JP5147185B2 - 研磨組成物及び研磨方法 - Google Patents

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Description

本発明は、基板を研磨する研磨組成物、特に金属を研磨する研磨組成物、研磨方法、基板の製造方法に関する。
IC(Integrated Circuit:集積回路)やLSI(Large Scale Integration:大規模集積回路)における技術の進歩によって、それらの動作速度や集積規模が向上し、マイクロプロセッサの高性能化やメモリチップの大容量化等が急速に達成されている。これら高性能化には微細加工技術が大きく寄与をしている。この微細加工技術のひとつとして、平坦化技術である化学機械研磨法がある。これは、多層配線工程における層間絶縁膜、金属プラグ、配線金属等の平坦化に使用されている。
配線金属としては、近年、配線遅延の問題などから銅又は銅合金を使用する試みがなされている。銅又は銅合金を用いた配線の製造方法では、層間絶縁膜にあらかじめ溝を形成しておき、層間絶縁膜中への銅拡散防止のためにバリア膜を薄く形成し、ダマシン法などにより銅又は銅合金を堆積させる。このとき、銅又は銅合金は、層間絶縁膜上部に余分に堆積している。従って、平坦化を行いながら余分な銅又は銅合金を除去していく研磨を行うことによって、配線を形成する。
また、磁気記録媒体として注目を浴びている磁気記憶装置(MRAM)がある。MRAMでは、素子アレイのうちの特定のビットに情報を記録するために、アレイを縦横に横切るビット書き込み線とワード書き込み線とを設け、その交差領域に位置する素子のみを使用して選択書き込みを行う方法(例えば特許文献1)が知られている。ここでは用いる金属配線は、アルミニウム又はアルミニウム合金、銅又は銅合金からなる導体層と、これを囲むようにされているニッケル−鉄(例えばパーマロイ)などの強磁性層とからなる。また、この強磁性層を挟むようにして、タンタル、窒化タンタルなどのバリア膜を薄く形成する。この金属配線はダマシン法で形成され、余分な導体層、強磁性層及びバリア膜は、研磨を行いながら平坦化し除去される。
バリア膜は、層間絶縁膜中への銅拡散防止のために、配線の銅又は銅合金等の下層に形成される。このバリア層としては、タンタル、タンタル合金、窒化タンタルのようなタンタル化合物等が用いられる。配線部分以外の絶縁膜上のバリア膜は、研磨により除去する必要がある。バリア膜の研磨は、銅配線の最終特性に関わるので重要である。また、銅配線のロスや研磨傷の発生などを防ぐ必要があり、重要である。
半導体デバイスの生産効率を高めるために、銅及びバリア膜の研磨除去速度が高いことが求められている。しかしながら、バリア膜に用いられる金属は銅より硬度が硬いため、銅と同じ高速度で研磨除去することが困難である。
銅とバリア膜の研磨速度に差があると、バリア金属に囲まれた溝に埋め込まれた銅に窪みが生じるディッシング現象が発生し、配線抵抗の増加や配線の短絡が起こり信頼性が低下する。
更に、近年では、配線が細くなる傾向がある。細い配線が高密度で存在する場合、バリア膜及び層間絶縁膜が過度に研磨されて窪みができるエロージョンという現象がおこる。これは、ディッシングと同様に、配線抵抗の増加や配線の短絡の原因にもなるので、抑制することが望まれている。
ICやLSI等の半導体デバイスでは、通常、同一基板面内に異なる配線幅のパターンが混在している。配線が細く高密度なパターン部分では、ディッシングは小さいが、エロージョンが大きい傾向があり、逆に配線が広いパターン部分では、エロージョンは小さいが、ディッシングが大きい傾向がある。そのため同一面内の平坦性を高めるためには、ディッシングとエロージョンの両方を小さくすることが望ましい。
ディッシングやエロージョンなどの現象を防止する銅又は銅合金からなる金属膜を研磨する金属研磨組成物としては、例えば、過酸化水素、ベンゾトリアゾール、アミノ酢酸を含有し、必要があれば砥粒を含有している組成物が特許文献2に開示されている。ここでベンゾトリアゾールは酸化された金属膜と反応して保護膜を形成することによって、凸部を優先的に機械研磨して平坦性を高めると共に、低ディッシングに寄与していると記述されている。
バリア膜は銅又は銅合金に比べ硬度が高く、また化学的特性が銅とは大きく異なる。従って、このような銅又は銅合金用の研磨材料の組み合わせでは、充分なバリア層の研磨速度が得られない場合が多い。
