JP5263807B2 - 電極用リン酸鉄リチウム粉体の製造方法 - Google Patents

電極用リン酸鉄リチウム粉体の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、炭素を含有した電極用リン酸鉄リチウム粉体の製造方法、製造された電極用リン酸鉄リチウム粉体及びそれを用いたリチウムイオン二次電池に関する。
近年、携帯電話、デジタルカメラ、ノートパソコン等の携帯機器、電気自動車、ハイブリッド自動車用などの電源としてエネルギー密度が高く、且つ、サイクル特性の良い非水二次電池が注目されている。このような非水二次電池の中で、現在、最も広く市場に出回っているのがリチウムイオン二次電池である。
正極材料にはコバルト酸リチウム(LiCoO2)、ニッケル酸リチウム(LiNiO2)、マンガン酸リチウム(LiMn24)、リチウム、コバルト、ニッケル、マンガンの三元系(LiNi1/3Mn1/3Co1/322)等のリチウムと遷移金属の複合酸化物がある。しかしながら、これらの酸化物は、コバルトやニッケル等の稀少金属資源を含んでいる他に、高温での使用中にマンガンイオンが溶出するために寿命が短い等の欠点がある。
そこで、最近では、このような欠点を補う目的で、豊富な資源で、且つ、安価な金属である鉄を用いたLiFePO4のようなオリビン型リン酸鉄リチウムの正極活物質が提案されている。
リン酸鉄リチウムをリチウムイオン二次電池の正極活物質として使用するには、導電性を付与する必要があり、表面に炭素を析出、被覆あるいは複合化する方法が公知又は提案されている(例えば特許文献1〜6参照)。
また、非特許文献1では、噴霧熱分解法を用いた炭素含有リン酸鉄リチウムの製造方法が提案されており、硝酸リチウム、硝酸鉄、オルトリン酸のアスコルビン酸水溶液に白砂糖60重量パーセントを添加したものでリン酸鉄リチウム前駆体を合成している。二次焼成してリン酸鉄リチウムへ結晶化させたものをリチウム二次電池に用いて、放電容量を測定した結果、放電レート0.1Cで150mAh/gを示しているが、放電レート1Cでは80mAh/gまで減少している。また、30サイクル後60mAh/gまで減少し、サイクル特性は安定していないことを示している。
特開2007−35295号公報 特開2005−158719号公報 特開2005−135723号公報 国際公開2005/041327号パンフレット 国際公開2004/068620号パンフレット 特開2006−131485号公報 Mu-Rong Yang, Tsung-Hsien Teng, She-Hung Wu,"LiFePO4/carbon cathode materials prepared by ultrasonic spray pyrolysis", J.Power Sources, 159, 307−311 (2006).
上述した従来技術のように、炭素をリン酸鉄リチウムに被覆あるいは大量の混合による正極活物質の形成方法は、導電性が向上してリチウムイオン二次電池として使用することはできるが、正極中の炭素の含有量が高くなるために体積エネルギー密度を高めることができないなどの課題がある。
非特許文献1では、放電容量の低さとサイクル特性が安定しない点から電気自動車、ハイブリッド自動車の電源としては実用上適していない。
そこで、本発明は、炭素を内部に含有することで炭素の含有量を抑えて導電性を高めることができる電極用リン酸鉄リチウム粉体の製造方法を提供することを目的とするものである。
本発明に係る電極用リン酸鉄リチウム粉体の製造方法は、炭素を含有するリン酸鉄リチウム粉体の製造方法であって、炭素含有化合物、リチウム含有化合物、鉄含有化合物及びリン含有化合物を含む混合溶液を作製する工程と、作製された前記混合溶液から微小なミストを生成する工程と、生成された微小ミストを流通させながら200℃〜400℃で加熱して乾燥させた後500℃〜900℃で熱分解させて炭素を含有するリン酸鉄リチウム前駆体からなる微粉体を生成する工程と、生成された前記微粉体を不活性ガス−水素混合ガス雰囲気中で600℃〜800℃で加熱して焼成することで炭素を含有するリン酸鉄リチウム粉体を生成する工程とを備えたことを特徴とする。さらに、前記微粉体の焼成時間は、2時間〜10時間であることを特徴とする。さらに、前記混合溶液は、前記炭素含有化合物として炭水化物及び/又は有機酸を添加することを特徴とする。さらに、前記混合溶液は、前記リチウム含有化合物、前記鉄含有化合物及び前記リン含有化合物を溶解させた水溶液に前記炭素含有化合物を10重量%〜60重量%の割合で添加して作製することを特徴とする。
本発明に係る電極用リン酸鉄リチウム粉体は、炭素含有化合物、リチウム含有化合物、鉄含有化合物及びリン含有化合物を含む混合溶液から生成された微小ミストを加熱することで中実で略球状の微粒子に成形された炭素を含有するリン酸鉄リチウム粉体であって、平均粒径が0.03μm〜0.8μmで、幾何標準偏差が1.1〜1.8であることを特徴とする。
