JP5145364B2 - ホイップクリームの製造方法 - Google Patents
ホイップクリームの製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP5145364B2 JP5145364B2 JP2010015890A JP2010015890A JP5145364B2 JP 5145364 B2 JP5145364 B2 JP 5145364B2 JP 2010015890 A JP2010015890 A JP 2010015890A JP 2010015890 A JP2010015890 A JP 2010015890A JP 5145364 B2 JP5145364 B2 JP 5145364B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- whipped cream
- test
- raw material
- flavor
- mass
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Landscapes
- Grain Derivatives (AREA)
- Edible Oils And Fats (AREA)
Description
しかし、ホイップクリームをデコレーションしたデザートを工業的に製造して製品化し、店頭のショーケースに陳列する場合などにおいて、ショーケースの照明からの光によりホイップクリームの風味が劣化するという問題があった。
しかし、従来のホイップクリームは、ショーケースの照明からの光に対する耐性が低いため、軽い食感を有するホイップクリームをデコレーションしたデザートとしては、賞味期限が当日〜3日程度と短い製品が多く、広域配送には不向きであった。
しかしながら、特許文献1〜3に記載の方法では、長期間の賞味期限を有するためには酸化防止の効果が必ずしも十分ではなく、さらなる光耐性が必要であった。
また、上述したように、ホイップクリームをデコレーションしたデザートを広域配送する場合には、7日以上の賞味期限を持たせる必要があるとされている。
しかし、前記一般的なクリームをホイップしたホイップクリームを長期間保存すると、保存中にひび割れ、ダレ、水分の分離による離水などの問題が生じ、気泡維持が難しくなり、デコレーション時の保型性を維持するのが困難となる場合があった。
しかし、保型性を高める物質を配合すると、ホイップクリームの製造に一般的に用いられる増粘多糖類を添加した場合、商品特性上、長期間の保型性に必要となる高いオーバーラン(空気の巻き込み)を確保できないという欠点があった。
[1](1)トコフェロール、(2)チャ抽出物、(3)酵素処理ルチン抽出物、没食子酸、ローズマリー抽出物からなる群より選ばれる1種以上、および(4)ゼラチンを含む安定剤水溶液と、油脂を含み、前記(1)〜(4)を含まない原料液とを別々に殺菌する殺菌工程と、殺菌された原料液をホイップするホイップ工程と、ホイップされた原料液と殺菌された安定剤水溶液とを混合する混合工程とを有するホイップクリームの製造方法。
[2]前記安定剤水溶液が、水あめと、寒天および/または発酵セルロースとをさらに含む[1]に記載のホイップクリームの製造方法。
また、本発明のホイップクリームの製造方法によれば、長期間にわたって光照射による風味劣化を抑制できるホイップクリームを工業的に連続製造することが可能である。
本発明のホイップクリームの製品形態としては、ホイップクリーム単独のみならず、プリンやゼリーなどのデザートにトッピングしたものも含む。
なお、本明細書で「クリーム」とは、食品衛生法の乳及び乳製品の成分規格等に関する省令でいう「クリーム」に限定されず、所謂コンパウンドクリーム(乳脂肪以外の脂肪を含む)及びノンデイリークリーム(乳脂肪を含まない)を含めて「クリーム」という。
油脂としては、動物性、植物性のいずれでもよい。また、生乳、牛乳等の乳由来の乳脂肪のみを用いたクリームや、合成クリーム(乳脂肪以外の脂肪を用いて脱脂乳等のたん白質原料や乳化剤、香料等を混合して得られるもの)、これらを混合した混合クリームなどを使用してもよい。
