JP2003212945A - ノボラック型フェノール樹脂の製造方法 - Google Patents

ノボラック型フェノール樹脂の製造方法

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JP2003212945A
JP2003212945A JP2002009340A JP2002009340A JP2003212945A JP 2003212945 A JP2003212945 A JP 2003212945A JP 2002009340 A JP2002009340 A JP 2002009340A JP 2002009340 A JP2002009340 A JP 2002009340A JP 2003212945 A JP2003212945 A JP 2003212945A
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reaction
molecular weight
novolac type
phenol resin
type phenol
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JP2002009340A
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Takuya Tochimoto
卓哉 栃本
Masakatsu Asami
昌克 浅見
Yoshikazu Kobayashi
義和 小林
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Sumitomo Bakelite Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Bakelite Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 未反応フェノール類が少なく、かつ、分子量
分布が狭いノボラック型フェノール樹脂を短時間で高収
率に製造する方法を提供する。 【解決手段】 フェノール類とアルデヒド類とを、有機
ホスホン酸を触媒として、連続式混合装置を用いて反応
させることを特徴とするノボラック型フェノール樹脂の
製造方法であり、反応時の温度を120℃以上、反応系
中の水分量を30重量%以下として反応させることが好
ましい。本発明の製造方法は、成形材料、摩擦材、砥
石、封止材等のバインダーに使用されるノボラック型フ
ェノール樹脂を製造する方法として好適である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ノボラック型フェ
ノール樹脂の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、ノボラック型フェノール樹脂は、
フェノール類とアルデヒド類とを塩酸、硫酸、リン酸、
亜リン酸、蓚酸、p−トルエンスルホン酸といった無機
酸あるいは有機酸を触媒として反応させることで得られ
ていた。ノボラック型フェノール樹脂の分子量は、フェ
ノール類とアルデヒド類との仕込比率等で調整するのが
一般的であるが、分子量の低いノボラック型フェノール
樹脂は、反応生成物中の未反応フェノール類などの低分
子量成分が多くなり、分子量分布が広くなりやすい。分
子量分布を狭くする一般的手段としては、有機溶媒中で
反応させる方法、水蒸気蒸留あるいは溶剤洗浄により低
分子量成分を除去する方法などがあるが、前者の場合は
低分子量のノボラック型フェノール樹脂は得られず、後
者の場合は収率が大きく低下してしまう。また、両者と
も反応操作に長時間を必要とした。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、未反応フェ
ノール類が少なく、かつ、分子量分布が狭いノボラック
型フェノール樹脂を短時間で高収率に製造する方法を提
供するものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】このような目的は、以下
