JP5259120B2 - 2成分型ポリウレタン接着剤 - Google Patents

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Description

発明の詳細な説明
発明の分野
本発明は、速い硬化速度及び硬化を開始する前の誘導期間を有する2成分型ポリウレタン接着剤組成物に関する。
発明の背景
2成分型ポリウレタン接着剤組成物は一般に室温で液状又はペースト状である成分を含み、それら成分が共に混合される。組成物の第1の成分はポリオール及び鎖延長剤、触媒ブロッキング剤、所望により他の添加剤などの他の成分を含む。第2の成分はモノマーの、ポリマーの又はプレポリマーのイソシアネートを含む。接着するために、接着剤の2つの成分は十分に混合され、その後組成物が基材に施される。混合された組成物はその後硬化を開始し、固体へと変化しながら接着強度を高めていく。硬化反応はフリーのイソシアネート基とポリオールからの活性水素との間で起こる。主要な硬化反応後に過剰量のフリーのイソシアネート基が存在していると、その過剰量のフリーのイソシアネート基が雰囲気又は基材からの表面水分によって硬化する。
2成分型ポリウレタン接着剤は1成分型組成物を越える多くの利点を提供する。そのような利点の1つは2成分型接着剤は非常に長い貯蔵寿命を有することである。さらに、そのような接着剤は異なる成分を幅広い範囲で配合することができる。幅広い範囲の成分を採用できるのでエンドユーザーは異なる配合物を設計する際に大きな自由度を有し、これが様々なエンドユーズ用途の需要を満たす。
2成分型接着剤組成物を配合する際に、しばしば、望ましい迅速硬化速度と望ましい長期オープン時間(long open time)との間に相反する関係が存在する。長期オープン時間が望ましい理由は、それがプロセスの柔軟性を向上し、接着される基材に良好な濡れをもたらすからである。触媒の添加は、一般に、硬化速度を高めるが、オープン時間を低減する。当業界において、成分を混合することと迅速硬化を開始することとの間に誘導期間を与える2成分型接着剤組成物が求められている。この誘導期間は長いオープン時間と基材の良好な濡れを可能にする。この誘導期間はまた、接着剤の最大限の可使寿命を可能にする一方、加工装置の設計を簡易なものにする。硬化が開始したら、迅速硬化によって加工を可能な限り迅速に行い、加工時間を最小にすることができる。
発明の概要
本発明は、1以上のポリオール類の第1の成分及び1以上のイソシアネート類の第2の成分を有する2成分型ポリウレタン接着剤組成物を提供する。この組成物はまた、1以上の触媒及び硬化反応を遅らせるための1以上のブロッキング剤を含む。この組成物は、長いオープン時間、接着される基材に対する改善された濡れ、迅速な硬化速度及び室温及び高温での優れた最終接着性能を与える。充填材、鎖延長剤、可塑剤などの成分が所望により添加されてもよい。
本発明の一つの態様において、触媒はジブチル錫ジラウレートなどの錫触媒であり、これは第3アミン類などの他の触媒と組み合わせてもよい。一つの態様においてブロッキング剤は8−ヒドロキシキノリン誘導体である。
好適な態様の詳細な記述
本発明は1以上のポリオール類の第1の成分及び1以上のイソシアネート類の第2の成分を含む2成分型ポリウレタン接着剤組成物に関する。イソシアネート成分及びポリオール成分は、通常、約1:1の当量比で使用される。本発明によれば、1以上のブロッキング剤を1以上の触媒と組み合わせて添加することによって、接着剤の成分の混合時間と硬化の開始時間との間に誘導期間が提供される。この誘導期間は多くの加工及び性能の利点を与える。
2成分型接着剤はポリオール成分及びイソシアネート成分を含む。十分に硬化した網目状構造を得るために、イソシアネートのアルコールに対する当量比は通常0.9〜1.25であり、好ましくは1〜1.2であり、最も好ましくは1.05〜1.15である。少し過剰量のイソシアネートがポリオールの完全な反応を確保する。過剰のイソシアネートは通常大気中の又は基材の水分との反応を通じて最終的な網目構造の一部となる。
接着剤の効果的で効率のよい混合のために、それらは同程度の粘度を有すること、及び混合される2つの成分の体積がおよそ等しいことが好ましい。2つの成分の密度は一般に同程度なので、体積が等しいことは2つの成分がほぼ等しい重量であることに相当する。
