JP2007088284A - 水系研磨液及び化学機械的研磨方法 - Google Patents

水系研磨液及び化学機械的研磨方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 迅速なCMP速度を有し、スクラッチ及びディッシングが少なく、平坦性が向上したLSIの作製を可能とする水系研磨液、及び、前記水系研磨液を用いた化学機械的研磨方法を提供すること。
【解決手段】 3つ以上の窒素原子を有する5員環単環化合物又は該化合物に複素環が縮合した化合物及び、ベンゼン環及びヒドロキシ基を含有する化合物Bを含有することを特徴とする水系研磨液及び前記水系研磨液を用いた化学機械的研磨方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は、半導体デバイスの製造に関するものであり、特に半導体デバイスの配線工程における水系研磨液及びそれを用いた化学機械的研磨方法に関する。
大規模集積回路(以下、「LSI」と記す。)で代表される半導体デバイスの開発においては、小型化・高速化のため、近年配線の微細化と積層化による高密度化・高集積化が求められている。このための技術として化学機械的研磨(Chemical Mechanical Polishing、以下、「CMP」と記す。)等の種々の技術が用いられてきている。このCMPは層間絶縁膜等の被加工膜の表面平坦化、プラグ形成、埋め込み金属配線の形成等を行う場合に必須の技術であり、基板の平滑化や配線形成時の余分な金属薄膜の除去を行っている。この技術は例えば特許文献1に開示されている。
CMPの一般的な方法は、円形の研磨定盤(プラテン)上に研磨パッドを貼り付け、研磨パッド表面を研磨液で浸して、パッドに基板(ウェハ)の表面を押しつけ、その裏面から所定の圧力(研磨圧力)を加えた状態で、研磨定盤及び基板の双方を回転させ、発生する機械的摩擦により基板の表面を平坦化するものである。
CMPに用いる研磨液は、一般には砥粒(例えばアルミナ、シリカ)と酸化剤(例えば過酸化水素、過硫酸)とが含まれる。基本的なメカニズムは、酸化剤によって金属表面を酸化し、その酸化皮膜を砥粒で除去することで研磨していると考えられており、例えば、非特許文献1に記述されている。
しかしながら、このような固体砥粒を含む研磨液を用いてCMPを行うと、研磨傷(スクラッチ)、研磨面全体が必要以上に研磨される現象(シニング)、研磨金属面が皿状にたわむ現象(ディッシング)、金属配線間の絶縁体が必要以上に研磨されたうえ、複数の配線金属面が皿状にたわむ現象(エロージョン)などが発生することがある。
また、研磨後に、半導体面に残留する研磨液を除去するために通常行われる洗浄工程において、固体砥粒を含有する研磨液を用いることによって、その洗浄工程が複雑となり、さらにその洗浄後の液(廃液)を処理するには固体砥粒を沈降分離する必要があるなどコスト面での問題点が存在する。
これらを解決するひとつの手段として、例えば、砥粒を含まない研磨液とドライエッチングとの組み合わせによる金属表面研磨方法が非特許文献2に開示されており、また特許文献2には、過酸化水素/リンゴ酸/ベンゾトリアゾール/ポリアクリル酸アンモニウム及び水からなる研磨液が開示されている。これらの方法によれば、半導体基体の凸部の金属膜が選択的にCMPされ、凹部に金属膜が残されて所望の導体パターンが得られる。従来の固体砥粒を含むよりもはるかに機械的に柔らかい研磨パッドとの摩擦によってCMPが進むため、スクラッチの発生は軽減されている。しかしながら、物理研磨力の低下のため、十分な研磨速度が得られにくいという欠点を有している。
一方、配線用の金属としては従来からタングステン及びアルミニウムがインターコネクト構造体に汎用されてきた。しかしながら更なる高性能化を目指し、これらの金属より配線抵抗の低い銅を用いたLSIが開発されるようになった。この銅を配線する方法としては、例えば、特許文献3に記載されている、ダマシン法が知られている。また、コンタクトホールと配線用溝とを同時に層間絶縁膜に形成し、両者に金属を埋め込むデュアルダマシン法が広く用いられるようになってきた。この銅配線用のターゲット材には、ファイブナイン以上の高純度銅ターゲットが出荷されてきた。しかしながら、近年は更なる高密度化を目指す配線の微細化に伴って、銅配線の導電性や電子特性などの向上が必要となり、それに伴って高純度銅に第3成分を添加した銅合金を用いることも検討されはじめてきている。同時に、これらの高精細で高純度の材料を汚染させることなく高生産性を発揮し得る高速金属研磨手段が求められている。銅金属の研磨においては、特に軟質の金属であるがため、前記したディッシング、エロージョンやスクラッチが発生しやすく、益々高精度の研磨技術が要求されてきている。
更に、昨今は生産性向上のため、LSI製造時のウェハ径が益々大型化しており、現在は直径200mm以上が汎用されており、300mm以上の大きさでの製造も開始され始めた。このようなウェハの大型化に伴い、ウェハ中心部と周辺部とでの研磨速度の差異が生じ易くなり、ウェハ面内での研磨の均一性に対する要求が益々厳しくなってきている。
銅及び銅合金に対して機械的研磨手段をもたない化学研磨方法としては、特許文献4に記載されている方法が知られている。しかしながら化学的溶解作用のみによる化学研磨方法は、凸部の金属膜が選択的に化学機械的に研磨するCMPに比べ、凹部の削れ込み、即ちディッシングなどの発生によりその平面性に大きな課題が残っている。
また、銅配線使用時には、銅イオンが絶縁材料への拡散することを防止する目的で、配線部と絶縁層の間にバリア層と呼ばれる拡散防止層が一般に設けられ、これはTaN、TaSiN、Ta、TiN、Ti、Nb、W、WN、Co、Zr、ZrN及びCuTa合金から選ばれる1層または2層以上から作られている。しかしながら、これらバリア材料自体が導電性の性質を持っているため、リーク電流などのエラー発生を防ぐために絶縁層上のバリア材料は完全に除去されなければならず、この除去加工は金属配線材のバルク研磨と同様な方法によって達成されている(バリアCMP)。銅のバルク研磨で特に幅広な金属配線部にディッシングが発生しやすいため、最終的な平坦化を達成するためには配線部とバリア部で研磨除去する量を調節できることが望ましい。このためバリア研磨用の研磨液には最適な銅/バリアメタルの研磨選択性を有することが望まれている。また、各レベルの配線層で配線ピッチや配線密度が異なるため、上記研磨選択性を適宜調整できることが更には望ましい。
米国特許4944836号公報 特開2001−127019号公報 特開平2−278822号公報 特開昭49−122432号公報 ジャーナル・オブ・エレクトロケミカルソサエティ誌(Journal of Electrochemical Society)、1991年、第138巻、第11号、3460〜3464頁 ジャーナル・オブ・エレクトロケミカルソサエティ誌(Journal of Electrochemical Society)、2000年、第147巻、第10号、3907〜3913頁
本発明は、LSIの生産性を高めるためにより迅速なCMPを進めるにおいては、このような特に銅金属及び銅合金を原料とする配線の、その研磨速度を上げることが求められているという前記した背景に基づいて行われたものである。
したがって、本発明の目的は、迅速なCMP速度を有し、スクラッチ及びディッシングが少なく、平坦性が向上したLSIの作製を可能とする水系研磨液、及び、前記水系研磨液を用いた化学機械的研磨方法を提供することである。
上記の研磨液に係る問題点について、本発明者は鋭意検討した結果、下記水系研磨液を用いることによって問題を解決できることを見出して課題を達成するに至った。
すなわち、本発明は、下記の<1>及び<3>に示す通りである。好ましい実施態様である<2>と共に以下に示す。
<1> 3つ以上の窒素原子を有する5員環単環化合物又は該化合物に複素環が縮合した化合物及び、ベンゼン環及びヒドロキシ基を含有する化合物Bを含有することを特徴とする水系研磨液、
<2> 酸化剤を含む<1>に記載の水系研磨液、
<3> <1>又は<2>に記載の水系研磨液の存在下に、被研磨面と研磨面とを接触させながら相対運動させて研磨する工程を含むことを特徴とする化学機械的研磨方法。
本発明によれば、迅速なCMP速度を有し、スクラッチ及びディッシングが少なく、平坦性が向上した水系研磨液を得ることができる。また、本発明によれば、研磨速度に優れた化学機械的研磨方法を行うことができる。
以下、本発明の具体的態様について説明する。
なお、本明細書における基(原子団)の表記において、置換及び無置換を記していない表記は、置換基を有さないものと共に置換基を有するものをも包含するものである。例えば、「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含するものである。
<水系研磨液>
本発明の水系研磨液(以下、単に「研磨液」ともいう。)は、構成成分として少なくとも、3つ以上の窒素原子を有する5員環単環化合物又は該化合物に複素環が縮合した化合物(以下、「化合物A」ともいう)、ベンゼン環及びヒドロキシ基を含有する化合物Bを含有する水系研磨液であり、好ましくは、酸化剤を含有する。
