JP6660921B2 - 電子基板の製造方法 - Google Patents
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Description
しかしながら、はんだ接合では、電子基板の配線における金属とはんだとの合金層ができることで接合される。そのため、例えば、電子基板の配線が極端に薄い(例えば1μm以下)場合には、配線の金属がはんだ中に拡散し、配線がくわれてしまうという問題があった。
本発明の導電性接着剤は、厚みが1μm以下の配線に電子部品を接続するために用いる導電性接着剤であって、(A)導電性粒子と、(B)エポキシ樹脂と、(C)活性剤と、(D)硬化剤と、を含有し、前記(A)成分が、(A1)融点が300℃以上の導電性粒子と、(A2)融点が150℃以下のはんだ粉末と、を含有し、前記(A2)成分の配合量が、前記(A)成分100質量%に対して、1質量%以上55質量%以下であることを特徴とするものである。
すなわち、本発明の導電性接着剤においては、(A2)融点が150℃以下のはんだ粉末が、電子基板の配線および電子部品の電極だけでなく、(A1)融点が300℃以上の導電性粒子を含めて、はんだ接合を形成する。このはんだ接合により、接合部分の抵抗値を十分に低くできる。一方で、導電性接着剤中の(A2)成分の配合量は、従来のソルダペーストと比較して少なく、また、(A2)成分は(A1)成分とのはんだ接合にも利用されるため、従来のソルダペーストと比較して、格段にはんだによる配線のくわれを抑制できる。以上のようにして、上記本発明の効果が達成されるものと本発明者らは推察する。
まず、本実施形態の導電性接着剤について説明する。本実施形態の導電性接着剤は、以下説明する(A)導電性粒子、(B)エポキシ樹脂、(C)活性剤および(D)硬化剤を含有するものである。また、この導電性接着剤は、具体的には、(B)エポキシ樹脂、(C)活性剤および(D)硬化剤を含有する樹脂組成物をバインダーとして、(A)導電性粒子を分散させたものである。
本実施形態に用いる(A)導電性粒子は、(A1)融点が300℃以上の導電性粒子と、(A2)融点が150℃以下のはんだ粉末と、を含有するものである。
本実施形態に用いる(A1)融点が300℃以上の導電性粒子としては、導電性を有する粒子(粉末)であれば、適宜公知のものを用いることができる。この(A1)成分としては、無機物粒子(ニッケル、銅、銀、カーボンなど)、無機物粒子の表面に導電性の高い金属(銀、金など)をコーティングした粒子、有機物粒子の表面に導電性の高い金属(銀、金など)をコーティングした粒子などが挙げられる。これらの導電性粒子の中でも、導電性の観点から、銀粒子が好ましい。
この(A1)成分の平均粒子径は、通常0.1μm以上40μm以下であるが、導電性の観点と、パッドのピッチが狭い電子基板にも対応するという観点から、0.15μm以上20μm以下であることがより好ましく、0.5μm以上15μm以下であることがさらに好ましく、1μm以上12μm以下であることが特に好ましい。また、(A1)成分の形状が球状である場合、その平均粒子径は、0.15μm以上5μm以下であることがより好ましく、0.15μm以上3μm以下であることが特に好ましい。なお、平均粒子径は、(A1)成分の形状が球状などである場合には、動的光散乱式の粒子径測定装置により測定できる。また、(A1)成分の形状がフレーク状、針状などである場合には、電子顕微鏡による観察により測定できる(長軸方向の長さの平均値)。
この(A2)成分は、無鉛のはんだ粉末のみからなることが好ましいが、有鉛のはんだ粉末であってもよい。このはんだ粉末におけるはんだ合金としては、スズ(Sn)を主成分とする合金が好ましい。また、この合金の第二元素としては、ビスマス(Bi)およびインジウム(In)などが挙げられる。さらに、この合金には、必要に応じて他の元素(第三元素以降)を添加してもよい。他の元素としては、銅(Cu)、銀(Ag)、ニッケル(Ni)、ビスマス、インジウム、アンチモン(Sb)、およびアルミニウム(Al)などが挙げられる。
この(A2)成分の平均粒子径は、通常1μm以上40μm以下であるが、導電性の観点と、パッドのピッチが狭い電子基板にも対応するという観点から、1μm以上20μm以下であることがより好ましく、2μm以上15μm以下であることがさらにより好ましく、3μm以上12μm以下であることが特に好ましい。なお、平均粒子径は、動的光散乱式の粒子径測定装置により測定できる。
本実施形態の導電性接着剤は、以下説明する樹脂組成物と、前記(A)成分とを含有するものである。