の本発明(1)〜(5)によって達成される。 (1)フェノール類とアルデヒド類とを、有機ホスホン
酸を触媒として、連続式混合装置を用いて反応させるこ
とを特徴とするノボラック型フェノール樹脂の製造方
法。 (2)前記連続式混合装置として、静止型ミキサーを用
いる上記(1)に記載のノボラック型フェノール樹脂の
製造方法。 (3)反応時の温度を120℃以上として反応させる上
記(1)または(2)に記載のノボラック型フェノール
樹脂の製造方法。 (4)反応系中の水分量を30重量%以下として反応さ
せる上記(1)ないし(3)のいずれかに記載のノボラ
ック型フェノール樹脂の製造方法。 (5)有機ホスホン酸が、一般式(I)で示されるもの
である上記(1)ないし (4)のいずれかに記載のノボラック型フェノール樹脂
の製造方法。 R−PO(OH)2 (I) (Rは、炭素原子を含み、かつ、−COOH及び又は−
PO(OH)2 を含む基である)
【0005】
【発明の実施の形態】以下、本発明のノボラック型フェ
ノール樹脂の製造方法(以下、単に「製造方法」とい
う)について説明する。本発明の製造方法は、フェノー
ル類とアルデヒド類とを、有機ホスホン酸を触媒とし
て、連続式混合装置を用いて反応させることを特徴とす
る。
【0006】本発明の製造方法で用いられるフェノール
類としては特に限定されないが、例えば、フェノール、
メタクレゾール、3,5−キシレノールなどフェノール
性水酸基を有し、且つフェノール性水酸基に対して少な
くともメタの位置以外には置換基を持たない化合物の1
種または2種以上を用いる。炭素数の多いアルキル基、
アリール基等を置換基として持つ3官能性フェノール類
を用いることも出来るが、硬化性を考慮するとフェノー
ル及び/又はメタクレゾールが好ましい。すなわち大き
な置換基を持つフェノール類では分子量は大きくなるも
のの、同一分子量におけるフェノール核の数は減少し、
水酸基当量数等の低下につながったり、置換基による立
体障害のためその後に3次元架橋しにくくなる場合があ
る。また、フェノール類として反応時にゲル化を起こさ
ない範囲でレゾルシンの併用も可能である。
【0007】また、本発明の製造方法で用いられるアル
デヒド類としては特に限定されないが、例えば、ホルム
アルデヒド、パラホルムアルデヒド、クロトンアルデヒ
ド、フルフラール、ブチルアルデヒド、ポリアセター
ル、アセトアルデヒド、アクロレイン等あるいはこれら
の混合物であり、これらのアルデヒド類の発生源となる
物質あるいはこれらのアルデヒド類の溶液を使用するこ
とも可能である。
【0008】フェノール類(P)とアルデヒド類(F)
との反応モル比(F/P)は特に限定されないが、0.
1〜3.0であることが好ましく、さらに好ましくは、
0.5〜1.0である。特に好ましくは、0.6〜0.
8である。反応モル比が前記下限値を下回る条件で反応
を行ったものは、歩留まりが低くなる傾向があり、ノボ
ラック型フェノール樹脂としても分子量が小さくなりす
ぎる傾向がある。反対に、反応モル比が前記上限値を越
えると、分子量のコントロールが難しくなる傾向があ
り、反応条件によってはゲル化もしくは部分的なゲル化
物が生成することがある。
【0009】本発明の製造方法において触媒として使用
する有機ホスホン酸は、ホスホン酸基−PO(OH)2
を含む有機化合物であり、いかなるものも使用可能であ
るが、一般式(1)で示される有機ホスホン酸が、未反
応フェノール類が少なく、かつ、分子量分布が狭いノボ
ラック型フェノール樹脂を高収率に得るために好まし
い。 R−PO(OH)2 (1) (Rは、炭素原子を含み、かつ、−COOH及び又は−
PO(OH)2 を含む基である) 一般式(1)で示される有機ホスホン酸としては、アミ
ノポリホスホン酸類であるエチレンジアミンテトラキス
メチレンホスホン酸、エチレンジアミンビスメチレンホ
スホン酸、アミノトリスメチレンホスホン酸、β−アミ
ノエチルホスホン酸N,N−ジ酢酸、アミノメチルホス
ホン酸N,N−ジ酢酸や、1−ヒドロキシエチリデン−
1,1’−ジホスホン酸、2−ホスホノブタン−1,
2,4−トリカルボン酸等がある。本発明の目的からみ