本発明の研磨液は、さらに他の成分を含有してもよく、好ましい成分として、キレート剤、酸、界面活性剤、水溶性ポリマー及び添加剤を挙げることができる。
研磨液が含有する各成分は1種を単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
なお、研磨液の濃縮液作製時に添加する成分の内、室温での水に対する溶解度が5%未満のものの配合量は、濃縮液を5℃などに冷却した際の析出を防止する点で、室温での水に対する溶解度の2倍以内とすることが好ましく、1.5倍以内とすることがより好ましい。
なお、本明細書において「濃縮」及び「濃縮液」とは、使用状態よりも「濃厚」及び「濃厚な液」を意味する慣用表現にしたがって用いており、蒸発などの物理的な濃縮操作を伴う一般的な用語の意味とは異なる用法で用いている。
すなわち、濃縮液または濃縮された研磨液とは、研磨に使用する際の研磨液よりも、溶質の濃度が高く調製された研磨液を意味し、研磨に使用する際に、水又は水溶液などで希釈して、研磨に使用されるものである。希釈倍率は、一般的には1〜20体積倍である。
本発明において「研磨液」とは、研磨に使用する際の研磨液(即ち、必要により希釈された研磨液)のみならず、研磨液の濃縮液をも包含する意である。
(化合物A)
本発明の水系研磨液は、3つ以上の窒素原子を有する5員環単環化合物または該化合物に複素環が縮合した化合物(化合物A)を含む。化合物Aは、エッチング抑止剤としての働きを有するものである。
化合物Aは、具体的には、トリアゾール、テトラゾール及びこれらの誘導体が挙げられる。これらの中でも、テトラゾール及びその誘導体が好ましい。
これら中でも特に下記式(I)〜(III)で表される化合物が好ましい。
まず、式(I)で表されるテトラゾール骨格を有する化合物について、以下詳述する。
Figure 2007088284
式(I)中、R1及びR2は、各々独立に、水素原子又は一価の置換基を表す。R1及びR2はお互いに結合して環を形成してもよい。なお、R1及びR2が同時に水素原子の場合、式(I)で表される化合物は、その互変異性体でもよい。
式(I)におけるR1及びR2としての一価の置換基は、特に限定されないが、例えば、以下のものが挙げられる。ただし、R1においては、下記一価の置換基のうち、窒素原子と結合した場合に、その化合物が安定に得られない一価の置換基は含まれない。
ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、又は沃素原子)、アルキル基(直鎖、分岐又は環状のアルキル基であり、ビシクロアルキル基のように多環アルキル基であっても、活性メチン基を含んでもよい)、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基(置換する位置は問わない)、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ヘテロ環オキシカルボニル基、カルバモイル基(置換基を有するカルバモイル基でも良く、例えば、N−ヒドロキシカルバモイル基、N−アシルカルバモイル基、N−スルホニルカルバモイル基、N−カルバモイルカルバモイル基、チオカルバモイル基、N−スルファモイルカルバモイル基)、カルバゾイル基、カルボキシ基又はその塩、オキサリル基、オキサモイル基、シアノ基、カルボンイミドイル基(Carbonimidoyl基)、ホルミル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基(エチレンオキシ基若しくはプロピレンオキシ基単位を繰り返し含む基を含む)、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、(アルコキシ若しくはアリールオキシ)カルボニルオキシ基、(無置換、一置換又は二置換)カルバモイルオキシ基、(無置換、アルキル若しくはアリール)スルホニルオキシ基、
アミノ基、(アルキル、アリール、又はヘテロ環)アミノ基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、ウレイド基、チオウレイド基、N−ヒドロキシウレイド基、イミド基、(アルコキシ若しくはアリールオキシ)カルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、セミカルバジド基、チオセミカルバジド基、ヒドラジノ基、アンモニオ基、オキサモイルアミノ基、N−(アルキル若しくはアリール)スルホニルウレイド基、N−アシルウレイド基、N−アシルスルファモイルアミノ基、ヒドロキシアミノ基、ニトロ基、4級化された窒素原子を含むヘテロ環基(例えばピリジニオ基、イミダゾリオ基、キノリニオ基、イソキノリニオ基)、イソシアノ基、イミノ基、メルカプト基、(アルキル、アリール、又はヘテロ環)チオ基、(アルキル、アリール、又はヘテロ環)ジチオ基、(アルキル又はアリール)スルホニル基、(アルキル又はアリール)スルフィニル基、スルホ基又はその塩、スルファモイル基(置換基を有するスルファモイル基でも良く、例えば、N−アシルスルファモイル基、N−スルホニルスルファモイル基)又はその塩、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、シリル基等が挙げられる。
なお、活性メチン基とは2つの電子求引性基で置換されたメチン基を意味し、電子求引性基とは、例えば、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルファモイル基、トリフルオロメチル基、シアノ基、ニトロ基、カルボンイミドイル基(Carbonimidoyl基)を意味する。2つの電子求引性基は互いに結合して環状構造をとっていてもよい。また塩とは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、重金属などの陽イオンや、アンモニウムイオン、ホスホニウムイオンなどの有機の陽イオンを意味する。
これらの中でも好ましい一価の置換基としては、例えば、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、又は沃素原子)、アルキル基(直鎖、分岐又は環状のアルキル基であり、ビシクロアルキル基のように多環アルキル基であっても、活性メチン基を含んでもよい)、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基(置換する位置は問わない)、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ヘテロ環オキシカルボニル基、カルバモイル基、N−ヒドロキシカルバモイル基、N−アシルカルバモイル基、N−スルホニルカルバモイル基、N−カルバモイルカルバモイル基、チオカルバモイル基、N−スルファモイルカルバモイル基、カルバゾイル基、オキサリル基、オキサモイル基、シアノ基、カルボンイミドイル基(Carbonimidoyl基)、ホルミル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基(エチレンオキシ基若しくはプロピレンオキシ基単位を繰り返し含む基を含む)、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、(アルコキシ若しくはアリールオキシ)カルボニルオキシ基、(無置換、一置換又は二置換)カルバモイルオキシ基、(無置換、アルキル若しくはアリール)スルホニルオキシ基、(アルキル、アリール、又はヘテロ環)アミノ基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、ウレイド基、チオウレイド基、N−ヒドロキシウレイド基、イミド基、
(アルコキシ若しくはアリールオキシ)カルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、セミカルバジド基、チオセミカルバジド基、ヒドラジノ基、アンモニオ基、オキサモイルアミノ基、N−(アルキル若しくはアリール)スルホニルウレイド基、N−アシルウレイド基、N−アシルスルファモイルアミノ基、ヒドロキシアミノ基、ニトロ基、4級化された窒素原子を含むヘテロ環基(例えばピリジニオ基、イミダゾリオ基、キノリニオ基、イソキノリニオ基)、イソシアノ基、イミノ基、メルカプト基、(アルキル、アリール、又はヘテロ環)チオ基、(アルキル、アリール、又はヘテロ環)ジチオ基、(アルキル又はアリール)スルホニル基、(アルキル又はアリール)スルフィニル基、スルホ基又はその塩、スルファモイル基、N−アシルスルファモイル基、N−スルホニルスルファモイル基又はその塩、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、シリル基等が挙げられる。
さらに好ましくは、例えば、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、又は沃素原子)、アルキル基(直鎖、分岐又は環状のアルキル基であり、ビシクロアルキル基のように多環アルキル基であっても、活性メチン基を含んでもよい)、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基(置換する位置は問わない)、アミノ基が挙げられる。
