原稿読取位に停止している。
スキャナユニット104は、スキャナユニット104上を左から右へ通過する原稿Dの画像を読み取る。このような、原稿Dの読み取り方法を、「流し読み」と言う。原稿Dがプラテンガラス102上を通過するとき、原稿Dは、スキャナユニット104のランプ103により照射される。その原稿Dからの反射光はミラー105,106,107、レンズ108を介してイメージセンサ109に導かれる。
なお、イメージリーダ部200は、原稿給送部100によって原稿Dをプラテンガラス102上に一旦停止させ、その状態でスキャナユニット104を左から右へと移動させて原稿Dの読取処理を行うこともできる。この読み取り方法を、「固定読み」と言う。原稿給送部100を使用しないで原稿Dの読み取りを行う場合、ユーザは、原稿給送部100を開閉して、プラテンガラス102上に原稿Dをセットする。その後、スキャナユニット104が、原稿Dを固定読みする。
イメージセンサ109により読み取られた原稿Dの画像データは、所定の画像処理が施されて露光制御部110へ送られる。露光制御部110は、画像信号に応じたレーザ光を出力する。レーザ光は、ポリゴンミラー110aにより走査されながら感光体ドラム111上に照射される。感光体ドラム111上には走査されたレーザ光に応じた静電潜像が形成される。
感光体ドラム111上に形成された静電潜像は、現像器113により現像され、トナー像として可視化される。一方、記録紙等のシートPは、カセット114,115、手差し給紙部125、両面搬送パス124のいずれかから転写部116へ搬送される。そして、可視化されたトナー像が転写部116においてシートに転写される。転写されたシートは、定着部177でトナー像を定着される。感光体ドラム111、現像器113等は、画像形成部を構成している。
そして、定着部177を通過したシートPは、切替部材121により一旦パス122に案内される。シートは、後端が切替部材121を抜けると、スイッチバック搬送されて、切替部材121により排出ローラ118へ案内される。シートは、排出ローラ118によって、プリンタ部300から排出される。これにより、シートは、トナー像が形成された面を下向きの状態(フェイスダウン)にしてプリンタ部300から排出される。これらの動作を、「反転排紙」と言う。
シートをフェイスダウン状態で機外に排出すると、先頭頁から順に画像形成処理を行うことができる。例えば、原稿給送部100を使用して画像形成処理を行う場合や、コンピュータ204(図10)からの画像データに対する画像形成処理を行う場合に頁順序を揃えることができる。
また、シートの両面に画像を形成する場合、プリンタ部300は、シートを定着部177から真っ直ぐ排出ローラ118へ案内する。プリンタ部300は、シートの後端が切替部材121を抜けた直後に、そのシートをスイッチバック搬送して、切替部材121により両面搬送パス124へと導く。
次に、折り処理部400、及びフィニッシャ500の構成を図1及び図2に基づいて説明する。図2は、フィニッシャ500の内部の構成を示す断面図である。
図1において、折り処理部400は、プリンタ部300から排出されたシートを受け入れて、フィニッシャ500側に案内する搬送パス131を備えている。搬送パス131には、搬送ローラ対130、排出ローラ対133が設けられている。また、排出ローラ対133の近傍に設けられた切替部材135は、搬送ローラ対130により搬送されたシートを折りパス136又はフィニッシャ500側に導くようになっている。
シートの折り処理を行う場合、切替部材135は、折りパス136側に切り替わって、シートを折りパス136に案内する。折りパス136に導かれたシートは、折りローラ140,141まで搬送されて、Z型に折り畳まれる。
折り処理を行わない場合、切替部材135は、シートをフィニッシャ500に案内する側に切り替わる。プリンタ部300から排出されたシートは、搬送パス131と切替部材135を通過して、直接、フィニッシャ500に送り込まれる。
折りパス136に搬送されたシートは、ストッパ137に先端を突き当てられてループが形成されてから、折りローラ140,141によって折られる。この折り部を、上方のストッパ143に突き当てることで形成されるループを、折りローラ141,142によりさらに折ることで、シートは、Z折りされる。Z折りされたシートは、搬送パス145,131を案内されて、排出ローラ対133によってフィニッシャ500に排出される。なお、折り処理部400による折り処理動作は、選択的に行われる。
フィニッシャ500は、プリンタ部300から折り処理部400を介して搬送されてきた複数枚のシートを整合する。そして、フィニッシャ500は、1つのシート束として束ねる処理、シート束の後端部側をステイプルするステイプル処理(綴じ処理)、ソート処理、ノンソート処理等のシートの処理を選択的に行うようになっている。
図2に示すように、フィニッシャ500は、折り処理部400(図1参照)を介して搬送されてきたシートを装置内部に取り込むための搬送パス520を有している。搬送パス520には、入口ローラ対501からシート搬送方向の下流側に向けて順番に搬送ローラ対502乃至508が設けられている。
搬送ローラ対502と搬送ローラ対503の間には、パンチユニット530が設けられている。パンチユニット530は、必要に応じて動作を行い、搬送されるシートの後端部に孔をあける(穿孔処理を行う)ようになっている。
搬送パス520の終端に設けられた切替部材513は、下流に繋がれた上排紙パス521と下排紙パス522とに経路を切り替えるようになっている。上排紙パス521は、上排紙ローラ509により、サンプルトレイ701へシートを案内するようになっている。一方、下排紙パス522には、搬送ローラ対510,511,512が設けられている。これらの搬送ローラ対510,511,512は、シートを処理トレイ550に搬送して排出するようになっている。
処理トレイ550に排出されたシートは、順次整合処理されながら束状に積載されて、操作部1(図10参照)からの設定に応じて、仕分け処理やステイプル処理が行われる。処理されたシート束は、束排紙ローラ対551によりスタックトレイ700とサンプルトレイ701とに選択的に排出される。