て工業的に大量生産され安価であるアミノトリスメチレ
ンホスホン酸や、1−ヒドロキシエチリデン−1,1’
−ジホスホン酸、2−ホスホノブタン−1,2,4−ト
リカルボン酸が好ましい。
【0010】有機ホスホン酸の添加量としては、特に限
定されないが、フェノール類1モルに対して通常0.0
01〜4.0モル、好ましくは0.01〜0.5モルで
ある。有機ホスホン酸の添加量が多いほど、未反応フェ
ノール類が少なく、かつ、分子量分布が狭いノボラック
型フェノール樹脂を高収率で得るという本発明の効果は
大きいが、触媒添加量が4.0モルを越えるとその効果
が変わらなくなり、0.001モル未満では、触媒とし
ての効果が実質的になくなる。また、前記有機ホスホン
酸とともに、シュウ酸、硫酸、塩酸、p−トルエンスル
ホン酸などの通常ノボラック型フェノール樹脂の製造で
使用する酸の併用も可能である。これらの酸の併用は特
に4核対以上の高分子領域での反応促進に有効であり、
分子量分布を制御する方法として有効な手段と言える。
【0011】本発明の製造方法においては、フェノール
類とアルデヒド類とを、有機ホスホン酸とともに連続式
混合装置中で反応させることを特徴とする。連続式混合
装置を用いて反応させることにより、反応を効率よく短
時間で進行させることができる。ここでいう連続式混合
装置としては特に限定されないが、例えば、静止型ミキ
サー、駆動部を有するインラインミキサーなどが挙げら
れる。静止型ミキサーとは、駆動部を有さず、複数種類
の流体の混合を行う装置であればよく特に限定されない
が、例えば、混合作用を有するエレメントと、これを収
納するハウジングにより構成されたものを用いることが
できる。エレメントの形状についても特に限定されない
が、例えば長方形の板を180度捻ったスパイラル形状
等があり、通常、これを連続的に複数個つなげたものが
用いられる。被混合流体はエレメントが収納されたハウ
ジング内を通過することにより、分割、転換、反転など
の作用を受け均質化される。また、駆動部を有するイン
ラインミキサーとしても特に限定されないが、例えば混
合作用を有する撹拌装置とこれを収納するハウジングに
より構成されたものを用いることができる。撹拌装置と
して一例を挙げると、らせん状のブレードを取付けたス
クリュー形状のシャフトを回転させて混合を行うもの
や、ステーターとタービンとからなり、高速で回転する
タービンにより混合するものなどがある。いずれも、こ
れらの撹拌装置により被混合流体に混合、分散などの作
用を与え均質化する。本発明の製造方法においては、特
に限定されないが、連続式混合装置は温調機構を有した
ものであることが好ましい。これにより、フェノール類
とアルデヒド類とを、有機ホスホン酸を触媒として適切
な温度で反応させることができる。原材料混合物は連続
式混合装置内を通過する際に、前記の作用により連続式
混合装置から精度の高い伝熱を受けるとともに反応を均
一に進行させることができる。
【0012】本発明の製造方法において、フェノール
類、アルデヒド類および有機ホスホン酸を連続式混合装
置に供給する方法としては特に限定されないが、例え
ば、定量ポンプ等により各原材料の所定量を供給する方
法がある。このとき、アルデヒド類は、連続式混合装置
の途中の数箇所から少量ずつ供給してもかまわない。ま
た、フェノール類、アルデヒド類および有機ホスホン酸
をタンク等に所定量を計量し、均一に混合した後、連続
式混合装置に供給する方法もある。この場合、連続式混
合装置を通過した混合液を元のタンクに戻して循環反応
を行ってもよく、第2のタンクに送ってもよい。
【0013】また、本発明の製造方法においては特に限
定されないが、フェノール類とアルデヒド類とを、有機
ホスホン酸を触媒として120℃以上で反応させること
が好ましい。さらに好ましくは130℃以上である。こ
れにより、ノボラック型フェノール樹脂を短時間で高収
率に製造することができる。このために連続式混合装置
を150℃以上に温調することが好ましい。特に好まし
くは160℃以上である。一般に、常圧下において開放
系の反応装置を用いて反応を行った場合、反応系を急激