式(I)におけるR1及びR2が結合して、−C−N−結合とともに、形成する環としては、単環であっても多環であってもよく、好ましくは5〜6員環の単環、又は5〜6員環から構成される多環である。
上記一価の置換基は、さらに上記一価の置換基で置換されていてもよい。
また、本発明で用いることができる式(I)で表される化合物は、例えば、カルボン酸塩等の塩を形成している化合物であってもよい。
式(I)で表される化合物の分子量は、好ましくは69〜600、より好ましくは69〜400である。
式(I)で表される化合物の具体例を以下に挙げるが、これらに限定するものではない。
Figure 2007088284
Figure 2007088284
Figure 2007088284
式(I)で表される化合物の中で好ましいものとしては、化合物I−1、I−3、I−4、I−10、I−15、I−16、I−21、I−22、I−23、I−41、I−48が挙げられ、化合物I−1、I−4、I−15、I−16、I−22、I−23がより好ましく、I−1、I−4、I−16が特に好ましい。
式(I)で表される化合物は、常法に従って合成できるほか、市販品を使用してもよい。
つぎに式(II)及び式(III)で表されるトリアゾール化合物について、以下詳述する。
Figure 2007088284
式(II)及び式(III)中、R21〜R23、及び、R31〜R33は、各々独立に、水素原子又は一価の置換基を表す。R21〜R23、又は、R31〜R33より選ばれるいずれか2つは、お互いに結合して環を形成してもよい。ただし、本発明において、R21及びR22が互いに縮合して炭化水素環を形成することはない。ここで、炭化水素環とは、脂肪族炭化水素環及び芳香族炭化水素環を含むものである。なお、式(II)における点線は、式(II)で表される化合物が1,2,3−トリアゾール誘導体であっても、4,5−ジヒドロ−1,2,3−トリアゾール誘導体であってもよいことを表し、その中でも式(II)で表される化合物は、1,2,3−トリアゾール誘導体であることが好ましい。
21〜R33としては、式(I)におけるR1及びR2と同様の一価の置換基を挙げられる。ただし、R23及びR32においては、上記一価の置換基のうち、窒素原子と結合した場合に、その化合物が安定に得られない一価の置換基は含まれない。
前記一価の置換基は、さらに前記一価の置換基で置換されていてもよい。また、前記一価の置換基は、可能であるなら環を形成していてもよい。
これらの中でも好ましい置換基としては、アルキル基、アミノ基、イミド基、カルボキシ基又はその塩、ヒドロキシ基、カルバモイル基、スルホ基又はその塩、スルファモイル基等が挙げられ、アルキル基、アミノ基がより好ましい。
式(II)及び式(III)で表される化合物の分子量は、好ましくは69〜600、より好ましくは69〜400である。
式(II)または式(III)で表される化合物の好ましい具体例を以下に挙げるが、これらに限定するものではない。
Figure 2007088284
式(II)または式(III)で表される化合物は、常法に従って合成できるほか、市販品を使用してもよい。
化合物Aは、1種類を単独で使用することもできるが、複数を組み合わせて使用することもできる。
化合物Aの添加量は、総量として、研磨に使用する際の研磨液の1L中、0.001〜100mmolが好ましく、より好ましくは0.005〜50mmol、更に好ましくは0.01〜10mmolである。
化合物Aの添加量が上記範囲内であると、スクラッチの発生を低減する効果を得られるので好ましい。
(化合物B)
本発明の研磨液は、ベンゼン環とヒドロキシ基を有する化合物(化合物B)を含有する。化合物Bは、砥粒の凝集等を抑制すると考えられる。
化合物Bは、ベンゼン環とヒドロキシ基を有する化合物であれば、特に限定することなく使用することができるが、これらの中でもフェノール化合物、フェノキシアルカノール化合物及びアリールアルキルアルコール化合物が好ましい。
具体的には、下記の式(IV)〜(VI)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2007088284
41〜R65としては、式(I)におけるR1及びR2と同様に、水素原子または一価の置換基が挙げられる。また、置換基としてはR1と同様なものが選択できる。
1、L2としては二価の連結基が挙げられる。具体的には、アルキレン基またはアリーレン基が挙げられる。
式(IV)において、R43はハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基またはアルコキシカルボニル基であることが好ましい。アルコキシカルボニル基のアルコキシ基は、炭素数が1〜8のアルコキシ基であることが好ましく、炭素数が1〜4であることがより好ましい。
また、R41、R42、R44、R45としては、水素、アルキル基、アルコキシ基であることが好ましい。
式(IV)で表される化合物としては、p−クロロ−m−キシレノール(クロルキシレノール)、p−クロロ−m−クレゾール(クロルクレゾール)、4−ヒドロキシ安息香酸メチルエステル、4−ヒドロキシ安息香酸エチルエステル、4−ヒドロキシ安息香酸プロピルエステル、p−ヒドロキシ安息香酸ブチルエステル、オイゲノール、p−メトキシフェノール、p−イソプロピルフェノール、チモール、イソチモールが例示できる。これらの中でも、クロルキシレノール、クロルクレゾール、p−ヒドロキシ安息香酸メチルエステル、p−ヒドロキシ安息香酸エチルエステル、p−ヒドロキシ安息香酸プロピルエステル、p−ヒドロキシ安息香酸ブチルエステルが好ましい。
式(V)において、L1は、アルキレン基であることが好ましい。式(V)で表される化合物として、フェノキシエタノールが好ましい。
式(VI)において、L2は、アルキレン基であることが好ましい。式(VI)で表される化合物として、ベンジルアルコール、フェネチルアルコールが好ましい。
化合物Bの好ましい分子量は94〜600であり、100〜400であることがより好ましい。
また、化合物Bは、1種単独で使用することもできるが、複数を併用して使用することもできる。
化合物Bの添加量は、研磨に使用する際の研磨液中の1L中、0.001〜10gとすることが好ましく、0.01〜5gとすることがより好ましく0.01〜1gとすることが特に好ましい。
化合物Bの添加量が上記範囲内であると、スクラッチの低減に有効であるので好ましい。
(溶剤)
本発明において、研磨液は水系研磨液である。
本発明において、「水系」とは、溶剤中に水を50%以上含むことを意味し、75%以上が好ましく、90%以上であることがより好ましく、95%以上であることがさらに好ましい。
ここで、溶剤とは、前述した化合物A及び化合物B、さらに後述するキレート剤や、酸化剤、キレート剤等の各種添加剤、砥粒等を除いたものを意味する。
本発明において、溶剤として、水と相溶性の溶剤を併用することができる。具体的には、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、iso−プロピルアルコール、、アセトニトリル、酢酸エチル、Nメチルピロリドンn−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、n−ペンタノール、アセトン、メチルエチルケトン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルーエーテル、エチレングリコールモノtert−ブチルエーテル、エチレングリコールモノn−ブチルエーテル、エチレングリコールモノn−フェニルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルーエーテル、プロピレングリコールモノtert−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノn−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルーエーテル、ジエチレングリコールモノtert−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノn−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルーエーテル、乳酸メチル、乳酸エチル、γ−ブチロラクトンを使用することができる。
(砥粒)
本発明の研磨液は、砥粒を含有することが好ましい。好ましい砥粒としては、例えば、シリカ(沈降シリカ、フュームドシリカ、コロイダルシリカ、合成シリカ)、セリア、アルミナ、チタニア、ジルコニア、ゲルマニア、酸化マンガン、炭化ケイ素、ポリスチレン、ポリアクリル、ポリテレフタレートなどが挙げられる。
砥粒は平均粒径が5〜1,000nmが好ましく、特には10〜200nmが好ましい。
砥粒の添加量としては、砥粒は、使用する際の研磨液の全重量に対して0.01〜20重量%の範囲であることが好ましく、0.05〜5重量%の範囲であることがより好ましい。研磨速度について充分な効果を得る上で0.01重量%以上が好ましく、CMPによる研磨速度が飽和するため、20重量%以下が好ましい。