本発明によれば、混合溶液から生成された微小ミストを加熱し熱分解させて炭素を含有するリン酸鉄リチウム前駆体からなる微粉体を生成できるので、炭素を表面に被覆あるいは接合する工程が省略されて、製造時間の短縮及び製造コストの軽減を図ることができる。リン酸鉄リチウム前駆体は、微粉体に形成されているものの非晶質の状態であり、焼成処理により結晶化してリン酸鉄リチウム粉体となる。焼成処理の際に、例えば空気中で処理すると鉄が3価の酸化物(Fe23)に変化するため、本発明では、不活性ガス−水素混合ガス雰囲気中で加熱して焼成することで水素ガスにより還元処理して鉄を2価の酸化物(FeO)とし、リン酸鉄リチウム粉体を生成している。
そして、微粉体を焼成することで炭化して形成された炭素を内部に含有するリン酸鉄リチウムが生成され、炭素の含有量を抑えながら導電性を高めることができ、炭素の含有量が抑えられることでリチウムの含有量が大きくできるため、リチウムイオン二次電池の正極活物質として用いた場合にエネルギー密度を高めることができる。
以下、本発明に係る実施形態について詳しく説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明を実施するにあたって好ましい具体例であるから、技術的に種々の限定がなされているが、本発明は、以下の説明において特に本発明を限定する旨明記されていない限り、これらの形態に限定されるものではない。
まず、炭素含有化合物、リチウム含有化合物、鉄含有化合物及びリン含有化合物を溶解させた混合溶液を作製する場合、Li+:Fe2+:PO4 3-のモル比が1:1:1となるように混合して作製する。
炭素含有化合物としては、カーボンブラック、黒鉛、グラファイト等の炭素材料、グルコース(ブドウ糖)、フルクトース(果糖)、ガラクトース等の単糖類やマルトース(麦芽糖)、スクロース(ショ糖)、セロビオース、ラクトース(乳糖)等の二糖類といった炭水化物、クエン酸、リンゴ酸、マロン酸、酒石酸、マレイン酸、フタル酸、酢酸、ギ酸等の有機酸が挙げられ、これらのうち1種類又は複数種類を混合したものを用いるとよい。
リチウム含有化合物としては、硝酸リチウム、酢酸リチウム、水酸化リチウム、リン酸リチウム、ギ酸リチウム等が挙げられ、これらのうち1種類又は複数種類を混合したものを用いるとよい。
鉄含有化合物としては、鉄を含む水溶性の化合物であればよく特に限定されないが、鉄の硝酸塩、酢酸塩、硫酸塩、アンモニウム塩等を用いるとよい。
リン含有化合物としては、オルトリン酸、ピロリン酸、メタリン酸等が挙げられ、これらのうち1種類又は複数種類を混合したものを用いるとよい。
混合溶液を作製する場合には、まず、リチウム含有化合物、鉄含有化合物及びリン含有化合物を水に添加し撹拌して溶解させた水溶液を作製する。水溶液の濃度は、1リットル当たり0.1モル〜1モルの範囲に設定する。
そして、炭素含有化合物は、作製された水溶液1kgに対し重量比で10重量%〜60重量%を添加し撹拌させながら溶解させて混合溶液を作製する。炭素含有化合物は、スラリー状にして水溶液に添加するようにしてもよい。炭素含有化合物の添加量が少ないと、製造されるリン酸鉄リチウム粉体の導電性が不十分となり、添加量が多くなると、リン酸鉄リチウムの密度が低下し正極活物質としての性能が低下するようになる。
作製された混合溶液から微小なミストを生成する場合、超音波振動子を用いた公知のミスト発生装置やノズルから霧状に噴射する公知のスプレー装置を用いて微小ミストを生成する。また、生成した微小ミストを加熱する装置としては、電気炉、火炎炉、プラズマ炉、赤外線集中炉、熱風式乾燥炉といった装置を用いて行えばよい。
図1は、混合液からミスト生成した後加熱して炭素を含有するリン酸鉄リチウム前駆体からなる微粉体を生成するまでの一連の工程を実施するための装置構成の一例を示す模式図である。
作製された混合液は、超音波振動子を備えたミスト発生装置内に投入され、所定の周波数の超音波振動によりほぼ一定の径の微小ミストが連続して発生する。発生した微小ミストは液面から上昇し、装置の側方から流入する空気とともに反応管Rに順次導入されていく。導入された微小ミストは反応管R内を空気とともに流通していく。
空気流は、図示せぬコンプレッサーにより供給され、フローメーターで計測しながら所定の流通速度で流通するように制御される。反応管Rには、石英管又はアルミナ配管を用いるとよい。
ミスト発生装置Mの振動周波数は、1.6MHz〜2.4MHzの範囲に設定するとよい。また、反応管Rの内径は30mm〜300mmの範囲に設定し、その長さは1m〜2mに設定すれば、微小ミストの乾燥及び熱分解を確実に行うことができる。そして、空気の流量は、毎分2リットル〜15リットルに設定するとよい。この例では、キャリアガスとして空気を用いているが、混合液に対する反応性ガス以外であればどのようなガスを用いてもよく、例えば、窒素ガス、アルゴンガス、アルゴン−水素混合ガス、窒素−水素混合ガスのうちいずれか1つを用いてもよい。
