JP2004146840A - 金属用研磨液材料、金属用研磨液、その製造方法及びそれを用いた研磨方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】金属用研磨液を調製するための材料として、酸化金属溶解剤と、保護膜形成剤と、該保護膜形成剤の溶解補助剤とを含む金属用研磨液材料。
【選択図】なし
Description
(1)埋め込まれた金属配線の表面中央部分が等方的に腐食されるディッシングの発生
(2)固体砥粒に由来する研磨傷(スクラッチ)の発生
(3)研磨後の基体表面に残留する固体砥粒を除去するための洗浄プロセスの複雑さ
(4)固体砥粒そのものの原価や廃液処理に起因するコストの上昇
また、金属用研磨液は、その大部分が水であるため、それを入れて運搬するための容器、運送及び研磨を行う側での保管、研磨装置に必要なタンクの容量などのため、貯蔵、製造のためにかなりのスペースが必要であり、また、これが金属用研磨液の研磨装置への供給自動化の障害となっていた。さらに、運搬容器のリサイクルに伴う費用の増大なども大きな問題となっている。
A.成分
つぎに、本発明の金属用研磨液材料及び金属用研磨液の各成分について説明する。
(1)溶解補助剤
本発明において、溶解補助剤は、保護膜形成剤の溶解度が25g/L以上の溶媒、又は、界面活性剤であることが好ましい。これらは、単独で用いてもよく、組み合わせて用いてもよい。
a.界面活性剤
界面活性剤の添加により、保護膜形成剤の疎水性基に界面活性剤を吸着させ、界面活性剤の親水性基により水との相溶性を増大させることにより、溶解性を向上させることができる。
ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリエチレングリコールアルキルエーテル、ポリエチレングリコールアルケニルエーテル、アルキルポリエチレングリコール、アルキルポリエチレングリコールアルキルエーテル、アルキルポリエチレングリコールアルケニルエーテル、アルケニルポリエチレングリコール、アルケニルポリエチレングリコールアルキルエーテル、アルケニルポリエチレングリコールアルケニルエーテル、ポリプロピレングリコールアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールアルケニルエーテル、アルキルポリプロピレングリコール、アルキルポリプロピレングリコールアルキルエーテル、アルキルポリプロピレングリコールアルケニルエーテル、アルケニルポリプロピレングリコール、アルケニルポリプロピレングリコールアルキルエーテル及びアルケニルポリプロピレングリコールアルケニルエーテル等のエーテル;
メチルタウリン酸、硫酸メチル、硫酸ブチル、ビニルスルホン酸、1−アリルスルホン酸、2−アリルスルホン酸、メトキシメチルスルホン酸、エトキシメチルスルホン酸、3−エトキシプロピルスルホン酸、メトキシメチルスルホン酸、エトキシメチルスルホン酸、3−エトキシプロピルスルホン酸及びスルホコハク酸等のスルホン酸;
メチルタウリン酸アンモニウム塩、メチルタウリン酸ナトリウム塩、硫酸メチルナトリウム塩、硫酸エチルアンモニウム塩、硫酸ブチルアンモニウム塩、ビニルスルホン酸ナトリウム塩、1−アリルスルホン酸ナトリウム塩、2−アリルスルホン酸ナトリウム塩、メトキシメチルスルホン酸ナトリウム塩、エトキシメチルスルホン酸アンモニウム塩、3−エトキシプロピルスルホン酸ナトリウム塩、メトキシメチルスルホン酸ナトリウム塩、エトキシメチルスルホン酸アンモニウム塩、3−エトキシプロピルスルホン酸ナトリウム塩及びスルホコハク酸ナトリウム塩等のスルホン酸塩;
プロピオンアミド、アクリルアミド、メチル尿素、ニコチンアミド、コハク酸アミド及びスルファニルアミド等のアミド等も、好適な界面活性剤として挙げられる。
b.溶媒
