JP6203783B2 - 導電性接着剤および電子基板の製造方法 - Google Patents
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Description
一方で、電子部品は、リジット基板だけでなく、フレキシブル基板にも実装されるようになってきている。フレキシブル基板は容易に変形するため、電子部品の接合部分にも繰り返しの変形による応力がかかる。また、電子部品をリジット基板に実装した場合であっても、温度変化が大きい環境に用いられる場合には、温度変化により導電性接着剤が変形するため、電子部品の接合部分に繰り返しの変形による応力がかかる。そして、このような繰り返しの変形によって、電子部品の接合部分が破断するおそれがある。
本発明の導電性接着剤は、(A)導電性粒子と、(B)樹脂と、(C)樹脂硬化剤と、を含有する導電性接着剤であって、前記(B)樹脂が、(B1)熱硬化性樹脂と、(B2)熱可塑性樹脂と、を含有し、前記(B1)熱硬化性樹脂が、ロタキサン構造を有する熱硬化性エラストマーを含有し、前記(B2)熱可塑性樹脂が、ロタキサン構造を有する熱可塑性エラストマーであり、当該導電性接着剤からなる成形体が、下記条件(i)〜(iii)の全てを満たすことを特徴とするものである。
条件(i):引張弾性率が0.2GPa以下である。
条件(ii):破断伸び率が10%以上である。
条件(iii):体積抵抗値が1×10 −2 Ω・cm以下である。
本発明の導電性接着剤においては、前記(B1)熱硬化性樹脂が、エポキシ樹脂を、さらに含有することが好ましい。
本発明の導電性接着剤においては、前記(B1)熱硬化性樹脂が、エポキシ基およびイソシアネート基のうちの少なくともいずれかの基を有することが好ましい。
本発明の導電性接着剤においては、当該導電性接着剤が、(D)溶剤および(E)チクソ剤を、さらに含有してもよい。
本発明の導電性接着剤においては、当該導電性接着剤からなる成形体における破断伸び率が20%以上であることが好ましい。
本発明の電子基板の製造方法は、前記導電性接着剤を用いて、電子部品を電子基板に実装することを特徴とする方法である。
すなわち、繰り返しの変形によって電子部品の接合部分が破断するメカニズムは、疲労破壊(亀裂の発生、成長、伝播を経て、最終破壊が生ずる破壊)であると本発明者らは推察する。これに対し、本発明の導電性接着剤では、成形体(接合部分)の引張弾性率が1.5GPa以下と低い。そのため、接合部分が変形することで、接合部分にかかる応力を緩和することができ、亀裂の発生を抑制できる。また、本発明の導電性接着剤では、接合部分の破断伸び率が1%以上と高い。そのため、接合部分が変形したとしても、接合部分が破断しにくい。さらに、本発明の導電性接着剤では、接合部分の体積抵抗値が5×10−1Ω・cm以下と低いために、導電性接着剤として十分な導電性を有する。以上のようにして、上記本発明の効果が達成されるものと本発明者らは推察する。
まず、本発明の導電性接着剤について説明する。本発明の導電性接着剤は、以下説明する(A)導電性粒子および(B)樹脂を含有するものである。この導電性接着剤は、具体的には、(B)樹脂を含有する樹脂組成物をバインダーとして、(A)導電性粒子を分散させたものである。
この導電性接着剤を電子基板上に塗布し、導電性接着剤上に電子部品を配置し、加熱炉などにより所定条件にて加熱して、導電性接着剤を硬化または乾燥させることにより、電子部品を電子基板に実装できる。
引張弾性率が条件(i)の上限を超える場合には、繰り返しの変形に対する耐性が不十分となる。また、引張弾性率は、0.1MPa以上1.5GPa以下であることが好ましく、1MPa以上0.5GPa以下であることがより好ましく、1MPa以上0.2GPa以下であることが特に好ましい。引張弾性率が前記上限値以下であれば、繰り返しの変形に対する耐性を更に向上させることができる。そして、例えば、電子部品をフレキシブル基板に実装する場合などにも対応できる。他方、引張弾性率が前記下限値以上であれば、繰り返しの変形に対する耐性とその他の物性とのバランスがとれる。