接着剤組成物のポリオール成分は1以上の様々なポリオール類を含むことができる。好ましくは、利用されるポリオール類は、少なくとも2の水酸基及び約500〜約5000の範囲の分子量を有し、例えば、ポリエステルポリオール類、ポリエーテルポリオール類、ポリオレフィンポリオール類、ポリカーボネートポリオール類、これらの混合物などが挙げられる。利用できるポリオール類としては、例えば、ポリヒドロキシエーテル類(置換又は非置換のポリアルキレンエーテルグリコール類又はポリヒドロキシポリアルキレンエーテル類)、ポリヒドロキシポリエステル類、ポリオール類のエチレン又はプロピレンオキサイド付加物、グリセロールの一置換エステル類、ポリブタジエンジオール、ポリイソブチレンジオール、ポリカルボネート類、及びそれらの混合物などが挙げられる。また「ポリマーポリオール類」、即ち、in situで重合されたビニルモノマー部分を含むグラフトポリオール類、例えば、Dow Chemical Companyから商業的に入手できるNiax 34-28が好適である。追加のポリオール類としては、例えば、ポリカプロラクトンジオール類、ポリカーボネートジオール類などが挙げられる。ポリオールは代表的には接着剤組成物全体の25重量%〜約75重量%の量で使用される。
ポリエーテルポリオール類としては、例えば、水酸基を有する線状及び/又は分枝状ポリエーテル類などが挙げられ、水酸基以外の官能基を実質的に含まない。ポリエーテルポリオールとしてはまた、ポリオキシアルキレンポリオール類(例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコールなど)なども挙げることができる。さらに、ポリオキシアルキレンポリオール類のホモポリマー及びコポリマーも採用できる。特に好ましいポリオキシアルキレンポリオール類のコポリマーとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、2-エチルヘキサンジオール-1,3 、グリセリン、1,2,6-ヘキサントリオール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、トリス(ヒドロキシフェニル)プロパン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、エチレンジアミン及びエタノールアミンからなる群から選ばれる少なくとも1の化合物とエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド及びブチレンオキサイドからなる群から選ばれる少なくとも1の化合物との付加物などが挙げられる。
ポリエステルポリオール類としては、例えば、分子当たり少なくとも1のエチレン性不飽和基を有し、主にヒドロキシル末端基を有する不飽和ポリエステルポリオール類などが挙げられ、これは好ましくは5未満の酸価を有する。ポリエステルポリオールは、1以上の飽和ジ−若しくはポリカルボン酸又は無水物と過剰量のグリコール類又は多価アルコール類との縮合反応によって得られるα,β−エチレン性不飽和ジカルボン酸化合物のオリゴマーから調製されることができる。不飽和ポリエステルポリオールはまた、不飽和ジ−若しくはポリカルボン酸(単数又は複数)又は無水物(単数又は複数)と過剰量のグリコール類及び/又は多価アルコール(単数又は複数)とから調製されることができる。本発明で使用されるポリオール類は、好ましくは5未満の酸価、最も好ましくは約2未満の酸価を有する。
好適な飽和若しくはポリカルボン酸としては、例えば、イソフタル酸、オルソフタル酸、テレフタル酸、アジピン酸、コハク酸、セバシン酸、これらの混合物などが挙げられ、アジピン酸が好ましい。代表的な不飽和カルボン酸又は無水物としては、例えば、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、クロロマレイン酸、アリルコハク酸、イタコン酸、メサコン酸、それらの無水物、これらの混合物などが挙げられる。無水マレイン酸が好ましい。本発明において有用なグリコール類及び多価アルコール類としては、例えば、ネオペンチルグリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、ポリエチレングリコール、グリセロール、マンニトール、1,-プロパンジオール、ペンタエリスリトール、1,6-ヘキサンジオール、1,3-ブタンジオール、これらの混合物などが挙げられる。好ましいポリオールは、アジピン酸と過剰のジエチレングリコールとの反応によって得られるポリエステルである。