保護膜形成剤の水に対する溶解度の向上を目的に、本発明では、研磨液材料に保護膜形成剤の溶解度が25g/L以上の溶媒が添加される。なお、この溶媒における保護膜形成剤の溶解度は、40g/L以上であることが好ましく、50g/L以上であればさらに好ましく、特に良溶媒を用いることが望ましい。
メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、2−プロピン−1−オール、アリルアルコール、エチレンシアノヒドリン、1−ブタノール、2−ブタノール(S)−(+)−2−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、t−ブチルアルコール、パーフルオロ−t−ブチルアルコール、t−ペンチルアルコール、1,2−エタンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2−ブテン−1,4−ジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、グリセリン、2−エチル−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール等のアルコール;
ジオキサン、トリオキサン、テトラヒドロフラン、ジエチレングリコールジエチルエーテル、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2,2−(ジメトキシ)エタノール、2−イソプロポキシエタノール、2−ブトキシエタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、フルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、ポリエチレングリコール、ジアセトンアルコール、2−メトキシエチルアセテート、2−エトキシエチルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のエーテル;
アセトン、メチルエチルケトン、アセチルアセトン、シクロヘキサノン等のケトンなどが挙げられる。
(2)保護膜形成剤
保護膜形成剤は、金属表面に保護膜を形成するものである。この保護膜形成剤としては、アンモニア、アルキルアミン、アミノ酸、イミン、アゾール等の含窒素化合物及びその塩、メルカプタン等の含硫黄化合物、並びに、多糖類、ポリカルボン酸、ポリカルボン酸塩及びビニル系ポリマ等の水溶性ポリマが挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、二以上を組み合わせて用いてもよい。
アンモニア;
ジメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、プロピレンジアミン等のアルキルアミンや、エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)、ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム及びキトサン等のアミン;
グリシン、L−アラニン、β−アラニン、L−2−アミノ酪酸、L−ノルバリン、L−バリン、L−ロイシン、L−ノルロイシン、L−イソロイシン、L−アロイソロイシン、L−フェニルアラニン、L−プロリン、サルコシン、L−オルニチン、L−リシン、タウリン、L−セリン、L−トレオニン、L−アロトレオニン、L−ホモセリン、L−チロシン、3,5−ジヨ−ド−L−チロシン、β−(3,4−ジヒドロキシフェニル)−L−アラニン、L−チロキシン、4−ヒドロキシ−L−プロリン、L−システィン、L−メチオニン、L−エチオニン、L−ランチオニン、L−シスタチオニン、L−シスチン、L−システィン酸、L−アスパラギン酸、L−グルタミン酸、S−(カルボキシメチル)−L−システィン、4−アミノ酪酸、L−アスパラギン、L−グルタミン、アザセリン、L−アルギニン、L−カナバニン、L−シトルリン、δ−ヒドロキシ−L−リシン、クレアチン、L−キヌレニン、L−ヒスチジン、1−メチル−L−ヒスチジン、3−メチル−L−ヒスチジン、エルゴチオネイン、L−トリプトファン、アクチノマイシンC1、アパミン、アンギオテンシンI、アンギオテンシンII及びアンチパイン等のアミノ酸;
