JP2004296668A - パターンの形成方法及びデバイスの製造方法、導電膜配線、電気光学装置、並びに電子機器 - Google Patents

パターンの形成方法及びデバイスの製造方法、導電膜配線、電気光学装置、並びに電子機器 Download PDF

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Abstract

【課題】液体材料を基板上に設けて複数の材料層を積層する際、スループットを向上しつつ液体材料を円滑に配置できるパターンの形成方法を提供する。
【解決手段】発明のパターンの形成方法は、基板11上に第1の液体材料L1を配置する第1材料配置工程S4と、基板11上に配置された第1の液体材料L1(W1)の上に第2の液体材料L2を配置する第2材料配置工程S5とを有している。そして、第2材料配置工程S5を行うに際し、第1材料配置工程S1により基板11上に配置されている第1の液体材料L1(W1)に含まれる液体成分を所定量残存させた状態で第2材料配置工程S5を行う。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液体材料の液滴を基板上に吐出することにより膜パターンを形成するパターンの形成方法及びデバイスの製造方法、導電膜配線、電気光学装置、並びに電子機器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、半導体集積回路など微細な配線パターン(膜パターン)を有するデバイスの製造方法としてフォトリソグラフィ法が多用されているが、液滴吐出法を用いたデバイスの製造方法が注目されている。この液滴吐出法は液体材料の消費に無駄が少なく、基板上に配置する液体材料の量や位置の制御を行いやすいという利点がある。下記特許文献には液滴吐出法に関する技術が開示されている。
【0003】
【特許文献1】
特開平11−274671号公報
【特許文献2】
特開2000−216330号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、膜厚の厚い膜パターンを形成する場合、基板上に液体材料を配置した後、この基板上の液体材料の上に更に液体材料を重ねるといったことが従来より行われてる。ここで、従来では、基板上に配置した液体材料を乾燥処理して成膜するとともに撥液性を付与する表面処理を行ってから次層の液体材料を配置していた。この場合、一層重ねる毎に乾燥処理及び表面処理を行う構成であるためスループットの低下を招く。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、液体材料を基板上に設けて複数の材料層を積層する際、スループットを向上しつつ液体材料を円滑に配置できるパターンの形成方法及びデバイスの製造方法を提供することを目的とする。更に本発明は、電気伝導に有利な導電膜配線を提供すること、配線部の断線や短絡等の不具合が生じにくい電気光学装置、及びこれを用いた電子機器を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、本発明のパターンの形成方法は、液体材料により基板上に膜パターンを形成するパターンの形成方法であって、前記基板上に第1の液体材料を配置する第1材料配置工程と、前記基板上に配置された前記第1の液体材料の上に第2の液体材料を配置する第2材料配置工程とを有し、前記第2材料配置工程を行うに際し、前記第1材料配置工程により前記基板上に配置されている前記第1の液体材料に含まれる液体成分を所定量残存させた状態で前記第2材料配置工程を行うことを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、第1及び第2材料配置工程により基板上に第1及び第2の液体材料を積層する際、下層である第1の液体材料に含まれる液体成分を所定量残存させた状態(生乾きの状態)で第2の液体材料を第1の液体材料の上に配置するようにしたので、第2の液体材料は第1の液体材料に沿って良好に濡れ拡がる。したがって、第1の液体材料からなる膜パターン(以下、適宜「第1の膜パターン」と称する)に対して膜変換処理(膜変換工程)や表面処理を行わなくても第1の膜パターン上に第2の液体材料からなる膜パターン(以下、適宜「第2の膜パターン」と称する)を円滑に積層することができ、高スループットで所望のパターン形状を得ることができる。そして、第1及び第2材料配置工程において液滴吐出法に基づく液滴吐出装置を用いて材料を配置することにより、フォトリソグラフィ法を用いた技術に比べてプロセスの簡略化や材料消費量の低減化が図られる。
【0008】
また、第1及び第2材料配置工程において生乾き状態の第1の膜パターンの上に第2の膜パターンが積層された構成であるので、この第1及び第2材料配置工程により基板上に積層された第1及び第2の液体材料をまとめて膜に変換する膜変換処理(膜変換工程)を行うことができる。この場合、膜変換処理は熱処理及び光処理のうち少なくともいずれか一方を採用することができる。すなわち、所定量の液体成分が残存する状態(生乾き状態)の第1の膜パターン(第1の液体材料)とこの第1の膜パターンの上に配置された第2の液体材料とを熱処理あるいは光処理によってまとめて膜に変換することが可能となるため、これによりスループットを向上できる。
【0009】
ここで、第1の液体材料に残存させる液体成分の所定量とは、第1の液体材料の上に第2の液体材料を配置可能、且つ第2の液体材料を第1の液体材料の表面で濡れ拡がらせることができる量をいう。つまり、第1の液体材料に含まれる液体成分が多すぎるとこの第1の液体材料の上に第2の液体材料を配置した際にこの第2の液体材料が良好に濡れ拡がらない場合あり、一方、第1の液体材料に含まれる液体成分が少なすぎても第2の液体材料は第1の液体材料上で良好に濡れ拡がらないという不都合が生じる。したがって、基板上に配置した際の第1の液体材料に含まれる液体成分の量に関する情報を例えば予め実験により求め、この求めた情報に基づいて基板上に第1及び第2の液体材料を配置する配置条件を設定することにより第2の液体材料を第1の液体材料に沿って円滑に濡れ拡がらせることができる。
【0010】
ここで、前記配置条件とは、第1の液体材料を基板上に配置してから第2の液体材料を配置するまでの期間(時間)条件、あるいは第1及び第2材料配置工程の環境条件を含む。また、環境条件とは温度条件及び湿度条件を含む。例えば、第1の液体材料中に含まれる液体成分が多い場合には、前記所定量となるまで第1の液体材料が配置された基板の放置時間を長くしたり、あるいは液体成分が所定量となるまで加熱することができる。一方、液体成分が少ない場合には、前記放置時間を短くしたり、基板上に第1の液体材料を配置した後において直ちに液体成分が蒸発しないように基板が配置されている配置環境の湿度を高めたり(前記液体成分の飽和蒸気圧に設定したり)するといったことができる。このように、第1の液体材料の材料特性に応じて、前記第1材料配置工程の後、前記第1の液体材料が配置された基板を所定環境下に放置する放置期間を設定するといった構成とすることも可能である。
【0011】
本発明のパターンの形成方法において、前記第1の液体材料の上に前記第2の液体材料を配置して前記基板上の前記第1の液体材料の表面を再溶解することを特徴とする。
本発明によれば、第1の液体材料を基板上に配置した後、残存する液体成分を所定量に設定したときその表面がある程度膜化されるが、この第1の液体材料の表面に第2の液体材料を配置することで前記第1の液体材料の表面が再溶解され、これにより第2の液体材料は第1の液体材料(第1の膜パターン)形状に沿って良好に濡れ拡がる。したがって、所望のパターン形状で膜パターンを形成することができる。
【0012】
