JP2011251873A - リチウム含有複合酸化物の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】下記一般式(1)で表されるリチウム含有複合酸化物を製造する方法であり、原料物質を溶媒に溶解させて溶液を調製する工程と、得られた溶液に導電性炭素粒子を添加する工程と、得られた溶液をゲル化させる工程と、得られたゲルを焼成する工程とを含む。LixMyP1−zXzO4(1)(式中、Mは、Fe、Ni、Mn、Zr、Sn、AlおよびYからなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、Xは、Si及びAlから成る群から選択される少なくとも1種であり、0<x≦2、0.8≦y≦1.2、0≦z≦1の範囲である。)
【選択図】図1
Description
LixMyP1−zXzO4 (1)
(式中、Mは、Fe、Ni、Mn、Zr、Sn、AlおよびYからなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、Xは、Si及びAlから成る群から選択される少なくとも1種であり、0<x≦2、0.8≦y≦1.2、0≦z≦1の範囲である。)
また、導電性炭素粒子は、最終的に得られるリチウム含有複合酸化物の導電性を向上させるだけでなく、一次粒子の凝集を抑制する効果も有するので、二次粒子の粗大化を抑制することもできる。そのため、粒径制御のために焼成後にリチウム含有複合酸化物を粉砕する必要がないので、リチウム含有複合酸化物の結晶性が低下することもない。なお、導電性炭素粒子を、全原料物質を溶解させた溶液に添加することにより、より均一にリチウム含有複合酸化物粒子を導電性炭素粒子で被覆することができる。また、本発明では、導電性炭素粒子を用いているので、特許文献1のように、樹脂を炭素化する必要がないので、焼成温度をさらに低くすることが可能である。
本発明の製造対象であるリチウム含有複合酸化物は、以下の一般式(1)で表される。
LixMyP1−zXzO4 (1)
LixFeyP1−zO4
(0.8≦x≦1.2、0.8≦y≦1.2、z=0)、
LixNiyP1−zO4
(0.8≦x≦1.2、0.8≦y≦1.2、z=0)、
LixMnyP1−zO4
(0.8≦x≦1.2、0.8≦y≦1.2、z=0)、
Lix(Fe,Ni)yP1−zO4
(0.8≦x≦1.2、0.8≦y≦1.2、z=0)、
Lix(Fe,Mn)yP1−zO4
(0.8≦x≦1.2、0.8≦y≦1.2、z=0)、
Lix(Fe,Zr)yP1−zO4
(0.8≦x≦1.2、0.8≦y≦1.2、z=0)、
Lix(Fe,Sn)yP1−zO4
(0.8≦x≦1.2、0.8≦y≦1.2、z=0)、
Lix(Fe,Y)yP1−zO4
(0.8≦x≦1.2、0.8≦y≦1.2、z=0)、
Lix(Fe,Ni)yP1−zSizO4
(0.8≦x≦1.2、0.8≦y≦1.2、0<z≦0.5)、
Lix(Fe,Mn)yP1−zSizO4
(0.8≦x≦1.2、0.8≦y≦1.2、0<z≦0.5)、
Lix(Fe,Zr)yP1−zSizO4
(0.8≦x≦1.2、0.8≦y≦1.2、0<z≦0.5)、
Lix(Fe,Sn)yP1−zSizO4
(0.8≦x≦1.2、0.8≦y≦1.2、0<z≦0.5)、
Lix(Fe,Y)yP1−zSizO4
(0.8≦x≦1.2、0.8≦y≦1.2、0<z≦0.5)、
等を挙げることができる。Mが複数の元素から構成されている場合、それぞれの原子%の値は、M全量に対して、0原子%より多く、100原子%未満の範囲のいずれの値をも取り得る。
Lix(Fe,Zr)yP1−zSizO4
(0.8≦x≦1.2、0.8≦y≦1.2、0<z≦0.5)、
Lix(Fe,Sn)yP1−zSizO4
(0.8≦x≦1.2、0.8≦y≦1.2、0<z≦0.5)、
Lix(Fe,Y)yP1−zSizO4