に加熱すると、激しく発熱し、反応系中のフェノール
類、アルデヒド類、水分などの成分が突沸し、反応装置
から溢出したり、前記成分の沸騰によりそれ以上温度を
上げることが難しくなることがある。連続式混合装置中
で反応させることにより、このような問題を回避し、反
応を効率よく短時間で進行させることができる。
【0014】本発明の製造方法においては特に限定され
ないが、連続式混合装置として静止型ミキサーを使用す
る場合、装置内を通過する原材料混合物の流速は速いほ
うが好ましく、3m/分以上が好ましい。特に好ましく
は5m/分以上である。また、駆動部を有するインライ
ンミキサーを使用する場合は、撹拌装置の攪拌速度は速
いほうが好ましい。攪拌装置の攪拌速度は、攪拌装置の
形状により異なるが例えば、らせん状のブレードを取付
けたスクリュー形状のシャフトを使用する場合の攪拌速
度は回転数で10rpm以上が好ましい。特に好ましく
は30rpm以上である。また、タービンタイプの攪拌
装置の場合の攪拌速度は、100rpm以上が好まし
い。特に好ましくは、300rpm以上である。これ
は、触媒を含む水相とフェノール類を含む有機相とは、
混じり合わず不均一な状態で反応が進行するため、流速
や撹拌速度が速いほど水相と有機相との接触界面が増加
し、反応が効率的に進行するためである。また、流速や
撹拌速度が遅いと装置内部で滞留する部分が発生し、部
分的なゲル化が起こる場合もある。本発明の製造方法に
おいて用いる連続式混合装置の大きさ等は特に限定され
ない。これは、用いる連続式混合装置の種類や、原材料
混合物を通過させるときの流速や撹拌速度、および反応
温度に依存し、さらに、連続方式、循環方式などの反応
形態によっても異なるためである。一般的には、反応時
間として2〜3分間確保できるものであればよい。一例
を挙げると、連続式混合装置として静止型ミキサーを用
い、連続方式にて原材料混合物の流速を5m/分とし、
120℃以上で反応させる場合では、静止型ミキサーの
長さは10〜15mとなる。
【0015】本発明の製造方法においては特に限定され
ないが、反応系中の水分量を30重量%以下とすること
が好ましい。この反応条件は、水相中のイオン濃度が高
い状態で維持され、かつ水相と有機相の界面がよりしっ
かりと分離するので、未反応フェノール類だけでなく、
比較的水相に溶出しやすい2核体や3核体といった低分
子量領域のノボラック型フェノール樹脂が選択的に反応
するのに有効で、分子量分布を効果的に狭くすることが
できる。言い換えれば、未反応フェノール類の反応は、
反応系中の水分量が30重量%を越える場合でも十分に
進行するが、2核体、3核体等の低分子量領域のみなら
ず高分子量領域のものも反応が進行し、その結果分子量
分布が広くなる傾向がある。
【0016】本発明の製造方法において、反応系中の水
分量とは、系内に存在するフェノール類、アルデヒド
類、ノボラック型フェノール樹脂、有機ホスホン酸等全
体に対する水分量である。水分には、仕込み時に添加し
た水分、添加するアルデヒド類に含まれる水分、添加す
る有機ホスホン酸に含まれる水分、有機ホスホン酸の結
晶水等、仕込み原料に由来する水分、反応時に発生する
縮合水などがある。反応系中の水分量の計算方法は、仕
込み原料中の水分量と反応で生成する縮合水量を反応系
中の水分量とし、仕込み全量で除した値である。この水
分量は少ない程、未反応フェノール類が少なく、かつ、
分子量分布が狭いノボラック型フェノール樹脂を高収率
に得ることができる。この点から、30重量%以下が好
ましく、かかる効果をより高めるためには25重量%以
下がより好ましい。しかし、水分量が過少であると有機
ホスホン酸が高粘度化若しくは固結するようになり、触
媒作用が低下するため、結晶水を含む程度の水分量であ
る1重量%以上がより好ましい。水分量が30重量%を
越えるとその効果がほとんど変わらなくなる。
【0017】反応終了後、触媒除去のために、中和や水
洗を行ってもよい。得られた混合液を遠心分離機で処理
し、樹脂相と触媒相に分離することも可能である。遠心
分離機の利用は、連続反応で特に有効である。また、必
