JP3364424B2 - 粉末スラッシュ成形用熱可塑性エラストマー組成物および粉末スラッシュ成形材料 - Google Patents

粉末スラッシュ成形用熱可塑性エラストマー組成物および粉末スラッシュ成形材料

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JP3364424B2 JP02676098A JP2676098A JP3364424B2 JP 3364424 B2 JP3364424 B2 JP 3364424B2 JP 02676098 A JP02676098 A JP 02676098A JP 2676098 A JP2676098 A JP 2676098A JP 3364424 B2 JP3364424 B2 JP 3364424B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は粉末スラッシュ成形
用熱可塑性エラストマー組成物および粉末スラッシュ成
形材料に係り、詳しくは粉体流動性に優れ、溶融粘度が
低く、成形後の表皮の脱型が容易で、引張強度の優れた
粉末スラッシュ成形に適する熱可塑性エラストマー組成
物および粉末スラッシュ成形材料に関する。
【0002】
【従来の技術】軟質の粉末材料を用いた粉末成形法とし
て、軟質塩化ビニル樹脂粉末を用いた粉末スラッシュ成
形法がインストルメントパネル、コンソールボックス、
ドアートリム等の自動車内装品の表皮に広く採用されて
いる。これはソフトな感触であり、皮シボやステッチを
設けることができ、また設計自由度が大きいこと等の意
匠性が良好なことによる。
【0003】この成形方法は、他の成形方法である射出
成形や圧縮成形と異なり、賦形圧力をかけないので、成
形時には粉末材料を複雑な形状の金型に均一付着させる
ためには粉体流動性に優れることがあり、金型に付着し
た粉体が溶融して無加圧下でも流動して皮膜を形成する
ために、溶融粘度が低いことも条件になっている。更
に、金型を冷却して成形された表皮を金型より容易に離
型できることも必要であった。
【0004】これを改善した一つの方法として、特開平
7−82433号公報には、ポリプロピレン樹脂と特定
のスチレン系熱可塑性エラストマーとを重量比70/3
0〜30/70の割合で混合したもの粉砕して用いるこ
とが提案されている。ここでは、スチレン系熱可塑性エ
ラストマーがスチレン含量20重量%以下のスチレン・
エチレンブチレン・スチレンブロック共重合体、スチレ
ン含量20重量%以下のスチレン・エチレンプロピレン
・スチレンブロック共重合体、そしてスチレン含量20
重量%以下の水素添加スチレンブタジエンゴムから選ば
れたものであり、ポリプロピレン樹脂との相溶性が良好
で粉末成形に適した組成物になっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、この組成物で
もポリプロピレン樹脂と水素添加スチレンブタジエンゴ
ムの混合において水素添加スチレンブタジエンゴムがポ
リプロピレン樹脂中で微分散するので、物性の低下は少
なくて表皮素材には適している。しかし、水素添加スチ
レンブタジエンゴムが吸油能に劣るため、組成物中のオ
リゴマー成分が表面に移行して粘着性をもつ欠点はあっ
た。このため、粉末スラッシュ成形用に粉砕した熱可塑
性エラストマー粉も粘着性をもつために、ブロッキング
し易く、粉体流動性が悪くなっていた。また、表皮も金
型から脱型するとき、離型性が悪くなることがあった。
【0006】本発明はこのような問題点を改善するもの
であり、粉末成形、特に粉末スラッシュ成形に必要な溶
融流動性に優れ、溶融粘度が低く、成形後の表皮の脱型
が容易で、引張強度の優れた粉末スラッシュ成形に適す
る熱可塑性エラストマー組成物および粉末スラッシュ成
形材料を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】即ち、本願の請求項1記
載の発明では、粉末スラッシュ成形に使用する粉末状の
熱可塑性エラストマー組成物であり、少なくともポリプ
ロピレン樹脂と、水素添加スチレンブタジエンゴムと、
プロセスオイルと、吸油能に優れたエラストマーと、接
着改良剤と、そして内部離型剤を含む粉末スラッシュ成