この場合において、前記第1の液体材料と前記第2の液体材料とは異なる液体材料であってもよい。これにより、様々な機能を有する複数の膜パターンの積層体が形成される。一方、第1の液体材料と第2の液体材料とは同じ液体材料でもよく、この場合、前記液体材料からなる膜パターンの厚膜化を円滑に行うことができる。
【0013】
本発明のパターンの形成方法において、前記第1の液体材料は第1の微粒子を含み、前記第2の液体材料は前記第1の微粒子とは別の第2の微粒子を含む構成とすることができる。これにより、所望のパターン形状を有する第1及び第2の微粒子からなる第1及び第2の膜パターンを形成することができる。
【0014】
ここで、第1の液体材料に含まれる第1の微粒子として、例えば、マンガン、クロム、ニッケル、チタン、マグネシウム、シリコン、バナジウム、又はそれら合金、またはそれらの酸化物を含有する微粒子を用い、第2の微粒子として銀を用いることにより、前記第1の微粒子からなる第1の膜パターンが前記第2の微粒子からなる第2の膜パターンと基板との密着層としての機能を有するため、第2の膜パターンと基板との密着力(接着力)を向上することができ、第2の膜パターンが基板から剥離する等といった不都合の発生を抑えることができる。なお、第1の微粒子としては上記金属の有機金属化合物を含有していてもよい。このように、下層である第1の膜パターンを、上層である第2の膜パターンと基板との密着層として用いることも可能である。
【0015】
また、第1の液体材料に上記微粒子が含まれる場合、その液体材料を用いて第1の膜パターンを形成するとそれらの酸化物が形成されやすい。それらの酸化物は黒色であることが多いため、例えば、表示電極の近傍に配置されるバス電極等、視認可能な位置に黒色の第1の膜パターンが配置されることによりブラックマトリクス的な効果を奏し、表示コントラストの向上を図ることが可能となる。更に、前記基板の表面には例えば透明電極膜が形成されており、前記第2の液体材料(第2の膜パターン)としては、例えば、銀の微粒子を含むものが用いられる。透明電極膜上に銀の膜を形成する場合、両者が反応して色の変化を招く場合があるものの、両者の間にマンガン等を含む第1の膜パターンを設けることにより、上記色の変化を防止できる。
【0016】
本発明のパターンの形成方法において、前記第1の微粒子を分散する第1の分散媒と前記第2の微粒子を分散する第2の分散媒とは同じ分散媒を含むことが好ましい。
このように、第1の液体材料に含まれる第1の分散媒(溶媒)と、第2の液体材料に含まれる第2の分散媒(溶媒)とが同じ分散媒を含むことで、第1の液体材料と第2の液体材料との再溶解性及び親和性が向上される。これにより、第1の膜パターンに対して第2の液体材料を良好に濡れ拡がらせることができる。ここで、第1の分散媒と第2の分散媒とは完全に同じである必要は無く、一部が同じ成分であればよい。更には、第1の分散媒と第2の分散媒との溶解性パラメータが所望の再溶解性を得られる程度であれば、第1の分散媒と第2の分散媒とは異なる分散媒であってもよい。
【0017】
また、前記第1の微粒子と前記第2の微粒子とを互いに異なる導電性を有する微粒子とすることができる。これにより、互いに異なる導電性を有する導電膜パターン、具体的には金属膜パターンを積層することができる。これにより、プラズマディスプレイ装置等における例えばITOからなる表示電極と銅や銀からなるバス電極との積層体を円滑に形成することができる。
【0018】
また、前記第1及び第2の液体材料の一方は導電膜形成用材料を含み、他方は絶縁膜形成用材料を含む構成とすることができる。
すなわち、第1の液体材料が例えば銀やアルミニウムあるいは銅等の金属を含み、この第1の液体材料からなる第1の膜パターン(金属パターン)がマイグレーションに起因して断線や突起(ヒロック)を発生しやすい場合であっても、この第1の膜パターンに隣接して例えば合成樹脂膜等の絶縁膜形成用材料である第2の液体材料からなる第2の膜パターンを配置することにより、形成された絶縁膜である第2の膜パターンがマイグレーションに起因する断線防止膜となり、金属膜である第1の膜パターンの断線といった不都合の発生を防止することができる。
【0019】
本発明のパターンの形成方法において、前記第1材料配置工程の前に前記基板表面の撥液性を制御する表面処理工程を有することを特徴とする。
本発明によれば、第1材料配置工程を行う前に基板表面の撥液性を制御することにより、基板上に配置した第1の液体材料の拡がりが抑制され、第1の液体材料からなる第1の膜パターンの細線化が図られる。そして、この第1の膜パターン上に第2の液体材料を配置することで、第2の液体材料は細線化された第1の膜パターンに良好に濡れ拡がる。そして、第2の液体材料からなる第2の膜パターンを、基板上に形成された第1の膜パターンと同一のパターンに形成し、該第1の膜パターンの上に第2の液体材料を配置することで、第1の膜パターンの外側では撥液性を制御された基板表面に対して第2の液体材料がはじかれるので、第1の膜パターン上に第2の液体材料を確実に配置することができる。これにより、第2の液体材料(第2の膜パターン)が所望のパターン形状となる。ここで、撥液性とは液体材料に対して非親和性を示す特性をいう。
【0020】
なお、本発明のパターンの形成方法において、前記基板上に前記液体材料からなる液滴を吐出することで膜パターンを形成し、前記第1及び第2材料配置工程における吐出条件をそれぞれ異なる条件に設定するようにしてもよい。
これによれば、例えば膜パターンの設計値情報に応じて各工程の吐出条件を変更することで効率良く良好なパターン形成動作を行うことができる。例えば、前記第1及び第2材料配置工程における前記液滴の配置ピッチをそれぞれ異なる値に設定することができる。これにより、処理時間を短縮しつつバルジ(液溜まり)等の不都合の発生を抑えることができる。例えば、第2材料配置工程では第2の液体材料は基板上の第1の膜パターンに良好に濡れ拡がるので、第2の液体材料を配置する際の配置ピッチを大きく設定しても第2の液体材料は第1の膜パターン上で連続するように濡れ拡がる。また、前記第1及び第2材料配置工程における吐出環境雰囲気をそれぞれ異なる条件に設定することも可能である。例えば、第1の液体材料に含まれる液体成分が少ない場合、この液体成分の蒸発を遅らせるために、第1材料配置工程の環境を前記液体成分での飽和蒸気圧に設定しておくことにより液体成分の蒸発を遅らせることができる。そして、第2材料配置工程での材料配置環境を乾燥状態とすることで基板上の第1及び第2の液体材料を素早く乾燥することができる。
【0021】
本発明のデバイスの製造方法は、基板上に配線パターンが形成されたデバイスを製造するデバイスの製造方法であって、上記記載のパターンの形成方法を用いて前記配線パターンを形成することを特徴とする。
本発明によれば、第1の膜パターンの上に第2の膜パターンを形成する際、第2の膜パターンを形成する第2の液体材料は第1の膜パターン上に良好に濡れ拡がるので、所望のパターン形状を有する膜パターンの積層体を高スループットで形成することができ、これに伴って所望の性能を発揮するデバイスを低コストで製造することができる。
【0022】
本発明の導電膜配線は、上記記載のパターンの形成方法により形成されたことを特徴とする。本発明によれば、所望の形状にパターニングされた導電膜配線が低コストで提供される。
本発明の電気光学装置は、上記記載の導電膜配線を備えることを特徴とする。また、本発明の電子機器は、上記記載の電気光学装置を備えることを特徴とする。これらの発明によれば、所望の形状にパターニングされた第1及び第2の膜パターンの積層体を備えた高性能の電気光学装置及び電子機器を提供できる。
【0023】
ここで、電気光学装置としては、例えば、プラズマ型表示装置、液晶表示装置、及び有機エレクトロルミネッセンス表示装置等が挙げられる。
【0024】
上記液滴吐出装置(インクジェット装置)の吐出方式としては、圧電体素子の体積変化により液体材料を吐出させるピエゾジェット方式であっても、熱の印加により急激に蒸気が発生することにより液体材料の液滴を吐出させる方式であってもよい。