なお、上記ステイプル処理は、ステイプラ560により行われる。ステイプラ560は、シートの幅方向(シート搬送方向に対して交差する方向)に移動して、シート束の任意の箇所を綴じるようになっている。スタックトレイ700とサンプルトレイ701は、フィニッシャ500の装置本体500Aに沿って昇降するようになっている。上側のサンプルトレイ701は、上排紙パス521と処理トレイ550からのシートを受け取るようになっている。また、下側のスタックトレイ700は、処理トレイ550からのシートを受け取るようになっている。このように、スタックトレイ700とサンプルトレイ701とには大量のシートが積載されるようになっている。積載されたシートは、その後端を上下方向に延びる後端ガイド710に受け止められて整列されるようになっている。
次にフィニッシャ500が有する中綴じ製本部800の構成を説明する。図2に示すように、フィニッシャ500内には中綴じ製本部800が設けられている。なお、以下の説明において、『シート処理手段』を構成する折りローラ対810と突き出し部材830とでシート束を折り曲げる処理を「折り曲げ処理」という。また、折り曲げ処理をされたシート束にプレスローラ対861で折り目を付ける処理を「折り目処理」という。
下排紙パス522の途中に設けられた切替部材514は、シートを右側に切り替えて、サドル排紙パス523に案内し、中綴じ製本部800へ案内するようになっている。
中綴じ製本部800の入口からは、『シート排出手段』としてのサドル入口ローラ対801、サイズに応じてソレノイドにより動作する切替部材802、シートを収納する収納ガイド(集積部)803、搬送ローラ804、シート受け止め部材70が順に配設される。
略垂直(図では水平面に対して75°)に構成された収納ガイド803の上方には、積載されたシートのシート積載面15aの傾斜に沿った方向の後端部(上端部)を把持する第1把持部材としての把持部材11が備えられている。
サドル入口ローラ対801と搬送ローラ804は、搬送モータM1により回転するようになっている。搬送ローラ804は、駆動源(不図示)によりシートに対し接離動作可能に支持され、所定のタイミングで当接、離間の動作を行うことができる。また、収納ガイド803の途中には、収納ガイド803を挟んで対向配置された『シート処理手段』としてのステイプラ820が設けられている。ステイプラ820は、針を突き出すドライバー820aと突き出された針を折り曲げるアンビル820bとを備えている。『シート処理手段』としてのステイプラ820は、処理位置となる綴じ位置にて、シート束に対して綴じ処理を施す。
ここで、シート受け止め部材70について図3及び図4を用いて説明する。図3は、中綴じ製本部800の構成を示す断面図である。図3に示すように、中綴じ製本部800は、『シート積載手段』である積載トレイ15、シート受け止め部材70、第1把持部材である把持部材11、及び、第2把持部材であるグリッパ71を備える。積載トレイ15は、傾斜したシート積載面15aを有する。積載トレイ15のシート積載面15aは水平面に対して所定の角度(水平面に対して75°)で傾斜して配置される。シートは、サドル入口ローラ対801から排出された後に、前述の傾斜したシート積載面15aに積載される。把持部材11及びグリッパ71の各々は、積載されたシートを各々シート積載面15aの傾斜に沿った方向に離れた2つの位置で把持する。また、把持部材11及びグリッパ71は、シート積載面15aの傾斜に沿った方向に沿ってそれぞれ移動可能である。この『傾斜方向』は、『傾斜角』とも表現できる。積載トレイ15には、シートの排出方向の一端を受け止めるシート受け止め部材70が積載トレイ15のシート積載面15aに沿う方向に移動自在に取り付けられる。シート受け止め部材70はシートを受け止めてシートの排出方向の先端(下端)の落下を止める先端ストッパとして機能する。
積載トレイ15には、シートのシート積載面15aの傾斜に沿った方向(排出方向)の『第1の位置』である後端部(上端部)を把持する第1把持部材である把持部材11が装備される。シート受け止め部材70には、シートのシート積載面15aの傾斜に沿った方向(排出方向)の『第2の位置』である先端部(下端部)を把持する第2把持部材であるグリッパ71が装備される。シート受け止め部材70は、図3の実線及び破線で示すように積載トレイ15のシート積載面15aに沿った方向に動作可能に構成されている。
図4は、中綴じ製本部800の構成の一部を示し、特にシート受け止め部材70近傍の構成を示す斜視図である。中綴じ製本部800は、積載トレイ15に取り付けられる支持フレーム76と、支持フレーム76に対して移動可能でシートを受け止め可能なシート受け止め部材70を備える。図4に示すように、支持フレーム76には、積載トレイ15のシート積載面15aに沿う方向(Y軸方向)に2箇所の長穴76aが形成される。一方で、シート受け止め部材70にはX軸方向の両端部の各々に凸部70aが形成される。2箇所の凸部70aは2箇所の長穴76a内に夫々挿入される。こうして、シート受け止め部材70は、支持フレーム76に対してY軸に沿う矢印Rで示す方向にスライド自在に支持される。
支持フレーム76にはシート受け止め部材移動モータM2が取り付けられ、シート受け止め部材移動モータM2の回転軸はX軸方向に向けられる。シート受け止め部材移動モータM2の回転軸には駆動ギア75aが取り付けられる。一方で、シート受け止め部材移動モータM2の回転軸と平行にシャフト75bが支持フレーム76に対して回転自在に取り付けられる。シャフト75bの一端側には駆動ギア75cが取り付けられ、シャフト75bの他端側には駆動ギア75dが取り付けられる。駆動ギア75aの歯は駆動ギア75cに噛み合う。シャフト75bにはタイミングベルト77が引っ掛けられる。このタイミングベルト77にシート受け止め部材70の一部が固定される。
こうした構成によれば、シート受け止め部材移動モータM2の駆動力は、駆動ギア75a、75c、75d及びシャフト75bを介してタイミングベルト77に伝達される。そして、シート受け止め部材70は支持フレーム76に対して矢印Rに示すようにスライドすることができる。したがって、シート受け止め部材70は積載トレイ15のシート積載面15aに沿った方向に動作する(図3参照)。