また、砥粒を含有しないか、濃度0.01重量%未満で砥粒を含有する場合、好ましくはpH3.5以上、特にはpH4.0以上とすることにより、研磨速度とディッシングの特性が向上することを見出した。この場合、ポリアクリル酸など前述の親水性ポリマーを添加することが好ましく、添加量は一般的には0.0001〜5重量%であることが好ましく、より好ましくは0.01〜0.5重量%である。
(酸化剤)
本発明の研磨液は、研磨対象の金属を酸化できる化合物(酸化剤)を含有することが好ましい。酸化剤としては、例えば、過酸化水素、過酸化物、硝酸塩、ヨウ素酸塩、過ヨウ素酸塩、次亜塩素酸塩、亜塩素酸塩、塩素酸塩、過塩素酸塩、過硫酸塩、重クロム酸塩、過マンガン酸塩、オゾン水、銀(II)塩、及び、鉄(III)塩が挙げられる。
鉄(III)塩としては例えば、硝酸鉄(III)、塩化鉄(III)、硫酸鉄(III)、臭化鉄(III)など無機の鉄(III)塩の他、鉄(III)の有機錯塩が好ましく用いられる。
鉄(III)の有機錯塩を用いる場合、鉄(III)錯塩を構成する錯形成化合物としては、例えば、酢酸、クエン酸、シュウ酸、サリチル酸、ジエチルジチオカルバミン酸、コハク酸、酒石酸、グリコール酸、グリシン、アラニン、アスパラギン酸、チオグリコール酸、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−エタンジチオール、マロン酸、グルタル酸、3−ヒドロキシ酪酸、プロピオン酸、フタル酸、イソフタル酸、3−ヒドロキシサリチル酸、3,5−ジヒドロキシサリチル酸、没食子酸、安息香酸、マレイン酸などやこれらの塩の他、アミノポリカルボン酸及びその塩が挙げられる。
アミノポリカルボン酸及びその塩としては、エチレンジアミン−N,N,N’,N’−四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、1,3−ジアミノプロパン−N,N,N’,N’−四酢酸、1,2−ジアミノプロパン−N,N,N’,N’−四酢酸、エチレンジアミン−N,N’−ジコハク酸(ラセミ体)、エチレンジアミンジコハク酸(SS体)、N−(2−カルボキシラートエチル)−L−アスパラギン酸、N−(カルボキシメチル)−L−アスパラギン酸、β−アラニンジ酢酸、メチルイミノジ酢酸、ニトリロ三酢酸、シクロヘキサンジアミン四酢酸、イミノジ酢酸、グリコールエーテルジアミン四酢酸、エチレンジアミン1−N,N’−ニ酢酸、エチレンジアミンオルトヒドロキシフェニル酢酸、N,N−ビス(2−ヒドロキシベンジル)エチレンジアミン−N,N−ジ酢酸など及びその塩が挙げられる。対塩の種類は、アルカリ金属塩及びアンモニウム塩が好ましく、特にはアンモニウム塩が好ましい。
これらの中でも、過酸化水素、ヨウ素酸塩、次亜塩素酸塩、塩素酸塩、鉄(III)の有機錯塩が好ましく、鉄(III)の有機錯塩を用いる場合の好ましい錯形成化合物は、クエン酸、酒石酸、アミノポリカルボン酸(具体的には、エチレンジアミン−N,N,N’,N’−四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、1,3−ジアミノプロパン−N,N,N’,N’−四酢酸、エチレンジアミン−N,N'−ジコハク酸(ラセミ体)、エチレンジアミンジコハク酸(SS体)、N−(2−カルボキシラートエチル)−L−アスパラギン酸、N−(カルボキシメチル)−L−アスパラギン酸、β−アラニンジ酢酸、メチルイミノジ酢酸、ニトリロ三酢酸、イミノジ酢酸)を挙げることができる。
酸化剤の中でも過酸化水素並びに鉄(III)のエチレンジアミン−N,N,N’,N’−四酢酸、1,3−ジアミノプロパン−N,N,N’,N’−四酢酸及びエチレンジアミンジコハク酸(SS体)錯体が最も好ましい。
酸化剤の添加量は、研磨に使用する際の研磨液の1L中、0.003mol〜8molとすることが好ましく、0.03mol〜6molとすることがより好ましく、0.1mol〜4molとすることが特に好ましい。即ち、酸化剤の添加量は、金属の酸化が十分で高いCMP速度を確保する点で0.003mol以上が好ましく、研磨面の荒れ防止の点から8mol以下が好ましい。
(キレート剤)
また、本発明において、研磨液はキレート剤を含有することも好ましい。
キレート剤としては、研磨液作製時若しくは研磨時に混入する金属イオン、特に多価金属イオンなどの悪影響を低減させるため、前記金属イオンに対し金属塩化合物や錯塩を形成する化合物、又は、金属イオンへの配位により金属錯体を形成する化合物であれば、特に限定なく用いることができ、例えば、ポリカルボン酸であるシュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、マレイン酸、フタル酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸や、ポリホスホン酸であるニトリロトリスメチレンホスホン酸、2−ホスホノブタン−1,2,4−トリカルボン酸、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、ポリスルホン酸である1,2−ジヒドロキシベンゼン−4,6−ジスルホン酸、あるいはアミノ酸又はアミノポリカルボン酸が好ましく、水溶性のアミノ酸又は水溶性のアミノポリカルボン酸が特に好ましい。
本発明に用いることができるアミノ酸は置換基を有してもよく、特には以下の群から選ばれたものがより適している。
グリシン、L−アラニン、β−アラニン、L−2−アミノ酪酸、L−ノルバリン、L−バリン、L−ロイシン、L−ノルロイシン、L−イソロイシン、L−アロイソロイシン、L−フェニルアラニン、L−プロリン、サルコシン、L−オルニチン、L−リシン、タウリン、L−セリン、L−トレオニン、L−アロトレオニン、L−ホモセリン、L−チロシン、3,5−ジヨ−ド−L−チロシン、β−(3,4−ジヒドロキシフェニル)−L−アラニン、L−チロキシン、4−ヒドロキシ−L−プロリン、L−システィン、L−メチオニン、L−エチオニン、L−ランチオニン、L−シスタチオニン、L−シスチン、L−システィン酸、L−アスパラギン酸、L−グルタミン酸、S−(カルボキシメチル)−L−システィン、4−アミノ酪酸、L−アスパラギン、L−グルタミン、アザセリン、L−アルギニン、L−カナバニン、L−シトルリン、δ−ヒドロキシ−L−リシン、クレアチン、L−キヌレニン、L−ヒスチジン、1−メチル−L−ヒスチジン、3−メチル−L−ヒスチジン、エルゴチオネイン、L−トリプトファン、アクチノマイシンC1、アパミン、アンギオテンシンI、アンギオテンシンII及びアンチパイン等のアミノ酸。
その中でも、グリシン、L−アラニン、β−アラニン、L−ヒスチジン、L−プロリン、L−リシン、ジヒドロキシエチルグリシンが特に好ましい。
また、アミノポリカルボン酸としては、例えば、イミノジ酢酸、ニトリロ三酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、エチレンジアミン四酢酸、ニトリロトリスメチレンホスホン酸、エチレンジアミン−N,N,N’,N’−テトラメチレンスルホン酸、トランスシクロヘキサンジアミン四酢酸、1,2−ジアミノプロパン四酢酸、グリコールエーテルジアミン四酢酸、エチレンジアミンオルトヒドロキシフェニル酢酸、エチレンジアミンジ琥珀酸(SS体)、N−(2−カルボキシラートエチル)−L−アスパラギン酸、β−アラニンジ酢酸、2−ホスホノブタン−1,2,4−トリカルボン酸、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、N,N’−ビス(2−ヒドロキシベンジル)エチレンジアミン−N,N’−ジ酢酸、1,2−ジヒドロキシベンゼン−4,6−ジスルホン酸等が挙げられる。
本発明に用いることができるキレート剤としては、下記式(1)又は式(2)で表される化合物であることが特に好ましい。
Figure 2007088284
式(1)におけるR1は、単結合、アルキレン基、又は、フェニレン基を表す。
式(1)におけるR2及びR3は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、カルボキシル基、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、又は、アリール基を表す。
式(1)におけるR4及びR5は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、カルボキシル基、アルキル基、又は、アシル基を表す。
ただし、R1が単結合である場合、R4及びR5の少なくともいずれか1つは水素原子ではない。
式(1)におけるR1としてのアルキレン基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれであってもよく、好ましくは炭素数1〜8であり、例えば、メチレン基、エチレン基を挙げることができる。
上記アルキレン基が有していてもよい置換基としては、水酸基、ハロゲン原子などを挙げることができる。
式(1)におけるR2及びR3としてのアルキル基は、好ましくは炭素数1〜8であり、例えば、メチル基、プロピル基などを挙げることができる。
