JP5429104B2 - 金属用研磨液及びそれを用いた研磨方法 - Google Patents
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また、固体砥粒を含む金属用研磨液や固体砥粒を含まない金属用研磨液は、その大部分が水であるため、それを入れて運搬するための容器、運送及び研磨を行う側での保管、研磨装置のタンク等の容量を大きくしなければならないなどのため、貯蔵、製造のためのスペースが必要であり、また、金属用研磨液の研磨装置への供給自動化の障害となっていた。また、運搬容器のリサイクルに伴う費用の増大などが大きな問題となっている。
本発明は、金属用研磨液の濃縮液を希釈することを特徴とし、信頼性の高い金属膜の埋め込みパターン形成を可能とする金属用研磨液及びそれを用いた研磨方法を提供するものである。
(2)水溶液が、金属の酸化剤、酸化金属溶解剤、保護膜形成剤、界面活性剤のうち少なくとも1つ以上の水溶液である上記(1)に記載の金属用研磨液、
(3)金属の酸化剤、酸化金属溶解剤、保護膜形成剤、界面活性剤及び水を含有する金属用研磨液を少なくとも2つの構成成分に分けて、それらを使用する際に水または水溶液を加え希釈して使用することを特徴とする金属用研磨液、
(4)金属の酸化剤を1つの構成成分とし、酸化金属溶解剤、保護膜形成剤、界面活性剤及び水を1つの構成成分とし、それらを使用する際に水または水溶液を加え希釈して使用する上記(3)に記載の金属用研磨液、
(5)金属の酸化剤、保護膜形成剤及び界面活性剤を1つの構成成分とし、酸化金属溶解剤、保護膜形成剤、界面活性剤及び水を1つの構成成分とし、それらを使用する際に水または水溶液で希釈して使用する上記(3)に記載の金属用研磨液、
(6)金属の酸化剤を含む1つの構成成分を40℃以下にし、他の構成成分を室温から100℃の範囲に加温し、且つ金属の酸化剤を含む1つの構成成分と、他の構成成分または水もしくは水溶液を加え希釈して使用する際に、混合した後に40℃以下となるようにした上記(3)ないし(5)のいずれかに記載の金属用研磨液、
(7)界面活性剤が、エステル、エーテル、多糖類、アミノ酸塩、ポリカルボン酸またはその塩、ビニル系ポリマー、スルホン酸またはその塩、アミドのうちいずれか1つ以上である上記(1)ないし上記(6)のいずれかに記載の金属用研磨液、
(8)平均粒径100μm以下の固形の保護膜形成剤を少なくとも1つの成分に溶解ないし分散させた上記(1)ないし(7)のいずれかに記載の金属用研磨液、
(9)金属用研磨液に砥粒を含有させた上記(1)ないし(8)のいずれかに記載の金属用研磨液である。
(11)金属の酸化剤、酸化金属溶解剤、保護膜形成剤、界面活性剤及び水を含有する金属用研磨液を少なくとも2つの構成成分に分けて、それらを使用する際に、水または水溶液を加え希釈して研磨定盤上の研磨パッドに供給し、被研磨面と接触させて被研磨面と研磨パッドを相対運動させて研磨することを特徴とする研磨方法であり、
(12)上記(4)ないし(9)のいずれかに記載の金属用研磨液を用いて研磨する上記(11)に記載の研磨方法である。
保護膜形成剤は金属表面に保護膜を形成するもので、保護膜形成剤としては、アンモニア、アルキルアミン、アミノ酸、イミン、アゾール等の含窒素化合物及びその塩、及びメルカプタンから選ばれた少なくとも一種が好ましい。
酸化剤としては、過酸化水素、硝酸、過ヨウ素酸カリウム、次亜塩素酸及びオゾン水から選ばれた少なくとも一種が好ましい。
酸化金属溶解剤としては、有機酸、そのアンモニウム塩及び硫酸から選ばれた少なくとも一種が好ましい。
前記した保護膜形成剤の親水性向上を目的に、金属用研磨液に界面活性剤を添加する。界面活性剤としては、エステル、エーテル、多糖類、アミノ酸塩、ポリカルボン酸またはその塩、ビニル系ポリマ、スルホン酸またはその塩、アミドから選ばれた少なくとも一種が好ましい。