要により、水や有機溶剤、さらには未反応のフェノール
類を除去するため、常圧蒸留や、減圧蒸留、水蒸気蒸留
等を行うことも可能である。
【0018】本発明の製造方法において、有機ホスホン
酸を触媒として用い、ノボラック型フェノール樹脂を高
収率で分子量分布を狭くすることができる理由は、以下
のように考えられる。本発明に用いる有機ホスホン酸
は、非常に水溶性が高い。しかし、フェノール類には溶
解性が小さく、ノボラック型フェノール樹脂には分子量
増大ととも溶解性が更に小さくなる性質を有している。
このため反応時には、触媒である有機ホスホン酸を多量
に含んだ水相と、フェノール類、ノボラック型フェノー
ル樹脂からなる、触媒がほとんど存在しない有機相とに
相分離した状態となる。フェノール類及び2核体等の低
分子量成分は比較的水相に溶出しやすく、溶出した部分
はアルデヒド類と反応する。しかし、高分子量領域では
溶出がほとんどなく反応が進行しにくい。また、水相に
溶出し反応したノボラック型フェノール樹脂は速やかに
有機相に抽出され、その以上反応は進まない。このよう
にして、低分子量領域と高分子量領域との間に反応速度
差を生じるため、結果的に未反応フェノール類が少な
く、かつ、分子量分布が狭いノボラック型樹脂を高収率
に製造する事が可能となる。
【0019】本発明の製造方法においては、触媒として
有機ホスホン酸を用い、好ましくは反応温度を120℃
以上とし、反応系中の水分を30重量%以下とすること
を特徴とする。本発明の製造方法によるノボラック型フ
ェノール樹脂の分子量が狭く、かつ短時間・高収率で樹
脂を得ることができる理由は、以下のように考えられ
る。反応温度を120℃以上の高温とすることにより、
以下のような効果を得ることができる。高温であること
から、2核体、3核体等の低分子量領域も水相へ溶出さ
れやすく、水相での反応が容易に進む。また、高温であ
ることにより反応速度も向上する。そして、反応系中の
水分量が30重量%以下である場合、水相中の触媒濃度
が高い状態で維持され、水相と有機相がよりしっかりと
分離するので、高分子量成分を含む有機相側の反応を抑
止できる。また、有機ホスホン酸は高濃度であると粘度
を高めたり固結したりする性質があるが、高温であるた
め溶融した状態となり触媒機能を失うことが防止でき
る。これらの効果から、未反応フェノール類が少なく、
かつ、分子量分布が狭いノボラック型フェノール樹脂を
短時間に高収率に得る効果が高まる事による。
【0020】本発明の製造方法により得られたノボラッ
ク型フェノール樹脂の分子量分布は、ゲルパーミエーシ
ョンクロマトグラフィー(GPC)の様な液体クロマト
グラフィーで測定したポリスチレン換算の数平均分子量
(Mn)と重量平均分子量(Mw)の比(Mw/Mn)
で表した値(即ち、分散度)で比較することが可能であ
る。一般的に分子量分布を有する高分子量化合物では、
Mw>Mnであり、分散度は1よりも大きな値となる
が、この値が小さいほど分散度は低く分子量分布は狭
い。
【0021】
【実施例】以下、本発明を実施例により説明する。しか
し、本発明は実施例により限定されるものではない。ま
た、実施例、比較例で示される「部」及び「%」は全て
「重量部」及び「重量%」を表す。
【0022】<実施例1>攪拌装置および温度計を備え
た10Lの密閉装置(装置1)の下部に、連続式混合装
置として蒸気で温調できる10m長さの静止型ミキサー
(エレメント形状:長方形の板を180度捻ったスパイ
ラル形状をつなげたもの)を、開閉式のコックを介し接
続した。静止型ミキサーの出口は、攪拌装置、冷却管、
温度計および冷却装置を備えた10Lの装置(装置2)
の上部に、開閉式のコックを介し接続した。装置1にフ
ェノール1000部、37%ホルムマリン溶液602
部、1−ヒドロキシエチリデン−1,1’−ジホスホン
酸(1−1−ヒドロキシエチリデン−1,1’−ジホス
ホン酸(1水和物)95%以上、キシダ化学株製)60
0部を仕込み、60℃で密閉状態で充分に混合した。装
置1内を0.1MPaまでエアーで加圧し、装置1の下
部コックを全開にした。この際、装置1内の圧力が0.
