JP2001219433A - 表皮付き成形体とその製造方法及びこれに使用する接着剤 - Google Patents

表皮付き成形体とその製造方法及びこれに使用する接着剤

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JP2001219433A
JP2001219433A JP2000032577A JP2000032577A JP2001219433A JP 2001219433 A JP2001219433 A JP 2001219433A JP 2000032577 A JP2000032577 A JP 2000032577A JP 2000032577 A JP2000032577 A JP 2000032577A JP 2001219433 A JP2001219433 A JP 2001219433A
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urethane
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adhesive
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JP2000032577A
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Hirohide Enami
博秀 榎並
Tateo Ono
健郎 小野
Kenji Kubomoto
謙二 久保本
Gakushiyu Okazawa
学秀 岡沢
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Mitsuboshi Belting Ltd
Original Assignee
Mitsuboshi Belting Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 外層に皮シボやステッチ等を付けて意匠性を
高めるとともにソフト感のある蝕感をもたせたリサイク
ル使用可能な複合表皮、及び表面凹凸の少ない表皮付き
成形体とその製造方法及びこれに使用する接着剤を提供
することを目的とする。 【解決手段】 スラッシュ成形して得られた表皮4と芯
体5の積層体からなる表皮付き成形体であり、オレフィ
ン系熱可塑性エラストマー組成物の粉末をスラッシュ成
形した表皮4とオレフィン系樹脂を用いた芯体5との間
に接着層6として熱可塑性発泡ウレタンを介在させた構
成からなっている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は表皮付き成形体とそ
の製造方法及びこれに使用する接着剤に係り、詳しくは
リサイクル使用が可能で、外層に皮シボやステッチ等を
付けて意匠性を高めるとともにソフト感のある蝕感をも
たせた表面に凹凸のない表皮付き成形体とその製造方法
及びこれに使用する接着剤に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車の内装品であるインストルメント
パネル、ドアートリム、コンソールボックス等の樹脂成
形体の製造方法としては、塩化ビニルとABS樹脂のブ
レンド樹脂をシート状に押し出した後、エッチング絞り
ロールによって模様を付け、これを真空成形によって賦
形した表皮材と、射出成形やスタンピング成形で賦形し
た芯材(基材)とをウレタン発泡型に設置した後、発泡
ウレタンを注入して一体成形する方法が主流であった。
【0003】しかし、塩化ビニルを使用した製品を通常
に焼却すると、ダイオキシンが発生することが懸念さ
れ、また再生する場合には分別が不十分でオレフィン系
樹脂等を混入すると再生樹脂の性能を著しく低下させる
のでオレフィン系樹脂の材料を使用することが望まし
い。
【0004】また、電鋳型を使用して成形したスラッシ
ュ成形表皮は、充分な皮絞り感を出現させる方法として
優れている。粉体材料に使用する樹脂組成物が溶融時に
高い流動性をもつ必要があるが、熱可塑性ポリオレフィ
ン(TPO)組成物で高い溶融流動性があり、かつ得ら
れたスラッシュ成形シートに自動車内装用表皮に要求さ
れる性能を満たすことは困難であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】このため、ソフト感の
ある表皮材をTPO組成物で造るため、2層あるいは3
層の複合表皮をパウダースラッシュ成形することが検討
されている。しかし、ソフト感をもたせるための発泡層
を均一に形成させることは難しく、特にポリプロピレン
樹脂をエラストマー成分で変性したTPO組成物の発泡
セルを微細で均質にすることは困難で、γ線による架橋
等の特殊な手段を必要とした。
【0006】スラッシュ成形で複合表皮を作製する場
合、材料は溶融流動性の高いものを使用し、加熱した金
型に溶融付着させて皮膜を形成させることが必要とされ
た。しかし、TPO組成物の溶融流動性を向上させるた
めにパラフィン系オイル等を添加した組成物を発泡層に
使用すると、発泡セルが粗くなり、ソフト性が損なわれ
ことがあった。
【0007】また、スラッシュ成形は熱風加熱炉で型を
加熱して、炉から出して樹脂粉末を付着させ、再度同一
もしくは別の熱風加熱炉に投入して型面と表皮の両方か
ら加熱し、次に発泡層材料を同様に付着させ加熱して発
泡させていた。このスラッシュ成形方法においても加熱
させる金型の温度は部分によって高低差が生じることは
避けられず、この温度差によって材料粉体の付着量が変
わることによって表皮の厚みが変わり、特にソリッドの