抑制すべきエッチング速度の値としては10nm/min以下に抑制できれば好ましい平坦化効果が得られることが分かった。CMP速度の低下が許容できる範囲であればエッチング速度はさらに低い方が望ましく、5nm/min以下に抑制できれば例えば50%程度の過剰CMP(金属膜をCMP除去するに必要な時間の1.5倍のCMPを行うこと)を行ってもディッシングは問題とならない程度に留まる。さらにエッチング速度を1nm/min以下に抑制できれば、100%以上の過剰CMPを行ってもディッシングは問題とならない。
エッチング速度は、金属用研磨液中に被研磨基板(表面に凹部を有する基体上に金属膜を形成・充填した基板)を浸し、室温(25℃)で100rpmで攪拌したときの、金属膜のエッチング速度であり、金属膜厚差を電気抵抗値から換算して求める。
本発明の金属用研磨液は、金属の酸化剤、酸化金属溶解剤、保護膜形成剤、界面活性剤及び水を必須成分とする。固体砥粒は実質的に含まれなくとも良いが、使用することもできる。
グリシン、L−アラニン、β−アラニン、L−2−アミノ酪酸、L−ノルバリン、L−バリン、L−ロイシン、L−ノルロイシン、L−イソロイシン、L−アロイソロイシン、L−フェニルアラニン、L−プロリン、サルコシン、L−オルニチン、L−リシン、タウリン、L−セリン、L−トレオニン、L−アロトレオニン、L−ホモセリン、L−チロシン、3,5−ジヨ−ド−L−チロシン、β−(3,4−ジヒドロキシフェニル)−L−アラニン、L−チロキシン、4−ヒドロキシ−L−プロリン、L−システィン、L−メチオニン、L−エチオニン、L−ランチオニン、L−シスタチオニン、L−シスチン、L−システィン酸、L−アスパラギン酸、L−グルタミン酸、S−(カルボキシメチル)−L−システィン、4−アミノ酪酸、L−アスパラギン、L−グルタミン、アザセリン、L−アルギニン、L−カナバニン、L−シトルリン、δ−ヒドロキシ−L−リシン、クレアチン、L−キヌレニン、L−ヒスチジン、1−メチル−L−ヒスチジン、3−メチル−L−ヒスチジン、エルゴチオネイン、L−トリプトファン、アクチノマイシンC1、アパミン、アンギオテンシンI、アンギオテンシンII及びアンチパイン等のアミノ酸;
ジチゾン、クプロイン(2,2’−ビキノリン)、ネオクプロイン(2,9−ジメチル−1,10−フェナントロリン)、バソクプロイン(2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン)及びキュペラゾン(ビスシクロヘキサノンオキサリルヒドラゾン)等のイミン;
ベンズイミダゾール−2−チオール、2−[2−(ベンゾチアゾリル)]チオプロピオン酸、2−[2−(ベンゾチアゾリル)]チオブチル酸、2−メルカプトベンゾチアゾール、1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール、3−アミノ−1H−1,2,4−トリアゾール、ベンゾトリアゾール、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール、1−ジヒドロキシプロピルベンゾトリアゾール、2,3−ジカルボキシプロピルベンゾトリアゾール、4−ヒドロキシベンゾトリアゾール、4−カルボキシル−1H−ベンゾトリアゾール、4−メトキシカルボニル−1H−ベンゾトリアゾール、4−ブトキシカルボニル−1H−ベンゾトリアゾール、4−オクチルオキシカルボニル−1H−ベンゾトリアゾール、5−ヘキシルベンゾトリアゾール、N−(1,2,3−ベンゾトリアゾリル−1−メチル)−N−(1,2,4−トリアゾリル−1−メチル)−2−エチルヘキシルアミン、トリルトリアゾール、ナフトトリアゾール、ビス[(1−ベンゾトリアゾリル)メチル]ホスホン酸等のアゾール;
ノニルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、トリアジンチオール、トリアジンジチオール、トリアジントリチオール等のメルカプタン;