そこで、銅又は銅合金を高速で研磨する第1工程と、バリア膜を研磨する第2工程とからなる2段階研磨法が検討されている。
バリア膜を研磨する第2工程においては、バリア膜の研磨と同時に、第1工程で生じた段差の解消や、Low−k膜のキャップ層除去のため、層間絶縁膜の研磨を要求される場合がある。
更に、多層配線の上層プロセスでは、下層プロセスでの微小な残段差や不均一性の蓄積により生じる均一性及び平坦性のばらつきのため、第1工程後に配線部分以外に部分的に銅又は銅合金が残存することがある。そのため、第2工程においては、残存した銅又は銅合金と同時にバリア膜を研磨する必要が生じる。
そこで、層間絶縁膜がすべて露出した際に被研磨面が平坦であるように、バリア層や配線部用金属の研磨速度と層間絶縁膜の研磨速度とをほぼ等しくすることにより、バリア層、配線部用金属及び層間絶縁膜の表面の平坦性を保ったまま研磨する手法が提案されている(特許文献3)。
特許文献4では、2つの酸性基を含む化合物を用いた研磨合成物で、二酸化ケイ素の研磨レートを抑制することが述べられている。
特許文献5では、シリカ研磨材と特定の構造式で示されるカルボン酸を用いてバリア膜の研磨を行う方法を開示している。従って絶縁膜の研磨作用に関する記述はなされていない。
特許文献6では、芳香族スルホン酸又は芳香族スルホン酸塩より選ばれる少なくとも1種と、芳香族カルボン酸又は芳香族カルボン酸塩より選ばれる少なくとも1種と、水とを含有する研磨液を開示している。ここで示される研磨液は、二酸化ケイ素のような絶縁層材料、銅のような配線層材料及びタンタルのようなバリア層材料を同様な速度で、かつエロージョンを伴わずに研磨できるとしている。
特許文献7は、Ni−Pディスク等の磁気ディスク用基板の表面研磨のために用いられる研磨組成物に関する。この文献で開示されている研磨組成物は、水、二酸化ケイ素、酸化剤、並びにリンゴ酸、マレイン酸、乳酸、酢酸、クエン酸、コハク酸、マロン酸、グリコール酸、アジピン酸、アスコルビン酸、イタコン酸、イミノジ酢酸、グリオキシル酸、ギ酸、アクリル酸、クロトン酸、ニコチン酸、シトラコン酸および酒石酸からなる群より選ばれる少なくとも1種類の有機酸を含んでなり、且つpHが1以上7未満である。
特開平10−116490号公報 特開平8−83780号公報 特開2001−196336号公報 特許2819196号公報 特許3450247号公報 特開2004−179294号公報 特開2002−294225号公報
本発明では、ディッシング、エロージョンを抑制し、特に金属膜の平坦性を維持したままで、配線用金属と共にバリア膜、絶縁膜を同時に高速に研磨できる研磨組成物を提供することを目的とする。また本発明では、この研磨組成物を用いた基板の研磨方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題の解決について鋭意検討した結果、炭素数7〜13のジカルボン酸、酸化剤、砥粒、水を含有することを特徴とする研磨組成物が、幅広いpH範囲で前記課題を良好に解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は以下のようなものである:
(1)炭素数7〜13のジカルボン酸、酸化剤、砥粒、及び水を含有する化学的機械的研磨組成物。
(2)ジカルボン酸が、脂肪族ジカルボン酸である上記(1)項に記載の化学的機械的研磨組成物。
(3)ジカルボン酸が、ヒドロキシル基を含まないジカルボン酸である上記(1)又は(2)項に記載の化学的機械的研磨組成物。
(4)ジカルボン酸が、3−メチルアジピン酸、ピメリン酸、セバシン酸、トリデカン二酸、又はそれらの混合物である上記(1)〜(3)項のいずれかに記載の化学的機械的研磨組成物。
(5)酸化剤が、過酸化水素である上記(1)〜(4)項のいずれかに記載の化学的機械的研磨組成物。
(6)砥粒が、コロイダルシリカである上記(1)〜(5)項のいずれかに記載の化学的機械的研磨組成物。
(7)更なる酸を1種以上を含有する上記(1)〜(6)項のいずれかに記載の化学的機械的研磨組成物。
(8)更なる酸が、スルホン酸、カルボン酸、アミノ酸、硫酸、リン酸、ホスホン酸、及び硝酸からなる群より選択される上記(7)項に記載の化学的機械的研磨組成物。
(9)アルカリ金属イオンを1種以上を含有する上記(1)〜(8)項のいずれかに記載の化学的機械的研磨組成物。