外層と発泡層の内層を積層した複合表皮を成形する場合
には、表皮の厚みのバラツキが大きくなる問題があっ
た。
【0008】厚みにバラツキのある表皮を別に成形した
芯材と接着剤で貼りあわせて成形体にすると、表皮の厚
みのバラツキが成形体表面の凹凸になり、外観が悪くな
ることがあった。
【0009】また、TPO組成物は接着剤で接着するこ
とは難しい材料であり、発泡層をもつTPO複合表皮を
射出成形した樹脂と接着剤で接着するのは困難であっ
た。
【0010】本発明はこのような問題点を改善するもの
であり、外層に皮シボやステッチ等を付けて意匠性を高
めるとともにソフト感のある蝕感をもたせたリサイクル
使用可能な複合表皮、及び表面凹凸の少ない表皮付き成
形体とその製造方法及びこれに使用する接着剤を提供す
ることを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】即ち、本願の請求項1記
載の発明では、スラッシュ成形して得られた表皮と芯体
の積層体からなる表皮付き成形体であり、オレフィン系
熱可塑性エラストマー組成物の粉末をスラッシュ成形し
た表皮とオレフィン系樹脂を用いた芯体との間に接着層
として熱可塑性ウレタンを介在させた表皮付き成形体に
あり、上記接着層が表皮と芯材との間に発泡熱可塑性ウ
レタンを充填して一体化し、またこれらの3層を混練し
た場合には均一に溶融するために、成形体自体のリサイ
クルが可能になる。
【0012】本願の請求項2記載の発明では、接着層が
熱可塑性発泡ウレタンである表皮付き成形体にあり、表
皮と芯材との間に間隙を発生させずに充填することがで
きる。
【0013】本願の請求項3記載の発明では、スラッシ
ュ成形して得られた表皮を一方の型に、芯体を他方の型
に設置し、両方の型を嵌合して、表皮と芯体とを積層し
てなる表皮付き成形体の製造方法において、オレフィン
系熱可塑性エラストマー組成物の粉末をスラッシュ成形
した表皮とオレフィン系樹脂を用いた芯体との間にウレ
タン系接着剤を充填させ、ウレタン系接着剤を反応させ
てこれらを一体化し、熱可塑性ウレタンからなる接着層
を介在させた表皮付き成形体の製造方法にあり、上記接
着層として熱可塑性ウレタンを表皮と芯材との間に充填
して一体化し、またこれらの3層を混練した場合には均
一に溶融して引張伸びと引張り強度の高い物性をもった
材料になり、成形体自体のリサイクルが可能になる。
【0014】本願の請求項4記載の発明では、接着層が
熱可塑性発泡ウレタンである表皮付き成形体の製造方法
にあり、表皮と芯材との間に間隙を発生させずに充填す
ることができる。
【0015】本願の請求項5記載の発明では、ウレタン
系接着剤が少なくともジイソシアネート、長鎖ジオー
ル、短鎖ジオール、そして発泡剤を含んでおり、得られ
た接着層は熱可塑性発泡ウレタンになり、ウレタンポリ
マーを直鎖状にして溶融可能にすることができ、また上
記表皮と芯材になじみ、成形体自体のリサイクルが可能
になる。
【0016】本願の請求項6記載の発明では、長鎖ジオ
ールが水酸基末端ポリブタジエンである表皮付き成形体
の製造方法にある。
【0017】本願の請求項7記載の発明では、短鎖ジオ
ールが1,4−ブタンジオールである表皮付き成形体の
製造方法にある。
【0018】本願の請求項8記載の発明では、上記表皮
が少なくともソリッド層からなる外層と発泡層からなる
内層を積層するようにスラッシュ成形して得られた複合
表皮である表皮付き成形体の製造方法にあり、ソリッド
な外層と発泡層の内層の2層からなる表皮を使用して内
層にクッション性を付与し、外層に皮シボやステッチ等
を付けて意匠性を高めるとともにソフト感のある蝕感を
もたせることができる。
【0019】本願の請求項9記載の発明では、複合表皮
のソリッド層からなる外層が、少なくともポリプロピレ
ン樹脂、水素添加スチレンブタジエンゴム、プロセスオ
イル、吸油能に優れたエラストマー、そして内部離型剤
を含む熱可塑性エラストマー組成物の粉末をスラッシュ
成形し、更に発泡層からなる内層が、少なくともポリプ
ロピレン樹脂、水素添加スチレンブタジエンゴム、そし
て発泡剤を含む粉末をスラッシュ成形したものである表
皮付き成形体の製造方法にある。
【0020】本願の請求項10記載の発明では、オレフ
ィン系熱可塑性エラストマー組成物の粉末をスラッシュ
成形した表皮とオレフィン系樹脂を用いた芯体とを接着
するウレタン系接着剤であり、少なくともジイソシアネ
ート、長鎖ジオール、短鎖ジオールを含んでいるウレタ
ン系接着剤にあり、ウレタン系接着剤を表皮と芯材との
間に充填して一体化し、またこれらの3層を混練した場
合には均一に溶融して引張伸びと引張り強度の高い物性
をもった材料になり、成形体自体のリサイクルが可能に
なる。
【0021】本願の請求項11記載の発明では、発泡剤
として水を含むウレタン系接着剤にある。
【0022】
【発明の実施の形態】図1は上記表皮付き成形体の一つ
である自動車用インストルメントパネルの全体外観斜視
図、図2は図1のX−X断面図、そして図3は図2のA
部拡大図である。このインストルメントパネル1は、ソ
フト部2とハード部3に区分され、ソフト部においては
表面にはシボ付き模様をもった外層4aと内層4bの2
層からなる表皮4が表面を被覆し、裏面にはオレフィン
系樹脂を用いた芯材5を積層している。他方、ハード部
3は芯体5だけから構成されている。そして、表皮4と
オレフィン系樹脂を用いた芯体5との間には、接着層−
として熱可塑性発泡ウレタンが介在している。
【0023】上記表皮4は外層4aと内層4bからなる
複合表皮であり、外層4aは少なくともポリプロピレン
樹脂、水素添加スチレンブタジエンゴム、プロセスオイ