多くの好適なポリオール類が商業的に入手できる。非限定例としては、ポリエーテル類(例えば、ARCOL PPG 2025 (Bayer)、PolyG 20-56 (Arch)、Pluracol P-2010 (BASF)など)、ポリエステル類(例えば、Dynacoll 7360 (Degussa)、Fomrez 66-32 (Crompton)、Rucoflex S-105-30 (Bayer)、Stepanpol PD-56 (Stepan)など)、ポリブタジエン(例えば、PolyBD R-45HTLO (Sartomer)など)などが挙げられる。好ましいポリオール類はポリエステルポリオールDesmophen S1011-35及びDesmophen F-207 (両者ともにBayerから入手可能)である。
接着剤組成物のイソシアネート成分は、1以上の種々の好適なポリマーの、モノマーの又はプレポリマーのイソシアネート類を含む。好適なジイソシアネート類としては、例えば、エチレンジイソシアネート、1,4-テトラメチレンジイソシアネート、1,4 及び/又は 1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、1,12-ドデカンジイソシアネート、シクロブタン-1,3-ジイソシアネート、シクロヘキサン-1,3- 及び1,4-ジイソシアネート、これらの異性体の混合物、1-イソシアナト-3,3,5-トリメチル-5-イソシアナトメチルシクロヘキサン、2,4- 及び2,6-ヘキサヒドロトリレンジイソシアネート、これらの異性体の混合物、ヘキサヒドロ-1,3- 及び/又は 1,4-フェニレンジイソシアネート、ペルヒドロ-2,4'-及び/又は4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート、1,3- 及び1,4-フェニレンジイソシアネート、2,4- 及び 2,6-トルエンジイソシアネート、これらの異性体の混合物、ジフェニルメタン-2,4'- 及び/又は 4,4'-ジイソシアネート、ナフチレン-1,5-ジイソシアネート、1,3- 及び 1,4-キシリレンジイソシアネート、4,4'-メチレン-ビス(シクロヘキシルイソシアネート)、4,4'-イソプロピル-ビス(シクロヘキシルイソシアネート)、1,4-シクロヘキシルジイソシアネート及び 3-イソシアナトメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(IPDI)、2,4- 及び 2,6-トルエンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1-メチロキシ-2,4-フェニレンジイソシアネート、1-クロロフェニル-2,4-ジイソシアネート、p-(1-イソシアナトエチル)-フェニルイソシアネート、m-(3-イソシアナトブチル)-フェニルイソシアネート 及び 4-(2-イソシアネート-シクロヘキシル-メチル)-フェニルイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、それらの混合物などが挙げられる。
過剰のジイソシアネートと水酸基又はアミン基を含む多官能性化合物との反応により得られるタイプ、即ち、実用的なポリウレタンの化学では「変性イソシアネート類」又は「イソシアネートプレポリマー」として示されるタイプの脂肪族又は芳香族ジイソシアネート類も使用することができる。好ましいイソシアネート成分は、ヒマシ油から誘導されるイソシアネートプレポリマーVorite 689 (Caschem Companyから入手可能)である。