が挙げられる。これらの中でもキトサン、エチレンジアミンテトラ酢酸、L−トリプトファン、キュペラゾン、トリアジンジチオール、ベンゾトリアゾール、4−ヒドロキシベンゾトリアゾール、4−カルボキシル−1H−ベンゾトリアゾールブチルエステル、トリルトリアゾール、ナフトトリアゾールが高いCMP速度と低いエッチング速度を両立する上で好ましい。
陰イオン界面活性剤として、カルボン酸塩、スルホン酸塩、硫酸エステル塩、リン酸エステル塩が挙げられ、カルボン酸塩として、石鹸、N−アシルアミノ酸塩、ポリオキシエチレンまたはポリオキシプロピレンアルキルエーテルカルボン酸塩、アシル化ペプチド;スルホン酸塩として、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼン及びアルキルナフタレンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩、スルホコハク酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、N−アシルスルホン酸塩;硫酸エステル塩として、硫酸化油、アルキル硫酸塩、アルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレン又はポリオキシプロピレンアルキルアリルエーテル硫酸塩、アルキルアミド硫酸塩;リン酸エステル塩として、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレン又はポリオキシプロピレンアルキルアリルエーテルリン酸塩が例示される。
陽イオン界面活性剤として、脂肪族アミン塩、脂肪族4級アンモニウム塩、塩化ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩;
両性界面活性剤として、カルボキシベタイン型、アミノカルボン酸塩、イミダゾリニウムベタイン、レシチン、アルキルアミンオキサイド;
非イオン界面活性剤として、エーテル型、エーテルエステル型、エステル型、含窒素型が挙げられ、エーテル型として、ポリオキシエチレンアルキルおよびアルキルフェニルエーテル、アルキルアリルホルムアルデヒド縮合ポリオキシエチレンエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテルが挙げられ、エーテルエステル型として、グリセリンエステルのポリオキシエチレンエーテル、ソルビタンエステルのポリオキシエチレンエーテル、ソルビトールエステルのポリオキシエチレンエーテル、エステル型として、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、グリセリンエステル、ポリグリセリンエステル、ソルビタンエステル、プロピレングリコールエステル、ショ糖エステル、含窒素型として、脂肪酸アルカノールアミド、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、ポリオキシエチレンアルキルアミド等が例示される。また、フッ素系界面活性剤などが挙げられる。
さらに、グリセリンエステル、ソルビタンエステル、メトキシ酢酸、エトキシ酢酸、3−エトキシプロピオン酸及びアラニンエチルエステル等のエステル;
ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリエチレングリコールアルキルエーテル、ポリエチレングリコールアルケニルエーテル、アルキルポリエチレングリコール、アルキルポリエチレングリコールアルキルエーテル、アルキルポリエチレングリコールアルケニルエーテル、アルケニルポリエチレングリコール、アルケニルポリエチレングリコールアルキルエーテル、アルケニルポリエチレングリコールアルケニルエーテル、ポリプロピレングリコールアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールアルケニルエーテル、アルキルポリプロピレングリコール、アルキルポリプロピレングリコールアルキルエーテル、アルキルポリプロピレングリコールアルケニルエーテル、アルケニルポリプロピレングリコール、アルケニルポリプロピレングリコールアルキルエーテル及びアルケニルポリプロピレングリコールアルケニルエーテル等のエーテル;
