JP5216611B2 - 押釦スイッチ用部材、押釦スイッチ用部材の製造方法、キーパネルおよび電子機器 - Google Patents
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Description
本発明の押釦スイッチ用部材は、キートップの片面に、第一のポリオール化合物を主成分とする主剤と、第一のイソシアネート化合物を主成分とする硬化剤と、を含む半硬化状態の第一の接着層を形成する第一の接着層形成工程と、ベースシートの片面に、第二のポリオール化合物を主成分とする主剤と、第二のイソシアネート化合物を主成分とする硬化剤と、を含む半硬化状態の第二の接着層を形成する第二の接着層形成工程と、上記キートップの上記第一の接着層が形成された面と、上記ベースシートの上記第二の接着層が形成された面とを貼り合わせることにより得られた積層体を加圧加熱する加圧加熱工程と、を少なくとも経て作製され、且つ、下式(1)および(2)を満たすことを特徴とする。
・式(1) 0.25≦MR1≦0.8
・式(2) 1.25≦MR2≦4
〔式(1)および式(2)中、MR1は、上記第一の接着層および上記第二の接着層から選択されるいずれか一方の接着層におけるイソシアネート化合物起因のイソシアネート基のモル数に対するポリオール化合物起因の水酸基のモル数の比率(水酸基のモル数/イソシアネート基のモル数)を表し、MR2は、他方の接着層におけるイソシアネート化合物起因のイソシアネート基のモル数に対するポリオール化合物起因の水酸基のモル数の比率(水酸基のモル数/イソシアネート基のモル数)を表す。〕
・式(3) 0.25≦MR1≦0.8
・式(4) 1.25≦MR2≦4
〔式(3)および式(4)中、MR1は、上記第一の接着層および上記第二の接着層から選択されるいずれか一方の接着層におけるイソシアネート化合物起因のイソシアネート基のモル数に対するポリオール化合物起因の水酸基のモル数の比率(水酸基のモル数/イソシアネート基のモル数)を表し、MR2は、他方の接着層におけるイソシアネート化合物起因のイソシアネート基のモル数に対するポリオール化合物起因の水酸基のモル数の比率(水酸基のモル数/イソシアネート基のモル数)を表す。〕
本実施形態の押釦スイッチ用部材は、(1)キートップの片面に、第一のポリオール化合物を主成分とする主剤と、第一のイソシアネート化合物を主成分とする硬化剤と、を含む半硬化状態の第一の接着層を形成する第一の接着層形成工程と、(2)ベースシートの片面に、第二のポリオール化合物を主成分とする主剤と、第二のイソシアネート化合物を主成分とする硬化剤と、を含む半硬化状態の第二の接着層を形成する第二の接着層形成工程と、(3)上記キートップの上記第一の接着層が形成された面と、上記ベースシートの上記第二の接着層が形成された面とを貼り合わせることにより得られた積層体を加圧加熱する加圧加熱工程と、を少なくとも経て作製される。そして、下式(1)および(2)を満たすことを特徴とする。
・式(1) 0.25≦MR1≦0.8
・式(2) 1.25≦MR2≦4
〔式(1)および式(2)中、MR1は、上記第一の接着層および上記第二の接着層から選択されるいずれか一方の接着層におけるイソシアネート化合物起因のイソシアネート基のモル数に対するポリオール化合物起因の水酸基のモル数の比率(水酸基のモル数/イソシアネート基のモル数)を表し、MR2は、他方の接着層におけるイソシアネート化合物起因のイソシアネート基のモル数に対するポリオール化合物起因の水酸基のモル数の比率(水酸基のモル数/イソシアネート基のモル数)を表す。〕
本実施形態の押釦スイッチ用部材は、キートップと、ベースシートと、これら両部材の間に設けられた2液硬化型のウレタン系接着剤を硬化させることにより形成された硬化層と、を少なくとも備えたものである。すなわち、本実施形態の押釦スイッチ用部材は、ベースシートの片面に、硬化層を介してキートップが接着固定された構成を有する。なお、本実施形態の押釦スイッチ用部材には、必要に応じて、キートップと並べて、ベースシートにフレームシートを配置してもよい。このフレームシートは、キートップの側面に形成される隙間を埋めるように設けられるものであり、通常は、ベースシート表面のキートップが配置されていない領域全体を覆うように設けられることが好ましい。フレームシートを設けることで、キートップ間に爪が入り込むことによりキートップが剥離して脱落するのをより確実に防止することができる。また、キートップの極端な浮き上がりを防止できるため、この点でも、キートップが剥離して脱落するのをより確実に防止することができる。フレームシートとベースシートとの接着方法は、両面テープや、接着剤を用いたものであれば特に限定されないが、キートップとベースシートとを接着する場合と同様の接着方法を採用することが好ましい。