破断伸び率が条件(ii)の下限未満の場合には、繰り返しの変形に対する耐性が不十分となる。また、繰り返しの変形に対する耐性とその他の物性とのバランスの観点から、破断伸び率は、1%以上1000%以下であることが好ましく、5%以上500%以下であることがより好ましく、10%以上500%以下であることが特に好ましい。破断伸び率が前記下限値以上であれば、繰り返しの変形に対する耐性を更に向上させることができる。そして、例えば、電子部品をフレキシブル基板に実装する場合などにも対応できる。他方、破断伸び率が前記上限値以下であれば、繰り返しの変形に対する耐性とその他の物性とのバランスがとれる。
体積抵抗値が条件(iii)の上限を超える場合には、導電性が不十分となる。また、導電性とその他の物性とのバランスの観点から、体積抵抗値は、10−6Ω・cm以上5×10−1Ω・cm以下であることが好ましく、10−6Ω・cm以上10−2Ω・cm以下であることがより好ましく、10−6Ω・cm以上10−3Ω・cm以下ことが特に好ましい。
体積抵抗値は、導電性接着剤からなる成形体(長さ:50mm、幅:10mm、厚み:100μm)を試料として、三菱化学アナリテック社製の低抵抗率計「ロレスタGP MCP−T610型」を用いて測定できる(測定温度23℃)。
引張弾性率は、樹脂の種類、導電性粒子の配合量などを変更することによって調整できる。例えば、導電性粒子の配合量を少なくすれば、引張弾性率を小さくできる。
破断伸び率は、樹脂の種類、導電性粒子の配合量などを変更することによって調整できる。例えば、導電性粒子の配合量を少なくすれば、破断伸び率を大きくできる。
体積抵抗値は、樹脂の種類、導電性粒子の形状、粒子径および配合量などを変更することによって調整できる。例えば、導電性粒子の配合量を多くすれば、体積抵抗値を小さくできる。また、導電性粒子の粒子径を大きくすれば、体積抵抗値を小さくできる。
本発明に用いる(A)導電性粒子としては、導電性を有する粒子(粉末)であれば、適宜公知のものを用いることができる。この(A)成分としては、無機物粒子(ニッケル、銅、銀、カーボンなど)、無機物粒子の表面に導電性の高い金属(銀、金など)をコーティングした粒子、有機物粒子の表面に導電性の高い金属(銀、金など)をコーティングした粒子などが挙げられる。これらの導電性粒子の中でも、導電性の観点から、銀粒子が好ましい。
この(A)成分の形状は、特に限定されず、球状、フレーク状、針状などが挙げられる。これらの形状は1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。例えば、球状の粉末とフレーク状の粉末とを混合してもよい。また、これらの中でも、導電性の観点から、少なくともフレーク状の粉末を含有することが好ましい。
前記(A)成分の平均粒子径は、通常1μm以上40μm以下であるが、導電性の観点と、パッドのピッチが狭い電子基板にも対応するという観点から、1μm以上20μm以下であることがより好ましく、2μm以上15μm以下であることがさらにより好ましく、3μm以上12μm以下であることが特に好ましい。なお、平均粒子径は、(A)成分の形状が球状などである場合には、動的光散乱式の粒子径測定装置により測定できる。また、(A)成分の形状がフレーク状、針状などである場合には、電子顕微鏡による観察により測定できる(長軸方向の長さの平均値)。
本発明の導電性接着剤は、以下説明する樹脂組成物と、前記(A)成分とを含有するものである。
前記樹脂組成物の配合量は、導電性接着剤100質量%に対して、5質量%以上40質量%以下であることが好ましく、10質量%以上35質量%以下であることがより好ましく、15質量%以上30質量%以下であることが特に好ましい。樹脂組成物の配合量が5質量%未満の場合(導電性粒子の配合量が95質量%を超える場合)には、バインダーとしての樹脂組成物が足りないため、樹脂組成物と導電性粒子とを混合しにくくなる傾向にあり、他方、樹脂組成物の配合量が40質量%を超える場合(導電性粒子の配合量が60質量%未満の場合)には、得られる導電性接着剤を用いた場合に、十分な導電性を得られにくくなる傾向にある。
