JP5252130B2 - ノボラック型フェノール樹脂の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ノボラック型フェノール樹脂の製造方法に関するものである。
本願は、2010年6月14日に、日本に出願された特願2010−134781号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
ノボラック型フェノール樹脂は、フェノール類とアルデヒド類とを、塩酸、硫酸、リン酸、亜リン酸、蓚酸、及びp−トルエンスルホン酸といった無機酸や有機酸を触媒として反応させることで得られる。ノボラック型フェノール樹脂の分子量は、フェノール類とアルデヒド類との仕込比率等で調整するのが一般的であるが、分子量が小さいノボラック型フェノール樹脂は、分子量分布が広くなりやすい。分子量分布を狭くする一般的手段としては、有機溶媒中で反応させる方法、及び水蒸気蒸留あるいは溶剤洗浄により低分子量成分を除去する方法がある。しかしながら、前者の場合は低分子量のノボラック型フェノール樹脂は得られず、後者の場合は収率が大きく低下してしまう。
このような問題に対して、例えば、フェノール類とアルデヒド類とを、有機ホスホン酸を反応触媒として反応させる、ノボラック型フェノール樹脂の製造方法が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。しかしながら、未反応フェノール類の低減、ノボラック型フェノール樹脂の高収率化などについて、更なる向上が望まれている。
特開2002−194041号公報
本発明は、未反応フェノール類の含有量が少なく、かつ、分子量分布が狭いノボラック型フェノール樹脂を高収率に製造する方法を提供する。
このような目的は、下記[1]〜[]に記載の本発明により達成される。
[1]フェノール類とアルデヒド類とを反応させるノボラック型フェノール樹脂の製造方法であって、反応触媒として水溶性を有する有機ホスホン酸を用いるとともに、反応助触媒として3級ホスフィン化合物を用い、前記水溶性を有する有機ホスホン酸が、下記一般式(1)で示される構造を有することを特徴とする、ノボラック型フェノール樹脂の製造方法。
R−PO(OH) (1)
(Rは、炭素原子を含み、かつ、−COOH及び/又は−PO(OH) を含む基である)
[2]上記3級ホスフィン化合物を、上記フェノール類に対して100〜5000ppm用いる、上記[1]に記載のノボラック型フェノール樹脂の製造方法。
[3]上記フェノール類とアルデヒド類とを、反応系中の水分量を30重量%以下、反応温度を110〜200℃の条件で反応させる、上記[1]又は[2]に記載のノボラック型フェノール樹脂の製造方法
[4]上記3級ホスフィン化合物が、トリフェニルホスフィンである、上記[1]ないし[]のいずれかに記載のノボラック型フェノール樹脂の製造方法。
]上記フェノール類とアルデヒド類とを、密閉装置中で反応させる、上記[1]ない
]のいずれかに記載のノボラック型フェノール樹脂の製造方法。
]上記フェノール類、アルデヒド類、水溶性を有する有機ホスホン酸、及び、3級ホスフィン化合物を一括して仕込み反応させる、上記[1]ないし[]のいずれかに記載のノボラック型フェノール樹脂の製造方法。
]上記フェノール類とアルデヒド類とを、連続式混合装置で反応させる、上記[1]ないし[]のいずれかに記載のノボラック型フェノール樹脂の製造方法。
]上記連続式混合装置として、静止型ミキサーを用いる、上記[]に記載のノボラック型フェノール樹脂の製造方法。

本発明の製造方法は、従来のノボラック型フェノール樹脂の製造方法より、未反応フェノール類の含有量が少なく、かつ、分子量分布が狭いノボラック型フェノール樹脂を高収率で得ることができる。このため、工業的なノボラック型フェノール樹脂の製造方法として好適である。
以下に、本発明のノボラック型フェノール樹脂の製造方法(以下、単に「製造方法」ということがある)の好ましい例について詳細に説明する。しかしながら、本発明はこれら例のみに限定されず、発明を逸脱しない範囲で数や量や種類や条件などの変更や省略あるいは追加をする事ができる。
本発明の製造方法は、フェノール類とアルデヒド類とを反応させるノボラック型フェノール樹脂の製造方法であって、反応触媒として水溶性を有する有機ホスホン酸を用いるとともに、反応助触媒として3級ホスフィン化合物を用いることを特徴とする。
本発明の製造方法に用いられるフェノール類は、特に限定されるものではない。1種又は2種以上のフェノールを選択し、必要に応じて組み合わせて使用できる。好ましく使用されるフェノール類の例としては、フェノール、オルソクレゾール、メタクレゾール、パラクレゾール、キシレノール、パラターシャリーブチルフェノール、パラオクチルフェノール、パラフェニルフェノール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、及びレゾルシンからなる群から選ばれた少なくとも1種以上のフェノール類を挙げることができる。その他の好ましい例としてはエチルフェノール、イソプロピルフェノール、ノニルフェノール、クミルフェノール、アミノフェノール、ニトロフェノール、ナフトール、ハイドロキノン、ビスフェノールS、ジヒドロキシナフタリンなどを挙げることができる。