1MPaを保つようにエアー圧を調整した。前記混合物
が静止型ミキサーを通過するのに所要する時間が2分間
となるように装置2上部のコックの開度を調整した。静
止型ミキサーは160℃に温調し、装置2は攪拌しなが
ら冷却した。静止型ミキサー内の温度(入口から1mの
位置で測定)は133℃まで上昇した。装置1内部が空
になり、装置2へ全量移送終了後、エアーを停止し、装
置1および2のコックを閉じた。この時点で装置2の内
温は、64℃であった。その後、水500部を加え、内
温80〜90℃で15分攪拌した。内温を60℃まで冷
却し、10分静置した。静置後装置2底部より1−ヒド
ロキシエチリデン−1,1’−ジホスホン酸水溶液を分
離除去した。分離終了後、水1000部を添加し、内温
80〜90℃で15分間攪拌し残留する触媒を洗浄し
た。10分間の静置後、装置2上部より洗浄水を除去し
た。ここへ脱水配管を取り付け、内温130℃まで常圧
脱水を行い、続けて内温150℃まで5000Paで減
圧脱水を行い、系中の水分等を除去した。得られた樹脂
を装置2よりバットに取り出し、ノボラック型フェノー
ル樹脂1058部を得た。得られた樹脂のGPCによる
数平均分子量(Mn)=490、重量平均分子量(M
w)=790であり、分散度(Mw/Mn)=1.61
であった。また、未反応フェノール成分=0.9%であ
った。反応に要した時間は、合計2時間40分であっ
た。
【0023】<実施例2>37%ホルマリン溶液の仕込
量を644部にする以外は実施例1と同様の方法で行
い、ノボラック型フェノール樹脂1070部を得た。得
られた樹脂のGPCによる数平均分子量(Mn)=63
0、重量平均分子量(Mw)=850であり、分散度
(Mw/Mn)=1.35であった。また、未反応フェ
ノール成分=0.6%であった。反応に要した時間は、
合計2時間40分であった。
【0024】<実施例3>攪拌装置および温度計を備え
た10Lの装置(装置1)の下部に、ギア式定量ポンプ
を接続し、さらに、蒸気で温調ができ、内部にスクリュ
ー型の攪拌装置を有する5m長さの連続式混合装置を開
閉式のコックを介して接続した。連続式混合装置の出口
は、攪拌装置、冷却管、温度計および冷却装置を備えた
10Lの装置(装置2)の上部に、開閉式のコックを介
し接続した。装置1にフェノール1000部、37%ホ
ルムマリン溶液602部、1−ヒドロキシエチリデン−
1,1’−ジホスホン酸(1−1−ヒドロキシエチリデ
ン−1,1’−ジホスホン酸(1水和物)95%以上、
キシダ化学株製)600部を仕込み、60℃で充分に混
合した。前記混合物が連続式混合装置を通過するのに所
要する時間が2分間となるようにギア式定量ポンプの供
給量を調整した。連続式混合装置は160℃に温調し、
回転数を30rpmとして運転した。装置2は、攪拌し
ながら冷却した。連続式混合装置内の温度(入口から1
mの位置で測定)は150℃まで上昇した。装置1内部
が空になり、装置2へ全量移送終了後、ギア式定量ポン
プを停止し、装置2のコックを閉じた。この時点で装置
2の内温は、68℃であった。その後、水500部を加
え、内温80〜90℃で15分攪拌した。内温を60℃
まで冷却し、10分静置した。静置後装置2底部より1
−ヒドロキシエチリデン−1,1’−ジホスホン酸水溶
液を分離除去した。分離終了後、水1000部を添加
し、内温80〜90℃で15分間攪拌し残留する触媒を
洗浄した。10分間の静置後、装置2上部より洗浄水を
除去した。ここへ脱水配管を取り付け、内温130℃ま
で常圧脱水を行い、続けて内温150℃まで5000P
aで減圧脱水を行い、系中の水分等を除去した。得られ
た樹脂を装置2よりバットに取り出し、ノボラック型フ
ェノール樹脂1050部を得た。得られた樹脂のGPC
による数平均分子量(Mn)=480、重量平均分子量
(Mw)=790であり、分散度(Mw/Mn)=1.
65であった。また、未反応のフェノール成分は、1.
