JP2002037938A - 粉末スラッシュ成形用熱可塑性エラストマー組成物 - Google Patents

粉末スラッシュ成形用熱可塑性エラストマー組成物

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JP2002037938A
JP2002037938A JP2001207177A JP2001207177A JP2002037938A JP 2002037938 A JP2002037938 A JP 2002037938A JP 2001207177 A JP2001207177 A JP 2001207177A JP 2001207177 A JP2001207177 A JP 2001207177A JP 2002037938 A JP2002037938 A JP 2002037938A
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Japan
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styrene
thermoplastic elastomer
weight
slush molding
powder slush
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JP2001207177A
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English (en)
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Hirohide Enami
博秀 榎並
Tateo Ono
健郎 小野
Katsuyuki Hioki
勝行 日置
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Mitsuboshi Belting Ltd
Original Assignee
Mitsuboshi Belting Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 粉末成形、特に粉末スラッシュ成形に必要な
溶融流動性に優れ、溶融粘度が低く、成形後の表皮の脱
型が容易で、引張強度の優れた粉末スラッシュ成形に適
する熱可塑性エラストマー組成物を提供することを目的
とする。 【解決手段】 粉末スラッシュ成形に使用する粉末状の
熱可塑性エラストマー組成物であり、少なくとも(A)
ポリプロピレン樹脂、(B)水素添加スチレンブタジエ
ンゴム、(C)プロセスオイル、そして(D)スチレン
・エチレンプロピレン・スチレンブロック共重合体(S
EPS)、スチレン・エチレンブチレン・スチレンブロ
ック共重合体(SEBS)、オレフィン結晶・エチレン
ブチレン・オレフィン結晶ブロックコポリマー、そして
エチレン・オクテン共重合体から選ばれた少なくとも1
種以上のエラストマーを含有している。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は粉末スラッシュ成形
用熱可塑性エラストマー組成物に係り、詳しくは粉体流
動性に優れ、溶融粘度が低く、成形後の表皮の脱型が容
易で、引張強度の優れた粉末スラッシュ成形に適する熱
可塑性エラストマー組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】軟質の粉末材料を用いた粉末成形法とし
て、軟質塩化ビニル樹脂粉末を用いた粉末スラッシュ成
形法がインストルメントパネル、コンソールボックス、
ドアートリム等の自動車内装品の表皮に広く採用されて
いる。これはソフトな感触であり、皮シボやステッチを
設けることができ、また設計自由度が大きいこと等の意
匠性が良好なことによる。
【0003】この成形方法は、他の成形方法である射出
