JP2010009946A - 押釦スイッチ用部材およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ベースシート3と、そのベースシート3上に1以上のキートップ2を固着した押釦スイッチ用部材1であって、キートップ2とベースシート3との接触面において、キートップ2とベースシート3とが相溶した融着部分を形成することにより、キートップ2とベースシート3とが固着されている押釦スイッチ用部材1としている。
【選択図】図3
Description
図1は、押釦スイッチ用部材1を操作面側から見た状態の平面図である。図2は、図1のA−A線にて押釦スイッチ用部材1を切断した際の断面図である。
次に、第2の実施の形態に係る押釦スイッチ用部材1について説明する。
次に、第3の実施の形態に係る押釦スイッチ用部材1について説明する。
まず、厚さ0.1mmのポリウレタンシート部材の片面側全面に、各有機溶剤をスプレーにて塗布した。塗布後、有機溶剤を塗布したポリウレタンシートを、温度60℃にて5分間乾燥させた。
○・・・接着強度の平均値が、1.0kgf/cm以上
△・・・接着強度の平均値が0.8kgf/cm以上1.0kgf/cm未満
×・・・接着強度の平均値が0.8kgf/cm未満
ケトン化合物であって、かつ沸点が乾燥温度(60℃)よりも90℃以上高いイソホロンおよびシクロヘキサノンを有機溶剤として用いた実施例1および実施例2では、ポリウレタンシートとポリカーボネート片との間に高い接着強度を示した。一方、ケトン化合物ではあるが、沸点が乾燥温度より19℃若しくは56℃高いブタノンおよびメチルペンタノンを有機溶剤として用いた比較例1および比較例2では、ポリウレタンシートとポリカーボネート片との間の接着強度は低かった。この理由として、比較例1および比較例2では、乾燥ステップにおいて有機溶剤成分の大部分が揮発してしまったためであると考えられる。
芳香族化合物であるメシチレン、キシレンおよびトルエンを有機溶剤として用いた比較例3〜5は、有機溶剤の沸点の温度に関わらずポリウレタンシートとポリカーボネート片との間の接着強度は低かった。
有機溶剤塗布ステップおよび乾燥ステップ以外は、前述の有機溶剤別接着強度測定方法と同様に試料を作製した。有機溶剤塗布ステップでは、ポリウレタンシートの片面側全面に、ポリカーボネート系インク(プロール社製、ノリファン(登録商標)HTR)100質量部に対してイソホロンを10質量部加えたインクを用いて印刷した。印刷後、乾燥ステップにて乾燥時間を変化させた各試料を作製した。その結果を表2に示す。
実施例2と乾燥時間が同一である実施例3の試料は、有機溶剤をスプレーで塗布した場合にも、印刷にて塗布した場合にも、良好な接着強度を示した。乾燥時間が35分の実施例4の試験片も、十分に高い接着強度を示した。一方、乾燥時間が1時間以上の比較例6〜9の各試験片は、低い接着強度を示した。表2から明らかなように、乾燥時間が長くなると、ポリウレタンシートの表面に塗布した有機溶剤成分の大部分が揮発してしまうために、接着強度が低下する傾向が認められた。
次に、実施例3と同様の試料作成方法で用意した試料であって、ポリカーボネートをキートップ形状の成形品とした。また、ポリウレタンシートをベースシートとした。キートップの接着領域から、隣接した他のキートップの接着領域までの間の距離を変化させて、実施例5〜8の試料についてクリック感の測定を行った。
試験片を押圧した感触により以下の基準で評価した。
○・・・クリック感良好
△・・・小さいがクリック感はある
×・・・クリック感なし
キートップの接着領域が互いに隣接している場合には、キートップの外周を非接着領域として、接着領域同士の距離を大きくした方が、クリック感は良好であった。特に、接着領域同士の距離を0.6mm以上とすることにより、非常に良好なクリック感を得ることができた。
次に、2層以上の溶剤浸透層を設けた場合の接着強度を測定するために、有機溶剤塗布ステップ以外は、前述の有機溶剤別接着強度測定方法と同様にて実施例9から実施例12の試料を作製した。有機溶剤塗布ステップでは、所定のシートの片面側に、所定のインク100質量部に対してイソホロンを10質量部加えたインクを用いて、第2の溶剤浸透層をスクリーン印刷にて形成した。さらに、第2の溶剤浸透層と同一の領域に、第1の溶剤浸透層を設けた。