【0025】
液体材料とは、液滴吐出ヘッド(インクジェットヘッド)の吐出ノズルから吐出可能な粘度を備えた媒体をいう。水性であると油性であるとを問わない。ノズル等から吐出可能な流動性(粘度)を備えていれば十分で、固体物質が混入していても全体として流動体であればよい。また、液体材料に含まれる材料は、溶媒中に微粒子として分散されたものの他に、融点以上に加熱されて溶解されたものでもよく、溶媒の他に染料や顔料その他の機能性材料を添加したものであってもよい。また、基板はフラット基板のほか、曲面状の基板であってもよい。さらにパターン形成面の硬度が硬い必要はなく、ガラスやプラスチック、金属以外に、フィルム、紙、ゴム等可撓性を有するものの表面であってもよい。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のパターンの形成方法について図面を参照しながら説明する。図1は本発明のパターンの形成方法の一実施形態を示すフローチャート図である。
ここで、本実施形態では基板上に導電膜配線パターンを形成する場合を例にして説明する。
【0027】
図1において、本実施形態に係るパターンの形成方法は、液体材料の液滴が配置される基板を所定の溶媒等を用いて洗浄する工程(ステップS1)と、基板の表面処理工程の一部を構成する撥液化処理工程(ステップS2)と、撥液化処理された基板表面の撥液性を調整する表面処理工程の一部を構成する撥液性制御処理工程(ステップS3)と、表面処理された基板上に液滴吐出法に基づいて第1の液体材料の液滴を配置してパターンを描画(形成)する液滴吐出工程を含む第1材料配置工程(ステップS4)と、基板上に配置された第1の液体材料の上に第2の液体材料を液滴吐出法に基づいて配置する第2材料配置工程(ステップS5)と、基板上に配置された第1の液体材料と第2の液体材料とをまとめて膜に変換する膜変換工程の一部を構成する中間乾燥処理工程(ステップS6)と、所定のパターンが描画された基板を焼成する焼成工程(ステップS8)とを有している。なお、中間乾燥処理工程の後、所定のパターン描画が終了したかどうかが判断され(ステップS7)、パターン描画が終了したら焼成工程が行われ、一方、パターン描画が終了していなかったら材料配置工程が行われる。また、中間乾燥処理工程では熱処理及び光処理のうち少なくともいずれか一方が採用される。
【0028】
図2(a)〜(c)は、本実施形態に係るパターンの形成方法の一部を構成する第1及び第2材料配置工程(ステップS4、S5)を説明するための模式図である。図2において、本実施形態に係るパターンの形成方法は、表面処理(ステップS2及びS3)された基板11に第1の液体材料L1を配置する第1材料配置工程(図2(a)参照)と、基板11に所定のパターンで配置された第1の液体材料W1(L1)の上に第2の液体材料L2を配置する第2材料配置工程(図2(b)参照)とを有している。そして、第2材料配置工程を行うに際し、第1材料配置工程により基板11上に配置されている第1の液体材料W1に含まれる液体成分が所定量残存している状態で、第2材料配置工程が行われるようになっている。
【0029】
本実施形態では、上層となる第2の液体材料L2(W2)に導電膜配線形成用材料が含まれており、この第2の液体材料が基板11上に配置されることで導電膜配線パターンが形成される。そして、下層となる第1の液体材料L1(W1)に、基板11と導電膜配線W2との間に配置される中間層形成用材料が含まれており、この中間層(第1の膜パターン)W1は、基板11に対する導電膜配線(第2の膜パターン)W2の密着性(接着性)を高める役割を有している。すなわち、本実施形態において、第1材料配置工程は、基板11と導電膜配線W2との間に配置される密着層としての中間層W1を形成する中間層形成工程である。一方、第2材料配置工程は、中間層W1の上に第2の液体材料L2を配置することでこの中間層W1の上に導電膜配線W2を形成する導電膜配線形成工程である。
【0030】
第1材料配置工程(中間層形成工程)及び第2材料配置工程(導電膜配線形成工程)では、それぞれ異なる所定の液体材料(第1の液体材料、第2の液体材料)を基板11上に配置する。すなわち、第1材料配置工程では中間層形成用の第1の微粒子を含む第1の液体材料が用いられ、第2材料配置工程では前記第1の微粒子とは異なる導電膜配線形成用の第2の微粒子を含む第2の液体材料が用いられる。本実施形態では、第1の液体材料は所定の分散媒に第1の金属微粒子を分散したものであり、第2の液体材料は所定の分散媒に第2の金属微粒子を分散したものである。そして、これら第1及び第2の液体材料の配置に、液滴吐出ヘッドの吐出ノズルを介して液体材料を液滴として吐出する液滴吐出法、いわゆるインクジェット法が用いられる。
【0031】
<使用する液体材料>
まず、第1及び第2材料配置工程で用いられる液体材料について説明する。
導電膜配線形成工程(第2材料配置工程)で用いられる液体材料としては、本例では、金属微粒子を分散媒に分散させた分散液が用いられる。ここで用いられる導電性微粒子は、銀、金、銅、パラジウム、及びニッケルのうちのいずれかを含有する金属微粒子が用いられる。これらの金属微粒子は、分散性を向上させるために表面に有機物などをコーティングして使うこともできる。導電性微粒子の粒径は1nm以上0.1μm以下であることが好ましい。0.1μmより大きいと、上記液滴吐出ヘッドのノズルに目詰まりが生じるおそれがある。また、1nmより小さいと、金属微粒子の分散性が悪くなる、金属微粒子に対するコーテイング剤の体積比が大きくなり、得られる膜中の有機物の割合が過多となる、などの問題が生じる。
【0032】
金属微粒子を含有する液体の分散媒としては、室温での蒸気圧が0.001mmHg以上200mmHg以下(約0.133Pa以上26600Pa以下)であるものが好ましい。蒸気圧が200mmHgより高い場合には、吐出後に分散媒が急激に蒸発してしまい、良好な膜を形成することが困難となる。また、分散媒の蒸気圧は0.001mmHg以上50mmHg以下(約0.133Pa以上6650Pa以下)であることがより好ましい。蒸気圧が50mmHgより高い場合には、インクジェット法で液滴を吐出する際に乾燥によるノズル詰まりが起こりやすく、安定な吐出が困難となる。一方、室温での蒸気圧が0.001mmHgより低い分散媒の場合、乾燥が遅くて膜中に分散媒が残留しやすくなり、後工程の熱および/または光処理後に良質の導電膜が得られにくい。
【0033】
上記分散媒としては、上記の導電性微粒子を分散できるもので、凝集を起こさないものであれば特に限定されないが、水の他に、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルコール類、n−ヘプタン、n−オクタン、デカン、トルエン、キシレン、シメン、デュレン、インデン、ジペンテン、テトラヒドロナフタレン、デカヒドロナフタレン、シクロヘキシルベンゼンなどの炭化水素系化合物、またエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、p−ジオキサンなどのエーテル系化合物、更にプロピレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、シクロヘキサノンなどの極性化合物を挙げることができる。これらのうち、微粒子の分散性と分散液の安定性、またインクジェット法への適用のしやすさの点で、水、アルコール類、炭化水素系化合物、エーテル系化合物が好ましく、更に好ましい分散媒としては水、炭化水素系化合物を挙げることができる。これらの分散媒は、単独でも、あるいは2種以上の混合物としても使用できる。
【0034】
上記導電性微粒子を分散媒に分散する場合の分散質濃度は1質量%以上80質量%以下であり、所望の導電膜の膜厚に応じて調整することができる。80質量%を超えると凝集をおこしやすくなり、均一な膜が得にくい。