樹脂組成物の配合量は、導電性接着剤100質量%に対して、5質量%以上50質量%以下であることが好ましく、10質量%以上40質量%以下であることがより好ましく、15質量%以上30質量%以下であることが特に好ましい。樹脂組成物の配合量が5質量%未満の場合(導電性粒子の配合量が95質量%を超える場合)には、バインダーとしての樹脂組成物が足りないため、樹脂組成物と導電性粒子とを混合しにくくなる傾向にあり、他方、樹脂組成物の配合量が50質量%を超える場合(導電性粒子の配合量が50質量%未満の場合)には、得られる導電性接着剤を用いた場合に、十分な導電性を得られにくくなる傾向にある。
本実施形態に用いる(B)エポキシ樹脂としては、公知のエポキシ樹脂を適宜用いることができる。このようなエポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ビフェニル型、ナフタレン型、クレゾールノボラック型、フェノールノボラック型、およびジシクロペンタジエン型などのエポキシ樹脂が挙げられる。
これらのエポキシ樹脂は1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。例えば、電子部品の接着強度、硬化物の柔軟性や強靭性などの物性のバランスの観点から、エポキシ樹脂と、熱硬化性エラストマーとを併用してもよい。
また、これらのエポキシ樹脂は、常温(25℃)で液状のものを含有することが好ましく、常温で固形のものを用いる場合には、常温で液状のものと併用することが好ましい。
本発明に用いる(C)活性剤としては、有機酸、有機酸アミン塩、非解離性のハロゲン化化合物からなる非解離型活性剤、アミン系活性剤などが挙げられる。これらの活性剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。なお、これらの中でも、活性作用およびエポキシ樹脂の硬化性の観点からは、炭素数4〜10のジカルボン酸、炭素数4〜10のジカルボン酸のアミン塩などが好ましい。
炭素数4〜10のジカルボン酸としては、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸などが挙げられる。これらの中でも、炭素数5〜8のジカルボン酸がより好ましい。
炭素数4〜10のジカルボン酸のアミン塩は、炭素数4〜10(好ましくは、炭素数6〜8)のジカルボン酸と、アミンとの塩である。このアミンは、適宜公知のアミンを用いることができる。このようなアミンは、芳香族アミンであってもよく、脂肪族アミンであってもよい。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。このようなアミンとしては、有機酸アミン塩の安定性などの観点から、炭素数3〜13のアミンを用いることが好ましく、炭素数4〜7の1級アミンを用いることがより好ましい。
本実施形態に用いる(D)硬化剤としては、適宜公知の硬化剤を用いることができる。(D)成分としては、例えば、潜在性硬化剤、脂肪族ポリアミン系硬化剤、アミンアダクト系硬化剤およびイミダゾール系硬化促進剤などが挙げられる。これらの硬化剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
潜在性硬化剤としては、例えば、ノバキュアHX−3722、HX−3721、HX−3748、HX−3088、HX−3613、HX−3921HP、HX−3941HP(旭化成エポキシ社製、商品名)、ジシアンジアミド(DICY)が挙げられる。
脂肪族ポリアミン系硬化剤としては、フジキュアFXR−1020、FXR−1030、FXR−1050、FXR−1080、FXR−1081(T&K TOKA社製、商品名)などが挙げられる。
アミンアダクト系硬化剤としては、例えば、アミキュアPN−23、PN−F、MY−24、VDH、UDH、PN−31、PN−40(味の素ファインテクノ社製、商品名)、EH−3615S、EH−3293S、EH−3366S、EH−3842、EH−3670S、EH−3636AS、EH−4346S、EH−5016S(ADEKA社製、商品名)が挙げられる。
イミダゾール系硬化促進剤としては、例えば、2P4MHZ、1B2PZ、2MZA、2PZ、C11Z、C17Z、2E4MZ、2P4MZ、C11Z−CNS、2PZ−CN(四国化成工業社製など、商品名)が挙げられる。
本実施形態に用いる樹脂組成物には、導電性接着剤の塗布性の観点から、溶剤を用いてもよい。