本発明に用いる(B)樹脂としては、(B1)熱硬化性樹脂および(B2)熱可塑性樹脂が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
前記(B1)熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、メラミン樹脂、ウレア樹脂、熱硬化性エラストマーなどが挙げられる。これらの熱硬化性樹脂は、電子部品の接着強度の観点から、エポキシ基およびイソシアネート基のうちの少なくともいずれかの基を有することが好ましい。また、引張弾性率および破断伸び率の観点から、これらの熱硬化性樹脂はエラストマー変性されていてもよい。さらに、引張弾性率をより小さくし、破断伸び率をより大きくするという観点から、これらの熱硬化性樹脂は、ロタキサン構造を有することが好ましい。
(B1)成分のうちエポキシ基を有するエポキシ樹脂としては、公知のエポキシ樹脂を適宜用いることができる。このようなエポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ビフェニル型、ナフタレン型、クレゾールノボラック型、フェノールノボラック型、およびジシクロペンタジエン型などのエポキシ樹脂が挙げられる。
(B1)成分のうちイソシアネート基を有する樹脂としては、公知のウレタン樹脂が挙げられる。このようなウレタン樹脂は、イソシアネート基を有する化合物と、水酸基を有する化合物との反応により硬化する。
(B1)成分のうちロタキサン構造を有する樹脂(熱硬化性エラストマー)としては、例えば、アドバンストソフトマテリアルズ社製の「セルム スーパーポリマー」が挙げられる。
これらの熱硬化性樹脂は1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。例えば、電子部品の接着強度、引張弾性率および破断伸び率などの物性のバランスの観点から、エポキシ樹脂と、熱硬化性エラストマーとを併用してもよい。
また、これらの熱硬化性樹脂は、常温(25℃)で液状のものを含有することが好ましく、常温で固形のものを用いる場合には、常温で液状のものと併用することが好ましい。
なお、(B)成分として、(B1)熱硬化性樹脂と(B2)熱可塑性樹脂とを併用する場合には、電子部品の接着強度、引張弾性率および破断伸び率などの物性のバランスの観点から、(B1)成分としてエポキシ樹脂などを用い、(B2)成分として熱可塑性エラストマーを用いてもよい。
また、(B)成分として、(B1)熱硬化性樹脂を用いずに、(B2)熱可塑性樹脂のみを用いることも可能であるが、このような場合、他に重合性化合物および重合開始剤などが必要となる。
本発明に用いる樹脂組成物には、前記(B)成分として(B1)熱硬化性樹脂を用いる場合に、(C)樹脂硬化剤を用いることが好ましい。
この(C)樹脂硬化剤としては、適宜公知の硬化剤を用いることができる。例えば、(B1)熱硬化性樹脂として、エポキシ樹脂を用いる場合には、以下のようなものを用いることができる。これらの硬化剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
潜在性硬化剤としては、例えば、ノバキュアHX−3722、HX−3721、HX−3748、HX−3088、HX−3613、HX−3921HP、HX−3941HP(旭化成エポキシ社製、商品名)、ジシアンジアミド(DICY)が挙げられる。
芳香族アミン系硬化剤としては、例えば、DPE/ODA、BAPP(和歌山精化工業社製、商品名)、4,4’−メチレンジアニリンが挙げられる。
脂肪族ポリアミン系硬化剤としては、例えば、フジキュアFXR−1020、FXR−1030、FXR−1050、FXR−1080、FXR−1081(T&K TOKA社製、商品名)が挙げられる。