図4に示すシート受け止め部材70には、シート及びシートの束を把持する第2把持部材であるグリッパ71を有するグリッパ部69が、積載トレイ15のシート積載面15aと直交する方向(Z軸方向)である矢印Sで示す方向にスライド自在に取付けられる。グリッパ71は、支持フレーム76に固設されたソレノイド73、リンク78,79及びバネ72によってグリップ動作及び退避動作を行うように構成される。なお、シート受け止め部材70の板面に沿う方向はXY平面に対して所定の角度で傾斜していてもよい。また、シート受け止め部材70の積載トレイ15側の端部にはシート係止部70bが形成される。
ソレノイド73がONされるとリンク78は回転する。同時に、リンク78に係合するリンク79がシャフト80を回転中心として回転する。リンク79にはグリッパ部69に係合するシャフト81が固定されることから、リンク79が回転して図4の上方へ移動すると、引っ張りばね72によりグリッパ部69が図4の上方へと移動する。その結果、グリッパ71及びシート受け止め部材70は、シートを挟みこむことができる(グリップ設定状態)。
また、ソレノイド73がOFFすると、シャフト81が図4中の下方に移動するようにリンク79がばね(不図示)により回転する。リンク79に係合するグリッパ部69は図4中の下方へと移動する。その結果、グリッパ71によるシートの把持は解除される(グリップ解除状態)。
図3で示すように、シート受け止め部材70は、シートが積載トレイ15上に搬入されると、シートの先端(下端)を受け止めると同時に、シートの搬送方向の中央部をステイプラ820の綴じ位置になるように昇降して位置決めするようになっている。通常、シート受け止め部材70は、シート受け止め部材移動モータM2によって昇降して、シートの寸法に応じた位置に停止する。ただし、搬送されるシートの寸法によっては、シートの後端(上端)が切替部材802a,802bから抜ける位置でシートを受け止める場合がある。その場合には積載トレイ15上へのシートの積載が終了した後に、グリッパ71はシート又はシート束をグリップする。そして、シートの搬送方向の中央部がステイプラ820の綴じ位置(処理位置)になるように、シート受け止め部材70は積載トレイ15のシート積載面15aに沿った方向に上昇又は下降する。その後、シート束はステイプル処理される。
また、図3で示すように、シート受け止め部材70に突き当てられて整合されるシートの後端(上端)の位置はシートの寸法によって異なることから、把持部材11は図3に示すように上下方向(搬送方向)に動作可能に構成される。こうした構成によれば、把持部材11は、寸法の異なるシートの後端部(上端部)も把持される。
図5は、中綴じ製本部800の構成の一部を示し、特に把持部材11近傍の構成を示す斜視図である。フレーム30には支持部材35が移動自在に取り付けられる。支持部材35に対しては第1把持部材の一部である把持軸31が回転自在に支持される。把持軸31には第1把持部材の一部である保持部材32が固定される。
図6は、把持部材11近傍の拡大図である。図6(a)(b)に示すように、保持部材32の係合部32aとそれに係合する把持部材11の係合部11cとは、把持軸31の回転方向に所定のガタをもたせて、把持部材11及び把持軸31は回転可能に支持される。そして、把持部材11は、一端を保持部材32に支持された押さえバネ33によってバネ付勢される。
図5に示されるように、把持軸31を回転駆動させるために、駆動部40が支持部材35に配設され、駆動軸41を介して駆動力が伝達される。こうした駆動力は把持部材回転モータ43の駆動で発生する。把持部材回転モータ43は、把持部材11及び把持軸31を回転させるモータで、駆動ギア部42に駆動力を付与し、駆動軸41を回転駆動させる。なお、センサ部である把持部材位置検出センサ44は、駆動軸41の回転角を検出して把持部材11の回転位置を検出するためのもので、把持部材回転モータ43により回動する把持部材11の位置を制御するのに使用される。
図7は、把持部材11の動作を示す拡大図である。図7で示すように、把持部材11は、前述した構成によって、シートの押さえ位置(図7の実線)とシートの退避位置(図7の破線)に移動可能である。シート押さえ位置では押さえバネ33のバネ力でシートに把持力が付与される。こうした把持部材11の把持力は、把持部材回転モータ43の回転動作量の制御により把持軸31及び保持部材32の位置を制御することで可変にすることができる(図5参照)。また、例えば、図6(b)のように図6(a)より回転量を増した状態にすると把持力が大きくすることができる。
図5に示すように、支持部材35は、支持部材35に固設されたスライドブッシュ50を介して移動軸49に対してスライド移動可能に支持される。フレーム30のX軸方向の両縁部側には、スライドレール38,39が固定される。スライドレール38,39上では、支持部材35に固設されるスライドブッシュ36,37がスライド自在に取り付けられる。
また、フレーム30の略中央部にはタイミングベルト48が取り付けられる。タイミングベルト48の長手方向はY軸方向に沿う。把持部材移動モータ45は、駆動部46を介してタイミングベルト48に駆動伝達する。なお、センサ部である支持部材位置検出センサ51は、支持部材35の位置を検出するためのもので、把持部材移動モータ45によって移動される支持部材35のY軸方向の位置を制御するのに使用される。
こうした構成によって、把持部材11は、図3及び図7の破線及び実線で示すように、回転動作、シートの搬送方向の移動動作が可能になっている。
図8は、把持部材11の構成と、把持部材11及びシートの配置関係を示す拡大図である。図8に示すように、把持部材11には通紙ガイド面11aが形成される。通紙ガイド面11aの角度は積載トレイ15のシート積載面15aに対して鈍角度θ°に設定される。図8中では、通紙ガイド面11a及び積載トレイ15のシート積載面15aは150°といった所定の鈍角度で互いに交差するように設定される。