形用熱可塑性エラストマー組成物にある。
【0008】本願の請求項2記載の発明では、粉末スラ
ッシュ成形に使用する粉末状の熱可塑性エラストマー組
成物であり、少なくともポリプロピレン樹脂と、水素添
加スチレンブタジエンゴムと、プロセスオイルと、吸油
能に優れたエラストマーと、接着改良剤と、内部離型剤
と、そして有機過酸化物を含む粉末スラッシュ成形用熱
可塑性エラストマー組成物にあり、上記有機過酸化物が
加熱下で混練する過程でポリプロピレン樹脂の主鎖を切
断して、ポリプロピレン樹脂の分子量を下げて溶融流動
性を上げることになり、得られた熱可塑性エラストマー
の粉末物は高い溶融流動性をもつことになる。また、水
素添加スチレンブタジエンゴムや吸油能に優れたエラス
トマーを含むエラストマー成分に軟化剤としてプロセス
オイルを吸油させて溶融流動性を改善している。溶融流
動性をもつことになる。
【0009】本願の請求項3記載の発明では、JIS
K−7210に準拠して250°C、0.325kgf
荷重で測定した上記熱可塑性エラストマー組成物のメル
トフローレート(MFR)が、5g/10分以上である
粉末スラッシュ成形用熱可塑性エラストマー組成物にあ
る。
【0010】本願の請求項4記載の発明では、ポリプロ
ピレン樹脂と水素添加スチレンブタジエンゴムが重量比
で80/20〜20/80である粉末スラッシュ成形用
熱可塑性エラストマー組成物にある。
【0011】本願の請求項5記載の発明では、吸油能に
優れたエラストマーが水素添加スチレンブタジエンゴム
100重量部に対して20〜250重量部混合される粉
末スラッシュ成形用熱可塑性エラストマー組成物にあ
る。
【0012】本願の請求項6記載の発明では、吸油能に
優れたエラストマーがスチレン・エチレンプロピレン・
スチレンブロック共重合体(SEPS)、スチレン・エ
チレンブチレン・スチレンブロック共重合体(SEB
S)、オレフィン結晶・エチレンブチレン・オレフィン
結晶ブロックコポリマー、エチレンプロピレンゴム、そ
してエチレン・オクテン共重合体(POE)から選ばれ
た少なくとも1種以上のポリマーである粉末スラッシュ
成形用熱可塑性エラストマー組成物にある。
【0013】本願の請求項7記載の発明では、プロセス
オイルが吸油能に優れたエラストマー100重量部に対
して5〜200重量部混合される粉末スラッシュ成形用
熱可塑性エラストマー組成物にある。
【0014】本願の請求項8記載の発明では、接着改良
剤が酸変性ポリプロピレン、水酸基含有ポリプロピレ
ン、そして両末端水酸基水素添加ポリブタジエン、そし
てエチレン・酢酸ビニルコポリマーの加水分解物から選
ばれた少なくとも1種以上の高分子を2〜20重量%含
有する粉末スラッシュ成形用熱可塑性エラストマー組成
物にある。
【0015】本願の請求項9記載の発明では、内部離型
剤がジメチルシロキサン、メチルハイドロキシポリシロ
キサン、メチルフェニルポリシロキサンから選ばれた少
なくとも1種以上を0.1〜5.0重量%含有する粉末
スラッシュ成形用熱可塑性エラストマー組成物にある。
【0016】本願の請求項10記載の発明では、少なく
ともポリプロピレン樹脂と、水素添加スチレンブタジエ
ンゴムと、プロセスオイルと、吸油能に優れたエラスト
マーと、接着改良剤と、そして内部離型剤を含む熱可塑
性エラストマー組成物を加熱混合してペレット化し、こ
のペレットを粉末化した粉末スラッシュ成形材料にあ
る。
【0017】本願の請求項11記載の発明では、少なく
ともポリプロピレン樹脂と、水素添加スチレンブタジエ
ンゴムと、プロセスオイルと、吸油能に優れたエラスト
マーと、接着改良剤と、内部離型剤と、そして有機過酸
化物を含む熱可塑性エラストマー組成物を加熱混合して
ペレット化し、このペレットを粉末化した粉末スラッシ
ュ成形材料にある。
【0018】
【発明の実施の形態】本発明で使用するポリプロピレン
樹脂は、ポリプロピレンホモポリマー、α−オレフィン
とのブロックあるいはランダム共重合体のいずれでもよ
いが、特にα−オレフィンとしてエチレンを用いたブロ
ックあるいはランダム共重合体が成形体の柔軟性の面か
らいって好ましい。また、圧力のかからない粉末スラッ
シュ成形に用いるためには、ポリプロピレン樹脂の溶融
流動性の指数としてJIS K7210により230°
