JP5241978B2 - 漢方ゼリー医薬組成物 - Google Patents
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Description
本発明者らは、ゼリー状経口医薬組成物として、カラギーナン、ローカストビーンガム、及びポリアクリル酸又はその部分中和物もしくは塩とを含有し、加速安定性(40℃、75%RH、6箇月)及び長期安定性(室温3年間)を有するゼリー経口医薬組成物を開発している(特願平8−4288号、特願平8−4289号)。本発明者らは、このゼリー状経口医薬組成物に関する技術を漢方原薬に応用した研究を進めた結果、漢方原薬の特異的性質(例えばBrixが高い)により、上記技術では、漢方原薬をゼリー化するには、漢方原薬の含有量を薄めなくてはならず、一回服用量が15g以上になってしまうことを見い出した。そして、コンパクトにまとめる包装形態や医薬品としての品位にも問題が発生することから、漢方原薬に適したゼリー製剤化の新技術開発が必要になった。
(1)漢方原薬を含むゼリー状の経口医薬組成物であって、カラギーナン、ローカストビーンカム、キサンタンガム及びリン酸塩の緩衝剤を含む医薬組成物。
(2)カラギーナンが、κカラギーナン及びιカラギーナンの両方である(1)の医薬組成物。
(3)溶融固形成分をさらに含む(1)又は(2)の経口医薬組成物。
(4)前記溶融固形成分が、糖、糖アルコール又は多価アルコールから選ばれる1種又は2種以上である(3)の経口医薬組成物。
(5)カラギーナンを医薬組成物全量に対して0.05〜1.0重量%含有する前記(1)〜(4)のいずれかの経口医薬組成物。
(6)ローカストビーンガムを医薬組成物全量に対して0.01〜1.0重量%含有する(1)〜(5)のいずれかの経口医薬組成物。
(7)キサンタンガムを医薬組成物全量に対して0.01〜1.0重量%含有する(1)〜(6)のいずれかの経口医薬組成物。
(5)リン酸塩の緩衝剤を医薬組成物全量に対して0.1〜2.5重量%含有する(1)〜(7)のいずれかの経口医薬組成物。
(9)一回服用量単位毎に小分けされたことを特徴とする(1)〜(8)のいずれかの経口医薬組成物。
また、本発明の漢方ゼリー医薬組成物がその基剤からなる固相の骨組みの間隙に保持する形で含有する基剤の分散媒としては適当な温度で基剤を分散させることが可能であり、通常、医薬品の添加物として許容され、かつ経口投与可能な液体を用いることが可能である。このような液体としては、通常蒸留水又は脱イオン水等の精製水が用いられる。この基剤の固相の骨組みの間隙に保持される分散媒には、上述の漢方原薬の他に任意の成分を溶解、分散、懸濁等の状態で含有させることが可能である。
安定剤としては、アスコルビン酸、トコフェロールなどを挙げることができる。甘味剤としては、ステビア、サッカリンナトリウムなどを挙げることができる。乳化剤としては、ポリソルベート80、ポリビニルアルコール、ラウリル硫酸ナトリウムなどを挙げることができる。芳香剤としては、医薬品に添加可能なフレーバー系やエッセンス系などを挙げることができる。分散剤として、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースなどの水溶性高分子類を挙げることができる。防腐剤としては、安息香酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピルなどを挙げることができる。
表1のB成分を秤取し、80℃に加温溶解し、これにA成分を加えて懸濁液とした。これを80〜90℃に1時間保温殺菌後、70〜60℃にて保温しながら5gずつ容器に充填した。
表1
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
配合量(重量%)
成 分 ―――――――――――――――――――――
実施例1 実施例2 比較例1 比較例2
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
A八味地黄丸乾燥エキス 15.4 19.3 15.4 19.3
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
Bι-カラギーナン 0.4 0.4 0.4 0.4
κ-カラギーナン 0.1 0.1 0.1 0.1
ローカストビーンガム 0.4 0.5 0.4 0.5
キサンタンガム 0.3 0.3 − −
クエン酸ナトリウム 0.5 0.4 0.5 0.4
水酸化ナトリウム − − − 0.5
リン酸水素二ナトリウム 0.6 0.6 − −
D-ソルビトール 7.0 5.0 7.0 5.0
プロピルパラベン 0.02 0.02 0.02 0.02
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
精製水を加えて100gとする
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
表2のB成分を秤取し、80℃に加温溶解し、これにA成分を加えて懸濁液とした。これを80〜90℃に1時間保温殺菌後、70〜60℃にて保温しながら5gずつ容器に充填した。
表2
―――――――――――――――――――――――――
配合量(重量%)
成 分 ―――――――――――
実施例3 比較例3
―――――――――――――――――――――――――
A葛根湯乾燥エキス 15.2 15.2
―――――――――――――――――――――――――
Bι-カラギーナン 0.4 0.4
κ-カラギーナン 0.1 0.1
ローカストビーンガム 0.5 0.5
キサンタンガム 0.3 −
クエン酸ナトリウム − 0.4
水酸化ナトリウム − 0.2
リン酸水素二ナトリウム 0.6 −