アルギン酸、ペクチン酸、カルボキシメチルセルロース、カードラン及びプルラン等の多糖類;
グリシンアンモニウム塩及びグリシンナトリウム塩等のアミノ酸塩;
ポリアスパラギン酸、ポリグルタミン酸、ポリリシン、ポリリンゴ酸、ポリメタクリル酸、ポリメタクリル酸アンモニウム塩、ポリメタクリル酸ナトリウム塩、ポリアミド酸、ポリマレイン酸、ポリイタコン酸、ポリフマル酸、ポリ(p−スチレンカルボン酸)、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、アミノポリアクリルアミド、ポリアクリル酸アンモニウム塩、ポリアクリル酸ナトリウム塩、ポリアミド酸、ポリアミド酸アンモニウム塩、ポリアミド酸ナトリウム塩及びポリグリオキシル酸等のポリカルボン酸及びその塩;
ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン及びポリアクロレイン等のビニル系ポリマ;
メチルタウリン酸アンモニウム塩、メチルタウリン酸ナトリウム塩、硫酸メチルナトリウム塩、硫酸エチルアンモニウム塩、硫酸ブチルアンモニウム塩、ビニルスルホン酸ナトリウム塩、1−アリルスルホン酸ナトリウム塩、2−アリルスルホン酸ナトリウム塩、メトキシメチルスルホン酸ナトリウム塩、エトキシメチルスルホン酸アンモニウム塩、3−エトキシプロピルスルホン酸ナトリウム塩、メトキシメチルスルホン酸ナトリウム塩、エトキシメチルスルホン酸アンモニウム塩、3−エトキシプロピルスルホン酸ナトリウム塩及びスルホコハク酸ナトリウム塩等のスルホン酸及びその塩;
プロピオンアミド、アクリルアミド、メチル尿素、ニコチンアミド、コハク酸アミド及びスルファニルアミド等のアミド等が挙げられる。但し、適用する基体が半導体集積回路用シリコン基板などの場合はアルカリ金属、アルカリ土類金属、ハロゲン化物等による汚染は望ましくないため、酸もしくはそのアンモニウム塩が望ましい。基体がガラス基板等である場合はその限りではない。その中でもシクロヘキサノール、ポリアクリル酸アンモニウム塩、ポリビニルアルコール、コハク酸アミドがより好ましい。
また、濃縮液作製時に使用する保護膜形成剤の内、室温での水に対する溶解度が5%未満のものの配合量は、室温での水に対する溶解度の2倍以内とすることが好ましく、1.5倍以内とすることがより好ましい。この配合量が2倍以上では濃縮品を5℃に冷却した際の析出を防止するのが困難となる。
溶解度の低い保護膜形成剤を2つの構成成分(A)と(B)に分け、金属の酸化剤、保護膜形成剤及び界面活性剤を1つの構成成分(A)とし、酸化金属溶解剤、保護膜形成剤、界面活性剤及び水を1つの構成成分(B)とし、それらを使用する際に水または水溶液を加え構成成分(A)と構成成分(B)を希釈して使用する。
また、前記した2つの構成成分だけでなく金属の酸化剤を1つの構成成分(A)、酸化金属溶解剤を1つの構成成分(B)、保護膜形成剤及び界面活性剤を1つの構成成分(C)とすることもでき、それらを使用する際に水または水溶液を加え希釈して使用することもできる。これらの場合、同じ配合成分を複数の構成成分に分けて使用することもできる。こうすることにより、溶解度の低い保護膜形成剤を界面活性剤で多量に溶解することができるので、高濃度の濃縮した金属用研磨液とすることができる。本発明は、上記の例示のみでなく、金属用研磨液の各成分を分けて濃縮し、それを希釈する方法であれば採用することができる。
研磨終了後の半導体基板は、流水中で良く洗浄後、スピンドライヤ等を用いて半導体基板上に付着した水滴を払い落としてから乾燥させることが好ましい。
