JP5205717B2 - ギ酸銅錯体、銅粒子の製造方法および配線基板の製造方法 - Google Patents
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Description
また、ヘキサデシルアミンと[Cu(OCH(Me)CH2NMe2) 2]錯体を混合してヘキサデシルアミンが表面修飾された銅ナノ粒子を得ることが報告されている(例えば、非特許文献1)。
一方、金属銅の積層ためのプレカーサーとして役に立つギ酸銅錯体を、無水ギ酸銅と置換ピリジン誘導体とから得る方法が知られている。しかし、当該錯体から銅微粒子は未だ調製できていない(例えば、特許文献2)。
本発明のギ酸銅錯体は、下記一般式(1)
で表されることを特徴とする。
これにより、銅粒子の修飾剤として優れている脂肪族アミンが銅に配位しているため、銅粒子の製造に好ましく用いられるギ酸銅錯体を得ることができる。
これにより、アミン配位子同士の立体障害を防止または低減することができるため、安定なギ酸銅錯体を得ることができる。また、ギ酸銅錯体を分解することにより、安定な銅粒子を製造することができる。
これにより、ギ酸銅錯体が不飽和結合を有さないので、副反応を起こすことなく、安定なギ酸銅錯体を得ることができる。また、ギ酸銅錯体を分解することにより、安定な銅粒子を製造することができる。
で表されるギ酸銅錯体の前記2価の銅が0価の銅に還元されるとともに、前記ギ酸配位子が二酸化炭素に酸化されるように前記ギ酸銅錯体を分解することにより銅粒子を得ることを特徴とする。
これにより、ギ酸銅錯体を分解するのみで銅粒子を得ることができるため、簡便かつ迅速に銅粒子を収率よく製造することができる。
で表されるギ酸銅錯体を得る第1の工程と、
前記ギ酸銅錯体の前記2価の銅が0価の銅に還元されるとともに、前記ギ酸配位子が二酸化炭素に酸化されるように前記ギ酸銅錯体を分解することにより銅粒子を得る第2の工程とを有することを特徴とする。
これにより、安価な材料を用いているため、低コストで銅粒子を得ることができる。また、第1の工程に引き続いて第2の工程を行うため、極めて簡便かつ迅速に収率よく銅粒子を得ることができる。
これにより、脂肪族アミンが確実に溶解するため、効率的に銅粒子を得ることができる。
本発明の銅粒子の製造方法では、前記脂肪族アミンは、その炭素数が4〜20の飽和の脂肪族アミンであることが好ましい。
これにより、脂肪族アミン配位子が炭素数4〜20の飽和のものであるため、副反応を起こすことなく、凝集しない、均一な粒径の安定な銅粒子を得ることができる。
これにより、確実にギ酸銅錯体が分解されるため、確実に銅粒子を得ることができる。
本発明の銅粒子の製造方法では、前記ギ酸銅錯体の加熱温度は、70〜200℃であることが好ましい。
これにより、より確実にギ酸銅錯体が分解されるため、より確実に銅粒子を得ることができる。
前記液体材料を基板に塗布する塗布工程と、
前記塗布工程の後、前記基板に熱処理を施し前記基板上に配線を形成する熱処理工程と、を有する。
これにより、信頼性の高い配線基板を得ることができる。
<銅粒子>
図1は、本発明の銅粒子を示す模式図である。
図1に示すように、本発明の銅粒子10は、0価の銅で構成される粒状の核11の表面に、脂肪族アミン12が結合(被覆)してなるものである。この脂肪族アミン12は、銅を核11側にして、核11の表面に結合している。これにより、銅粒子10同士が凝集するのを防止することができ、銅粒子10が安定して存在することができる。
ここで、本発明の銅粒子10は、その平均粒径(図1中、長さD)が0.5〜120nm程度、好ましくは1〜20nm程度のものを言う。平均粒径がこのような範囲の大きさであるため、銅微粒子ともいう。
本発明の銅粒子10の製造方法は、例えば、下記一般式(1)
銅粒子10の製造に用いられるギ酸銅錯体は、前記一般式(1)で表される化合物である。これにより、脂肪族アミン配位子が銅に配位結合しているため、一般式(1)で表されるギ酸銅錯体を分解することで、脂肪族アミン12で修飾された銅粒子10を簡便に得ることができる。