シートの先端が収納ガイド803(図2参照)の積載トレイ15に当接した後に把持部材11に差し掛かった場合であっても、シートP1が詰まることなく把持部材11を乗り越えられる。こうした構成では、寸法の小さいシートが積載される場合であっても、積載されたシートの束の後端部(上端部)を把持しつつ、積載されたシートの束の後端(上端)と次に搬送されてくるシートP1の先端(下端)とが衝突しないようにシート同士は仕分けられる。また、シート同士の仕分けにあたっては、サドル入口ローラ対801と把持部材11の相対位置関係を図8(a)のような位置関係とし、シートの寸法によって両者を搬送方向に移動する構成も想定できる。しかしながら、通紙ガイド面11aの角度を前述のように設定すれば、シートの寸法によってサドル入口ローラ対801を搬送方向に移動する等の構成にしなくても良いので、装置のコンパクト化は実現される。
図3及び図2に示すように、ステイプラ820の下流側には、折りローラ対810a,810bが設けられている。折りローラ対810a,810bの対向位置には、突き出し部材830が設けられている。折りローラ対810a,810bと突き出し部材830は、『シート処理手段』としての折り曲げ部を構成している。『シート処理手段』としての折りローラ対810a,810bと突き出し部材830は、処理位置となる折り位置にて、シート束に対して折り処理を施す。
この突き出し部材830は、収納ガイド803から退避した位置をホームポジションとして、収納されたシート束に向けてモータM3により突出し、シート束を、折りローラ対810a,810bのニップに押し込むようになっている。突き出し部材830はその後、再び、ホームポジションに戻る。折りローラ対810間には、シート束を折り曲げる折り曲げ処理に充分な力F11がばね(不図示)により加わっている。
折りローラ対810により折り畳まれたシート束は、第1折り搬送ローラ対811a,811b、第2折り搬送ローラ対812a,812bを介して、折り束排出トレイ840に排出されるようになっている。
第1折り搬送ローラ対811a,811b同士の間、及び、第2折り搬送ローラ対812a,812bの間にも、折り曲げられたシート束を搬送、停止させるのに充分な力F12,F13が加わっている。
搬送ガイド813は、折りローラ対810と第1折り搬送ローラ対811との間でシート束を案内するようになっている。搬送ガイド814は、第1折り搬送ローラ対811と第2折り搬送ローラ対812との間で、シート束を案内するようになっている。なお、折りローラ対810、第1折り搬送ローラ対811、第2折り搬送ローラ対812は、中折りされたシート束を両面から挟持して、同一のモータM4(図2参照)により等速回転するようになっている。
なお、ステイプラ820で綴じられたシート束の折り畳みは、シート受け止め部材805が、シート束をステイプル処理時の位置から所定距離降下させて、シート束のステイプル位置を折りローラ対810のニップ位置に一致させた後、行われる。この結果、シート束が、ステイプル処理をされた(綴じられた)部分を中心にして折り畳まれる。
整合板815は、収納ガイド803に収納されたシートの幅整合をするもので、モータM5(図2参照)によって、シートを挟みこみ方向に移動するし、シートの幅方向の位置決め(整合)を行うようになっている。
第2折り搬送ローラ対812の下流には、折り曲げ部処理ユニットとしての折り目プレスユニット860が設けられている。この折り目プレスユニット860は、プレスローラ対861を支持したプレスホルダ862を有し、プレスローラ対861が折り部をニップした状態で、プレスホルダ862を折り目方向に移動させることで、折り目を強化するようになっている。折り目プレスユニット860の真下には、第1コンベヤベルト849が配設される。シート束は、第1コンベヤベルト849から第2コンベヤベルト842に運ばれ、第2コンベヤベルト842から排出トレイ843上に積載される。
次に、フィニッシャ500の上部に設けられたインサータ900を図2に基づいて説明する。インサータ900は、図2に示すように、プリンタ部300で画像が形成されたシート(記録紙)の先頭頁、最終頁、又は、途中頁に、通常のシートとは別のシート(インサートシート)を挿入する装置である。先頭頁、最終頁のインサートシートは表紙用のシートである。
インサータ900は、ユーザによりインサートトレイ901,902にセットされたシートを、プリンタ部300を通さずに、サンプルトレイ701,スタックトレイ700、折り束トレイ890のいずれかに給送するようになっている。インサータ900は、インサートトレイ901,902上に積載されたシート束を、1枚ずつ順次分離して、所望のタイミングでフィニッシャ500の搬送パス520に送り込むようになっている。
ここで、図9を用いてシート処理装置であるフィニッシャ500の制御部の構成について説明する。図9は、シート後処理装置であるフィニッシャ500のフィニッシャ制御部515の構成を示す機能ブロック図である。図9に示すように、フィニッシャ制御部515は、マイクロコンピュータシステムで構成され、『制御部』であるCPU60、ROM59及びRAM61等を備える。ROM59にはパンチャー処理用プログラム及びステープリング処理用プログラムなど予め格納されている。CPU60は各プログラムを実行し、RAM61との間で適宜データのやり取りをしながら入力データ処理を行うことにより、所定の制御信号を作成するようになっている。
入口検知センサ62、把持部材位置検出センサ44、支持部材位置検出センサ51、シート受け止め部材検出センサ63、搬送ローラ位置検出センサ64からの検出信号が入力インタフェース回路57を介してCPU60に入力データとして入力される。CPU60からは各種の制御信号が出力インタフェース回路58を介して出力される。その出力信号はモータドライバなどの制御機器にむけて送信され、制御機器を制御して搬送モータM1、把持部材回転モータ43、把持部材移動モータ45、シート受け止め部材移動モータM2、搬送ローラ離間モータM10を作動させる。また、複写機1000の本体側に設けられた後述の複写機本体側CPU回路部150と上記CPU60との間でデータ通信が送受信される。本実施の形態において、フィニッシャ500に搭載したフィニッシャ制御部515によって制御を行う構成について説明するが、CPU60を複写機本体側CPU回路部150に一体的に組み込み、複写機1000から直接制御するようにしてもよい。本実施の形態において、フィニッシャ500に搭載したフィニッシャ制御部515によって制御を行う構成について説明するが、CPU60を複写機本体側のCPU回路部150に一体的に組み込み、複写機1000から直接制御するようにしてもよい。こうしたCPU60は、把持部材11及びグリッパ71により把持されたシートをシート積載面15aの傾斜に沿った方向の位置決めするように、把持部材11及びグリッパ71の移動を制御する。
