JP5171380B2 - 香味油の製造方法および香味油 - Google Patents

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本発明は、融出等の手段によって食品素材特有の好ましい風味を残し、調理の際に使用して、料理に風味付けを行うことのできる油脂である香味油及びその製造方法に関する。
古くから油を用いた料理法として以下の方法が用いられている。すなわち、加熱した油の中に、香味性素材、例えば野菜類・魚介類・畜肉類を入れ、これらの持つ旨み、風味を油脂に移し、これらの油脂を用いた調理法である。この調理に用いる油脂は、一般に精製された食用油脂が用いられているが、風味に乏しいため、より特徴のある食用油脂の出現が待望され、多くの試みがなされている。
これまで、香味油の製造方法として種々の提案がなされている。例えば、生野菜を常圧下で適度の温度とその処理時間を決め、油と処理し、油中にその風味と旨みを移行させる方法(特許文献1、2、3、4)や動植物原料を乾燥し、これを密閉容器中で油と共に加熱処理して風味油を製造する方法(特許文献5)が知られている。特許文献1〜4の場合、開放下で加熱処理を行うため、旨みに起因する分子量の大きい物質は残存するが、分子量の小さい揮発性の高いフレーバー成分などは、蒸発水分などと一緒に拡散してしまい、香りのバランスがよく、フレーバー強度も強いものは得られない。特許文献5の方法は、揮発性の高いフレーバー成分の拡散防止は可能であるが、風味の強さが希薄である。
上記より、これまでの香味油の製造方法は、香味性素材が有する風味、例えば、新鮮な香味性素材の有する生っぽさ、いわゆるフレッシュ感が損なわれるのみならず、焦げた風味、異質な風味などが生じるなどの欠点を有しており、香味性素材が有する特徴ある風味を再現できないなどの問題点があった。また、力価の点でも十分満足できるものではなく、香味性素材本来の特徴ある風味を付与した香味油を得ることはできず、それらの問題点の解決が望まれている。
特公昭57−58901号公報 特公昭59−4972号公報 特開昭58−31938号公報 特開昭58−121751号公報 特開昭50−148561号公報
本発明の目的は、香味性素材が有するところの特徴ある風味、特にフレッシュな風味をより忠実に再現した高力価の香味油、さらにそのような香味油を、効率よく製造することのできる製造方法を提供することである。
本発明者は前記の課題を解決すべく、鋭意研究を行った結果、香味性素材と油脂類を混合し、容器中で100℃を越えないように抽出した後、加熱抽出の工程および固液分離の工程を密閉した状態に保って加圧状態を維持することにより、焦げた風味や異質な風味などを生じることなく、香味性素材が有する特徴ある風味が付与され、力価の点でも満足できる香味油が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の第一は、100℃以上の工程を有さず、動植物性油脂に香味性素材を加え、密封された容器内で内圧がゲージ圧で0.1〜15MPaの条件で1〜60分間保持した後、油分を採取することを特徴とする香味油の製造方法に関する。好ましい実施態様は、香味性素材を動植物油脂と細断しながら加えることを特徴とする上記記載の香味油の製造方法に関する。より好ましくは、製造時の保持温度が100℃未満であることを特徴とする上記記載の香味油の製造方法に関する。本発明の第二は、上記記載の香味油の製造方法によって得られる香味油に関する。
本発明に従えば、香味性素材が有するところの特徴ある風味、特にフレッシュな風味をより忠実に再現した高力価の香味油、さらにそのような香味油を、効率よく製造することのできる製造方法を提供することができる。
以下、本発明につき、さらに詳細に説明する。本発明の香味油とは、融出等の手段によって食品素材特有の好ましい風味を残し、調理の際に使用して、料理に風味付けを行うことのできる油脂であり、該香味油は、100℃以上の工程を有さない香味油の製造方法であって、動植物性油脂に香味性素材を加え、密封された容器内で内圧がゲージ圧で0.1〜15MPaの条件化で1〜60分間保持した後、油を採取することで容易に得られる。ここでいうゲージ圧とは、真空をゼロとする絶対圧力に対して、大気圧をゼロとする、相対的な圧力のことである。