本組成物に利用される触媒は少なくとも1の触媒を含み、錫又は有機錫の触媒であることが好ましい。触媒は接着剤の約0.001〜約1重量%の範囲を構成することができ、より好ましくは接着剤の約0.01〜約0.1重量%の範囲を構成する。本触媒組成物の一部を構成することができる錫化合物は、水酸基含有有機分子とイソシアネート類とからウレタン基を形成する反応のための慣用の触媒である。このクラスの錫化合物の代表例としては、例えば、カルボン酸の錫(II)塩、有機錫酸類(organostannonic acids)、例えばブチル錫酸など;有機チオ錫酸類(organothiostannonic acids);二有機錫酸化物(diorganotin oxides)、例えばジブチル錫酸化物など、二有機錫硫化物類(diorganotin sulfides);一及び二有機錫ハロゲン化物類、例えばジメチル錫ジクロライドなど;一及び二有機錫カルボキシレート類、例えばジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫アジペート、ジブチル錫マレエートなど;一及び二有機錫メルカプタイド類、例えばジブチル錫ビス(ラウリルメルカプタイド);メルカプトカルボン酸エステル類及びメルカプトアルカノールエステル類の一及び二有機錫誘導体、例えば、ジブチル錫-S,S'-ビス(イソオクチルメルカプトアセテート)、ジブチル錫 S,S'-ビス(メルカプトエチルステアレート);二有機錫酸化物類、例えば、ジブチル錫酸化物;βジケトン類の一及び二有機錫誘導体、例えば、ジブチル錫ビス-アセチルアセトネートなどが挙げられる。好ましい触媒はジブチル錫ジラウレートである。
使用できる追加の触媒としては、中でも、有機金属触媒が挙げられる。好適な有機金属触媒の幾つかの例としては、鉛、鉄、ビスマス、水銀、ジルコニウム、チタネート、亜鉛、コバルトなどの有機金属化合物が挙げられる。米国特許第4611044号(レファレンスによって本明細書に組み込まれる)に記載されるような鉄ペンタンジオン又はビスマスカルボキシレートなどの遅発触媒(delayed action catalyst)の使用も可能である。
組成物はまた、第3アミン触媒を含むことができる。第3アミン触媒の目的はイソシアネート基を求核置換に活性化して水との反応を促進して二酸化炭素の発生を起こし、ポリヒドロキシル化合物と反応してウレタンを形成することである。第3アミン触媒の例としては、N,N-ジメチルアミノエタノール、トリス(ジメチルアミノプロピル)アミン、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミン、ビス-(2-メチルアミノエチル)エーテル、N,N-ジメチルベンジルアミン、ジアミノビシクロオクタン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、N-メチルモルホリン、N-エチル-モルホリン、N-coco-モルホリン、N,N,N',N''-テトラメチル-エチレン-ジアミン、1,4-ジアザ-ビシクロ-(2,2,2)-オクタン、N-メチル-N'-ジメチル-アミノ-エチルピペラジン、N,N-ジメチルベンジルアミン、ビス-(N,N-ジエチル-アミノエチル)-アジペート、N,N-ジエチルベンジルアミン、ペンタメチル-ジエチレントリアミン、N,N-ジメチル-シクロヘキシルアミン、N,N,N',N'-テトラメチル-1,3-ブタンジアミン、N,N-ジメチル-β-フェニルエチルアミン、1,2-ジメチル-イミダゾール、2-メチルイミダゾール、それらの混合物などが挙げられる。また、商業的に入手できる第3アミン、例えば、Niax A-1(WITCOから入手可能)、Thancat DD(Huntsmanから入手可能)なども有用である。第2アミン類(例えばジメチルアミン)及びアルデヒド類(好ましくは、ホルムアルデヒド)又はケトン類(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなど)及びフェノール類(例えば、フェノール、ノニルフェノール、又はビスフェノール)から得られることで知られるマンニッヒ塩基及び炭素−ケイ素結合を有するシラアミン類(例えば、ドイツ国特許第1,229,290号及び米国特許第3,620,984号に記載されるようなもの)もまた触媒として使用できる。例えば、2,2,4-トリメチル-2-シラモルホリン、1,3-ジエチルアミノ-エチルテトラメチル-ジシロキサンなどが挙げられる。NIAX A-300、NIAX A-400、NIAX-107、DABCO 8154、DABCO DC-1、DABCO DC-2などの遅発触媒も使用できる。好ましい第3アミン触媒は、1,4-ジアザ-ビシクロ-(2,2,2)-オクタン(DBACO 33-LVとしてAir Products Companyから入手可能)(ジプロピレングリコール中33% トリエチレンジアミン)である。