次に、図10を用いて画像形成装置である複写機1000の制御部の構成について説明する。図10は、複写機1000の制御ブロック図である。CPU回路部150は、CPU(不図示)を有している。CPU回路部150は、ROM151に格納された制御プログラムと操作部1の設定に基づいて、原稿給送制御部101、イメージリーダ制御部201、画像信号制御部202、プリンタ制御部301を制御するようになっている。また、CPU回路部150は、ROM151に格納された制御プログラムと操作部1の設定に基づいて、折り処理制御部401、フィニッシャ制御部515、外部I/F203を制御するようになっている。
そして、原稿給送制御部101は原稿給送部100を、イメージリーダ制御部201はイメージリーダ部200を、プリンタ制御部301はプリンタ部300を、折り処理制御部401は折り処理部400を夫々制御するようになっている。フィニッシャ制御部515はフィニッシャ500、中綴じ製本部800、インサータ900を夫々制御するようになっている。
操作部1は、画像形成に関する各種機能を設定するための複数のキー、設定状態を表示するための表示部等を有している。操作部1は、ユーザによる各キーの操作に対応するキー信号をCPU回路部150に出力するとともに、CPU回路部150からの信号に基づき対応する情報を表示部に表示するようになっている。
RAM152は、制御データを一時的に保持するための領域や、制御にともなう演算の作業領域として用いられるようになっている。外部I/F203は、複写機1000と外部のコンピュータ204とのインタフェースであり、コンピュータ204からのプリントデータをビットマップ画像に展開して、画像データとして画像信号制御部202へ出力するようになっている。また、イメージリーダ制御部201から画像信号制御部202へは、イメージセンサ(不図示)で読み取った原稿Dの画像が出力されるようになっている。プリンタ制御部301は、画像信号制御部202からの画像データを露光制御部(不図示)へ出力するようになっている。
さらに画像形成装置本体の操作パネルからユーザの操作でシート種(普通紙、コート紙、特殊紙)やシートサイズなどに関するシート情報や条件が入力され、CPU回路部150はそれらシート条件を取得して認識できる。シート条件には、上記シートサイズのほかに剛度、厚み、坪量、表面抵抗、平滑性などの物性値(表面性状)、パンチ紙、そしてタブ紙などといったシート種類も含まれる。
次に、図11及び図12を用いて、把持部材11の駆動動作及びシートの搬送動作について説明する。図11及び図12は、把持部材11の駆動動作及びシートの搬送動作を示す工程図である。図11(a)に示すように、把持部材11が積載トレイ15上にシートP1の後端部(上端部)を把持しているときに、次のシートP2がサドル入口ローラ対801から搬送ローラ804に受け渡される。また、このときにグリッパ71は、積載トレイ15より突出しない位置に退避している。次に、図11(b)に示すように、シートP2が搬送ローラ804により搬送されると、シートP2の搬送方向の先端(下端)がシート受け止め部材70の近傍まで搬送された後に、搬送ローラ804はシートP2から離間する。
次に、図12(a)に示すように、把持部材11が退避位置に回転すると、整合板815はシートP1及びシートP2を搬送方向と直交する方向で整合動作を行う。次に、図12(b)に示すように、把持部材11が押さえ位置に回転すると、把持部材11はシートP2の後端部(上端部)を把持する。以上の図11乃至図12のように動作することで、シートは一枚目から所定枚数まで積載していく。
このように動作することで、図11及び図12に示すように、搬送ローラ804でシートP2を搬送するときには把持部材11はシートP1を把持していることから、シートP1が一緒に搬送されて座屈することはなくなる。
図13(a)、図13(b)は、把持部材11の把持力F1と摩擦係数との関係を示す説明図である。把持部材11の把持力F1、搬送ローラ804の搬送力Fr、及び、搬送するシートとの摩擦係数等の関係は、次式(1)(2)を満足するように設定することが望ましい。
既積載紙が1枚の場合には次式(1)が成立する。
F1>μssFr/(μso+μst)・・・(1)
既積載紙が2枚以上の場合には次式(2)が成立する。
F1>μssFr/(μso+μss)・・・(2)
ここで、F1は把持部材11による把持力、Frは搬送ローラ804の把持力とする。また、μsoは把持部材11とシートの間の摩擦係数、μstは積載トレイ15のシート積載面15aとシートの間の摩擦係数、μrsは搬送ローラ804−1とシートの間の摩擦係数とする。さらに、μr1sは従動ローラ(搬送ローラ804−1の対向ローラ804−2)とシートの間の摩擦係数、μssはシートとシートの間の摩擦係数とする。ここで、対向ローラ804−2は、図13(b)において把持部材11の把持力F1と摩擦係数との関係を説明するために補足的に用いた部材であって、本発明に係る必須の要件ではない。
すなわち、把持部材11の把持力(抵抗力)が搬送ローラ804の搬送力よりも大きく設定されることが望ましい。例えば、把持部材11の把持面にゴムなどの高摩擦部材を設けると良い。
図14は、把持部材11及びグリッパ71を有するシート受け止め部材70の駆動動作、並びに、シートの搬送動作を示す工程図である。なお、図14は、シートの積載が終了した後のステイプラ820によるステイプル処理前の動作を示す。