Cで荷重2.16kgfで測定したMFR(メルトフロ
ーレート)が20g/10分以上であることが必要であ
る。上記ポリプロピレン樹脂は熱あるいは酸化によって
その主鎖が切断されるポリマーであり、架橋、硬化する
ポリエチレン等と異なる性質をもっており、有機過酸化
物によってその主鎖が切断され、分子量が低下する。
【0019】また、水素添加スチレンブタジエンゴム
(H−SBR)は、ポリプロピレン樹脂との相溶性に優
れており、ポリプロピレン樹脂に混練すると柔軟にな
り、折曲げや白化しにくい熱可塑性エラストマー組成物
が得られる。H−SBRのスチレン含有量は30重量%
以下が好ましく、柔軟性に富む表皮を得るためには5〜
15重量%が適当である。H−SBRは、スチレンとブ
タジエンがランダムに共重合しているスチレンブタジエ
ンゴムを水素添加している点で、ブロック共重合体であ
るSEBSと異なっている。代表的なものとして、日本
合成ゴム社製の商品であるダイナロンシリーズがある。
ポリプロピレン樹脂とH−SBRとの混合量は、重量比
で80/20〜20/80の割合であり、ポリプロピレ
ン樹脂が多くなると、成形された表皮が硬くなり、一方
少なくなると引張強度が低下する。
【0020】また、本発明では、プロセスオイルを添加
することにより組成物中のエラストマー成分に吸収され
て溶融粘度を下げるとともに、表皮の硬度を下げ、柔軟
性をもたせる効果がある。上記プロセスオイルはゴム用
に使用されるものであり、パラフィン系、ナフテン系、
アロマ系に分類されるが、エラストマー成分との相溶性
によりパラフィン系が好ましい。添加量は吸油能に優れ
たエラストマー100重量部に対して5〜200重量部
が好ましい。200重量部を越えると、引張物性が低下
し、5重量部未満になると、溶融粘度が下がらず表皮が
硬くなる。
【0021】吸油能に優れたエラストマーは、ポリプロ
ピレン樹脂と相溶性を有しており、プロセスオイルと組
成物中のオリゴマー成分を吸収する性質を有するもの
で、スチレン・エチレンブチレン・スチレンブロックコ
ポリマー(SEBS)やスチレン・エチレンプロピレン
・スチレンブロックコポリマー(SEPS)等のスチレ
ン系ブロック共重合熱可塑性エラストマー、オレフィン
結晶・エチレンブチレン・オレフィン結晶ブロックコポ
リマー(CEBC)、エチレンプロピレンゴム(EP
R)、そしてエチレン・オクテン共重合体(POE)が
ある。
【0022】上記SEBSはスチレン・ブタジエン・ス
チレンブロック共重合体(SBS)を水素添加したもの
であり、シエル化学社製の商品であるクレイトンGシリ
ーズ、旭化成社製の商品であるタフテックHシリーズ等
が挙げられる。このSEBSではスチレン含量が増える
につれて強度が上昇するが、柔軟性が低下する。また、
同SEBSではスラッシュ成形時に溶融してスチレンハ
ードセグメントが凝集し、平滑なシート状成形体を得に
くいことがある。従って、スチレン含量は40重量%以
下がよい。
【0023】SEPSはスチレン・イソプレン・スチレ
ンブロック共重合体(SIS)を水素添加したもので、
クラレ社製の商品であるセプトンが代表的である。SE
BSと同様にスチレン含量が増えるにつれ柔軟性が低下
するために、スチレン含量は40重量%以下がよい。
【0024】尚、上記吸油能に優れたエラストマーは、
H−SBRに比べてポリプロピレン樹脂に対する相溶性
が劣っており、ポリプロピレン樹脂に混練、添加する
と、μm単位の大きさで分散するので、引張物性が低下
する傾向にある。しかし、ポリプロピレン樹脂にH−S
BRとプロセスオイルを添加した場合には、H−SBR
が吸油能に劣るため、組成物中のオリゴマー成分が表面
に移行(ブリード)して粘着性をもち、これを用いて粉
末スラッシュ成形用に粉砕したエラストマー粉も粘着性
をもつため、ブロッキングしやすくなって粉体流動性、
また表皮も金型からの離型性に欠ける。これに吸油能に
優れたエラストマーを添加した場合には、組成物中のオ
リゴマー成分とオイルを吸収してブリードを阻止するこ
とができる。
【0025】上記吸油能に優れたエラストマーの添加量
は、H−SBR100重量部に対して20〜250重量
部である。20重量部未満になると、組成物中のオリゴ
マー成分とオイルを充分に吸収できなくなり、また25
