JP5204365B2 - 異方性導電塗料及びそれを用いてなる異方性導電膜 - Google Patents

異方性導電塗料及びそれを用いてなる異方性導電膜 Download PDF

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Description

本発明は、半導体機器やプリント回路基板等に用いられる異方性導電塗料及びそれを用いてなる異方性導電膜に関する。
半導体素子等を小型電機部品に取り付けたり、プリント基板を接続する際に、異方性導電材料が用いられる。異方性導電材料は、導電性微粒子をバインダー樹脂に混合して膜状にした異方性導電膜がよく使われる。これらの使用方法は、微小な電極間に異方性導電膜を挟み、圧着すると、異方性導電膜中の導電性物質が電極間で繋がりあい、回路を形成すると共に、電極同士を接着させるものである。
ところが、電気機器や電子部品が小型化するにつれ、基板等の配線が微細になることによる接続部の抵抗が問題化している。また、一方では、プラズマディスプレイ用の素子等は、大電流による駆動が必要となるため、電流容量を大きく取る等の工夫が進められている。
これらの問題に対し、その解決手段として、圧着時に実質的に流動しない耐熱樹脂層中に0.2〜1000μmの粒子径を持つ導電性微粒子を分散させた例がある(特許文献1参照)。具体的には、ポリイミド膜に金メッキしたニッケルの粒子を分散させ、その両側にエポキシ樹脂等の接着用フィルムを載せた例がある。
また、固形状エポキシ樹脂と液状エポキシ樹脂の双方を用い、これに硬化剤と、粒子状の樹脂に金属メッキした導電性粒子とを加えたものを、溶解性パラメータ(SP値)が8以上9以下の有機溶剤で溶解したものを用いた異方性導電膜の例もある(特許文献2参照)。
特開2000−3621号公報(請求項1、0035) 特開平9−25467号公報(0014〜0018、0033〜0035)
発明が解決しようとする課題
従来技術のような手段による異方性導電材料は、異方性導電塗料として保管する場合は、加えられている有機溶剤の蒸発が押さえられる組成になっていることが、必須要件であり、それが保管寿命を長くする。ところが、その塗料を用いて異方性導電膜を形成する段階においては、作業時間の問題から、乾燥を早くすることが好ましい。
また、異方性導電膜として保管する場合は、既に溶剤が大部分除去された状態であるが、該導電膜を使用する際に、溶融し硬化することにより、接着が強固となるように、潜在硬化剤を含めておくのが良い。
課題を解決するための手段
本発明の一つは、粒状の金属粒子が鎖状に繋がった形状を有する金属微粉末を含む導電性金属粒子、樹脂、潜在性硬化剤及び溶剤を主成分とし、常温における粘度が1Pa・s以上50Pa・s以下の範囲である異方性導電塗料である。該溶剤の下式1で表される相対蒸発速度(V)が、酢酸n−ブチルを1としたときに、0.1以上5以下であると、該塗料を製膜する際に好ましく処珪できる。
式1:V=ΣaiVi(ai:i成分の重量分率、Vi:i成分の相対蒸発速度)
即ち、蒸発速度を好ましい範囲に設定することにより、作業性を向上する。
こうした蒸発速度を得るためには、使用する樹脂と溶剤の相溶性が関わってくる。絶縁性樹脂としてエポキシ系樹脂やアクリル系樹脂が使用されるが、これらの樹脂の溶解パラメータ(SP)は約10であるため、SP値が8〜12の範囲である溶剤を用いるのが好ましい。特に好ましくは、その溶剤が環状エーテルを含有するとよい。
一方、使用する導電性金属粒子には、粒状の金属粒子が鎖状に繋がった形状を有する金属微粉末が含まれているものを用いる。このような形状の金属微粉末を用い、製膜時に磁場を加えることにより、金属微粉末は方向性をもった状態で異方性導電膜となるため、球状もしくは鱗片状のものに比べ、比較的少量の導電性金属粒子を用いて、十分な性能を得ることが出来る。