(0.8≦x≦1.2、0.8≦y≦1.2、0<z≦0.5)、
Lix(Fe,Ti)yP1−zSizO4
(0.8≦x≦1.2、0.8≦y≦1.2、0<z≦0.5)、
Lix(Fe,Nb)yP1−zSizO4
(0.8≦x≦1.2、0.8≦y≦1.2、0<z≦0.5)、
Lix(Fe,V)yP1−zSizO4
(0.8≦x≦1.2、0.8≦y≦1.2、0<z≦0.5)、
である。
本発明は、上記一般式のリチウム含有複合酸化物を製造する方法であり、原料物質を溶媒に溶解させる工程(以下、溶解工程という。)、得られた溶液に導電性炭素粒子を添加する工程(以下、導電性炭素粒子添加工程という。)、得られた溶液をゲル化させる工程(以下、ゲル化工程という。)、得られたゲルを焼成する工程(以下、焼成工程という。)を少なくとも含む。なお、必要に応じて、ゲル化工程で得られたゲルから溶媒を除去する工程(以下、乾燥工程という。)や、焼成前のゲルを粉砕する工程(以下、粉砕工程という。)や、焼成前のゲルに炭素源となる物質を混合する工程(以下、炭素源混合工程という。)を設けることもできる。
原料物質であるリチウム源、元素M源、リン源および元素X源は、溶媒に溶解しうる物質であれば特に限定されない。これらの物質は、100gの溶媒に10mmol以上溶解する物質であることが好ましい。
リチウム源となる物質には、リチウムの無機塩、水酸化物、有機酸塩、金属アルコキシドおよびこれら塩の水和物を用いることができる。具体的には、無機塩としては、弱酸との塩(以下、弱酸塩という。)である炭酸リチウム(Li2CO3)、強酸との塩(以下、強酸塩という。)である硝酸リチウム(LiNO3)、塩化リチウム(LiCl)を挙げることができる。また、有機塩としては、弱酸塩である、酢酸リチウム(LiCH3COO)、シュウ酸リチウム(COOLi)2を挙げることができる。また、金属アルコキシドとしては、リチウムメトキシド(LiOCH3)、リチウムエトキシド(LiOC2H5)、リチウム−n−プロポキシド(LiO-n-C3H7)、リチウム−i−プロポキシド(LiO-i-C3H7)、リチウム−n−ブトキシド(LiO-n-C4H9)、リチウム−t−ブトキシド(LiO-t-C4H9)、リチウム−sec−ブトキシド(LiO-sec-C4H9)等を挙げることができる。無機塩および有機塩については、水和物であってもよい。これらの中でも、大気雰囲気下で均一な溶液を作製しやすい、安価であるという観点から弱酸塩または強酸塩が好ましく、その中でも酢酸リチウムまたは硝酸リチウムが好ましい。なお、本発明において「均一な溶液」とは、目視観察により目視観察により沈殿物の生成が認められず、2相以上に分離していない状態をいう。
リチウム源として、弱酸塩の無水物を用いる場合は、エタノールへの溶解性が低いため、鉄源の塩の水和物あるいはジルコニウム源の塩の水和物を溶解した後に溶解させることが好ましい。鉄源の塩の水和物あるいはジルコニウム源の塩の水和物を加える前に溶解させる場合は、予め水に溶解させておくことが好ましい。あるいは、弱酸塩の無水物が溶解するのに必要な量の水をエタノールへ添加しておいてもよい。弱酸塩の無水物を溶解させる水の量としては、Liのモル数の1倍〜100倍の水が好ましく、より好ましくは4倍〜20倍である。
鉄源となる物質には、鉄の無機塩、水酸化物、有機酸塩、金属アルコキシドおよびこれら塩の水和物を用いることができる。鉄源としては、無機塩として、弱酸塩である炭酸鉄(II)(Fe(CO3))、強酸塩である硝酸鉄(II)(Fe(NO3)2)、硝酸鉄(III)(Fe(NO3)3)、塩化鉄(II)(FeCl2)および塩化鉄(III)(FeCl3)を挙げることができる。また、有機塩としては、弱酸塩である、シュウ酸鉄(II)(FeC2O4)、シュウ酸鉄(III)(Fe2(C2O4)3)、酢酸鉄(II)(Fe(CH3COO)2)および酢酸鉄(III)(Fe(CH3COO)3)を挙げることができる。好ましくは強酸塩の水和物、より好ましくは硝酸鉄(III)の9水和物である。