1以上のブロッキング剤が利用されて接着剤組成物の2つの成分の混合とその硬化の開始との間に誘導期間を与える。ブロッキング剤は、好ましくは、下記構造:
Figure 0005259120
(式中、A、B、C、D、E及びFは、水素、アルキル、ハロゲンなど(これらに限定されない)の化学基の1つ又は組合せであることができる。)
を有する。
この構造を有するブロッキング剤としては、例えば、8−ヒドロキシキノリン(式中のA〜Fは全て水素である。)及びその誘導体などが挙げられる。ブロッキング剤の添加は、誘導期間を与える。この誘導期間は接着剤の成分を混合した直後に硬化速度の減少を引き起こす。硬化速度の減少はブロッキング剤を含まない組成物においてみられるよりも低い混合直後の初期引張せん断強度及び貯蔵弾性率をもたらす。この誘導期間に続いて、接着剤は速やかに硬化して引張せん断強度及び貯蔵弾性率がブロッキング剤を含まない接着剤によって生成されるものと同様のものとなる。ブロッキング剤は接着剤の約0.001〜約10重量%の範囲を構成することができ、より好ましくは接着剤の約0.01〜約0.5重量%の範囲を構成する。
鎖延長剤が場合によって本発明の2成分型接着剤組成物に添加されてもよい。これらの例としては、低分子量ジオール類及びポリオール類、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、グリセロール、ヒドロキシル末端ポリエチレンオキサイド(ポリエチレングリコール)、グリセリン、それらの混合物などが挙げられる。本発明において有用な一つの好ましい鎖延長剤はエチレングリコールである。本発明において使用されてもよい他の慣用の鎖延長剤としては、ジアミン類、ポリアミン類などが挙げられ、これはポリオール成分と共にブレンドされイソシアネート成分と反応すると、組成物から相分離しない。そのようなアミン化合物としては、例えば、エチレンジアミン、ポリオキシプロピレンジアミン、trans-又はcis-の1,2-及び1,4-ジアミノシクロヘキサン又はそれらの混合物、ジメチルジアミノジシクロヘキシルメタン、1,2-プロパンジアミンなどが挙げられる。本発明において使用されてもよいさらに他の鎖延長剤としては、例えば、アミン含有アルコール類又はアミン含有ポリオール類などが挙げられる。この例としては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、テトラ(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン(Quadrol polyol (BASF Corporation)として入手可能)などが挙げられる。
そのような鎖延長剤は本発明の組成物に幾つかの利益を与える。例えば、イソシアネートと反応して可撓性、耐衝撃性及び反応速度を改善することが挙げられる。鎖延長剤は組成物の約0〜約20重量%を構成し、より好ましくは組成物の約3〜約15重量%を構成する。
場合によって、充填材、繊維、可塑剤、顔料、着色剤、難燃剤、チキソトロピー剤などの加工助剤、及び内部潤滑剤(これらは全て当業者に周知である。)を本発明の2成分型接着剤組成物に添加することができる。様々な有機又は無機の充填材を、2成分の反応の発熱を低減するため、物理的に強化するため、及び/又はそのコストを低減するために添加することができる。充填材としては、例えば、タルク、炭酸カルシウム、シリカビーズ、硫酸カルシウム、アルミニウムトリハイドレート、アンモニウムポリホスフェート、などの材料が挙げられ、炭酸カルシウム、アルミニウムトリハイドレート、それらの混合物が本発明において好ましい。充填材又は他の添加剤の量は、所望の用途に応じて変化する。
本発明を以下の非限定的実施例によってさらに説明することができる。
実施例
2成分型ポリウレタン接着剤の様々な配合物を以下の方法に従って調製した。第1の成分(A成分)を調製するために、ポリオール(単数又は複数)の所望の量が汚れていない反応器へ装填され、組成物が十分に混合された。減圧と加熱が反応器に施された。減圧は反応器の内容物が225Fに達した後1時間続けた。その後減圧を解除し、鎖延長剤、触媒、及び8−ヒドロキシキノリンを、攪拌しながら、所望量で反応器に装填した。材料成分を全て加えた後、混合をさらに20分間続けた。その後、反応器の内容物は、別の汚れていない容器に移され、室温で冷却された。この時点でA成分を2成分型接着剤に使用するための準備が整った。貯蔵の目的のために、その容器は密封される前に乾燥窒素でパージされるべきである。第2の成分(B成分)はウレタンプレポリマーである。これらの実施例の目的のために、イソシアネート含量が17%であるVorite 689 イソシアネート(Caschemから商業的に入手可能)を利用した。
