以下、本発明の詳細を説明する。
本発明に係る導電材料は、重量平均分子量が5000以上であるポリマーと、分子量が5000未満であるエポキシ化合物と、熱硬化剤と、導電性粒子とを含む。本発明に係る導電材料は、複数の導電性粒子を含む。上記導電性粒子は、はんだを導電性の表面に有する。上記エポキシ化合物の溶解度パラメータSP値は9.3以下である。
本発明に係る導電材料における上述した構成の採用によって、導電性粒子を電極上に効率的に配置することができる。また、接続構造体を得る際に、電極上に位置していない導電性粒子を、電極上に効果的に移動させることができる。
エポキシ化合物の溶解度パラメータSP値が9.3以下であると、導電性粒子におけるはんだ表面の極性とエポキシ化合物の極性との差異から、はんだを導電性の表面に有する導電性粒子が電極上に局在化しやすい。
また、エポキシ化合物の分子量が5000未満であると、圧着時等の熱により、導電材料の粘度が低下し、はんだを導電性の表面に有する導電性粒子が電極上に局在化しやすい。
また、ポリマーの重量平均分子量が5000以上であると、硬化した導電材料にて、はんだによる接続部分を保護することができ、硬化後の絶縁信頼性を特に効果的に高めることができる。
また、本発明に係る導電材料では、導電性粒子を電極上に効率的に配置できる結果、電極が形成されていない部分のスペース(S)にも導電性粒子が配置されることを前提として、導電性粒子を多く用いる必要がないため、導電性粒子の使用量を少なくすることもできる。
また、近年、電子機器の小型化に伴って、電極が形成されている部分のライン(L)と、電極が形成されていない部分のスペース(S)との間隔が狭くなってきている。例えば、L/Sが100μm以下/100μm以下の微細な電極間を電気的に接続する必要が高まっている。L/Sが小さい電極間を電気的に接続する場合には、従来の異方性導電材料では、スペース(S)に導電性粒子が多く配置されやすいので、絶縁不良が特に生じやすいという問題がある。
これに対して、本発明に係る導電材料の使用により、スペース(S)に導電性粒子が配置され難くなり、絶縁不良が生じるのを効果的に抑制できる。
本発明に係る導電材料では、特に、電極が形成されている部分のライン(L)と、電極が形成されていない部分のスペース(S)とを示すL/Sが100μm以下/100μm以下である場合に、絶縁信頼性を効果的に高めることができ、L/Sが75μm以下/75μm以下である場合に、絶縁信頼性をより一層効果的に高めることができ、L/Sが62.5μm以下/62.5μm以下である場合に、絶縁信頼性を更に一層効果的に高めることができ、L/Sが50μm以下/50μm以下である場合に、絶縁信頼性を特に効果的に高めることができる。
また、本発明に係る導電材料により導通信頼性を高めることができるので、電極が形成されている部分のライン(L)は、好ましくは100μm以下、より好ましくは75μm以下、更に好ましくは62.5μm以下、特に好ましくは50μm以下である。ライン(L)は、導電性粒子の粒子径よりも大きいことが好ましく、更に導電性粒子の粒子径の1.1倍以上であることがより好ましく、2倍以上であることが更に好ましく、3倍以上であることが特に好ましい。
また、本発明に係る導電材料により絶縁信頼性を高めることができるので、電極が形成されていない部分のスペース(S)は、好ましくは100μm以下、より好ましくは75μm以下、更に好ましくは62.5μm以下、特に好ましくは50μm以下である。スペース(S)は、導電性粒子の粒子径よりも大きいことが好ましく、更に導電性粒子の粒子径の1.1倍以上であることがより好ましく、2倍以上であることが更に好ましく、3倍以上であることが特に好ましい。
さらに、本発明に係る導電材料では、上記導電性粒子における導電性の表面がはんだであるので、電極表面にはんだを濡れ拡がらせることが可能であることから、電極間の導通信頼性及び接続信頼性を高めることができる。
導電性粒子を電極上により一層効率的に配置する観点からは、上記粘度は好ましくは100Pa・s以上、より好ましくは200Pa・s以上、好ましくは800Pa・s以下、より好ましくは600Pa・s以下である。
上記粘度は、配合成分の種類及び配合量に容易に適宜調整可能である。また、フィラーの使用により、粘度を比較的高くすることができる。
上記粘度は、例えば、E型粘度計TVE−22装置(東機産業社製)を用いて、25℃及び2.5rpmの条件で測定可能である。
上記導電性粒子の粒子径は、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは1μm以上、更に好ましくは3μm以上、特に好ましくは5μm以上、好ましくは100μm以下、より好ましくは30μm以下、更に好ましくは20μm以下、特に好ましくは15μm以下、最も好ましくは10μm以下である。上記導電性粒子の粒子径が上記下限以上及び上記上限以下であると、導電性粒子を電極上により一層効率的に配置することができる。上記導電性粒子の粒子径は、3μm以上、30μm以下であることが特に好ましい。
上記導電性粒子の「粒子径」は、レーザー回折式粒度分布測定装置により測定した体積分布から求めた体積平均粒子径である。例えば、レーザー回折式粒度分布測定装置(堀場製作所社製「LA−920」を用いて、上記導電性粒子の体積平均粒子径を測定することができる。
以下、図面を参照しつつ、本発明の具体的な実施形態及び実施例を挙げることにより、本発明を明らかにする。
(導電性粒子)
図3は、本発明の一実施形態に係る導電材料に使用可能な導電性粒子の一例を示す断面図である。
図3に示す導電性粒子1は、基材粒子2と、基材粒子2の表面上に配置された導電層3とを備える。導電層3は、基材粒子2の表面を被覆している。導電性粒子1は、基材粒子2の表面が導電層3により被覆された被覆粒子である。
導電層3は、第2の導電層3Aと、第2の導電層3Aの表面上に配置されたはんだ層3B(第1の導電層)とを有する。導電性粒子1は、基材粒子2と、はんだ層3Bとの間に、第2の導電層3Aを備える。従って、導電性粒子1は、基材粒子2と、基材粒子2の表面上に配置された第2の導電層3Aと、第2の導電層3Aの表面上に配置されたはんだ層3Bとを備える。このように、導電層3は、多層構造を有していてもよく、2層以上の積層構造を有していてもよい。
上記のように、導電性粒子1における導電層3は2層構造を有する。図4に示す変形例のように、導電性粒子11は、単層の導電層として、はんだ層12を有していてもよい。導電性粒子11は、基材粒子2と、基材粒子2の表面上に配置されたはんだ層12とを備える。
また、図5に示す他の変形例のように、はんだ粒子である導電性粒子21であってもよい。導電性粒子21は、はんだのみにより形成されている。導電性粒子21は、基材粒子をコアに有さず、コア−シェル粒子ではない。導電性粒子21は、中心部分及び外表面のいずれも、はんだにより形成されている。