本発明の研磨方法では、希釈する水溶液は、上記した水溶液と同じであり、予め金属の酸化剤、酸化金属溶解剤、保護膜形成剤、界面活性剤のうち少なくとも1つ以上を水溶液とし、水溶液中に含有した成分と希釈される金属用研磨液の成分を合計した成分が、金属用研磨液を使用して研磨する際の成分となるようにする。水溶液で希釈して使用する場合は、溶解しにくい成分を水溶液の形で配合することができ、より金属用研磨液を濃縮することができる。
濃縮された金属用研磨液に水または水溶液を加え希釈する方法としては、濃縮された金属用研磨液を供給する配管と水または水溶液を供給する配管を途中で合流させて混合し、混合し希釈された金属用研磨液を研磨パッドに供給する方法がある。混合は、圧力を付した状態で狭い通路を通して液同士を衝突混合する方法、配管中にガラス管などの充填物を詰め液体の流れを分流分離、合流させることを繰り返し行う方法、配管中に動力で回転する羽根を設ける方法など通常に行われている方法を採用することができる。また、濃縮された金属用研磨液に水または水溶液を加え希釈する方法としては、金属用研磨液を供給する配管と水または水溶液を供給する配管を独立に設け、それぞれから所定量の液を研磨パッドに供給し、研磨パッドと被研磨面の相対運動で混合する方法である。さらに、濃縮された金属用研磨液を水または水溶液を加え希釈する方法としては、1つの容器に、所定量の濃縮された金属用研磨液と水または水溶液を入れ混合してから、研磨パッドにその混合した金属用研磨液を供給する方法がある。
上記した研磨方法において、金属の酸化剤を含む1つの構成成分を40℃以下にし、他の構成成分を室温から100℃の範囲に加温し、且つ1つの構成成分と他の構成成分または水もしくは水溶液を加え希釈して使用する際に、混合した後に40℃以下とするようにすることもできる。温度が高いと溶解度が高くなるため、金属用研磨液の溶解度の低い原料の溶解度を上げるために好ましい方法である。金属の酸化剤を含まない他の成分を室温から100℃の範囲で加温して溶解させた原料は、温度が下がると溶液中に析出するため、温度が低下したその成分を用いる場合は、予め加温して析出したものを溶解させる必要がある。これには、加温し溶解した構成成分液を送液する手段と、析出物を含む液を攪拌しておき、送液し配管を加温して溶解させる手段を採用することができる。加温した成分が金属の酸化剤を含む1つの構成成分の温度を40℃以上に高めると金属の酸化剤が分解してくる恐れがあるので、加温した構成成分とこの加温した構成成分を冷却する金属の酸化剤を含む1つの構成成分で混合した場合、40℃以下となるようにする。
(実施例1)
保護膜形成剤としてベンゾトリアゾール2重量部に水66重量部を加え、さらに界面活性剤としてポリビニルアルコール0.5重量部を加え、40℃湯浴中攪拌羽根で攪拌し溶解させた。この溶液に、さらに酸化金属溶解剤としてDL−リンゴ酸(試薬特級)1.5重量部を加えて溶かし得られたものを金属用研磨液10倍濃縮液とした。この金属用研磨剤10倍濃縮液7重量部に水63重量部を加えて希釈し、これに過酸化水素水(試薬特級、30%水溶液)33.2重量部を加えて実際に金属用研磨液を使用するときの金属用研磨液とした。
上記金属用研磨液を用いて、下記研磨条件でCMPした。
《研磨条件》
基体:厚さ1μmの銅膜を形成したシリコン基板
研磨パッド:IC1000(ロデ−ル社製商品名)
研磨圧力:20.6KPa(210g/cm2)
基体と研磨定盤との相対速度:36m/min
《研磨品評価項目》
CMP速度:銅膜のCMP前後での膜厚差を電気抵抗値から換算して求めた。
エッチング速度:25℃、100rpmで攪拌した金属用研磨液への浸漬前後の銅層膜厚差を電気抵抗値から換算して求めた。
また、実際のCMP特性を評価するため、絶縁層中に深さ0.5μmの溝を形成して公知のスパッタ法によって銅膜を形成して公知の熱処理によって埋め込んだシリコン基板を基体として用いてCMPを行った。CMP後の基体の目視、光学顕微鏡観察、及び電子顕微鏡観察によりエロ−ジョン及び研磨傷発生の有無を確認した。