式(1)におけるR2及びR3としてのシクロアルキル基は、好ましくは炭素数5〜15であり、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基を挙げることができる。
式(1)におけるR2及びR3としてのアルケニル基は、好ましくは炭素数2〜9であり、例えば、ビニル基、プロペニル基、アリル基を挙げることができる。
式(1)におけるR2及びR3としてのアルキニル基は、好ましくは炭素数2〜9であり、例えば、エチニル基、プロピニル基、ブチニル基を挙げることができる。
式(1)におけるR2及びR3としてのアリール基は、好ましくは炭素数6〜15であり、例えばフェニル基を挙げることができる。
これらの基におけるアルキレン鎖中には、酸素原子、硫黄原子などのヘテロ原子を有していてもよい。
式(1)におけるR2及びR3としての各基が有してもよい置換基としては、水酸基、ハロゲン原子、芳香環(好ましくは炭素数3〜15)、カルボキシル基、アミノ基などを挙げることができる。
式(1)におけるR4及びR5としてのアルキル基は、好ましくは炭素数1〜8であり、例えば、メチル基、エチル基を挙げることができる。
アシル基は、好ましくは炭素数2〜9であり、例えば、メチルカルボニル基を挙げることができる。
式(1)におけるR4及びR5としての各基が有してもよい置換基としては、水酸基、アミノ基、ハロゲン原子を挙げることができる。
式(1)において、R4及びR5のいずれか一方は水素原子でないことが好ましい。
また、式(1)において、R1が単結合、R2及びR4が水素原子であることが特に好ましい。この場合、R3は、水素原子、ハロゲン原子、カルボキシル基、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、又はアリール基を表すが、特に水素原子、アルキル基が好ましい。R5は、水素原子、ハロゲン原子、カルボキシル基、アルキル基、又はアシル基を表すが、特にはアルキル基が好ましい。R3としてのアルキル基が有してもよい置換基として、水酸基、カルボキシル基又はアミノ基が好ましい。R5としてのアルキル基が有してもよい置換基として、水酸基又はアミノ基が好ましい。
Figure 2007088284
式(2)におけるR6は単結合、アルキレン基、又は、フェニレン基を表す。
式(2)におけるR7及びR8は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、カルボキシル基、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、又は、アリール基を表す。
式(2)におけるR9は、水素原子、ハロゲン原子、カルボキシル基、又は、アルキル基を表す。
式(2)におけるR10はアルキレン基を表す。
ただし、R10が−CH2−である場合、R6は単結合ではないか、又は、R9が水素原子ではないかの少なくともいずれかである。
式(2)におけるR6及びR10としてのアルキレン基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれであってもよく、好ましくは炭素数1〜8であり、例えば、メチレン基、エチレン基を挙げることができる。
上記アルキレン基及びフェニレン基が有していてもよい置換基としては、水酸基、ハロゲン原子などを挙げることができる。
式(2)におけるR7及びR8としてのアルキル基は、好ましくは炭素数1〜8であり、例えば、メチル基、プロピル基などを挙げることができる。
式(2)におけるR7及びR8としてのシクロアルキル基は、好ましくは炭素数5〜15であり、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基を挙げることができる。
式(2)におけるR7及びR8としてのアルケニル基は、好ましくは炭素数2〜9であり、例えば、ビニル基、プロペニル基、アリル基を挙げることができる。
式(2)におけるR7及びR8としてのアルキニル基は、好ましくは炭素数2〜9であり、例えば、エチニル基、プロピニル基、ブチニル基を挙げることができる。
式(2)におけるR7及びR8としてのアリール基は、好ましくは炭素数6〜15であり、例えばフェニル基を挙げることができる。
これらの基におけるアルキレン鎖中には、酸素原子、硫黄原子などのヘテロ原子を有していてもよい。
式(2)におけるR7及びR8としての各基が有してもよい置換基としては、水酸基、ハロゲン原子、芳香環(好ましくは炭素数3〜15)などを挙げることができる。
式(2)におけるR9としてのアルキル基は、好ましくは炭素数1〜8であり、例えば、メチル基、エチル基を挙げることができる。
式(2)におけるR9としてのアシル基は、好ましくは炭素数2〜9であり、例えば、メチルカルボニル基を挙げることができる。
これらの基におけるアルキレン鎖中には、酸素原子、硫黄原子などのヘテロ原子を有していてもよい。
式(2)におけるR9としての各基が有してもよい置換基としては、水酸基、アミノ基、ハロゲン原子、カルボキシル基を挙げることができる。
また、式(2)において、R9は水素原子でないことが好ましい。
以下に、式(1)又は式(2)で表される化合物の好ましい具体例を挙げるが、これらに限定するものではない。
Figure 2007088284
Figure 2007088284
式(1)又は(2)で表される化合物の合成方法としては、特に制限はなく、公知の方法により合成できる。また、式(1)又は(2)で表される化合物は、市販のものを用いてもよい。
キレート剤の総添加量は、研磨に使用する際の研磨液(即ち、水又は水溶液で希釈する場合は希釈後の研磨液。以下に記載の「研磨に使用する際の研磨液」も同意である。)の1L中、0.0001〜3molとすることが好ましく、0.005mol〜1molとすることがより好ましく、0.01mol〜0.5molとすることが特に好ましい。
また、キレート化合物の総添加量よりも少ない添加量で、チオシアン酸塩、チオエーテル類、チオ硫酸塩又はメソイオン化合物を併用してもよい。
本発明に用いることができるチオシアン酸塩としては特開2004−235319号公報に記載のチオシアン酸塩を好ましく挙げることができ、チオエーテル類としては特開2004−235318号公報に記載のチオエーテル類を好ましく挙げることができ、チオ硫酸塩としては特開2004−235326号公報に記載のチオ硫酸塩を好ましく挙げることができ、また、メソイオン化合物としては特開2004−235320号公報に記載のメソイオン化合物を好ましく挙げることができる。
(酸)
本発明の研磨液は更に酸を含有することが好ましい。ここでいう酸は、金属を酸化するための酸化剤とは構造が異なる化合物であり、前述の酸化剤として機能する酸を包含するものではない。ここでの酸は、酸化の促進、pH調整、緩衝剤としての作用を有する。
酸の例として、その範囲で、例えば、無機酸、有機酸が挙げられる。
無機酸としては、硫酸、硝酸、ホウ酸、燐酸などが挙げられ、無機酸の中では燐酸、硝酸が好ましい。
有機酸としては、水溶性のものが望ましい。以下の群から選ばれたものがより適している。ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、2−メチル酪酸、n−ヘキサン酸、3,3−ジメチル酪酸、2−エチル酪酸、4−メチルペンタン酸、n−ヘプタン酸、2−メチルヘキサン酸、n−オクタン酸、2−エチルヘキサン酸、安息香酸、グリコール酸、サリチル酸、グリセリン酸乳酸、及びそれらのアンモニウム塩やアルカリ金属塩等の塩、硫酸、硝酸、アンモニア、アンモニウム塩類、又はそれらの混合物等が挙げられる。これらの中ではギ酸、酢酸、グリコール酸が好適である。
(添加剤)
また、本発明の研磨液には、以下の添加剤を用いることが好ましい。
アンモニア;
ジメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、プロピレンジアミン等のアルキルアミンや、エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)、ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム及びキトサン等のアミン;
ジチゾン、クプロイン(2,2’−ビキノリン)、ネオクプロイン(2,9−ジメチル−1,10−フェナントロリン)、バソクプロイン(2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン)及びキュペラゾン(ビスシクロヘキサノンオキサリルヒドラゾン)等のイミン;