0%であった。反応に要した時間は、合計2時間45分
であった。
【0025】<実施例4>攪拌装置、冷却管、液体添加
装置および温度計を備えた10Lの装置(装置1)の下
部に、ギア式定量ポンプを接続し、さらに、蒸気で温調
でき、入口部にタービン型の撹拌装置(羽根の枚数が2
1枚)を有する連続式混合装置を接続した。連続式混合
装置の出口は、開閉式のコックを介し装置1の上部に接
続した。装置1にフェノール1000部、37%ホルマ
リン溶液301部、1−ヒドロキシエチリデン−1,
1'−ジホスホン酸(1−1−ヒドロキシエチリデン−
1,1'−ジホスホン酸(1水和物)95%以上、キシ
ダ化学株製)600部を仕込み、60℃で密閉状態で充
分に混合した。ギア式定量ポンプを1リットル/分で運
転し、装置1内の前記混合物を循環させ、同時に、液体
添加装置より37%ホルマリン溶液301部を15分間
で装置1内へ添加した。連続式混合装置は160℃に温
調し、回転数を300rpmとして30分間循環反応を
実施した後、ポンプを停止した。この時点で装置1の内
温は94℃であった。その後、水500部を加え、内温
80〜90℃で15分間攪拌した。内温を60℃まで冷
却し、10分静置した。静置後装置1底部より1−ヒド
ロキシエチリデン−1,1'−ジホスホン酸水溶液を分
離除去した。分離終了後、水1000部を添加し、内温
80〜90℃で15分間攪拌し残留する触媒を洗浄し
た。10分間の静置後、装置1上部より洗浄水を除去し
た。ここへ脱水配管を取り付け、内温130℃まで常圧
脱水を行い、続けて内温150℃まで5000Paで減
圧脱水を行い、系中の水分等を除去した。装置1より樹
脂をバットに取り出し、ノボラック型フェノール樹脂1
060部を得た。得られた樹脂のGPCによる数平均分
子量(Mn)=510、重量平均分子量(Mw)=80
0であり、分散度(Mw/Mn)=1.57であった。
また、未反応のフェノール成分は、0.6%であった。
反応に要した時間は、合計2時間30分であった。
【0026】<比較例1>攪拌装置、冷却管および温度
計を備えた10Lの反応装置にフェノール1000部、
蓚酸10部を仕込み、常圧で内温95℃まで昇温した
後、37%ホルマリン552部を1時間かけて添加し
た。更に98〜100℃で1時間還流反応を行った後、
脱水配管に切り替え、生成した水を除去しながら140
℃まで昇温した。次いで、装置内を5000Paまで徐
々に減圧にしながら内温を250℃まで上げ、水分等を
除去し、ノボラック型フェノール樹脂870部を得た。
得られた樹脂のGPCによる数平均分子量(Mn)=7
20、重量平均分子量(Mw)=1580であり、分散
度(Mw/Mn)=2.19であった。また、未反応の
フェノール成分=0.4%であった。反応に要した時間
は、合計4時間30分であった。
【0027】<比較例2>攪拌装置、冷却管および温度
計を備えた10Lの反応装置にフェノール1000部、
1−ヒドロキシエチリデン−1,1’−ジホスホン酸
(1−1−ヒドロキシエチリデン−1,1’−ジホスホ
ン酸(1水和物)95%以上、キシダ化学株製)600
部を仕込み、常圧で内温95℃まで昇温した後、92%
パラホルムアルデヒド242部を1時間かけて添加し
た。更に98〜100℃で1時間還流反応を行った。内
温95℃で水500部を加え、内温80〜90℃で15
分攪拌した。内温を60℃まで冷却し、10分静置し
た。静置後反応装置底部より1−ヒドロキシエチリデン
−1,1’−ジホスホン酸水溶液を分離除去した。分離
終了後、水1000部を添加し、内温80〜90℃で1
5分攪拌し残留する触媒を洗浄した。10分の静置後、
反応装置上部より洗浄水を除去した。ここへ脱水配管を
取り付け、内温130℃まで常圧脱水を行い、続けて内
温150℃まで5000Paで減圧脱水を行い、系中の
水分等を除去した。得られた樹脂を反応装置よりバット
に取り出し、ノボラック型フェノール樹脂1073部を
得た。得られた樹脂のGPCによる数平均分子量(M
n)=520、重量平均分子量(Mw)=790であ
り、分散度(Mw/Mn)=1.52であった。また、
未反応フェノール成分=0.5%であった。反応に要し
た時間は、合計4時間10分であった。
【0028】以上、実施例、比較例で製造した樹脂につ
いての結果を表1に示す。収率の値は、理論収得量に対
する値から計算した。また、各物性値の測定方法は以下
の通りである。
【表1】
【0029】(測定方法) 1.数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)、