ル、吸油能に優れたエラストマー、そして内部離型剤か
らなる熱可塑性エラストマー組成物の粉末をスラッシュ
成形したものである。
【0024】外層4aに使用するポリプロピレン樹脂
(アイソタクティックポリプロピレン樹脂)は、通常成
形品として市販されているものでアイソタクティックポ
リプロピレン樹脂が95重量%以上含んでいるものであ
り、結晶性が高いが数重量%のシンジオタクチックやア
タクチックポリマーを含んでいる。具体的には、ポリプ
ロピレンホモポリマー、α−オレフィンとのブロックあ
るいはランダム共重合体のいずれでもよく、特にα−オ
レフィンとしてエチレンを用いたブロックあるいはラン
ダム共重合体が成形体の柔軟性の面からいって好まし
い。また、圧力のかからない粉末スラッシュ成形に用い
るためには、ポリプロピレン樹脂の溶融流動性の指数と
してJIS K7210により230°C、荷重2.1
6kgfで測定したMFR(メルトフローレート)が2
0g/10分以上であることが必要である。上記ポリプ
ロピレン樹脂は熱あるいは酸化によってその主鎖が切断
されるポリマーであり、架橋し硬化するポリエチレン等
と異なる性質をもっており、有機過酸化物によってその
主鎖が切断され、分子量が低下する。
【0025】また、外層4aに使用する水素添加スチレ
ンブタジエンゴム(H−SBR)は、ポリプロピレン樹
脂との相溶性に優れており、ポリプロピレン樹脂に混練
すると柔軟になり、折曲げや白化しにくい熱可塑性エラ
ストマー組成物が得られる。H−SBRのスチレン含有
量は30重量%以下が好ましく、柔軟性に富む表皮を得
るためには5〜15重量%が適当である。
【0026】H−SBRは、スチレンとブタジエンがラ
ンダムに共重合しているスチレンブタジエンゴムを水素
添加している点で、ブロック共重合体であるSEBSと
異なっている。代表的なものとして、日本合成ゴム社製
の商品であるダイナロンシリーズがある。
【0027】ポリプロピレン樹脂とH−SBRとの混合
量は、重量比で80/20〜20/80の割合であり、
結晶性ポリプロピレン樹脂が多くなると、成形された表
皮が硬くなり、一方少なくなると引張強度が低下する。
【0028】また、外層4aにプロセスオイルを添加す
ることにより組成物中のエラストマー成分に吸収されて
溶融粘度を下げるとともに、表皮の硬度を下げ、柔軟性
をもたせる効果がある。上記プロセスオイルはゴム用に
使用されるものであり、パラフィン系、ナフテン系、ア
ロマ系に分類されるが、エラストマー成分との相溶性に
よりパラフィン系が好ましい。添加量は吸油能に優れた
エラストマー100重量部に対して5〜200重量部が
好ましい。200重量部を越えると、引張物性が低下
し、5重量部未満になると、溶融粘度が下がらず表皮が
硬くなる。
【0029】外層4aに使用する吸油能に優れたエラス
トマーは、ポリプロピレン樹脂と相溶性を有しており、
プロセスオイルと組成物中のオリゴマー成分を吸収する
性質を有するもので、スチレン・エチレンブチレン・ス
チレンブロックコポリマー(SEBS)やスチレン・エ
チレンプロピレン・スチレンブロックコポリマー(SE
PS)等のスチレン系ブロック共重合熱可塑性エラスト
マー、オレフィン結晶・エチレンブチレン・オレフィン
結晶ブロックコポリマー(CEBC)、エチレンプロピ
レンゴム(EPR)、そしてエチレン・オクテン共重合
体(POE)がある。
【0030】とりわけ、上記POEはメタロセン化合物
を中心とする触媒で反応点(サイト)が1分子に1つ
(シングル)であって、活性種がいずれのサイトにも均
質なシングルサイト触媒を用いて得られたポリマーであ
り、長鎖分岐構造をもち、分子量分布が狭く、組成分布
が均一で、そして低分子量のオリゴマーやワックスの含
有量が少ないと言った特長をもっている。そのため、ポ
リプロピレン樹脂とのブレンドにおいては、EPDM
(エチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合体)に比
べて流動分散性が良く、ポリプロピレン樹脂に微分散し
やすい特性があり、スラッシュ成形に適する材料にな
る。また、上記POEは通常のチーグラ・ナッタ触媒に
よって重合される直鎖状のもの、例えばエチレンとプロ
ピレンとを共重合した汎用のエチレンプロピレンゴムと
は分子構造上相違している。
【0031】上記SEBSはスチレン・ブタジエン・ス
チレンブロック共重合体(SBS)を水素添加したもの
であり、シエル化学社製の商品であるクレイトンGシリ
ーズ、旭化成社製の商品であるタフテックHシリーズ等
が挙げられる。このSEBSではスチレン含量が増える
につれて強度が上昇するが、柔軟性が低下する。また、
同SEBSではスラッシュ成形時に溶融してスチレンハ
ードセグメントが凝集し、平滑なシート状成形体を得に
くいことがある。従って、スチレン含量は40重量%以
下がよい。
【0032】SEPSはスチレン・イソプレン・スチレ
ンブロック共重合体(SIS)を水素添加したもので、
クラレ社製の商品であるセプトンが代表的である。SE
BSと同様にスチレン含量が増えるにつれ柔軟性が低下
するために、スチレン含量は40重量%以下がよい。
【0033】上記吸油能に優れたエラストマーは、H−
SBRに比べてポリプロピレン樹脂に対する相溶性が劣
っており、ポリプロピレン樹脂に混練、添加するとμm
単位の大きさで分散するので、引張物性が低下する傾向
にある。しかし、ポリプロピレン樹脂、H−SBR、プ
ロセスオイルの3成分に吸油能に優れたエラストマーを
添加した4成分の場合には、組成物中のオリゴマー成分
とオイルを吸収して表面移行を阻止することができる効
果がある。尚、ポリプロピレン樹脂にH−SBRとプロ