ジチゾン、クプロイン(2,2’−ビキノリン)、ネオクプロイン(2,9−ジメチル−1,10−フェナントロリン)、バソクプロイン(2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン)及びキュペラゾン(ビスシクロヘキサノンオキサリルヒドラゾン)等のイミン;
ベンズイミダゾール−2−チオール、2−[2−(ベンゾチアゾリル)]チオプロピオン酸、2−[2−(ベンゾチアゾリル)]チオブチル酸、2−メルカプトベンゾチアゾール、1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール、3−アミノ−1H−1,2,4−トリアゾール、ベンゾトリアゾール、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール、1−ジヒドロキシプロピルベンゾトリアゾール、2,3−ジカルボキシプロピルベンゾトリアゾール、4−ヒドロキシベンゾトリアゾール、4−カルボキシル−1H−ベンゾトリアゾール、4−メトキシカルボニル−1H−ベンゾトリアゾール、4−ブトキシカルボニル−1H−ベンゾトリアゾール、4−オクチルオキシカルボニル−1H−ベンゾトリアゾール、5−ヘキシルベンゾトリアゾール、N−(1,2,3−ベンゾトリアゾリル−1−メチル)−N−(1,2,4−トリアゾリル−1−メチル)−2−エチルヘキシルアミン、トリルトリアゾール、ナフトトリアゾール、ビス[(1−ベンゾトリアゾリル)メチル]ホスホン酸等のアゾール;
ノニルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、トリアジンチオール、トリアジンジチオール、トリアジントリチオール等のメルカプタン;
アルギン酸、ペクチン酸、カルボキシメチルセルロース、カードラン及びプルラン等の多糖類;
グリシンアンモニウム塩及びグリシンナトリウム塩等のアミノ酸塩;
ポリアスパラギン酸、ポリグルタミン酸、ポリリシン、ポリリンゴ酸、ポリメタクリル酸、ポリメタクリル酸アンモニウム塩、ポリメタクリル酸ナトリウム塩、ポリアミド酸、ポリマレイン酸、ポリイタコン酸、ポリフマル酸、ポリ(p−スチレンカルボン酸)、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、アミノポリアクリルアミド、ポリアクリル酸アンモニウム塩、ポリアクリル酸ナトリウム塩、ポリアミド酸、ポリアミド酸アンモニウム塩、ポリアミド酸ナトリウム塩及びポリグリオキシル酸等のポリカルボン酸及びその塩;
ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン及びポリアクロレイン等のビニル系ポリマが挙げられる。
(3)酸化剤
本発明において用いられる酸化剤は、金属を酸化することのできる化合物である。本発明に好適な酸化剤としては、過酸化水素、硝酸、過ヨウ素酸カリウム、次亜塩素酸及びオゾン水などが挙げられる。これらの酸化剤のうち、特に過酸化水素(H2O2)が好ましい。被研磨物が集積回路用素子を含むシリコン基板である場合、アルカリ金属、アルカリ土類金属、ハロゲン化物などによる汚染は望ましくないため、不揮発成分を含まない酸化剤が望ましい。ただし、オゾン水は組成の時間変化が激しいので過酸化水素が最も適している。なお、被研磨物が半導体素子を含まないガラス基板などである場合は、不揮発成分を含む酸化剤であっても差し支えない。