強酸塩の水和物は、リチウム源、ジルコニウム源、シリコン源との任意の組合せにおいて、任意の順番に溶解させても均一な溶液を得ることができる。得られた均一な溶液を予め反応させた後に、残りの原料を加えてもよい。強酸塩の水和物はリン酸よりも先に溶媒に加えることが好ましい。強酸塩の水和物のみを予め反応させることにより、焼成後の不純物の生成を抑制できるので、強酸塩の水和物は、強酸塩の水和物のみをエタノール中に溶解させた後に、沈殿物が生じない程度に熱をかけることにより予め反応させてもよい。
ジルコニウム源となる物質には、ジルコニウムの無機塩、有機酸塩、金属アルコキシドおよびこれら塩の水和物を用いることができる。ジルコニウム源としては、無機塩として、ジルコニウムハロゲン化物である塩化ジルコニウム(ZrCl4)、臭化ジルコニウム(ZrBr4)、ヨウ化ジルコニウム(ZrI4)、オキシジルコニウム塩である、オキシ塩化ジルコニウム(ZrOCl2)、オキシ硝酸ジルコニウム(ZrO(NO3)2)を挙げることができる。また、金属アルコキシドとしては、ジルコニウムメトキシド(Zr(OCH3)4)、ジルコニウムエトキシド(Zr(OC2H5)4)、ジルコニウム-n-プロポキシド(Zr(O-n-C3H7)4)、ジルコニウム-i-プロポキシド(Zr(O-i-C3H7)4)、ジルコニウム-n-ブトキシド(Zr(O-n-C4H8)4)、ジルコニウム-t-ブトキシド(Zr(O-t-C4H8)4)、ジルコニウム-sec-ブトキシド(Zr(O-t-C4H8)4)等を挙げることができる。好ましくはジルコニウムハロゲン化物、その中でも塩化ジルコニウムが好ましい。
リン源となる物質には、リン酸(H3PO4)、リン酸水素アンモニウム((NH4)2HPO4)、リン酸二水素アンモニウム(NH4H2PO4)等を挙げることができる。これらの中でも、リン酸が好ましい。
リン酸は、少なくともリチウム源、鉄源およびジルコニウム源を溶解させた後で、投入する必要がある。リン酸をリチウムの弱酸塩無水物やジルコニウムハロゲン化物と混合すると、沈殿物が生成するからである。リン酸を加える際は、過剰にリン酸を加えてもよい。リン酸を過剰に加えることにより、焼成後の不純物の発生やリチウム複合酸化物におけるLiサイトへのFeの置換を抑制できる。過剰にリン酸を加える場合、化学量論比のリン酸に対して5〜20重量%の範囲で、より好ましくは5〜15重量%の範囲で過剰に加えることができる。
シリコン源となる物質には、シリコンの金属アルコキシドを用いることができる。具体例としては、テトラエトキシシラン(Si(OC2H5)4)、テトラメトキシシラン(Si(OCH3)4)、メチルトリエトキシシラン(CH3Si(OC2H5)3)、メチルトリメトキシシラン(CH3Si(OCH3)3)、エチルメトキシシラン(C2H5Si(OCH3)3)、エチルトリエトキシシラン(C2H5Si(OC2H5)3)等の種々のシリコンアルコキシドを挙げることができる。好ましくは、テトラエトキシシランあるいはテトラメトキシシランである。
シリコンアルコキシドは、リチウム源、鉄源、ジルコニウム源との任意の組合せにおいて、任意の順番に溶解させても均一な溶液を得ることができる。シリコンアルコキシドの反応を促進するため、水を加えてもよい。加える水の量としては、シリコンのモル数の1倍〜100倍、より好ましくは2倍〜20倍である。水を加えることにより加水分解が進み、反応を促進させることができる。シリコンアルコキシドをリン酸と予め反応させることもできる。テトラエトキシシランを用いる場合は、40℃〜80℃で反応をさせることが好ましく、より好ましくは50℃〜80℃で反応させることが好ましい。テトラメトキシシランを用いる場合は、20℃〜60℃で反応させることが好ましい。テトラメトキシシランと、リチウム源となる弱酸塩の無水物を反応させる場合、(リチウム源のLiのモル数/シリコン源のSiのモル数)≧2であることが好ましい。