成形や圧縮成形と異なり、賦形圧力をかけないので、成
形時には粉末材料を複雑な形状の金型に均一付着させる
ためには粉体流動性に優れることがあり、金型に付着し
た粉体が溶融して無加圧下でも流動して皮膜を形成する
ために、溶融粘度が低いことも条件になっている。更
に、金型を冷却して成形された表皮を金型より容易に離
型できることも必要であった。
【0004】これを改善した一つの方法として、特開平
7−82433号公報には、ポリプロピレン樹脂と特定
のスチレン系熱可塑性エラストマーとを重量比70/3
0〜30/70の割合で混合したもの粉砕して用いるこ
とが提案されている。
【0005】ここでは、スチレン系熱可塑性エラストマ
ーがスチレン含量20重量%以下のスチレン・エチレン
ブチレン・スチレンブロック共重合体、スチレン含量2
0重量%以下のスチレン・エチレンプロピレン・スチレ
ンブロック共重合体、そしてスチレン含量20重量%以
下の水素添加スチレンブタジエンゴムから選ばれたもの
であり、ポリプロピレン樹脂との相溶性が良好で粉末成
形に適した組成物になっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、この組成物で
もポリプロピレン樹脂と水素添加スチレンブタジエンゴ
ムの混合が水素添加スチレンブタジエンゴムがポリプロ
ピレン樹脂中で微分散するので、物性に低下は少なくて
表皮に素材には適している。しかし、水素添加スチレン
ブタジエンゴムが吸油能に劣るため、組成物中のオリゴ
マー成分が表面に移行して粘着性をもつ欠点はあった。
このため、粉末スラッシュ成形用に粉砕した熱可塑性エ
ラストマー粉も粘着性をもつために、ブロッキングし易
く、粉体流動性が悪くなっていた。また、表皮も金型か
ら脱型するとき、離型性が悪くなることがあった。
【0007】本発明はこのような問題点を改善するもの
であり、粉末成形、特に粉末スラッシュ成形に必要な溶
融流動性に優れ、溶融粘度が低く、成形後の表皮の脱型
が容易で、引張強度の優れた粉末スラッシュ成形に適す
る熱可塑性エラストマー組成物を提供することを目的と
する。
【0008】
【課題を解決するための手段】即ち、本願の請求項1記
載の発明では、粉末スラッシュ成形に使用する粉末状の
熱可塑性エラストマー組成物であり、少なくとも(A)
ポリプロピレン樹脂、(B)水素添加スチレンブタジエ
ンゴム、(C)プロセスオイル、そして(D)スチレン
・エチレンプロピレン・スチレンブロック共重合体(S
EPS)、スチレン・エチレンブチレン・スチレンブロ
ック共重合体(SEBS)、オレフィン結晶・エチレン
ブチレン・オレフィン結晶ブロックコポリマー、そして
エチレン・オクテン共重合体から選ばれた少なくとも1
種以上のエラストマーを含有する粉末スラッシュ成形用
熱可塑性エラストマー組成物にある。
【0009】本願の請求項2記載の発明では、JIS
K−7210に準拠して250°C、0.325kgf
荷重で測定した上記熱可塑性エラストマー組成物のメル
トフローレート(MFR)が、5g/10分以上である
粉末スラッシュ成形用熱可塑性エラストマー組成物にあ
る。
【0010】本願の請求項3記載の発明では、(A)ポ
リプロピレン樹脂と(B)水素添加スチレンブタジエン
ゴムが重量比で80/20〜20/80である粉末スラ
ッシュ成形用熱可塑性エラストマー組成物にある。
【0011】本願の請求項4記載の発明では、(D)エ
ラストマーが(B)水素添加スチレンブタジエンゴム1
00重量部に対して20〜250重量部混合される粉末
スラッシュ成形用熱可塑性エラストマー組成物にある。
【0012】本願の請求項5記載の発明では、(C)プ
ロセスオイルが(D)エラストマー100重量部に対し
て5〜200重量部混合される粉末スラッシュ成形用熱
可塑性エラストマー組成物にある。
【0013】本願の請求項6記載の発明では、粉末スラ
ッシュ成形に使用する粉末状の熱可塑性エラストマー組
成物であり、少なくとも(A)ポリプロピレン樹脂、