一般式(1)中のR1およびR2のそれぞれの脂肪族炭化水素基は、その炭素数が4〜20のものが好ましく、6〜20のものがより好ましい。炭素数を6〜20とすることで、一般式(1)で表されるギ酸銅錯体を分解して得られる銅粒子10の凝集をより抑えることができ、より安定で粒径がより均一な銅粒子10を得ることができる。また、当該銅粒子10をインクに含有したとき、再分散性が良好となる。
飽和の脂肪族炭化水素基としては、アルキル基が挙げられる。例えば、アルキル基として、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、ヘキサデシル基、ノナデシル基などの直鎖アルキル基、イソブチル基、1−メチルヘキシル基、1−メチルオクチル基、1−メチルデシル基、1−メチルドデシル基、1−エチルドデシル基、1−メチルヘキサデシル基、1−メチルノナデシル基、tert−ブチル基、1,1−ジメチルヘキシル基、1,1−ジメチルオクチル基、1,1−ジメチルデシル基、1,1−ジメチルドデシル基、1,1−ジメチルヘキサデシル基、1,1−ジメチルノナデシル基などの分岐アルキル基が挙げられる。
なお、一般式(1)中のR1およびR2の脂肪族炭化水素基には、一般式(1)で表されるギ酸銅錯体および/または銅粒子10が安定に存在する限りにおいて、置換基を有していてもよい。そのような置換基としては、フッ素や塩素のようなハロゲン原子、アミノ基、シアノ基などが挙げられる。
1級アミン配位子としては、例えば、ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、トリデシルアミン、ヘキサデシルアミン、ノナデシルアミン、1−ドデセニルアミン、2−ドデシニルアミンなどが挙げられる。
2級アミン配位子としては、例えば、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ジアミルアミン、ジヘキシルアミン、ジオクチルアミン、ジデチルアミン、ジドデシルアミン、ジテトラデシルアミン、ジヘキサデシルアミンなどが挙げられる。
一般に、無修飾ギ酸銅は水に溶解するが、疎水性の有機溶媒に溶解しないことが知られている。そのため、無修飾ギ酸銅を用いて反応を行う場合、水やアルコールなどの親水性溶媒が反応溶媒として用いられている。しかしながら、本発明者らは、ギ酸銅錯体の簡易な製造方法を検討した結果、驚くべきことに無修飾ギ酸銅が疎水性である脂肪族アミンに溶解することを見出した。そして、これにより、反応溶媒を用いないでギ酸銅錯体を簡易に製造する方法を完成するに至った。
ここで、一般式(1)で表されるギ酸銅錯体の製造に用いられる無修飾ギ酸銅は、修飾されていないギ酸銅のことをいう。具体的には、ギ酸銅、無水ギ酸銅、ギ酸銅の水和物が挙げられる。これらのうち、無水ギ酸銅が好ましい。これにより、適切に脂肪族アミンとの反応が進行し、一般式(1)で表されるギ酸銅錯体を確実に得ることができる。
反応に用いられる無修飾ギ酸銅の量は、2当molの脂肪族アミンに対して、0.1〜0.9当molが好ましく、0.2〜0.5当molがより好ましい。これにより、脂肪族アミンとの反応が確実に進行し、一般式(1)で表されるギ酸銅錯体を確実に得ることができる。
また、かかる脂肪族アミンは、飽和または不飽和の脂肪族アミンのいずれであってもよいが、飽和の脂肪族アミンが好ましい。これにより、脂肪族アミンが不飽和結合を有さないので、副反応などを起こすことなく、確実に一般式(1)で表されるギ酸銅錯体を得ることができる。
反応に用いられる脂肪族アミンの量は、1当molの無修飾ギ酸銅に対して、2.2〜20当molが好ましく、4〜10当molがより好ましい。これにより、無修飾ギ酸銅との反応が確実に進行するため、一般式(1)で表されるギ酸銅錯体を確実に得ることができる。
具体的には、炭素数が4〜11の脂肪族アミンの場合は、室温(20℃)で液体であるため、そのまま無修飾ギ酸銅と混合することで一般式(1)で表されるギ酸銅錯体を極めて簡便に得ることができる。