反応管Rの周囲には、長手方向に3つの電気炉K1〜K3が設置されている。ミスト発生装置M側寄りの電気炉K1では加熱温度が200℃〜400℃に設定されており、次の電気炉K2の加熱温度は200℃〜400℃に設定され、次の電気炉K3の加熱温度は500℃〜900℃に設定されている。そのため、反応管R内を流通する微小ミストは、導入後に電気炉K1で加熱されて溶媒の水が蒸発することで脱水処理が行われ、次の電気炉K2で加熱されて微小ミストの乾燥処理が行われることで微小ミスト内の塩が析出し、最後の電気炉K3での加熱処理により熱分解が行われ酸化物を生成する固相反応が生じる。
電気炉K1及びK2での脱水・乾燥処理により微小ミスト内に水が残留しない状態としてから熱分解が行われるため、中実の略球状の微粉体を生成することができる。微小ミストの内部に水が残留した状態で熱分解が行われると、残留した水の蒸発により微粉体内部に空洞が生じたり、破裂して略球状の微粉体に成形されなくなり、欠陥を有する微粉体が生成されるようになる。
また、微小ミストに含まれる炭素含有化合物は加熱により熱分解して微粉体の内部に炭素が生成されるようになり、また、リチウム含有化合物、鉄含有化合物及びリン含有化合物は熱分解により非晶質状態のリン酸鉄リチウム前駆体を生成し、内部に炭素を含有したリン酸鉄リチウム前駆体からなる微粉体が生成されるようになる。
生成された微粉体は反応管Rから流出して捕集機Cで捕集されて回収される。捕集機Cとしては、例えば公知のサイクロンを用いて捕集したり、ガラズフィルタを備えた捕集機を用いて行うことができる。
生成された微粉体は、アルゴンガスや窒素ガスといった不活性ガスと水素の混合ガスの雰囲気中で加熱して焼成され、リン酸鉄リチウム前駆体が結晶化しリン酸鉄リチウムに変化して炭素を含有するリン酸鉄リチウム粉体が生成される。その際に、水素ガスにより還元処理して鉄を2価の酸化物(FeO)とし、リン酸鉄リチウム粉体が生成される。
焼成を行うための加熱装置としては、ガス置換が可能な公知の電気炉、火炎炉、プラズマ炉、赤外線集中炉、熱風式乾燥炉といった装置を用いて行えばよい。加熱温度は600℃〜800℃に設定し、加熱時間は2時間〜10時間に設定して行うことで、十分な焼成処理を行うことができる。
図2は、図1と同様の一連の工程を実施するための別の装置構成を示す模式図である。この例では、作製された混合溶液を供給容器10に収容し、供給容器10からスプレー11に混合溶液を送給してスプレー11から微小ミストを下方に向けて噴霧するようになっている。そして、噴霧された微小ミストは反応容器13内を落下していく。スプレー11は二流体ノズルから微小ミストを噴射するようになっており、そのノズル径は5μm〜50μmの範囲に設定するとよい。また、スプレー11で噴射する速度は、4リットル/分〜20リットル/分に設定して行う。
反応容器13内には複数のガスバーナ12が上下方向に複数段配列されており、空気雰囲気中で微小ミストに対してガスバーナ12の火炎による加熱処理が行われる。微小ミストは、落下しながら加熱処理により乾燥及び熱分解が行われて、図1の場合と同様に、内部に炭素を含有したリン酸鉄リチウム前駆体からなる微粉体が生成される。加熱処理を行う火炎温度は、300℃〜500℃に設定するとよい。また、ガスバーナ12の周囲から外気を導入することで生成された熱風を微小ミストの加熱処理に用いることもできる。
反応容器13の下部には連通ダクト14が取り付けられており、連通ダクト14はバグフィルタ16を備えた捕集機15に連通している。捕集機15の吸引ファン17により発生する気流により、反応容器13内で生成された微粉体は連通ダクト14を通ってバグフィルタ16で捕集され、捕集機15の底部に貯留されるようになる。
貯留された微粉体は、図1の場合と同様に焼成処理を行って炭素を含有するリン酸鉄リチウム粉体を生成する。
以上説明した図2に示す装置では、混合溶液の粘度が高い場合でも十分微小なミストを生成することができる。例えば、リチウム含有化合物、鉄含有化合物及びリン含有化合物を水に添加し撹拌して溶解させた水溶液の濃度が0.5モル/リットル以上になると粘度が高くなるため、超音波振動によるミスト生成が難しくなるが、図2に示す装置では高濃度の水溶液の場合でも微小ミストの生成を行うことができ、リン酸鉄リチウム粉体の生産性を向上させることが可能となる。
[実施例1]
まず、硝酸リチウム(LiNO3)と、硝酸鉄(Fe(NO)3)と、オルトリン酸(H3PO4)をモル比で1:1:1となるように混合して、ビーカーに入れ、水を添加して、攪拌しながら溶解させた。水溶液の濃度は1リットル当たり0.1モルから1モルの範囲で設定される。