セスオイルを添加した3成分の場合には、H−SBRが
吸油能に劣るため、組成物中のオリゴマー成分が表面移
行(ブリード)して粘着性をもち、これを用いて粉末ス
ラッシュ成形用に粉砕したエラストマー粉も粘着性をも
つため、ブロッキングしやすくなって粉体流動性に欠け
る。また、表皮も金型からの離型性にも欠ける。
【0034】上記吸油能に優れたエラストマーの添加量
は、H−SBR100重量部に対して20〜250重量
部である。20重量部未満になると、組成物中のオリゴ
マー成分とオイルを充分に吸収できなくなり、また25
0重量部を越えると、ポリプロピレン樹脂との分散が悪
くなり、引張物性が低下する傾向にある。
【0035】外層4aに使用する内部離型剤は、ジメチ
ルシロキサン、メチルハイドロキシポリシロキサン、メ
チルフェニルポリシロキサン等のシリコンオイル、高級
脂肪酸、高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸塩等を挙げるこ
とができる。外層4aにおいて、その添加量は0.1〜
5.0重量%が好ましく、0.1重量%未満では充分な
離型効果は得られず、一方5.0重量%を越えると内層
との接着性が阻害される。
【0036】一方、内層4bは少なくともポリプロピレ
ン樹脂、H−SBR、そして発泡剤を含む粉末をスラッ
シュ成形したものである。
【0037】尚、上記内層4bでは、非晶性ポリプロピ
レン樹脂を部分的し使用することができる。この非晶性
ポリプロピレン樹脂はアタックチックポリマーの含量が
多く、アタクチック及びシンジオタクチックポリマーも
含有するポリマーである。上記非晶性ポリプロピレン樹
脂は結晶性ポリプロピレン樹脂と明確に区分されるもの
で、触媒・重合条件を変えて重合される。また、結晶性
ポリプロピレン樹脂の副産物として分離して製造される
ものである。これらは通常分子量が小さく、溶融流動性
が高い。
【0038】即ち、非晶性ポリプロピレン樹脂は主にア
タックティックな立体規則をもつポリプロピレンポリマ
ーが主成分であり、通常のポリプロピレン樹脂(アイソ
タクティックポリプロピレン)とよく相溶してブレンド
することができ、そしてポリプロピレン樹脂に柔軟性を
もたせるとともに溶融粘度を下げる効果がある。具体的
には、非晶性ポリプロピレン樹脂はホモポリマーあるい
はα―オレフィンとのコポリマーが望ましく、190°
Cにおける溶融粘度が300〜10,000CPSと低
いため、発泡層となる組成物の溶融粘度を低下させスタ
ッシュ成形に適切な材料になる。
【0039】上記非晶性ポリプロピレン樹脂の添加量が
5重量%未満になると、非晶性ポリプロピレン樹脂の添
加量が5重量%未満になると、柔軟性向上の効果が少な
く、また溶融粘度を下げる効果も小さくなる。
【0040】ポリプロピレン樹脂と非晶性ポリプロピレ
ン樹脂は完全に相溶し、H−SBRもポリプロピレン樹
脂と相溶して数十nmの粒子で微分散するため、これら
3成分をブレンドした組成物は均質な樹脂マトリックス
を形成するので、発泡剤を添加して得られる発泡体は均
質で微細なセルをもつソフトなものが得られる。更に、
高い溶融流動性をもつ非晶性ポリプロピレン樹脂を使用
することによりブレンドした組成物の溶融流動性が高
く、スラッシュ成形に適したものになる。溶融粘度を低
くする目的で添加される可塑剤、パラフィン系オイル等
は発泡セルを粗くする原因となるが、本発明ではこれら
を使用しなくてもスラッシュ成形用に適した組成物が得
られる。
【0041】尚、上記内層4bで使用するH−SBRは
外層4aで使用するものと同じである。
【0042】内層4bのみに使用する発泡剤としては、
アゾ・ジ・カーボンアミド、ジ・ニトロソ・ペンタメチ
レンテトラミン、4,4’−オキシビス・ベンゼン・ス
ルフォニル・ヒドラジン等からなる化学発泡剤、あるい
はマイクロバルーン等の中空ビーズを添加したものであ
る。具体的には、化学発泡剤を粉体混合してもよいし、
組成物を混練するのと同時に添加してもよい。この時の
混練温度は発泡剤の分解温度以下、好ましくは20℃以
上低い温度がよい。
【0043】発泡剤の添加量は、ポリプロピレン樹脂、
水素添加スチレンブタジエンゴムからなる組成物、もし
くはこの組成物に活性水素を有するオレフィン系ポリマ
ーを配合した組成物100重量部に対して0.1〜8重
量部、好ましくは0.5〜4.0重量部である。0.1
重量部未満の場合には、発泡効果が少なく、一方、8重
量部を越えると発泡セルが粗くなり芯材の射出成形で破
壊されやすくなる。
【0044】内層4bのみに使用する接着改良剤である
活性水素を有するオレフィン系ポリマーとしては、酸変
性ポリプロピレン樹脂、水酸基含有ポリプロピレン樹
脂、エチレン・酢酸ビニルコポリマーの加水分解物、末
端カルボキシル基ポリブタジエン、末端水酸基ポリブタ
ジエン、末端カルボキシル基ポリブタジエン水素添加
物、末端水酸基ポリブタジエンの水素添加物、酸変性ス
チレン・エチレンブチレン・スチレンブロック共重合
体、エチレン・メタクリル酸共重合体、エチレン・アク
リル酸共重合体を挙げることができる。尚、実施例では
OH変性ポリオレフィンを使用している。この添加量は
2〜20重量%が好ましく、2重量%未満では接着性の
改良効果が少なく、一方20重量%を越えると引張強度
の低下が大きくなる。
【0045】また、上記外層4aの表面には、ウレタン
系或いはアクリルウレタン系からなる塗装膜(図示せ
ず)を形成し、外層4aの表面を補強して外傷を阻止す
ることが出来る。外層4aに塗装膜を強固に接着させる
ための表面処理剤を使用することが望ましい。
【0046】外層4aと内層4bに使用できる熱安定剤