まず、ベースシートを平滑な面に固定した。キートップの端を把持し、キートップを押圧面に対して垂直に引っ張った。各条件につき4試料の測定を行い、キートップとベースシートとが剥がれるまでの間に記録した最大応力の平均値を接着強度として記録した。
キートップとベースシートとの接着強度を以下の基準で評価した。
○・・・最大応力の平均値が、2kgf/cm2以上
△・・・最大応力の平均値が、1.6kgf/cm2以上2kgf/cm2未満
×・・・最大応力の平均値が、1.6kgf/cm2未満
ポリウレタンシートの表面に、第2の溶剤浸透層としてウレタン系インク(セイコーアドバンス社製、RUX)100質量部に対してRUX硬化材10質量部とイソホロンを10質量部加えたインクにて、キートップの貼付け部分にのみ印刷を施した。印刷を施したシートを60℃で30分乾燥させた後で、第1の溶剤浸透層として、ポリカーボネート系インク(プロール社製、HTR)100質量部に対してイソホロンを10質量部加えたインクにて、第2の溶剤浸透層を形成し領域と同一の領域に印刷を行い、60℃で30分乾燥させた。その印刷部分にポリカーボネート製のキートップを配置し、ポリウレタンシート面から温度が160℃、圧力が2MPaにて20秒間加圧および加熱して、実施例9の試験片を作成した。実施例9の試験片のベースシートとキートップとは、特に高い接着強度で接着していた。
PETシートの一方の面に、第2の溶剤浸透層としてポリエステル系インク(セイコーアドバンス社製、PALマット)100質量部に対してイソホロンを10質量部加えたインクにて、キートップの貼り付け部にのみ印刷を施した。印刷を施したシートを60℃で30分間乾燥させた後で、第1の溶剤浸透層として、ポリカーボネート系インク(プロール社製、HTR)100質量部に対してイソホロンを10質量部加えたインクにて、第2の溶剤浸透層が形成された領域と同一の領域に印刷を行い、60℃で30分間乾燥させた。その印刷部分にポリカーボネート製のキートップを配置し、PETシート面から、温度が160℃、圧力が2MPaにて20秒間加圧および加熱することにより、実施例10の試験片を作製した。PETシートとポリエステル系インクとの親和性が高いため、PETシートとポリカーボネート製のキートップとは、良好な接着強度で接着できた。
ポリカーボネート製キートップの裏面に、第1の溶剤浸透層として、アクリル系インク(セイコーアドバンス社製、CAV)100質量部に対してイソホロンを10質量部を加えたインクにて、キートップの貼り付け部分にのみ印刷を施し、80℃で30分間乾燥させた。第2の溶剤浸透層として、ウレタン系インク(セイコーアドバンス社製、SG740)100質量部に対してSG740用硬化剤を10質量部と、イソホロン10質量部とを加えたインクにて、第1の溶剤浸透層と同一の形状にウレタンシートに印刷した。印刷を施したシートを60℃で30分間乾燥させた後に、第1の溶剤浸透層と第2の溶剤浸透層とが重なるように、キートップをウレタンシートに配置した。そしてウレタンシート面側から、温度が160℃、圧力が2MPaにて20秒間加熱および加圧することにより、実施例11の試験片を作製した。実施例11の試験片のベースシートとキートップとは、良好な接着強度で接着されていた。
アクリル製キートップの裏面に、第1の溶剤浸透層として、アクリル系インク(セイコーアドバンス社製、CAV)100質量部に対してイソホロンを10質量部加えたインクにて、キートップの貼り付け部分にのみ印刷を施し、80℃で30分間乾燥させた。また、第2の溶剤浸透層として、ウレタン系インク(セイコーアドバンス社製、SG740)100質量部に対してSG740用硬化剤を10質量部と、イソホロン10質量部とを加えたインクにて、第1の溶剤浸透層と同一の形状にウレタンシートに印刷した。印刷を施したシートを60℃で30分間乾燥させた後に、第1の溶剤浸透層と第2の溶剤浸透層とが重なるように、キートップをウレタンシートに配置した。そしてウレタンシート面側から、温度が150℃、圧力が1.5MPaにて10秒間加熱および加圧することにより、実施例12の試験片を作製した。実施例12の試験片のベースシートとキートップとは、良好な接着強度で接着されていた。