これらの物質以外に、炭酸リチウム、酢酸リチウム及びギ酸リチウムのうち少なくとも1種と塩化第−鉄及び塩化第二鉄のうち少なくとも1種とピロリン酸及びメタリン酸のうち少なくとも1種を混合してもよい。
作製された水溶液に1kg中にスクロース(ショ糖)等の二糖類を重量比で10重量パーセントから50重量パーセントを添加して、撹拌しながら溶解させた。これらの物質以外に、クエン酸、リンゴ酸、マロン酸、酒石酸、マレイン酸、フタル酸、酢酸、ギ酸のうち少なくとも1種を混合してもよい。
こうして作製された混合溶液を図1に示す装置を用いて上述したミスト生成から微粉体の生成を実施した。超音波の周波数は1.6MHzに設定し、空気の流量は毎分 リットルに設定した。反応管の長さは1500mmとし、脱水・乾燥の加熱温度を400℃、熱分解の加熱温度を800℃に設定した。
図3は、スクロースを重量比で10重量%、20重量%及び50重量%を添加した混合液を用いた場合における熱分解された微粉体をガス置換炉でアルゴン−水素(5%)混合ガス雰囲気中700℃で2時間焼成処理したものに関するX線回折図である。測定には島津製作所製X線回折装置(XRD−6100)を用いた。X線源にはCuKα線を用い、印加電圧及び印加電流はそれぞれ40kV及び30mAとして、2θが10°〜60°の範囲を0.02°のステップ幅で測定した。いずれもリン酸鉄リチウムへ結晶化していることがわかる。
図4は、スクロースを重量比で10重量%(図4A)及び50重量%(図4B)を添加した混合液を用いて生成されたリン酸鉄リチウム粉体の走査型電子顕微鏡写真である。熱分解により生成された微粉体をガス置換炉でアルゴン−水素(5%)混合ガス雰囲気中700℃で2時間焼成処理したものを用いた。測定には日立製作所製走査型電子顕微鏡(S−2300)を用いた。観察試料はイオンコーターで金コーティングした後、加速電圧25kVで測定した。どちらも球状粒子で、粒子内部は緻密であることがわかる。
図1に示す装置により生成された炭素を含有するリン酸鉄リチウム前駆体からなる微粉体を焼成した炭素を含有するリン酸鉄リチウム粉体を正極活物質として用いて、活物質:導電性バインダー(カーボン/ポリフッ化ビニリデン)=87:13の比率で混合し、更に、分散液としてN−メチルピロリドン(呉羽化学社製)を加えてスラリー化したものを集電体金属箔上に塗布後、乾燥及びプレスし、所定のサイズに切り取って正極として用いた。負極としてリチウム(本荘ケミカル社製)、電解液に1モルのLiPF6 EC/DMC(50/50vol%)(富山薬品工業社製)溶液を使用してリチウムイオン二次電池を作製した。このリチウムイオン二次電池を使用して充放電試験(宝泉バッテリーテスターBTS2004を使用)を行なった。測定電圧は3.5V〜4.3Vの範囲に設定した。
図5は、スクロースを重量比で10重量%及び50重量%を添加した混合液を用いて図1に示す装置により生成した微粉体を焼成した炭素を含有するリン酸鉄リチウム粉体と従来の炭素を含まないリン酸鉄リチウムを正極活物質として用いた場合の放電曲線のグラフである。図示した放電曲線の縦軸は、出力電圧(V)、横軸は1グラム当たりの比放電容量(mAh/g)である。(A)は、炭素を含まないリン酸鉄リチウムを用いたリチウムイオン二次電池の放電曲線を示し、(B)及び(C)は炭素を含有するリン酸鉄リチウム粉体を用いたリチウムイオン二次電池の放電曲線を示している。これらの放電曲線では放電レートが1Cのときに測定されている。
炭素を含有するリン酸鉄リチウム粉体を用いたリチウム二次電池は、炭素を含まないリン酸鉄リチウムを用いたものよりも高容量を有していることがわかる。また、非特許文献1の放電容量より高く、優位であることがわかる。
図6は、図5に示す場合と同様の炭素を含有するリン酸鉄リチウム粉体を用いたリチウムイオン電池及び炭素を含まないリン酸鉄リチウムを用いたリチウムイオン電池に関するサイクル特性のグラフである。図示した放電曲線の縦軸は、1グラム当たりの比放電容量(mAh/g)であり、横軸はサイクル数である。これらのサイクル特性は放電レートが1Cのときに測定されている。
炭素を含有するリン酸鉄リチウムのリチウム二次電池は、炭素を含まないリン酸鉄リチウムを用いたものよりも高容量で安定したサイクル特性を有していることがわかる。また、非特許文献1のサイクル特性より安定しており、優位であることがわかる。
[実施例2]
硝酸リチウム、硝酸鉄、リン酸の0.1モル/リットル水溶液にフルクトース(果糖)20重量%を加えた混合溶液を図1に示す装置により処理して微粉体を生成した。超音波振動の周波数を1.6MHzとし、空気の流量速度を毎分5リットルに設定して発生した微小ミストを電気炉へ送り、400℃で乾燥し800℃で熱分解した後サイクロンで捕集回収した。
回収した微粉体をアルゴン−水素(5%)混合ガス雰囲気中の電気炉中で700℃の加熱温度で焼成処理して炭素を含有するリン酸鉄リチウム粉体が得られた。焼成時間を2時間、5時間及び10時間に設定して処理を行ったところ、それぞれ平均粒径が300nm、200nm及び50nmのリン酸鉄リチウム粉体が得られた。