としては、通常のポリオレフィンに用いられるものが使
用できる。一般的には、フェノールとリン系の酸化防止
剤を併用して使用するが、特に限定されるものではな
い。また、光安定剤としては、ラジカル捕捉剤であるヒ
ンダードアミン、ベンゾトリアゾール系のものが使用さ
れることもある。顔料は通常のオレフィン系に適した有
機、無機のものが使用される。更に、脂肪酸金属塩等の
滑剤や炭酸カルシウム、タルク等の充填剤等が必要に応
じて添加される。
【0047】本発明では、前述の結晶性ポリプロピレン
樹脂、H−SBR、プロセスオイル、吸油能に優れたエ
ラストマー、そして内部離型剤を含む熱可塑性エラスト
マー組成物等からなる組成物、あるいは結晶性ポリプロ
ピレン樹脂、H−SBR、5重量%以上の非晶性ポリプ
ロピレン樹脂、そして発泡剤を含む組成物に有機過酸化
物を添加し、これらを加熱下で混練するもので、有機過
酸化物がポリプロピレン樹脂の主鎖を切断して、結晶性
ポリプロピレン樹脂あるいは非晶性ポリプロピレン樹脂
の分子量を下げて溶融流動性を上げることになり、得ら
れた熱可塑性エラストマー組成物に高い溶融流動性をも
たせる効果がある。尚、ここでは、有機過酸化物を架橋
剤として使用していない。また、加熱下で混練して得ら
れた熱可塑性エラストマー組成物中には、有機過酸化物
は熱分解して実質的に含有されていない。
【0048】上記有機過酸化物としては、通常、ゴム、
樹脂の架橋に使用されているジアシルパーオキサイド、
パーオキシエステル、ジアリルパーオキサイド、ジ−t
−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサ
イド、ジクミルパーオキサイド、2・5−ジメチル−2
・5−ジ(t−ブチルパーオキシ)−ヘキサン−3,1
・3−ビス(t−ブチルパーオキシ−イソプロピル)ベ
ンゼン、1・1−ジ−ブチルパーオキシ−3,3,5−
トリメチルシクロヘキサン等があり、熱分解による1分
間の半減期が150〜250°Cのものが好ましい。
【0049】有機過酸化物は、120〜250°Cの加
熱下で混練する過程で、ポリプロピレン樹脂の主鎖を切
断して分子量を低下させ、熱可塑性エラストマー組成物
に高い溶融流動性をもたせる。有機過酸化物の添加量は
熱可塑性エラストマー組成物中、0.02〜5.0重量
%であり、0.02重量%未満の場合にはポリプロピレ
ン樹脂の主鎖を切断する分解能力が少なく、熱可塑性エ
ラストマー組成物に高い溶融流動性を付与できなくな
る。一方、5.0重量%を越えると、分解が過剰にな
り、粉体成形品の引張強度等の機械的特性が低下する。
【0050】これらの配合物の混合は所定の混合物をV
型ブレンダー、タンブラー、ヘンシェルミキサー等を用
いてドライブレンドしたものを原料供給ホッパーより供
給し、プロセスオイルはベント口より注入し、120〜
250°Cの範囲に温度調節した二軸押出機で溶融混練
してペレット化する。無論、2回に分けて混練すること
もできる。
【0051】密閉式混練機であるニーダー、バンバリー
ミキサー等によってエラストマー成分であるH−SBR
と吸油能に優れたエラストマーにプロセスオイルを添加
して混練し、ペレット化した後、このペレットとポリプ
ロピレン樹脂に有機過酸化物、その他の配合剤を混合し
て、120〜250°Cの範囲に温度調節した一軸ある
いは二軸押出機で溶融混練してペレット化することもで
きる。
【0052】得られたペレットの溶融粘度であるメルト
フローレート(MFR)は、JISK7210により2
30°C、2.16kgfの荷重で50g/10分以上
が好ましい。これ未満になると、組成物の溶融流動性が
小さくなって表皮にピンホールが発生する傾向がある。
【0053】上記配合物から得られたペレットは、ター
ボミル、ピンミル、ハンマーミル等の衝撃型微粉砕機を
用いて微粉砕される。この時通常では液体窒素を用いて
冷凍粉砕される。また、配合によっては溶融樹脂をスプ
レーあるいはディスクアトマイザーによって噴霧し冷却
することによって粉体化することができる。粉砕された
ものは篩い等によって粒径が少なくとも1,000μm
の篩を通過し、平均粒径が100〜800μmのものが
集められ、これに有機あるいは無機の粉体性改良剤を添
加、混合して粉末スラッシュ成形用に使用する。
【0054】次いで、上記エラストマー組成物の粉体を
用いてスラッシュ成形を行う。この成形では外層4aに
使用する組成物の融点以上に加熱された型にこれを主と
して重力で落下させて投入し、一定時間経過後に型を反
転し、余分の組成物を回収箱に集める。型表面には組成
物が層となって付着しており、時間経過とともに溶融し
て厚さ0.3〜1.0mmのソリッドからなる外層が形
成される。続いて、内層4bに使用する組成物を外層の
上に落下させて投入し、一定時間経過後に型を反転し、
余分の組成物を回収箱に集める。外層4aに付着した層
は時間経過とともに溶融して発泡層からなる内層が形成
される。そして、型を冷却してスラして厚さ0.5〜
1.5mmの内層が形成される。そして、型を冷却して
複合表皮4を脱型するものであり、これが繰り返し行わ
れる。
【0055】型の加熱方法としては、オイル循環あるい
は熱風炉へ入れる方法が一般的である。オイル循環はパ
イプ配管配置により型温度調整が容易であるが、型面か
らのみ加熱される。一方、熱風炉を用いると、型面およ
び成形物裏面の両面からの加熱が可能であるが、生産性
を考慮して熱風を300°C以上に設定することが多い
ため、成形物裏面の熱酸化劣化を起こさないように処方
や条件を配慮する必要がある。
【0056】熱風方式は、粉末スラッシュ成形を2層に