上記の金属用研磨液を用いてCMPした結果、CMP速度が189nm/min、エッチング速度が0.7nm/minといずれも良好で、且つ、濃縮工程の有無によるCMP速度及びエッチング速度には差が生じなかった。また、エロ−ジョン及び研磨傷の発生も見られなかった。
トリルトリアゾール2重量部に水66重量部を加え、続いてポリアクリル酸アンモニウム塩0.5重量部を加え、40℃湯浴中攪拌羽根で攪拌し溶解させた。さらにDL−酒石酸(試薬特級)1.5重量部を加えて溶かし得られたものを金属用研磨液10倍濃縮液とした。次に、得られた金属用研磨液10倍濃縮液7重量部に水63重量部を加えて希釈し、これに過酸化水素水(試薬特級、30%水溶液)33.2重量部を加えて得られたものを金属用研磨液とした。
上記金属用研磨液を用いて、実施例1と同様のCMP条件でCMPを施した。その結果、CMP速度が187nm/min、エッチング速度が0.3nm/minといずれも良好で、且つ、濃縮工程の有無によるCMP速度及びエッチング速度には差が生じなかった。また、エロ−ジョン及び研磨傷の発生も見られなかった。
ベンゾトリアゾール0.05重量部と硫酸ブチルアンモニウム0.1重量部と過ヨウ素酸カリウム10重量部を水20重量部に加え、40℃湯浴中攪拌羽根で攪拌し溶かして得られたものをA液とした。次に、DL−酒石酸(試薬特級)0.05重量部に水30重量部を加えて溶解し、これにベンゾトリアゾール0.15重量部と硫酸ブチルアンモニウム0.1重量部を加え40℃湯浴中攪拌羽根で攪拌し溶かして得られたものをB液とした。また、DL−酒石酸0.1重量部に水40重量部を加え溶解して水溶液とした。
そして、得られたA液とB液と水溶液を重量比3/3/4で混合して得られたものを金属用研磨液とした。上記金属用研磨液を用いて、実施例1と同様のCMP条件でCMPを施した。その結果、CMP速度が126nm/min、エッチング速度が0.4nm/minといずれも良好で、且つ、濃縮工程の有無によるCMP速度及びエッチング速度には差が生じなかった。また、エロ−ジョン及び研磨傷の発生も見られなかった。
DL−リンゴ酸(試薬特級)0.15重量部に水50重量部を加えて溶解し、45℃に加温して、これにベンゾトリアゾール0.2重量部及びコハク酸アミド0.7重量部を加え溶解させ得られたものをA液とした。この45℃のA液に45℃に加温した水20重量部を加え希釈して、20℃の過酸化水素水(試薬特級、30%水溶液)33.2重量部をA液中に注ぎ込んで36℃となった液を金属用研磨液とした。
上記金属用研磨液を用いて、実施例1と同様のCMP条件でCMPを施した。その結果、CMP速度が127nm/min、エッチング速度が0.3nm/minといずれも良好で、且つ、濃縮工程の有無によるCMP速度及びエッチング速度には差が生じなかった。また、エロ−ジョン及び研磨傷の発生も見られなかった。
実施例1の金属用研磨液作製工程で用いるベンゾトリアゾールの溶解前の処理方法を下記の通り変えた。まずベンゾトリアゾールを乳鉢に入れて乳棒で5分間粉砕した。粉砕後のベンゾトリアゾールを光学顕微鏡で観察した結果、平均粒径は80μmであった。以下、実施例1と同様の方法で金属用研磨液を作製した。ベンゾトリアゾールを粉砕したことにより、ベンゾトリアゾールが完全に溶解するのに要する時間が15分から5分に低減された。
上記金属用研磨液を用いて、実施例1と同様のCMP条件でCMPを施した。その結果、CMP速度が185nm/min、エッチング速度が0.6nm/minといずれも良好で、且つ濃縮工程の差異によるCMP速度及びエッチング速度には差が生じなかった。また、エロ−ジョン及び研磨傷の発生も見られなかった。
実施例1の金属用研磨液に平均粒径100nmのコロイダルシリカ1重量部を加え分散させて得られる金属用研磨液を用いて、実施例1と同様のCMP条件でCMPを施した。