なお、粒子径の測定は走査型電子顕微鏡により撮影した写真の中の200個の粒子を無作為に抽出して直径を測り、その平均値を平均粒径とした。
焼成されたリン酸鉄リチウム粉体を走査型電子顕微鏡(日立製作所製S−2300)を用いて撮影した写真を図7(焼成時間が10時間の場合)及び図8(焼成時間が2時間の場合)に示す。
[実施例3]
硝酸リチウム、硝酸鉄、リン酸の0.1モル/リットル水溶液にフルクトース60重量%を加えた混合溶液を図1に示す装置により処理して微粉体を生成した。超音波振動の周波数を1.6MHzとし、空気の流量速度を毎分5リットルに設定して発生した微小ミストを電気炉へ送り、400℃で乾燥し800℃で熱分解した後サイクロンで捕集回収した。
回収した微粉体をアルゴン−水素(5%)混合ガス雰囲気中の電気炉中で700℃の加熱温度で焼成処理して炭素を含有するリン酸鉄リチウム粉体が得られた。焼成時間を2時間、5時間及び10時間に設定して処理を行ったところ、それぞれ平均粒径が500nm、300nm及び30nmのリン酸鉄リチウム粉体が得られた。
焼成されたリン酸鉄リチウム粉体を走査型電子顕微鏡(日立製作所製S−2300)を用いて撮影した写真を図9(焼成時間が10時間の場合)及び図10(焼成時間が2時間の場合)に示す。
[実施例4]
実施例2の場合においてフルクトースの代わりにスクロースを用いて同様に焼成時間を2時間、5時間及び10時間に設定して処理したところ、それぞれ平均粒径が350nm、300nm及び50nmのリン酸鉄リチウム粉体が得られた。
[実施例5]
実施例3の場合においてフルクトースの代わりにスクロースを用いて同様に焼成時間を2時間、5時間及び10時間に設定して処理したところ、それぞれ平均粒径が400nm、300nm及び50nmのリン酸鉄リチウム粉体が得られた。
焼成時間を増加させることによりリン酸鉄リチウム粉体の平均粒子径は減少し、フルクトース60重量%を添加した場合では30nmのナノサイズの微粒子が得られた。焼成時間が長い程、粒子中にフルクトース等の糖類中の分解が起こり、球状粒子が分解して微細なナノサイズの微粒子が得られる。
図11は、2時間から10時間までのフルクトース60重量%添加粉体の粉末X線回折グラフ(島津製作所製XRD−6100で測定)である。いずれもリン酸鉄リチウムの結晶であることがわかる。
[実施例6]
硝酸リチウム、硝酸鉄、リン酸の水溶液の濃度を0.02モル/リットル〜0.5モル/リットルまで調製し、調製された水溶液にそれぞれフルクトース20重量%及び60重量%を加えた混合溶液を図1に示す装置により処理して微粉体を生成した。超音波振動の周波数を1.6MHzとし、空気の流量速度を毎分5リットルに設定して発生した微小ミストを電気炉へ送り、400℃で乾燥し800℃で熱分解した後サイクロンで捕集回収した。
回収した微粉体をアルゴン−水素(5%)混合ガス雰囲気中の電気炉中で700℃の加熱温度で2時間焼成処理した。得られた炭素を含有するリン酸鉄リチウム粉体の平均粒径の測定結果を図12に示す。
グラフについては、縦軸に平均粒径をとり、横軸に水溶液の濃度をとっている。粒径の大きさは、0.1μmから0.8μmまでの粒径にコントロールされていることがわかる。平均粒径の幾何標準偏差(σg)は、1.18〜1.28までバラツキはあるもののほぼ単分散であることがわかる。
幾何標準偏差とは粒径の対数値の分布に対する標準偏差であり次式で定義される。
σg=84.13%径/50%径
例えば,σg=1.1の場合、50%径dに対して84.13%径が1.1であり、全体の約68%が平均粒径の±10%以内に含まれることを示す。1.2の場合、平均粒径が0.1μmならば、全体の粒子の68%が0.08μm〜0.12μmの範囲内に含まれることを示している。単分散とは幾何標準偏差が1.2以下のものを指す。
[実施例7]
硝酸リチウム、硝酸鉄、リン酸の1モル/リットル水溶液にフルクトース60重量%を加えた混合溶液を図2に示す装置により処理して微粉体を生成した。スプレーの噴射速度は毎分30リットルとし、ガスバーナの火炎温度は500℃に設定して微小ミストを熱分解して微粉体を捕集回収した。
得られた微粉体は、平均粒径が300nmであった。図13は、得られた微粉体を走査型電子顕微鏡で撮影した写真である。
[実施例8]
実施例7の場合においてガスバーナから空気を反応容器内に導入して300℃の熱風により微小ミストを加熱処理した。得られた微粉体は、600nmであった。図14は、得られた微粉体を走査型電子顕微鏡で撮影した写真である。
図13及び図14に示すように、図2に示す装置を使用した場合でも中実で球状の微粒子が成形されていることがわかる。
[実施例9]