本発明の動植物性油脂とは、食用であれば特に限定はないが、例えば、オリーブ油、大豆油、サフラワー油、コーン油、菜種油、ヤシ油、パーム油、パーム核油などの植物性油脂類、牛脂、豚脂、鶏油などの動物性油脂類、中鎖脂肪酸含有油脂(MCT)、ジアシルグリセリド含有油脂(DG)、バターなどが挙げられ、それらはそのまま、或いは水素添加や他の油脂とのエステル交換などの加工を行っても使用できる。そして、それらの群より選ばれる少なくとも1種の動植物性油脂が用いられる。
本発明の香味性素材は、特に制限されるものではなく、例えば、コショウ、わさびなどの香辛料類、レタス、タマネギなどの香味野菜類などの植物性香味性素材などが挙げられる。これらは、そのままでも使用できるが、細断物、ペースト状物、ジュース状物、乾燥処理物、冷凍加工物でも使用でき、さらにこれらから得られる精油あるいは抽出物、加水分解物を使用することもできる。一方、肉類、魚介類、それらの抽出物、加水分解物などの動物性香味性素材を香味性素材として使用することもできる。また上記の各香味性素材は、2種以上混合して使用することもできる。
前記香辛料類としては、例えばスパイス類およびハーブ類が挙げられる。スパイス類としては、例えば、アニス、フェンネル、カルダモン、キャラウェイ、クミン、けしの実、ごま、コリアンダー、しそ、セロリ、デイルおよびマスタードなどの種子類;ウコン、カンゾウ、生姜、ターメリック、ニンニクおよびわさびなどの根茎類;オールスパイス、カルダモン、コショウ、山椒、スターアニス、唐辛子、バニラ、メースおよびローズヒップなどの果実類;クローブ、サフラン、などの花蕾類;カシア、シナモンなどの樹皮類;グレープフルーツ、オレンジ、みかん、ゆず、レモンなどの果皮類などが挙げられる。また、ハーブ類としては、例えば、オレガノ、ミント、セージ、タイム、タラゴン、ローズマリー、コリアンダー、しそ、セロリ、バジル、セイボリーおよびパセリなどの葉茎類などを挙げることができ、これらの香辛料類は少なくとも1種使用することができる。
また、前記香味野菜類としては、例えば、レタス、シュンギク、小松菜、セリ、ニラなどの葉菜類;トマト、ブロッコリーなどの果菜類などを挙げることができ、これらの香味野菜類は少なくとも1種使用することができる。
前記肉類としては、例えば、牛肉、豚肉、鶏肉、馬肉、羊肉、などが挙げられ、これらは生のまま、あるいは加工したものも利用でき、これらの肉類は少なくとも1種使用することができる。
また、前記魚介類としては、例えば、あじ、さば、いか、あゆ、こい、さけなどの海水産および淡水産類が挙げられ、また、えび、かに、などの甲殻類、更には、あさり、はまぐり、しじみ、かき、ほたて、あわび、などの貝類が挙げられ、これらを生のまま、あるいは、加工したものも利用でき、これらの魚介類は少なくとも1種使用することができる。
また本発明の香味性素材としては、前記したもの以外に、醤油、などの醸造物類、5’−イノシン酸、5’−グアニル酸などの核酸類、グルタミン酸、ロイシン、アスパラギン酸、プロリンなどのアミノ酸類、シュークロース、グルコースなどの糖類などを挙げることができ、これらの材料は1種使用することができる。また、前記した動植物性香味性素材と組み合わせて使用することもできる。
動植物性油脂に対する香味性素材の使用量は、目的とする香味油の力価によっても異なり、特に限定されないが、例えば、油脂類100重量部に対して、香味性素材を1〜200重量部。経済性、力価の面から10〜100重量部が好ましく、15〜50重量部が特に好ましい。
本発明の香味油の製造方法は、特に限定はないが、以下に例示する。
<事前準備>
動植物性油脂は、常温で流動性を有しないものを使用する場合、あらかじめ加温して溶解し、流動性を有する状態にしておくことが望ましい。
<動植物性油脂と香味性素材の細断工程>
まずはおおざっぱに香味性素材を細断し、香味性素材を細断可能な容器に入れ易くするとともに、さらに細かく細断する際の効率を上げる。このおおざっぱな細断は、特に限定はなく、手でむしっても良いし、カッターなどで切っても良いし、フードプロセッサー、カッターミキサーなどを用いても良い。ここで、香味性素材を細断可能な容器とは、フードプロセッサー、カッターミキサーなどに付属の容器のことである。次に、香味性素材を細断可能な容器に流動性を有する油脂を注入し、上記で準備したおおざっぱに細断された香味性素材を加えて、油脂中でさらに細かく細断する。油脂中で香味性素材を細断すれば、抽出効率の向上および香味性素材の風味成分の飛散を抑制する上で、特に好ましい。油脂中で細断する時間は、特に限定されないが、10秒〜1時間の間で素材に適した時間を選択することが可能である。細断に用い得る装置としては、フードプロセッサー、カッターミキサーなどを好適に用いることができる。