3つの配合物のA成分の組成を表1に示す。表1に示すように、比較配合物1並びに配合物2及び3は8−ヒドロキシキノリンブロッキング剤の使用以外は同じ組成物である。
Figure 0005259120
N.B.DABCO 33-LVはAir Products Companyから商業的に入手できる。
Desmophen S1011-35はBayer Material Sciencesから商業的に入手できる。
Desmophen F-207はBayer Material Scienceから商業的に入手できる。
配合物1〜3は物理的特性及び性能特性を試験された。2成分型液状ポリウレタン接着剤に関して重要な性能特性としては、粘度、硬化反応速度(これはオープン時間に関係する。)、周囲条件及び高温(耐熱性)における強度特性等が挙げられる。硬化反応速度は、接着直後の時間の関数としての引張ラップ(lap)せん断試験によって測定される。強度特性は、硬化して5日間調整した試料について周囲条件(ambient conditions)で引張ラップせん断試験及びクリーベージピール(cleavage peel)試験によって測定される。耐熱性は5日硬化試料を80℃で半時間(half an hour)調整し、直ぐに引張ラップせん断によって試験することによって測定する。
あらゆる性能試験が行われる前に、接着剤の2成分の各々は、両端を密封した同じカートリッジ内の別個の区画へと等量で装填された。このカートリッジはその後カートリッジ−銃へと装填され、混合チップ(mixing-tip)がその正面端部上に設置された。引き金に一定の圧力をかけることによって、2つの成分は混合チップに押し出され、基材に施される前に十分な混合が確保される。
粘度はBrookfield DV- I + viscometer (#27 スピンドルを使用)上で周囲温度(ambient temperature)で試験した。
2つのタイプの試料を引張ラップせん断試験及びクリーベージピール試験のために調製した。基材はABS及びアクリル樹脂の剛性プラスチック(厚さ0.1インチ)であった。基材は引張試験のために1''×4''の寸法に切断され、クリーベージピール試験のために1''×6''の寸法に切断された。
引張ラップせん断試験は、ASTM D3163-01 Standard Test Method for Determining Strength of Adhesively Bonded Rigid Plastic Lap-Shear Joints in Shear by Tension Loadingに基づいて行った。接着オーバーラップ領域は1''×1''で、40ミルの接着厚さを有していた。
クリーベージピール試験は、ASTM D38-7-98 Standard Test Method for Strength Properties of Adhesives in Cleavage Peel by Tension Loadingに基づいて行った。接着オーバーラップ領域は1''×3''で、24ミルの接着厚さを有していた。
表2は、表1に記載される配合物の物理的特性及び性能特性を示す。比較配合物1と比較して、配合物2及び3の両方が少量の8−ヒドロキシキノリンの添加に起因する明緑色を有する。
Figure 0005259120
基材はABS及びアクリル樹脂パネルであった。
全ての接着試験結果はPSI(pound per square inch)であった。
硬化速度試験で不良モードは、アクリル基材に対する接着不良を示すアスタリスクでマークされたもの以外は全て結合力のある不良(cohesive failure)であった。全ての5日の結果における不良モードは、アクリル基材に対する接着不良であった。配合物1の硬化反応速度は多くの加工用途にとっては速すぎるものであった。混合塗布して接合を形成した後10分以内に接着剤は液体状態から固体状態へと変化し、49.7psiのラップせん断強度を生じさせた。配合物1のラップせん断強度はその後の15分間にわたり速やかに増加した。配合物1の非常に早い固化は、接合アセンブリに短いオープン時間を与えるに過ぎない。