硝酸リチウム、硝酸鉄、リン酸の水溶液の濃度を0.5モル/リットル〜1.5モル/リットルまで調製し、調製された水溶液にそれぞれフルクトース20重量%及び60重量%を加えた混合溶液を図2に示す装置により処理して微粉体を生成した。スプレーの噴射速度は毎分30リットルとし、ガスバーナの火炎温度は500℃に設定して微小ミストを熱分解して微粉体を捕集回収した。
回収した微粉体をアルゴン−水素(5%)混合ガス雰囲気中の電気炉中で700℃の加熱温度で2時間焼成処理した。
得られたリン酸鉄リチウム粉体の平均粒径の測定結果に関する幾何標準偏差を図15に示す。生成したリン酸鉄リチウム粉体の平均粒径の幾何標準偏差は1.35〜1.41の範囲であり、バラツキが少ないことがわかる。
フルクトース60重量%添加した場合におけるリン酸鉄リチウム粉体のX線回折グラフ(島津製作所社製XRD−6100を使用)である。いずれもリン酸鉄リチウムの結晶であることがわかる。
[実施例10]
実施例9の場合において焼成時間を10時間に設定して処理を行った。図17は、得られたリン酸鉄リチウム粉体を走査型電子顕微鏡で撮影した写真である。また、図18は、得られたリン酸鉄リチウム粉体の平均粒径の測定結果及びその幾何標準偏差である。平均粒径が約50nmで単分散の粉体が得られたことが示されている。
[実施例11]
実施例2と同様の条件でスクロース、フルクトースをそれぞれ60重量%添加して生成した微粉体をアルゴン−水素(5%)混合ガス雰囲気中の電気炉中で700℃、2時間焼成してリン酸鉄リチウム粉体を得た。得られたリン酸鉄リチウム粉体を用いて実施例1の場合と同様のリチウムイオン電池(2032型コインセル)を作製して実施例1と同様の充放電試験を行った。図19は、充放電試験結果を示す充放電曲線である。充放電レートは1C(1時間で充電と放電を行った)とした。スクロースを添加した場合及びフルクトースを添加した場合のいずれでも150mAh/gの放電容量が得られたことがわかる。
[実施例12]
実施例11の場合においてフルクトースを60重量%添加し焼成時間を10時間に設定してリン酸鉄リチウム粉体を得た。図20は、充放電試験結果を示す充放電曲線である。充放電レートは1C(1時間で充電と放電を行った)とした。160mAh/gの放電容量が得られたことがわかる。
[実施例13]
実施例2と同様の条件でフルクトースを20重量%〜60重量%添加して生成した微粉体をアルゴン−水素(5%)混合ガス雰囲気中の電気炉中で700℃、2時間焼成してリン酸鉄リチウム粉体を得た。得られたリン酸鉄リチウム粉体を用いて実施例1の場合と同様のリチウムイオン電池(2032型コインセル)を作製して実施例1と同様の充放電試験を行った。充放電レートは、1C(1時間で充電と放電を行った)及び10C(6分間で充電と放電を行った)とした。図21は、充放電試験結果を示すグラフである。縦軸に放電容量(mAh/g)をとり、横軸にフルクトースの重量%をとっている。フルクトースの添加量が増加すると放電容量も増加することがわかる。
[実施例14]
実施例2と同様の条件でフルクトースを20重量%及び60重量%添加して生成した微粉体をアルゴン−水素(5%)混合ガス雰囲気中の電気炉中で700℃の加熱温度で焼成してリン酸鉄リチウム粉体を得た。焼成時間を2時間、5時間及び10時間に設定した。
得られたリン酸鉄リチウム粉体の平均粒径を測定するとともに、得られたリン酸鉄リチウム粉体を用いて実施例1の場合と同様のリチウムイオン電池(2032型コインセル)を作製して実施例1と同様の充放電試験を行った。充放電レートは、10C(6分間で充電と放電を行った)とした。図22に試験結果を示す。これらの試験結果から平均粒径が小さくなるにしたがい放電容量が高くなることがわかる。
[実施例15]
実施例2と同様の条件でフルクトースを20重量%〜60重量%添加して生成した微粉体をアルゴン−水素(5%)混合ガス雰囲気中の電気炉中で700℃、2時間焼成してリン酸鉄リチウム粉体を得た。得られたリン酸鉄リチウム粉体を用いて実施例1の場合と同様のリチウムイオン電池(2032型コインセル)を作製して実施例1と同様の充放電試験を気温が25℃及び50℃の環境下で行った。充放電レートは、1C(1時間で充電と放電を行った)とし、500サイクルまで充放電を繰り返した。図23は、試験結果を示すグラフである。縦軸に放電容量をとり、横軸にサイクル数をとっている。25℃では500サイクル後、初期放電容量の80%を維持しており、50℃では95%を維持していることがわかる。
[実施例16]
実施例15の場合における充放電試験の充放電レートを5C(12分で充電と放電を行った)及び10C(6分で充電と放電を行った)とし、1000サイクルまで充放電を繰り返した。気温は25℃に設定された環境下で試験を行った。図23は、試験結果を示すグラフである。縦軸に放電容量をとり、横軸にサイクル数をとっている。1000サイクル後でも初期放電容量の80%を維持していることがわかる。
以上の充放電試験結果からみると、本発明に係る製造方法により製造された電極用リン酸鉄リチウム粉体は、正極活物質として優れた充放電特性を備えていることがわかる。