本発明の製造方法に用いられるアルデヒド類は、特に限定されるものではない。1種又は2種以上のアルデヒドを選択し、必要に応じて組み合わせて使用できる。好ましくは、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ブチルアルデヒド、アクロレイン、プロピオンアルデヒド、クロラール、フルフラール、グリオキザール、ブチルアルデヒド、カプロアルデヒド、アリルアルデヒド、ベンズアルデヒド、クロトンアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、トルアルデヒド、サリチルアルデヒド等から選択されるいずれか、あるいはこれらの混合物である。アルデヒド類の発生源となる物質あるいはこれらのアルデヒド類の溶液を本発明の製造方法に使用することも可能である。アルデヒド類の発生源となる物質の例としては、例えばパラホルムアルデヒド、ヘキサメチレンテトラミン、ポリオキシメチレンなどが挙げられる。
上記フェノール類とアルデヒド類との反応モル比は、フェノール類1.0モルに対して、好ましくはアルデヒド類0.1〜3.0モル、より好ましくは0.3〜2.0モル、さらに好ましくは0.5〜1.0モルである。
フェノール類とアルデヒド類との反応方法としては特に限定されない。例えば、反応の開始時において、フェノール類とアルデヒド類を全量一括して仕込み、これに反応触媒、及び反応助触媒を添加し反応させてもよい。全てを一括して混合しても良い。あるいは、反応初期の発熱を抑えるため、フェノール類と反応触媒、及び反応助触媒を反応容器に添加してから、アルデヒド類を逐次添加して反応させてもよい。アルデヒド類は2回以上に分けて添加しても良い。
本発明の製造方法において反応触媒として使用する有機ホスホン酸は、ホスホン酸基−PO(OH)を含む有機化合物であり、水溶性を有するものであればいかなる化合物も使用可能である。前記有機ホスホン酸の中でも下記一般式(1)で示される有機ホスホン酸が、未反応フェノール類の含有量が少なく、かつ、分子量分布が狭いノボラック型フェノール樹脂を高収率に得るために好ましい。
R−PO(OH) (1)
(Rは、炭素原子を含み、かつ、−COOH及び又は−PO(OH) を含む基である)
この有機ホスホン酸は1以上の−PO(OH)を含み、式中のRは炭素原子及び−COOH及び−PO(OH) の少なくとも1つを含む。前記Rは必要に応じて選択できるが、炭素数が少ない程化合物の水溶性が高くなりより好ましい。
上記一般式(1)で示される有機ホスホン酸の例としては、アミノポリホスホン酸類であるエチレンジアミンテトラキスメチレンホスホン酸、エチレンジアミンビスメチレンホスホン酸、アミノトリスメチレンホスホン酸、β−アミノエチルホスホン酸N,N−ジ酢酸、アミノメチルホスホン酸N,N−ジ酢酸や、1−ヒドロキシエチリデン−1,1’−ジホスホン酸、及び2−ホスホノブタン−1,2,4−トリカルボン酸等がある。
本発明の目的からみて、工業的に大量生産され安価であるアミノトリスメチレンホスホン酸や、1−ヒドロキシエチリデン−1,1’−ジホスホン酸、2−ホスホノブタン−1,2,4−トリカルボン酸が好ましい。
有機ホスホン酸の添加量としては、フェノール類1モルに対して0.001〜4.0モルが好ましく、より好ましくは0.003〜2.0モルであり、さらに好ましくは0.005〜1.0モルであり、特に好ましくは0.01〜0.5モルである。有機ホスホン酸の添加量が多いほど、未反応フェノール類の含有量が少なく、かつ、分子量分布が狭いノボラック型フェノール樹脂を高収率で得るという効果は大きいが、反応触媒添加量が4.0モルを越えるとその効果が変わらなくなる。0.001モル未満では、反応触媒としての効果が実質的になくなる。本発明では上記範囲のうちで、必要に応じて有機ホスホン酸の添加量を選択できるが、有機ホスホン酸の量が少ないと残留する成分が少なくなるという点で有利である。
また、本発明の製造方法では、前記触媒等と、シュウ酸、硫酸、塩酸、及びp−トルエンスルホン酸などの通常ノボラック型フェノール樹脂の製造で使用する酸との併用も可能である。これらの酸の併用は特に4核体以上の高分子の領域での反応促進に有効であり、分子量分布を制御する方法として有効な手段と言える。
本発明の製造方法に反応助触媒として用いられる3級ホスフィン化合物としては必要に応じて選択できるが、例えば、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、メチルジフェニルホスフィン、ジメチルフェニルホスフィン、トリトリルホスフィン、トリスメトキシホスフィン、トリブチルホスフィン、トリオクチルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン等がある。これらの中でも、本発明の目的から疎水性の強いトリフェニルホスフィンが更に好ましい。これにより、未反応フェノール類の含有量が少なく、かつ、分子量分布が狭いノボラック型フェノール樹脂を高収率で得るという本発明の効果を高めることができる。