対照的に、配合物2は強度の増大がよりゆっくりとしている。配合物2及び3のラップせん断強度試験は塗布と硬化の間の誘導期間を明確に示している。配合物2のラップせん断強度は硬化後10分で7.1psiに過ぎず、同じ時間における配合物1の強度よりも有意に低い。15分の時点で、配合物2のラップせん断強度は56.1psiに増加するが、この値さえも同じ時間における配合物1の強度よりも有意に低い。しかし、配合物2の接着強度はその後の5分間にわたり急激に増加する。このラップせん断強度は硬化の20分で149.6psi、25分で184.2psiであったが、これは同じ時間における配合物1のラップせん断強度と同等である。誘導期間を有する遅発硬化プロファイルは、接着剤に対して最大限のオープン時間及び可使時間が要求される多くの用途に好ましい。配合物3において、硬化反応はさらに遅れるが、それはより多くのブロッキング剤が添加されたからである。結局、少量の8−ヒドロキシキノリンをブロッキング剤として添加することによって接着剤の硬化速度及び接着強度の増加が硬化後の初期の段階で効果的に遅れ、その後ブロッキング剤を添加しない配合物に匹敵するレベルまでこれらが急激に増大する。
ブロッキング剤を含む接着剤の最終的な性能特性は耐熱性及びクリーベージピール試験におけるものである。表2に示されるように、配合物2及び3は耐せん断試験、クリーベージピール試験及び引張ラップせん断試験において良好な最終性能特性を与える。ブロッキング剤を含む両配合物は、硬化5日間後には、一般に望ましい引張ラップせん断強度である200psiを超えた。
接着剤の硬化反応速度はまた、2成分が混合された後の時間の関数としての貯蔵弾性率(G’)のレオロジー測定によって測定することができる。この試験は、ARES-Mレオメータにおけるダイナミックタイムスウィープ(Dynamic Time Sweep)試験を組み込む。液体接着剤は、その温度を25℃に維持しながら、その試験にわたり維持される板間の1mmの隙間を伴う25mm直径の平行板上に押し出される。測定は10秒ごとに行われ、振動せん断が10.0rad/秒の周波数で1%歪みで施される。合計時間は、1実施当たり1200秒(20分)である。
硬化時間の関数としての貯蔵弾性率(G’)の例が図1に示される。配合物1のG’は硬化反応の開始から急激に立ち上がり、15分後にプラトーに到達し始める。しかし、ブロッキング剤としての8−ヒドロキシキノリンを有する配合物2及び3に関しては、G’は最初の段階で非常にゆっくりと増大し、その後非常に速い速度で増大する。硬化後20分の時点でそのG’は配合物1のものと同等のレベルに増加する。従って8−ヒドロキシキノリン誘導体などのブロッキング剤を添加する効果を全体としてみると、初期の段階で誘導期間があり、誘導期間後はその硬化速度が急激に増加することとなっている。
比較例
配合物4、5及び6を配合物1、2及び3と同様の方法に従って調製した。配合物4、5及び6のA成分の組成を表3に示す。
Figure 0005259120
Atlas G-1672はポリオキシプロピレンビスフェノールAである(Uniqemaから商業的に入手可能)。
Coscat 83はビスマス触媒である(Caschem Inc.から商業的に入手可能)。
比較配合物4、5及び6の物理的特性及び性能特性は、配合物1、2及び3と同様の方法に従って試験した。その結果を表4に示す。
Figure 0005259120
比較配合物4の硬化反応速度は、特に配合物2と比較して全体的に非常にゆっくりとしていた。60分におけるそのラップせん断試験では60PSIに達する程度しかなかった。配合物5の硬化反応速度はやや速いが、迅速接着生成プロセス用としては十分ではない。配合物6は非常に早い硬化速度を有するが、そのラップせん断強度は接着のわずか10分の時点で80psiに達した。その結果、接着のための非常に短いオープン時間であった。それ故、比較配合物のいずれもが配合物2及び3のような望ましい硬化速度を与えることができなかった。
当業者に明らかであるように、本発明の多くの変更及び変形がその精神及び範囲を逸脱することなく行い得る。本明細書に記載される特定の態様は例示の手段としてのみ与えられ、本発明は添付の特許請求の範囲の記載並びにそのような特許請求の範囲が与える均等物の全範囲によってのみ制限されるべきである。