ベンズイミダゾール−2−チオール、2−[2−(ベンゾチアゾリル)]チオプロピオン酸、2−[2−(ベンゾチアゾリル)]チオブチル酸、2−メルカプトベンゾチアゾール、1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール、3−アミノ−1H−1,2,4−トリアゾール、ベンゾトリアゾール、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール、1−ジヒドロキシプロピルベンゾトリアゾール、2,3−ジカルボキシプロピルベンゾトリアゾール、4−ヒドロキシベンゾトリアゾール、4−カルボキシル−1H−ベンゾトリアゾール、4−メトキシカルボニル−1H−ベンゾトリアゾール、4−ブトキシカルボニル−1H−ベンゾトリアゾール、4−オクチルオキシカルボニル−1H−ベンゾトリアゾール、5−ヘキシルベンゾトリアゾール、N−(1,2,3−ベンゾトリアゾリル−1−メチル)−N−(1,2,4−トリアゾリル−1−メチル)−2−エチルヘキシルアミン、トリルトリアゾール、ナフトトリアゾール、ビス[(1−ベンゾトリアゾリル)メチル]ホスホン酸等のアゾール;
ノニルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、トリアジンチオール、トリアジンジチオール、トリアジントリチオール等のメルカプタン、
その他、テトラゾール、キナルジン酸などが挙げられる。
これらの中でも、キトサン、エチレンジアミンテトラ酢酸、キュペラゾン、トリアジンジチオール、ベンゾトリアゾール、4−ヒドロキシベンゾトリアゾール、4−メトキシカルボニル−1H−ベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、ナフトトリアゾールが高いCMP速度と低いエッチング速度を両立する上で好ましい。
これら添加剤の添加量は、研磨に使用する際の研磨液の1L中、0.0001mol〜0.5molとすることが好ましく0.001mol〜0.2molとすることがより好ましく、0.005mol〜0.1molとすることが特に好ましい。即ち、添加剤の添加量は、エッチング抑制の点から0.0001mol以上が好ましく、CMP速度低下防止の点から0.5mol以下が好ましい。
(界面活性剤及び/又は親水性ポリマー)
本発明の研磨液は、界面活性剤及び/又は親水性ポリマーを含有することが好ましい。
界面活性剤と親水性ポリマーは、いずれも被研磨面の接触角を低下させる作用を有して、均一な研磨を促す作用を有する。用いられる界面活性剤及び/又は親水性ポリマーとしては、以下の群から選ばれたものが好適である。
陰イオン界面活性剤として、カルボン酸塩、スルホン酸塩、硫酸エステル塩、リン酸エステル塩が挙げられ、カルボン酸塩として、石鹸、N−アシルアミノ酸塩、ポリオキシエチレン又はポリオキシプロピレンアルキルエーテルカルボン酸塩、アシル化ペプチド;スルホン酸塩として、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼン及びアルキルナフタレンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩、スルホコハク酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、N−アシルスルホン酸塩;硫酸エステル塩として、硫酸化油、アルキル硫酸塩、アルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレン又はポリオキシプロピレンアルキルアリルエーテル硫酸塩、アルキルアミド硫酸塩;リン酸エステル塩として、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレン又はポリオキシプロピレンアルキルアリルエーテルリン酸塩を挙げることができる。
陽イオン界面活性剤として、脂肪族アミン塩、脂肪族4級アンモニウム塩、塩化ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩;両性界面活性剤として、カルボキシベタイン型、アミノカルボン酸塩、イミダゾリニウムベタイン、レシチン、アルキルアミンオキサイドを挙げることができる。
非イオン界面活性剤として、エーテル型、エーテルエステル型、エステル型、含窒素型が挙げられ、エーテル型として、ポリオキシエチレンアルキル及びアルキルフェニルエーテル、アルキルアリルホルムアルデヒド縮合ポリオキシエチレンエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテルが挙げられ、エーテルエステル型として、グリセリンエステルのポリオキシエチレンエーテル、ソルビタンエステルのポリオキシエチレンエーテル、ソルビトールエステルのポリオキシエチレンエーテル、エステル型として、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、グリセリンエステル、ポリグリセリンエステル、ソルビタンエステル、プロピレングリコールエステル、ショ糖エステル、含窒素型として、脂肪酸アルカノールアミド、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、ポリオキシエチレンアルキルアミド等が例示される。
また、フッ素系界面活性剤などが挙げられる。
さらに、その他の界面活性剤、親水性化合物、親水性ポリマー等としては、グリセリンエステル、ソルビタンエステル、メトキシ酢酸、エトキシ酢酸、3−エトキシプロピオン酸及びアラニンエチルエステル等のエステル;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリエチレングリコールアルキルエーテル、ポリエチレングリコールアルケニルエーテル、アルキルポリエチレングリコール、アルキルポリエチレングリコールアルキルエーテル、アルキルポリエチレングリコールアルケニルエーテル、アルケニルポリエチレングリコール、アルケニルポリエチレングリコールアルキルエーテル、アルケニルポリエチレングリコールアルケニルエーテル、ポリプロピレングリコールアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールアルケニルエーテル、アルキルポリプロピレングリコール、アルキルポリプロピレングリコールアルキルエーテル、アルキルポリプロピレングリコールアルケニルエーテル、アルケニルポリプロピレングリコール、アルケニルポリプロピレングリコールアルキルエーテル及びアルケニルポリプロピレングリコールアルケニルエーテル等のエーテル;アルギン酸、ペクチン酸、カルボキシメチルセルロース、カードラン及びプルラン等の多糖類;グリシンアンモニウム塩及びグリシンナトリウム塩等のアミノ酸塩;ポリアスパラギン酸、ポリグルタミン酸、ポリリシン、ポリリンゴ酸、
ポリメタクリル酸、ポリメタクリル酸アンモニウム塩、ポリメタクリル酸ナトリウム塩、ポリアミド酸、ポリマレイン酸、ポリイタコン酸、ポリフマル酸、ポリ(p−スチレンカルボン酸)、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、アミノポリアクリルアミド、ポリアクリル酸アンモニウム塩、ポリアクリル酸ナトリウム塩、ポリアミド酸、ポリアミド酸アンモニウム塩、ポリアミド酸ナトリウム塩及びポリグリオキシル酸等のポリカルボン酸及びその塩;ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン及びポリアクロレイン等のビニル系ポリマー;メチルタウリン酸アンモニウム塩、メチルタウリン酸ナトリウム塩、硫酸メチルナトリウム塩、硫酸エチルアンモニウム塩、硫酸ブチルアンモニウム塩、ビニルスルホン酸ナトリウム塩、1−アリルスルホン酸ナトリウム塩、2−アリルスルホン酸ナトリウム塩、メトキシメチルスルホン酸ナトリウム塩、エトキシメチルスルホン酸アンモニウム塩、3−エトキシプロピルスルホン酸ナトリウム塩、メトキシメチルスルホン酸ナトリウム塩、エトキシメチルスルホン酸アンモニウム塩、3−エトキシプロピルスルホン酸ナトリウム塩及びスルホコハク酸ナトリウム塩等のスルホン酸及びその塩;プロピオンアミド、アクリルアミド、メチル尿素、ニコチンアミド、コハク酸アミド及びスルファニルアミド等のアミド等が挙げられる。
ただし、適用する基体が半導体集積回路用シリコン基板などの場合はアルカリ金属、アルカリ土類金属、ハロゲン化物等による汚染は望ましくないため、酸若しくはそのアンモニウム塩が望ましい。基体がガラス基板等である場合はその限りではない。上記例示化合物の中でもポリアクリル酸アンモニウム塩、ポリビニルアルコール、コハク酸アミド、ポロビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマーがより好ましい。
界面活性剤及び/又は親水性ポリマーの添加量は、総量として、研磨に使用する際の研磨液の1L中、0.001〜10gとすることが好ましく、0.01〜5gとすることがより好ましく0.1〜3gとすることが特に好ましい。即ち、界面活性剤及び/又は親水性ポリマーの添加量は、充分な効果を得る上で、0.001g以上が好ましく、CMP速度の低下防止の点から10g以下が好ましい。
また、これらの界面活性剤及び/又は親水性ポリマーの重量平均分子量としては、500〜100,000が好ましく、特には2,000〜50,000が好ましい。
(アルカリ剤及び緩衝剤)
本発明の研磨液は、必要に応じて、pH調整のためにアルカリ剤、更にはpHの変動抑制の点から緩衝剤を含有することができる。