[実施例17]
実施例7と同様の条件でフルクトースを60重量%添加し、ガスバーナの500℃の火炎による加熱処理及びガスバーナから空気を導入した300℃の熱風による加熱処理で生成した微粉体をアルゴン−水素(5%)混合ガス雰囲気中の電気炉中で700℃、2時間焼成してリン酸鉄リチウム粉体を得た。得られたリン酸鉄リチウム粉体を用いて実施例1の場合と同様のリチウムイオン電池(2032型コインセル)を作製して実施例1と同様の充放電試験を行った。充放電レートは、1C(1時間で充電と放電を行った)とした。図25は、充放電試験結果を示す充放電曲線である。火炎による加熱処理では145mAh/gの放電容量が得られ、熱風による加熱処理では155mAh/gの放電容量が得られたことがわかる。
[実施例18]
実施例17の場合における焼成時間を2時間、5時間及び10時間に設定した。得られたリン酸鉄リチウム粉体の平均粒径を測定するとともに、得られたリン酸鉄リチウム粉体を得た。得られたリン酸鉄リチウム粉体を用いて実施例1の場合と同様のリチウムイオン電池(2032型コインセル)を作製して実施例1と同様の充放電試験を行った。充放電レートは、10C(6分間で充電と放電を行った)とした。図26に試験結果を示す。これらの試験結果から平均粒径が小さくなるにしたがい放電容量が高くなることがわかる。
[実施例19]
実施例7と同様の条件でフルクトースを60重量%添加し、ガスバーナの500℃の火炎による加熱処理及びガスバーナから空気を導入した300℃の熱風による加熱処理で生成した微粉体をアルゴン−水素(5%)混合ガス雰囲気中の電気炉中で700℃、2時間焼成してリン酸鉄リチウム粉体を得た。得られたリン酸鉄リチウム粉体を用いて実施例1の場合と同様のリチウムイオン電池(2032型コインセル)を作製して実施例1と同様の充放電試験を行った。充放電レートは、1C(1時間で充電と放電を行った)とし、500サイクルまで充放電を繰り返した。図27は、試験結果を示すグラフである。縦軸に放電容量をとり、横軸にサイクル数をとっている。火炎による加熱処理及び熱風による加熱処理のいずれの場合でも、500サイクル後、初期放電容量の80%を維持していることがわかる。
[実施例20]
実施例7と同様の条件でフルクトースを60重量%添加し、ガスバーナの500℃の火炎による加熱処理で生成した微粉体をアルゴン−水素(5%)混合ガス雰囲気中の電気炉中で700℃、10時間焼成してリン酸鉄リチウム粉体を得た。得られたリン酸鉄リチウム粉体を用いて実施例1の場合と同様のリチウムイオン電池(2032型コインセル)を作製して実施例1と同様の充放電試験を行った。充放電レートは、1C(1時間で充電と放電を行った)とし、500サイクルまで充放電を繰り返した。図28は、試験結果を示すグラフである。縦軸に放電容量をとり、横軸にサイクル数をとっている。火炎による加熱処理の場合、焼成時間を10時間に設定すると、500サイクル後、初期放電容量の95%を維持していることがわかる。
[実施例21]
実施例20の場合において充放電レートを10C(6分間で充電と放電を行った)とし、500サイクルまで充放電を繰り返した。図28は、試験結果を示すグラフである。縦軸に放電容量をとり、横軸にサイクル数をとっている。火炎による加熱処理の場合、焼成時間を10時間に設定すると、500サイクル後、初期放電容量の80%を維持していることがわかる。
以上の充放電試験結果からみると、図2に示す装置を用いた場合でも製造された電極用リン酸鉄リチウム粉体は、正極活物質として優れた充放電特性を備えていることがわかる。
また、上述したように、本発明に係るリン酸鉄リチウム粉体に関する平均粒径及び幾何標準偏差に関するデータから、平均粒径が小さくバラツキの少ない粉体が生成されていることがわかる。電極用としてリン酸鉄リチウム粉体を用いる場合、できるだけ粒径の小さい方が粉体の表面積が増加して充放電特性を向上させることができ、本発明では、平均粒径が0.03μm〜0.8μmの粉体を生成することが可能で、上述したように良好な放電特性を備えている。
また、電極用として粉体を用いる場合、できるだけバラツキの少ない中実な微粒子である方が、電極本体により均一に塗布することができるとともに塗布する際に微粒子の破砕が少なくなって性能が向上した正極を作製することができるが、本発明では、バラツキの少ない、すなわち幾何標準偏差の小さい中実な微粒子からなる粉体を得ることができる。電極用として用いる場合、幾何標準偏差は1.1〜1.8が好ましく、1.1〜1.5がより好ましい。本発明に係るリン酸鉄リチウム粉体では、上述したように、幾何標準偏差が1.18〜1.41であり、バラツキの少ない粉体に生成されている。