3級ホスフィン化合物の添加量としては、フェノール類に対して100〜5000ppmであることが好ましく、より好ましくは300〜3500ppm、さらに好ましくは、500〜2000ppmである。添加量が100ppm未満では、3級ホスフィン化合物添加による、未反応フェノール類の含有量が少なく、かつ、分子量分布が狭いノボラック型フェノール樹脂を高収率で得るという効果が低い。5000ppmを超えるとその効果が実質的に変わらない。上記範囲のうちで、必要に応じて3級ホスフィン化合物の添加量を選択できるが、3級ホスフィン化合物の量が少ないと残留する成分が少なくなるという点で有利である。
本発明の製造方法の各条件は必要に応じて選択できるが、例えば、フェノール類とアルデヒド類とを、反応系中の水分量を、効果や取り扱いの点等から40重量%以下にすることが適当であり、好ましくは30重量%以下にして反応させると好適である。また反応温度を110〜200℃として、反応させることが好ましい。
この反応条件は、未反応フェノール類のみならず、2核体や3核体といった低分子量領域のノボラック型フェノール樹脂が更に選択的に反応するのに有効であり、分子量分布を効果的に狭くすることができる条件である。言い換えれば、未反応フェノール類の反応は、上記反応条件から外れた条件でも、即ち、水分が多く、低温下でも十分に行いうるが、一方で、2核体、3核体等の比較的低分子領域にある樹脂の更なる選択的な反応は、上記反応条件から外れた条件では不十分となることがあり、その結果分子量分布が広くなる傾向がある。
本発明において、反応系中の水分量とは、系内に存在するフェノール類、アルデヒド類、フェノール類とアルデヒド類が反応したノボラック型フェノール樹脂、有機ホスホン酸、3級ホスフィン化合物、及び水分等の全体合計量に対する水分量である。
水分には、仕込み時に添加した水分、添加するアルデヒド類に含まれる水分、添加する有機ホスホン酸に含まれる水分、有機ホスホン酸の結晶水等、仕込み原料に由来する水分、及び反応時に発生する縮合水などがある。本発明では、これらの反応系中の水分量が40重量%以下が適当であり、30重量%以下であることが好ましく、より好ましくは1〜20重量%であり、さらに好ましくは1〜15重量%である。反応系中の水分量の計算方法は、仕込み原料中の水分量と反応で生成する縮合水量を反応系中の水分量とし、これを仕込み全量で除した値である。また、水を蒸留して取り除きながら反応させる場合、上記仕込み原料中の水分量及び反応で生成する縮合水量から溜去した水分量を減じた水分量が反応系中の水分量である。この水分量は少ない程、未反応フェノール類の含有量が少なくなり、かつ、分子量分布が狭いノボラック型フェノール樹脂を高収率に得る効果が高くなるので、20重量%以下がより好ましい。しかし、水分量が少なすぎると有機ホスホン酸が高粘度化若しくは固結し、触媒作用が低下するため、結晶水を含む程度の水分量である1重量%以上が好ましい。水分量が30重量%を越えるとそれら効果がほとんど変わらなくなる。
本発明の製造方法における反応温度は必要に応じて選択できる。ただし場合によっては、110℃より低いと、上記のような水分量の少ない条件下では、触媒である有機ホスホン酸が高粘度化若しくは固結し、触媒作用が低下することがある。200℃を越えると有機ホスホン酸の分解及びノボラック型フェノール樹脂の分解が起こる場合がある。よって110℃〜200℃以下で反応を行うことが好ましい。一方、有機ホスホン酸、及びノボラック型フェノール樹脂の分解は低温では起こりずらい。しかし、水分量1〜20重量%の場合、有機ホスホン酸が高粘度化若しくは固結せずに触媒作用を十分に有した状態となるための温度範囲は、130〜160℃であることが好ましい。なお本発明において、反応を行う際に使用しても良い攪拌などの為の手段、装置及びその条件は、任意で選択できる。
常圧下の反応であれば、水分量が30重量%以下の範囲で還流温度はほぼ110〜200℃にあたり、温度及び水分量のコントロール上、常圧反応は好ましい条件である。この他にも本発明で使用できる反応条件としては、ブタノールやプロパノール等非水溶剤を使用した溶剤還流脱水反応、及び高圧反応等が考えられる。また、アルデヒド類を添加しながら、生成する縮合水を蒸留等で取り除く反応は、反応系中の水分量が一定となり好ましい。しかし、この時、未反応のフェノール類が水分と一緒に取り除かれやすくなる欠点があるので、注意を要する。この欠点を克服するため、未反応フェノール類が一定量以下となるまで、未反応のフェノール類が蒸留されないようにして反応を行い、次いで、蒸留により水分を取り除いた後あるいは取り除きながら、反応系中の水分を30重量%以下、反応温度を110〜200℃として、反応を続けることができる。