分散度(Mw/Mn):液体クロマトグラフィーで測定 ・液体クロマトグラフィー:東ソー製GPCカラム(G
1000HXL:1本、G2000HXL:2本、G3
000HXL:1本)を用い、流量1.0ml/分、溶
出溶媒テトラヒドロフラン、カラム温度40℃の分析条
件で示差屈折計を検出器として用いて測定し、分子量は
標準ポリスチレンにより換算した。 2.未反応フェノール量:ガスクロマトグラフィーで測
定した。 ・ガスクロマトグラフィー:JIS K0114に準
じ、2,5−キシレノールを内部標準として内部標準法
で測定した。
【0030】実施例1、2は、フェノール類とアルデヒ
ド類とを、有機ホスホン酸を触媒として、連続式混合装
置として静止型ミキサーを用いて反応させた。また、実
施例3、4は同様に、連続式混合装置として駆動部を有
するインラインミキサーを用いて反応させた。これらは
いずれも、未反応フェノール類量が少なく、分子量分布
の狭いノボラック型フェノール樹脂を、短時間で高収率
に得ることができた。これに対し、比較例1は、通常の
反応装置を用いて蓚酸触媒を使用した反応であり、未反
応フェノール類量は減圧蒸留で除去したため少ないが、
そのために長時間を要し、収率も低くなった。また、分
子量分布も実施例と比較すると広くなった。比較例2で
は、同様の装置を用い有機ホスホン酸を触媒に使用した
ため、未反応フェノール類量が少なく、分子量分布の狭
い樹脂が得られているが、反応に長時間を要した。
【0031】
【発明の効果】本発明は、フェノール類とアルデヒド類
とを、有機ホスホン酸を触媒として、連続式混合装置を
用いて反応させることを特徴とするノボラック型フェノ
ール樹脂の製造方法であり、未反応フェノール類が少な
く、分子量分布が狭いノボラック型フェノール樹脂を短
時間・高収率で得ることができる。従って本発明の製造
方法は、例えば、成形材料、摩擦材、砥石、封止材等の
バインダーに使用されるノボラック型フェノール樹脂を
製造する方法として好適である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4J033 CA01 CA02 CA03 CA04 CA05 CA13 CC08 HA02 HA12 HB04 HB06

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フェノール類とアルデヒド類とを、有機
    ホスホン酸を触媒として、連続式混合装置を用いて反応
    させることを特徴とするノボラック型フェノール樹脂の
    製造方法。
  2. 【請求項2】 前記連続式混合装置として、静止型ミキ
    サーを用いる請求項1に記載のノボラック型フェノール
    樹脂の製造方法。
  3. 【請求項3】 反応時の温度を120℃以上として反応
    させる請求項1または2に記載のノボラック型フェノー
    ル樹脂の製造方法。
  4. 【請求項4】 反応系中の水分量を30重量%以下とし
    て反応させる請求項1ないし3のいずれかに記載のノボ
    ラック型フェノール樹脂の製造方法。
  5. 【請求項5】 有機ホスホン酸が、一般式(I)で示さ
    れるものである請求項1ないし4のいずれかに記載のノ
    ボラック型フェノール樹脂の製造方法。 R−PO(OH)2 (I) (Rは、炭素原子を含み、かつ、−COOH及び又は−
    PO(OH)2 を含む基である)
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2006018937A1 (ja) * 2004-08-19 2006-02-23 Asahi Organic Chemicals Industry Co., Ltd. ノボラック型フェノール樹脂の製造方法
WO2010149632A1 (en) * 2009-06-22 2010-12-29 Dynea Oy A process for the continuous production of an aqueous hydroxy-aryl formaldehyde resin solution

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WO2006018937A1 (ja) * 2004-08-19 2006-02-23 Asahi Organic Chemicals Industry Co., Ltd. ノボラック型フェノール樹脂の製造方法
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