かかる脂肪族アミンを加熱する温度は、脂肪族アミンの種類によって異なるが、それぞれの脂肪族アミンの融点以上の温度に加熱すればよい。具体的には、30〜80℃が好ましく、40〜60℃がより好ましい。脂肪族アミンの加熱温度をこのような範囲に設定することで、脂肪族アミンが融解し、無修飾ギ酸銅を確実に溶解させることができる。
なお、無修飾ギ酸銅と脂肪族アミンとの混合により得られた一般式(1)で表されるギ酸銅錯体を結晶化させるために、貧溶媒を反応液に加えてもよい。このような貧溶媒は、ドデカンやデカリンなどの炭化水素系溶媒が挙げられる。これにより、きれいな針状結晶を得ることができる。
ところで、前述したように、銅粒子10は、このようにして得られた一般式(1)で表されるギ酸銅錯体を分解することにより得ることができる。
具体的には、下記式に示すように、一般式(1)で表されるギ酸銅錯体を有機溶媒に溶解したギ酸銅錯体溶液を、当該ギ酸銅錯体の2価の銅が0価の銅に還元されるとともに、ギ酸配位子が二酸化炭素に酸化されるように分解することにより行われる。これにより、一般式(1)で表されるギ酸銅錯体のアミン配位子が修飾剤として機能する銅粒子10を簡便に収率よく得ることができる。
また、一般式(1)で表されるギ酸銅錯体の分解は、当該ギ酸銅錯体の銅が0価に還元され、ギ酸配位子が二酸化炭素に酸化されれば特に限定されないが、当該ギ酸銅錯体の分解温度付近までまたは分解温度以上に加熱することが好ましい。これにより、確実に一般式(1)で表されるギ酸銅錯体の銅が0価に還元され、ギ酸配位子が二酸化炭素に酸化される。したがって、簡便に収率よく銅粒子10を得ることができる。
一般式(1)で表されるギ酸銅錯体の加熱時間は、当該ギ酸銅錯体の加熱温度によって異なる。例えば、一般式(1)で表されるギ酸銅錯体の加熱温度が高い場合には、当該ギ酸銅錯体の加熱時間は短く設定すればよい。また、一般式(1)で表されるギ酸銅錯体の加熱温度が低い場合には、当該ギ酸銅錯体の加熱時間は長く設定すればよい。具体的な時間としては、0.1〜10時間が好ましく、0.5〜4時間がより好ましい。これにより、確実に、一般式(1)で表されるギ酸銅錯体中の銅が0価に還元され、ギ酸配位子が二酸化炭素に酸化される。したがって、確実に収率よく銅粒子10を得ることができる。
以上のように、本発明の銅粒子10の製造方法によれば、一般式(1)で表されるギ酸銅錯体を分解するのみで銅粒子10を収率よく製造することができるため、銅粒子10の生産効率を向上させることができる。
すなわち、本発明の銅粒子10の製造方法は、無修飾ギ酸銅を脂肪族アミンに溶解することにより、一般式(1)で表されるギ酸銅錯体を得る第1の工程と、当該ギ酸銅錯体の2価の銅が0価の銅に還元されるとともに、ギ酸配位子が二酸化炭素に酸化されるように当該ギ酸銅錯体を分解することにより銅粒子10を得る第2の工程とを有する方法であってもよい。これにより、安価な原料を用いて第1の工程と第2の工程とを連続して行っているため、低コストかつワンポットで収率よく銅粒子を得ることができる。
第1の工程の反応液をそのまま第2の工程に使用することにより、同一系内で反応を行えるため、ワンポットで極めて簡便に収率よく銅粒子を得ることができる。
なお、かかる有機溶媒は、前記ギ酸銅錯体の製造方法で説明したものと同様のものが挙げられる。
以上のような製造方法により得られた銅粒子10は、例えば、インクに含有させて半導体系のデバイス分野で応用される。具体的には、TFT(transistor)、LCD(liquid crystal display)及びAMBP(alpha-1-microglobulin/bikunin precursor)が挙げられる。有機系のPCB(Polychlorinated Biphenyl)には、金属インクの応用がある。また、配線や電極等の導電性パターンの形成、抗菌剤、消臭剤等の各種の用途に応用される。
次に、本発明の配線基板の製造方法について、図を参照に説明する。