0重量部を越えると、ポリプロピレン樹脂との分散が悪
くなり、引張物性が低下する傾向にある。
【0026】接着改良剤は、イソシアネートと反応する
カルボキシル基や水酸基を有する低分子量のポリマー、
あるいは酸変性ポリオレフィンであり、具体的には酸変
性ポリプロピレン、水酸基含有ポリプロピレン、そして
両末端水酸基水素添加ポリブタジエン、そしてエチレン
・酢酸ビニルコポリマーの加水分解物をあげることがで
きる。その添加量は2〜20重量%が好ましく、2重量
%未満では接着性の改良効果が少なく、一方20重量%
を越えると成型した表皮を金型から離型することが困難
になり、引張強度の低下も大きくなる。
【0027】内部離型剤は、ジメチルシロキサン、メチ
ルハイドロキシポリシロキサン、メチルフェニルポリシ
ロキサンをあげることができる。その添加量は0.1〜
5.0重量%が好ましく、0.1重量%未満では充分な
離型効果は得られず、一方5.0重量%を越えるとウレ
タンフォームとの接着性が阻害される。
【0028】熱安定剤としては、通常のポリオレフィン
に用いられるものが使用できる。一般的には、フェノー
ルとリン系の酸化防止剤を併用して使用するが、特に限
定されるものではない。また、光安定剤としては、ラジ
カル捕捉剤であるヒンダードアミン、ベンゾトリアゾー
ル系のものが使用されることもある。顔料は通常のオレ
フィン系に適した有機、無機のものが使用される。更
に、脂肪酸金属塩等の滑剤や炭酸カルシウム、タルク等
の充填剤等が必要に応じて添加される。
【0029】これらの配合物の混合はポリプロピレン樹
脂、H−SBR、プロセスオイル、吸油能に優れたエラ
ストマー、接着改良剤、内部離型剤、顔料、安定剤、滑
剤をV型ブレンダー、タンブラー、ヘンシェルミキサー
等を用いてドライブレンドしたものを原料供給ホッパー
より供給し、プロセスオイルはベント口より注入し、二
軸押出機で溶融混練してペレット化する。
【0030】また、本発明では、前述のポリプロピレン
樹脂、H−SBR、プロセスオイル、吸油能に優れたエ
ラストマー、そして接着改良剤、内部離型剤等からなる
同一の配合に有機過酸化物を添加し、これらを加熱下で
混練するもので、有機過酸化物がポリプロピレン樹脂の
主鎖を切断して、ポリプロピレン樹脂の分子量を下げて
溶融流動性を上げることになり、得られた熱可塑性エラ
ストマー組成物に高い溶融流動性をもたせる効果があ
る。尚、ここでは、有機過酸化物を架橋剤として使用し
ていない。また、加熱下で混練して得られた熱可塑性エ
ラストマー組成物中には、有機過酸化物は熱分解して実
質的に含有されていない。
【0031】上記有機過酸化物としては、通常、ゴム、
樹脂の架橋に使用されているジアシルパーオキサイド、
パーオキシエステル、ジアリルパーオキサイド、ジ−t
−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサ
イド、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−
2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)−ヘキサン−3,
1,3−ビス(t−ブチルパーオキシ−イソプロピル)
ベンゼン、1,1−ジ−ブチルパーオキシ−3,3,5
−トリメチルシクロヘキサン等があり、熱分解による1
分間の半減期が150〜250°Cのものが好ましい。
【0032】該有機過酸化物は、120〜250°Cの
加熱下で混練する過程で、ポリプロピレン樹脂の主鎖を
切断して分子量を低下させ、熱可塑性エラストマー組成
物に高い溶融流動性をもたせる。有機過酸化物の添加量
は熱可塑性エラストマー組成物中、0.02〜5.0重
量%であり、0.02重量%未満の場合にはポリプロピ
レン樹脂の主鎖を切断する分解能力が少なく、熱可塑性
エラストマー組成物に高い溶融流動性を付与できなくな
る。一方、5.0重量%を越えると、分解が過剰にな
り、粉体成形品の引張強度等の機械的特性が低下する。
【0033】これらの配合物の混合はポリプロピレン樹
脂、H−SBR、吸油能に優れたエラストマー、接着改
良剤、内部離型剤、有機過酸化物、顔料、安定剤、滑
剤、充填剤をV型ブレンダー、タンブラー、ヘンシェル