<加圧・加熱抽出工程>
上記細断工程で得られた、細断された香味性素材と油脂の混合物を密閉・圧力下で抽出処理を行うため、機密性の保てる耐圧容器に移す。そこで、20℃以上、100℃未満で1〜60分間、加圧下で加熱することで、香味性素材の風味を油脂中に移行させる。
前記耐圧容器は加熱処理を実施する間、気密性を保てればよい。前記加圧下では、容器内の内圧がゲージ圧でが0.1〜15MPaになるように圧力を加えることが好ましい。より好ましくは、経済的にも、風味の面から、内圧がゲージ圧で0.1〜5MPaになるように調整する。0.1MPaより弱い圧力であると、抽出が十分でない場合があり、また、15MPaを越える圧力の場合、その圧力を加えるためには、圧力を加える装置、安全装置など設備面で負荷が上がり、経済的に好ましくない場合がある。加圧するための方法は特に限定されないが、レトルト殺菌システムを応用した水で加圧する方法や、窒素など不活性ガスで加圧する方法など、公知の装置、方法を用いた加圧方法で何ら問題は無い。
本発明における加熱の方法は特に限定されるものではなく、例えば、蒸気による加熱、電気による加熱などによる公知の加熱方法を利用することができる。また、加熱温度は100℃未満であれば特に限定されないが、20℃以上、100℃未満の温度範囲が好ましい。100℃以上であると、調理された風味やローストされた風味など、フレッシュではない好ましくない風味が発生する場合がある。また、20℃未満では、抽出効率の低下、力価の低下を招く場合がある。その中でも、風味、力価、経済性の面から、40〜80℃が特に好ましい。一方、加熱時間は特に限定されないが、前記温度において、1〜60分間が好ましい。60分を越えると、フレッシュな風味が損なわれ、経済的に好ましくない場合がある。1分間未満では、抽出が十分行われず好ましくない場合がある。風味の面から、5〜60分間がより好ましく、風味および経済性の面から10〜60分間の抽出が特に好ましい。
<分離、脱水ろ過工程>
本発明の香味油を採取するため、加熱抽出工程が終了した香味性素材と油脂の混合物から香味性素材を取り除き、油分からなる液状物である香味油を取り出す。その方法は特に限定されないが、例えば、デカンテーション、ろ紙吸着、遠心分離、フィルタープレス、スクリュープレスなどの公知の分離手段を好適に使用することができる。また、その工程は、開放系であっても、密閉された状態であっても、目的とするフレッシュな風味を安定して得ることが可能である。
<香味油の保存>
上記の操作により得られた香味油は、風味成分の飛散を防止することができるため、密閉状態を保ったまま、ポリ容器、ガラス容器および金属容器などの容器に充填することが特に好ましい。ここで、密閉状態とは、大気に直接接触しないことを意味する。
本発明の香味油は、例えば、ドレッシング、マヨネーズ、ソース類、たれ類、スープ類、スナック類などの広い分野において利用することができる。
以下に実施例を示し、本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。なお、実施例において「部」や「%」は重量基準である。
(実施例1) バジルオイルの作製
カッターミキサー(ステファン社製;UMC−5)に生のバジル400gを入れ、オリーブ油1200gを加えた後に、細断すると同時に混合を行った。得られた細断混合物をカッターミキサーから取り出し、耐圧容器(耐圧硝子工業株式会社製;TAS−2−9型)に移した。密閉状態で、撹拌しながら、0.2MPaの圧力条件下、80℃で30分間抽出を行った。抽出後、ろ紙(アドバンテック東洋株式会社製;No.1)によるろ過を2度行うことで固形分、水分を除去し、バジルオイル800gを得た。得られたバジルオイルの官能試験及び風味成分分析を行い、それらの結果を表1、2にまとめた。
Figure 0005171380
Figure 0005171380
(実施例2) バジルオイルの作製
実施例1とは異なり、生のバジルを細断せずそのまま油脂と混合した以外は実施例1と同様にして、バジルオイル810gを得た。得られたバジルオイルの官能試験及び風味成分分析を行い、それらの結果を表1、2にまとめた。