また、本発明のもう一つの異方性導電膜は、前記した異方性導電塗料を乾燥して一旦フィルム化して用いる場合が通常であるが、この乾燥したフィルム中の残存溶剤量が、2重量%以下であるとよい。また、乾燥時には、フィルムの厚み方向に磁場をかけつつ乾燥すると、塗料中の金属微粉末が配向するので好ましい。
本発明に用いる樹脂は、使用時において接着剤として用いることから、有機溶剤に溶解し、加熱により有機溶剤を乾燥した後、樹脂被膜形状を保つものが好ましい。また、異方性導電膜として使用するため、基板等を接続する時点で加熱による樹脂変形と共に、あらかじめ添加された潜在性硬化剤と反応して硬化するものとして選択するのが良い。具体的には、エポキシ系樹脂またはアクリル系樹脂を選択するのが良い。
本発明に用いる導電性金属粒子は、球状、鱗片状、偏平状のような形状でも使用できるが、アスペクト比の大きな磁性金属粒子を用いるのが好ましい。特に本発明には、微小な金属粒子が鎖状に繋がった形状を有するものを含んだ導電性金属粒子を用いるとよい。このような形状の金属粒子は、磁性金属を三価チタンイオンの存在するアルカリ溶液中で後記する液相還元法を用いることにより得られる。粒子径が数百nm以下で、その粒子が繋がりあって数μmになったものである。このような形状であると、接着剤を皮膜化する際に磁場を加えることにより、フィルムの厚み方向に配向でき、少量の添加で大きな導通性を得ることが出来る。また、配向により導電性粒子を少量とすることが出来るため、接し合う隣接電極への短絡等の危険性を減少できる。さらに、金属粒子の単位が小さいため、接着剤中での分離沈降も起きにくい。なお、このような磁性金属の表面に導電性の良い金属を被覆した複合金属微粉を用いることも好ましい。
本発明に用いる潜在性硬化剤は、塗料の段階では効果を必要とせず、導電膜の中に含まれ、導電膜を電極に接着する時点で硬化剤として利用するものである。即ち、塗料を乾燥して導電膜にする温度では反応せず、接着時の温度で反応する温度感応型硬化剤を意味する。溶剤の蒸発温度にも影響するため、100℃以上で反応する硬化剤が好ましい。特に好ましくは、100℃以上で反応するマイクロカプセル型潜在性硬化剤を用いるとよい。
本発明に使用する溶剤は、前記樹脂を溶解すると共に、異方性導電膜に形成する際に加熱により蒸発飛散する。その際に膜形成させるための条件が必要である。これには塗料の常温における粘度が大きく作用する。常温で塗布した際に粘度が1Pa・s未満であると乾燥時の高温で流動し、膜表面が平坦になりにくく、かつ所望の膜厚みを得にくくなる。また、常温での塗料粘度が50Pa・sを越えると、製膜時の発泡を押さえることが出来ず、膜表面も平坦になりにくい。且つ塗料内の金属微粒子を磁場で配向させようとしても、粘度が大きいと配向しにくくなる。以上により、塗料粘度は常温で1Pa・s以上50Pa・s以下であるのがよい。
また、加熱による蒸発速度を、早くすれば作業がはかどるが、出来る被膜が気泡を含むようであれば、品質上好ましくない。
本発明では、前記蒸発速度が酢酸n−ブチルの常温での蒸発速度を1として、これに対する相対蒸発速度が0.1以上、5以下であるものが好ましい結果を得ることを見いだした。この相対蒸発速度は、ASTM D3539にその測定法と共に記載されており、酢酸n−ブチルの常温での蒸発速度を1として基準としている。この相対蒸発速度が0.1未満であると、蒸発が緩慢なため作業時間を長くさせる。また、蒸発を早めるために加熱温度を上昇させると、あらかじめ配合されている潜在性硬化剤に悪影響を及ぼす。作業時間を短くすれば、出来上がった被膜中の残存溶剤が多くなるため、基板等を接着する際に気泡不良等の原因になる。また、相対蒸発速度が5を越えると、蒸発が早まるため、形成される被膜表面からの乾燥が早く、表面がフィルム化することにより、内部からの溶剤が抜けられず、気泡発生の原因となる。この気泡は、出来上がった被膜中に存在すると、基板等を接着する際に、加熱によるガス膨張で接着を阻害する原因になる。以上から、使用する溶剤の相対蒸発速度が、0.1以上、5以下の溶剤を用いるのが好ましい。