行う時に有効である。即ち、加熱された型に最外層とな
る1回目の粉末をスラッシュ成形し、半溶融状態で2回
目の粉末を付着させてスラッシュ成形し、その後加熱溶
融する。この場合、型面側のみからの加熱では、熱伝達
が不充分なので成形物裏面からの加熱も可能な熱風炉方
式が用いられることが多い。
【0057】上記表皮を使用した成形体の製造方法に
は、一方の型に表皮を、他方の型に別途成形した芯材を
固定する。柔軟な表皮は型にあけた小穴を吸引して固定
し、芯材はフック等で型側に寄せて固定する。表皮と芯
材をセットした状態で上下型を合わせたとき、接着剤が
入るために間隙が必要であるので、表皮の最大厚みは金
型空隙より芯材厚みを減じた寸法より薄くする必要があ
る。その間隙に接着剤を充填して一体化することによ
り、表皮の厚さバラツキを接着層剤で吸収させること
で、成形体表面に凹凸が出現することを無くせる。
【0058】上記接着剤はウレタン系接着剤であり、少
なくともジイソシアネート、長鎖ジオール、短鎖ジオー
ル、そして発泡剤を含んでおり、硬化して架橋点の少な
い熱可塑性発泡ウレタンに生成される。尚、場合によっ
ては、発泡剤を添加する必要はない。
【0059】上記ジイソシアネートとしては、4,4’
−ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレン2,4
−ジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルジイソ
シアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,
2,4(2,4,4)−トリメチルヘキサメチレンジイ
ソシアネート、パラ−フェニレンジイソシアネート、
4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、
3,3’ジメチルジフェニル4,4’−ジイソシアネー
ト、1,5’−ナフタレンジイソシアネート、トランス
−1,4−シクロヘキシルジイソシアネート等がある。
【0060】尚、イソシアネート基が3以上の多官能イ
ソシアネートでは、ウレタンポリマーが架橋構造をも
ち、溶融流動しないため、ポリプロピレン樹脂中に異物
として存在するので引張伸びがなくなる。ジイソシアネ
ートを用いてウレタンポリマーを直鎖状にする必要があ
る。
【0061】上記ジイソシアネートの添加量はジオール
の水酸基モル数1に対して、イソシアネート基モル数
0.5〜1.5とし、これにより直鎖状にポリマー化反
応を促進させる。これ未満では、鎖延長不足で低融点物
となるかあるいは固化しない。一方、これを超えるとア
ロファネート結合あるいはビューレット結合による架橋
で溶融流動しなくなる。
【0062】長鎖ジオールとしては、ポリプロピレング
リコール、エチレングリコール、ポリエチレングリコー
ル、水酸基末端ポリブタジエン、水酸基末端ポリイソプ
レンポリ(エチレンアジペート)グリコール、ポリ(ブ
チレン−1,4アジペート)グリコール、ポリカプロラ
クトングリコール、ポリ(ジエチレングリコールアジペ
ート)グリコール、ポリ(ヘキサンジオール−1,6カ
ーボネート)グリコール等がある。単独および混合に使
用できポリエーテルなどの柔軟骨格が好ましい。長鎖ジ
オールの分子量は500〜5,000である。
【0063】短鎖ジオールとしては、1,4−ブタンジ
オール、エチレングリコール、1,3−プロピレングリ
コール、ビスフェノールA、1,3−ブチレングリコー
ル、1,6−ヘキシルグリコール、1,4−ジメチロー
ルベンゼン等がある。短鎖ジオールの分子量は50〜6
00である。
【0064】上記長鎖ジオールの添加量と短鎖ジオール
の添加量としては、長鎖ジオールの水酸基モル数1に対
して短鎖ジオールの水酸基モル数0.5〜1.0とす
る。長鎖ジオールとイソシアネートの反応で形成される
ポリウレタンはソフトセグメントであり、短鎖ジオール
とイソシアネートの反応で形成されるポリウレタンはハ
ードセグメントである。短鎖ジオールの割合を多くする
と、ハードセグメントの量が増加し、鎖長も長くなり硬
くなる。ポリプロピレン樹脂とのリサイクル時に引張伸
び物性が悪くなる。
【0065】発泡剤としては、水、ニトロアルカン、ニ
トロ尿素、アルドオキシム、活性メチレン化合物、酸ア
ミド、泡水化合物、NN−エチレン尿素化合物、4員環
カルボニル化合物、3級アルコール、固体炭酸、ほう
酸、水酸化アルミニウム等がある。
【0066】上記発泡剤の添加量としては、ジイソシア
ネートのイソシアネート基モル数1に対して発泡剤のイ
ソシアネート基との反応基モル数0.03〜0.15と
する。これ以下だと発泡倍率が低く、これ以上だと発泡
潰れを起こす。
【0067】尚、発泡体でなくても、隙間にウレタン系
接着剤を充填し、一体化すれば同じである。
【0068】その他の添加剤として、N−メチルモルホ
リン、N−エチルモルホリン、トリエチルアミン、N,
N’−ジメチルベンジルアミン、トリエチレンジアミ
ン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミ
ン、N,N,N’,N’−テトラメチルプロピレンジア
ミン、N,N,N’,N’−テトラメチルヘキサメチレ
ンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,
3−ブタンジアミン、N−ペンタメチルジエチレントリ
アミン、N−ヘキサメチルトリエチレンテトラアミンか
らなる樹脂化触媒が使用される。
【0069】上記接着剤は下型にセットした表皮の内層
面に注型し、上下型を合わせて接着一体化して成形体を
得る。この場合、接着剤の注型量は充填する空隙を満た