D-ソルビトール 12.0 12.0
プロピルパラベン 0.02 0.02
―――――――――――――――――――――――――
精製水を加えて100gとする
―――――――――――――――――――――――――
表2のB成分を秤取し、80℃に加温溶解し、これにA成分を加えて懸濁液とした。これを80〜90℃に1時間保温殺菌後、70〜60℃にて保温しながら5gずつ容器に充填した。
表3
―――――――――――――――――――――――――
配合量(重量%)
成 分 ―――――――――――
実施例4 比較例4
―――――――――――――――――――――――――
A葛根湯軟エキス 27.6 27.6
―――――――――――――――――――――――――
Bι-カラギーナン 0.3 0.3
κ-カラギーナン 0.2 0.2
ローカストビーンガム 0.4 0.4
キサンタンガム 0.2 −
リン酸水素二ナトリウム 0.6 0.6
D-ソルビトール 5.0 5.0
プロピルパラベン 0.02 0.02
―――――――――――――――――――――――――
精製水を加えて100gとする
―――――――――――――――――――――――――
表2のB成分を秤取し、80℃に加温溶解し、これにA成分を加えて懸濁液とした。これを80〜90℃に1時間保温殺菌後、70〜60℃にて保温しながら5gずつ容器に充填した。
表4
―――――――――――――――――――――――――
配合量(重量%)
成 分 ―――――――――――
実施例5 比較例5
―――――――――――――――――――――――――
A五苓散乾燥エキス 11.2 11.2
―――――――――――――――――――――――――
Bι-カラギーナン 0.4 0.4
κ-カラギーナン 0.15 0.15
ローカストビーンガム 0.3 0.3
キサンタンガム 0.2 −
リン酸水素二ナトリウム 0.6 −
クエン酸ナトリウム 0.7
D-ソルビトール 15.0 15.0
プロピルパラベン 0.02 0.02
―――――――――――――――――――――――――
精製水を加えて100gとする
―――――――――――――――――――――――――
表2のB成分を秤取し、80℃に加温溶解した。これを80〜90℃に1時間保温殺菌後、70〜60℃にて保温しながら5gずつ容器に充填した。
表5
――――――――――――――――――――――――――
配合量(重量%)
成 分 ――――――――――――
参考例1 参考例2
――――――――――――――――――――――――――
A − − −
――――――――――――――――――――――――――
Bι-カラギーナン 0.3 0.3
κ-カラギーナン 0.2 0.25
ローカストビーンガム 0.4 0.4
キサンタンガム 0.2 −
リン酸水素二ナトリウム 0.6 −
クエン酸ナトリウム 0.7
D-ソルビトール 30.0 30.0
プロピルパラベン 0.02 0.02
――――――――――――――――――――――――――
精製水を加えて100gとする
――――――――――――――――――――――――――
上記実施例、比較例及び参考例で得られた漢方ゼリー医薬組成物について、加熱安定性、保存安定性について試験した。
実施例1〜5、比較例1〜5及び参考例1〜2で作製した各種ゼリーについて、80℃における経時的ゼリー強度を試験した。
実施例は各種漢方成分を含み、本発明に従った処方である。比較例は、本発明の効果を見るために、キサンタンガムやリン酸塩緩衝液を除くか、あるいは別のものに置き換えた処方である。参考例は実施例の漢方成分を除いた、いわゆるブランク処方である。
表6
―――――――――――――――――――――――――――
80℃加熱時間
―――――――――――――――――――――
1hr 3hr 5hr
―――――――――――――――――――――――――――
実施例1 71g 72g 70g
実施例2 65g 65g 64g
実施例3 92g 88g 96g
実施例4 99g 99g 90g
実施例5 83g 84g 80g
―――――――――――――――――――――――――――
比較例1 60g 50g 31g
比較例2 50g 42g 31g
比較例3 60g 57g 25g
比較例4 53g 49g 40g
比較例5 70g 49g 34g
参考例1 99g 98g 99g
参考例2 94g 94g 93g
―――――――――――――――――――――――――――
実施例1〜5で得られた試料について、40℃、75%RHの条件下で6ヶ月間放置した。その後、これらの試料について、外観(形状や離漿)の変化を調べた。その結果、実施例1〜5の試料において、形状の変化や離漿は認められなかつた。
Claims (5)
- 八味地黄丸、葛根湯、及び五苓散から選択される漢方原薬を含む、前記漢方原薬の一回服用量単位毎に1〜15gに小分けされたことを特徴とする、ゼリー状の経口医薬組成物であって、カラギーナンを前記経口医薬組成物全量に対して0.05〜1.0重量%、ローカストビーンガムを前記経口医薬組成物全量に対して0.01〜1.0重量%、キサンタンガムを前記経口医薬組成物全量に対して0.01〜1.0重量%、及びリン酸塩の緩衝剤を含む医薬組成物。
- カラギーナンが、κカラギーナン及びιカラギーナンから選択されるものであることを特徴とする請求項1記載の医薬組成物。
- 溶融固形成分をさらに含む請求項1又は2に記載の経口医薬組成物。
- 前記溶融固形成分が、糖、糖アルコール又は多価アルコールから選ばれる1種又は2種以上である請求項3記載の経口医薬組成物。
- リン酸塩の緩衝剤を医薬組成物全量に対して0.1〜2.5重量%含有する請求項1〜4のいずれか一項に記載の経口医薬組成物。
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