なお、式1で示す相対蒸発速度の計算方法は、複数の溶剤を使用する場合であり、単独使用の場合は、測定値もしくは文献値を用いればよい。複数の溶剤を使用する場合は、使用する溶剤の重量分率aiと相対蒸発速度Viを掛け合わせた値を、加えることにより、使用する複数の溶剤を混合した場合の相対蒸発速度Vを得ることが出来る。
また、樹脂の溶解性において、使用する樹脂はエポキシ系樹脂もしくはアクリル系樹脂を選択するのが良い。これらの樹脂の溶解パラメーター(SP)が約10であるので、これらの樹脂にあったSPを有する溶剤を選択するのが好ましい。本発明では、SPが8以上、12以下の溶剤を用いると好ましい結果を得ることが出来る。SPが8未満であったり、12を越えると、樹脂の溶解が不十分であり、多量の溶剤が必要になる等の問題を生ずる。このような塗料は、皮膜化する際に被膜の厚みコントロールが難しく、且つ出来上がった被膜が柚肌になったりする等、品質上の問題が起こりやすい。
ここで、使用する溶剤を複数用いる場合のSP値は、各溶剤のSP値とその溶剤の体積分率を掛け合わせたものを加えることにより計算できる。ただし、溶剤同士が均一に混合できることが必要である。
特に好ましい溶剤としては環状エーテルを用いるとよい。環状エーテルはエポキシ系樹脂やアクリル系樹脂を良く溶かし、潜在性硬化剤や導電性金属粒子に対して安定であり、好適に使用できる。具体的には、ジオキサン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピランが好ましい。もちろん、これらを含む2種以上の複合溶剤であっても構わない。
こうして出来た異方性導電塗料を用いて、異方性導電膜を形成する。異方性導電膜を形成する際には、特に皮膜中の残存溶剤量が皮膜の特性を左右する。本発明における異方性導電膜には、残存溶剤が多くとも2重量%以下にするのが好ましい。2重量%を越える残存溶剤量であると、吸湿しやすくなり、その結果として基板等への接続不良が増加する。
また、溶剤乾燥時において、皮膜の厚み方向に磁場を加えると、塗料中の導電性金属微粉末が配向するので好ましい。この場合は、粒状の金属粒子が鎖状に繋がった形状を有する金属微粉宋が、磁性を有する必要がある。またアスペクト比の大きな粒子であることが必要である。磁場を加えることで、出来た異方性導電膜を厚み方向に圧着する際、粒子が厚み方向に配向しているため、圧着作業が確実になる。また、配向により、厚み方向から見た導電性金属微粉末の見かけ密度は小さく、被膜断面方向から見た導電性金属微粉末の見かけ密度は大きくなる。すなわち、厚み方向への導電性は大きいが、被膜断面方向への導電性は小さくなる。結果として、圧着時に隣り合う電極への漏電が起きにくくなる。
なお、本発明に使用する好ましい導電性金属微粉末は、以下のような液相還元法によって得ることが出来る。
磁性体金属塩化物と、錯化剤(クエン酸ナトリウムなど)を水溶液として用意する。別途、四塩化チタンを水溶液として用意し、これを陰極電解法により還元し、チタンイオンの一部を三価チタンイオンにする。以上の水溶液を約70℃に加温した後混合し、これにアンモニア水を加えて撹拌すると数分後に磁性体金属微粉末が析出する。磁性体金属は、Fe、Co、Niであるが、これらの合金を作製する場合は、合金を形成させる元素の塩化物、硫酸化物、硝酸化物等を最初に加えておけばよい。また、複合化する場合は、複合化させる元素の塩化物、硫酸化物、硝酸化物等の水溶液と、錯化剤水溶液と、前記三価チタンイオンを含む水溶液を用い、混合した後、アンモニア水を加え、これに前記析出物を投入することにより、前記析出物の表面に、複合化させる金属が析出する。複合化させる金属は、Cu、Ag、Au等の導電性が大きい金属元素を選択するとよい。
以下に本発明の実施例を示すが、実施例は本発明の効果を示すものであり、本発明を限定するものではない。
(配合例1)導電性金属微粒子に、液相還元法で得られたNiの微粉を用いた。このNi微粉は、粒径が約300nmの微粒子が鎖状に繋がり、長さが10〜13μmのものを主体とする金属微粉末である。