上記基材粒子としては、樹脂粒子、金属粒子を除く無機粒子、有機無機ハイブリッド粒子及び金属粒子等が挙げられる。上記基材粒子は、金属を除く基材粒子であることが好ましく、樹脂粒子、金属粒子を除く無機粒子又は有機無機ハイブリッド粒子であることが好ましい。上記基材粒子は、銅粒子であってもよい。
上記基材粒子は、樹脂により形成された樹脂粒子であることが好ましい。導電性粒子を用いて電極間を接続する際には、導電性粒子を電極間に配置した後、圧着することにより導電性粒子を圧縮させる。上記基材粒子が樹脂粒子であると、上記圧着の際に導電性粒子が変形しやすく、導電性粒子と電極との接触面積が大きくなる。このため、電極間の導通信頼性がより一層高くなる。
上記樹脂粒子を形成するための樹脂として、種々の有機物が好適に用いられる。上記樹脂粒子を形成するための樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン等のポリオレフィン樹脂;ポリメチルメタクリレート及びポリメチルアクリレート等のアクリル樹脂;ポリカーボネート、ポリアミド、フェノールホルムアルデヒド樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、ベンゾグアナミンホルムアルデヒド樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、尿素樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、飽和ポリエステル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリアセタール、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ジビニルベンゼン重合体、並びにジビニルベンゼン系共重合体等が挙げられる。上記ジビニルベンゼン系共重合体等としては、ジビニルベンゼン−スチレン共重合体及びジビニルベンゼン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体等が挙げられる。上記樹脂粒子の硬度を好適な範囲に容易に制御できるので、上記樹脂粒子を形成するための樹脂は、エチレン性不飽和基を有する重合性単量体を1種又は2種以上重合させた重合体であることが好ましい。
上記樹脂粒子を、エチレン性不飽和基を有する単量体を重合させて得る場合には、該エチレン性不飽和基を有する単量体としては、非架橋性の単量体と架橋性の単量体とが挙げられる。
上記非架橋性の単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン系単量体;(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸等のカルボキシル基含有単量体;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート類;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレン(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等の酸素原子含有(メタ)アクリレート類;(メタ)アクリロニトリル等のニトリル含有単量体;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル等のビニルエーテル類;酢酸ビニル、酪酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル等の酸ビニルエステル類;エチレン、プロピレン、イソプレン、ブタジエン等の不飽和炭化水素;トリフルオロメチル(メタ)アクリレート、ペンタフルオロエチル(メタ)アクリレート、塩化ビニル、フッ化ビニル、クロルスチレン等のハロゲン含有単量体等が挙げられる。
上記架橋性の単量体としては、例えば、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート類;トリアリル(イソ)シアヌレート、トリアリルトリメリテート、ジビニルベンゼン、ジアリルフタレート、ジアリルアクリルアミド、ジアリルエーテル、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、トリメトキシシリルスチレン、ビニルトリメトキシシラン等のシラン含有単量体等が挙げられる。
上記エチレン性不飽和基を有する重合性単量体を、公知の方法により重合させることで、上記樹脂粒子を得ることができる。この方法としては、例えば、ラジカル重合開始剤の存在下で懸濁重合する方法、並びに非架橋の種粒子を用いてラジカル重合開始剤とともに単量体を膨潤させて重合する方法等が挙げられる。
上記基材粒子が金属を除く無機粒子又は有機無機ハイブリッド粒子である場合には、基材粒子を形成するための無機物としては、シリカ及びカーボンブラック等が挙げられる。上記シリカにより形成された粒子としては特に限定されないが、例えば、加水分解性のアルコキシシリル基を2つ以上有するケイ素化合物を加水分解して架橋重合体粒子を形成した後に、必要に応じて焼成を行うことにより得られる粒子が挙げられる。上記有機無機ハイブリッド粒子としては、例えば、架橋したアルコキシシリルポリマーとアクリル樹脂とにより形成された有機無機ハイブリッド粒子等が挙げられる。
上記基材粒子が金属粒子である場合に、該金属粒子を形成するための金属としては、銀、銅、ニッケル、ケイ素、金及びチタン等が挙げられる。上記基材粒子が金属粒子である場合に、該金属粒子は銅粒子であることが好ましい。但し、上記基材粒子は金属粒子ではないことが好ましい。
上記基材粒子の表面上に導電層を形成する方法、並びに上記基材粒子の表面上又は上記第2の導電層の表面上にはんだ層を形成する方法は特に限定されない。上記導電層及び上記はんだ層を形成する方法としては、例えば、無電解めっきによる方法、電気めっきによる方法、物理的な衝突による方法、メカノケミカル反応による方法、物理的蒸着又は物理的吸着による方法、並びに金属粉末もしくは金属粉末とバインダーとを含むペーストを基材粒子の表面にコーティングする方法等が挙げられる。なかでも、無電解めっき、電気めっき又は物理的な衝突による方法が好適である。上記物理的蒸着による方法としては、真空蒸着、イオンプレーティング及びイオンスパッタリング等の方法が挙げられる。また、上記物理的な衝突による方法では、例えば、シーターコンポーザ(徳寿工作所社製)等が用いられる。