本発明の製造方法において、有機ホスホン酸を反応触媒として用い、3級ホスフィン化合物を反応助触媒として用いることによって、未反応フェノール類の含有量が少なく、分子量分布の狭いノボラック型フェノール樹脂を高収率で得られる理由は、以下のように考えられる。
本発明の製造方法に用いる有機ホスホン酸は、非常に水溶性が高い。しかし、有機ホスホン酸はフェノール類には溶解性が小さく、またノボラック型フェノール樹脂には樹脂の分子量増大とともに有機ホスホン酸の溶解性が更に小さくなる性質を有している。このため反応時には、反応触媒である有機ホスホン酸を多量に含んだ水相と、フェノール類、及び形成されたノボラック型フェノール樹脂からなる、反応触媒がほとんど存在しない有機相とに相分離した状態となる。フェノール類及び2核体等の低分子量成分は比較的水相に溶出しやすく、溶出した部分は水相中のアルデヒド類と反応する。しかし、高分子量領域では、すなわち高分子量成分は、水相への溶出がほとんどなく反応が進まない。また、水相で生成したノボラック型フェノール樹脂は速やかに有機相に抽出され、その以上反応は進みにくくなる。
しかしながら、フェノール類、及びノボラック型フェノール樹脂を含有する有機相にも極微量の反応触媒が存在する。このため有機相においても反応が進行し、このことが、高収率を達成しつつ分子量分布を狭くする効果を低下させる。
ここで、反応助触媒として3級ホスフィン化合物を使用することによって、有機相中での有機ホスホン酸の触媒作用を抑えられる。これにより、低分子量領域と高分子量領域の反応速度差が、反応触媒として有機ホスホン酸のみを用いた場合より大きくなるため、結果的に未反応フェノール類の含有量が少なく、かつ、分子量分布が狭いノボラック型フェノール樹脂を高収率に製造する事が可能となる。
本発明は、反応触媒として有機ホスホン酸、反応助触媒として3級ホスフィン化合物を用いること、及び好ましくは、反応条件として、反応系中の水分を30重量%以下、反応温度を110〜200℃とすることを特徴とする。
本発明の製造方法において、好ましくは上記反応条件とすることにより、分子量分布が狭く、かつ高収率であるノボラック型フェノール樹脂を得ることができる理由は、以下のように考えられる。反応系中の水分が30重量%以下と少なく、反応温度が110℃以上の高温であることにより、以下のような効果を得ることができる。まず、高温であることから、フェノール類だけでなく2核体、3核体等の低分子量領域の成分も水相へ溶出されやすくなり、水相での反応が容易に進む。そして水相中では、水分量が少なく、かつ水相中のイオン濃度が高い状態で維持される。この結果、水相と有機相の界面がよりしっかりと分離するので、有機相側の反応を防止できる。また、有機ホスホン酸は高濃度であると粘度を高めたり固結したりする性質があるが、高温であるため溶融した状態となり触媒機能を失うことが防止できる。これらの作用により、未反応フェノール類の含有量が少なく、かつ、分子量分布が狭いノボラック型フェノール樹脂を高収率に得る効果をより高めることができる。
また、本発明の製造方法においては、フェノール類とアルデヒド類とを、必要に応じて密閉装置中で反応させることもできる。開放系の反応装置を用いて常圧下で反応を行った場合、反応系に急激な発熱を生じると、反応系中のフェノール類、アルデヒド類、及び水分などの成分が突沸し、反応装置から溢出したり、上記成分の沸騰によりそれ以上温度を上げたりするのが難しくなることがある。このような場合でも、密閉装置中で反応させることにより、このような問題を回避し、反応を効率よく短時間で進行させることができる。なお、本発明で使用できる密閉装置は特に限定されない。例えば、オートクレーブなどが挙げられる。また密閉装置に、フェノール類とアルデヒド類とともに水溶性を有する有機ホスホン酸と3級ホスフィン化合物を一括して仕込み反応させることもできる。一括仕込みにより、反応を効率よく短時間で進行させることが可能となる。
また、本発明の製造方法においては、フェノール類とアルデヒド類とを、連続式混合装置中で反応させることができる。ここでいう連続式混合装置としては連続式に混合が行われるかぎり特に限定されない。例えば、静止型ミキサー、及び駆動部を有するインラインミキサーなどが挙げられる。
静止型ミキサーとは、駆動部を有さず、複数種類の流体の混合を行う装置であればよく、特に限定されない。例えば、混合作用を有するエレメントと、これを収納するハウジングにより構成された装置を用いることができる。エレメントの形状についても特に限定されないが、例えば長方形の板を180度捻ったスパイラル形状等があり、通常、これを連続的に複数個つなげたものが用いられる。被混合流体はエレメントが収納されたハウジング内を通過することにより、分割、転換、反転などの作用を受け均質化される。
また、駆動部を有するインラインミキサーも特に限定されない。例えば、混合作用を有する撹拌装置とこれを収納するハウジングにより構成された装置を用いることができる。