【0035】
上記導電性微粒子の分散液の表面張力は0.02N/m以上0.07N/m以下の範囲に入ることが好ましい。インクジェット法にて液体を吐出する際、表面張力が0.02N/m未満であると、インク組成物のノズル面に対する濡れ性が増大するため飛行曲りが生じやすくなり、0.07N/mを超えるとノズル先端でのメニスカスの形状が安定しないため吐出量、吐出タイミングの制御が困難になる。
【0036】
表面張力を調整するため、上記分散液には、基板との接触角を不当に低下させない範囲で、フッ素系、シリコーン系、ノニオン系などの表面張力調節剤を微量添加するとよい。ノニオン系表面張力調節剤は、液体の基板への濡れ性を良好化し、膜のレベリング性を改良し、膜の微細な凹凸の発生などの防止に役立つものである。上記分散液は、必要に応じて、アルコール、エーテル、エステル、ケトン等の有機化合物を含んでいてもよい。
【0037】
上記分散液の粘度は1mPa・s以上50mPa・s以下であることが好ましい。インクジェット法にて吐出する際、粘度が1mPa・sより小さい場合にはノズル周辺部がインクの流出により汚染されやすく、また粘度が50mPa・sより大きい場合は、ノズル孔での目詰まり頻度が高くなり円滑な液滴の吐出が困難となる。
【0038】
一方、中間層形成工程(第1材料配置工程)で用いられる液体材料としては、本例では、金属微粒子を分散媒に分散させた分散液が用いられる。ここで用いられる金属微粒子は、後述する熱処理・光処理工程を経ることで、上述した第2の金属微粒子と基板との結合性を向上させる作用を有することが確かめられたものが用いられる。また、この微粒子としては、導電性でもよく、非導電性でもよい。例えば、微粒子として、マンガン、銅、及びクロム、ニッケル、チタン、マグネシウム、シリコン、バナジウム、またはそれらの合金、またはそれらの酸化物うちのいずれかを含有する金属微粒子などが用いられる。また、上記液体材料は上記の金属の有機金属化合物を含有していても良い。
【0039】
中間層形成工程で用いられる金属微粒子の粒径は1nm以上0.1μm以下であることが好ましい。0.1μmより大きいと、上記液滴吐出ヘッドのノズルに目詰まりが生じるおそれがある。
【0040】
中間層形成工程で用いられる金属微粒子を含有する液体の分散媒としては、材料配置工程で用いられる金属微粒子の分散媒と同様なものを用いることができるので、ここでは説明を省略する。微粒子を上記分散媒に分散する場合の分散質濃度も同様である。また、上記微粒子分散液の表面張力や添加物についても同様であるので説明を省略する。
【0041】
ここで、第1の液体材料及び第2の液体材料に含まれる分散媒(第1の分散媒及び第2の分散媒)のそれぞれは同じ分散媒を含んでいることが好ましい。
第1の液体材料に含まれる第1の分散媒(溶媒)と、第2の液体材料に含まれる第2の分散媒(溶媒)とが同じ分散媒を含むことで、第1の液体材料と第2の液体材料との再溶解性及び親和性が向上される。これにより、導電膜配線形成工程において、第1の膜パターンである中間層W1に対して第2の液体材料L2を良好に濡れ拡がらせることができる。ここで、第1の分散媒と第2の分散媒とは完全に同じである必要は無く、一部が同じ成分であればよい。更には、第1の分散媒と第2の分散媒との溶解性パラメータが所望の再溶解性を得られる程度であれば、第1の分散媒と第2の分散媒とは異なる分散媒であってもよい。
【0042】
以下、図1に示した各工程についてそれぞれ説明する。
【0043】
<表面処理工程>
まず、図1で示した表面処理工程S2、S3について説明する。表面処理工程では、基板11の表面を第1及び第2の液体材料に対して撥液性に加工する(ステップS2)。
具体的には、導電性微粒子を含有した液体材料に対する所定の接触角が、60[deg]以上、好ましくは90[deg]以上110[deg]以下となるように基板に対して表面処理を施す。表面の撥液性(濡れ性)を制御する方法としては、例えば、基板の表面に自己組織化膜を形成する方法、プラズマ処理法等を採用できる。
【0044】
自己組織膜形成法では、導電膜配線を形成すべき基板の表面に、有機分子膜などからなる自己組織化膜を形成する。基板表面を処理するための有機分子膜は、基板に結合可能な官能基と、その反対側に親液基あるいは撥液基といった基板の表面性を改質する(表面エネルギーを制御する)官能基と、これらの官能基を結ぶ炭素の直鎖あるいは一部分岐した炭素鎖とを備えており、基板に結合して自己組織化して分子膜、例えば単分子膜を形成する。
【0045】
ここで、自己組織化膜とは、基板の下地層等の構成原子と反応可能な結合性官能基とそれ以外の直鎖分子とからなり、直鎖分子の相互作用により極めて高い配向性を有する化合物を、配向させて形成された膜である。この自己組織化膜は、単分子を配向させて形成されているので、極めて膜厚を薄くすることができ、しかも、分子レベルで均一な膜となる。すなわち、膜の表面に同じ分子が位置するため、膜の表面に均一でしかも優れた撥液性や親液性を付与することができる。
【0046】
上記の高い配向性を有する化合物として、例えばフルオロアルキルシランを用いることにより、膜の表面にフルオロアルキル基が位置するように各化合物が配向されて自己組織化膜が形成され、膜の表面に均一な撥液性が付与される。
【0047】
自己組織化膜を形成する化合物としては、ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2テトラヒドロデシルトリエトキシシラン、ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2テトラヒドロデシルトリメトキシシラン、ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2テトラヒドロデシルトリクロロシラン、トリデカフルオロ−1,1,2,2テトラヒドロオクチルトリエトキシシラン、トリデカフルオロ−1,1,2,2テトラヒドロオクチルトリメトキシシラン、トリデカフルオロ−1,1,2,2テトラヒドロオクチルトリクロロシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン等のフルオロアルキルシラン(以下「FAS」という)を例示できる。これらの化合物は、単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。なお、FASを用いることにより、基板との密着性と良好な撥液性とを得ることができる。
【0048】
FASは、一般的に構造式RnSiX(4−n)で表される。ここでnは1以上3以下の整数を表し、Xはメトキシ基、エトキシ基、ハロゲン原子などの加水分解基である。またRはフルオロアルキル基であり、(CF3)(CF2)x(CH2)yの(ここでxは0以上10以下の整数を、yは0以上4以下の整数を表す)構造を持ち、複数個のR又はXがSiに結合している場合には、R又はXはそれぞれすべて同じでもよく、異なっていてもよい。Xで表される加水分解基は加水分解によりシラノールを形成して、基板(ガラス、シリコン)の下地のヒドロキシル基と反応してシロキサン結合で基板と結合する。一方、Rは表面に(CF3)等のフルオロ基を有するため、基板の下地表面を濡れない(表面エネルギーが低い)表面に改質する。
【0049】
有機分子膜などからなる自己組織化膜は、上記の原料化合物と基板とを同一の密閉容器中に入れておき、室温で2〜3日程度の間放置することにより基板上に形成される。また、密閉容器全体を100℃に保持することにより、3時間程度で基板上に形成される。これらは気相からの形成法であるが、液相からも自己組織化膜を形成できる。例えば、原料化合物を含む溶液中に基板を浸積し、洗浄、乾燥することで基板上に自己組織化膜が形成される。なお、自己組織化膜を形成する前に、基板表面に紫外光を照射したり、溶媒により洗浄したりして、基板表面の前処理を施すことが望ましい。