(B)水素添加スチレンブタジエンゴム、(C)プロセ
スオイル、そして(D)スチレン・エチレンプロピレン
・スチレンブロック共重合体(SEPS)、スチレン・
エチレンブチレン・スチレンブロック共重合体(SEB
S)、オレフィン結晶・エチレンブチレン・オレフィン
結晶ブロックコポリマー、そしてエチレン・オクテン共
重合体から選ばれた少なくとも1種以上のエラストマー
を含有し、上記(A)ポリプロピレン樹脂と(B)水素
添加スチレンブタジエンゴムが重量比で80/20〜2
0/80に調節するとともに、(D)エラストマーを
(B)水素添加スチレンブタジエンゴム100重量部に
対して20〜250重量部、(C)プロセスオイルを
(D)エラストマー100重量部に対して5〜200重
量部混合した組成物を混練してペレット化し、このペレ
ットを常温もしくは冷凍粉砕して得られた粉末物にした
粉末スラッシュ成形用熱可塑性エラストマー組成物にあ
る。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明で使用する(A)ポリプロ
ピレン樹脂は、ポリプロピレンホモポリマー、α−オレ
フィンとのブロックあるいはランダム共重合体のいずれ
でもよいが、特にα−オレフィンとしてエチレンを用い
たブロックあるいはランダム共重合体が成形体の柔軟性
の面からいって好ましい。また、圧力のかからない粉末
スラッシュ成形に用いるためには、ポリプロピレン樹脂
の溶融流動性の指数としてJIS K7210により2
30°Cで荷重2.16kgfで測定したMFR(メル
トフローレート)が20g/10分以上であることが必
要である。上記ポリプロピレン樹脂は熱あるいは酸化に
よってその主鎖が切断されるポリマーであり、架橋、硬
化するポリエチレン等と異なる性質をもっており、有機
過酸化物によってその主鎖が切断され、分子量が低下す
る。
【0015】また、(B)水素添加スチレンブタジエン
ゴム(H−SBR)は、ポリプロピレン樹脂との相溶性
に優れており、ポリプロピレン樹脂に混練すると柔軟に
なり、折曲げや白化しにくい熱可塑性エラストマー組成
物が得られる。水素添加スチレンブタジエンゴムのスチ
レン含有量は30重量%以下が好ましく、柔軟性に富む
表皮を得るためには5〜15重量%が適当である。
【0016】H−SBRは、スチレンとブタジエンがラ
ンダムに共重合しているスチレンブタジエンゴムを水素
添加している点で、ブロック共重合体であるSEBSと
異なっている。代表的なものとして、日本合成ゴム社製
の商品であるダイナロンシリーズがある。
【0017】ポリプロピレン樹脂とH−SBRとの混合
量は、重量比で80/20〜20/80の割合であり、
ポリプロピレン樹脂が多くなると、成形された表皮が硬
くなり、一方少なくなると引張強度が低下する。
【0018】また、本発明では、(C)プロセスオイル
を添加することにより組成物中のエラストマー成分に吸
収されて溶融粘度を下げるとともに、表皮の硬度を下
げ、柔軟性をもたせる効果がある。
【0019】上記プロセスオイルはゴム用に使用される
ものであり、パラフィン系、ナフテン系、アロマ系に分
類されるが、エラストマー成分との相溶性によりパラフ
ィン系が好ましい。添加量は吸油能に優れたエラストマ
ー100重量部に対して5〜200重量部が好ましい。
200重量部を越えると、引張物性が低下し、5重量部
未満になると、溶融粘度が下がらず表皮が硬くなる。
【0020】上記(D)エラストマーは、ポリプロピレ
ン樹脂と相溶性を有しており、プロセスオイルと組成物
中のオリゴマー成分を吸収する性質を有するもので、ス
チレン・エチレンブチレン・スチレンブロックコポリマ
ー(SEBS)やスチレン・エチレンプロピレン・スチ
レンブロックコポリマー(SEPS)等のスチレン系ブ
ロック共重合熱可塑性エラストマー、オレフィン結晶・
エチレンブチレン・オレフィン結晶ブロックコポリマー
(CEBC)、そしてエチレン・オクテン共重合体(P