上記基材粒子の融点は、上記はんだ層の融点よりも高いことが好ましい。上記基材粒子の融点は、好ましくは160℃を超え、より好ましくは300℃を超え、更に好ましくは400℃を超え、特に好ましくは450℃を超える。なお、上記基材粒子の融点は、400℃未満であってもよい。上記基材粒子の融点は、160℃以下であってもよい。上記基材粒子の軟化点は260℃以上であることが好ましい。上記基材粒子の軟化点は260℃未満であってもよい。
上記導電性粒子は、単層のはんだ層を有していてもよい。上記導電性粒子は、複数の層の導電層(はんだ層,第2の導電層)を有していてもよい。すなわち、上記導電性粒子では、導電層を2層以上積層してもよい。
上記はんだは、融点が450℃以下である低融点金属であることが好ましい。上記はんだ層は、融点が450℃以下である低融点金属層であることが好ましい。上記低融点金属層は、低融点金属を含む層である。上記はんだ粒子は、融点が450℃以下である低融点金属粒子であることが好ましい。上記低融点金属粒子は、低融点金属を含む粒子である。該低融点金属とは、融点が450℃以下の金属を示す。低融点金属の融点は好ましくは300℃以下、より好ましくは160℃以下である。また、上記はんだ層及び上記はんだ粒子は錫を含むことが好ましい。上記はんだ層に含まれる金属100重量%中及び上記はんだ粒子に含まれる金属100重量%中、錫の含有量は好ましくは30重量%以上、より好ましくは40重量%以上、更に好ましくは70重量%以上、特に好ましくは90重量%以上である。上記はんだ層及び上記はんだ粒子における錫の含有量が上記下限以上であると、導電性粒子と電極との接続信頼性がより一層高くなる。
なお、上記錫の含有量は、高周波誘導結合プラズマ発光分光分析装置(堀場製作所社製「ICP−AES」)、又は蛍光X線分析装置(島津製作所社製「EDX−800HS」)等を用いて測定可能である。
上記はんだを導電性の表面に有する導電性粒子を用いることで、はんだが溶融して電極に接合し、はんだが電極間を導通させる。例えば、はんだと電極とが点接触ではなく面接触しやすいため、接続抵抗が低くなる。また、はんだを導電性の表面に有する導電性粒子の使用により、はんだと電極との接合強度が高くなる結果、はんだと電極との剥離がより一層生じ難くなり、導通信頼性及び接続信頼性が効果的に高くなる。
上記はんだ層及び上記はんだ粒子を構成する低融点金属は特に限定されない。該低融点金属は、錫、又は錫を含む合金であることが好ましい。該合金は、錫−銀合金、錫−銅合金、錫−銀−銅合金、錫−ビスマス合金、錫−亜鉛合金、錫−インジウム合金等が挙げられる。なかでも、電極に対する濡れ性に優れることから、上記低融点金属は、錫、錫−銀合金、錫−銀−銅合金、錫−ビスマス合金、錫−インジウム合金であることが好ましい。錫−ビスマス合金、錫−インジウム合金であることがより好ましい。
上記はんだ(はんだ層)を構成する材料は、JIS Z3001:溶接用語に基づき、液相線が450℃以下である溶加材であることが好ましい。上記はんだの組成としては、例えば亜鉛、金、銀、鉛、銅、錫、ビスマス、インジウムなどを含む金属組成が挙げられる。なかでも低融点で鉛フリーである錫−インジウム系(117℃共晶)、又は錫−ビスマス系(139℃共晶)が好ましい。すなわち、上記はんだは、鉛を含まないことが好ましく、錫とインジウムとを含むはんだ、又は錫とビスマスとを含むはんだであることが好ましい。
上記はんだと電極との接合強度をより一層高めるために、上記はんだ層及び上記はんだ粒子は、ニッケル、銅、アンチモン、アルミニウム、亜鉛、鉄、金、チタン、リン、ゲルマニウム、テルル、コバルト、ビスマス、マンガン、クロム、モリブデン、パラジウム等の金属を含んでいてもよい。また、はんだと電極との接合強度をさらに一層高める観点からは、上記はんだ層及び上記はんだ粒子は、ニッケル、銅、アンチモン、アルミニウム又は亜鉛を含むことが好ましい。はんだ層又ははんだ粒子と電極との接合強度をより一層高める観点からは、接合強度を高めるためのこれらの金属の含有量は、はんだ層100重量%中又ははんだ粒子100重量%中、好ましくは0.0001重量%以上、好ましくは1重量%以下である。
上記第2の導電層の融点は、上記はんだ層の融点よりも高いことが好ましい。上記第2の導電層の融点は好ましくは160℃を超え、より好ましくは300℃を超え、更に好ましくは400℃を超え、更に一層好ましくは450℃を超え、特に好ましくは500℃を超え、最も好ましくは600℃を超える。上記はんだ層は融点が低いために導電接続時に溶融する。上記第2の導電層は導電接続時に溶融しないことが好ましい。上記導電性粒子は、はんだを溶融させて用いられることが好ましく、上記はんだ層を溶融させて用いられることが好ましく、上記はんだ層を溶融させてかつ上記第2の導電層を溶融させずに用いられることが好ましい。上記第2の導電層の融点が上記はんだ層の融点をよりも高いことによって、導電接続時に、上記第2の導電層を溶融させずに、上記はんだ層のみを溶融させることができる。
上記はんだ層の融点と上記第2の導電層との融点との差の絶対値は、0℃を超え、好ましくは5℃以上、より好ましくは10℃以上、更に好ましくは30℃以上、特に好ましくは50℃以上、最も好ましくは100℃以上である。
上記第2の導電層は、金属を含むことが好ましい。上記第2の導電層を構成する金属は、特に限定されない。該金属としては、例えば、金、銀、銅、白金、パラジウム、亜鉛、鉛、アルミニウム、コバルト、インジウム、ニッケル、クロム、チタン、アンチモン、ビスマス、ゲルマニウム及びカドミウム、並びにこれらの合金等が挙げられる。また、上記金属として、錫ドープ酸化インジウム(ITO)を用いてもよい。上記金属は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記第2の導電層は、ニッケル層、パラジウム層、銅層又は金層であることが好ましく、ニッケル層又は金層であることがより好ましく、銅層であることが更に好ましい。導電性粒子は、ニッケル層、パラジウム層、銅層又は金層を有することが好ましく、ニッケル層又は金層を有することがより好ましく、銅層を有することが更に好ましい。これらの好ましい導電層を有する導電性粒子を電極間の接続に用いることにより、電極間の接続抵抗がより一層低くなる。また、これらの好ましい導電層の表面には、はんだ層をより一層容易に形成できる。
上記はんだ層の厚みは、好ましくは0.005μm以上、より好ましくは0.01μm以上、好ましくは10μm以下、より好ましくは1μm以下、更に好ましくは0.3μm以下である。はんだ層の厚みが上記下限以上及び上記上限以下であると、充分な導電性が得られ、かつ導電性粒子が硬くなりすぎずに、電極間の接続の際に導電性粒子を充分に変形する。
上記第2の導電層の厚みは、好ましくは0.005μm以上、より好ましくは0.01μm以上、好ましくは10μm以下、より好ましくは1μm以下、更に好ましくは0.3μm以下である。上記第2の導電層の厚みが上記下限以上及び上記上限以下であると、電極間の接続抵抗がより一層低くなる。