【0050】
FAS処理を施した後、所望の撥液性に処理する撥液性制御処理が必要に応じて行われる(ステップS3)。すなわち、撥液化処理としてFAS処理を施した際に、撥液性の作用が強すぎて基板とこの基板上に形成した膜パターンWとが剥離しやすくなる場合がある。そこで、撥液性を低下(制御)する処理が行われる。撥液性を低下する処理としては波長170〜400nm程度の紫外線(UV)照射処理が挙げられる。所定のパワーの紫外線を所定時間だけ基板に照射することで、FAS処理された基板の撥液性が低下され、基板は所望の撥液性を有するようになる。あるいは、基板をオゾン雰囲気に曝すことにより基板の撥液性を制御することもできる。
【0051】
一方、プラズマ処理法では、常圧又は真空中で基板に対してプラズマ照射を行う。プラズマ処理に用いるガス種は、導電膜配線を形成すべき基板の表面材質等を考慮して種々選択できる。処理ガスとしては、例えば、4フッ化メタン、パーフルオロヘキサン、パーフルオロデカン等が例示できる。
【0052】
なお、基板表面を撥液性に加工する処理は、所望の撥液性を有するフィルム、例えば4フッ化エチレン加工されたポリイミドフィルム等を基板表面に貼着することによっても行ってもよい。また、撥液性の高いポリイミドフィルムをそのまま基板として用いてもよい。
【0053】
<第1材料配置工程(中間層形成工程)>
図3(a)及び(b)は、基板11上に中間層W1を形成する手順の一例を模式的に示す図である。前述したように、この中間層W1は、基板11に対する導電膜配線の密着性を高めるためのものである。
中間層形成工程は、この中間層形成工程の前に行われた表面処理工程において撥液性を制御された基板11上に第1の液体材料L1を配置する第1工程(図3(a))と、基板11上に配置された第1の液体材料L1に含まれる液体成分(分散媒)の一部を除去して基板11上に配置された第1の液体材料L1(W1)に液体成分を所定量残存させる第2工程(図3(b))とを含む。
この第2工程は、第1の液体材料W1が配置された基板11を後述する第2材料配置工程まで所定期間放置する放置処理、及びこの第1の液体材料W1が配置された基板11に対して所定条件で乾燥する乾燥処理を含む。そして、第2工程において基板11上の第1の液体材料W1は予め設定された所定量の液体成分を残存させた状態に調整される。
【0054】
第1工程では、図3(a)に示すように、基板11に対して液滴吐出ヘッド10を相対的に移動しながら液滴吐出ヘッド10を介して、中間層形成用の液体材料を液滴L1にして吐出し、その液滴L1を一定の距離(ピッチP1)ごとに基板11上に配置する。本例では、液滴L1の配置ピッチP1は、基板11上に配置した直後の液滴L1の直径よりも小さくなるように定められている。これにより、基板11上に配置された直後の液滴L1どうしが互いに重なり、連続したラインW1が形成される。ただし、基板11は液体材料に対して30°〜60°の接触角を持つような表面処理を行なっているので、液滴どうしの重なりが大きすぎると、ライン状につながった液体は容易にライン内を移動してしまい、バルジ(液溜まり)を形成し、それ以外の部分のラインは細くなって断線を生じてしまう。そのために、液滴どうしの重なりは、基板11上に配置されたときの液滴の直径に対して1〜10%となるように設定する必要がある。そして、こうした液滴の配置動作を基板11の表面全体に対して行い、基板11上に所定のパターンからなる第1の膜パターンW1を形成する。この第1の膜パターンは、導電膜配線の配線パターンと同一のパターンである。
【0055】
なお、後述する第2材料配置工程のように、液滴の配置ピッチを、基板上に配置した直後の液滴の直径よりも大きくしてもよい。この場合、途中に乾燥過程を挟んだ後、開始位置をずらしながら、同じ部位に対して複数回繰り返し液滴の配置を行うことにより、連続したラインが形成される。
【0056】
液滴の吐出条件、特に、液滴の体積及び液滴の配置ピッチは、基板11上に形成されるラインの縁部の形状が凹凸の微小な良好な状態となるように定められている。なお、基板11の表面は予め撥液性に加工されているので、基板11上に配置した液滴の広がりが抑制される。
【0057】
図4は、基板上に形成される中間層用の膜の一例として、直線状のラインを示す平面図である。上述したように、複数の液滴を繰り返し基板11上に配置することにより、こうした連続した線状の膜パターンW1を基板11上に形成できる。なお、中間層用の膜は必ずしも連続したラインである必要はない。例えば、図5に示すように、導電膜配線を形成する仮想のラインVL1上に、液滴L1を離間した状態に配置し、中間層用の膜を断続状態に形成してもよい。また、中間層用の膜の厚みは後述する導電膜配線用の膜の厚みに比べて薄くてよい。
【0058】
図3(b)に戻り、第2工程は、基板11上に配置された液体材料に含まれる分散媒(液体成分)の一部の除去を行う処理を含む。本例では、分散媒をすべて除去するのではなく、その一部だけを除去して所定量の分散媒を残存させる。すなわち、中間層用の膜パターンW1を完全に乾燥させず生乾き状態とする。
【0059】
第1の膜パターンW1は焼結しているわけではないため、その上に配置される導電膜配線用の第2の液体材料の分散媒によって、第1の膜パターンW1は再溶解する。
【0060】
分散媒の一部の除去処理を含む第2工程では、基板11を単に室温で放置するだけでもよく、加熱装置を用いて行ってもよい。例えば、ホットプレート、電気炉、熱風発生機などの加熱装置を用いた一般的な加熱処理の他に、ランプアニールを用いて行ってもよい。ただし、膜変換は、すべての液体材料の配置が終了してから、熱処理・光処理工程においてまとめて行えばよいので、ここでは、分散媒をある程度除去できれば十分であり、例えば、室温(25℃程度)で数分程度放置すればよい。また、こうした処理は液体材料の吐出と並行して同時に進行させることも可能である。例えば、基板を予め加熱しておいたり、液滴吐出ヘッドの冷却とともに沸点の低い分散媒を使用したりすることにより、基板に液滴を配置した直後から、その液滴の乾燥を進行させて所定量の液体成分残存量に調整することができる。
【0061】
ここで、第1の液体材料に残存させる液体成分(分散媒)の所定量とは、第1の液体材料の上に第2の液体材料を配置可能、且つ第2の液体材料を第1の液体材料の表面で濡れ拡がらせることができる量をいう。つまり、第1の液体材料に含まれる液体成分が多すぎるとこの第1の液体材料の上に第2の液体材料を配置した際にこの第2の液体材料が良好に濡れ拡がらない場合あり、一方、第1の液体材料に含まれる液体成分が少なすぎても第2の液体材料は第1の液体材料上で濡れ拡がらないという不都合が生じる。したがって、基板上に配置した際の第1の液体材料に含まれる液体成分の量に関する情報を例えば予め実験により求め、この求めた情報に基づいて基板上に第1及び第2の液体材料を配置する配置条件を設定することにより第2の液体材料を第1の液体材料に沿って円滑に濡れ拡がらせることができる。
【0062】
ここで、前記配置条件とは、第1の液体材料を基板上に配置してから第2の液体材料を配置するまでの期間、あるいは第1及び第2材料配置工程の環境条件を含む。また、環境条件とは温度条件及び湿度条件を含む。例えば、第1の液体材料中に含まれる液体成分が多い場合には、前記所定量となるまで第1の液体材料が配置された基板の放置時間を長くしたり、あるいは液体成分が除去されない程度に加熱することができる。一方、液体成分が少ない場合には、前記放置時間を短くしたり、基板上に第1の液体材料を配置した後すぐに液体成分が蒸発しないように基板が配置されている配置環境の湿度を高めたり(前記液体成分の飽和蒸気圧に設定したり)するといったことができる。このように、第1の液体材料の材料特性に応じて、前記第1材料配置工程の後、前記第1の液体材料が配置された基板を所定環境下に放置する放置期間を設定するといった構成とすることも可能である。