(4)酸化金属溶解剤
酸化金属溶解剤としては、水溶性の化合物が望ましく、有機酸、硫酸、又は、それらのアンモニウム塩などが本発明に好適なものとして挙げられる。これらは単独で用いてもよく、二以上の化合物を組み合わせて用いてもよい。これらの化合物は、研磨剤又は研磨剤材料を調製する場合、水溶液の形で添加するようにしてもよい。
ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、2−メチル酪酸、n−ヘキサン酸、3,3−ジメチル酪酸、2−エチル酪酸、4−メチルペンタン酸、n−ヘプタン酸、2−メチルヘキサン酸、n−オクタン酸、2−エチルヘキサン酸、安息香酸、グリコール酸、サリチル酸、グリセリン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、マレイン酸、フタル酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸等の有機酸;
硫酸、硝酸、クロム酸等の無機酸;
アンモニア;
上述の有機酸又は無機酸のアンモニウム塩等の塩類(例えば過硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、塩化アンモニウム等);
などが挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、二以上を混合して用いてもよい。
(5)砥粒
本発明の金属用研磨液は、固体砥粒を実質的に含まなくともよいが、含んでいてもよい。
シリカ、アルミナ、セリア、チタニア、ジルコニア、ゲルマニア、炭化珪素等の無機物砥粒;
ポリスチレン、ポリアクリル、ポリ塩化ビニル等の有機物砥粒
のいずれでもよいが、研磨液中での分散安定性がよく、CMPにより発生する研磨傷(スクラッチ)の発生数の少ない、平均粒径が100nm以下のコロイダルシリカ、コロイダルアルミナが好ましい。なお、砥粒の平均粒径は、例えば、バリア層の研磨速度がより大きくなり、二酸化シリコンの研磨速度がより小さくなる20nm以下がより好ましい。
(6)水
本発明の金属用研磨液材料は、水を含んでいてもよい。含有する水の量は、他の成分やその水への溶解度等に応じて適宜定めることができるが、通常、50〜98重量%とする。本発明の水分量は、70〜90重量%とすることが好ましい。なお、例えば、酸化剤として過酸化水素水を用いる場合など、あらかじめ水分を含む成分を用いる場合、当該水分含有成分を含む金属用研磨液材料の水分量は、75〜85重量%とするとこがさらに好ましく、この水分含有成分を含まない金属用研磨液材料の水分量は、80〜90重量%とすることがさらに好ましい。
B.金属用研磨液の製造方法
本発明の金属用研磨液は、本発明の金属用研磨液材料を希釈剤により希釈して調製される。金属用研磨液材料における各成分の濃度(組成比)は、使用時に添加される希釈剤の組成及び添加量と、調製される金属用研磨液における各成分の濃度(組成比)とに応じて定められる。
(1)構成要素Aと構成要素Bとを混合し、その混合液を希釈剤により希釈する方法
(2)構成要素Aを希釈剤により希釈し、これを構成要素Bと混合する方法
(3)構成要素Bを希釈剤により希釈し、これを構成要素Aと混合する方法
(4)構成要素Aと構成要素Bとを、希釈剤によりそれぞれ希釈し、希釈後の構成要素Aと希釈後の構成要素Bとを混合する方法
(5)構成要素Aと構成要素Bと希釈剤とを、ほぼ同時に混合する方法
なお、保護膜形成剤といった溶解度の低い成分は、2つ以上の構成要素に分けて入れることにより、溶媒(通常、水)の量を増やすことなく構成要素の各液に溶解させることができる場合がある。
C.研磨方法
つぎに、本発明の研磨方法について説明する。
《研磨条件》