上記導電材料100重量%中、上記導電性粒子の含有量は好ましくは1重量%以上、より好ましくは2重量%以上、更に好ましくは10重量%以上、特に好ましくは20重量%以上、最も好ましくは30重量%以上、好ましくは80重量%以下、より好ましくは60重量%以下、更に好ましくは50重量%以下である。上記導電性粒子の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、電極間に導電性粒子を多く配置することが容易であり、導通信頼性がより一層高くなる。導通信頼性をより一層高める観点からは、上記導電性粒子の含有量は多い方が好ましい。
(ポリマー)
本発明に係る導電材料は、重量平均分子量が5000以上であるポリマーを含む。上記ポリマーは、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記ポリマーとしては、「芳香族エポキシ樹脂と脂肪族エポキシ樹脂との反応物ではない芳香族エポキシ樹脂」と脂肪族エポキシ樹脂との反応物、「芳香族エポキシ樹脂と脂肪族エポキシ樹脂との反応物ではない芳香族エポキシ樹脂」とポリエーテル型エポキシ樹脂との反応物が好ましい。
上記芳香族エポキシ樹脂と脂肪族エポキシ樹脂との反応物ではない芳香族エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールE型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、レゾルシノール型エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂及びナフタレン型エポキシ樹脂が挙げられる。上記ポリエーテル型エポキシ樹脂としては、主鎖の炭素数が3〜10であるポリエーテルが挙げられる。上記芳香族エポキシ樹脂と脂肪族エポキシ樹脂との反応物における脂肪族エポキシ樹脂は、主鎖の炭素数が3〜10である化合物であることが好ましい。
上記ポリマーとしては、ビスフェノールA、レゾルシノール又はビスフェノールFと1,6−ヘキサンジオールグリシジルエーテルとの反応物(以下、反応物Xと記載することがある)、及び、ビスフェノールAとポリエーテルとの反応物(以下、反応物Yと記載することがある)等が挙げられる。上記反応物Xは、ビスフェノールA、レゾルシノール又はビスフェノールFと1,6−ヘキサンジオールグリシジルエーテルとの反応物である。なかでも、電極間の接続信頼性がより一層高くなることから、上記反応物X又は上記反応物Yが好ましく、反応物Xがより好ましい。上記反応物Xは、エポキシ基を有することが好ましい。上記反応物Xは、直鎖状であってもよく、分岐状であってもよい。上記反応物Yは、直鎖状であってもよく、分岐状であってもよい。上記反応物Yは、分岐状であることが好ましい。導電材料の硬化物の接着性がより一層高くなることから、上記反応物X,Yは、分岐状であることが好ましい。ビスフェノールA、レゾルシノール又はビスフェノールFに由来する構造単位に、側鎖が結合していることが好ましい。
上記ポリマーの重量平均分子量は、好ましくは8000以上、好ましくは100000以下、より好ましくは15000以下である。
上記重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定されたポリスチレン換算での重量平均分子量を示す。
上記重量平均分子量は、SHIMADZU社製Prominence GPCシステムにて、溶媒THF、流量1mL/min、検出器:示差屈折にて測定することができる。
上記導電材料100重量%中、上記ポリマーの含有量は好ましくは10重量%以上、より好ましくは15重量%以上、好ましくは60重量%以下、より好ましくは45重量%以下である。上記ポリマーの含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、導電性粒子が電極上により一層効率的に配置される。
(エポキシ化合物)
本発明に係る導電材料は、分子量が5000未満であるエポキシ化合物を含む。上記エポキシ化合物の溶解度パラメータSP値が9.3以下である。上記エポキシ化合物の溶解度パラメータSP値が9.3以下であることは、導電性粒子を電極上に効率的に配置することに大きく寄与する。上記エポキシ化合物はエポキシ基を有する。上記エポキシ化合物は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
エポキシ化合物の溶解度パラメータSP値が9.3以下であると、導電性粒子におけるはんだ表面の極性とエポキシ化合物の極性との差異から、はんだを導電性の表面に有する導電性粒子が電極上に局在化しやすい。
これは、溶解度パラメータSP値が9.3以下の極性の低いエポキシ化合物を用いることで、相対的に極性の高いはんだ表面を有する導電性粒子同士が凝集しやすくなり、更に、はんだを導電性の表面に有する導電性粒子が電極表面上で凝集しやすくなる。これにより、電極上にはんだを導電性の表面に有する導電性粒子が集まり、電極間の電極が無いスペースにおける導電性粒子数が減少することで、高い絶縁信頼性を得ることができる。
また、フラックスを添加することで、はんだを導電性の表面に有する導電性粒子及び電極表面の酸化被膜を除去することができ、より極性の高いはんだ表面、電極表面となることで、上記効果が促進される。
また、エポキシ化合物の分子量が5000未満であると、圧着時等の熱により、導電材料の粘度が低下し、はんだを導電性の表面に有する導電性粒子が電極上に局在化しやすい。
また、ポリマーの重量平均分子量が5000以上であると、硬化した導電材料にて、はんだによる接続部分を保護することができ、硬化後の絶縁信頼性を特に効果的に高めることができる。
導電性粒子を電極上に更に一層効率的に配置する観点からは、上記溶解度パラメータ(SP値)は、より好ましくは9.1以下である。
上記エポキシ化合物としては、水添ビスフェノールA型エポキシ化合物、水添ビスフェノールF型エポキシ化合物、及び1,6−ヘキサンジオールのグリシジルエーテル等が挙げられる。上記導電材料及び上記エポキシ化合物はそれぞれ、水添ビスフェノールA型エポキシ化合物、水添ビスフェノールF型エポキシ化合物又は1,6−ヘキサンジオールのグリシジルエーテルを含むことが好ましく、水添ビスフェノールA型エポキシ化合物又は水添ビスフェノールF型エポキシ化合物を含むことがより好ましい。上記エポキシ化合物は、水添ビスフェノールA型エポキシ化合物であってもよく、水添ビスフェノールF型エポキシ化合物であってもよく、1,6−ヘキサンジオールのグリシジルエーテルであってもよい。
上記溶解度パラメータ(SP値)は、Fedors法(R.F.Fedors,Polym.Eng.Sci.,14,147(1974))を用いて算出することができる。