溶解工程においては、原料物質を溶解させる順番によっては沈殿物が生成して均一な溶液ができない場合がある。そのため、原料物質を溶解させる順番が重要となる。前述のように、リン酸をジルコニウム源と混合すると沈殿物が生成するが、鉄イオンが存在するとジルコニウムイオンは安定化され沈殿物の生成が抑制される。そのため、本発明においては、少なくとも鉄源およびジルコニウム源を溶解させた溶媒にリン源を溶解させる必要がある。シリコン源は、リン源を溶解させる前に溶解させてもよく、あるいはリン源を溶解させた後に溶解させてもよい。
なお、本発明において、原料物質を溶解させる順番とは、溶媒に順次原料物質を投入する場合には、投入する原料物質の順番をいうが、予め複数の原料物質を溶媒に溶解させた溶液を準備し、その溶液を混合する場合には、その混合する順番をいう。
本工程では、溶解工程で調製した溶液に、導電性炭素粒子を添加して分散させる。溶液中に分散させることにより、導電性炭素粒子がゲル中に均一に分散して、リチウム含有複合酸化物の導電性を向上させる。
本工程では、溶解工程により得られた溶液をゲル化させる。ゲル化は、原料元素、例えばLi、Fe、Zr、PおよびSiが酸素原子を介して結合する一群の集合体となり、この集合体がゲル中で数nmから数十nmの粒径の微粒子として析出することで溶液の粘度が上昇することにより行われると発明者等は考えている。
本工程では、ゲル化したゲルから残留する溶媒を除去する。溶媒の除去方法としては、室温で静置する方法や、30〜80℃に加熱して溶媒を除去する方法や、ロータリーポンプなど用いたチャンバー内にゲルを設置し、減圧して溶媒を除去する方法等を用いることができる。また、溶液調製時に使用した溶媒よりも揮発性の高い溶媒や表面張力の異なる溶媒と溶媒交換を行った後に前述と同じ方法で溶媒を除去してもよい。溶媒交換に用いる溶媒としてはトルエン、ベンゼン、ヘキサン、テトラヒドロフラン、イソプロパノールおよびこれらの混合溶媒を挙げることができる。また、本工程で得られたゲルを超臨界状態の二酸化炭素に浸して溶媒を抽出することで溶媒を除去することもできる。これらの除去した溶媒は工業的観点から回収して再利用することが好ましい。
得られたゲルを機械的に粉砕することで二次粒子のサイズを制御してもよい。粉砕方法は特に限定されず、必要に応じて加温、冷却および雰囲気制御をする方法を挙げることができる。
糖類、油脂類や合成樹脂材料を、粉砕したゲルと混合してもよい。これら化合物は、焼成時に炭化することにより正極材料の表面に炭素被覆を形成し、正極材料の導電性を向上させることができる。糖類としては、スクロース、フルクトース等を用いることができる。また、合成樹脂材料としては、ポリエーテル類としてはポリエチレングリコールやポリプロピレングリコール等のポリエーテル類や、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、カルボキシメチルセルロース、ポリ酢酸ビニル等を用いることができる。
本工程では、得られたゲルを焼成することでリチウム含有複合酸化物を得る。焼成は、400〜700℃、好ましくは400〜600℃の温度範囲で、1〜24時間をかけて行う。焼成時の雰囲気は、不活性雰囲気(アルゴン、窒素、真空等の雰囲気)又は還元性雰囲気(水素含有不活性ガス、一酸化炭素等の雰囲気)を用いることができる。均一に焼成を行うため、ゲルを攪拌してもよく、焼成時にNOxやSOx、塩素などの有毒なガスが発生する場合は、除去装置を設けてもよい。
得られたリチウム含有複合酸化物は、必要に応じて、粉砕工程及び/又は分級工程に付すことで、所望の粒径に調製してもよい。
得られたリチウム含有複合酸化物は、非水系電解質二次電池の正極活物質に使用できる。正極活物質には、上記リチウム含有複合酸化物以外に、LiCoO2、LiNiO2、LiFeO2、LiMnO2、LiMn2O4、Li2MnO3、LiCoPO4、LiNiPO4、LiMnPO4、LiFePO4等の他の酸化物が含まれていてもよい。