OE)がある。
【0021】上記SEBSはスチレン・ブタジエン・ス
チレンブロック共重合体(SBS)を水素添加したもの
であり、シエル化学社製の商品であるクレイトンGシリ
ーズ、旭化成社製の商品であるタフテックHシリーズ等
が挙げられる。このSEBSではスチレン含量が増える
につれて強度が上昇するが、柔軟性が低下する。また、
同SEBSではスラッシュ成形時に溶融してスチレンハ
ードセグメントが凝集し、平滑なシート状成形体を得に
くいことがある。従って、スチレン含量は40%重量以
下がよい。
【0022】SEPSはスチレン・イソプレン・スチレ
ンブロック共重合体(SIS)を水素添加したもので、
クラレ社製の商品であるセプトンが代表的である。SE
BSと同様にスチレン含量が増えるにつれ柔軟性が低下
するために、スチレン含量は40重量%以下がよい。
【0023】尚、上記(D)エラストマーは、H−SB
Rに比べてポリプロピレン樹脂に対する相溶性が劣って
おり、ポリプロピレン樹脂に混練、添加すると、μm単
位の大きさで分散するので、引張物性が低下する傾向に
ある。しかし、ポリプロピレン樹脂にH−SBRとプロ
セスオイルを添加した場合には、H−SBRが吸油能に
劣るため、組成物中のオリゴマー成分が表面に移行(ブ
リード)して粘着性をもち、これを用いて粉末スラッシ
ュ成形用に粉砕したエラストマー粉も粘着性をもつた
め、ブロッキングしやすくなって粉体流動性、また表皮
も金型からの離型性に欠ける。これに(D)エラストマ
ーを添加した場合には、組成物中のオリゴマー成分とオ
イルを吸収してブリードを阻止することができる。
【0024】上記(D)エラストマーの添加量は、H−
SBR100重量部に対して20〜250重量部であ
る。20重量部未満になると、組成物中のオリゴマー成
分とオイルを充分に吸収できなくなり、また250重量
部を越えると、ポリプロピレン樹脂との分散が悪くな
り、引張物性が低下する傾向にある。
【0025】熱安定剤としては、通常のポリオレフィン
に用いられるものが使用できる。一般的には、フェノー
ルとリン系の酸化防止剤を併用して使用するが、特に限
定されるものではない。
【0026】また、光安定剤としては、ラジカル捕捉剤
であるヒンダードアミン、ベンゾトリアゾール系のもの
が使用されることもある。
【0027】顔料は通常のオレフィン系に適した有機、
無機のものが使用される。更に、脂肪酸金属塩等の滑剤
や炭酸カルシウム、タルク等の充填剤等が必要に応じて
添加される。
【0028】これらの配合物の混合はポリプロピレン樹
脂、H−SBR、プロセスオイル、(D)エラストマ
ー、顔料、安定剤、滑剤をV型ブレンダー、タンブラ
ー、ヘンシェルミキサー等を用いてドライブレンドした
ものを原料供給ホッパーより供給し、プロセスオイルは
ベント口より注入し、二軸押出機で溶融混練してペレッ
ト化する。
【0029】また、本発明では、前述のポリプロピレン
樹脂、H−SBR、プロセスオイル、そして(D)エラ
ストマー等からなる同一の配合に有機過酸化物を添加
し、これらを加熱下で混練するもので、有機過酸化物が
ポリプロピレン樹脂の主鎖を切断して、ポリプロピレン
樹脂の分子量を下げて溶融流動性を上げることになり、
得られた熱可塑性エラストマー組成物に高い溶融流動性
をもたせる効果がある。尚、ここでは、有機過酸化物を
架橋剤として使用していない。また、加熱下で混練して
得られた熱可塑性エラストマー組成物中には、有機過酸
化物は熱分解して実質的に含有していない。
【0030】上記有機過酸化物としては、通常、ゴム、
樹脂の架橋に使用されているジアシルパーオキサイド、
パーオキシエステル、ジアリルパーオキサイド、ジ−t
−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサ
イド、ジクミルパーオキサイド、2.5−ジメチル−
2.5−ジ(t−ブチルパーオキシ)−ヘキサン−3,
1,3−ビス(t−ブチルパーオキシ−イソプロピル)