そして、本発明に係る製造方法により製造された電極用リン酸鉄リチウム粉体を正極活物質として使用したリチウムイオン二次電池は、従来のリン酸鉄リチウムを使用したリチウムイオン二次電池に比べ、放電容量やエネルギー密度が改善されており、また、製造方法も簡素化されてコストダウンを図ることができる。
本発明に係る製造方法により得られた電極用リン酸鉄リチウム粉体は、リチウムイオン二次電池の性能を改善することができ、しかも大量生産が可能でコストダウンを図ることができることから、携帯電話、ノートパソコン、デジタルカメラ、デジタルビデオ等の電子機器のみならず、電気自動車、ハイブリッド車等の幅広い製品に適用することが可能となる。また、太陽光発電、風力発電等の自然エネルギーの不可平準化用電源として利用することもできる。
本発明に係る製造方法に関する装置構成の模式図である。 本発明に係る製造方法に関する別の装置構成の模式図である。 生成されたリン酸鉄リチウム前駆体の微粉体のX線回折図である。 生成されたリン酸鉄リチウム粉体の走査型電子顕微鏡写真である。 生成されたリン酸鉄リチウム粉体の走査型電子顕微鏡写真である。 生成されたリン酸鉄リチウム粉体を用いた二次電池の放電特性図である。 生成されたリン酸鉄リチウム粉体を用いた二次電池のサイクル特性図である。 生成されたリン酸鉄リチウム粉体の走査型電子顕微鏡写真である。 生成されたリン酸鉄リチウム粉体の走査型電子顕微鏡写真である。 生成されたリン酸鉄リチウム粉体の走査型電子顕微鏡写真である。 生成されたリン酸鉄リチウム粉体の走査型電子顕微鏡写真である。 生成されたリン酸鉄リチウム粉体のX線回折図である。 生成されたリン酸鉄リチウム粉体の平均粒径の測定結果を示すグラフ及びその分析結果である。 生成されたリン酸鉄リチウム粉体の走査型電子顕微鏡写真である。 生成されたリン酸鉄リチウム粉体の走査型電子顕微鏡写真である。 生成されたリン酸鉄リチウム粉体の平均粒径に関する分析結果である。 生成されたリン酸鉄リチウム粉体のX線回折図である。 生成されたリン酸鉄リチウム粉体の走査型電子顕微鏡写真である。 生成されたリン酸鉄リチウム粉体の平均粒径に関する分析結果である。 生成されたリン酸鉄リチウム粉体を用いた二次電池の放電特性図である。 生成されたリン酸鉄リチウム粉体を用いた二次電池の放電特性図である。 生成されたリン酸鉄リチウム粉体を用いた二次電池の放電容量及びフルクトースの濃度の関係を示すグラフである。 リン酸鉄リチウム粉体の焼成時間とそれを用いた二次電池の放電容量及びフルクトースの濃度での平均粒径との関係を示す分析結果である。 生成されたリン酸鉄リチウム粉体を用いた二次電池のサイクル特性図である。 生成されたリン酸鉄リチウム粉体を用いた二次電池のサイクル特性図である。 生成されたリン酸鉄リチウム粉体を用いた二次電池の放電特性図である。 リン酸鉄リチウム粉体の焼成時間とそれを用いた二次電池の放電容量及び火炎加熱、熱風加熱での平均粒径との関係を示す分析結果である。 生成されたリン酸鉄リチウム粉体を用いた二次電池のサイクル特性図である。 生成されたリン酸鉄リチウム粉体を用いた二次電池のサイクル特性図である。 生成されたリン酸鉄リチウム粉体を用いた二次電池のサイクル特性図である。
符号の説明
M ミスト発生装置
K 電気炉
R 反応管
C 捕集機
10 供給容器
11 スプレー
12 ガスバーナ
13 反応容器
14 連通ダクト
15 捕集機
16 バグフィルタ
17 吸引ファン

Claims (4)

  1. 炭素を含有するリン酸鉄リチウム粉体の製造方法であって、炭素含有化合物、リチウム含有化合物、鉄含有化合物及びリン含有化合物を含む混合溶液を作製する工程と、作製された前記混合溶液から微小なミストを生成する工程と、生成された微小ミストを流通させながら200℃〜400℃で加熱して乾燥させた後500℃〜900℃で熱分解させて炭素を含有するリン酸鉄リチウム前駆体からなる微粉体を生成する工程と、生成された前記微粉体を不活性ガス−水素混合ガス雰囲気中で600℃〜800℃で加熱して焼成することで炭素を含有するリン酸鉄リチウム粉体を生成する工程とを備えたことを特徴とする電極用リン酸鉄リチウム粉体の製造方法。
  2. 前記微粉体の焼成時間は、2時間〜10時間であることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記混合溶液は、前記炭素含有化合物として炭水化物及び/又は有機酸を添加することを特徴とする請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 前記混合溶液は、前記リチウム含有化合物、前記鉄含有化合物及び前記リン含有化合物を溶解させた水溶液に前記炭素含有化合物を10重量%〜60重量%の割合で添加して作製することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の製造方法。
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