アミンアダクト系硬化剤としては、例えば、アミキュアPN−23、PN−F、MY−24、VDH、UDH、PN−31、PN−40(味の素ファインテクノ社製、商品名)、EH−3615S、EH−3293S、EH−3366S、EH−3842、EH−3670S、EH−3636AS、EH−4346S、EH−5016S(ADEKA社製、商品名)が挙げられる。
イミダゾール系硬化促進剤としては、例えば、2P4MHZ、1B2PZ、2MZA、2PZ、C11Z、C17Z、2E4MZ、2P4MZ、C11Z−CNS、2PZ−CNZ(四国化成工業社製など、商品名)が挙げられる。
本発明に用いる樹脂組成物には、導電性接着剤の塗布性の観点から、(D)溶剤を用いてもよい。
この(D)溶剤としては、適宜公知の溶剤を用いることができ、例えば、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、n−ドデカンなどの脂肪族炭化水素類、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類、メタノール、イソプロパノール、シクロヘキサノールなどのアルコール類、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンなどの脂環式炭化水素類、石油エーテル、石油ナフサなどの石油系溶剤類、セロソルブ、ブチルセロソルブなどのセロソルブ類、カルビトール、ブチルカルビトールなどのカルビトール類、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、カルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、エチルジグリコールアセテート(EDGAC)、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテートなどのエステル類などが挙げられる。これらの溶剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
本発明に用いる樹脂組成物には、導電性接着剤の塗布性の観点から、(E)チクソ剤を用いてもよい。
この(E)チクソ剤としては、公知のチクソ剤を適宜用いることができ、例えば、脂肪酸アマイド、水添ヒマシ油、オレフィン系ワックス、無機微粒子(アモルファスシリカなど)、有機微粒子(アクリル系樹脂など)が挙げられる。
本発明に用いる樹脂組成物には、前記(B)成分、前記(C)成分、前記(D)成分および前記(E)成分の他に、必要に応じて、その他の添加剤を加えることができる。その他の添加剤としては、重合性化合物(重合性オリゴマー、反応性希釈剤など)、重合開始剤(有機過酸化物など)、消泡剤、酸化防止剤、改質剤、つや消し剤などが挙げられる。
本発明の導電性接着剤は、上記説明した樹脂組成物と上記説明した(A)導電性粒子とを上記所定の割合で配合し、撹拌混合することで製造できる。
次に、本発明の電子基板について説明する。本発明の電子基板は、以上説明した導電性接着剤を用いて電子部品を電子基板(プリント配線基板など)に実装したことを特徴とするものである。そのため、本発明の電子基板では、導電性接着剤を用いて電子部品を電子基板に実装でき、また、その接合部分は繰り返しの変形に対する耐性を有する。
ここで用いる塗布装置としては、スクリーン印刷機、メタルマスク印刷機、ディスペンサー、ジェットディスペンサーなどが挙げられる。
また、前記塗布装置にて塗布した導電性接着剤上に電子部品を配置し、加熱炉などにより所定条件にて加熱して、導電性接着剤を硬化させることにより、前記電子部品を電子基板に実装できる。
導電性接着剤の硬化条件は、導電性接着剤の硬化成分の種類に応じて適宜設定すればよい。例えば、エポキシ樹脂やロタキサン構造を有する樹脂を含有する導電性接着剤を用いる場合には、130〜170℃に設定した加熱炉にて0.5〜8時間の加熱処理をすればよい。