すか、それよりもやや少なく状態で注型してする。接着
剤は発泡して空隙を十分に充填する。
【0070】使用する芯材は予め所定形状に射出成形し
たオレフィン系樹脂であり、芯材の接着面を火炎処理、
コロノ放電処理、あるいはオレフィン樹脂用の接着剤を
塗布しておくことによって強固に接合することができ
る。
【0071】内層に活性水素を有するポリマーを添加し
た複合表皮をウレタン系接着する場合、硬化触媒として
有機金属化合物をあるいは有機カルボン酸の金属塩を使
用すると接着強度が向上する。
【0072】
【実施例】次に、本発明を具体的な実施例により更に詳
細に説明する。 (表皮の作製)表1に示すように外層として、ポリプロ
ピレン樹脂(PP樹脂)、吸油能に優れたエラストマー
(POE)、内部離型剤をタンブラーでドライブレンド
したものを、二軸押出機(池貝鉄鋼社製、PCM45)
の原料供給ホッパーより供給し、プロセスオイルをベン
ト口より注入しながらシリンダー温度210°C、スク
リュー回転数300rpmで混練し、更に続いてH−S
BR、プロセスオイル、フェノール系抗酸化剤、ホスフ
ァイト系抗酸化剤をドライブレンドしたものを同様の二
軸押出機の原料供給ホッパーより供給し、プロセスオイ
ルをベント口より注入しながら同一の条件で混練し、押
出してペレット化した。尚、表中の重量部数に括弧を付
けた材料は2回目に添加したものである。そして、ター
ボミルT250−4J(ターボ工業社製)に液体窒素に
浸したペレットを投入して粉砕し、1,000μmの篩
い通過分のみを集め、180μmの粉体を得た。
【0073】また、内層として、ポリプロピレン樹脂、
H−SBR、安定剤2種類、そして発泡剤としてアゾ・
ジ・カーボンアミド粉体をタンブラーでドライブレンド
したものを、二軸押出機(池貝鉄鋼社製、PCM45)
の原料供給ホッパーより供給しながらシリンダー温度1
60°C、スクリュー回転数300rpmで混練し、押
出してペレット化した。そして、ターボミルT250−
4J(ターボ工業社製)に液体窒素に浸したペレットを
投入して粉砕し、1,000μmの篩い通過分のみを集
め、200μmの粉体を得た。
【0074】
【表1】
【0075】次に、上記内外層用の粉体を用いてスラッ
シュ成形を行った。スラッシュ成形の方法としては、例
えば皮シボ模様のついた150mm×150mm×3m
mの板をオーブン中で280°Cに加熱し、その上に上
記粉体を約800gのせて10秒前後置いて付着させた
後、溶融付着しなかった粉体を除いて、300°Cに調
節したオーブン中で40秒間加熱して外層を成形した。
【0076】続いて、この外層の上に約800gの内層
用の粉体を約10秒間載せると、内層が形成した。その
後、再度300°Cに調節したオーブンにて30秒程度
溶融させ、その後オーブンより取り出し水冷して、外層
(厚さ0.6mm)、内層(厚さ2.0〜3.0mm)
の表皮を得た。
【0077】実施例1〜3 ウレタン系接着剤として表2に示す配合とした。長鎖の
ジオールとして分子量1,000のポリプロピレングリ
コール、短鎖のジオールとして分子量82の1,4−ブ
タンジオールを使用し、これらに水、樹脂化触媒、ジイ
ソシアネートを混合することで水発泡した熱可塑性のウ
レタン系接着剤が調整できた。
【0078】200mm×200mm×7mmの空間を
もたせたアルミ製の上下型の上型には、接着面を予め火
炎処理した160mm×160mm×3.0mmのポリ
プロピレン製板(芯材)をセットし、下型には予めゴム
糊系接着剤を塗布し乾燥させた上記の表皮をセットし、
その上に表2に示す混合済みの2液型ウレタン系接着剤
を注入後、上下型を合わせてフックで固定し、5分間硬
化させた後、上下型を開き成形体を取り出した。この成
形体を40°Cオーブン中で10時間アフターキュアー
した。
【0079】
【表2】
【0080】この成形体の表皮側表面は平坦であり、ス
ラッシュ成形した表皮がもっていた厚みバラツキは接着
層で吸収されていることが確認された。また、ウレタン
系接着剤の発泡潰れ状態、比重を測定した。
【0081】また、この成形体を25mm幅に切断して
芯材と表皮の剥離接着テストを行った結果、5kg/2
5mm以上の剥離強度があり、発泡した内層が凝集破壊
した。
【0082】更に、表皮、熱可塑性発泡ウレタンからな
る接着層、そしてポリプロピレン製板(芯材)の一体化
した成形体のリサイクル性評価方法を、次に示す方法で
行った。
【0083】まず、この成形体を祖粉砕機で粉砕を行い
約5mm四方の材料にした。この材料をラボプラストミ
ル(東洋精機製)にて180〜220℃で混練りし、2
00℃でプレス成形行った。その成形シートを目視する
ことで表皮、接着層とポリプロピレン芯材が均一に溶融
しているか判定した。プレス成形品の物性評価として引
張伸びおよび引張強度を測定した。
【0084】その結果、リサイクル性評価では、表2に
示すように溶融性および物性ともに良好であった。これ
は、長鎖および短鎖のジオールとジイソシアネートを用
いることで架橋構造をもたない直鎖状の構造になったた
めで、ポリプロピレンとの相溶性が優れているといえ
る。
【0085】実施例4 長鎖のジオールとして分子量1,000のポリプロピレ
ングリコール48重量部に分子量1,200の水酸基末
端ポリブタジエンを52重量部使用した。実施例1〜3
と同様の方法で熱可塑性発泡ウレタンを調整した。リサ
イクル性評価では、溶融性および物性ともに良好であっ
た。これは水酸基末端ポリブタジエンとポリプロピレン
との相溶性が良好なためであるといえる。ウレタン系接
着剤の長鎖のジオールとして、水酸基末端ポリブタジエ