図14(a)のように、シートの1つの束を作成する場合、全てのシートの積載動作及び整合動作が終了した状態で、グリッパ71及び把持部材11はシート束Pnのシート積載面15aの傾斜に沿った方向の先端部(下端部)及び後端部(上端部)を把持する。本実施の形態で、シート束Pnを把持する位置はシート束Pnのシート積載面15aの傾斜に沿った方向の先端部(下端部)及び後端部(上端部)に限らない。すなわち、シート束Pn上の所定の第1の位置と第1の位置からシート積載面15aの傾斜に沿った方向に離れた第2の位置であればよい。このときに、把持部材回転モータ43の回転量が制御されると、把持部材11による把持力F1が変更される。そうすると、グリッパ71の把持力F2よりも把持部材11の把持力F1が小さく設定される。すなわちF1<F2に設定される。このときに、各シートは、自重により座屈している。
そして、前記把持部材11と前記グリッパ71を有するシート受け止め部材70は、シート束Pnを協同して上方向(シートのシート積載面15aの傾斜に沿った方向の後端側)に束移動させる。このシート束移動時の起動タイミングは、以下のようになっている。すなわち、シート束Pnをシート積載面15aの傾斜に沿った方向の後端側(グリッパ71から把持部材11に向かう方向)へ束移動する時は、把持部材11の起動タイミングをグリッパ71の起動タイミングよりも相対的に早くしている。これにより、腰の弱いシートが自重に負けて座屈し易い場合であっても、シート束が起立することから、シート束の座屈は解消される。
図14(b)は、把持部材11が上方向に所定量(L1)移動した状態を示す。図14(a)と比較して分かるように座屈したシートが、起立した状態なる。前述したように、把持部材11による把持力F1がグリッパ71による把持力F2より小さく設定されているため、シートが起立した後は、把持部材11とシートが所定量すべることとなる。図14(d)は、図14(b)の詳細図である。このように把持力に差をつけることによって把持したシートの破損を防ぐことができる。本実施の形態において、移動方向下流側の把持部材11の把持力を移動方向上流側のグリッパ71の把持力より小さく設定された構成について説明したが、把持力に差がついていればどちらの把持力が小さくてもよい。
図14(c)は、シート束Pnをその搬送方向中央部が、ステイプラ820によるステイプル位置(処理位置)に位置決めされるようにシート受け止め部材70と把持部材11を矢印の方向に移動させた状態を示す。そして、シート束Pnはステイプラ820に対応した位置でグリッパ71及び把持部材11により把持された状態のままステイプル処理される。
把持部材11が前述のように動作することで、略垂直な積載トレイ15(収納ガイド803)上でシート及びシート束を処理する場合に、自重等により座屈したシート及びシート束を起立させた状態でステイプル処理を施すことができる。
なお、上述した例は、シートの収納(整合)位置が、シート束のステイプル位置より下方にある場合を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではない。シートの収納(整合)位置が、シート束のステイプル位置と同じ位置である場合は、図14(c)に示した動作は行わず、図14(b)、図14(d)で示したように把持部材11が上方向に所定量(L1)移動した状態までの動作を行う。これにより、自重等により座屈したシート束を起立させた状態でステイプル処理を施すことができる。
さらに、図14(c)のステイプル位置にシート束をグリッパ71から把持部材11に向かう方向に移動させた後、把持部材11の停止タイミングをグリッパ71の停止タイミングより所定時間遅らせてもかまわない。これにより、シートの先端部(下端部)がグリッパ71で固定された状態で、把持部材11は所定時間だけ上方へ移動するため、シート束の座屈は解消される。
なお、背景技術として図17に示したように、上方へのシート束移動を下方に位置するシート受け止め部材70のみで行うと、例えば移動開始時の加速力にシートの腰力が負けて座屈してしまうことがあった。しかしながら、前述したように把持部材11と協同して、ステイプラ820や突き出し部材830等による処理位置に束移動することで、前述した座屈が解消される。
そして、前述のように把持部材11及びグリッパ71を有するシート受け止め部材70の起動タイミングや停止タイミングを変えることで、シート束の起立状態がさらに確保され、シートの座屈によるステイプル位置や折り位置の不良はより解消される。
次に、図15を用いてシート処理装置の動作の流れを説明する。図15はシート処理装置の制御工程を示すフローチャートである。図15に示すように、シート処理装置が動作を開始する(ステップ100、以下、ステップを「S」という。)と、シートサイズ個別処理がなされる(S101)。ここで、シートサイズ個別処理とは、操作部1、あるいはコンピュータ204から入力され、複写機本体側のCPU回路部150で認識したシートサイズ情報をフィニッシャ制御部515へ伝達させる処理をいう。
シート受け止め部材がシートのサイズに応じた位置に移動する(S102)。そして、把持部材11が、積載トレイ15に積載されるシートの後端位置(シート積載面15aの傾斜に沿った方向の後端)に移動する(S103)。シートが積載トレイ15に排出されると、把持部材11が前記シートのシート積載面15aの傾斜に沿った方向の後端部を押さえる押さえ位置へ移動する(S104)。次のシートが排出されると(S105)、把持部材11が退避位置に移動し(S106)、積載トレイ15に積載されたシート又はシート束の整合動作が行われる(S107)。
その後、最終のシートの整合が終了したか否かが判断される(S108)。シートの整合が終了したのであれば、シート受け止め部材70のグリッパ71及び把持部材11は協同で、前記整合されたシート束のシート積載面15aの傾斜に沿った方向の先端部及び後端部を把持する(S109)。一方、シートの整合が終了していないのであれば、把持部材11は再度シートの押さえ位置に移動して(S104)、最終シートの整合が終了するまで、前述した以降の動作が繰り返される。
前記グリッパ71及び把持部材11がシート束を把持した後(S109)、そのシート束がステイプル位置にあるか否かを判断する(S110)。シート束がステイプル位置にあるのであれば、把持部材11を上方向に所定量だけ移動させて停止させる(S111)。これにより、シート束が座屈している場合には、その座屈が解消される。一方、シート束がステイプル位置にないのであれば、まず把持部材11が上昇し(S113)、遅れてシート受け止め部材70が上昇して前記シート束をステイプル位置へ束移動させる(S114)。そして、シート受け止め部材70及び把持部材11は停止してシート束のステイプル位置への移動は完了する(S115)。これによっても、シート束が座屈している場合には、その座屈が解消される。前述の如くして座屈が解消されたシート束は、ステイプル位置にてステイプラ820によってステイプル処理が施される(S112)。