次に、接触界面の温度を変えた場合の、接着強度を測定した。実施例13〜実施例17の試料は、前述の実施例9と同じキートップ、ウレタンシート、第1の溶剤浸透層および第2の溶剤浸透層にて作製した。
まず、ベースシートを平滑な面に固定した。キートップの端を把持し、キートップを垂直に引っ張った。ホットスタンプの表面温度を変化させることで、キートップとベースシートとの融着面の界面温度を変化させた。各条件につき5試料の測定を行い、キートップとベースシートとが剥がれるまでの間に記録した最大応力の平均値を接着強度として記録した。なお、判定基準は、2層以上の溶剤浸透層を設けた場合の接着強度測定試験方法と同様であるため、省略する。
キートップとベースシートとの融着面の界面温度が、60℃よりも高い実施例13〜16の試験片のベースシートとキートップとは、良好な接着強度で接着されていた。特に、キートップとベースシートとの融着面の界面温度が、60℃よりも20℃以上高い実施例13〜実施例15の試験片の、ベースシートとキートップとは、大変良好な接着強度で接着されていた。
2 キートップ
3 ベースシート
5 第1の溶剤浸透層
6 第2の溶剤浸透層
Claims (8)
- ベースシートと、そのベースシート上に1以上のキートップを固着した押釦スイッチ用部材であって、
上記キートップと上記ベースシートとの接触面において、上記キートップと上記ベースシートとが相溶した融着部分を形成することにより、上記キートップと上記ベースシートとが固着されていることを特徴とする押釦スイッチ用部材。 - 前記ベースシートをポリウレタンフィルムまたは、ポリエチレンテレタレートフィルムとし、
前記融着部分は、沸点が150℃から230℃未満のケトン系溶剤、エーテル系溶剤若しくはエステル系溶剤を介在させて形成された部分であることを特徴とする請求項1に記載の押釦スイッチ用部材。 - 前記沸点が150℃から230℃未満のケトン系溶剤は、主成分としてイソホロンまたはシクロヘキサノンを含む溶剤であることを特徴とする請求項2に記載の押釦スイッチ用部材。
- ベースシートと、そのベースシート上に1以上のキートップを固着した押釦スイッチ用部材の製造方法であって、
上記キートップを固着する上記ベースシートの一部および上記キートップの裏面の少なくとも一方に、有機溶剤を塗布する有機溶剤塗布ステップと、
上記有機溶剤の一部を加熱により除去して接着能力を保ちつつ液だれしないようにする乾燥ステップと、
上記キートップと上記ベースシートとの接触界面の温度が60℃以上でキートップに使用されている樹脂の荷重たわみ温度以下の範囲の温度にて、上記キートップと上記ベースシートとを融着して、上記キートップと上記ベースシートとが相溶した融着部分を形成する熱融着ステップと、を有することを特徴とする押釦スイッチ用部材の製造方法。 - 前記有機溶剤塗布ステップは、前記有機溶剤を含む溶剤浸透層を、印刷にて形成することを特徴とする請求項4に記載の押釦スイッチ用部材の製造方法。
- 前記溶剤浸透層は、複数層設けられ、
前記キートップに接する第1の溶剤浸透層は、前記ベースシートよりも前記キートップと親和性が高く、
前記ベースシートに接する第2の溶剤浸透層は、前記キートップよりも前記ベースシートと親和性が高いことを特徴とすることを特徴とする請求項5に記載の押釦スイッチ用部材の製造方法。 - 前記ベースシートをポリウレタンフィルムとし、前記キートップをポリカーボネート製のキートップとした押釦スイッチ用部材の製造方法であって、
前記第1の溶剤浸透層は、イソホロンまたはシクロヘキサノンとポリカーボネート系インク若しくはアクリル系インクとを含む層であり、
前記第2の溶剤浸透層は、イソホロンまたはシクロヘキサノンとウレタン系インクとを含む層であることを特徴とする請求項6に記載の押釦スイッチ用部材の製造方法。 - 前記ベースシートをポリエチレンテレフタレートフィルムとし、前記キートップをポリカーボネート製のキートップとした押釦スイッチ用部材の製造方法であって、
前記第1の溶剤浸透層は、イソホロンまたはシクロヘキサノンとポリカーボネート系インク若しくはアクリル系インクとを含む層であり、
前記第2の溶剤浸透層は、イソホロンまたはシクロヘキサノンとポリエステル系インクを含む層であることを特徴とする請求項6に記載の押釦スイッチの製造方法。
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