撹拌装置の一例を挙げると、らせん状のブレードを取付けたスクリュー形状のシャフトを回転させて混合を行うものや、ステーターとタービンとからなり、高速で回転するタービンにより被混合流体を混合するものなどがある。いずれも、撹拌装置を駆動させ、被混合流体を通過させることにより、混合、分散などの作用により被混合流体を均質化させる機能を有する装置である。
本発明の製造方法においては、上記連続式混合装置は特に限定されないが、温調機構を有したものであることが好ましい。これにより、フェノール類とアルデヒド類とを、適切な温度で反応させることができる。そして、原材料混合物は連続式混合装置内を通過する際に、上記の作用により、連続式混合装置から精度の高い伝熱を受けるとともに、高い均一性で反応を進行させることができる。
本発明の製造方法において、フェノール類、アルデヒド類、および水溶性を有する有機ホスホン酸と3級ホスフィン化合物とを連続式混合装置に供給する方法は特に限定されない。例えば、これら各原材料の所定量を、配合比率に準じて定量ポンプ等により連続的に投入する方法が挙げられる。ここでアルデヒド類については、連続式混合装置の途中、例えば数箇所から少量ずつ供給することもできる。
上記の方法で行う場合は、好ましくは連続的に1パスで反応を終了させることにより、供給した原材料分の樹脂を連続的に得ることができるので、効率的で好適な形態である。
この他、所定量のフェノール類、アルデヒド類、および水溶性を有する有機ホスホン酸と3級ホスフィン化合物をタンク等に計量して入れ、均一に混合して原材料混合液を調製した後、これを連続式混合装置に供給する方法も挙げられる。この場合、連続式混合装置を通過した原材料混合液は、元のタンクに戻すことにより循環反応を行ってもよいし、別のタンクに送ることもできる。
一般に、常圧下において開放系の反応装置を用いて反応を行った場合、注意が必要な場合がある。例えば、反応系を急激に加熱すると、激しく発熱し、反応系中のフェノール類、アルデヒド類、及び水分などの成分が突沸し、反応装置から溢出したり、上記成分の沸騰によりそれ以上温度を上げることが難しくなったりする場合がある。
このような場合でも、連続式混合装置中で反応させていれば、このような問題を回避し、反応を効率よく短時間で進行させることができる。
本発明の製造方法において、連続式混合装置中の通過速度(以下、「流速」という)は特に限定されないが、連続式混合装置として静止型ミキサーを使用する場合の流速は、速いほうが好ましく、3m/分以上が好ましい。さらに好ましくは5m/分以上である。また、駆動部を有するインラインミキサーを使用する場合は、駆動部の攪拌速度は速いほうが好ましい。
これは、触媒を含む水相と、フェノール類を含む有機相とは、混じり合わず不均一な状態で反応が進行するため、流速や撹拌速度が速いほど、水相と有機相との接触界面が増加し、反応が効率的に進行するためである。
流速や撹拌速度が遅すぎる場合には、連続式混合装置内部で滞留する部分が発生し、部分的なゲル化が起こる場合がある。
本発明の製造方法において用いられる連続式混合装置の大きさや構成等は特に限定されない。これらは、用いる連続式混合装置の種類や、原材料混合物を通過させるときの流速および反応温度に依存し、さらに、連続方式、あるいは循環方式などの反応形態によっても異なるためである。一般的には、必要な反応時間、例えば反応時間として2〜3分間程度を確保できる混合装置であればよい。
一例を挙げると、連続式混合装置として静止型ミキサーを用い、連続方式にて原材料混合物の流速を5m/分とし、120℃以上で反応させる場合では、静止型ミキサーの長さは10〜15mとなる。
本発明の製造方法により得られるフェノール樹脂は、未反応のフェノール類の含有量が少なく、また分子量分布が狭い。これらのことから前記フェノール樹脂は溶融時の流動特性及び硬化特性等に優れる。従って、このような特性が求められる分野の材料、例えは、成形材料、摩擦材料、シェルモールド、及びプロパント(フラクサンド)等に好ましく使用されえる。
本発明の製造方法により得られるフェノール樹脂をこれらの用途に用いる場合、必要に応じて硬化促進剤、滑剤、及びシランカップリング剤等の改質剤を加えることができる。硬化促進剤としてはサリチル酸、安息香酸、及びマレイン酸等の有機酸やアミン類が挙げられ、アニリン等の塩基性化合物が用いられる滑剤としては、例えば、エチレンビスステアリン酸アマイド、メチレンビスステアリン酸アマイド、オキシステアリン酸アマイド、ステアリン酸アマイド、及びメチロールステアリン酸アマイド等が使用でき、シランカップリング剤としては、例えば、アミノシランカップリング剤、エポキシシランカップリング剤、及びビニルシランカップリング剤等が使用できる。
以下、本発明を実施例により詳細に説明する。ここで記載されている「部」は「重量部」、「%」は、2核体成分の含有量を除き、「重量%」を示す。
(実施例1)