シート束がステイプルされると、シート束が折り位置に配置されているか否か判断される(S116)。シート束が折り位置にないのであれば、シート受け止め部材70及び把持部材11を移動させて(S117)、シート束を折り位置に移動させる。シート束が折り位置にあるのであれば、シート受け止め部材70のグリッパ71及び把持部材11の把持を解除する(S118)。
グリッパ71及び把持部材11の把持が解除されると(S118)、突き出し部材830及び折りローラ対810によってシート束は折り処理される(S119)。さらに前記折り処理されたシート束は折り目プレスユニット860によって折り目処理がなされる(S120)。前述の処理がなされたシート束は排出トレイ843へ排出される(S121)。そして、最終のシート束の排出が終了したか否かが判断される(S122)。最終のシート束が排出されたのであれば、シート処理装置10の動作は終了する(S123)。最終のシート束が排出されていないのであれば、再度、把持部材11がシートの押さえ位置に移動して(S104)、最終のシート束が排出されるまで、前述した以降の動作が繰り返される。
前述したように、積載トレイ15に排出されたシートは、そのシート積載面15aの傾斜に沿った方向の先端部がグリッパ71で把持され、シート積載面15aの傾斜に沿った方向の後端部が把持部材11で把持される。把持されたシート束は、グリッパ71と把持部材11とにより協同して束移動される。これにより、装置を大型化することなく、シート束の座屈に起因する処理位置のずれを防止して、多様化した多くの種類のシートに対応することができる。
〔第2実施形態〕
前述した実施形態では、シートの収納(整合)位置が、シート束のステイプル位置(又は折り位置)より下方(又は同じ位置)にある場合を例示して説明した。本実施形態では、シートの収納(整合)位置が、シート束のステイプル位置(又は折り位置)より上方にある場合を例示して説明する。
図16は、第2実施形態に係るシート処理装置における中綴じ製本部800を示すものであり、把持部材11及びグリッパ71を有するシート受け止め部材70の駆動動作、並びに、シートの搬送動作を示す工程図である。なお、図16は、シートの積載が終了した後のステイプラ820によるステイプル処理前の動作を示す。
なお、以下の説明において、前述の動作以外の、画像形成装置全体の概略構成は前述した実施形態とほぼ同一であるため、同等の機能を有する部材には同一符号を付して詳しい説明は省略する。
図16(a),(b),(c)に示すように、シート束Pnの搬送方向の中央部が処理位置(ステイプル位置又は折り位置)になるように、シート受け止め部材70及び把持部材11は下方向(矢印の方向)に移動させられる。この点で図16の動作は図14の動作と異なる。なお、ステイプル位置はステイプラ820の位置、折り位置は突き出し部材830の位置に相当する。ここでは、シート束の収納位置から下方の折り位置に移動される場合を例示して説明する。
図16(a)のように、シートの1つの束を作成する場合、全てのシートの積載動作及び整合動作が終了した状態で、グリッパ71及び把持部材11はシート束Pnのシート積載面15aの傾斜に沿った方向の先端部(下端部)及び後端部(上端部)を把持する。このときに、把持部材回転モータ43の回転量が制御されると、把持部材11による把持力F1が変更される。そうすると、グリッパ71の把持力F2よりも把持部材11の把持力F1が小さく設定される。すなわちF1<F2に設定される。このときに、各シートは、自重により座屈している。また、シート束Pnには、ステイプル処理が施されていてもいなくても構わない。
そして、前記把持部材11と前記グリッパ71を有するシート受け止め部材70は、シート束Pnを協同して下方向(シートのシート積載面15aの傾斜に沿った方向の先端側)に束移動させる。このシート束移動時の起動タイミングは、以下のようになっている。すなわち、シート束Pnをシート積載面15aの傾斜に沿った方向の先端側(把持部材11からグリッパ71に向かう方向)へ束移動する時は、把持部材11の起動タイミングをグリッパ71の起動タイミングよりも相対的に遅くしている。これにより、腰の弱いシートが自重に負けて座屈し易い場合であっても、シート束が起立することから、シート束の座屈は解消される。
図16(b)は、シート受け止め部材70が、グリッパ71でシート又はシート束を把持した状態で、下方向に所定量(距離L2)だけ移動した状態を示す。図16(a)と比較して分かるように座屈したシートが、起立した状態になる。前述したように、把持部材11による把持力F1がグリッパ71による把持力F2よりも小さく設定されているため、シートが起立した後は、把持部材11とシートが所定量すべることとなる。図16(d)は、図16(b)の詳細図である。
図16(c)は、シート束Pnをその搬送方向中央部が、突き出し部材830の位置する折り位置(処理位置)となるようにシート受け止め部材70と把持部材11を矢印の方向に移動させた状態を示す。そして、グリッパ71及び把持部材11でシート束Pnが把持された状態が、突き出し部材830の動作開始と同時もしくは直前で解除され、シート束Pnの折り動作に移行する。
把持部材11が前述のように動作することで、略垂直な積載トレイ15(収納ガイド803)上でシート及びシート束を処理する場合に、自重等により座屈したシート及びシート束を起立させた状態で折り処理を施すことができる。
なお、上述した例は、シート収納(整合)位置が、シート束の折り位置より上方にある場合を例に挙げて説明したがこれに限定されるものではない。シート収納(整合)位置が、シート束の折り位置と同じ位置である場合は、第1実施形態で説明した図14(b)、図14(d)で示したように把持部材11が上方向に所定量(L1)移動した状態までの動作を行う。これにより、自重等により座屈したシート束を起立させた状態で折り処理を施すことができる。