【0063】
<第2材料配置工程(導電膜配線形成工程)>
次に、第2材料配置工程では、図2(b)に示すように、基板11上に形成された中間層用の膜パターンW1の上に、液滴吐出ヘッド10を介して、上記導電膜配線用の第2の液体材料を液滴L2にして配置する。
ここで、図6(a)〜(c)は、基板上に上記第2の液体材料を配置する過程をより具体的に示す図である。
【0064】
まず、図6(a)に示すように、液滴吐出ヘッド10から吐出した液滴L2を一定の間隔をあけて中間層の膜パターンW1の上に順次配置する。本例では、液滴L2の配置ピッチP2は基板11上に配置した直後の液滴L2の直径よりも大きくなるように定められている。また、液滴L2の配置ピッチP2は基板11上に配置した直後の液滴L2の直径の2倍以下となるように定められている。
【0065】
次に、図6(b)に示すように、上述した液滴の配置動作を繰り返す。すなわち、図6(a)に示した前回と同様に、液滴吐出ヘッド10から第2の液体材料を液滴L3にして吐出し、その液滴L3を一定距離ごとに基板11に配置する。このとき、液滴L3の体積(1つの液滴あたりの液体材料の量)、及びその配置ピッチP3は前回の液滴L2と同じである。また、液滴L3の配置位置を前回の液滴L2から1/2ピッチだけシフトさせ、基板11上に配置されている前回の液滴L2同士の中間位置に今回の液滴L3を配置する。
【0066】
上述したように、基板11上の液滴L2の配置ピッチP2は、基板11上に配置した直後の液滴L2の直径よりも大きく且つ、その直径の2倍以下である。そのため、液滴L2の中間位置に液滴L3が配置されることにより、液滴L2に液滴L3が一部重なり、液滴L2同士の間の隙間が埋まる。これにより、図6(c)に示すように、中間層の膜パターンW1の上に、導電膜配線用の液体材料からなる連続した線状の膜パターンW2が形成される。そして、こうした液滴の配置動作を基板の表面全体に対して行うことにより、基板11上に所定のパターンからなる配線用の膜パターンW2が形成される。
【0067】
そして、前述したように、基板11の表面が撥液性に加工されていることから、液体材料は中間層の膜パターンW1の外側でははじかれ、中間層の膜パターンW1上に確実に配置される。また、前述したように、中間層の膜パターンW1は、導電膜配線用の液体材料の分散媒に対して再溶解するため、上記液体材料との親和性が高い。しかも、図7の模式図に示すように、下層である中間層の膜パターンW1は液体成分を所定量残存した生乾き状態であるため、中間層の膜パターンW1の上に配置された第2の液体材料L2(W2)は、中間層の膜パターンW1の内側で良好に濡れ広がる。さらに、前述したように、中間層の膜パターンW1は、導電膜配線の配線パターンと同一のパターンで形成されているので、中間層の膜パターンW1の内側で濡れ広がった液体材料は、所望の配線パターンに良好に配置される。
【0068】
なお、基板11上に液滴を配置した後に、分散媒の一部除去を行うために、必要に応じて乾燥処理を行ってもよい。この乾燥処理は、例えば、一連の液滴の配置動作ごとに行われる。
【0069】
また、上述した液滴の配置動作の繰り返し回数を増やすことにより、基板11上に液滴が順次重なり、導電膜配線用の膜パターンW2の厚みが増す。この膜厚は、最終的な導電膜配線に必要とされる所望の膜厚に応じて定められ、それに応じて、上記液滴の配置動作の繰り返し回数が定められる。
なお、液滴の配置ピッチや、繰り返しの際のシフト量などは任意に設定可能である。例えば、先の図3に示したように、吐出直後どうしの液滴どうしが一部重なるように液滴を吐出してもよい。
【0070】
<熱処理・光処理工程>
熱処理・光処理工程は、基板上に配置された液体材料に含まれる分散媒あるいはコーティング剤を完全に除去するとともに、金属微粒子どうしの接触もしくは焼結をはかり、電気抵抗を下げるために行なわれる。そして、本実施形態では中間層用の液体材料の熱処理と導電膜配線用の液体材料の熱処理を同時に行なう。
【0071】
熱処理・光処理は通常大気中で行なわれるが、必要に応じて、窒素、アルゴン、ヘリウムなどの不活性ガス雰囲気中で行なうこともできる。熱処理・光処理の処理温度は、分散媒の沸点(蒸気圧)、雰囲気ガスの種類や圧力、微粒子の分散性や酸化性等の熱的挙動、コーティング材の有無や量、基材の耐熱温度などを考慮して適宜決定される。例えば、有機物からなるコーティング材を除去するためには、通常は200℃以上で焼成することが必要である。また、プラスチックなどの基板を使用する場合には、室温以上100℃以下で行なうことが好ましい。
【0072】
熱処理・光処理は通常のホットプレート、電気炉などによる処理の他、ランプアニールによって行なうこともできる。ランプアニールに使用する光の光源としては、特に限定されないが、赤外線ランプ、キセノンランプ、YAGレーザ、アルゴンレーザ、炭酸ガスレーザ、XeF、XeCl、XeBr、KrF、KrCl、ArF、ArClなどのエキシマレーザーなどを光源として使用することができる。これらの光源は一般には、出力10W以上5000W以下の範囲のものが用いられるが、本実施形態では100W以上1000W以下の範囲で十分である。
【0073】
上記熱処理・光処理により、導電膜配線用の膜パターンW2は液体材料に含まれていた導電性微粒子間の電気的接触が確保され、導電膜に変換される。
また、中間層用の膜W1は、液体材料に含まれていた微粒子の作用により、導電膜配線用の導電性微粒子と基板11との結合性を向上させる。
【0074】
本実施形態により形成される導電膜配線は、分散液一滴の基板上に着弾後の直径とほぼ同等の幅で形成することが可能である。また、中間層に含まれる金属微粒子によって、導電膜配線に含まれる金属微粒子と基板の両方に対する結合性が向上することから、基板に対する導電膜配線の密着力が高まる。したがって、本実施形態によれば、導電膜配線の細線化とともに、基板に対する導電膜配線の密着力を高めることができる。
【0075】
なお、本実施形態では、第1の液体材料は導電膜配線W2の基板11に対する中間層W1の形成用材料を含むものとして説明したが、第1の液体材料L1に含まれる第1の金属微粒子を例えば透明電極形成用材料であるITOとし、第2の液体材料L2に含まれる第2の金属微粒子を銀や銅とすることで、例えばプラズマ型表示装置における表示電極とバス電極との積層体とすることができる。
【0076】
更に、第1及び第2の液体材料の一方に導電膜形成用材料を含み、他方に絶縁膜形成用材料を含む構成とすることにより、形成された絶縁膜を導電膜のマイグレーションに起因する断線や突起(ヒロック)等の発生の防止膜とすることができる。ここで、マイグレーションによる断線(あるいはヒロック)発生防止膜としては合成樹脂膜が挙げられる。そして、本実施形態によれば、この合成樹脂膜(絶縁膜)を導電膜に対して良好に濡れ拡がらせることができるので、断線やヒロックの発生を効果的に抑制できる。
【0077】
<実施例>
以下、上述したパターンの形成方法の実施形態に基づいてガラス基板上に導電膜配線を形成した実施例について説明する。
ガラス基板を洗浄した後、FAS処理を行って基板表面全体にフルオロアルキル基を有する単分子膜を形成し、撥液化処理した。次いで、波長254nmの紫外線を2分間照射して撥液性制御処理を行った。次いで、第1材料配置工程として、粒径5nm程度のマンガンの超微粒子をテトラデカンに分散した液体材料(第1の液体材料)を基板上に吐出し、線幅が約80μmのマンガン層を形成した。なお、マンガン層を形成するにあたり、第1の液体材料を4回重ね塗りした。その後、図8に示す乾燥条件でマンガン層(下層)を乾燥し、この上に第2材料配置工程として粒径5nm程度の銀超微粒子をテトラデカンに分散した液体材料(第2の液体材料)をマンガン層の上に10ngの液滴重量で100μmピッチで吐出し、金属層(上層)を形成した。
【0078】