(10)アルカリ金属イオンを含有していてもよく、その他の成分として炭素数7〜13のジカルボン酸、酸化剤、砥粒及び水のみを含有している上記(1)〜(6)及び(9)項のいずれかに記載の化学的機械的研磨組成物。
(11)アルカリ金属イオンがカリウムイオンである上記(9)又は(10)項に記載の化学的機械的研磨組成物。
(12)ジカルボン酸の含有量が、化学的機械的研磨組成物に対して0.005〜10質量%である上記(1)〜(11)項のいずれかに記載の化学的機械的研磨組成物。
(13)酸化剤の含有量が、化学的機械的研磨組成物に対して0.01〜30質量%である上記(1)〜(12)項のいずれかに記載の化学的機械的研磨組成物。
(14)前記砥粒の含有量が、化学的機械的研磨組成物に対して30質量%以下である上記(1)〜(13)項のいずれかに記載の化学的機械的研磨組成物。
(15)pHが2〜4である上記(1)〜(14)項のいずれかに記載の化学的機械的研磨組成物。
(16)pHが8〜12である上記(1)〜(14)項のいずれかに記載の化学的機械的研磨組成物。
(17)更なる酸の含有量が、化学的機械的研磨組成物に対して0.1質量%以下である上記(7)又は(8)項に記載の化学的機械的研磨組成物。
(18)凹部を有する絶縁膜、前記絶縁膜上に形成されたバリア膜、及び前記バリア膜を覆うようにして前記凹部に埋め込まれた配線材料膜を有する基板を、上記(1)〜(17)項のいずれかに記載の化学的機械的研磨組成物で平坦化する工程を含む基板の研磨方法。
(19)配線材料が、銅又は銅合金である上記(18)項に記載の研磨方法。
(20)絶縁膜が、無機ケイ素化合物又は有機化合物の膜である上記(18)又は(19)項に記載の研磨方法。
(21)無機ケイ素化合物が、SiO2、SiN、SiNO、SiOC、SiCN及びそれらの混合物からなる群より選択される少なくとも一種の材料である上記(20)項に記載の研磨方法。
(22)バリア膜が、タンタル、タンタル合金、タンタル化合物及びそれらの混合物からなる群より選択される少なくとも一種の材料の膜である上記(18)〜(21)項のいずれかに記載の研磨方法。
(23)水で希釈して上記(12)〜(17)項のいずれかに記載の化学的機械的研磨組成物となる組成物。
(24)上記(23)項に記載の組成物を用いる化学的機械的研磨組成物の輸送又は保存方法。
(25)複数の組成物からなるキットであって、それらの組成物を混合することによって、又は混合及び水で希釈することによって、上記(1)〜(17)項のいずれかに記載の化学的機械的研磨組成物が得られる複数の組成物からなるキット。
(26)上記(25)項に記載のキットを用いる化学的機械的研磨組成物の輸送又は保存方法。
炭素数7〜13のジカルボン酸、酸化剤、砥粒、及び水を含有する本発明の化学的機械的研磨組成物によれば、幅広いpH範囲において、ディッシング、エロージョンを抑制し、平坦性を維持したまま、配線用金属と共に、バリア膜、絶縁膜を同時に高速に研磨できる。
更に、本発明のこの化学的機械的研磨組成物に、更なる酸を含有させることによって、高速に平坦に研磨する本発明の研磨組成物の良好な性質を維持しつつ、銅等の金属の研磨速度を必要に応じて大きくし、絶縁膜、バリア膜、配線金属の研磨速度比を調節できる。更に、本発明の研磨組成物を用いる研磨方法によって、平坦性の優れた基板を製造することが容易になる。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明は凹部を有する基体上に凹部を覆うように埋め込まれた金属膜を平坦化するために好ましく用いることができる研磨組成物に関する。
本発明の研磨組成物は、ジカルボン酸、酸化剤、砥粒及び水を含有する。また、本発明の化学的機械的研磨組成物は随意に更なる酸又はアルカリ金属イオンを含有することができる。
〈ジカルボン酸〉
本発明の研磨組成物に含有されるジカルボン酸は、1分子中に2つのカルボキシル基を有するものであり、環状構造、不飽和結合、分岐構造を有していてもよく、好ましくは脂肪族ジカルボン酸、より好ましくは直鎖の飽和ジカルボン酸である。2種以上のジカルボン酸の混合物を用いることもできる。
本発明の研磨組成物に含有されるジカルボン酸は、炭素原子数が7〜13であり、例えば、3−メチルアジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、トリデカン二酸を挙げることができる。