上記エポキシ化合物の分子量は、好ましくは100以上、より好ましくは125以上、好ましくは2000以下、より好ましくは1000以下である。
上記エポキシ化合物の上記分子量は、上記エポキシ化合物が重合体ではない場合、及び上記エポキシ化合物の構造式が特定できる場合は、当該構造式から算出できる分子量を意味する。また、上記エポキシ化合物が重合体である場合は、重量平均分子量を意味する。上記エポキシ化合物の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定されたポリスチレン換算での重量平均分子量を示す。
導電性粒子を電極上により一層効率的に配置する観点からは、上記エポキシ化合物は、水添ビスフェノール骨格を有することが好ましい。上記水添ビスフェノール骨格は、水添ビスフェノールA型骨格又は水添ビスフェールF型骨格であることが好ましい。上記エポキシ化合物は、水添ビスフェノールA型骨格又は水添ビスフェノールF型骨格を有することがより好ましい。
上記導電材料100重量%中、上記エポキシ化合物の含有量は好ましくは10重量%以上、より好ましくは30重量%以上、好ましくは80重量%以下、より好ましくは60重量%以下である。上記ポリマーの含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、導電性粒子が電極上により一層効率的に配置される。
(熱硬化剤)
上記熱硬化剤としては、イミダゾール硬化剤、アミン硬化剤、フェノール硬化剤、ポリチオール硬化剤、酸無水物、熱カチオン硬化剤及び熱ラジカル発生剤等が挙げられる。なかでも、導電材料を低温でより一層速やかに硬化可能であるので、イミダゾール硬化剤、ポリチオール硬化剤又はアミン硬化剤が好ましい。また、加熱により硬化可能な硬化性化合物と上記熱硬化剤とを混合したときに保存安定性が高くなるので、潜在性の硬化剤が好ましい。潜在性の硬化剤は、潜在性イミダゾール硬化剤、潜在性ポリチオール硬化剤又は潜在性アミン硬化剤であることが好ましい。なお、上記熱硬化剤は、ポリウレタン樹脂又はポリエステル樹脂等の高分子物質で被覆されていてもよい。上記熱硬化剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記イミダゾール硬化剤としては、特に限定されず、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテート、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン及び2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジンイソシアヌル酸付加物等が挙げられる。
上記ポリチオール硬化剤としては、特に限定されず、トリメチロールプロパントリス−3−メルカプトプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキス−3−メルカプトプロピオネート及びジペンタエリスリトールヘキサ−3−メルカプトプロピオネート等が挙げられる。
上記アミン硬化剤としては、特に限定されず、ヘキサメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラスピロ[5.5]ウンデカン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、メタフェニレンジアミン及びジアミノジフェニルスルホン等が挙げられる。
上記熱カチオン硬化剤としては、ヨードニウム系カチオン硬化剤、オキソニウム系カチオン硬化剤及びスルホニウム系カチオン硬化剤等が挙げられる。上記ヨードニウム系カチオン硬化剤としては、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスファート等が挙げられる。上記オキソニウム系カチオン硬化剤としては、トリメチルオキソニウムテトラフルオロボラート等が挙げられる。上記スルホニウム系カチオン硬化剤としては、トリ−p−トリルスルホニウムヘキサフルオロホスファート等が挙げられる。
上記熱ラジカル発生剤としては、特に限定されず、アゾ化合物及び有機過酸化物等が挙げられる。上記アゾ化合物としては、アゾビスイゾブチロニトリル(AIBN)等が挙げられる。上記有機過酸化物としては、ジ−tert−ブチルペルオキシド及びメチルエチルケトンペルオキシド等が挙げられる。
上記熱硬化剤の反応開始温度は、好ましくは50℃以上、より好ましくは70℃以上、更に好ましくは80℃以上、好ましくは250℃以下、より好ましくは200℃以下、更に好ましくは150℃以下、特に好ましくは140℃以下である。上記熱硬化剤の反応開始温度が上記下限以上及び上記上限以下であると、導電性粒子が電極上により一層効率的に配置される。上記熱硬化剤の反応開始温度は80℃以上、140℃以下であることが特に好ましい。
導電性粒子を電極上により一層効率的に配置する観点からは、上記熱硬化剤の反応開始温度は、上記導電性粒子におけるはんだの融点よりも、低いことが好ましく、5℃以上低いことがより好ましく、10℃以上低いことが更に好ましい。
上記熱硬化剤の反応開始温度は、DSCでの発熱ピークの立ち上がり開始の温度を意味する。
上記熱硬化剤の含有量は特に限定されない。上記ポリマーと上記エポキシ化合物との合計100重量部に対して、上記熱硬化剤の含有量は、好ましくは0.01重量部以上、より好ましくは1重量部以上、好ましくは200重量部以下、より好ましくは100重量部以下、更に好ましくは75重量部以下である。熱硬化剤の含有量が上記下限以上であると、導電材料を充分に硬化させることが容易である。熱硬化剤の含有量が上記上限以下であると、硬化後に硬化に関与しなかった余剰の熱硬化剤が残存し難くなり、かつ硬化物の耐熱性がより一層高くなる。
(フラックス)
上記導電材料は、フラックスを含むことが好ましい。フラックスの使用により、導電性粒子を電極上により一層効果的に配置することができる。該フラックスは特に限定されない。フラックスとして、はんだ接合等に一般的に用いられているフラックスを使用できる。上記フラックスとしては、例えば、塩化亜鉛、塩化亜鉛と無機ハロゲン化物との混合物、塩化亜鉛と無機酸との混合物、溶融塩、リン酸、リン酸の誘導体、有機ハロゲン化物、ヒドラジン、有機酸及び松脂等が挙げられる。上記フラックスは1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記溶融塩としては、塩化アンモニウム等が挙げられる。上記有機酸としては、乳酸、クエン酸、ステアリン酸、グルタミン酸及びグルタル酸等が挙げられる。上記松脂としては、活性化松脂及び非活性化松脂等が挙げられる。上記フラックスは、カルボキシル基を2個以上有する有機酸、松脂であることが好ましい。上記フラックスは、カルボキシル基を2個以上有する有機酸であってもよく、松脂であってもよい。カルボキシル基を2個以上有する有機酸、松脂の使用により、電極間の導通信頼性がより一層高くなる。