3Lの三口フラスコ中に1−ヒドロキシエチリデン−1,1’−ジホスホン酸60%水溶液(フェリオックス115、ライオン社製)500部を添加し、常圧蒸留を行い80%の濃度とした。これに、トリフェニルフォスフィン1部、フェノール1000部を添加して100℃に昇温し、37%ホルムアルデヒド水溶液550部を30分間かけて逐次添加し、常圧蒸留を行い、130℃まで昇温させ反応系中の水分量を6%とした。その後、130℃に温度を維持し、水分量を約6%で一定として、常圧蒸留を行いながら37%ホルムアルデヒド水溶液140部を30分間かけて添加した。この間蒸留により失われたフェノール量は仕込んだフェノールに対して0.3%であった。その後、140℃で1時間還流させながら反応を行った。反応時の系中水分は反応初期は6%であり、反応終了時は25%であった。反応終了後、反応組成物をサンプリングしガスクロマトグラフィーを用いて未反応フェノール量を測定した。その後、純水500部を添加し、樹脂と分離した水相を除去する水洗工程を3回行った。その後、常圧蒸留を行い130℃まで昇温し、5000Paの減圧度で減圧蒸留を行って150℃まで昇温し、フェノール樹脂A1073部を得た。
(実施例2)
実施例1で、トリフェニルフォスフィン添加量を0.1部に変えた以外は実施例1と同様の工程でフェノール樹脂を製造し、フェノール樹脂B1073部を得た。
(実施例3)
実施例1で、トリフェニルフォスフィン添加量を5部に変えた以外は実施例1と同様の工程でフェノール樹脂を製造し、フェノール樹脂C1078部を得た。
(実施例4)
3Lの三口フラスコ中にフェノール1000部、1−ヒドロキシエチリデン−1,1’−ジホスホン酸(1−1−ヒドロキシエチリデン−1,1’−ジホスホン酸(1水和物)95%以上、キシダ化学社製)300部、トリフェニルフォスフィン1部を添加した。これを140℃に昇温し、92%パラホルムアルデヒド277.5部を30分間かけて逐次添加し、126℃で1時間還流させながら反応させた。この反応時の系中水分は反応初期は2%であり、反応終了時は12%であった。反応終了後、反応組成物をサンプリングしガスクロマトグラフィーを用いて未反応フェノール量を測定した。その後、実施例1と同様に、純水500部を添加し、樹脂と分離した水相を除去する水洗工程を3回行った。その後、常圧蒸留を行い130℃まで昇温し、5000Paの減圧度で減圧蒸留を行って150℃まで昇温し、フェノール樹脂D1074部を得た。
(実施例5)
3Lの三口フラスコ中にフェノール1000部、1−ヒドロキシエチリデン−1,1’−ジホスホン酸60%水溶液(フェリオックス115、ライオン社製)を200部とトリフェニルフォスフィン1部を添加した。これを、100℃に昇温し、37%ホルムアルデヒド水溶液690部を30分間かけて逐次添加し、100℃で1時間還流させながら反応させた。この反応時の系中水分は反応初期は7%であり、反応終了時は37%であった。反応終了後、反応組成物をサンプリングしガスクロマトグラフィーを用いて未反応フェノール量を測定した。その後、実施例1と同様に、純水500部を添加し混合した後、樹脂と分離した水相を除去した。このような水洗工程を3回行った。その後、常圧蒸留を行い130℃まで昇温し、5000Paの減圧度で減圧蒸留を行って150℃まで昇温し、フェノール樹脂E1058部を得た。
(実施例6)
3Lの三口フラスコ中にフェノール1000部、アミノトリスメチレンホスホン酸50%水溶液(ディクエスト2000、ソルーシア・ジャパン社製)240部とトリフェニルフォスフィン1部を添加した。これを、100℃に昇温し、37%ホルムアルデヒド水溶液690部を30分間かけて逐次添加し、100℃で1時間還流させながら反応させた。この反応時の系中水分は反応初期は10%であり、反応終了時は38%であった。反応終了後、反応組成物をサンプリングしガスクロマトグラフィーを用いて未反応フェノール量を測定した。その後、実施例1と同様に、純水500部を添加し、樹脂と分離した水相を除去する水洗工程を3回行った。その後、常圧蒸留を行い130℃まで昇温し、5000Paの減圧度で減圧蒸留を行って150℃まで昇温し、フェノール樹脂F1054部を得た。
(実施例7)
3Lの三口フラスコ中にフェノール1000部、2−ホスホノブタン−1,2,4−トリカルボン酸50%水溶液(PBTC、城北化学社製)240部とトリフェニルフォスフィン1部を添加した。これを100℃に昇温し、37%ホルムアルデヒド水溶液690部を30分間かけて逐次添加し、100℃で1時間還流させながら反応させた。この反応時の系中水分は反応初期は10%であり、反応終了時は38%であった。反応終了後、反応組成物をサンプリングしガスクロマトグラフィーを用いて未反応フェノール量を測定した。その後、実施例1と同様に、純水500部を添加し、樹脂と分離した水相を除去する水洗工程を3回行った。その後、常圧蒸留を行い130℃まで昇温し、5000Paの減圧度で減圧蒸留を行って150℃まで昇温し、フェノール樹脂G1049部を得た。
(実施例8)