本発明の研磨組成物に含有されるジカルボン酸は、上記ジカルボン酸の混合物であってもよい。
また、本発明の研磨組成物に含まれるジカルボン酸は、好ましくはヒドロキシル基を有さない。
使用するジカルボン酸の炭素原子数が小さすぎる場合、又は使用するジカルボン酸がヒドロキシル基を含む場合、銅及び銅合金の研磨をバリア膜の研磨以上に促進するので、ディッシングを抑制するのが困難になる。このようなジカルボン酸を用いる場合、その添加量を調節して銅膜付きブランケットウエハでの銅に対する研磨速度が比較的小さくなるように調整しても、ディッシング及びエロージョンを十分に抑制することはできない。
使用するジカルボン酸の炭素原子数が大きすぎる場合、銅及び銅合金の研磨を過剰に抑制し、絶縁膜、バリア膜、配線金属膜の適切な研磨速度比が得られず、基板の平坦化が困難になる。またこのようなジカルボン酸は、酸性の研磨組成物における溶解度が十分ではなく、従って適切な研磨速度を得ることができない。
このジカルボン酸の含有量は例えば、研磨組成物に対して、好ましくは0.005〜10質量%、より好ましくは0.01〜5質量%、特に好ましくは0.03〜1.5質量%である。この含有量が不足する場合には、金属膜及び絶縁膜の適切な研磨速度が得られないことがある。また、この含有量が過剰である場合には、銅又は銅合金の研磨レートが高くなり過ぎることがあり、また場合によっては液の安定性が得難いこともある。
〈酸化剤〉
本発明の研磨組成物に用いられる酸化剤は、金属又は金属合金などを酸化し、研磨速度向上に寄与する。上記酸化剤としては、酸素、オゾン、過酸化水素、t−ブチルハイドロパーオキサイド、エチルベンゼンハイドロパーオキサイドなどのアルキルパーオキサイド、過酢酸、過安息香酸などの過酸、過マンガン酸カリウムなどの過マンガン酸塩、過ヨウ素酸カリウムなどの過ヨウ素酸塩、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウムなどの過硫酸塩、ポリオキソ酸、次亜塩素酸カリウムなどの次亜塩素酸塩などを挙げることができる。これらの酸化剤のうち、取り扱いやすい過酸化水素、過硫酸塩、次亜塩素酸塩が好ましく、特に過酸化水素が好ましい。
酸化剤の含有量としては、被研磨金属種や液のpH等によって異なり、それぞれに最適な量の範囲があるので特に規定しないが、研磨組成物に対して好ましくは0.01〜30質量%である。更に好ましくは、0.05〜20質量%であり、特に好ましくは、0.1〜10質量%である。酸化剤の量が少なすぎる場合や多すぎる場合には、十分な研磨速度を得ることが難しくなる懸念がある。多すぎる場合は、経済的でない。
〈砥粒〉
本発明の研磨組成物に含有される砥粒としては、シリカ、酸化セリウム、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、二酸化チタン、有機砥粒が挙げることができる。スクラッチの発生を防ぐためには、粒径が小さく、鋭角部分を有さない、球状に近い砥粒が好ましく、シリカ、特にコロイダルシリカを用いることが望ましい。これら砥粒は一種のみを含有しても良いし、二種以上を混合して含有しても良い。砥粒の一次粒子径としては、70nm以下が好ましく、40nm以下がさらに好ましい。
含有量は一般に研磨組成物に対して30質量%以下である。好ましくは20質量%以下であり、更に好ましくは、10質量%以下である。含有量が過剰であると、ディッシングの悪化やスクラッチ増大の原因になる。また、平坦化を実現するためには、含有量は研磨組成物に対して0.1質量%以上が好ましい。
〈pH〉
本発明の研磨組成物は、幅広いpH範囲、特に2〜4又は8〜12のpH範囲で好ましく使用することができる。
〈他の成分〉
本発明の研磨組成物は随意に、更なる酸若しくはその塩、及び/又はアルカリ金属イオンを含有することができる。これらの酸としては、カルボン酸、スルホン酸及びアミノ酸のような有機酸、並びに硫酸、リン酸、ホスホン酸、塩酸及び硝酸のような無機酸からなる群より選択される1又は複数の成分を挙げることができる。

本発明の研磨組成物に、スルホン酸、カルボン酸及びアミノ酸のような有機酸、並びに硫酸、リン酸、ホスホン酸、硝酸のような無機酸からなる群より選択される更なる酸を含有させることにより、銅等の金属の研磨速度を大きくし、配線金属、バリア金属、絶縁膜の研磨速度比を調節できる。これらの化合物は、金属酸化物を水溶化する性質があり、良好な研磨特性を維持できる程度に少量含有させるのが好ましい。通常は0.1質量%以下である。