定量ポンプを用いて研磨装置内の研磨定盤上の研磨パッドに金属用研磨液を供給しつつ、研磨パッドと基体とをそれぞれ回転させて、つぎの研磨条件により被研磨基体を研磨した。なお、研磨液は、特に記載のない限り、研磨前にあらかじめ調製して一容器(研磨液溜り)に保持し、これを定量ポンプへ供給した。
研磨パッド:IC1000(ロデール社製商品名)
研磨圧力:20.6KPa(210g/cm2)
基体と研磨定盤との相対速度:36m/min
《研磨品評価項目》
CMP速度:銅膜のCMP前後での膜厚差を電気抵抗値から換算して求めた。
《経時変化》
金属用研磨剤材料を調製した直後にそれを用いて金属用研磨剤を調製した場合と、金属用研磨剤材料を調製してから20日間経過した後にそれを用いて金属用研磨剤を調製した場合とについて、それぞれの金属用研磨剤を用いて上述の条件でCMPを行い、CMP速度及びエッチング速度を測定して、両者に差異があるか否か確認した。
まず、酸化金属溶解剤であるDL−リンゴ酸(試薬特級)1.5重量部に水61.5重量部を加えて溶解して、溶液Aを得た。つぎに、保護膜形成剤であるベンゾトリアゾール2重量部を、保護膜形成剤の良溶媒であるエタノール5重量部に溶解させ、溶液Bを得た。最後に、溶液Aに溶液Bを加えて混合し、金属用研磨液材料である金属用研磨液10倍濃縮液を得た。
(2)金属用研磨液の調製
この金属用研磨液10倍濃縮液7重量部に、酸化剤である過酸化水素水(試薬特級、30%水溶液)33.2重量部を加え、さらに希釈剤として水63重量部を加えて希釈し、金属用研磨液を得た。
(3)CMP試験
得られた金属用研磨液を用いて、上述の研磨条件でCMPを行ったところ、CMP速度は129nm/min、エッチング速度は0.5nm/minといずれも良好であり、金属用研磨液材料の経時変化によるCMP速度及びエッチング速度の差は見られなかった。また、エロージョン及び研磨傷の発生も見られなかった。
まず、DL−リンゴ酸(試薬特級)1.5重量部に水61重量部を加えて溶解し、溶液Aを得た。次に、保護膜形成剤であるベンゾトリアゾール2重量部及びポリアクリル酸アンモニウム塩0.5重量部を、これらの保護膜形成剤の良溶媒であるメタノール5重量部に溶解して、溶液Bを得た。最後に、溶液Aに溶液Bを加えて、金属用研磨液材料である金属用研磨液10倍濃縮液を得た。
(2)金属用研磨液の調製
得られた金属用研磨液10倍濃縮液7重量部を、希釈剤である水63重量部により希釈した後、さらに酸化剤である過酸化水素水(試薬特級、30%水溶液)33.2重量部を加えて、金属用研磨液を得た。
(3)CMP試験
得られた金属用研磨液を用い、実施例1と同様の条件でCMPを行ったところ、CMP速度は179nm/min、エッチング速度は0.5nm/minといずれも良好であり、かつ、金属用研磨液材料の経時変化によるCMP速度及びエッチング速度の差は見られなかった。また、エロージョン及び研磨傷の発生も見られなかった。
DL−リンゴ酸(試薬特級)1.5重量部と、保護膜形成剤であるポリビニルアルコール0.3重量部とに、水58.7重量部を加えて溶解させ、溶液Aを得た。次に、保護膜形成剤であるトリルトリアゾール2.5重量部をアセトン7重量部に溶解させ、溶液Bを得た。最後に、溶液Aに溶液Bを加え、金属用研磨液10倍濃縮液を得た。
(2)金属用研磨液の調製
得られた金属用研磨液10倍濃縮液7重量部に、希釈剤である水63重量部を加えて希釈した後、これに酸化剤である過酸化水素水(試薬特級、30%水溶液)33.2重量部を加えて、金属用研磨液を得た。
(3)CMP試験
得られた金属用研磨液を用い、実施例1と同様の条件でCMPを行ったところ、CMP速度は170nm/min、エッチング速度は0.4nm/minと、いずれも良好であり、かつ、金属用研磨液材料の経時変化によるCMP速度及びエッチング速度の差は見られなかった。また、エロージョン及び研磨傷の発生も見られなかった。