(a)正極
正極は、公知の方法を用いて作製することができる。例えば、正極活物質と導電材とバインダーとを有機溶剤を用いて混練分散してペーストを得、該ペーストを集電体に塗布することによって作製できる。なお、得られたリチウム含有複合酸化物が十分に高い導電性を有する場合には、導電材は必ずしも添加する必要はない。
負極は公知の方法により作製できる。例えば、負極活物質とバインダーと導電材とを混合し、得られた混合粉末をシート状に成形し、得られた成形体を集電体、例えばステンレスまたは銅製のメッシュ状集電体に圧着して作製できる。また、上記(a)正極で説明したようなペーストを用いる方法を用いて作製することができ、その場合、負極活物質と導電材とバインダーとを有機溶剤を用いて混練分散してペーストを得、該ペーストを集電体に塗布することによって作製できる。
非水系電解質としては、例えば、有機電解液、ゲル状電解質、高分子固体電解質、無機固体電解質、溶融塩等を用いることができる。
セパレータとしては、多孔質材料や不織布等の公知の材料を用いることができる。セパレータの材質としては、電解液中の有機溶媒に対して溶解したり膨潤したりしないものが好ましい。具体的には、ポリエステル系ポリマー、ポリオレフィン系ポリマー(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン)、エーテル系ポリマー、ガラス繊維等を挙げることができる。
電池容器のような他の部材についても公知の各種材料を使用でき、特に制限はない。
二次電池は、例えば、正極と負極と、それらの間に挟まれたセパレータとからなる積層体を備えている。積層体は、例えば短冊状の平面形状を有していてもよい。また、円筒型や扁平型の電池を作製する場合は、積層体を巻き取って巻回体としてもよい。
<i.溶解工程>
以下のように、鉄源、リチウム源、ジルコニウム源、シリコン源、リン源の順番で溶媒に溶解させた。
Liのモル量に対して30倍のモル量のエタノールに、鉄源としてFe(NO3)3・9H2Oを量りとり、完全に溶解するまで撹拌した。完全に溶解したことを確認した後、リチウム源としてLiCH3COOを量りとり、ジルコニウム源としてZrCl4、シリコン源としてSi(OC2H5)4を量りとり、順に溶解させていき、均一溶液を調製した。最後にリン源としてH3PO4(85重量%)を量りとり均一な溶液になるまで撹拌した。リチウム源であるLiCH3COOを0.9899gとして、Li:Fe:Zr:P:Si=1:0.875:0.125:0.75:0.25(モル比)、となるように各原料物質を秤量した。得られた溶液に、アセチレンブラックを加えて室温でスターラーにて1時間攪拌した。アセチレンブラックの量は、収率100%でのリチウム含有複合酸化物の重量に対して10重量%とした。
室温で1時間攪拌した均一な溶液を60℃の恒温槽にて24時間、保管することにより、ゲル化を行った。ゲル化時には、容器の蓋をして、溶媒の蒸発を抑制した。
ゲル化工程により、得られたゲルの容器の蓋を開け、60℃の恒温槽にて1晩放置することにより、溶媒を揮発させた。
ゲルを乾燥することにより得られた前駆体を、遊星式のボールミルを用いて粉砕した。遊星式のボールミルの条件としては、10mmφのジルコニアボールを使用し、400rpmの回転数で1時間の処理を行った。
粉砕した前駆体を水に溶かした炭素源を加えた。炭素源としては、スクロースを使用した。加えた量としては、前駆体の重量に対して15重量%とした。スクロースを加えた前駆体を乾燥後、乳鉢で粉砕した。
粉砕工程により得られた前駆体を550℃で12時間焼成した。焼成プロセスとしては、まず炉内を真空にした後、窒素をフローし、200℃/hの昇温速度で加熱した。降温速度は、炉冷とした。