3Lの三口フラスコ中にフェノール1000部、1−ヒドロキシエチリデン−1,1’−ジホスホン酸60%水溶液(フェリオックス115、ライオン社製)1000部、トリフェニルフォスフィン1部を添加した。これを100℃に昇温し、37%ホルムアルデヒド水溶液690部を1時間かけて逐次添加し、100℃で1時間還流させながら反応を行った。この反応時の系中水分は反応初期は20%であり、反応終了時は38%であった。反応終了後、反応組成物をサンプリングしガスクロマトグラフィーを用いて未反応フェノール量を測定した。その後、実施例1と同様に、純水500部を添加し、樹脂と分離した水相を除去する水洗工程を3回行った。その後、常圧蒸留を行い130℃まで昇温し、5000Paの減圧度で減圧蒸留を行って150℃まで昇温し、フェノール樹脂H1066部を得た。
(実施例9)
攪拌装置及び温度計を備えた10Lの密閉装置(オートクレーブ)にフェノール3000部、1−ヒドロキシエチリデン−1,1’−ジホスホン酸60%水溶液(フェリオックス115、ライオン社製)3000部、37%ホルムアルデヒド水溶液1811部(モル比F/P=0.7)、トリフェニルフォスフィン3部を添加して密閉状態で加熱した。内温が80℃に上昇した時点で急激な発熱反応が起こり、内温が150℃までおよそ3分間で上昇した。同時に圧力も0.45MPaまで上昇した。内温が130℃まで低下した時点で圧力抜きコックを徐々に開き、冷却管経由で内圧を0MPaに戻した。内温を80℃まで低下させ、反応物を取り出した。この反応時の系中水分は反応初期は30%であり、反応終了時は34%であった。反応組成物をサンプリングしガスクロマトグラフィーを用いて未反応フェノール量を測定した。その後、実施例1と同様に、純水500部を添加し、樹脂と分離した水相を除去する水洗工程を3回行った。その後、常圧蒸留を行い130℃まで昇温し、5000Paの減圧度で減圧蒸留を行って150℃まで昇温し、フェノール樹脂I3242部を得た。
(実施例10)
攪拌装置および温度計を備えた10Lの密閉容器(装置1)の下部に、蒸気で温調できる10m長さの静止型ミキサー(エレメント形状:長方形の板を180度捻ったスパイラル形状をつなげたもの)を開閉式のコックを介し接続した。静止型ミキサーの出口は、攪拌装置、冷却管、温度計および冷却装置を備えた10Lの密閉容器(装置2)の上部に、開閉式のコックを介し接続した。
装置1にフェノール1000部、37%ホルマリン溶液604部(モル比F/P=0.7)、1−ヒドロキシエチリデン−1,1’−ジホスホン酸60%水溶液(フェリオックス115、ライオン社製)1000部、トリフェニルフォスフィン1部を添加し、60℃にて密閉状態で充分に混合した。静止型ミキサーは160℃で保温した。装置1内を0.1MPaまでエアーで加圧し、装置1の下部コックを全開にした。この際、装置1内の圧力が0.1MPaを保つようにエアー圧を調整した。上記混合物が静止型ミキサーを通過するのに所要する時間が2分間となるように装置2上部のコックの開度を調整した。装置2は、攪拌しながら冷却した。静止型ミキサー内の内温(装置1から1mの位置に温度計を設置)は133℃まで上昇した。装置1内部が空になり、装置2へ全量移送終了後、エアーを停止し、装置1、2のコックを閉じた。この時点で装置2の内温は、64℃であった。この反応時の系中水分は反応初期は30%であり、反応終了時は34%であった。その後、水500部を加え、内温80〜90℃で15分間攪拌した。内温を60℃まで冷却し、10分間静置した。反応組成物をサンプリングしガスクロマトグラフィーを用いて未反応フェノール量を測定した。その後、実施例1と同様に、純水500部を添加し、樹脂と分離した水相を除去する水洗工程を3回行った。その後、常圧蒸留を行い130℃まで昇温し、5000Paの減圧度で減圧蒸留を行って150℃まで昇温し、フェノール樹脂J1072部を得た。
(比較例1)
実施例1でトリフェニルフォスフィン添加を行わなかった以外は実施例1と同様の工程でフェノール樹脂を製造し、フェノール樹脂K1070部を得た。
(比較例2)
実施例4でトリフェニルフォスフィン添加を行わなかった以外は実施例4と同様の工程でフェノール樹脂を製造し、フェノール樹脂L1071部を得た。
(比較例3)
実施例5でトリフェニルフォスフィン添加を行わなかった以外は実施例5と同様の工程でフェノール樹脂を製造し、フェノール樹脂M1056部を得た。
(比較例4)
実施例6でトリフェニルフォスフィン添加を行わなかった以外は実施例6と同様の工程でフェノール樹脂を製造し、フェノール樹脂N1052部を得た。
(比較例5)
実施例7でトリフェニルフォスフィン添加を行わなかった以外は実施例7と同様の工程でフェノール樹脂を製造し、フェノール樹脂O1047部を得た。
(比較例6)
実施例8でトリフェニルフォスフィン添加を行わなかった以外は実施例8と同様の工程でフェノール樹脂を製造し、フェノール樹脂P1065部を得た。
(比較例7)
実施例9でトリフェニルフォスフィン添加を行わなかった以外は実施例9と同様の工程でフェノール樹脂を製造し、フェノール樹脂Q3225部を得た。
(比較例8)
実施例10でトリフェニルフォスフィン添加を行わなかった以外は実施例10と同様の工程でフェノール樹脂を製造し、フェノール樹脂R1062部を得た。
(比較例9)