例えば、前記導電性接着剤では、(B)樹脂として熱硬化性樹脂を用いる場合を中心に説明したが、これに限定されない。例えば、(B)樹脂として熱硬化性樹脂に代えて熱可塑性樹脂を用いてもよい。このような場合、熱可塑性樹脂と、重合性化合物(重合性オリゴマー、反応性希釈剤など)と、重合開始剤(有機過酸化物など)とを併用することにより、熱硬化性を有する導電性接着剤が得られる。
((A)成分)
導電性粒子:銀粉末(フレーク状)、平均粒子径4μm、DOWA社製、商品名「FA−8−1」
((B1)成分)
熱硬化性エラストマー:1液硬化型熱硬化性エラストマー、アドバンストソフトマテリアルズ社製、商品名「セルム スーパーポリマーSH3400S」
エポキシ樹脂A:ビスフェノールF型エポキシ樹脂、DIC社製、商品名「EXA−830LVP」
エポキシ樹脂B:変性エポキシ樹脂、DIC社製、商品名「EXA−4850−150」
エポキシ樹脂C:ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、DIC社製、商品名「HP−7200」
((B2)成分)
熱可塑性エラストマーA:アドバンストソフトマテリアルズ社製、商品名「セルム スーパーポリマーSH3400P」
熱可塑性エラストマーB:アクリル系ブロック共重合体、クラレ社製、商品名「LA−2140e」
((C)成分)
樹脂硬化剤A:芳香族アミン系硬化剤、和歌山精化工業社製、商品名「DPE/ODA」
樹脂硬化剤B:芳香族アミン系硬化剤、和歌山精化工業社製、商品名「BAPP」
((D)成分)
溶剤:エチルジグリコールアセテート、ダイセル社製、商品名「EDGAC」
熱硬化性エラストマーをバインダー(樹脂組成物)とし、このバインダー20質量%および導電性粒子80質量%(合計で100質量%)を容器に投入し、混練機にて混合することで導電性接着剤を調製した。
そして、基板(大きさ:70mm×15mm、厚み:1.6mm)の電極(大きさ:1mm×1mm)に、電極に対応するパターンを有するマスク(厚み:150μm)を用い、得られた導電性接着剤を印刷した。その後、電子部品(チップ部品、大きさ:2.0mm×1.2mm、チップ抵抗:0Ω)を搭載し、150℃に設定した熱風乾燥炉にて5時間の加熱処理を行い、電子部品を基板に接合した。
下記表1に示す組成に従い各材料を配合した以外は実施例1と同様にして、導電性接着剤を得た。
そして、得られた導電性接着剤を用いた以外は実施例1と同様にして、電子部品を基板に接合した。
基板(大きさ:70mm×15mm、厚み:1.6mm)の電極(大きさ:1mm×1mm)に、電極に対応するパターンを有するマスク(厚み:150μm)を用い、ソルダペースト(タムラ製作所社製、商品名「TLF−204−MDS」、Sn−Ag−Cu系)を印刷した。その後、電子部品(チップ部品、大きさ:2.0mm×1.2mm、チップ抵抗:0Ω)を搭載し、プリヒート温度を200℃で100〜120秒間、220℃以上の保持時間を40〜90秒間、ピーク温度を260℃とする条件でリフローを行い、電子部品を基板に接合した。
導電性接着剤の評価(引張弾性率、破断伸び率、体積抵抗値、繰り返し曲げ)を以下のような方法で行った。得られた結果を表1に示す。なお、参考例1については、繰り返し曲げの評価のみを行った。
(1)引張弾性率、および、(2)破断伸び率
テフロン(登録商標)シート上に、マスク(厚み:100μm、開口:3mm×50mm)を用い、導電性接着剤を印刷した。その後、150℃に設定した熱風乾燥炉にて5時間の加熱処理を行い、導電性接着剤からなるフィルムを作製した。
得られたフィルムについて、島津製作所社製のオートグラフ「AG−50kN X plus」を用いて、つかみ治具幅40mm、引張速度5mm/min、測定温度23℃の条件にて、破断伸び率(単位:%)を測定した。また、引張弾性率(単位:Pa)を、測定により得られた応力−ひずみ曲線を用い、応力とひずみが比例している剛性領域における傾きから求めた。
(3)体積抵抗値