(比較例1) バジルオイルの作製
実施例1と同様にして得られた生バジルの細断物と油脂混合物をステンレス製の鍋(大気開放系)に移した。撹拌しながら、110℃で20分間の加熱抽出を行った。加熱抽出後、実施例1と同様に、ろ紙(アドバンテック東洋株式会社製;No.1)によるろ過を2度行い、固形分、水分を除去し、バジルオイル750gを得た。得られたバジルオイルの官能試験及び風味成分分析を行い、それらの結果を表1、2にまとめた。
<バジルオイルの官能評価>
実施例1,2、比較例1で得られたバジルオイルについて、熟練したパネラー10名により官能評価を行い、風味および力価について、その結果を表1にまとめた。その際の力価評価基準は、比較例1を3点とし、1(弱い)〜3(比較例1と同等)〜5(強い)であり、10名の平均値を評点とした。またその際の風味評価基準は、生のバジルと同等の風味、生のバジルに近い風味、生のバジルと異なる風味の3択で、10人中の各風味を選択した人数を評点とした。
<バジルオイルの風味成分分析>
実施例1,2、比較例1で得られたバジルオイルにおける代表的な風味成分であるシネオール、オシメン、リナロールおよびオイゲノールの含量を40℃に保温したバジルオイル中に窒素ガスを100ml/分の流量で吹き込み蒸散してきた匂い成分をテナックス管に吸着させ、GC−MS(Agilent社製「Network GC System」)で分析した。比較例1の分析値を1.0とした相対比較値を評価値とした。
表1の結果を見ると、10名全員、実施例1のバジルオイルは生のバジルと同等の新鮮なバジル風味であるフレッシュ感を有していると評価し、また10名全員、比較例1のバジルオイルは新鮮なバジル風味が乏しいと評価した。実施例2のバジルオイルは、実施例1には及ばないものの、比較例1に較べれば新鮮なバジル風味もあり、かつ、力価も高いと評価した。従って、実施例1,2のバジルオイルは新鮮なバジル風味を有しており、かつ、力価が高いことは明らかであり、風味素材の油脂への抽出を低温且つ密閉(加圧)状態で実施することの効果は明らかである。
表2の結果からも、実施例1、2におけるシネオール、オシメン、リナロールおよびオイゲノールの含量は、何れも比較例1の各分析値に対して3倍以上であり、実施例の力価が高いことは明らかである。
(実施例3) 青ネギオイルの作製
香味性素材として、生の青ネギを、油脂類として、オリーブ油の替わりにナタネ油を用い、加熱抽出を40℃、30分間で行った以外は、実施例1と同様にして、青ネギオイル820gを得た。得られた青ネギオイルの官能試験を行い、それらの結果を表3にまとめた。
Figure 0005171380
(比較例2) 青ネギオイルの作製
香味性素材として、生のバジルの替わりに生の青ネギを、油脂類として、オリーブ油の替わりにナタネ油を用い、加熱抽出を105℃、40分間で行った以外は、比較例1と同様にして加熱抽出及び固液分離を行い、液相部を回収した。ついで実施例1と同様にして青ネギオイル770gを得た。得られた青ネギオイルの官能試験を行い、それらの結果を表3にまとめた。
<青ネギオイルの官能評価>
実施例3、比較例2で得られた青ネギオイルについて、熟練したパネラー10名により官能評価を行い、風味および力価についてその結果を表3にまとめた。その際の力価評価基準は、比較例2を3点とし、1(弱い)〜3(比較例2と同等)〜5(強い)であり、10名の平均値を評点とした。またその際の風味評価基準は、生の青ネギと同等の風味、生の青ネギに近い風味、生の青ネギと異なる風味の3択で、10人中の各風味を選択した人数を評点とした。
その結果、5名全員、実施例3の青ネギオイルは生の青ネギと同等あるいは近いフレッシュ感を有していると評価した。また、5名全員、比較例2の青ネギオイルは新鮮なネギの風味が乏しいと評価した。また、力価も実施例3の青ネギオイルが高いと評価した。実施例3の青ネギオイルがフレッシュで、力価が高いことは明らかである。
(実施例4) グレープフルーツオイルの作製
香味性素材として、生のバジルの替わりにグレープフルーツの果皮を用い、加熱抽出を40℃、15分間で行った以外は、実施例1と同様にして、グレープフルーツオイル800gを得た。得られたグレープフルーツオイルの官能試験を行い、それらの結果を表4にまとめた。