保護膜形成剤であるナフトトリアゾール0.06重量部を、保護膜形成剤の良溶媒であるメチルエチルケトン0.6重量部に溶解させて、溶液Aを得た。また、酸化剤である過ヨウ素酸カリウム10重量部を水20重量部に溶かして、溶液Bを得た。つぎに、溶液Aに溶液Bを加えて、溶液C(第1の構成要素)を得た。
(2)金属用研磨液の調製
得られた溶液Cと、溶液Fと、溶液Gとを、重量比3/3/4で混合して、金属用研磨液を得た。
(3)CMP試験
得られた金属用研磨液を用いて、実施例1と同様の条件でCMPを施したところ、CMP速度は126nm/min、エッチング速度は0.4nm/minと、いずれも良好であり、かつ、金属用研磨液材料の経時変化によるCMP速度及びエッチング速度の差は見られなかった。また、エロージョン及び研磨傷の発生も見られなかった。
DL−リンゴ酸(試薬特級)0.15重量部に、保護膜形成剤であるポリアクリルアミド0.4重量部と水50重量部とを加えて溶解させ、溶液Aを得た。つぎに、ベンゾトリアゾール0.2重量部をエチレングリコール0.7重量部に溶解させて溶液Bを得た。最後に、45℃に加温した溶液Aに、45℃に保持したまま溶液Bを加えて、金属用研磨液材料である溶液Cを得た。溶液Cも45℃に保持した。
(2)金属用研磨液の調製
この45℃の溶液Cを、45℃に加温した水20重量部により希釈した後、これに20℃の過酸化水素水(試薬特級、30%水溶液)33.2重量部を注ぎ込んで、金属用研磨液を得た。なお、得られた金属用研磨液は、36℃であった。
(3)CMP試験
上記金属用研磨液を用いて、実施例1と同様の条件でCMPを施したところ、CMP速度は167nm/min、エッチング速度は0.3nm/minと、いずれも良好であり、かつ、金属用研磨液材料の経時変化によるCMP速度及びエッチング速度の差は見られなかった。また、エロージョン及び研磨傷の発生も見られなかった。
実施例1と同様にして、金属用研磨液材料を調製した。ただし、ベンゾトリアゾールは、溶解前にあらかじめ乳鉢に入れて乳棒で5分間粉砕した。粉砕後のベンゾトリアゾールを光学顕微鏡で観察した結果、平均粒径は80μmであった。この前処理により粒径を小さくしたベンゾトリアゾールを用いたことにより、本実施例では、ベンゾトリアゾールをエタノール中に完全に溶解させるのに要する時間が、5分から2分に短縮された。
(2)金属用研磨液の調製及びCMP試験
上記金属用研磨液材料を用い、実施例1と同様にして金属用研磨液を調製し、これを用いて実施例1と同様の条件でCMPを施した。その結果、CMP速度は130nm/min、エッチング速度は0.5nm/minと、いずれも良好であり、かつ、金属用研磨液材料の経時変化によるCMP速度及びエッチング速度の差は見られなかった。また、エロージョン及び研磨傷の発生も見られなかった。
まず、保護膜形成剤であるベンゾトリアゾール2重量部に水66重量部を加え、さらに界面活性剤であるポリオキシエチレン(10)グリコール0.4重量部を加えて、40℃の湯浴中で攪拌羽根により攪拌し、溶解させた。この溶液に、さらに酸化金属溶解剤であるDL−リンゴ酸(試薬特級)1.5重量部を加えて溶かし、金属用研磨液材料である金属用研磨液10倍濃縮液を得た。
(2)金属用研磨液の調製
この金属用研磨剤10倍濃縮液7重量部に、希釈剤として水63重量部を加えて希釈し、これに酸化剤として過酸化水素水(試薬特級、30%水溶液)33.2重量部を加えて、金属用研磨液を得た。
(3)CMP試験
得られた金属用研磨液を用いて、実施例1と同様にしてCMPを行ったところ、CMP速度は187nm/min、エッチング速度は0.7nm/minといずれも良好であり、かつ、金属用研磨液材料の経時変化によるCMP速度及びエッチング速度の差は見られなかった。また、エロージョン及び研磨傷の発生も見られなかった。
(2)金属用研磨液の調製