図2は、本発明の配線基板の製造方法の製造工程を説明する図、図3は、本発明の配線基板の製造方法に用いられる配線形成装置の概略斜視図である。なお、以下の説明では、図2および図3中の上側を「上」、下側を「下」という。
まず、図1(S1)に示すように、配線を形成すべき基板101を用意する。
このような基板101としては、シリコン、石英ガラス、ガラス、プラスチックフィルム、金属などの各種基板を用いることができる。また、基板表面に半導体膜、金属膜、誘電体膜、有機膜などが下地層として形成されていてもよい。
本実施形態では、銅粒子10を分散媒に分散させた分散液である液体材料21を用いる。
銅粒子10を分散させるために、銅粒子10表面に有機物などをコーティングして使うこともできる。また、基板101に塗布するにあたり、分散媒への分散しやすさとインクジェット法の適用の観点から、銅粒子10の粒径は1〜20nmであることが好ましい。
特に、後述するインクジェット法の場合は、インクの流動性と速乾性が要求されるため、分散質の分散密度は10〜80重量%が好ましく、30〜70重量%がより好ましい。分散質の分散密度が前記上限値を超えると銅粒子10が凝集し易く、また、液体材料21の流動性が低下する。一方、分散質の分散密度が前記下限値よりも低い場合には、速乾性が低下する。
かくして調製した銅粒子10が分散した液体材料21の粘度は1〜50mPa・sであることが好ましい。これにより、所望の機能性膜22を得ることができる。
次に、図1(S2)に示すように、本発明の銅粒子10を含有する液体材料21を基板101上に好ましくはインクジェット方式で塗布する。これにより、他の塗布方法に必要なマスクの形成工程、マスクの除去工程を有することなく、一度にパターン形成をすることができる。また、複雑な形状、微細な形状のパターンを容易に形成することができる。
このように、銅粒子10を含んだ液体材料21を用いることにより、均一で優れた特性を有する配線22を塗布することができる。
図1(S3)に示すように、銅粒子10が分散された液体材料21が所定パターンに塗布された基板101は、分散媒を除去し、銅粒子10間の電気的接触をよくするために、熱処理に供される。熱処理は通常大気中で行なわれるが、必要に応じて、窒素、アルゴン、ヘリウムなどの不活性ガス雰囲気中で行なうこともできる。上記の熱処理の処理温度は分散媒の沸点(蒸気圧)、圧力および銅粒子10の熱的挙動により適宜定めればよく、特に限定されるものではないが室温〜300℃以下で行なうことが好ましい。プラスチックなどの基板101を使用する場合には、室温〜100℃で行なうことが好ましい。
また、熱処理は2回以上行ってもよい。その場合、例えば、1回目は分散媒を除去できる低温で行い(乾燥)、2回目は高温で行う(焼成)。低温で熱処理を行うことにより、分散媒を除去することができる。そして引き続き、高温で熱処理を行うことにより、銅粒子10が熟成され電気的接触に優れた配線基板を得ることができる。
熱処理は通常のホットプレート、電気炉などによる処理の他、ランプアニールによって行なうこともできる。ランプアニールに使用する光の光源としては、特に限定されないが、赤外線ランプ、キセノンランプ、YAGレーザー、アルゴンレーザー、炭酸ガスレーザー、XeF、XeCl、XeBr、KrF、KrCl、ArF、ArClなどのエキシマレーザーなどを光源として使用することができる。これらの光源は一般には、出力10〜5000Wの範囲のものが用いられるが、本実施形態では100〜1000Wの範囲で十分である。
なお、1回の塗布工程、熱処理工程で所望の膜厚が得られない場合には、塗布工程、熱処理工程を複数回行って、膜を積層してもよい。例えば、液体材料21の基板101への塗布、熱処理(乾燥)、塗布、熱処理(焼成)の順で配線基板を製造することもできる。これにより、所望の厚さの配線基板を得ることができる。
このように、熱処理をすることにより、細線、厚膜の配線基板を、バルジを発生させることなく形成することができる。
次に、前記塗布工程において用いられる配線形成装置について説明する。