テフロン(登録商標)シート上に、マスク(厚み:100μm、開口:10mm×50mm)を用い、導電性接着剤を印刷した。その後、150℃に設定した熱風乾燥炉にて5時間の加熱処理を行い、導電性接着剤からなるフィルムを作製した。
得られたフィルムについて、低抵抗率計(ロレスタGP MCP−T610型、三菱化学アナリテック社製)で4端子法により、測定温度23℃での体積抵抗値(単位:Ω・cm)を測定した。
(4)繰り返し曲げ
実施例、比較例および参考例で得られた基板を評価基板とし、楠本化成社製の繰り返し曲げ信頼性評価システムRBS01を用いて、繰り返し曲げ試験を行った。具体的には、評価基板を電子部品が下面側となるようにして、固定幅60mmの固定治具上に固定する。そして、直径12mmの押し込み棒を用い、評価基板の上面(下面に電子部品がある箇所)を、押し込み量2mm、押し込み速度8mm/secの条件で押し込んで、評価基板を折り曲げる。これを5000回繰り返した後、および10000回繰り返した後に、デジタルマルチメーター(岩通計測社製SC−7401)を用いて接続抵抗値を測定した。そして、繰り返し曲げに対する耐性を以下の基準に従って評価した。
そして、接続抵抗値を以下の基準に従って評価した。
◎:接続抵抗値が、100Ω未満である。
○:接続抵抗値が、100Ω以上1000Ω未満である。
×:接続抵抗値が、1000Ω以上である。
これに対し、導電性接着剤からなる成形体が、引張弾性率、破断伸び率および体積抵抗値に関する本発明の条件の全てを満たさない場合(比較例1〜3)には、繰り返しの変形に対する耐性が不十分となることが分かった。なお、体積抵抗値が大き過ぎる場合(比較例2)には、そもそも導電性が不十分であったため、繰り返し曲げの結果も悪かった。
また、本発明の導電性接着剤などを用いた場合(実施例2、比較例A〜C)には、ソルダペーストを用いた場合(参考例1)と比較しても、繰り返しの変形に対する耐性が優れることが分かった。
Claims (7)
- (A)導電性粒子と、(B)樹脂と、(C)樹脂硬化剤と、を含有する導電性接着剤であって、
前記(B)樹脂が、(B1)熱硬化性樹脂と、(B2)熱可塑性樹脂と、を含有し、
前記(B1)熱硬化性樹脂が、ロタキサン構造を有する熱硬化性エラストマーを含有し、
前記(B2)熱可塑性樹脂が、ロタキサン構造を有する熱可塑性エラストマーであり、
当該導電性接着剤からなる成形体が、下記条件(i)〜(iii)の全てを満たす
ことを特徴とする導電性接着剤。
条件(i):引張弾性率が0.2GPa以下である。
条件(ii):破断伸び率が10%以上である。
条件(iii):体積抵抗値が1×10 −2 Ω・cm以下である。 - 請求項1に記載の導電性接着剤において、
前記(A)導電性粒子が、銀粒子である
ことを特徴とする導電性接着剤。 - 請求項1または請求項2に記載の導電性接着剤において、
前記(B1)熱硬化性樹脂が、エポキシ樹脂を、さらに含有する
ことを特徴とする導電性接着剤。 - 請求項1に記載の導電性接着剤において、
前記(B1)熱硬化性樹脂が、エポキシ基およびイソシアネート基のうちの少なくともいずれかの基を有する
ことを特徴とする導電性接着剤。 - 請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の導電性接着剤において、
当該導電性接着剤が、(D)溶剤および(E)チクソ剤を、さらに含有する
ことを特徴とする導電性接着剤。 - 請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の導電性接着剤において、
当該導電性接着剤からなる成形体における破断伸び率が20%以上である
ことを特徴とする導電性接着剤。 - 請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の導電性接着剤を用いて、電子部品を電子基板に実装することを特徴とする電子基板の製造方法。
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