ンを0〜100重量部使用することも可能である。
【0086】比較例1、2 ポリオールとイソシアネート基が2以上の多官能イソシ
アネートを反応させた発泡ウレタンは熱硬化性であり、
リサイクル性評価を行うと成形シートは均一に溶融して
いなかった。そのシートの引張伸びもほとんどなかっ
た。
【0087】比較例3〜6 表2に示すポリプロピレングリコール、1.4−ブタン
ジオール、水、触媒、イソシアネート基が2以上の多官
能イソシアネートを混合することで水発泡したウレタン
を調整した。リサイクル性評価を行うと成形シートは均
一に溶融していなかった。その引張伸びもほとんどなか
った。これはイソシアネート基が2以上の多官能イソシ
アネートを配合したためウレタンは架橋構造をもったた
めである。
【0088】
【発明の効果】以上のように本願の請求項記載の表皮付
き成形体とその製造方法及びこれに使用する接着剤で
は、接着層として発泡熱可塑性ウレタンを表皮と芯材と
の間に充填して一体化し、またこれらの3層を混練した
場合には均一に溶融して引張伸びと引張り強度の高い物
性をもった材料になり、成形体自体のリサイクルが可能
になり、またソリッドな外層と発泡層の内層の2層から
なる表皮を使用して内層にクッション性を付与し、外層
に皮シボやステッチ等を付けて意匠性を高めるとともに
ソフト感のある蝕感をもたせることができる等の優れた
効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る自動車用インストルメントパネル
の全体外観斜視図である。
【図2】図1のX−X断面図である。
【図3】表皮の断面図である。
【符合の説明】
1 インストルメントパネル 2 ソフト部 3 ハード部 4 表皮 4a 外層 4b 内層 5 芯材 6 接着層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B29L 9:00 B29L 9:00 (72)発明者 岡沢 学秀 神戸市長田区浜添通4丁目1番21号 三ツ 星ベルト株式会社内 Fターム(参考) 4F205 AA45 AC04 AD05 AD08 AD18 AG03 AH26 GA12 GB01 GB21 GC04 GW41 4J040 EF051 EF111 EF121 EF131 EF251 HA126 HA136 HA166 HA326 HB09 HB19 HC11 HC17 HC24 JA10 KA37 MA10 MA11

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 スラッシュ成形して得られた表皮と芯体
    の積層体からなる表皮付き成形体であり、オレフィン系
    熱可塑性エラストマー組成物の粉末をスラッシュ成形し
    た表皮とオレフィン系樹脂を用いた芯体との間に接着層
    として熱可塑性ウレタンを介在させたことを特徴とする
    表皮付き成形体。
  2. 【請求項2】 接着層が熱可塑性発泡ウレタンである請
    求項1記載の表皮付き成形体。
  3. 【請求項3】 スラッシュ成形して得られた表皮を一方
    の型に、芯体を他方の型に設置し、両方の型を嵌合し
    て、表皮と芯体とを積層してなる表皮付き成形体の製造
    方法において、オレフィン系熱可塑性エラストマー組成
    物の粉末をスラッシュ成形した表皮とオレフィン系樹脂
    を用いた芯体との間にウレタン系接着剤を充填させ、ウ
    レタン系接着剤を反応させてこれらを一体化し、熱可塑
    性ウレタンからなる接着層を介在させることを特徴とす
    る表皮付き成形体の製造方法。
  4. 【請求項4】 接着層が熱可塑性発泡ウレタンである請
    求項3記載の表皮付き成形体の製造方法。
  5. 【請求項5】 ウレタン系接着剤が少なくともジイソシ
    アネート、長鎖ジオール、短鎖ジオール、そして発泡剤
    を含んでいる請求項3または4記載の表皮付き成形体の
    製造方法。
  6. 【請求項6】 長鎖ジオールが水酸基末端ポリブタジエ
    ンである請求項5記載の表皮付き成形体の製造方法。
  7. 【請求項7】 短鎖ジオールが1,4−ブタンジオール
    である請求項5記載の表皮付き成形体の製造方法。
  8. 【請求項8】 上記表皮が、少なくともソリッド層から
    なる外層と発泡層からなる内層を積層するようにスラッ
    シュ成形して得られた複合表皮である請求項2記載の表
    皮付き成形体の製造方法。
  9. 【請求項9】 複合表皮のソリッド層からなる外層が、
    少なくともポリプロピレン樹脂、水素添加スチレンブタ
    ジエンゴム、プロセスオイル、吸油能に優れたエラスト
    マー、そして内部離型剤を含む熱可塑性エラストマー組
    成物の粉末をスラッシュ成形し、更に発泡層からなる内
    層が、少なくともポリプロピレン樹脂、水素添加スチレ
    ンブタジエンゴム、そして発泡剤を含む粉末をスラッシ
    ュ成形したものである請求項8記載の表皮付き成形体の
    製造方法。
  10. 【請求項10】 オレフィン系熱可塑性エラストマー組
    成物の粉末をスラッシュ成形した表皮とオレフィン系樹
    脂を用いた芯体とを接着するウレタン系接着剤であり、
    少なくともジイソシアネート、長鎖ジオール、短鎖ジオ
    ールを含んでいることを特徴とするウレタン系接着剤。
  11. 【請求項11】 発泡剤として水を含むことを特徴とす
    る請求項10記載のウレタン系接着剤。
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