図2は、本発明の配線基板の製造方法に用いられる配線形成装置の概略斜視図である。配線形成装置100は、インクジェット式の液体塗布装置を備えており、インクジェットヘッド群1、X方向駆動軸4、Y方向ガイド軸5、制御装置6、載置台7、クリーニング機構部8、基台9およびヒータ15を備えている。
載置台7は、この塗布装置によって液体材料21を付与される基板101を載置させるもので、この基板101を基準位置に固定する機構を備える。
X方向駆動軸4には、X方向駆動モータ2が接続されている。X方向駆動モータ2は、ステッピングモータ等であり、制御装置6からX軸方向の駆動信号が供給されると、X方向駆動軸4を回転させる。X方向駆動軸4が回転させられると、インクジェットヘッド群1がX軸方向に移動する。
ヒータ15は、ここではランプアニールにより基板101を熱処理する手段であり、基板101上に塗布された液体材料21の蒸発・乾燥を行うとともに機能性材料の膜に変換させる。このヒータの電源の投入及び遮断も制御装置6によって制御される。
本実施形態の膜パターン形成装置100によれば、細線、厚膜の膜パターンを、バルジを発生させることなく形成することができる。
以上のような方法により製造した配線基板について説明する。
図4は、液晶装置の第1基板上の信号電極等(配線基板)の平面レイアウトを示すものである。かかる液晶装置は、この第1基板と、走査電極等が設けられた第2基板(図示せず)と、第1基板と第2基板との間に封入された液晶(図示せず)とから概略構成されている。
また、符号350は1チップ構造の液晶駆動回路で、この液晶駆動回路350と信号配線部分310bの一端側(図中下側)とが第1引き回し配線331を介して接続されている。
本実施形態では、上記第1基板300上に設けられた信号配線部分310b、第1引き回し配線331、第2引き回し配線332が、各々上記配線形成装置100を用いて、上記配線基板の製造方法によって形成されている。本液晶装置によれば、上記各配線類の断線や短絡等の不良が生じにくく、しかも、小型化、薄型化が可能な液晶装置とすることができる。
例えば、本発明の銅粒子の製造方法では、任意の目的の工程が1または2以上追加されてもよい。
また、本発明の配線基板の製造方法では、任意の目的の工程が1または2以上追加されてもよい。
I.銅粒子の製造
(実施例1)
<1> ギ酸銅錯体の製造
ギ酸銅・四水和物とギ酸銅・二水和物との混合物(50g)を、55℃の真空恒温槽に入れ、重量変化がなくなるまで乾燥した。これにより、無水ギ酸銅を得た。一方、ドデシルアミン(20g)をサンプル瓶に入れ、50℃の恒温槽で溶かした。
次に、アセトニトリル(30g)を添加して、結晶性の固体物を析出させた。再び蓋をして、再度50℃の恒温槽にサンプル瓶を入れた。約1時間後、再び青色の透明溶液ができた。サンプル瓶を恒温槽から取り出して、常温(20℃)までの自然冷却を行った結果、針状結晶が得られた。この針状結晶を濾過で採取し、アセトニトリルで洗浄した後、真空乾燥を行った。これにより、ギ酸銅・ドデシルアミンの錯体を収率94%で得た。
<2> 銅粒子の製造
<1>で得られたギ酸銅・ドデシルアミン錯体を、ドデシルアミンに溶かし、120℃に加熱した。これにより、収率95%で銅粒子を得た。
実施例1において、ドデシルアミンをヘキシルアミンに替えた以外は実施例1と同様に行い、収率89%で銅粒子を得た。なお、ヘキシルアミンは、室温(20℃)で液体であるため、50℃の恒温槽には入れず、そのまま使用した。
(実施例3)
実施例1において、ドデシルアミンをオクチルアミンに替えた以外は実施例1と同様に行い、収率91%で銅粒子を得た。なお、オクチルアミンは、室温(20℃)で液体であるため、50℃の恒温槽には入れず、そのまま使用した。
実施例1において、ドデシルアミンをデシルアミンに替えた以外は実施例1と同様に行い、収率90%で銅粒子を得た。なお、デシルアミンは、室温(20℃)で液体であるため、50℃の恒温槽には入れず、そのまま使用した。
(実施例5)
実施例1において、ドデシルアミンをヘキサデシルアミンに替えた以外は実施例1と同様に行い、収率91%で銅粒子を得た。