図8に示すように、第1の液体材料を基板上に配置した後、室温に24時間放置した場合、下層であるマンガン層は製膜したが、このマンガン層の上に吐出した第2の液体材料の液滴はマンガン層からはみ出しで濡れ拡がらず、第2の液体材料(銀)は成膜しなかった。このとき、室温に24時間放置されたマンガン層は十分に乾燥された状態であって残存する液体成分はほぼゼロであった。これより、残存する液体成分が少ない(所定量以下である)場合には、このマンガン層の上に第2の液体材料を吐出しても第2の液体材料の液滴は良好に濡れ拡がらないことが分かる。
一方、第1の液体材料を基板上に配置した後、3分間放置した場合では、下層であるマンガン層と上層である金属層との双方が濡れ拡がって成膜した。これにより、下層であるマンガン層に液体成分が所定量残存している状態の場合には第2の液体材料は良好に濡れ拡がり、第2の液体材料からなる上層である金属層が良好に成膜されることが分かる。
また、第1の液体材料を基板上に配置した後、室温窒素環境下で距離10cmのところより風速1.7m/sで20秒間、窒素ガスを送風した。この場合、乾燥が不十分であって下層であるマンガン層は成膜されず、これに伴って上層である金属層も成膜されない。このように、残存する液体成分が多い(所定量以上である)場合にも、マンガン層及び金属層を円滑に成膜できない状態が生じた。
第1の液体材料を基板上に配置した後、室温窒素環境下で距離4cmのところより風速3.0m/sで20秒間、窒素ガスを送風した場合、送風が強すぎて基板上に配置された第1の液体材料が移動し、成膜できなかった。
一方、第1の液体材料を基板上に配置した後、室温窒素環境下で距離10cmのところより風速1.7m/sで40秒間、窒素ガスを送風した。この場合、マンガン層には所定量の液体成分が残存され(所望の状態でマンガン層が生乾き状態となり)、マンガン層及び金属層ともに良好に成膜した。
120℃で80秒間、及び100℃で120秒間加熱乾燥した場合、FAS処理によりガラス基板上に形成したフルオロアルキル基を有する単分子膜が破壊され、マンガン層は良好に成膜しなかった。一方、80℃で60秒乾燥した場合には、基板上の単分子膜は破壊されずマンガン層を成膜することはできたが、マンガン層は液体成分を残存させずにほぼ完全に乾燥されたため、金属層は成膜されなかった。以上説明した実施例より、第1の液体材料からなる膜パターン(下層)に含まれる液体成分を所定量残存させた状態でこの上に第2の液体材料を配置することにより、上層及び下層の双方を良好に成膜することができる。
【0079】
次に、本発明のパターンの形成方法を実施するためのパターン形成装置の一例について説明する。
図9は、本実施形態に係るパターン形成装置の概略斜視図である。図9に示すように、パターン形成装置100は、液滴吐出ヘッド10、液滴吐出ヘッド10をX方向に駆動するためのX方向ガイド軸2、X方向ガイド軸2を回転させるX方向駆動モータ3、基板11を載置するための載置台4、載置台4をY方向に駆動するためのY方向ガイド軸5、Y方向ガイド軸5を回転させるY方向駆動モータ6、クリーニング機構部14、ヒータ15、及びこれらを統括的に制御する制御装置8等を備えている。X方向ガイド軸2及びY方向ガイド軸5はそれぞれ、基台7上に固定されている。
【0080】
液滴吐出ヘッド10は、導電性微粒子を含有する分散液からなる液体材料を吐出ノズルから吐出するものであり、X方向ガイド軸2に固定されている。X方向駆動モータ3はステッピングモータ等であり、制御装置8からX軸方向の駆動パルス信号が供給されると、X方向ガイド軸2を回転させる。X方向ガイド軸2の回転により、液滴吐出ヘッド10が基台7に対してX軸方向に移動する。
【0081】
液滴吐出方式としては、圧電体素子であるピエゾ素子を用いてインクを吐出させるピエゾ方式、液体材料を加熱し発生した泡(バブル)により液体材料を吐出させるバブル方式など、公知の様々な技術を適用できる。このうち、ピエゾ方式は、液体材料に熱を加えないため、材料の組成等に影響を与えないという利点を有する。なお、本例では、液体材料選択の自由度の高さ、及び液滴の制御性の良さの点から上記ピエゾ方式を用いる。
【0082】
載置台4はY方向ガイド軸5に固定され、Y方向ガイド軸5には、Y方向駆動モータ6、16が接続されている。Y方向駆動モータ6、16は、ステッピングモータ等であり、制御装置8からY軸方向の駆動パルス信号が供給されると、Y方向ガイド軸5を回転させる。Y方向ガイド軸5の回転により、載置台4が基台7に対してY軸方向に移動する。クリーニング機構部14は、液滴吐出ヘッド10をクリーニングし、ノズルの目詰まりなどを防ぐものである。クリーニング機構部14は、上記クリーニング時において、Y方向の駆動モータ16によってY方向ガイド軸5に沿って移動する。ヒータ15は、ランプアニール等の加熱手段を用いて基板11を熱処理するものであり、基板11上に吐出された液体の蒸発・乾燥を行うとともに導電膜に変換するための熱処理を行う。
【0083】
本実施形態のパターン形成装置100では、液滴吐出ヘッド10から液体材料を吐出しながら、X方向駆動モータ3及びY方向駆動モータ6を介して、基板11と液滴吐出ヘッド10とを相対移動させることにより、基板11上に液体材料を配置する。液滴吐出ヘッド10の各ノズルからの液滴の吐出量は、制御装置8から上記ピエゾ素子に供給される電圧によって制御される。また、基板11上に配置される液滴のピッチは、上記相対移動の速度、及び液滴吐出ヘッド10からの吐出周波数(ピエゾ素子への駆動電圧の周波数)によって制御される。また、基板11上に液滴を開始する位置は、上記相対移動の方向、及び上記相対移動時における液滴吐出ヘッド10からの液滴の吐出開始のタイミング制御等によって制御される。これにより、基板11上に上述した配線用の導電膜パターンが形成される。
【0084】
次に、本発明の電気光学装置の一例としてプラズマ型表示装置について説明する。図10は本実施形態のプラズマ型表示装置500を示す分解斜視図である。
プラズマ型表示装置500は、互いに対向して配置されたガラス基板501、502、及びこれらの間に形成される放電表示部510を含んで構成される。ガラス基板501の上面には所定の間隔でストライプ状にアドレス電極511が形成され、アドレス電極511とガラス基板501の上面とを覆うように誘電体層519が形成されている。誘電体層519上には、アドレス電極511、511間に位置しかつ各アドレス電極511に沿うように隔壁515が形成されている。また、隔壁515によって区画されるストライプ状の領域の内側には蛍光体517が配置されている。蛍光体517は、赤、緑、青の何れかの蛍光を発光するもので、赤色放電室516(R)の底部および側面には赤色蛍光体517(R)が、緑色放電室516(G)の底部および側面には緑色蛍光体517(G)が、青色放電室516(B)の底部および側面には青色蛍光体517(B)が各々配置されている。
【0085】
一方、ガラス基板502側には、先のアドレス電極511と直交する方向に複数の透明導電膜からなる表示電極512がストライプ状に所定の間隔で形成されるとともに、抵抗の高い表示電極512を補うために表示電極512上にバス電極512aが形成されている。またこれらを覆って誘電体層513が形成され、更にMgOなどからなる保護膜514が形成されている。
【0086】
ガラス基板501とガラス基板502とは、前記アドレス電極511…と表示電極512…を互いに直交させるように対向させて相互に貼り合わされている。放電表示部510は、複数の放電室516が集合されたものである。複数の放電室516のうち、赤色放電室516(R)、緑色放電室516(G)、青色放電室516(B)の3つの放電室516が対になった部分と、一対の表示電極に囲まれた領域が1画素を構成するように配置されている。上記アドレス電極511と表示電極512は図示略の交流電源に接続されている。各電極に通電することにより、放電表示部510において蛍光体517が励起発光し、カラー表示が可能となる。