絶縁性樹脂には、固形のエポキシ樹脂(エピコート(登録商標)1009:ジャパンエポキシレジン株製)を用い、これに潜在性硬化剤を加える。潜在性硬化剤は、マイクロカプセル型潜在性硬化剤(HX3721;旭化成エポキシ株製)を用いた。
溶剤には、ジオキサン(相対蒸発速度1.6,SP値9.7)を用いた。
まず、溶剤に絶縁性樹脂を溶解し、常温(25℃)での粘度が15Pa・sの溶液とした(樹脂/溶剤=60/40)。これに絶縁性樹脂/潜在性硬化剤/導電性金属微粒子=80/19/1となる比率で潜在性硬化剤と導電性金属微粒子を添加し、均一になるまで混合し、異方性導電塗料を得た。
(配合例2)溶剤に、テトラヒドロフラン(相対蒸発速度4.8,SP値9.5)を用いた(樹脂/溶剤=60/40)。他は、配合例1と同様にして異方性導電塗料を得た。常温での粘度は15Pa・sであった。
(配合例3)溶剤に、ジオキサン/アセトン=50/50の混合溶剤(相対蒸発速度3.6,SP値ジオキサン9.7、アセトン9.8)を用いた(樹脂/溶剤=60/40)。他は、配合例1と同様にして異方性導電塗料を得た。常温での粘度は15Pa・sであった。
(配合例4)溶剤にジオキサンを用いた(樹脂/溶剤=30/70)。他は、配合例1と同様にして異方性導電塗料を得た。常温での粘度は5Pa・sであった。
(配合例5)溶剤にジオキサンを用いた(樹脂/溶剤=70/30)。他は、配合例1と同様にして異方性導電塗料を得た。常温での粘度は45Pa・sであった。
(配合例6)溶剤に、n−酢酸ブチル(相対蒸発速度1.0,SP値8.4)を用いた(樹脂/溶剤40)。他は、配合例1と同様にして異方性導電塗料を得た。常温での粘度は15Pa・sであった。
(配合例7)溶剤にエチレングリコールモノエチルエーテル(相対蒸発速度0.4,SP値11.8)を用いた(樹脂/溶剤=50/50)。他は、配合例1と同様にして異方性導電塗料を得た。常温での粘度は15Pa・sであった。
(配合例8)溶剤に、エタノール(相対蒸発速度1.5、SP値12.9)を用いた(樹脂/溶剤=20/80)。他は、配合例1と同様にして異方性導電塗料を得た。常温での粘度は15Pa・sであった。
(配合例9)溶剤に、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(相対蒸発速度0.001、SP値9.4)を用いた(樹脂/溶剤=60/40)。他は、配合例1と同様にして異方性導電塗料を得た。常温での粘度は15Pa・sであった。
(配合例10)溶剤に、ジエチルエーテル(相対蒸発速度11,SP値7.6)を用いた(樹脂/溶剤=60/40)。他は、配合例1と同様にして異方性導電塗料を得た。常温での粘度は15Pa・sであった。
(配合例11)溶剤に、ヘキサン(相対蒸発速度7.2、SP値7.2)をもちいた(樹脂/溶剤=15/85)。他は、配合例1と同様にして異方性導電塗料を得た。常温での粘度は15Pa・sであった。
(配合例12)溶剤に、ジオキサン/ジエチルエーテル=50/50の混合溶剤(相対蒸発速度6.3、SP値ジオキサン9.7,ジエチルエーテル7.6)を用いた(樹脂/溶剤=45/55)。他は、配合例1と伺様にして異方性導電塗料を得た。常温での粘度は15Pa・sであった。混合溶剤のSP値は8.6相当である。
(配合例13)溶剤に、ジオキサンを用いた(樹脂/溶剤=20/80)。他は、配合例1と同様にして異方性導電塗料を得た。常温での粘度は0.5Pa・sであった。
(配合例14)溶剤に、ジオキサンを用いた(樹脂/溶剤=75/25)。他は、配合例1と同様にして異方性導電塗料を得た。常温での粘度は60Pa・sであった。
(配合例15)導電性金属粒子に、平均粒径5μmの球状Ni粒子を用いた。また、樹脂/硬化剤/導電性金属粒子=60/15/25の重量比とした。その他は配合例1と同様にして異方性導電塗料を得た。
以上の15種類の異方性導電塗料を作製した。この塗料を用いて後述する評価をすると共に、異方性導電膜を作製し、その評価を併せて行った。