ベンゼン、1,1−ジ−ブチルパーオキシ−3,3,5
−トリメチルシクロヘキサン等があり、熱分解による1
分間の半減期が150〜250°Cのものが好ましい。
【0031】該有機過酸化物は、120〜250°Cの
加熱下で混練する過程で、ポリプロピレン樹脂の主鎖を
切断して分子量を低下させ、熱可塑性エラストマー組成
物に高い溶融流動性をもたせる。有機過酸化物の添加量
は熱可塑性エラストマー組成物中、0.02〜5.0重
量%であり、0.02重量%未満の場合にはポリプロピ
レン樹脂の主鎖を切断する分解能力が少なく、熱可塑性
エラストマー組成物に高い溶融流動性を付与できなくな
る。一方、5.0重量%を越えると、分解が過剰にな
り、粉体成形品の引張強度等の機械的特性が低下する。
【0032】これらの配合物の混合はポリプロピレン樹
脂、H−SBR、(D)エラストマー、有機過酸化物、
顔料、安定剤、滑剤、充填剤をV型ブレンダー、タンブ
ラー、ヘンシェルミキサー等を用いてドライブレンドし
たものを原料供給ホッパーより供給し、プロセスオイル
はベント口より注入し、120〜250°Cの範囲に温
度調節した二軸押出機で溶融混練してペレット化する。
【0033】また、密閉式混練機であるニーダー、バン
バリーミキサー等によってエラストマー成分であるH−
SBRと吸油能に優れたエラストマーにプロセスオイル
を添加して混練し、ペレット化した後、このペレットと
ポリプロピレン樹脂に有機過酸化物、その他の配合剤を
混合して、120〜250°Cの範囲に温度調節した一
軸あるいは二軸押出機で溶融混練してペレット化するこ
ともできる。
【0034】得られたペレットの溶融粘度であるメルト
フローレート(MFR)は、JISK7210により2
50°C、0.325kgfの荷重で5g/10分以上
が好ましい。これ未満になると、組成物の溶融流動性が
小さくなって表皮にピンホールが発生する傾向がある。
【0035】ポリプロピレン樹脂、H−SBR、プロセ
スオイル、そして(D)エラストマーを主とする配合か
ら得られたペレット、あるいはこれらに有機過酸化物を
添加して得られたペレットは、ターボミル、ピンミル、
ハンマーミル等の衝撃型微粉砕機を用いて微粉砕され
る。この時通常では液体窒素を用いて冷凍粉砕される。
また、配合によっては溶融樹脂をスプレあるいはディス
クアトマイザーによって噴霧し冷却することによって粉
体化することができる。
【0036】粉砕されたものは篩い等によって粒径が少
なくとも1,000μmの篩を通過し、平均粒径が10
0〜800μmのものが集められ、これに有機あるいは
無機の粉体性改良剤を添加、混合して粉末スラッシュ成
形用に使用する。
【0037】次いで、エラストマー組成物を用いて粉末
スラッシュ成形を行う。この成形では組成物の融点以上
に加熱された型にこれを主として重力で落下させて投入
し、一定時間経過後に型を反転し、余分の組成物を回収
箱に集める。型表面には組成物が層となって付着してお
り、時間経過とともに溶融してスキン層が形成される。
そして、型を冷却してスキン層を脱型するものであり、
これが繰り返し行われる。
【0038】型の加熱方法としては、オイル循環あるい
は熱風炉へ入れる方法が一般的である。オイル循環はパ
イプ配管配置により型温度調整が容易であるが、型面か
らのみ加熱される。一方、熱風炉を用いると、型面およ
び成形物裏面の両面からの加熱が可能であるが、生産性
を考慮して熱風を300°C以上に設定することが多い
ため、成形物裏面の熱酸化劣化を起こさないように処方
や条件を配慮する必要がある。
【0039】熱風方式は、粉末スラッシュ成形を多層
(2ないし3)に行う時に有効である。即ち、加熱され
た型に最外層となる1回目の粉末をスラッシュ成形し、
半溶融状態で2回目の粉末を付着させ、そして必要なら
3回目もスラッシュ成形し、その後加熱溶融する。この
場合、型面側のみからの加熱では、熱伝達が不充分なの
で成形物裏面からの加熱も可能な熱風炉方式が用いられ