【0087】
本実施形態では、上記バス電極512a、およびアドレス電極511が上述した本発明に係るパターンの形成方法を用いて形成されている。そのため、バス電極512aとアドレス電極511の密着性が高く、配線不良が生じにくい。更に、本実施形態では、表示電極512上にバス電極512aを形成する際にも、本発明に係るパターンの形成方法が採用可能である。
【0088】
次に、本発明の電気光学装置の他の例として、液晶装置について説明する。
図11は、本実施形態に係る液晶装置の第1基板上の信号電極等の平面レイアウトを示すものである。本実施形態に係る液晶装置は、この第1基板と、走査電極等が設けられた第2基板(図示せず)と、第1基板と第2基板との間に封入された液晶(図示せず)とから概略構成されている。
【0089】
図11に示すように、第1基板300上の画素領域303には、複数の信号電極310…が多重マトリクス状に設けられている。特に各信号電極310…は、各画素に対応して設けられた複数の画素電極部分310a…とこれらを多重マトリクス状に接続する信号配線部分310b…とから構成されており、Y方向に伸延している。また、符号350は1チップ構造の液晶駆動回路で、この液晶駆動回路350と信号配線部分310b…の一端側(図中下側)とが第1引き回し配線331…を介して接続されている。また、符号340…は上下導通端子で、この上下導通端子340…と、図示しない第2基板上に設けられた端子とが上下導通材341…によって接続されている。また、上下導通端子340…と液晶駆動回路350とが第2引き回し配線332…を介して接続されている。
【0090】
本実施形態例では、上記第1基板300上に設けられた信号配線部分310b…、第1引き回し配線331…、及び第2引き回し配線332…がそれぞれ、本発明に係るパターンの形成方法に基づいて形成されている。そのため、配線の密着性が高く、配線不良が生じにくい。また、大型化した液晶用基板の製造に適用した場合においても、配線用材料を効率的に使用することができ、低コスト化が図れる。なお、本発明が適用できるデバイスは、これらの電気光学装置に限られず、例えば導電膜配線が形成される回路基板や、半導体の実装配線等、他のデバイス製造にも適用が可能である。
【0091】
<電子機器>
次に、本発明の電子機器の例について説明する。図12は上述した実施形態に係る表示装置を備えたモバイル型のパーソナルコンピュータ(情報処理装置)の構成を示す斜視図である。同図において、パーソナルコンピュータ1100は、キーボード1102を備えた本体部1104と、上述した電気光学装置1106を備えた表示装置ユニットとから構成されている。このため、発光効率が高く明るい表示部を備えた電子機器を提供することができる。
【0092】
なお、上述した例に加えて、他の例として、携帯電話、腕時計型電子機器、液晶テレビ、ビューファインダ型やモニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、電子ペーパー、タッチパネルを備えた機器等が挙げられる。本発明の電気光学装置は、こうした電子機器の表示部としても適用できる。なお、本実施形態の電子機器は液晶装置を備えるもの、有機エレクトロルミネッセンス表示装置、プラズマ型表示装置等、他の電気光学装置を備えた電子機器とすることもできる。
【0093】
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施の形態例について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。上述した例において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のパターンの形成方法の一実施形態を示すフローチャート図である。
【図2】本発明のパターンの形成方法の一実施形態を示す模式図である。
【図3】本発明のパターンの形成方法の一実施形態を模式的に示す側面図であって、第1材料配置工程を示す図である。
【図4】図3の平面図である。
【図5】第1材料配置工程の他の実施形態を模式的に示す平面図である。
【図6】本発明のパターンの形成方法の一実施形態を模式的に示す側面図であって、第2材料配置工程を示す図である。
【図7】所定用の液体成分が残存された基板上の第1の液体材料の上に第2の液体材料の液滴を配置した際の挙動を模式的に示す図である。
【図8】本発明のパターンの形成方法に基づく実験結果の一例を示す表図である。
【図9】本発明のパターン形成装置の一実施形態を示す概略斜視図である。
【図10】本発明の電気光学装置の一実施形態を示す図であってプラズマ型表示装置に適用した例を示す分解斜視図である。
【図11】本発明の電気光学装置の一実施形態を示す図であって液晶装置に適用した例を示す平面図である。
【図12】本発明の電子機器の一実施形態を示す図である。
【符号の説明】
10…液滴吐出ヘッド(液滴吐出装置)、11…基板、
100…パターン形成装置(液滴吐出装置)、
L1…第1の液体材料、L2、L3…第2の液体材料、
W1…第1の液体材料(第1の膜パターン、下層)、
W2…第2の液体材料(第2の膜パターン、上層)

Claims (12)

  1. 液体材料により基板上に膜パターンを形成するパターンの形成方法であって、
    前記基板上に第1の液体材料を配置する第1材料配置工程と、
    前記基板上に配置された前記第1の液体材料の上に第2の液体材料を配置する第2材料配置工程とを有し、
    前記第2材料配置工程を行うに際し、前記第1材料配置工程により前記基板上に配置されている前記第1の液体材料に含まれる液体成分を所定量残存させた状態で前記第2材料配置工程を行うことを特徴とするパターンの形成方法。
  2. 前記第1の液体材料の上に前記第2の液体材料を配置して前記基板上の前記第1の液体材料の表面を再溶解することを特徴とする請求項1記載のパターンの形成方法。
  3. 前記第1の液体材料と前記第2の液体材料とは異なる液体材料であることを特徴とする請求項1又は2記載のパターンの形成方法。
  4. 前記第1の液体材料は第1の微粒子を含み、前記第2の液体材料は前記第1の微粒子とは別の第2の微粒子を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項記載のパターンの形成方法。
  5. 前記第1の微粒子を分散する第1の分散媒と前記第2の微粒子を分散する第2の分散媒とは同じ分散媒を含むことを特徴とする請求項4記載のパターンの形成方法。
  6. 前記第1の微粒子と前記第2の微粒子とは互いに異なる導電性を有することを特徴とする請求項4又は5記載のパターンの形成方法。
  7. 前記第1及び第2の液体材料の一方は導電膜形成用材料を含み、他方は絶縁膜形成用材料を含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項記載のパターンの形成方法。
  8. 前記第1材料配置工程の前に前記基板表面の撥液性を制御する表面処理工程を有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項記載のパターンの形成方法。
  9. 基板上に配線パターンが形成されたデバイスを製造するデバイスの製造方法であって、
    請求項1〜請求項8のいずれか一項記載のパターンの形成方法を用いて前記配線パターンを形成することを特徴とするデバイスの製造方法。
  10. 請求項1〜請求項8のいずれか一項記載のパターンの形成方法により形成されたことを特徴とする導電膜配線。
  11. 請求項10記載の導電膜配線を備えることを特徴とする電気光学装置。
  12. 請求項11記載の電気光学装置を備えることを特徴とする電子機器。
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