膜の作製には、離型処理したPETフィルムを用い、これに最終厚み40μmを目標に異方性導電塗料を塗布した。
加温乾燥中は膜厚方向に磁束密度40000μTの磁場をかけておいた。乾燥後、皮膜中の残存溶剤量を重量変化から求め、残存溶剤量が1.5重量%となるように乾燥時間を変化させた。
なお、配合例1の塗料を用いて乾燥時間を変え、残存溶剤量が5重量%になる時点のサンプルを用意し、これを(配合例16)とした。
また、配合例1の塗料を用意し、乾燥固化する間、磁場をかけずにおいたサンプルを用意し、これを(配合例17)とした。
各配合例における皮膜の乾燥時間及びポットライフ、出来た皮膜の問題点(気泡の有無、接続信頼性)について調査した結果を、表1に示す。なお、評価の判断は以下に示す。
(乾燥時間の評価)
各配合例に用いた溶剤の沸点により、乾燥温度は異なるため、乾燥温度の判断を以下のようにした。
使用した溶剤の沸点が110℃以下の時は、その沸点から10℃下げた温度を採用。使用した溶剤の沸点が110℃を越える場合は、沸点に関係なく100℃とする。これは、配合中の潜在性硬化剤が100℃を越えると反応するためである。
この判断により採用した乾燥温度を用い、乾燥を進め、残存溶剤量が目標値に達する時間を、乾燥時間とした。その結果を表1に示す。表1における記号の評価基準は以下の通りである。
◎:乾燥時間が20分以下で、概観も問題ないもの。
○:乾燥時間が20分を越え、30分以下であり、概観も問題ないもの。
△:乾燥時間が30分を越えるか、概観が良くないもの。
(ポットライフの評価)
出来た塗料を冷暗所に保管し、定期的に取り出し異方性導電膜を作製し、これを用いてフレキシブルプリント回路(以下FPCと略)とガラス基板とを接着させた。その後の接着強度を90度剥離法でチェックし、接着強度が1kg/cm以下になった時点を、塗料のポットライフとした。結果を表1に示す。なお、表1における記号の判断基準は以下の通りである。
◎:ポットライフが3ヶ月以上ある。
○:ポットライフが1ヶ月を越え、3ヶ月未満である。
△:ポットライフが1ヶ月未満である。
(気泡の有無)
作製された異方性導電膜を光学顕微鏡で観察し、1cmあたりの気泡の数を数えた。気泡が多いものは、異方性導電膜として使用する際に、接続不良になりやすい。結果を表1に示す。なお、表1における記号の判断基準は以下の通りである。
◎:気泡がほとんど見られず、1cmでの気泡数は1個未満。概観も良い。
○:1cmあたりの気泡数が1個以上、3個未満。概観も良い。
△:1cmあたりの気泡数が3個以上、概観は難がある。
(接続信頼性)
幅25μm、長さ50μm、厚み9μmのAu電極が25μm間隔で配列されている電極を有するFPCを用意した。この電極パターン上に前記配合例を用いて作製した異方性導電膜を載せた。さらにその上にAl膜を蒸着したガラス基板を載せ、100℃に加熱し、Au電極の1電極あたり10gの加重を加え接着した。この試料を接続抵抗計測用試料とした。接続抵抗の計測値は、隣り合う2つのAu電極間の抵抗を計測し、その値を1/2したものを用いた。
次に、同じFPCと異方性導電膜のペアに、Al膜のないガラス基板を載せ、100℃に加熱し、Au電極の1電極あたり10gの加重を加え接着した。この試料を絶縁抵抗計測用試料とした。絶縁抵抗の計測値は、隣り合う2つのAu電極間の抵抗値を用いた。
以上の用意された試料を、温度85℃、湿度85%RHに保った恒温恒温槽に入れ、500時間放置した。その後、取り出して室温状態で抵抗測定を行った。その結果を表1に示す。なお、表1における記号の判断基準は以下の通りである。
良否の基準を、接続抵抗が1Ω以下を良好とし、1Ωを越える場合を不良と判断。また、絶縁抵抗は、100MΩを越える場合を良好とし、100MΩ以下の場合は、不良と判断。
◎:不良発生率0%。
○:不良発生率1%以下。
△:不良発生率が1%を越える。
Figure 0005204365