3Lの三口フラスコ中にフェノール1000部、シュウ酸10部を添加し、100℃に昇温し、37%ホルムアルデヒド水溶液690部を30分間かけて逐次添加し、100℃で1時間還流させながら反応させた。反応終了後、反応組成物をサンプリングしガスクロマトグラフィーを用いて未反応フェノール量を測定した。その後、常圧蒸留を行い130℃まで昇温し、5000Paの減圧下で減圧蒸留を行って190℃まで昇温し、フェノール樹脂S957部を得た。
(比較例10)
3Lの三口フラスコ中にフェノール1000部、シュウ酸10部を添加し、100℃に昇温し、37%ホルムアルデヒド水溶液690部を30分間かけて逐次添加し、100℃で1時間還流させながら反応させた。反応終了後、反応組成物をサンプリングしガスクロマトグラフィーを用いて未反応フェノール量を測定した。その後、実施例1と同様に、純水500部を添加し、樹脂と分離した水相を除去する水洗工程を3回行った。その後、常圧蒸留を行い130℃まで昇温し、5000Paの減圧下で減圧蒸留を行って150℃まで昇温し、フェノール樹脂T972部を得た。
(測定方法)
1.反応終了後の未反応フェノール量及びフェノール樹脂中の遊離フェノール量:ガスクロマトグラフィーで測定した。
・ガスクロマトグラフィー:JIS K0114に準拠し、2,5−キシレノールを内部標準として内部標準法で測定した。
2.軟化点:JIS K2207に準拠して測定した。
3.50%エタノール溶液の動粘度:50重量%のエタノール溶液を25℃でキャノンフェンスケを用いて測定した。
4.数平均分子量、重量平均分子量、2核体量:液体クロマトグラフィー
液体クロマトグラフィー:東ソー製GPCカラム(G1000HXL:1本、G2000HXL:2本、G3000HXL:1本)を用い、流量1.0ml/分、溶出溶媒テトラヒドロフラン、カラム温度40℃の分析条件で示差屈折計を検出器として用いてGPC測定し、分子量は標準ポリスチレンにより換算した。また、2核体量は、液体クロマトグラフィーで測定したチャートの面積比から求めた。
Figure 0005252130


Figure 0005252130
表1、表2の結果から明らかなように、実施例1〜8で得られたノボラック型フェノール樹脂は、反応助触媒として3級ホスフィン化合物を用いなかった比較例1〜6、反応触媒としてシュウ酸を用いた比較例7〜8と比較して、分子量分布が狭く、未反応フェノール、遊離フェノールが少なく反応収量も高いものであった。特に、実施例1〜4は、反応条件が最適であったため、フェノール樹脂中の未反応フェノール量がより少ないものとなった。
以上の説明の通り、本発明の製造方法により、未反応フェノール類が少なく、かつ、分子量分布が狭いノボラック型フェノール樹脂を高収率で得ることができる。
本発明は、未反応フェノール類の含有量が少なく、かつ、分子量分布が狭いノボラック型フェノール樹脂を高収率に得るための製造方法に関するものである。本発明の製造方法で得られるノボラック型フェノール樹脂は、例えば、成形材料、摩擦材、砥石、封止材等のバインダーとして、また、石油採掘の際に用いられるプロパント(フラクサンド)用のコーティング材として、好適に使用されるものである。

Claims (8)

  1. フェノール類とアルデヒド類とを反応させるノボラック型フェノール樹脂の製造方法であって、反応触媒として水溶性を有する有機ホスホン酸を用いるとともに、反応助触媒として3級ホスフィン化合物を用い
    前記水溶性を有する有機ホスホン酸が、下記一般式(1)で示される構造を有することを特徴とする、ノボラック型フェノール樹脂の製造方法。
    R−PO(OH) (1)
    (Rは、炭素原子を含み、かつ、−COOH及び/又は−PO(OH) を含む基である)
  2. 前記3級ホスフィン化合物を、前記フェノール類に対して100〜5000ppm用いる、請求項1に記載のノボラック型フェノール樹脂の製造方法。
  3. 前記フェノール類とアルデヒド類とを、反応系中の水分量を30重量%以下、反応温度を110〜200℃の条件で反応させる、請求項1又は2に記載のノボラック型フェノール樹脂の製造方法。
  4. 前記3級ホスフィン化合物が、トリフェニルホスフィンである、請求項1ないしいずれかに記載のノボラック型フェノール樹脂の製造方法。
  5. 前記フェノール類とアルデヒド類とを、密閉装置中で反応させる、請求項1ないしのいずれかに記載のノボラック型フェノール樹脂の製造方法。
  6. 前記フェノール類、アルデヒド類、水溶性を有する有機ホスホン酸、及び、3級ホスフィン化合物を一括して仕込み反応させる、請求項1ないしのいずれかに記載のノボラック型フェノール樹脂の製造方法。
  7. 前記フェノール類とアルデヒド類とを、連続式混合装置で反応させる、請求項1ないしのいずれかに記載のノボラック型フェノール樹脂の製造方法。
  8. 前記連続式混合装置として、静止型ミキサーを用いる、請求項に記載のノボラック型フェノール樹脂の製造方法。
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