ミキサー等を用いてドライブレンドしたものを原料供給
ホッパーより供給し、プロセスオイルはベント口より注
入し、120〜250°Cの範囲に温度調節した二軸押
出機で溶融混練してペレット化する。
【0034】また、密閉式混練機であるニーダー、バン
バリーミキサー等によってエラストマー成分であるH−
SBRと吸油能に優れたエラストマーにプロセスオイル
を添加して混練し、ペレット化した後、このペレットと
ポリプロピレン樹脂に有機過酸化物、その他の配合剤を
混合して、120〜250°Cの範囲に温度調節した一
軸あるいは二軸押出機で溶融混練してペレット化するこ
ともできる。
【0035】得られたペレットの溶融粘度であるメルト
フローレート(MFR)は、JISK7210により2
50°C、0.325kgfの荷重で5g/10分以上
が好ましい。これ未満になると、組成物の溶融流動性が
小さくなって表皮にピンホールが発生する傾向がある。
【0036】ポリプロピレン樹脂、H−SBR、プロセ
スオイル、吸油能に優れたエラストマー、接着改良剤、
内部離型剤を主とする配合から得られたペレット、ある
いはこれらに有機過酸化物を添加して得られたペレット
は、ターボミル、ピンミル、ハンマーミル等の衝撃型微
粉砕機を用いて微粉砕される。この時通常では液体窒素
を用いて冷凍粉砕される。また、配合によっては溶融樹
脂をスプレあるいはディスクアトマイザーによって噴霧
し冷却することによって粉体化して粉末スラッシュ成形
材料にすることができる。粉砕されたものは篩い等によ
って粒径が少なくとも1,000μmの篩を通過し、平
均粒径が100〜800μmのものが集められ、これに
有機あるいは無機の粉体性改良剤を添加、混合して粉末
スラッシュ成形材料に使用する。
【0037】次いで、粉末スラッシュ成形材料を用いて
スラッシュ成形を行う。この成形では組成物の融点以上
に加熱された型にこれを主として重力で落下させて投入
し、一定時間経過後に型を反転し、余分の組成物を回収
箱に集める。型表面には組成物が層となって付着してお
り、時間経過とともに溶融してスキン層が形成される。
そして、型を冷却してスキン層を脱型するものであり、
これが繰り返し行われる。
【0038】型の加熱方法としては、オイル循環あるい
は熱風炉へ入れる方法が一般的である。オイル循環はパ
イプ配管配置により型温度調整が容易であるが、型面か
らのみ加熱される。一方、熱風炉を用いると、型面およ
び成形物裏面の両面からの加熱が可能であるが、生産性
を考慮して熱風を300°C以上に設定することが多い
ため、成形物裏面の熱酸化劣化を起こさないように処方
や条件を配慮する必要がある。
【0039】熱風方式は、粉末スラッシュ成形を多層
(2ないし3)に行う時に有効である。即ち、加熱され
た型に最外層となる1回目の粉末をスラッシュ成形し、
半溶融状態で2回目の粉末を付着させ、そして必要なら
3回目もスラッシュ成形し、その後加熱溶融する。この
場合、型面側のみからの加熱では、熱伝達が不充分なの
で成形物裏面からの加熱も可能な熱風炉方式が用いられ
ることが多い。
【0040】上記の粉末スラッシュ成形によって得られ
た表皮層を、一方の型に装着し、他方の型にポリプロピ
レン、ABS、ポリスチレンのような合成樹脂からなる
芯材を設置し、これらの間にポリウレタンのような発泡
原液を注型して発泡層を形成して表皮付き成形体を形成
する。
【0041】尚、上記表皮層と発泡層との接着性を向上
させるために、成型した表皮層の接着面に洗浄、コロナ
放電、あるいは火炎処理、接着剤の塗布等を併用するこ
とがきる。
【0042】図1は上記熱可塑性エラストマー組成物を
加熱混合してペレット化し、このペレットを粉末化した
もの粉末スラッシュ成形して得た表皮を用いて得られた
表皮付き成形体の一つである自動車用インストルメント
パネルの全体外観斜視図であり、図2は図1のX−X断
面図を示している。これによると、インストルメントパ
ネル1はソフト部2とハード部3に区分され、ソフト部
2においては表面にはシボ付き模様をもった一層の表皮
層4が覆われ、裏面には合成樹脂からなる芯材5が位置
し、表皮層4と芯材5の間にはポリウレタンフォームの
ような発泡層6が設けられている。他方、ハード部3で
は表皮層4と芯材5が密着した状態になっている。