ギ酸銅・四水和物とギ酸銅・二水和物との混合物(50g)を、55℃の真空恒温槽に入れ、重量変化がなくなるまで乾燥した。これにより、無水ギ酸銅を得た。
得られた無水ギ酸銅(50mg)をヘテロ芳香族化合物である2、6ジメチルピリジンに添加し、サンプル瓶に蓋して、50℃の恒温槽に入れた。しかし、無水ギ酸銅は、2、6ジメチルピリジンに溶解せず、銅粒子は得られなかった。
実施例1で得られたギ酸銅・ドデシルアミン錯体をアルミナ製パンにロードし、熱分析装置(TAインスツルメンツ社製Q500型)を用いて分析を行った。
なお、熱分析(TGA)の測定条件は、窒素流量40ml/min、昇温条件20℃/minである。
熱分析の結果を図5に示す。図5に示すように、ギ酸銅・ドデシルアミンの錯体は、約120℃でその重量が急激に減少し、370℃付近までで90.8%(計算値87.9%)の重量が減少した。また、約138℃〜160℃で2つのピークが得られた。
また、透過型電子顕微鏡(JEOL社製JEM 2000EX)を用いて、実施例1で得られた銅粒子の平均粒径を測定した。その結果、平均粒径は8nmであった。
なお、実施例2〜実施例5の銅粒子も同様に行い、同様の平均粒径で銅粒子が製造されたことを確認した。
(実施例6)
前記実施例1で製造された銅粒子を、デカリンに60wt%となるように分散させた。これに、さらにドデシルベンゼンを添加することにより、インクジェット用のインク(液体材料)を調製した。なお、調製されたインクの粘度は、12mPa・sであった。そして、アルゴンガスの雰囲気下でのグローブボックス中、インクジェット装置を用いて、このインクをガラス基板上に、ライン状のパターンで吐出した後、100℃で加熱乾燥することにより成膜した。さらに、この膜上に同様に膜を形成する(積層)操作を繰り返して行い、膜厚を1.2μmとした。次に、アルゴンガスの雰囲気下でのグローブボックス中、得られた膜を300℃で30分間焼成を行うことにより、核同士を焼結させた。
以上の工程により、基板に線幅:50μm×厚さ:1μmの配線を形成した。
実施例6において、実施例2で得られた銅粒子を用いた以外は、実施例6と同様に行い、配線基板を得た。
(実施例8)
実施例6において、実施例3で得られた銅粒子を用いた以外は、実施例6と同様に行い、配線基板を得た。
実施例6において、実施例4で得られた銅粒子を用いた以外は、実施例6と同様に行い、配線基板を得た。
(実施例10)
実施例6において、実施例5で得られた銅粒子を用いた以外は、実施例6と同様に行い、配線基板を得た。
実施例6〜10で得られた配線基板を検品したところ、クラックやピンホールのような欠損(欠陥)、断線や短絡等のない、良好な品質の配線が得られた。また、配線の寸法精度も高かった。
Claims (10)
- 前記一般式(1)中の−NH2R1および−NH2R2は、それぞれ1級アミン配位子である請求項1に記載のギ酸銅錯体。
- 前記脂肪族炭化水素基は、アルキル基である請求項1または2に記載のギ酸銅錯体。
- 前記無修飾ギ酸銅の溶解は、加熱することにより行われる請求項5に記載の銅粒子の製造方法。
- 前記脂肪族アミンは、その炭素数が4〜20の飽和の脂肪族アミンである請求項5または6に記載の銅粒子の製造方法。
- 前記ギ酸銅錯体の分解は、前記ギ酸銅錯体の分解温度付近までまたは当該分解温度以上に加熱することにより行われる請求項4ないし7のいずれかに記載の銅粒子の製造方法。
- 前記ギ酸銅錯体の加熱温度は、70〜200℃である請求項8に記載の銅粒子の製造方法。
- 請求項4ないし9のいずれかに記載の銅粒子の製造方法を用いて銅粒子を製造し、製造された前記銅粒子を分散媒に分散させて液体材料を形成する液体材料形成工程と、
前記液体材料を基板に塗布する塗布工程と、
前記塗布工程の後、前記基板に熱処理を施し前記基板上に配線を形成する熱処理工程と、を有する配線基板の製造方法。
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