ベースシートは、樹脂フィルムから構成され、必要に応じて、この樹脂フィルムの表面にその他の層を設けることができる。このようなその他の層としては、特に限定されないが、例えば、ベースシートのキートップが配置されない領域(非キートップ領域)に、文字、記号、図形、外観色、模様など、情報伝達やデザイン性の向上、遮光を目的として印刷層を設けることができる。なお、他の層は、複数回に分けて積層形成してもよい。例えば、外観色を付与する印刷層を形成後、乾燥処理し、続いて、文字・図形・記号(色)等を付与する印刷層を形成後、乾燥処理し、遮光層を形成するといったように、複数の層を順次積層してもよい。また、非キートップ領域には、耐傷性向上を目的として、ハードコート層を設けてもよい。ハードコート層としては、UV硬化型アクリル系樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂等の熱硬化性樹脂などの透明樹脂材料が利用できる。また、本実施形態の押釦スイッチ用部材が、押釦スイッチ用部材が配置された操作パネル面の裏面側にLED等のバックライトを配置したいわゆる照光式である場合、黒顔料を含む印刷層(遮光層)を設けることが好ましい。この遮光層は、バックライト光を透過させたくない領域(例えば、非キートップ領域など)に設けられる。
キートップは、フィルム状またはブロック状の樹脂部材から構成され、必要に応じて、この樹脂部材の表面に、上述した印刷層やハードコート層、遮光層などの他の層を設けることができる。また、ベースシートの場合と同様に、他の層は、複数回に分けて積層形成してもよい。なお、樹脂部材の接着層が設けられる側の面に他の層を設ける場合は、樹脂部材の表面に印刷層を形成した後、この印刷層の表面に接着層を形成することができる。樹脂部材の厚みやサイズは、押釦スイッチ用部材を用いる電子機器やスイッチパネルに応じて適宜選択することができる。しかしながら、厚みは250μm以上1000μm以下が好ましく、400μm以上700μm以下がより好ましい。厚みが250μm未満では、キートップとベースシートとの段差が小さすぎるために、目視や手で触った際にどの領域がキーを構成しているのかが識別困難となる場合がある。一方、厚みが1000μmを超えると、特に携帯型の電子機器に押釦スイッチ用部材に用いる場合に、薄型化の要請に応えることが困難となる場合がある。
上述したように、フレームシートは、必要に応じて、キートップと並べて、ベースシートに配置してもよい。フレームシートの構成材料や、フレームシート表面に設けられる場合については、平面方向の形状・サイズや、遮光層の有無などを除いて、基本的にキートップに準じた構成とすることができる。
キートップとベースシートとの間や、必要に応じて設けられるフレームシートとベースシートとの間には、これら両部材を接着固定する硬化層が設けられる。この硬化層は、接着剤が硬化することにより形成された層である。硬化層は、接着強度の確保という点でキートップやフレームシートのベースシート側の面全体に設けられていることが最も好ましい。しかし、実用上は、キートップやフレームシートの側端面から内側へ0.2mmぐらいの距離までは、設けられていないようにすること好適である。接着時の接着剤のはみ出しを回避するためである。
本実施形態の押釦スイッチ用部材の製造方法について、まず、上述した2層構成のウレタン系材料からなる硬化層に着目して説明する。本実施形態の押釦スイッチ用部材の製造に際しては、以下の3つの工程が必ず実施される。
(1)キートップの片面に、第一のポリオール化合物を主成分とする主剤と、第一のイソシアネート化合物を主成分とする硬化剤と、を含む半硬化状態の第一の接着層を形成する第一の接着層形成工程
(2)ベースシートの片面に、第二のポリオール化合物を主成分とする主剤と、第二のイソシアネート化合物を主成分とする硬化剤と、を含む半硬化状態の第二の接着層を形成する第二の接着層形成工程
(3)上記キートップの上記第一の接着層が形成された面と、上記ベースシートの上記第二の接着層が形成された面とを貼り合わせることにより得られた積層体を加圧加熱する加圧加熱工程
キートップ10と並べて、ベースシート20上に両面テープ42を介してフレームシート52が接着固定されると共に、ベースシート20のキートップ10が設けられた側と反対側の面にプッシャーシート50、押圧子60がこの順に積層形成されたものである。また、図1(D)中、押圧子60と、プッシャーシート50との間や、ベースシート20とプッシャーシート50との間に設けられる接着層については記載を省略してある。