【0043】上記表皮層4は接着改良剤を含んでいるた
め、芯材5との接着力が向上し、また内部離型剤を含ん
でいるために金型との脱型性も向上する。
【0044】
【実施例】次に、本発明を具体的な実施例により更に詳
細に説明する。 実施例1〜4、比較例1〜2 プロセスオイルを除いた表1に示す材料をタンブラーで
ドライブレンドしたものを、二軸押出機(池貝鉄鋼社
製、PCM45)の原料供給ホッパーより供給し、プロ
セスオイルをベント口より注入しながらシリンダー温度
210°C、スクリュー回転数300rpmで混練押出
してペレット化した。そして、ターボミルT250−4
J(ターボ工業社製)に液体窒素に浸したペレットを投
入して粉砕し、1,000μmの篩い通過分のみを集め
た。
【0045】次に、上記粉体材料を用いて粉末スラッシ
ュ成形を行った。粉末スラッシュ成形の方法としては、
まず皮シボ模様のついた150mm×150mm×3m
mの板をオーブン中で250°Cに加熱し、その上に上
記粉体材料を約800gのせて10分間置いて付着させ
た後、溶融付着しなかった粉体を除いて、300°Cに
調節したオーブン中で60秒間加熱し、オーブンより取
り出し水冷して、厚さ約0.8mmの表皮を脱型した。
【0046】表皮の脱型性の難易は感覚で良否を判断し
た。○は良であり、×は悪である。また、表皮の引張物
性は、スラッシュ成形で得られた表皮をJIS3号ダン
ベルで打ち抜き、引張速度200mm/分で引張強さと
伸びを測定した。
【0047】接着性評価では、300×200×8mm
の窪みを有する340×200×12mmの鉄板を金型
として用い、40°Cのオーブンで加熱後、窪み底部に
表皮成型シートを置き、予め配合した半硬質ウレタンフ
ォーム原料液約100gを注入し、直ちにアルミ板で密
封し、40°Cのオーブンで4分間加熱して表皮とウレ
タンフォーム積層体を得た。これを幅25mm、長さ1
50mmに切り出し、評価用サンプルとした。引張速度
200mm/秒で180°剥離強度と剥離状態で評価し
た。剥離状態は全面ウレタンフォームの凝集破壊の場合
を○、部分的凝集破壊の場合を△、全面界面破壊の場合
を×とした。これらの結果を表1に併記する。
【0048】
【表1】
【0049】この結果、実施例では、表皮の金型からの
脱型性も良好で、表皮とウレタンフフォームとの剥離強
度が高いことが判る。
【0050】
【発明の効果】以上のように本願の請求項記載の発明で
は、少なくともポリプロピレン樹脂と、水素添加スチレ
ンブタジエンゴムと、プロセスオイルと、吸油能に優れ
たエラストマー、接着改良剤、そして内部離型剤からな
る粉末スラッシュ成形用熱可塑性エラストマー組成物そ
してこれを用いて得られた粉末スラッシュ成形材料であ
るため、表皮とウレタンフォームの剥離強度も高く、ま
た表皮の金型からの脱型性も良好で、しかも水素添加ス
チレンブタジエンゴムや吸油能に優れたエラストマーを
含むエラストマー成分に軟化剤としてプロセスオイルを
吸油させて溶融流動性を改善している。
【0051】また、これらに有機過酸化物を添加した粉
末スラッシュ成形用熱可塑性エラストマー組成物そして
これを用いて得られた粉末スラッシュ成形材料の場合に
は、上記有機過酸化物が加熱下で混練する過程でポリプ
ロピレン樹脂の主鎖を切断して、ポリプロピレン樹脂の
分子量を下げて溶融流動性を上げることになり、得られ
た熱可塑性エラストマーの粉末物は高い溶融流動性をも
つことになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る自動車用インストルメントパネル
の全体外観斜視図である。
【図2】図1のX−X断面図である。
【符合の説明】
1 インストルメントパネル 2 ソフト部 3 ハード部 4 表皮層 5 芯材 6 発泡層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 日置 勝行 神戸市長田区浜添通4丁目1番21号 三 ツ星ベルト株式会社内 (56)参考文献 特開 平10−30036(JP,A) 特開 平7−82433(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08L 9/06 C08L 23/10 - 23/16