その結果、CMP速度が250nm/min、エッチング速度が0.6nm/minといずれも良好で、且つ、濃縮工程の有無によるCMP速度及びエッチング速度には差が生じなかった。また、エロ−ジョン及び研磨傷の発生も見られなかった。
実施例1の金属用研磨液を用いて、実施例1と同様のCMP条件でCMPを施した。その際、金属用研磨液は1つの容器に入れて定量ポンプを用いて装置内部に供給した。
その結果、CMP速度が187nm/min、エッチング速度が0.7nm/minといずれも良好で、且つ、濃縮工程の有無によるCMP速度及びエッチング速度には差が生じなかった。また、エロ−ジョン及び研磨傷の発生も見られなかった。
実施例1の金属用研磨液を用いて、実施例1と同様のCMP条件でCMPを施した。その際、金属用研磨液10倍濃縮液7重量部に水63重量部を加えて希釈したものを1番目の容器に入れ、過酸化水素水(試薬特級、30%水溶液)33.2重量部を2番目の容器に入れ、各々の容器から定量ポンプで液を送り1番目/2番目=7/3の供給速度比(体積比)で合流させ、合流させた後の配管内に長さ3mmのガラス管を多数充填させ、それを通過させて装置内部の研磨パッドに供給して研磨した。
その結果、CMP速度が177nm/min、エッチング速度が0.5nm/minといずれも良好で、且つ濃縮工程の有無によるCMP速度及びエッチング速度には差が生じなかった。また、エロ−ジョン及び研磨傷の発生も見られなかった。
実施例3の金属用研磨液を用いて、実施例1と同様のCMP条件でCMPを施した。その際、A液を一つの容器に、また、B液に水溶液を加えたものを別の容器に入れ、各々の容器から別々に定量ポンプで液を送りA液/(B液+水溶液)=3/7の供給速度比(体積比)で合流させ、装置内部の研磨パッドに供給した。
その結果、CMP速度が124nm/min、エッチング速度が0.4nm/minといずれも良好で、且つ濃縮工程の有無によるCMP速度及びエッチング速度には差が生じなかった。また、エロ−ジョン及び研磨傷の発生も見られなかった。
実施例1の金属用研磨液で、ポリビニルアルコールの添加量を0.5重量部から5重量部に増やして10倍濃縮液を作製し、これを希釈して金属用研磨液とした。
上記金属用研磨液を用いて、実施例1と同様のCMP条件でCMPを施した。その結果、エッチング速度は0.7nm/minと実施例1と差が生じなっかったが、CMP速度が114nm/minと実施例1に比べて大きく低下した。
実施例1の金属用研磨液で、ポリビニルアルコールの添加を省いて10倍濃縮液を作製した。しかし、これを5℃で冷蔵保存したところ、析出分が生じてしまい、金属用研磨液としての評価が困難となった。なお、実施例1の濃縮液は、0℃に保存しても析出は生じなかった。
Claims (10)
- ベンゾトリアゾール及びトリルトリアゾールから選択される少なくとも一つを含む保護膜形成剤、
ポリカルボン酸、ポリカルボン酸の塩、ビニル系ポリマー、スルホン酸、スルホン酸の塩及びアミドから選択される少なくとも一種を含む界面活性剤、
酸化した金属を金属用研磨液に溶解させる酸化金属溶解剤、
及び水を含有してなり、
水又は水溶液によって希釈され、さらに金属の酸化剤と混合されて、前記保護膜形成剤を、金属の酸化剤、酸化金属溶解剤、保護膜形成剤、界面活性剤及び水の総量100gに対して0.0005mol以上0.05mol以下含有し且つ前記界面活性剤を、金属の酸化剤、酸化金属溶解剤、保護膜形成剤、界面活性剤及び水の総量100gに対して0.01g以上3g以下含有する金属用研磨液とされることを特徴とし、
前記金属は、銅、銅合金、銅の酸化物及び銅合金の酸化物から選択される少なくとも一つである、金属研磨濃縮液。 - 水によって重量で10倍以上に希釈される請求項1に記載の金属研磨濃縮液。