さらに、図16(c)の折り位置にシート束を把持部材11からグリッパ71に向かう方向に移動させた後、把持部材11の停止タイミングを、グリッパ71を有するシート受け止め部材70の停止タイミングより所定時間(距離L2分)早めてもかまわない。これにより、シートの後端部(上端部)が把持部材11で固定された状態で、グリッパ71が所定時間だけ下方へ移動するため、シート束の座屈は解消される。
〔他の実施形態〕
前述した実施形態では、画像形成装置として複写機を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えばプリンタ、ファクシミリ装置等の他の画像形成装置や、或いはこれらの機能を組み合わせた複合機等の他の画像形成装置であっても良い。これらの画像形成装置に用いられるシート処理装置に本発明を適用することにより同様の効果を得ることができる。
また、前述した実施形態では、画像形成装置に対して着脱可能に装着されたシート処理装置を例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば画像形成装置が一体的に有するシート処理装置であっても良く、該シート処理装置に本発明を適用することにより同様の効果を得ることができる。
さらに、前述した実施の形態において複数枚のシートを束状に重ねたものを把持して移動する構成について説明したが、折り処理の場合は一枚のシートに対しても本発明は有効である。また、前述した実施形態においてシート受け止め部材をシート積載面15aの傾斜に沿った方向の先端を受け止める側に配置する構成について説明した。これに限らず、積載トレイに排出された後、シート積載面15aの傾斜に沿った方向の後端が積載トレイ15の傾斜に沿って逆方向に滑走する構成、スイッチバック構成であってもよい。つまり、シート受け止め部材をシート積載面15aの傾斜に沿った方向の後端を受け止める側に配置する構成あっても本発明は有効ある。
11・・・・把持部材(第1把持部材)
15・・・・積載トレイ(シート積載手段)
15a・・・シート積載面
60・・・・CPU(制御部)
70・・・・シート受け止め部材
71・・・・グリッパ(第2把持部材)
500・・・フィニッシャ(シート処理装置)
801・・・サドル入口ローラ対(シート排出手段)
810・・・折りローラ対(シート処理手段)
820・・・ステイプラ(シート処理手段)
830・・・突き出し部材(シート処理手段)
1000・・複写機(画像形成装置)

Claims (9)

  1. シートを排出するシート排出手段と、
    前記シート排出手段により排出されたシートが積載される、傾斜したシート積載面を有するシート積載手段と、
    前記シート積載手段に積載されたシートを各々シート積載面の傾斜に沿った方向に離れた2つの位置で把持し、前記シート積載面の傾斜に沿った方向に沿ってそれぞれ移動可能な第1、第2把持部材と、
    シートに処理を施すシート処理手段と、
    前記第1、第2把持部材により把持されたシートを前記シート処理手段に対して前記シート積載面の傾斜に沿った方向の位置決めするよう前記第1、第2把持部材の移動を制御する制御部と、
    を備えることを特徴とするシート処理装置。
  2. 前記シート積載面は前記第1把持部材よりも前記第2把持部材を下方にして傾斜しており、前記第1把持部材は、前記シート積載手段に排出されたシートの前記シート積載面の傾斜方向の上端を把持し、前記第2把持部材は、前記シート積載手段に排出されたシートの前記シート積載面の傾斜方向の下端を把持することを特徴とする請求項1に記載のシート処理装置。
  3. 前記シート積載手段に排出されたシートの前記シート積載面の傾斜方向の端を受け止めるシート受け止め部材を有し、前記第2把持部材は前記シート受け止め部材に設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載のシート処理装置。
  4. 前記シートを前記第2把持部材から前記第1把持部材に向かう方向に移動する時、前記制御部は、前記第1把持部材の起動タイミングを前記第2把持部材の起動タイミングよりも相対的に早くするよう前記第1、第2把持部材の移動を制御することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のシート処理装置。
  5. 前記シートを前記第2把持部材から前記第1把持部材に向かう方向に移動する時、前記制御部は、前記第1把持部材の停止タイミングを前記第2把持部材の停止タイミングよりも相対的に遅くするよう前記第1、第2把持部材の移動を制御することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のシート処理装置。
  6. 前記シートを前記第1把持部材から前記第2把持部材に向かう方向に移動する時、前記制御部は、前記第1把持部材の起動タイミングを前記第2把持部材の起動タイミングよりも相対的に遅くするよう前記第1、第2把持部材の移動を制御することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のシート処理装置。
  7. 前記シートを前記第1把持部材から前記第2把持部材に向かう方向に移動する時、前記制御部は、前記第1把持部材の停止タイミングを前記第2把持部材の停止タイミングよりも相対的に早くするよう前記第1、第2把持部材の移動を制御することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項、又は、請求項6に記載のシート処理装置。
  8. 前記第1把持部材がシートを把持する把持力と、前記第2把持部材がシートを把持する把持力には差があることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載のシート処理装置。
  9. シートに画像を形成する画像形成部と、
    請求項1乃至8のいずれか1項に記載のシート処理装置と、
    を備えることを特徴とする画像形成装置。
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