得られた金属用研磨液10倍濃縮液7重量部に、水63重量部を加えて希釈し、これに過酸化水素水(試薬特級、30%水溶液)33.2重量部を加えて、金属用研磨液を得た。
(3)CMP試験
この金属用研磨液を用いて、実施例1と同様にしてCMPを行ったところ、CMP速度は186nm/min、エッチング速度は0.3nm/minといずれも良好であり、かつ、金属用研磨液材料の経時変化によるCMP速度及びエッチング速度の差は見られなかった。また、エロージョン及び研磨傷の発生も見られなかった。
保護膜形成剤であるベンゾトリアゾール0.05重量部と、界面活性剤である硫酸ブチルアンモニウム0.1重量部と、酸化剤である過ヨウ素酸カリウム10重量部とを、水20重量部に加え、40℃の湯浴中で攪拌羽根により攪拌して溶かし、溶液Aを得た。
(2)金属用研磨剤の調製
得られた溶液A、溶液B及び希釈用水溶液を、重量比3/3/4で混合して、金属用研磨液を得た。
(3)CMP試験
この金属用研磨液を用い、実施例1と同様にしてCMPを行ったところ、CMP速度は126nm/min、エッチング速度は0.4nm/minといずれも良好であり、かつ、金属用研磨液材料の経時変化によるCMP速度及びエッチング速度の差は見られなかった。また、エロージョン及び研磨傷の発生も見られなかった。
DL−リンゴ酸(試薬特級)0.15重量部に、水50重量部を加えて溶解させ、得られた溶液を45℃に保持しつつ、ベンゾトリアゾール0.2重量部と、界面活性剤であるコハク酸アミド0.7重量部とを加えて溶解させ、溶液Aを得た。
(2)金属用研磨液の調製
この45℃の溶液Aを、45℃に加温した水20重量部により希釈した後、得られた希釈液に20℃の過酸化水素水(試薬特級、30%水溶液)33.2重量部を注ぎ込んで、金属用研磨液を得た。得られた研磨液は36℃であった。
(3)CMP試験
この金属用研磨液を用い、実施例1と同様にしてCMPを行ったところ、CMP速度は127nm/min、エッチング速度は0.3nm/minといずれも良好であり、かつ、金属用研磨液材料の経時変化によるCMP速度及びエッチング速度の差は見られなかった。また、エロージョン及び研磨傷の発生も見られなかった。
実施例12と同様にして、金属用研磨液材料を調製した。ただし、本実施例では、ベンゾトリアゾールに実施例6と同様の前処理を施し、平均粒径を80μmとした。これにより、ベンゾトリアゾールを完全に溶解させるのに要する時間が15分から5分に短縮された。
(2)金属用研磨液の調製及びCMP試験
上記金属用研磨液材料を用い、実施例12と同様にして金属用研磨液を調製し、これを用いて実施例1と同様にしてCMPを行った。その結果、CMP速度は185nm/min、エッチング速度は0.6nm/minといずれも良好であり、かつ金属用研磨液材料の経時変化によるCMP速度及びエッチング速度の差は見られなかった。また、エロージョン及び研磨傷の発生も見られなかった。
条件でCMPを施した。ただし、金属用研磨液は、配管内で混合して調製した。すなわち、金属用研磨液10倍濃縮液7重量部に水63重量部を加えて希釈した希釈液と、過酸化水素水(試薬特級、30%水溶液)33.2重量部とを、それぞれ別の容器に入れ、各々の容器から別々に定量ポンプで液を送って、希釈液/過酸化水素水=7/3の供給速度比(体積比)で合流させ、内部に長さ3mmのガラス管を多数充填させた配管内を通過させた後、装置内部の研磨パッドに供給して研磨を行った。
Claims (26)
- 酸化金属溶解剤と、保護膜形成剤と、該保護膜形成剤の溶解補助剤とを含む金属用研磨液材料。
- 酸化剤と水との少なくともいずれかを、さらに含む請求項1記載の金属用研磨液材料。
- 上記酸化剤、上記酸化金属溶解剤、上記保護膜形成剤及び上記溶解補助剤からなる成分群を2つの構成要素に分け、各構成要素を互いに混合していない状態で備える請求項1記載の金属用研磨液材料。