本実施形態のキーパネルは、少なくとも本実施形態の押釦スイッチ用部材を備えたものである。ここで、本願明細書において、「キーパネル」とは操作スイッチを有する操作盤のことである。キーパネルは、スイッチ操作による操作対象となる電子機器本体と一体に設けられたものであってもよいし、スイッチ操作による操作対象となる電子機器本体と物理的に分離して設けられたものであってもよい。なお、後者の場合は、キーパネルと電子機器とが、有線接続されるタイプであってもよいし、キーパネルと電子機器とが赤外線通信などによって信号のやり取りが可能なワイヤレスタイプであってもよい。代表的な例としては、エアーコンディショナ、インターホン、テレビ等のリモートコントローラ、デスクトップタイプのパソコンのキーボードなどに用いられる操作盤が挙げられる。また、キーパネルを備えた電子機器(キーパネルが電子機器本体と一体化した電子機器)としては、電子辞書、携帯電話、電卓、ノートパソコン、PDA、MP3プレーヤ等の音楽再生機能を持つ携帯型プレーヤなどが挙げられる。
図2は、本実施形態の押釦スイッチ用部材を用いたキーパネルの一例を示す模式断面図である。なお、図2中、図1中に示す部材と同様の機能・構成を有する部材については同じ符号を付してある。また、キーパネル110のその他の部分;例えばキーパネル単体の場合の筺体構造や、キーパネルが電子機器本体と一体的に構成されている場合の電子機器本体部分の構造等についても記載を省略してある。図2に示すキーパネル110は、押釦スイッチ用部材100と、押釦スイッチ用部材100の裏面に対向して配置された基板74と、基板74表面に配置されたタクトスイッチ70と、基板74表面に配置されたLED72とから構成されている。そして、タクトスイッチ70は、押圧子60と接触できるように基板74表面に配置されている。
(比較例1)
主剤と硬化剤とを表1に示す割合で混合した接着剤を、ベースシート(ポリウレタン樹脂フィルム、シーダム社製、商品名;DUS605、厚み;50μm)およびキートップ(ポリカーボネート樹脂、三菱エンジニアリングプラスチック社製、商品名;H3000R、厚み;500μm、縦横サイズ11mm×6mm)の片面に、厚みがそれぞれ400μm程度となるようにスクリーン印刷法により塗布し、接着層を形成した。なお、接着層は、ベースシートおよびキートップを構成する樹脂フィルムの表面に直接形成した。また、接着層は、キートップの片面全面に形成すると共に、ベースシート側には、キートップに対応する領域にのみ形成した。その後、各々の接着層が半硬化状態となるように、80℃で30分間乾燥処理を行った。なお、乾燥処理後のキートップ側およびベースシート側の接着層の表面を指で触ったところ型崩れすることはなく、接着層が半硬化状態となっていることが確認された。続いて、乾燥処理を終えた後にベースシートとキートップとを貼り合わせた状態で、温度180℃、圧力2kg/cm2の条件にて15秒間加圧加熱処理を行い、キートップとベースシートとを接着固定した。この際の主要な実験条件を表1に示す。
MR(K)、MR(B)および接着剤種類を表1に示すように変化させた以外は比較例1と同様にしてキートップとベースシートとを接着固定した。なお、いずれの実施例、比較例においても、乾燥処理後のキートップ側およびベースシート側の接着層の表面を指で触ったところ型崩れすることはなく、接着層が半硬化状態となっていることが確認された。
MR(K)および接着剤種類を表1に示すように変化させると共に、ベースシート側に接着層を設けなかった以外は比較例1と同様にしてキートップとベースシートとを接着固定した。なお、いずれの比較例においても、乾燥処理後のキートップ側の接着層の表面を指で触ったところ型崩れすることはなかった。
各実施例、比較例のサンプルについて、接着性を評価した結果を表2に示す。
接着性(初期)の評価は、接着性測定器(FGC−10,日本電産シンボ社製)を用いて、キートップとベースシートとの間の接着強度を調べた。接着強度の測定は、主剤と硬化剤とを配合した時点から24時間以内にベースシートとキートップを貼り合わせた各実施例、比較例サンプルを用いて以下のように実施した。まず、キートップの上部をクランプに固定し、垂直引き上げ速度50mm/minにて、上方に向かって垂直に引き上げた。一方、ベースシートは、下方に力を加え固定した。そして、この際のキートップとベースシートとの剥離に要する最大応力を10個のサンプルについて測定し、その平均値を求めた。評価基準は以下の通りである。
◎:最大応力の平均値が、3kg/cm2 以上