本発明の研磨組成物に含有させることができるスルホン酸は、分子構造内にスルホニル基を1つ以上有しており、環状構造、不飽和結合、分岐構造、エーテル結合、ヒドロキシル基、アミノ基、カルボキシル基を有していても良い。
このスルホン酸としては例えば、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、メタンジスルホン酸、1,2−エタンジスルホン酸、イセチオン酸、スルホ酢酸、タウリン、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、アルキル基の炭素原子数2〜6のアルキルベンゼンスルホン酸、キシレンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、アントラキノンスルホン酸、ベンゼンジスルホン酸、スルホ安息香酸、フェノールスルホン酸、アミノスルホン酸を挙げることができる。好ましいスルホン酸としては、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸を挙げることができる。
尚、アルキル基の炭素原子数が6より長いアルキルベンゼンスルホン酸は界面活性剤となり、金属又は金属合金の研磨速度を抑制する性質を持つ。このような抑制効果を持つ界面活性剤等の添加剤は、実質的に本発明の研磨組成物に含有されないことが好ましい。このような抑制効果を持つ界面活性剤等の添加剤の許容される添加量は、その抑制能によっても異なり一律に決められないが、通常、0.005質量%未満であれば性能を大きく損なうことはない。
本発明の研磨組成物に含有させることができるカルボン酸は、分子内にカルボキシル基を有する任意の酸であり、ヒドロキシル基を有していてもよく、またポリマーであってもよい。
このカルボン酸としては例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、2−メチル酪酸、n−ヘキサン酸、3,3−ジメチル酪酸、2−エチル酪酸、4−メチルペンタン酸、n−ヘプタン酸、2−メチルヘキサン酸、n−オクタン酸、2−エチルヘキサン酸、安息香酸、グリコ−ル酸、サリチル酸、グリセリン酸、リンゴ酸、クエン酸、乳酸、ポリアクリル酸など、及びそれらの塩を挙げることができる。
本発明の研磨組成物に含有させることができるアミノ酸としては、グリシン、アラニン、β−アラニン、2−アミノ酪酸、ノルバリン、バリン、ロイシン、ノルロイシン、イソロイシン、アロイソロイシン、フェニルアラニン、プロリン、サルコシン、オルニチン、リシン、セリン、トレオニン、アロトレオニン、ホモセリン、チロシン、3,5−ジヨード−チロシン、β−(3,4−ジヒドロキシフェニル)−アラニン、チロキシン、4−ヒドロキシプロリン、システイン、メチオニン、エチオニン、ランチオニン、シスタチオニン、シスチン、システィン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、S−(カルボキシメチル)−システィン、4−アミノ酪酸、アスパラギン、グルタミン、アザセリン、アルギニン、カナバニン、シトルリン、δ−ヒドロキシリシン、クレアチン、キヌレニン、ヒスチジン、1−メチル−ヒスチジン、3−メチルヒスチジン、エルゴチオネイン、トリプトファン、及びそれらの塩等を挙げることができる。
本発明の研磨組成物は、上記の酸を1又は複数種含有することができる。
アルカリ金属イオン
本発明の研磨組成物に含有させることができるアルカリ金属イオンは、任意のアルカリ金属イオン、好ましくはカリウムイオンである。また、このアルカリ金属イオンは、任意の化合物から供給することができ、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウムから供給することができ、好ましくは水酸化カリウムから供給することができる。本発明の研磨組成物のpHを調整する場合には、水酸化物を用いると調整しやすく、好ましい。
アルカリ金属イオンの含有量は特に限定されないが、アルカリ金属イオンの有無により研磨組成物のpHが2〜12に調節されていることが望ましい。好ましくは砥粒の等電点近傍以外のpHに調節されていることが望ましく、特にシリカ砥粒を用いる場合には、好ましくはpH2〜4又はpH8〜11に調節されていることが望ましい。