この溶剤としては、適宜公知の溶剤を用いることができ、例えば、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、n−ドデカンなどの脂肪族炭化水素類、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類、メタノール、イソプロパノール、シクロヘキサノールなどのアルコール類、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンなどの脂環式炭化水素類、石油エーテル、石油ナフサなどの石油系溶剤類、セロソルブ、ブチルセロソルブなどのセロソルブ類、カルビトール、ブチルカルビトールなどのカルビトール類、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、カルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、エチルジグリコールアセテート(EDGAC)、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテートなどのエステル類が挙げられる。これらの溶剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
本実施形態の導電性接着剤は、上記説明した樹脂組成物と上記説明した(A)導電性粒子とを上記所定の割合で配合し、撹拌混合することで製造できる。
次に、本実施形態の電子基板の製造方法について説明する。
本実施形態の電子基板の製造方法は、前述した導電性接着剤を用いて電子基板を製造する方法であって、以下説明する塗布工程、搭載工程、および熱硬化工程を備える方法である。
配線基板は、リジット基板であってもよく、フレキシブル基板であってもよい。配線基板の基材としては、特に限定されず、公知の基材を適宜用いることができる。
配線の厚みは、1μm以下であるが、本実施形態の電子基板の製造方法によれば、はんだによる配線のくわれを十分に抑制できるので、配線の厚みは、0.5μm以下であってもよく、0.2μm以下であってもよい。
配線の金属としては、銅、銀、および金などが挙げられる。また、配線は、蒸着法、めっき法などで形成できる。
また、塗布装置としては、スクリーン印刷機、メタルマスク印刷機、ディスペンサー、ジェットディスペンサーなどが挙げられる。
塗布膜の厚みは、30μm以上1000μm以下であることが好ましく、50μm以上500μm以下であることがより好ましく、100μm以上200μm以下であることが特に好ましい。
電子部品としては、チップ、およびパッケージ部品などが挙げられる。
また、搭載装置としては、適宜公知の搭載装置を用いることができる。
加熱炉としては、公知の加熱炉を適宜用いることができる。
加熱条件としては、加熱温度が、(A2)成分の融点よりも高く、かつ160℃以下であることが好ましく、(A2)成分の融点よりも1℃以上高く、かつ155℃以下であることがより好ましく、(A2)成分の融点よりも5℃以上高く、かつ150℃以下であることが特に好ましい。加熱温度が前記範囲内であれば、はんだ接合を形成するとともに樹脂組成物を十分に硬化させることができ、電子基板に搭載された電子部品への悪影響も少ない。
加熱時間は、10分間以上2時間以下であることが好ましく、15分間以上1時間以下であることがより好ましく、20分間以上40分間以下であることが特に好ましい。加熱時間が前記範囲内であれば、樹脂組成物を十分に硬化させることができ、電子基板に搭載された電子部品への悪影響も少ない。
なお、本発明の導電性接着剤および電子基板の製造方法は、前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良などは本発明に含まれるものである。
((A1)成分)
導電性粒子A:銀粉末(フレーク状)、粒子径は0.15〜3μm、商品名「TC−728S」、徳力本店社製
導電性粒子B:銀粉末(フレーク状)、平均粒子径は3.5μm、商品名「FA−8−1」、DOWA社製
((A2)成分)
はんだ粉末A:粒子径は2〜6μm、はんだの融点は139℃、はんだの組成は42Sn/58Bi
はんだ粉末B:粒子径は10〜20μm、はんだの融点は120℃、はんだの組成は50Sn/50In
((B)成分)
エポキシ樹脂A:ビスフェノールF型エポキシ樹脂、DIC社製、商品名「EXA−830LVP」
エポキシ樹脂B:ビフェニルノボラック型エポキシ樹脂、商品名「NC−3000」、日本化薬社製
((C)成分)
活性剤A:アジピン酸、東京化成工業社製
活性剤B:n−ブチルアミンアジピン酸塩、昭和化学社製
活性剤C:グルタル酸
((D)成分)
硬化剤A:2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、四国化成工業社製、商品名「キュアゾール2P4MHZ−PW」
硬化剤B:2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、四国化成工業社製、商品名「キュアゾール2MZA−PW」