Figure 0005171380
(比較例3) グレープフルーツオイルの作製
香味性素材として、生のバジルの替わりにグレープフルーツの果皮を、油脂類として、オリーブ油の替わりにナタネ油を用い、加熱抽出を105℃、40分間で行った以外は、比較例1と同様にして、グレープフルーツオイル760gを得た。得られたグレープフルーツオイルの官能試験を行い、それらの結果を表4にまとめた。
<グレープフルーツオイルの官能評価>
実施例4、比較例3で得られたグレープフルーツオイルについて、熟練したパネラー10名により官能評価を行い、風味および力価についてその結果を表3にまとめた。その際の力価評価基準は、比較例3を3点とし、1(弱い)〜3(比較例3と同等)〜5(強い)であり、10名の平均値を評点とした。またその際の風味評価基準は、生のグレープフルーツと同等の風味、生のグレープフルーツに近い風味、生のグレープフルーツと異なる風味の3択で、10人中の各風味を選択した人数を評点とした。
表4の結果より、実施例4のグレープフルーツオイルは比較例3のグレープフルーツオイルに比べ、新鮮なグレープフルーツ特有のフレッシュ感を有しており、かつ、力価が高いことは明らかである。
(実施例5) タイムオイルの作製
生のバジルの替わりに、生のタイムを用いた以外は、実施例1と同様にして、タイムオイル830gを得た。得られたタイムオイルの官能試験を行い、それらの結果を表5にまとめた。
Figure 0005171380
(比較例4) タイムオイルの作製
生のバジルの替わりに、生のタイムを用いた以外は、比較例1と同様にして、タイムオイル776gを得た。得られたタイムオイルの官能試験を行い、それらの結果を表5にまとめた。
<タイムオイルの官能評価>
実施例5、比較例4で得られたタイムオイルについて、熟練したパネラー10名により官能評価を行い、風味および力価についてその結果を表5にまとめた。その際の力価評価基準は、比較例4を3点とし、1(弱い)〜3(比較例4と同等)〜5(強い)であり、10名の平均値を評点とした。またその際の風味評価基準は、生のタイムと同等の風味、生のタイムに近い風味、生のタイムと異なる風味の3択で、10人中の各風味を選択した人数を評点とした。
表5の結果より、実施例5のタイムオイルは比較例4のタイムオイルに比べ、新鮮なハーブ風味であるフレッシュ感を有しており、かつ、力価が高いことは明らである。
(実施例6) わさびオイルの作製
生のわさびを用い、抽出を40℃、30分間、5mPaで行った以外は、実施例1と同様にして、わさびオイル800gを得た。得られたわさびオイルの官能試験を行い、それらの結果を表6にまとめた。
Figure 0005171380
(比較例5) わさびオイルの作製
生のわさびを用い、加熱抽出を80℃、40分間で行った以外は、比較例1と同様にして、わさびオイル770gを得た。得られたわさびオイルの官能試験を行い、それらの結果を表6にまとめた。
<わさびオイルの官能評価>
実施例6、比較例5で得られたわさびオイルについて、熟練したパネラー10名により官能評価を行い、風味および力価についてその結果を表にまとめた。その際の力価評価基準は、比較例5を3点とし、1(弱い)〜3(比較例5と同等)〜5(強い)であり、10名の平均値を評点とした。またその際の風味評価基準は、生のわさびと同等の風味、生のわさびに近い風味、生のわさびと異なる風味の3択で、10人中の各風味を選択した人数を評点とした。
表6の結果より、実施例6のわさびオイルは比較例5のわさびオイルに比べ、新鮮なわさび風味であるフレッシュ感を有しており、かつ、力価が高いことは明らかである。

Claims (4)

  1. 100℃以上の工程を有さず、動植物性油脂に香味性素材を加え、密封された容器内で内圧がゲージ圧で0.1〜15MPaの条件で1〜60分間保持した後、油分を採取することを特徴とする香味油の製造方法。
  2. 少なくとも、香味性素材を動植物油脂に加えた後に、油脂中で細断することを特徴とする請求項1に記載の香味油の製造方法。
  3. 製造時の保持温度が20℃以上、100℃未満であることを特徴とする請求項1又は2に記載の香味油の製造方法。
  4. 請求項1〜3の何れか1項に記載の香味油の製造方法によって得られる香味油。
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