アルカリ金属イオンの含有量が過剰である場合には、銅又は銅合金の研磨レートが高くなり、ディッシングが進行し平坦化できないことがある。pHが12を超える場合には、液の安定性が得難いことがある。
尚、研磨速度や平坦性の性能を損なわない範囲で、防カビ剤、分散剤等の添加剤や、エタノール、イソプロパノール等の有機溶剤等を添加してもかまわない。
〈被研磨対象物〉
本発明の研磨組成物が好ましく通用される被研磨対象物としては、金属及び絶縁膜を挙げることができる。本発明の組成物は、これら被研磨対象物のすべて又は一部を除去する場合のいずれにも好ましく用いることができる。
本発明の研磨組成物によって研磨される好ましい金属の具体例としては、アルミニウム、銅、鉄、タングステン、ニッケル、タンタル、ルテニウムや白金などの白金族金属、及びこれら金属の合金を挙げることができる。本発明の研磨組成物特に好ましくは、多層配線部の配線部分にされる配線用金属膜と、配線用金属膜と基板との間に形成されるバリア膜との研磨のために用いられる。更に好ましくは、多層配線部の配線部分にされる銅、銅合金、鉄又は鉄合金等と、バリア膜であるタンタル、タンタル合金、窒化タンタルなどのタンタル化合物、チタン、チタン合金等とに使用することができる。
絶縁膜としては例えば、層間絶縁膜やキャップ層として一般に用いられているものを挙げることができる。具体的には絶縁膜としては、酸化ケイ素膜(SiO2)、SiN、SiNO、SiOC、SiCN、ヒドロキシシルセスキオキサン(HSQ)、メチルシルセスキオキサン(MSQ)などのケイ素を多量に含む無機ケイ素化合物や、ベンゾシクロブテンからなる膜のような有機化合物、及びこれらの混合物を挙げることができる。また、絶縁膜は、これらを積層したものや、膜内に空孔を有する低誘電率の絶縁膜でもよい。
〈研磨方法〉
本発明の研磨組成物を用いた研磨方法は、研磨定盤の研磨布上に本発明の研磨組成物を供給しながら、例えば被研磨金属膜を有する基板を研磨布に押し当てた状態で研磨定盤と基板を相対的に動かすことによって被研磨金属膜を研磨する方法である。研磨する装置としては、半導体基板を保持するホルダーと研磨布を貼り付けた定盤を有する一般的な研磨装置が使用できる。
研磨を行う際に、基板を研磨布に押し当てた状態で研磨定盤を回転させることによって得られる線速度は、研磨機の構造によって異なるが、例えば、好ましくは10〜500m/分、より好ましくは20〜300m/分、更に好ましくは30〜150m/分で研磨を行うことができる。研磨定盤が回転することによる基板研磨の均一性を維持するために、基板を回転する必要がある。基板は、研磨定盤とほぼ同じ回転数にするが、均一性を得るために、若干、回転数を少なくしたり多くしたりすることがある。
また、基板はホルダーを通して研磨布に圧力をかけて押し付けるが、この時の圧力は、0.1〜100kPaで行うことができる。研磨定盤の回転速度が速いと圧力が低い傾向があったりするので、規定することは難しいが、好ましくは、0.5〜80kPa、更に好ましくは、1〜50kPaである。これらの研磨条件は研磨途中で変化させてもかまわない。例えば、研磨時間の1/2の時間で定盤、基板の回転速度を上げる、あるいは下げるなどの方法がある。
研磨布としては、一般的な不織布、発泡ポリウレタンなどが使用できる。研磨布には、研磨速度を上げたり、スラリーの排出を良くしたりする目的で溝をつけているものが多い。縦横に溝を付けている物(XYグルーブ)、同心円状に溝を付けている物(Kグルーブ)などがあるが、本発明の研磨組成物はいずれも用いることができる。また、研磨布は目詰まりを防止し、安定した研磨を行うために、ダイヤモンドなどが付いたドレッサーでドレスするが、一般的に知られている方法を使用することができる。
本発明で用いられる研磨組成物は、0〜100℃の範囲で用いることができる。一般的には使用する室温近辺が好ましいが、研磨速度を調整するなどの目的などで研磨組成物の温度を調節することも可能である。温度が低すぎると研磨速度が上がらず、0℃以下であると氷ってしまうこともある。また、温度が高いと副反応が起こったりすることも考えられる。好ましくは、10〜50℃であり、更に好ましくは、15℃〜40℃である。