- 前記酸化金属溶解剤が、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、2−メチル酪酸、n−ヘキサン酸、3,3−ジメチル酪酸、2−エチル酪酸、4−メチルペンタン酸、n−ヘプタン酸、2−メチルヘキサン酸、n−オクタン酸、2−エチルヘキサン酸、安息香酸、グリコール酸、サリチル酸、グリセリン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、マレイン酸、フタル酸、リンゴ酸、酒石酸及びクエン酸から選択される有機酸、該有機酸の塩、硫酸、硝酸、アンモニア、過硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、塩化アンモニウム及びクロム酸からなる群より選択される少なくとも一つを含む酸化金属溶解剤である、請求項1又は2に記載の金属研磨濃縮液。
- 前記水溶液が、酸化金属溶解剤、保護膜形成剤及び界面活性剤からなる群より選ばれる少なくとも1つの水溶液である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の金属研磨濃縮液。
- 前記酸化金属溶解剤の配合量は、水または水溶液を加え希釈した状態で金属用研磨液を使用する際に、金属の酸化剤、酸化金属溶解剤、保護膜形成剤、界面活性剤及び水の総量100gに対して0.000001〜0.005molである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の金属研磨濃縮液。
- ベンゾトリアゾール及びトリルトリアゾールから選択される少なくとも一つを含む保護膜形成剤、
ポリカルボン酸、ポリカルボン酸の塩、ビニル系ポリマー、スルホン酸、スルホン酸の塩及びアミドから選択される少なくとも一種を含む界面活性剤、
酸化した金属を金属用研磨液に溶解させる酸化金属溶解剤、
及び水を含有してなる金属研磨濃縮液を調製し、
金属研磨濃縮液を水又は水溶液によって希釈し、さらに金属の酸化剤を配合して、前記保護膜形成剤を、金属の酸化剤、酸化金属溶解剤、保護膜形成剤、界面活性剤及び水の総量100gに対して0.0005mol以上0.05mol以下含有し且つ前記界面活性剤を、金属の酸化剤、酸化金属溶解剤、保護膜形成剤、界面活性剤及び水の総量100gに対して0.01g以上3g以下含有する金属用研磨液とすることを特徴とし、
前記金属は、銅、銅合金、銅の酸化物及び銅合金の酸化物から選択される少なくとも一つである、金属用研磨液の調製方法。 - 前記酸化金属溶解剤が、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、2−メチル酪酸、n−ヘキサン酸、3,3−ジメチル酪酸、2−エチル酪酸、4−メチルペンタン酸、n−ヘプタン酸、2−メチルヘキサン酸、n−オクタン酸、2−エチルヘキサン酸、安息香酸、グリコール酸、サリチル酸、グリセリン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、マレイン酸、フタル酸、リンゴ酸、酒石酸及びクエン酸から選択される有機酸、該有機酸の塩、硫酸、硝酸、アンモニア、過硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、塩化アンモニウム及びクロム酸からなる群より選択される少なくとも一つを含む酸化金属溶解剤である、請求項6に記載の金属用研磨液の調製方法。
- 前記水溶液が、酸化金属溶解剤、保護膜形成剤及び界面活性剤からなる群より選ばれる少なくとも1つの水溶液である、請求項6又は7に記載の金属用研磨液の調製方法。
- 前記酸化金属溶解剤の配合量は、水または水溶液を加え希釈した状態で金属用研磨液を使用する際に、金属の酸化剤、酸化金属溶解剤、保護膜形成剤、界面活性剤及び水の総量100gに対して0.000001〜0.005molである、請求項6〜8のいずれか1項に記載の金属用研磨液の調製方法。
- 請求項6〜9のいずれか1項に記載の金属用研磨液の調製方法により調製された金属用研磨液を使用して金属膜を研磨することを特徴とする金属研磨方法。
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