アルカリ剤及び緩衝剤としては、水酸化アンモニウム及びテトラメチルアンモニウムハイドロキサイドなどの有機水酸化アンモニウム、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミンなどのようなアルカノールアミン類などの非金属アルカリ剤、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなどのアルカリ金属水酸化物、炭酸塩、リン酸塩、ホウ酸塩、四ホウ酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩、グリシル塩、N,N−ジメチルグリシン塩、ロイシン塩、ノルロイシン塩、グアニン塩、3,4−ジヒドロキシフェニルアラニン塩、アラニン塩、アミノ酪酸塩、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール塩、バリン塩、プロリン塩、トリスヒドロキシアミノメタン塩、リシン塩などを用いることができる。
アルカリ剤及び緩衝剤の具体例としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸三カリウム、リン酸二ナトリウム、リン酸二カリウム、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、四ホウ酸ナトリウム(ホウ砂)、四ホウ酸カリウム、o−ヒドロキシ安息香酸ナトリウム(サリチル酸ナトリウム)、o−ヒドロキシ安息香酸カリウム、5−スルホ−2−ヒドロキシ安息香酸ナトリウム(5−スルホサリチル酸ナトリウム)、5−スルホ−2−ヒドロキシ安息香酸カリウム(5−スルホサリチル酸カリウム)、水酸化アンモニウムなどを挙げることができる。
その中でも、特に好ましいアルカリ剤としては、水酸化アンモニウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム及びテトラメチルアンモニウムハイドロキサイドである。
アルカリ剤及び緩衝剤の添加量としては、pHが好ましい範囲に維持される量であればよく、研磨に使用する際の研磨液の1L中、0.0001mol〜1.0molとすることが好ましく、0.003mol〜0.5molとすることがより好ましい。
本発明の研磨液のpHは2〜8が好ましく、より好ましくはpH3〜7、さらに好ましくはpH4〜7である。この範囲において本発明の金属液は特に優れた効果を発揮する。
本発明においては、研磨面への吸着性や反応性、研磨金属の溶解性、被研磨面の電気化学的性質、化合物官能基の解離状態、液としての安定性などにより、適時化合物種、添加量やpHを設定することが好ましい。
<化学機械的研磨方法>
本発明の化学機械的研磨方法(以下、「CMP方法」又は「研磨方法」ともいう。)本発明の水系研磨液の存在下に、被研磨面と研磨面とを接触させながら相対運動させて研磨する工程(以下、「研磨工程」ともいう。)を含むことを特徴とする。
本発明の化学機械的研磨方法は、3つ以上の窒素原子を有する5員環単環化合物または該化合物に複素環が縮合した化合物(化合物A)及び、ベンゼン環及びヒドロキシ基を含有する化合物Bを含有する本発明の水系研磨液を用いることにより、CMPにおいて研磨速度に優れ、スクラッチやディッシングが軽減される。
(配線金属原材料)
本発明においては、研磨する対象は、例えばLSI等の半導体における配線であり、好ましくは金属配線、より好ましくは銅金属及び/又は銅合金からなる配線、特には銅合金からなる配線が好ましい。更には、銅合金の中でも銀を含有する銅合金が好ましい。銅合金に含有される銀含量は、40重量%以下が好ましく、特には10重量%以下、さらには1重量%以下が好ましく、0.00001〜0.1重量%の範囲である銅合金において最も優れた効果を発揮する。なお、前記のように本発明の水系研磨液は、LSI等の半導体における金属配線の研磨に好適に用いることができる研磨液であるが、該金属配線の研磨に付随して酸や砥粒等の効果により、シリコン基板や酸化シリコン、窒化シリコン、樹脂等を一部研磨するものであってもよいことは言うまでもない。
(配線の太さ)
本発明においては、研磨する対象である半導体が、例えば、DRAMデバイス系ではハーフピッチで0.15μm以下の配線を持つLSIであることが好ましく、0.10μm以下であることがより好ましく、0.08μm以下であることがさらに好ましい。一方、MPUデバイス系では0.12μm以下の配線を持つLSIであることが好ましく、0.09μm以下であることがより好ましく、0.07μm以下であることがさらに好ましい。
これらのLSIに対して、本発明の研磨液は特に優れた効果を発揮する。
(平均相対速度)
本発明において、研磨パッドの研磨面と被研磨面との平均相対運動速度(平均相対速度)は、被研磨面の中心を通る直線の、半径方向の相対運動速度の平均値とする。
例えば、被研磨面及び研磨面が共に回転体であるとき、それぞれの回転中心間の距離を中心間距離Lとする。この中心間を結ぶ線上における、被研磨面の相対運動速度を求めて平均相対速度とする。
図1は、平均相対速度を説明するための研磨面と被研磨面を含む回転式研磨面の平面図である。
図1において、被研磨面中心Bと研磨面中心Oとの距離をL(m)、研磨面の半径をRp(m)、被研磨面の半径をRw(m)とし、研磨面の角速度をωp(rad/s)、被研磨面の角速度をωw(rad/s)とする。Rp>RwのときのA点、B点、C点の各点における相対運動速度Va、Vb、Vcは下記の式で表される。
A:Va=(L−Rw)*ωp+Rw*ωw
B:Vb=L*ωp
C:Vc=(L+Rw)*ωp−Rw*ωw
上記の要領で、被研磨面の半径方向A−Cの速度分布を求め、それらの和を測定点数で除した平均値を平均相対運動速度として求める。
本発明において、平均相対速度は、0.5〜5.0m/sであることが好ましく、1.0〜3.5m/sであることがより好ましく、1.5〜3.0m/sであることが特に好ましい。
(接触圧力)
本発明において、研磨面と被研磨面との接触部分にかかる力を、その接触面積で除した値を接触圧力とする。例えば、径がφ200mmの被研磨面全面をφ600mmの研磨面に400Nの力で押し付けた場合は、接触面積は(0.1)2π=3.14・10-22であるので、接触圧力は400/(3.14・10-2)=12,732Paである。
本発明のCMP方法に適用される接触圧力は、1,000〜25,000Paであることが好ましく、2,000〜17,500Paであることがより好ましく、3,500〜14,000Paであることがさらに好ましい。
(研磨装置)
本発明の研磨液を用いることができる装置としては、特に限定されないが、例えば、Mirra Mesa CMP、Reflexion CMP(アプライドマテリアルズ社製)、FREX200、FREX300((株)荏原製作所製)、NPS3301、NPS2301(ニコン社製)、A−FP−310A、A−FP−210A(東京精密(株)製)、2300TERES(ラムリサーチ社製)、Momentum(SpeedFam−IPEC社製)を好ましい例として挙げることができる。
(研磨条件、その他)
本発明のCMP方法について、さらに説明する。
本発明の研磨工程において、研磨している間、研磨パッドには研磨液をポンプ等で連続的に供給することが好ましい。この供給量に制限はないが、研磨パッドの表面が常に研磨液で覆われていることが好ましい。研磨終了後の半導体基板は、流水中で良く洗浄した後、スピンドライヤ等を用いて半導体基板上に付着した水滴を払い落としてから乾燥させることが好ましい。
本発明の研磨方法では、希釈する水溶液は、次に述べる水溶液と同じである。
水溶液は、予め金属の酸化剤、酸化金属溶解剤、保護膜形成剤、界面活性剤のうち少なくとも1つ以上を含有した水で、水溶液中に含有した成分と希釈される研磨液の成分を合計した成分が、研磨液を使用して研磨する際の成分となるようにする。水溶液で希釈して使用する場合は、溶解しにくい成分を水溶液の形で配合することができ、より研磨液を濃縮することができる。
濃縮された研磨液に水又は水溶液を加え希釈する方法としては、例えば、濃縮された研磨液を供給する配管と水又は水溶液を供給する配管を途中で合流させて混合し、混合し希釈された研磨液を研磨パッドに供給する方法がある。混合は、例えば、圧力を付した状態で狭い通路を通して液同士を衝突混合する方法、配管中にガラス管などの充填物を詰め液体の流れを分流分離、合流させることを繰り返し行う方法、配管中に動力で回転する羽根を設ける方法など通常に行われている方法を採用することができる。
研磨液の供給速度は10〜1,000ml/minであることが好ましく、50〜500ml/minであることがより好ましい。
また、濃縮された研磨液に水又は水溶液を加え希釈し、研磨する方法としては、例えば、研磨液を供給する配管と水又は水溶液を供給する配管を独立に設け、それぞれから所定量の液を研磨パッドに供給し、研磨パッドと被研磨面の相対運動で混合する方法を用いることができる。さらに別の濃縮された研磨液の希釈方法としては、1つの容器に、所定量の濃縮された研磨液と水又は水溶液を入れ混合してから、研磨パッドにその混合した研磨液を供給する方法がある。