本発明で用いられる研磨組成物の研磨機への供給量は、研磨機、ウエハの大きさによって決定される。8インチウエハを用いる場合、例えば10〜1000ml/分で供給することができ、好ましくは、50〜500ml/分、更に好ましくは100〜400ml/分で供給することができる。これらの供給量は研磨途中で変化させてもかまわない。例えば研磨時間の1/2の時間で供給量を上げるあるいは下げるなどの方法を挙げることができる。
研磨定盤の研磨布上に本発明の研磨組成物を供給する方法としては、ポンプなどで連続的に供給することができる。このとき、研磨組成物は全ての成分を含んだ1液で供給することができるが、液の安定性を考慮して、酸化剤、例えば過酸化水素水の溶液とその他の溶液とを別ラインで供給すること、又は砥粒を主体とする研磨液とその他の溶液とを別ラインで供給することもできる。
これらの場合、研磨布直前に1液にして供給することもできる。この場合、複数のラインを接合した形でもよいし、研磨組成物を混合する一時溜め等の複数液を混合する装置を経由した形であってもよい。また、別ラインでそのまま研磨布上に供給することも可能である。このとき、それぞれの液の供給量を研磨途中で変化させてもかまわない。例えば、2種の液に分けて供給するときに研磨時間の1/2の時間でどちらか一方の液の供給量を大きくするあるいは小さくするなどの方法を挙げることができる。
このような研磨方法により金属膜が平坦化された基板を製造することができる。この工程を素子上に配線を形成する方法として更に説明する。
まず、基板上の層間絶縁膜に配線を形成する溝及び開口部を形成し、絶縁膜上に薄くバリア膜を形成する。更に、前記溝及び開口部を埋め込むようにメッキなどの方法により銅などの金属配線用の金属膜を形成させる。この金属膜を研磨し、露出したバリア膜及び層間絶縁膜を更に研磨して平坦化することによって、金属膜が平坦化された基板を製造することが出来る。
本発明の研磨液は、金属配線用の金属膜とバリア膜、層間絶縁膜の化学機械研磨に適用することができる。好ましくは、銅又は銅合金を高速で研磨する第1工程と、バリア膜を研磨する第2工程からなる2段階研磨法における第2工程の研磨において有効である。
本発明の研磨組成物は、液の安定性等の取り扱いの利便性を考慮して輸送時や保存時に複数種に分けて保存しても良い。例えば、酸化剤とその他の溶液の2種に分けることができる。また、砥粒を主体とするものと、その他の溶液に分けることもできる。また、濃縮された研磨組成物を得ておいて、研磨時に水等で希釈して使用することもできる。
以下、実施例1〜12及び比較例1〜6を用いて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例になんら限定されるものではない。
〈ウエハ〉
ここで使用したウエハは下記のようなものである。
タンタル膜付きブランケットウエハ:
タンタル膜が均一に付いたシリコンウエハ。
銅膜付きブランケットウエハ:
タンタル膜付きブランケットウエハのタンタル膜上に銅膜が均一に付いたシリコンウエハ。
酸化ケイ素膜付きブランケットウエハ:
CVD法で形成した酸化ケイ素膜が均一に付いたシリコンウエハ。
基板サンプル:
溝2深さが500nmで、ライン2’/スペース3が100μm/100μm(あるいは9μm/1μm)の銅配線パターン形成用シリコンウエハ1に、25nmの厚さのタンタルバリア膜4を形成し、全面に1000nmの厚さの銅膜5を付けて、図1(a)に示すパターンウエハを得た。このパターンウエハを、タンタルに対する銅の研磨速度が充分大きい銅及び銅合金用の研磨液を用いて研磨し、絶縁膜部上にバリア層が露出した状態でディッシング量が50nm以下になるようにして、図1(b)に示す基板サンプルを作成した。
尚、全てのウエハは4×4cmに切断して用いた。
〈研磨条件〉
ウエハの研磨に使用した研磨条件は下記のようなものである。
ウエハ寸法:4×4cm
線速度:70m/分
研磨パッド:ロデールニッタ社製IC1400
研磨組成物供給速度:13ml/分
研磨圧力:15kPa
〈研磨特性評価〉
研磨特性は下記のようにして測定した。
Cu及びTa研磨速度:
膜のシート抵抗値から研磨前後の銅膜、タンタル膜の膜厚を測定し、これらの値と研磨時間から研磨速度を換算した。
酸化ケイ素膜研磨速度:
光干渉式の膜厚測定装置を用いて、研磨前後の酸化ケイ素膜の膜厚を測定し、これらの値と研磨時間から研磨速度を換算した。
ディッシング評価:
実施例及び比較例の研磨液を用いてタンタル膜付きブランケットウエハを研磨し、タンタルの研磨速度を求めて、25nmのタンタルを研磨するのに必要な研磨時間を算出した。それぞれの実施例及び比較例の研磨組成物を用いて、タンタルのバリア膜が露出した基板サンプルを、この算出された時間に加えて30秒間にわたって研磨した。図2に示されるように100μmスペース部3”と100μmライン部2”との段差dをディッシングとして評価した。尚、ここでは触診式の段差計を用いて段差の測定を行った。
エロージョン測定:
実施例及び比較例の研磨液を用いてタンタル膜付きブランケットウエハを研磨し、タンタルの研磨速度を求めて、25nmのタンタルを研磨するのに必要な研磨時間を算出した。それぞれの実施例及び比較例の研磨組成物を用いて、タンタルのバリア膜が露出した基板サンプルを、この算出された時間に加えて30秒間にわたって研磨した。図3の如く、9μm/1μmライン/スペースのスペース部の層間絶縁膜の目減りeをエロージョンとして測定した。尚、ここでは触診式の段差計を用いて段差の測定を行った。
〈研磨組成物の組成〉
参考例1〜12、実施例、並びに比較例1〜6の研磨組成物の組成(質量%)を表1に示す。
Figure 0005147185
表1に示す組成の研磨組成物を調整した。尚、コロイダルシリカAは一次粒子径30〜40nm、二次粒子径70nmであり、表1に示される組成の残部は水である。
〈研磨結果〉
結果を表2に示す。
Figure 0005147185
比較例の研磨組成物と比較すると、炭素原子数が7〜13(C=7〜13)のジカルボン酸を用いる参考例1〜12、並びに実施例の研磨組成物では、ディッシング、エロージョンを抑制し、特に金属膜の平坦性を維持したままで高速に研磨できることが示されている。また、参考例1〜8、及び実施例では、更なる酸を含有すると銅の研磨速度が変化して、銅、タンタル、酸化ケイ素の研磨速度比を調節できることが示されている。
また特に、それぞれ炭素原子数が5及び6(C=5及び6)のジカルボン酸であるグルタル酸及びアジピン酸を用いる比較例4及び5の研磨組成物では、銅の研磨速度がタンタルの研磨速度と同様であるものの、銅のディッシング及びエロージョンが大きくなっている。またジカルボン酸等の酸を用いずに、アンモニアを用いてアルカリ性のpHに調節した比較例6の研磨組成物では、タンタルの研磨速度が小さく、従ってタンタルの研磨の間に、銅のディッシング及びエロージョンが進行する。
パターンウエハ(a)及び基板サンプル(b)を示す横断面図である。 ウエハのディッシングを示す横断面図である。 ウエハのエロージョンを示す横断面図である。
符号の説明
1 シリコンウエハ
2、2’、2” ライン
3、3’、3” スペース
d ディッシング
e エロージョン

Claims (6)

  1. 0.01〜5質量%の3−メチルアジピン酸、セバシン酸、トリデカン二酸、又はそれらの混合物である、炭素数7〜13の脂肪族ジカルボン酸、
    0.1質量%以下のメタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、キュメンスルホン酸、乳酸、硫酸、又はそれらの混合物である、更なる酸、
    0.1〜10質量%の過酸化水素である、酸化剤、
    0.1〜10質量%のコロイダルシリカである、砥粒、及び

    を含有し、かつpHが2〜4である、化学的機械的研磨組成物。
  2. カリウムイオンを含有する、請求項1に記載の化学的機械的研磨組成物。
  3. 前記脂肪族ジカルボン酸の量が、0.3〜5質量%である、請求項1又は2に記載の化学的機械的研磨組成物。
  4. 凹部を有する絶縁膜である酸化ケイ素膜、前記絶縁膜上に形成されたバリア膜であるタンタル膜、及び前記バリア膜を覆うようにして前記凹部に埋め込まれた配線材料膜である銅膜を有する基板を、請求項1〜3のいずれか一項に記載の化学的機械的研磨組成物で平坦化する工程を含む基板の研磨方法。
  5. 水で希釈して請求項1〜3のいずれか一項に記載の化学的機械的研磨組成物となる組成物。
  6. 複数の組成物からなるキットであって、それらの組成物を混合することによって、又は混合及び水で希釈することによって、請求項1〜3のいずれか一項に記載の化学的機械的研磨組成物が得られる複数の組成物からなるキット。
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