時間の関数としての硬化の程度(貯蔵弾性率G’の増加によって表示)のグラフである。本発明の接着剤は既存の接着剤と比較されている。

Claims (18)

  1. 1以上のポリオール類の第1の成分及び1以上のイソシアネート類の第2の成分を含む2成分型ポリウレタン接着剤組成物であって、第1及び第2の成分の少なくとも1つが、錫触媒、有機錫触媒、有機金属触媒、アミン触媒、第3アミン触媒及びそれらの混合物を含む群から選ばれる1以上の触媒、及び下記構造:
    Figure 0005259120
    (式中、A、B、C、D、E及びFは、水素、アルキル、ハロゲンの1つ、又はそれらの組合せである。)
    を有する1以上のブロッキング剤をさらに含む組成物。
  2. ブロッキング剤が8−ヒドロキシキノリンである、請求項1の接着剤。
  3. ブロッキング剤が接着剤の0.0001〜10重量%の範囲を構成する請求項1の接着剤。
  4. ブロッキング剤が接着剤の0.01〜0.5重量%の範囲を構成する請求項3の接着剤。
  5. 触媒がジブチル錫ジラウレートである、請求項1の接着剤。
  6. 触媒が有機錫触媒及び1以上のアミン触媒を含む、請求項1の接着剤。
  7. 触媒が接着剤の0.001〜1重量%の範囲を構成する、請求項1の接着剤。
  8. 触媒が接着剤の0.01〜0.1重量%の範囲を構成する、請求項7の接着剤。
  9. 1以上のポリオール類が少なくとも2の水酸基を有し、500〜5000の範囲内の分子量を有する、請求項1の接着剤。
  10. 1以上のポリオール類がポリエーテルポリオール類、ポリエステルポリオール類、ポリカーボネートポリオール類、ポリオレフィンポリオール類及びそれらの混合物からなる群から選ばれる、請求項9の接着剤。
  11. 1以上のポリオール類が接着剤の25重量%〜75重量%の範囲を構成する、請求項9の接着剤。
  12. 1以上のイソシアネート類がプレポリマーのイソシアネート、ポリマーのイソシアネート、モノマーのイソシアネート及びそれらの混合物の群から選ばれる、請求項1の接着剤。
  13. 接着剤が1以上の鎖延長剤をさらに含む、請求項1の接着剤。
  14. 1以上の鎖延長剤が低分子量ジオール類、ジアミン類及びアミン含有アルコール類、低分子量ポリオール類、ポリアミン類及びアミン含有ポリオール類、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、グリセロール、ヒドロキシル末端ポリエチレンオキサイド(ポリエチレングリコール)、グリセリン、エチレンジアミン、ポリオキシプロピレンジアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、及びトリエタノールアミン、テトラ(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、及びそれらの混合物からなる群から選ばれる、請求項13の接着剤。
  15. 1以上の鎖延長剤が接着剤の20重量%以下の範囲を構成する、請求項14の接着剤。
  16. 接着剤が充填材、繊維、可塑剤、顔料、着色剤、難燃剤、加工助剤、チキソトロピー剤、内部潤滑剤、有機又は無機充填材、有機又は無機繊維、タルク、炭酸カルシウム、シリカビーズ、硫酸カルシウム、アルミニウムトリハイドレート、アンモニウムポリフォスフェート、及びそれらの混合物からなる群の1以上をさらに含む、請求項1の接着剤。
  17. 1以上のポリオール類の第1の成分及び1以上のイソシアネート類の第2の成分を含む2成分型ポリウレタン接着剤組成物の硬化の前に誘導期間を与える方法であって、該第1及び第2の成分のいずれかが更に錫触媒、有機錫触媒、有機金属触媒、アミン触媒、第3アミン触媒及びそれらの混合物を含む群から選ばれる1以上の触媒を含み、該方法が、該接着剤組成物の成分の少なくとも1成分に、下
    記構造:
    Figure 0005259120
    (式中、A、B、C、D、E及びFは、水素、アルキル、ハロゲンの1つ、又はそれらの組合せである。)
    を有する1以上のブロッキング剤を添加し、それら成分を共に混合する工程を含む方法であって、該誘導期間が該成分の混合時間と硬化の開始時間との間の期間である方法
  18. 請求項1記載のポリウレタン接着剤組成物の硬化物を有する基材。
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