Claims (11)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 粉末スラッシュ成形に使用する粉末状の
    熱可塑性エラストマー組成物であり、少なくともポリプ
    ロピレン樹脂と、水素添加スチレンブタジエンゴムと、
    プロセスオイルと、吸油能に優れたエラストマーと、接
    着改良剤と、そして内部離型剤を含むことを特徴とする
    粉末スラッシュ成形用熱可塑性エラストマー組成物。
  2. 【請求項2】 粉末スラッシュ成形に使用する粉末状の
    熱可塑性エラストマー組成物であり、少なくともポリプ
    ロピレン樹脂と、水素添加スチレンブタジエンゴムと、
    プロセスオイルと、吸油能に優れたエラストマーと、接
    着改良剤と、内部離型剤と、そして有機過酸化物を含む
    ことを特徴とする粉末スラッシュ成形用熱可塑性エラス
    トマー組成物。
  3. 【請求項3】 JIS K−7210に準拠して250
    °C、0.325kgf荷重で測定した上記熱可塑性エ
    ラストマー組成物のメルトフローレート(MFR)が、
    5g/10分以上である請求項1または2記載の粉末ス
    ラッシュ成形用熱可塑性エラストマー組成物。
  4. 【請求項4】 ポリプロピレン樹脂と水素添加スチレン
    ブタジエンゴムが重量比で80/20〜20/80であ
    る請求項1または2記載の粉末スラッシュ成形用熱可塑
    性エラストマー組成物。
  5. 【請求項5】 吸油能に優れたエラストマーが水素添加
    スチレンブタジエンゴム100重量部に対して20〜2
    50重量部混合される請求項1または2記載の粉末スラ
    ッシュ成形用熱可塑性エラストマー組成物。
  6. 【請求項6】 吸油能に優れたエラストマーがスチレン
    ・エチレンプロピレン・スチレンブロック共重合体(S
    EPS)、スチレン・エチレンブチレン・スチレンブロ
    ック共重合体(SEBS)、オレフィン結晶・エチレン
    ブチレン・オレフィン結晶ブロックコポリマー、エチレ
    ンプロピレンゴム、そしてエチレン・オクテン共重合体
    から選ばれた少なくとも1種以上のポリマーである請求
    項5記載の粉末スラッシュ成形用熱可塑性エラストマー
    組成物。
  7. 【請求項7】 プロセスオイルが吸油能に優れたエラス
    トマー100重量部に対して5〜200重量部混合され
    る請求項1または2記載の粉末スラッシュ成形用熱可塑
    性エラストマー組成物。
  8. 【請求項8】 接着改良剤が酸変性ポリプロピレン、水
    酸基含有ポリプロピレン、そして両末端水酸基水素添加
    ポリブタジエン、そしてエチレン・酢酸ビニルコポリマ
    ーの加水分解物から選ばれた少なくとも1種以上の高分
    子を2〜20重量%含有する請求項1または2記載の粉
    末スラッシュ成形用熱可塑性エラストマー組成物。
  9. 【請求項9】 内部離型剤がジメチルシロキサン、メチ
    ルハイドロキシポリシロキサン、メチルフェニルポリシ
    ロキサンから選ばれた少なくとも1種以上を0.1〜
    5.0重量%含有する請求項1または2記載の粉末スラ
    ッシュ成形用熱可塑性エラストマー組成物。
  10. 【請求項10】 少なくともポリプロピレン樹脂と、水
    素添加スチレンブタジエンゴムと、プロセスオイルと、
    吸油能に優れたエラストマーと、接着改良剤と、そして
    内部離型剤を含む熱可塑性エラストマー組成物を加熱混
    合してペレット化し、このペレットを粉末化したことを
    特徴とする粉末スラッシュ成形材料。
  11. 【請求項11】 少なくともポリプロピレン樹脂と、水
    素添加スチレンブタジエンゴムと、プロセスオイルと、
    吸油能に優れたエラストマーと、接着改良剤と、内部離
    型剤と、そして有機過酸化物を含む熱可塑性エラストマ
    ー組成物を加熱混合してペレット化し、このペレットを
    粉末化したことを特徴とする粉末スラッシュ成形材料。
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