○:最大応力の平均値が、2kg/cm2以上3kg/cm2未満
△:最大応力の平均値が、1kg/cm2以上2kg/cm2未満
×:最大応力の平均値が、1kg/cm2 未満
接着性(1週間後)の評価は、主剤と硬化剤とを配合した時点から乾燥工程を経て1週間後にベースシートとキートップを貼り合わせた各実施例、比較例サンプルを用いて、接着性(初期)の場合と同様の評価を実施した。評価基準は以下の通りである。
◎:最大応力の平均値が、3kg/cm2 以上
○:最大応力の平均値が、2kg/cm2以上3kg/cm2未満
△:最大応力の平均値が、1kg/cm2以上2kg/cm2未満
×:最大応力の平均値が、1kg/cm2 未満
接着性(高温高湿試験後)の評価は、主剤と硬化剤とを配合した時点から1週間以内にベースシートとキートップを貼り合わせた各実施例、比較例のサンプルを高温高湿環境下(65℃、95Rh%)にて240時間放置した後、接着性(初期)の場合と同様の評価を実施した。評価基準は以下の通りである。
◎:最大応力の平均値が、3kg/cm2 以上
○:最大応力の平均値が、2kg/cm2以上3kg/cm2未満
△:最大応力の平均値が、1kg/cm2以上2kg/cm2未満
×:最大応力の平均値が、1kg/cm2 未満
20 ベースシート
30 接着層
30A 第一の接着層
30B 第二の接着層
40 硬化層
40A 第一層
40B 第二層
42 両面テープ
50 プッシャーシート
52 フレームシート
60 押圧子
70 タクトスイッチ
72 LED
74 基板
100 押釦スイッチ用部材
110 キーパネル
Claims (5)
- キートップの片面に、第一のポリオール化合物を主成分とする主剤と、第一のイソシアネート化合物を主成分とする硬化剤と、を含む半硬化状態の第一の接着層を形成する第一の接着層形成工程と、
ベースシートの片面に、第二のポリオール化合物を主成分とする主剤と、第二のイソシアネート化合物を主成分とする硬化剤と、を含む半硬化状態の第二の接着層を形成する第二の接着層形成工程と、
上記キートップの上記第一の接着層が形成された面と、上記ベースシートの上記第二の接着層が形成された面とを貼り合わせることにより得られた積層体を加圧加熱する加圧加熱工程と、を少なくとも経て作製され、且つ、
下式(1)および(2)を満たすことを特徴とする押釦スイッチ用部材。
・式(1) 0.25≦MR1≦0.8
・式(2) 1.25≦MR2≦4
〔式(1)および式(2)中、MR1は、上記第一の接着層および上記第二の接着層から選択されるいずれか一方の接着層におけるイソシアネート化合物起因のイソシアネート基のモル数に対するポリオール化合物起因の水酸基のモル数の比率(水酸基のモル数/イソシアネート基のモル数)を表し、MR2は、他方の接着層におけるイソシアネート化合物起因のイソシアネート基のモル数に対するポリオール化合物起因の水酸基のモル数の比率(水酸基のモル数/イソシアネート基のモル数)を表す。〕 - キートップの片面に、第一のポリオール化合物を主成分とする主剤と、第一のイソシアネート化合物を主成分とする硬化剤と、を含む半硬化状態の第一の接着層を形成する第一の接着層形成工程と、
ベースシートの片面に、第二のポリオール化合物を主成分とする主剤と、第二のイソシアネート化合物を主成分とする硬化剤と、を含む半硬化状態の第二の接着層を形成する第二の接着層形成工程と、
上記キートップの上記第一の接着層が形成された面と、上記ベースシートの上記第二の接着層が形成された面とを貼り合わせることにより得られた積層体を加圧加熱する加圧加熱工程とを有し、且つ、
下式(3)および(4)を満たすことを特徴とする押釦スイッチ用部材の製造方法。
・式(3) 0.25≦MR1≦0.8
・式(4) 1.25≦MR2≦4
〔式(3)および式(4)中、MR1は、上記第一の接着層および上記第二の接着層から選択されるいずれか一方の接着層におけるイソシアネート化合物起因のイソシアネート基のモル数に対するポリオール化合物起因の水酸基のモル数の比率(水酸基のモル数/イソシアネート基のモル数)を表し、MR2は、他方の接着層におけるイソシアネート化合物起因のイソシアネート基のモル数に対するポリオール化合物起因の水酸基のモル数の比率(水酸基のモル数/イソシアネート基のモル数)を表す。〕 - 請求項1に記載の押釦スイッチ用部材を備えたことを特徴とするキーパネル。
- 請求項3に記載のキーパネルを備えたことを特徴とする電子機器。
- 携帯電話であることを特徴とする請求項4に記載の電子機器。
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