表1に示すように、異方性導電塗料の配合例13及び14は粘度が1Pa・s未満か50Pa・s以上であるため、導電膜にした際に良好な導電膜を得ることが出来なかった。このことから、異方性導電塗料は常温(25℃)粘度が1Pa・s以上50Pa・s以下の範囲として用いるのがよい。その他の配合例は導電性膜を作製できた。
相対蒸発速度が0.001である溶剤を用いた配合例9は導電膜の形成は出来るが、乾燥時間が長く作業性に劣る。そしてポットライフとしても短期間で使用できなくなるため、好ましくない。逆に相対蒸発速度が11である溶剤を用いた配合例10は、導電膜の形成時間は短時間となり、且つポットライフもかなり長くあるが、乾燥時間が短すぎ、気泡を含んでしまうため好ましくない。同様に相対蒸発速度が5を越える溶剤を用いた配合例11と12は、導電膜形成は可能であるが、蒸発速度が大きいため、気泡を含みやすく不良を発生しやすい。このような場合は、作業時間は長くなるが、乾燥温度を下げ使用するとよい。以上から相対蒸発速度が0.1以上5以下の範囲にある溶剤を用いると、作業性も良くポットライフも使用上問題とならない範囲にあり、好ましい。
SP値が8以上12以下の範囲にない溶剤を用いた配合例8は、導電膜を形成できるが、樹脂の溶解性が良くないため、溶剤量を増やした結果、乾燥時間が長くなり、できた導電膜も外観が良くない。特にポットライフは短くなる。別の配合例10と11は、相対蒸発速度が大きいこともあり、使用は可能であるが、導電膜形成時に気泡を巻き込み易いため、異方性導電膜として使用する際に、不良が発生しやすい。その他の配合例1〜7については、問題なく使用できる異方性導電膜を得ている。塗料の乾燥時に適当な乾燥ができ、塗料としてのポットライフもかなり長いため、冷所に保管して繰り返し使うことが出来る。また、作製した異方性導電膜は金属微粉末が膜の厚み方向に配向しているため隣接回路との絶縁抵抗も大きく、電極間の接続抵抗も十分小さくなっている。その中でも特に好ましい配合例は、環状エーテルを溶剤に用いた配合例1〜5である。
配合例15は配合例1に用いた、粒状の金属粒子が鎖状に繋がった形状を有する金属微粉末を主体とする導電性金属粒子の代わりに、平均粒径5μmの球状Ni粒子を用いた配合例である。異方性導電膜として使用するためには、金属粒子の量を多く配合した。その結果として表2に示すように、導電性は維持できるものの、隣接する電極との抵抗不足による不良が多くなった。
また、導電膜とする際に、膜中の残存溶剤量を1.5%目標で乾燥したが、配合例1を用いて、残存溶剤量が5%とする配合例16を作製した。この試料の接続信頼性を計測した結果、表2に示すように不良率が18%となり、膜中の残存溶剤量は2%以下としておくのがよい。この不良原因は、残存溶剤が空気中の水分を吸収する結果、接続不良を引き起こしていることが確認された。
配合例17は、配合例1の塗料を製膜する際、磁場をかけずに製摸したものであるが、表2に示すように、導通性不十分による不良が多発した。
Figure 0005204365
発明の効果
本発明の異方性導電塗料及びそれを用いた異方性導電膜は、塗料において作業性がよく、長期安定性を有し、膜において不良発生要因となる気泡を含みにくく、かつ電極間の接続信頼性が大きい。

Claims (1)

  1. 粒状の磁性金属粒子が鎖状に繋がった形状を有する磁性体金属微粉末を含む導電性金属粒子、エポキシ系樹脂またはアクリル系樹脂、潜在性硬化剤及び溶剤を主成分とし、常温における粘度が1Pa・s以上50Pa・s以下の範囲であり、
    前記溶剤の、式1で表される相対蒸発速度(V)が、酢酸n−ブチルを1としたときに、0.1以上5以下であり、かつ、
    前記溶剤の、溶解パラメータ(SP)が8〜12の範囲である異方性導電塗料を用いた異方導電膜の製造方法であって、膜の厚み方向に磁場をかけた状態で膜を形成し、前記磁性体金属微粉末を膜の厚み方向に配向させることを特徴とする異方性導電膜の製造方法。
    式1:V=ΣaiVi (ai:i成分の重量分率、Vi:i成分の相対蒸発速度)
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