(他の成分)
レベリング剤:商品名「フローレンAC−326F」、共栄社化学社製
エポキシ樹脂A83質量%、活性剤A3.5質量%、活性剤B5質量%、硬化剤A4質量%、硬化剤B4質量%およびレベリング剤0.5質量%を容器に投入して混合し、その後、三本ロールを用いて、分散し混合して樹脂組成物を得た。その後、得られた樹脂組成物20質量%、導電性粒子A75質量%およびはんだ粉末A5質量%(合計で100質量%)を容器に投入し、混練機にて混合することで導電性接着剤を調製した。
そして、配線基板(銅配線の厚み:35μm、電極の大きさ:0.56mm×0.8mm)に、電極に対応するパターンを有するマスク(厚み:50μm)を用い、得られた導電性接着剤を印刷した。その後、電子部品(チップ部品、大きさ:1.6mm×0.8mm、チップ抵抗:0Ω)を搭載し、150℃に設定したホットプレートにて30分間の加熱処理を行い、電子部品を配線基板に接合した。
下記表1に示す組成に従い各材料を配合した以外は実施例1と同様にして、導電性接着剤を得た。
そして、得られた導電性接着剤を用いた以外は実施例1と同様にして、電子部品を基板に接合した。
[比較例2]
下記表1に示す組成に従い各材料を配合した以外は実施例1と同様にして、導電性接着剤を得た。
そして、得られた導電性接着剤を用い、加熱処理としてリフロー処理(昇温速度:1.8℃/秒、155℃〜165℃の保持時間:4分間)を行った以外は実施例1と同様にして、電子部品を基板に接合した。
導電性接着剤の評価(抵抗値、配線のくわれ)を以下のような方法で行った。得られた結果を表1に示す。
(1)抵抗値
実施例および比較例で得られた基板を評価基板とし、デジタルマルチメーター(アジレント社製の「34410A」)を用いて接続抵抗値を測定した。そして、接続抵抗値を以下の基準に従って評価した。
◎:接続抵抗値が、0.1Ω未満である。
○:接続抵抗値が、0.1Ω以上0.5Ω未満である。
△:接続抵抗値が、0.5Ω以上5Ω未満である。
×:接続抵抗値が、5Ω以上1000Ω未満である。
××:接続抵抗値が、1000Ω以上である。
(2)配線のくわれ
配線基板(厚みが25μmのポリイミドフィルム上に、厚みが0.3μmの銅を蒸着した配線基板)に、5mm角のマスク(厚み:50μm)を用い、導電性接着剤を印刷し、その後、150℃に設定したホットプレートにて30分間の加熱処理を行い、評価基板を作製した。なお、比較例2のみ、160℃に設定したホットプレートにて4分間の加熱処理を行い、評価基板を作製した。
次に、イオンミリングにて、得られた評価基板の断面観察用の試料を作製し、電界放出走査電子顕微鏡(FE−SEM)を用いて、はんだが溶融している箇所を観察するとともに、元素分析を行った。そして、配線のくわれを以下の基準に従って評価した。
○:銅配線が残っている。例えば、図1に示すように、元素分析により観察した画像で、銅(Cu)が途切れることなく、連続的に存在している状態である。
×:銅配線が残っていない。例えば、図2に示すように、元素分析により観察した画像で、銅(Cu)が途切れており、連続的に存在していない状態である。
なお、図1および図2は、評価基板の断面を電界放出走査電子顕微鏡(FE−SEM)および元素分析により観察した画像である。そして、図1および図2は、FE−SEMの観察画像、その観察画像を拡大した拡大観察画像、並びに、その拡大観察画像において元素分析により銅(Cu)の存在を観察したCu観察画像を有している。
これに対し、本発明における(A2)成分を含有しない導電性接着剤を用いた場合(比較例1)には、抵抗値が高すぎることが分かった。また、はんだ組成物による接合の場合(比較例2)には、はんだによる配線のくわれが発生することが分かった。
Claims (2)
- (A)導電性粒子と、(B)エポキシ樹脂と、(C)活性剤と、(D)硬化剤と、を含有し、前記(A)成分が、(A1)融点が300℃以上の導電性粒子と、(A2)融点が150℃以下のはんだ粉末と、を含有し、前記(A2)成分の配合量が、前記(A)成分100質量%に対して、1質量%以上55質量%以下である導電性接着剤を用いて電子基板を製造する方法であって、
厚みが1μm以下の配線を有する配線基板の電極上に、前記導電性接着剤を塗布する塗布工程と、
前記導電性接着剤上に、電子部品を搭載する搭載工程と、
前記(A2)成分の融点よりも高い温度で加熱して、前記導電性接着剤を硬化させる熱硬化工程と、を備える
ことを特徴とする電子基板の製造方法。 - 請求項1に記載の電子基板の製造方法において、
前記配線が、銅からなる
ことを特徴とする電子基板の製造方法。
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