ることが多い。
【0040】
【実施例】次に、本発明を具体的な実施例により更に詳
細に説明する。 実施例1〜4 プロセスオイルを除いた表1に示す材料をタンブラーで
ドライブレンドしたものを、二軸押出機(池貝鉄鋼社
製、PCM45)の原料供給ホッパーより供給し、プロ
セスオイルをベント口より注入しながら200°Cで押
出してペレット化した。そして、ターボミルT250−
4J(ターボ工業社製)に液体窒素に浸したペレットを
投入して粉砕し、1,000μmの篩い通過分のみを集
めた。
【0041】次に、上記粉体組成物を用いて粉末スラッ
シュ成形を行った。粉末スラッシュ成形の方法として
は、まず皮シボ模様のついた150mm×150mm×
3mmの板をオーブン中で250°Cに加熱し、その上
に上記粉体組成物を約800gのせて10分間置いて付
着させた後、溶融付着しなかった粉体を除いて、300
°Cに調節したオーブン中で60秒間加熱し、オーブン
より取り出し水冷して、厚さ約0.8mmの表皮を脱型
した。
【0042】上記ペレットの溶融粘度、表皮の引張物
性、粉体性試験、金型離型性の評価を下記の方法で行っ
た。得られた結果を表1に示す。
【0043】溶融粘度はペレットをJIS K7210
により250°C、0.325kgfの荷重でメルトフ
ローレートを測定した。
【0044】引張物性は、スラッシュ成形で得られた表
皮をJIS3号ダンベルで打ち抜き、引張速度200m
m/分で引張強さと伸びを測定した。
【0045】粉体性試験は、パウダーテスター(ホリカ
ワミクロン社製)を用い、粉体性改良剤を添加した粉体
組成物の安息角を測定した。
【0046】金型離型性は、厚さ3mm、幅17mm、
長さ180mmの荒目ヤスリをオーブン中で250°C
に加熱して上記粉体組成物を約500gのせ10分間置
いて溶融させ付着させた後、付着しなかった粉体を除い
て、300°Cに調節したオーブン中で60秒間加熱
し、オーブンより取り出し水冷した。ヤスリ表面にでき
た皮膜を500mm/分の速度で剥離するに要する力を
測定した。これらの結果を表1に併記する。
【0047】比較例1〜3 実施例1のエラストマー、プロセスオイルを除いた以外
は、実施例1と同じであり、粉体組成物を作製し、その
評価を行った。その結果を表1に併記する。
【0048】
【表1】
【0049】この結果、比較例1は安息角が大きくて粘
着性が大きく、表皮にピンホールが多く、比較例2は表
皮が硬くて溶融流動が悪いためにピンホールが発生し、
また比較例3はSEPSの分散粒子が大きく、充分な引
張物性を得られなかった。しかし、実施例では、比較例
に比べ溶融流動がよく、また粘着性が小さくて表皮にピ
ンホールが発生せず、しかも金型剥離力も小さいことが
判る。
【0050】実施例5〜6 実施例1〜4と同様に、プロセスオイルを除いた表3に
示す材料をタンブラーでドライブレンドしたものを、二
軸押出機(池貝鉄鋼社製、PCM45)の原料供給ホッ
パーより供給し、プロセスオイルをベント口より注入し
ながら200°Cで押出してペレット化した。そして、
ターボミルT250−4J(ターボ工業社製)に液体窒
素に浸したペレットを投入して粉砕し、1,000μm
の篩い通過分のみを集めた。
【0051】次に、実施例1〜4と同様に、上記粉体組
成物を用いて粉末スラッシュ成形を行って厚さ約0.8
mmの表皮を作製し、また上記ペレットの溶融粘度、表
皮の引張物性、粉体性試験、金型離型性の評価を行っ
た。得られた結果を表2に併記する。
【0052】
【表2】
【0053】この結果、本実施例では、溶融流動も良好
に確保され、粘着性が小さくて表皮にピンホールが発生
せず、しかも表皮の金型剥離力も小さことが判る。
【0054】
【発明の効果】以上のように本願の請求項1〜6記載の
発明では、少なくとも(A)ポリプロピレン樹脂、
(B)H−SBR、(C)プロセスオイル、そして
(D)エラストマーを含有する粉末スラッシュ成形用熱