上記松脂はアビエチン酸を主成分とするロジン類である。フラックスは、ロジン類であることが好ましく、アビエチン酸であることがより好ましい。この好ましいフラックスの使用により、電極間の導通信頼性がより一層高くなる。
上記フラックスの融点は、好ましくは50℃以上、より好ましくは70℃以上、更に好ましくは80℃以上、好ましくは200℃以下、より好ましくは160℃以下、より一層好ましくは150℃以下、更に好ましくは140℃以下である。上記フラックスの融点が上記下限以上及び上記上限以下であると、フラックス効果がより一層効果的に発揮され、導電性粒子が電極上により一層効率的に配置される。上記フラックスの融点は80℃以上、190℃以下であることが好ましい。上記フラックスの融点は80℃以上、140℃以下であることが特に好ましい。
融点が80℃以上、190℃以下である上記フラックスとしては、コハク酸(融点186℃)、グルタル酸(融点96℃)、アジピン酸(融点152℃)、ピメリン酸(融点104℃)、スベリン酸(融点142℃)等のジカルボン酸、安息香酸(融点122℃)、リンゴ酸(融点130℃)等が挙げられる。
また、上記フラックスの沸点は200℃以下であることが好ましい。
導電性粒子を電極上により一層効率的に配置する観点からは、上記フラックスの融点は、上記導電性粒子におけるはんだの融点よりも、低いことが好ましく、5℃以上低いことがより好ましく、10℃以上低いことが更に好ましい。
導電性粒子を電極上により一層効率的に配置する観点からは、上記フラックスの融点は、上記熱硬化剤の反応開始温度よりも、低いことが好ましく、5℃以上低いことがより好ましく、10℃以上低いことが更に好ましい。
上記フラックスは、導電材料中に分散されていてもよく、導電性粒子又ははんだ粒子の表面上に付着していてもよい。
上記導電材料100重量%中、上記フラックスの含有量は好ましくは0.5重量%以上、好ましくは30重量%以下、より好ましくは25重量%以下である。上記導電材料は、フラックスを含んでいなくてもよい。フラックスの含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、はんだ及び電極の表面に酸化被膜がより一層形成され難くなり、さらに、はんだ及び電極の表面に形成された酸化被膜をより一層効果的に除去できる。
(フィラー)
本発明に係る導電材料は、フィラーを含むことが好ましい。フィラーの使用により、導電材料の硬化物の潜熱膨張を抑制できる。上記フィラーは1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記フィラーとしては、シリカ、タルク、窒化アルミニウム及びアルミナなどの無機フィラー等が挙げられる。上記フィラーは有機フィラーであってもよく、有機−無機複合フィラーであってもよい。上記フィラーは1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記導電材料及び上記フィラーはそれぞれ、無機フィラーを含有することが好ましい。無機フィラーの使用により、導電材料の比重及びチキソ性をより一層好適な範囲に制御でき、導電性粒子の沈降がより一層抑えられ、接続構造体の導通信頼性がより一層高くなる。
上記導電材料及び上記フィラーはそれぞれ、シリカを含むことが好ましい。該シリカはシリカフィラーである。シリカの使用により、導電材料の比重及びチキソ性をより一層好適な範囲に制御でき、導電性粒子の沈降がより一層抑えられ、接続構造体の導通信頼性がより一層高くなる。
上記導電材料100重量%中、上記フィラーの含有量は好ましくは2重量%以上、より好ましくは5重量%以上、好ましくは60重量%以下、より好ましくは50重量%以下である。上記フィラーの含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、導電性粒子が電極上により一層効率的に配置される。
(他の成分)
上記導電材料は、必要に応じて、例えば、充填剤、増量剤、軟化剤、可塑剤、重合触媒、硬化触媒、着色剤、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、帯電防止剤及び難燃剤等の各種添加剤を含んでいてもよい。
(導電材料の他の詳細、接続構造体)
上記ポリマー及び上記エポキシ化合物などのバインダー樹脂中に上記導電性粒子を分散させる方法は、従来公知の分散方法を用いることができ特に限定されない。上記バインダー樹脂中に上記導電性粒子を分散させる方法としては、例えば、上記バインダー樹脂中に導電性粒子を添加した後、プラネタリーミキサー等で混練して分散させる方法、導電性粒子を水又は有機溶剤中にホモジナイザー等を用いて均一に分散させた後、上記バインダー樹脂中に添加し、プラネタリーミキサー等で混練して分散させる方法、並びに上記バインダー樹脂を水又は有機溶剤等で希釈した後、導電性粒子を添加し、プラネタリーミキサー等で混練して分散させる方法等が挙げられる。
本発明に係る導電材料は、異方性導電材料であることが好ましい。本発明に係る導電材料は、導電ペースト及び導電フィルム等として使用され得る。本発明に係る導電材料が、導電フィルムである場合には、導電性粒子を含む導電フィルムに、導電性粒子を含まないフィルムが積層されていてもよい。上記導電ペーストは、異方性導電ペーストであることが好ましい。上記導電フィルムは、異方性導電フィルムであることが好ましい。上記導電材料は、電極間の電気的な接続に好適に用いられる。
上述した導電材料を用いて、接続対象部材を接続することにより、接続構造体を得ることができる。
上記接続構造体は、電極を表面に有する第1の接続対象部材と、電極を表面に有する第2の接続対象部材と、第1の接続対象部材と第2の接続対象部材とを接続している接続部とを備え、該接続部が上述した導電材料により形成されており、上記第1の電極と上記第2の電極とが、上記導電性粒子により電気的に接続されている接続構造体であることが好ましい。
上記接続構造体の製造方法では、上記第1の接続対象部材と上記第2の接続対象部材との間に上記導電材料を配置し、積層体を得た後、該積層体を加熱及び加圧することが好ましい。加熱及び加圧により、導電性粒子におけるはんだが溶融して、該導電性粒子により電極間が電気的に接続される。さらに、バインダー樹脂として熱硬化性成分を含むので、バインダー樹脂が熱硬化して、硬化したバインダー樹脂により第1,第2の接続対象部材が接続される。上記加圧の圧力は9.8×104〜4.9×106Pa程度である。上記加熱の温度は、好ましくは120℃以上、より好ましくは140℃以上、好ましくは250℃以下、より好ましくは220℃以下、更に好ましくは200℃以下である。上記加熱の温度は、上記導電性粒子におけるはんだの融点よりも高いことが好ましい。