本発明の別の研磨方法は、研磨液が含有するべき構成成分を少なくとも2群の構成成分に分けて、それらを使用する際に、水又は水溶液を加え希釈して研磨定盤上の研磨パッドに供給し、被研磨面と接触させて被研磨面と研磨パッドを相対運動させて研磨する方法である。例えば、金属の酸化剤を1つの構成成分(A)とし、酸、添加剤、界面活性剤及び水を1つの構成成分(B)とし、それらを使用する際に水または水溶液で構成成分(A)と構成成分(B)を希釈して使用する。
また、溶解度の低い添加剤成分を2つの構成成分(A)と(B)に分け、酸化剤、添加剤及び界面活性剤を1つの構成成分(A)とし、酸、添加剤、界面活性剤及び水を1つの構成成分(B)とし、それらを使用する際に水または水溶液を加え構成成分(A)と構成成分(B)を希釈して使用する。この例の場合、構成成分(A)と構成成分(B)と水または水溶液をそれぞれ供給する3つの配管が必要であり、希釈混合は、3つの配管を研磨パッドに供給する1つの配管に結合してその配管内で混合する方法や、2つの配管を結合してから他の1つの配管を結合する方法が用いられる。
例えば、溶解しにくい添加剤を含む構成成分と他の構成成分を混合し、混合経路を長くして溶解時間を確保してから、さらに水又は水溶液の配管を結合する方法である。その他の混合方法は、例えば、上記したように直接に3つの配管をそれぞれ研磨パッドに導き、研磨パッドと被研磨面の相対運動により混合する方法、1つの容器に3つの構成成分を混合して、そこから研磨パッドに希釈された研磨液を供給する方法が挙げられる。上記した研磨方法において、金属の酸化剤を含む1つの構成成分を40℃以下にし、他の構成成分を室温から100℃の範囲に加温し、且つ1つの構成成分と他の構成成分又は水若しくは水溶液を加え希釈して使用する際に、混合した後に40℃以下とするようにすることもできる。温度が高いと溶解度が高くなるため、研磨液における溶解度の低い原料の溶解度を上げるために好ましい方法である。
酸化剤を含まない他の成分を室温から100℃の範囲で加温して溶解させた原料は、温度が下がると溶液中に析出するため、温度が低下したその成分を用いる場合は、予め加温して析出したものを溶解させる必要がある。これには、加温し溶解した構成成分液を送液する手段と、析出物を含む液を撹拌しておき、送液し配管を加温して溶解させる手段を採用することができる。加温した成分が金属の酸化剤を含む1つの構成成分の温度を40℃以上に高めると金属の酸化剤が分解してくる恐れがあるので、加温した構成成分とこの加温した構成成分を冷却する金属の酸化剤を含む1つの構成成分で混合した場合、40℃以下となるようにする。
また本発明においては、研磨液の成分を二分割以上に分割して、研磨面に供給してもよい。この場合、酸化物を含む成分と酸を含有する成分とに分割して供給する事が好ましい。また、研磨液を濃縮液とし、希釈水を別にして研磨面に供給してもよい。
(バリア金属)
本発明においては、半導体が銅金属及び/又は銅合金からなる配線を用いている場合、配線と層間絶縁膜との間に、銅の拡散を防ぐためのバリア層を設けることが好ましい。バリア層としては低電気抵抗のメタル材料が好ましく、TiN、TiW、Ta、TaN、W、WN、Ruがより好ましく、Ta、TaN、Ruが特に好ましい。
層間絶縁膜としては、低誘電率の絶縁性物質の薄膜が好ましく、好適な絶縁性物質としては比誘電率が3.0以下である物質であり、より好ましくは2.8以下の物質である。好ましい低誘電率物質として具体的には、BlackDiamond(アプライドマテリアルズ社製)、FLARE(Honeywell Electronic Materials社製)、SILK(Dow Chemical社製)、CORAL(Novellus System社製)、LKD(JSR(株)製)及びHSG(日立化成工業(株)製)を挙げることができる。
(パッド)
本発明に用いられる研磨用のパッドは、大きくは無発泡構造パッドでも発泡構造パッドでもよい。前者はプラスチック板のように硬質の合成樹脂バルク材をパッドに用いるものである。また、後者は更に独立発泡体(乾式発泡系)、連続発泡体(湿式発泡系)、2層複合体(積層系)の3つがあり、特には2層複合体(積層系)が好ましい。発泡は、均一でも不均一でもよい。
更に研磨に用いる砥粒(例えば、セリア、シリカ、アルミナ、樹脂など)を含有したものでもよい。また、それぞれに硬さは軟質のものと硬質のものがあり、どちらでもよく、積層系ではそれぞれの層に異なる硬さのものを用いることが好ましい。材質としては不織布、人工皮革、ポリアミド、ポリウレタン、ポリエステル、ポリカーボネート等が好ましい。また、研磨面と接触する面には、格子溝/穴/同心溝/らせん状溝などの加工を施してもよい。
(ウェハ)
本発明の研磨液を用いてCMPを行うウェハは、径が200mm以上であることが好ましく、特には300mm以上が好ましい。300mm以上である時に顕著に本発明の効果を発揮する。
(研磨性の評価)
本発明を適用し、研磨後の研磨対象物表面のダメージを評価する方法としては、表面を目視で確認する方法のほか、より拡大して観察できる金属顕微鏡、さらに拡大して観察できる電子顕微鏡などが挙げられる。また、研磨対象物表面をレーザーで走査することで、欠陥のサイズや個数を数値化できる装置などもある。
ICなどのように、高度に細密化された構造を持つような素子では、主に画像認識を用いて、欠陥のサイズ、座標、個数を数値化し、工程管理や開発に利用することで、製造の歩留まり向上に利用している。
他に、研磨面を何層にも積層するような素子や膜を製造する場合には、断面部分を金属顕微鏡やSEMにより観察することでも研磨面のダメージを確認することができる。
研磨面に発生する、研磨による傷のことをスクラッチと呼ぶが、これは、目視により確認できるものから、前述のSEMを利用しないと確認できないものまで、大きさは様々である。
スクラッチ発生によって、ICのような素子が受ける影響としては、たとえば、配線上のスクラッチは、配線接続部の抵抗が上昇し、素子の寿命が短くなったり、素子として機能しないなどの不具合が挙げられる。また、配線上、又は絶縁膜上に発生したスクラッチによって、研磨面の洗浄性が損なわれ、研磨残渣がスクラッチ部に残ったり、本来研磨すべきものが研磨しきれないなどの課題が発生し、リーク電流発生の原因となり、素子が動作しないなどの不具合も引き起こす。
積層構造の素子で、絶縁膜を積層する場合には、研磨面の絶縁膜上のスクラッチが原因で、上部の積層膜の密着性が損なわれ、膜自体の引っ張りあるいは圧縮応力によってデラミネーション(膜はがれ)が発生し、素子が動作しないなどの不具合が挙げられる。
絶縁膜上のスクラッチは、配線間容量を変化するので、高周波で動作する素子のインピーダンス上昇に影響を及ぼし、周波数特性が悪くなり、動作しない素子となる不具合も引き起こす。
以下、実施例により本発明を説明する。本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
<実施例1〜4及び比較例1〜5>
下記に示す研磨液を調製し、研磨試験を行い、評価した。
(研磨液の調製)
コロイダルシリカ(平均粒子径30nm) 5g/L
化合物A 50mg/L
化合物B 50mg/L
グリシン 10g/L
過酸化水素(酸化剤) 15g/L
上記成分を純水に添加し、研磨液の全量が1,000mLとなるよう調製した。なお、研磨液は、アンモニア水を用いてpHを6.8に調整した。
(研磨)
研磨装置としてラップマスター社製装置「LGP−613」を使用し、下記の条件で、スラリーを供給しながら各ウェハに設けられた膜を研磨し、その時の研磨速度を算出した。
基板:8inch銅膜付きシリコンウェハ
テ−ブル回転数:50rpm
ヘッド回転数:50rpm
研磨圧力:168hPa
研磨パッド:ロデール・ニッタ株式会社製 品番IC-1400
スラリー供給速度:200ml/分
尚、基板上には、SEMATECH パターン754に従い、銅線が配線されている。
(研磨速度)
研磨速度の測定は、研磨前後の電気抵抗から膜厚を換算した。具体的には、
研磨速度(nm/分)
=(研磨前の銅膜の厚さ−研磨後の銅膜の厚さ)/研磨時間
で測定した。
(ディッシングの評価)
触針式の段差測定計を用い、100μm/100μmのライン/スペース(L/S)での段差を測定した。
(スクラッチの測定)
スクラッチの測定はKLA−Tencor社製サーフスキャンSP1およびアプライドマテリアルズ社製SEM Visionを用いてウェハ当たりのスクラッチ数をカウントした。
Figure 2007088284
平均相対速度を説明するための研磨面と被研磨面を含む回転式研磨面の平面図である。

Claims (3)

  1. 3つ以上の窒素原子を有する5員環単環化合物又は該化合物に複素環が縮合した化合物及び、
    ベンゼン環及びヒドロキシ基を含有する化合物Bを含有することを特徴とする
    水系研磨液。
  2. 酸化剤を含む請求項1に記載の水系研磨液。
  3. 請求項1又は2に記載の水系研磨液の存在下に、被研磨面と研磨面とを接触させながら相対運動させて研磨する工程を含むことを特徴とする
    化学機械的研磨方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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