可塑性エラストマー組成物であるため、溶融流動性に優
れ、溶融粘度が低く、また表皮の脱型が容易である効果
を有している。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 53/02 C08L 53/02 91/00 91/00 // B29K 21:00 B29K 21:00 B29L 31:58 B29L 31:58 Fターム(参考) 4F205 AA45 AC04 AH25 AH26 GA12 GB01 GC04 GE24 4J002 AC08X AC11X AE05Y BB05Z BB12W BB14W BB15W BP01Z BP02W BP03Z GT00 HA09

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 粉末スラッシュ成形に使用する粉末状の
    熱可塑性エラストマー組成物であり、少なくとも (A)ポリプロピレン樹脂、 (B)水素添加スチレンブタジエンゴム、 (C)プロセスオイル、 (D)スチレン・エチレンプロピレン・スチレンブロッ
    ク共重合体(SEPS)、スチレン・エチレンブチレン
    ・スチレンブロック共重合体(SEBS)、オレフィン
    結晶・エチレンブチレン・オレフィン結晶ブロックコポ
    リマー、そしてエチレン・オクテン共重合体から選ばれ
    た少なくとも1種以上のエラストマーを含有することを
    特徴とする粉末スラッシュ成形用熱可塑性エラストマー
    組成物。
  2. 【請求項2】 JIS K−7210に準拠して250
    °C、0.325kgf荷重で測定した上記熱可塑性エ
    ラストマー組成物のメルトフローレート(MFR)が、
    5g/10分以上である請求項1記載の粉末スラッシュ
    成形用熱可塑性エラストマー組成物。
  3. 【請求項3】 (A)ポリプロピレン樹脂と(B)水素
    添加スチレンブタジエンゴムが重量比で80/20〜2
    0/80である請求項1記載の粉末スラッシュ成形用熱
    可塑性エラストマー組成物。
  4. 【請求項4】 (D)エラストマーが(B)水素添加ス
    チレンブタジエンゴム100重量部に対して20〜25
    0重量部混合される請求項1記載の粉末スラッシュ成形
    用熱可塑性エラストマー組成物。
  5. 【請求項5】 (C)プロセスオイルが(D)エラスト
    マー100重量部に対して5〜200重量部混合される
    請求項1記載の粉末スラッシュ成形用熱可塑性エラスト
    マー組成物。
  6. 【請求項6】 粉末スラッシュ成形に使用する粉末状の
    熱可塑性エラストマー組成物であり、少なくとも (A)ポリプロピレン樹脂、 (B)水素添加スチレンブタジエンゴム、 (C)プロセスオイル、 (D)スチレン・エチレンプロピレン・スチレンブロッ
    ク共重合体(SEPS)、スチレン・エチレンブチレン
    ・スチレンブロック共重合体(SEBS)、オレフィン
    結晶・エチレンブチレン・オレフィン結晶ブロックコポ
    リマー、そしてエチレン・オクテン共重合体から選ばれ
    た少なくとも1種以上のエラストマーを含有し、 上記(A)ポリプロピレン樹脂と(B)水素添加スチレ
    ンブタジエンゴムが重量比で80/20〜20/80に
    調節するとともに、(D)エラストマーを(B)水素添
    加スチレンブタジエンゴム100重量部に対して20〜
    250重量部、(C)プロセスオイルを(D)エラスト
    マー100重量部に対して5〜200重量部混合した組
    成物を混練してペレット化し、このペレットを常温もし
    くは冷凍粉砕して得られた粉末物にしたことを特徴とす
    る粉末スラッシュ成形用熱可塑性エラストマー組成物。
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