図1は、本発明の一実施形態に係る導電材料を用いた接続構造体を模式的に示す正面断面図である。ここで用いた導電材料は、複数の導電性粒子1とバインダー樹脂とを含む。導電性粒子1にかえて、導電性粒子11又は導電性粒子21を用いてもよい。また、導電性粒子1,11,21以外の導電性粒子を用いてもよい。
図1に示す接続構造体51は、第1の接続対象部材52と、第2の接続対象部材53と、第1の接続対象部材52と第2の接続対象部材53とを接続している接続部54とを備える。接続部54は、上記導電材料により形成されている。上記バインダー樹脂が熱硬化性成分を含み、接続部54は、上記導電材料に含まれる熱硬化性成分を熱硬化させることにより形成されている。
第1の接続対象部材52は表面(上面)に、複数の第1の電極52aを有する。第2の接続対象部材53は表面(下面)に、複数の第2の電極53aを有する。第1の電極52aと第2の電極53aとが、1つ又は複数の導電性粒子1により電気的に接続されている。従って、第1,第2の接続対象部材52,53が導電性粒子1により電気的に接続されている。
図2に、図1に示す接続構造体51における導電性粒子1と第1,第2の電極52a,53aとの接続部分を拡大して正面断面図で示す。図2に示すように、接続構造体51では、導電性粒子1におけるはんだ層3Bが溶融した後、溶融したはんだ層部分3Baが第1,第2の電極52a,53aと十分に接触する。すなわち、表面層がはんだ層3Bである導電性粒子1を用いることにより、導電層の表面層がニッケル、金又は銅等の金属である導電性粒子を用いた場合と比較して、導電性粒子1と第1,第2の電極52a,53aとの接触面積が大きくなる。このため、接続構造体51の導通信頼性及び接続信頼性を高めることができる。なお、フラックスを用いた場合には、加熱により、一般にフラックスは次第に失活する。また、導通信頼性をより一層高める観点からは、第2の導電層3Aを第1の電極52aに接触させることが好ましく、第2の導電層3Aを第2の電極53aに接触させることが好ましい。
上記第1,第2の接続対象部材は、特に限定されない。上記第1,第2の接続対象部材としては、具体的には、半導体チップ、コンデンサ及びダイオード等の電子部品、並びにプリント基板、フレキシブルプリント基板、ガラスエポキシ基板及びガラス基板等の回路基板などの電子部品等が挙げられる。上記導電材料は、電子部品の接続に用いられる導電材料であることが好ましい。上記導電材料は、液状であって、かつ液状の状態で接続対象部材の上面に塗工される導電材料であることが好ましい。
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明を具体的に説明する。本発明は、以下の実施例のみに限定されない。
(ポリマー)
(合成例1)
ビスフェノールFと1,6−ヘキサンジオールグリシジルエーテルとの反応物xa(ポリマー)の合成:
ビスフェノールF72重量部、1,6−ヘキサンジオールグリシジルエーテル100重量部、及びトリフェニルフォスフィン1重量部を3つ口フラスコに入れ、150℃で溶解させた。その後、180℃で6時間、付加重合反応させることにより反応物xaを得た。
付加重合反応が進行したことを確認して、反応物xaが、ビスフェノールFに由来する骨格と1,6−ヘキサンジオールグリシジルエーテルに由来する骨格とが結合した構造単位を主鎖に有し、かつ1,6−ヘキサンジオールグリシジルエーテルに由来するエポキシ基を両末端に有することを確認した。また、得られた反応物xaは、分岐状であった。得られた反応物xaの重量平均分子量は8000であった。
なお、上記重量平均分子量は、SHIMADZU社製Prominence GPCシステムにて、溶媒THF、流量1mL/min、検出器:示差屈折にて測定した。
(合成例2)
ビスフェノールAと1,6−ヘキサンジオールグリシジルエーテルとの反応物xb(ポリマー)の合成:
ビスフェノールAと1,6−ヘキサンジオールグリシジルエーテルを3つ口フラスコに入れ、100℃で溶解させた。その後、120℃で6時間、付加重合反応させることにより反応物xbを得た。付加重合反応が進行したことを確認して、反応物xbが、ビスフェノールAに由来する骨格と1,6−ヘキサンジオールグリシジルエーテルに由来する骨格とが結合した構造単位を主鎖に有し、かつIR分析による分析結果でエポキシ基を両末端に有することを確認した。また、得られた反応物xbは、直鎖状であった。得られた反応物xbの重量平均分子量は8000であった。
(合成例3)
合成例1にて、180℃で3時間、付加重合反応させたことに以外は同様にして反応物xcを得た。得られた反応物xcの重量平均分子量は4500であった。
(他のポリマー)
他のポリマー1(ビスフェノールS型フェノキシ樹脂、三菱化学社製「YX−8100BH」、重量平均分子量30000)
(エポキシ化合物)
エポキシ化合物1(水添ビスフェノールA型エポキシ化合物、三菱化学社製「YX8800」、分子量500、SP値8.5)
エポキシ化合物2(水添ビスフェノールF型エポキシ化合物、三菱化学社製「YL7007」、分子量432、SP値8.2)
エポキシ化合物3(1,6−ヘキサンジオールのグリシジルエーテル、四日市工業社製「エポゴーセHD」、分子量228、SP値9.1)
(他のエポキシ化物)
他のエポキシ化合物1(ビスフェノールA型エポキシ化合物、DIC社製「EXA−850CRP」、分子量368、SP値9.8)
他のエポキシ化合物2(ビスフェノールF型エポキシ化合物、DIC社製「EXA−830CRP」、分子量342、SP値9.4)
他のエポキシ化合物3(レゾルシノールのグリシジルエーテル、ナガセケムテックス社製「EX−201」、分子量228、SP値10.0)
他のエポキシ化合物4(ナフタレン型エポキシ化合物、DIC社製「HP−4032D」、分子量284、SP値10.5)
(熱硬化剤)
熱硬化剤A(イミダゾール化合物、四国化成工業社製「2P−4MZ」、反応開始温度121℃)
熱カチオン発生剤1(下記式(11)で表される化合物、加熱によりリン原子を含む無機酸イオンを放出する化合物、反応開始温度95℃)
熱カチオン発生剤2(下記式(12)で表される化合物、加熱によりアンチモン原子を含む無機酸イオンを放出する化合物、反応開始温度92℃)
熱カチオン発生剤3(下記式(13)で表される化合物、加熱によりホウ素原子を含む有機酸イオンを放出する化合物、反応開始温度85℃)
(接着付与剤)
接着付与剤1(信越化学工業社製「KBE−403」)
(フラックス)
グルタル酸(融点96℃)
安息香酸(融点122℃)
ドデカン酸(融点45℃)
アジピン酸(融点152℃)
(フィラー)