得られた複合酸化物について、株式会社理学社製粉末X線回折装置MiniFlex IIを用いて粉末X線回折パターンの測定を行った。結果を図1に示す。オリビン型構造の結晶相の生成を確認した。また、Fe2O3やZrO2等の不純物に帰属されるピークがないことを確認した。
得られた正極活物質を約1g秤量し、メノウ乳鉢にて粉砕し、これに導電剤として、正極活物質に対して約10重量%のアセチレンブラック(商品名:「デンカブラック」、電気化学工業社製)と、結着剤として、正極活物質に対して約10重量%のポリビニリデンフルオライド樹脂粉末とを混合した。この混合物をN−メチル−2−ピロリドン等の溶剤に分散させてスラリー状にし、これを厚さ20μmのアルミニウム箔の両面にドクターブレード法で塗布した。塗布量としては約5mg/cm2となるようにした。この電極を乾燥した後に、プレスを行って正極を得た。
溶解工程において、全原料物質を溶解した均一な溶液に、平均分子量が200のポリエチレングリコール200とアセチレンブラックを加え、炭素源混合工程を行わなかったこと以外は、実施例1と同様の方法により行った。ポリエチレングリコール200の量としては、収率100%でのリチウム含有複合酸化物の重量に対して15重量%とし、アセチレンブラックの量としては、収率100%でのリチウム複合酸化物の重量に対して10重量%とした。
得られた複合酸化物について、実施例1と同様にして粉末X線回折パターンの測定を行った。結果を図2に示す。オリビン型構造の結晶相の生成および原料物質やZrO2等の不純物に帰属されるピークがないことを確認した。
実施例1と同様の方法により、電池を作製して電池特性を評価した。結果を表1に示す。本実施例では、114.6mAh/gの高い容量が得られた。
溶解工程において、全原料物質を溶解した均一な溶液に、平均分子量が200のポリエチレングリコール200とアセチレンブラックを加え、粉砕工程を乳鉢で行い、炭素源混合工程を行わなかったこと以外は、実施例1と同様の方法により行った。ポリエチレングリコール200の量としては、収率100%でのリチウム含有複合酸化物の重量に対して15重量%とし、アセチレンブラックの量としては、収率100%でのリチウム複合酸化物の重量に対して10重量%とした。
得られた複合酸化物について、実施例1と同様にして粉末X線回折パターンの測定を行った。結果を図3に示す。オリビン型構造の結晶相の生成および原料物質やZrO2等の不純物に帰属されるピークがないことを確認した。
実施例1と同様の方法により、電池を作製して電池特性を評価した。結果を表1に示す。本実施例では、92.5mAh/gの高い容量が得られた。
溶解工程時にアセチレンブラックを添加せず、正極作製の際にアセチレンブラックの量を20重量%とした以外は、実施例1と同様の方法により電池を作製し、電池特性の評価を行った。結果を表1に示す。本比較例では、65.2mAh/g程度の容量しか得ることができなかった。
Claims (3)
- 下記一般式(1)で表されるリチウム含有複合酸化物を製造する方法であって、原料物質を溶媒に溶解させて溶液を調製する工程と、得られた溶液に導電性炭素粒子を添加する工程と、得られた溶液をゲル化させる工程と、得られたゲルを焼成する工程とを含むリチウム含有複合酸化物の製造方法。
LixMyP1−zXzO4 (1)
(式中、Mは、Fe、Ni、Mn、Zr、Sn、AlおよびYからなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、Xは、Si及びAlから成る群から選択される少なくとも1種であり、0<x≦2、0.8≦y≦1.2、0≦z≦1の範囲である。) - 上記一般式(1)中のMがFeおよびZrであり、XがSiである請求項1記載の製造方法。
- 上記導電性炭素粒子を、生成するリチウム含有複合酸化物の1〜40重量%となるように添加する請求項1または2に記載の製造方法。
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