- 上記溶解補助剤は、界面活性剤である請求項1又は2記載の金属用研磨液材料。
- 上記界面活性剤は、
エステル、エーテル、多糖類、アミノ酸塩、ポリカルボン酸、ポリカルボン酸塩、ビニルポリマ、スルホン酸、スルホン酸塩及びアミドのうちのいずれか一つ以上である請求項4記載の金属用研磨液材料。 - 上記溶解補助剤は、
上記保護膜形成剤の溶解度が25g/L以上の溶媒である請求項1又は2記載の金属用研磨液材料。 - 上記溶媒は、
上記保護膜形成剤の良溶媒である請求項6記載の金属用研磨液材料。 - 上記溶媒は、
アルコール、エーテル及びケトンのうちいずれか一つ以上である請求項6記載の金属用研磨液材料。 - 上記溶媒の配合量は、
上記金属用研磨液材料の総量100gに対して、50g未満である請求項6記載の金属用研磨液料。 - 上記保護膜形成剤の少なくとも一部は、
平均粒径100μm以下の固体である、請求項1又は2記載の金属用研磨液材料。 - 砥粒をさらに含む請求項1又は2記載の金属用研磨液材料。
- 酸化剤と、酸化金属溶解剤と、保護膜形成剤と、該保護膜形成剤の溶解補助剤と、水とを含有する金属用研磨液。
- 上記溶解補助剤は、界面活性剤である請求項12記載の金属用研磨液。
- 上記溶解補助剤は、
上記保護膜形成剤の溶解度が25g/L以上の溶媒である請求項12記載の金属用研磨液。 - 上記保護膜形成剤の少なくとも一部は、
平均粒径100μm以下の固体である、請求項12記載の金属用研磨液。 - 砥粒をさらに含む請求項12記載の金属用研磨液。
- 請求項1又は2記載の金属用研磨液材料を、希釈剤により希釈する希釈工程を備える金属用研磨液の製造方法。
- 酸化剤、酸化金属溶解剤、保護膜形成剤及び該保護膜形成剤の溶解補助剤からなる成分群のうちの少なくとも一成分を含む金属用研磨液材料を、該成分群のうちの少なくとも一成分の水溶液である希釈用水溶液により希釈する希釈工程を備える請求項12記載の金属用研磨液の製造方法。
- 酸化剤、酸化金属溶解剤、保護膜形成剤及び該保護膜形成剤の溶解補助剤からなる成分群のうちの少なくとも一成分を含む第1の構成要素と、
上記成分群の残りの成分のうち少なくとも一成分を含む第2の構成要素と、
希釈剤とを、
所望の順番で混合する混合工程を備える金属用研磨液の製造方法。 - 上記希釈剤は、水又は希釈用水溶液である請求項17又は19記載の金属用研磨液の製造方法。
- 上記第1の構成要素は、酸化剤を含み、
上記第2の構成要素は、酸化金属溶解剤、保護膜形成剤、溶解補助剤を含む請求項19記載の金属用研磨液の製造方法。 - 上記第1の構成要素は、上記保護膜形成剤及び上記溶解補助剤をさらに含む請求項19記載の金属用研磨液の製造方法。
- 上記混合工程において、上記酸化剤及び該酸化剤を含む混合物を、40℃以下に保持する請求項19記載の金属用研磨液の製造方法。
- 上記保護膜形成剤の少なくとも一部は、
平均粒径100μm以下の固体であり、
上記混合工程により、上記金属用研磨液中に溶解又は分散される請求項19記載の金属用研磨液の製造方法。 - 請求項12記載の金属用研磨液を、研磨定盤上の研磨パッドに供給し、
上記研磨パッドと、上記被研磨物の被研磨面とを接触させつつ、該研磨パッドと被研磨面とを相対的に運動させることにより、該被研磨物の被研磨面を研磨する研磨工程を備える研磨方法。 - 上記研磨工程に先立って、金属用研磨液の構成要素を混合することにより上記金属用研磨液を調製する混合工程を、さらに備え、
上記混合工程は、
酸化剤、酸化金属溶解剤、保護膜形成剤及び該保護膜形成剤の溶解補助剤からなる成分群のうちの少なくとも一成分を含む第1の構成要素と、
上記成分群の残りの成分のうち少なくとも一成分を含む第2の構成要素と、
希釈剤とを、
所望の順番で混合する工程である請求項25記載の研磨方法。
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