フィラー1(トクヤマ社製「シルフィルNSS−4N」)
フィラー2(トクヤマ社製「MT−10」)
(導電性粒子)
導電性粒子1(樹脂コアはんだ被覆粒子、下記手順で作製)
ジビニルベンゼン樹脂粒子(積水化学工業社製「ミクロパールSP−210」、平均粒子径10μm、軟化点330℃、10%K値(23℃)3.8GPa)を無電解ニッケルめっきし、樹脂粒子の表面上に厚さ0.1μmの下地ニッケルめっき層を形成した。次いで、下地ニッケルめっき層が形成された樹脂粒子を電解銅めっきし、厚さ1μmの銅層を形成した。更に、錫及びビスマスを含有する電解めっき液を用いて、電解めっきし、厚さ2μmのはんだ層を形成した。このようにして、樹脂粒子の表面上に厚み1μmの銅層が形成されており、該銅層の表面に厚み2μmのはんだ層(錫:ビスマス=43重量%:57重量%)が形成されている導電性粒子(平均粒子径16μm、CV値20%、比重5.3、樹脂コアはんだ被覆粒子)を作製した。
また、基材粒子の種類、基材粒子の平均粒子径、銅層の厚み及びはんだ層の厚みを変更したこと以外は導電性粒子1と同様にして、下記の導電性粒子2,3を得た。
導電性粒子2(ジビニルベンゼン樹脂粒子、樹脂粒子の平均粒子径10μm、樹脂粒子の10%K値(23℃)3.8GPa、樹脂粒子の軟化点330℃、銅層の厚み3μm、はんだ層の厚み4μm、導電性粒子の平均粒子径24μm、CV値26%、比重7.2)
導電性粒子3(ジビニルベンゼン樹脂粒子、樹脂粒子の平均粒子径20μm、樹脂粒子の10%K値(23℃)3.6GPa、樹脂粒子の軟化点330℃、銅層の厚み3μm、はんだ層の厚み4μm、導電性粒子の平均粒子径34μm、CV値25%、比重5.7)
導電性粒子A:SnBiはんだ粒子(三井金属社製「ST−5」、体積平均粒径5.4μm、標準偏差:1.9μm、CV値35%、d90:7.98μm)
導電性粒子B:SnBiはんだ粒子(三井金属社製「ST−3」、体積平均粒径3.4μm、標準偏差:1.1μm、CV値32%、d90:5.0μm)
(実施例1〜13及び比較例1〜3)
(1)異方性導電ペーストの作製
下記の表1に示す成分を下記の表1に示す配合量で配合して、異方性導電ペーストを得た。
(2)第1の接続構造体(L/S=50μm/50μm)の作製
L/Sが50μm/50μmの銅電極パターン(銅電極厚み10μm)を上面に有するガラスエポキシ基板(FR−4基板)を用意した。また、L/Sが50μm/50μmの銅電極パターン(銅電極厚み10μm)を下面に有するフレキシブルプリント基板を用意した。
ガラスエポキシ基板とフレキシブル基板との重ね合わせ面積は、1.5cm×4mmとし、接続した電極数は75対とした。
上記ガラスエポキシ基板の上面に、作製直後の異方性導電ペーストを厚さ50μmとなるように塗工し、異方性導電材料層を形成した。次に、異方性導電材料層の上面に上記フレキシブルプリント基板を、電極同士が対向するように積層した。その後、異方性導電材料層の温度が185℃となるようにヘッドの温度を調整しながら、フレキシブルプリント基板の上面に加圧加熱ヘッドを載せ、2.0MPaの圧力をかけて、はんだを溶融させ、かつ異方性導電材料層を185℃で硬化させ、第1の接続構造体を得た。
(3)第2の接続構造体(L/S=75μm/75μm)の作製
L/Sが75μm/75μmの銅電極パターン(銅電極厚み10μm)を上面に有するガラスエポキシ基板(FR−4基板)を用意した。また、L/Sが75μm/75μmの銅電極パターン(銅電極厚み10μm)を下面に有するフレキシブルプリント基板を用意した。
L/Sが異なる上記ガラスエポキシ基板及びフレキシブルプリント基板を用いたこと以外は第1の接続構造体の作製と同様にして、第2の接続構造体を得た。
(4)第3の接続構造体(L/S=100μm/100μm)の作製
L/Sが100μm/100μmの銅電極パターン(銅電極厚み10μm)を上面に有するガラスエポキシ基板(FR−4基板)を用意した。また、L/Sが100μm/100μmの銅電極パターン(銅電極厚み10μm)を下面に有するフレキシブルプリント基板を用意した。
L/Sが異なる上記ガラスエポキシ基板及びフレキシブルプリント基板を用いたこと以外は第1の接続構造体の作製と同様にして、第3の接続構造体を得た。
(評価)
(1)電極上の導電性粒子の配置精度
得られた第1,第2,第3の接続構造体において、導電材料により形成された接続部に含まれる導電性粒子の全個数100重量%中、電極上に配置されている導電性粒子の個数の割合(%)を評価した。電極上の導電性粒子の配置精度を下記の基準で判定した。
[電極上の導電性粒子の配置精度の判定基準]
○○:電極上に配置されている導電性粒子の個数の割合が80%以上
○:電極上に配置されている導電性粒子の個数の割合が70%以上、80%未満
△:電極上に配置されている導電性粒子の個数の割合が60%以上、70%未満
×:電極上に配置されている導電性粒子の個数の割合が60%未満
(2)上下の電極間の導通信頼性
得られた第1,第2,第3の接続構造体(n=15個)において、上下の電極間の接続抵抗をそれぞれ、4端子法により測定した。接続抵抗の平均値を算出した。なお、電圧=電流×抵抗の関係から、一定の電流を流した時の電圧を測定することにより接続抵抗を求めることができる。導通信頼性を下記の基準で判定した。
[導通信頼性の判定基準]
○○:接続抵抗の平均値が8.0Ω以下
○:接続抵抗の平均値が8.0Ωを超え、10.0Ω以下
△:接続抵抗の平均値が10.0Ωを超え、15.0Ω以下
×:接続抵抗の平均値が15.0Ωを超える
(3)隣接する電極間の絶縁信頼性1(500時間放置)
得られた第1,第2,第3の接続構造体(n=15個)を、85℃及び湿度85%にて500時間放置した。放置後の接続構造体において、隣接する電極間に、5Vを印加し、抵抗値を25箇所で測定して、絶縁抵抗の平均値を算出した。絶縁信頼性1を下記の基準で判定した。
[絶縁信頼性1の判定基準]
○○:絶縁抵抗が1000MΩ以上
○:絶縁抵抗が100MΩ以上、1000MΩ未満
△:絶縁抵抗が10MΩ以上、100MΩ未満
×:絶縁抵抗が10MΩ未満
(4)隣接する電極間の絶縁信頼性2(1000時間放置)
得られた第1,第2,第3の接続構造体(n=15個)を、85℃及び湿度85%にて1000時間放置した。放置後の接続構造体において、隣接する電極間に、15Vを印加し、抵抗値を25箇所で測定して、絶縁抵抗の平均値を算出した。絶縁信頼性2を下記の基準で判定した。
[絶縁信頼性2の判定基準]
○○:絶縁抵抗が1000MΩ以上
○:絶縁抵抗が100MΩ以上、1000MΩ未満
△:絶縁抵抗が10MΩ以上、100MΩ未満
×:絶縁抵抗が10MΩ未満
結果を下記の表1に示す。
なお、銅層とはんだ層とを有する導電性粒子を用いた全ての実施例において、得られた第1,第2,第3の接続構造体では、電極に銅層が接触していた。