本発明のホイップクリームは、トコフェロールおよびチャ抽出物を必須成分とし、さらに酵素処理ルチン抽出物、没食子酸、ローズマリー抽出物からなる群より選ばれる1種以上を含有するので、長期間にわたって酸化による風味劣化防止の効果を維持でき、光照射による風味劣化を抑制できる。
トコフェロールの含有量は、ホイップクリーム100質量%中、0.005〜0.10質量%が好ましく、0.01〜0.05質量%がより好ましい。トコフェロールの含有量が0.005質量%以上であれば酸化による風味劣化防止の効果が十分に得られ、0.10質量%以下であればホイップクリームの風味を良好に維持できる。
チャ抽出物の含有量は、ホイップクリーム100質量%中、0.0001〜0.08質量%が好ましく、0.0005〜0.03質量%がより好ましい。チャ抽出物の含有量が0.0001質量%以上であれば酸化による風味劣化防止の効果が十分に得られ、0.08質量%以下であればホイップクリームの風味を良好に維持できる。
酵素処理ルチン抽出物の含有量は、0.003〜0.10質量%が好ましく、0.004〜0.05質量%がより好ましい。酵素処理ルチン抽出物の含有量が0.003質量%以上であれば酸化による風味劣化防止の効果が十分に得られ、0.10質量%以下であればホイップクリームの風味や色調を良好に維持できる。
没食子酸の含有量は、0.0001〜0.05質量%が好ましく、0.0005〜0.01質量%がより好ましい。没食子酸の含有量が0.0001質量%以上であれば酸化による風味劣化防止の効果が十分に得られ、0.05質量%以下であればホイップクリームの風味を良好に維持できる。
ローズマリー抽出物の含有量は、0.001〜0.10質量%が好ましく、0.005〜0.05質量%がより好ましい。ローズマリー抽出物の含有量が0.001質量%以上であれば酸化による風味劣化防止の効果が十分に得られ、0.10質量%以下であればホイップクリームの風味や色調を良好に維持できる。
他の酸化防止剤としては、例えばザクロ抽出物、エンジュ抽出物、生コーヒー豆抽出物、米ぬか抽出物、ヤマモモ抽出物、アントシアニン、タンニン、クロロゲン酸、カロチノイドなどが挙げられる。
ゼラチンの含有量は、ホイップクリーム100質量%中、0.3〜1.0質量%であり、0.4〜0.7質量%が好ましい。ゼラチンの含有量が0.3質量%以上であれば酸化による風味劣化防止の効果および保型性付与効果が十分に得られ、1.0質量%以下であればホイップクリームの食感が重くなるのを抑制できる。
なお、ゼラチン、水あめ、寒天、発酵セルロースは、後述する他の保型性を高める物質に比べてホイップクリームの風味や食感に影響を与えにくく、汎用的に使用できる。
水あめの含有量は、例えば液体水あめ(糖度:Bx75%)を用いる場合、ホイップクリーム100質量%中、0.3〜1.5質量%が好ましく、0.6〜1.2質量%がより好ましい。水あめの含有量が0.3質量%以上であれば十分な保型性の向上効果が得られ、1.5質量%以下であればホイップクリームの風味や食感を良好に維持できる。
寒天の含有量は、例えば低ゼリー強度寒天を用いる場合、ホイップクリーム100質量%中、0.05〜2.0質量%が好ましく、0.1〜1.0質量%がより好ましい。寒天の含有量が0.05質量%以上であれば十分な保型性の向上効果が得られ、2.0質量%以下であればホイップクリームの風味や食感を良好に維持できる。なお、通常の寒天を用いる場合には、含有量が0.05質量%以下になるのが望ましい。
発酵セルロースの含有量は、ホイップクリーム100質量%中、0.01〜1.0質量%が好ましく、0.02〜0.5質量%がより好ましい。発酵セルロースの含有量が0.01質量%以上であれば十分な保型性の向上効果が得られ、1.0質量%以下であればホイップクリームの風味や食感を良好に維持できる。
他の保型性を高める物質としては、例えばペクチン、ローカストビーンガム、カラギナン、アラビアガム、キサンタンガム、タマリンドガム、微結晶セルロースなどが挙げられる。
別途、水と、上述したトコフェロールと、チャ抽出物と、酵素処理ルチン抽出物、没食子酸、ローズマリー抽出物からなる群より選ばれる1種以上と、ゼラチンとを混合して溶解し、安定剤水溶液を調製する。安定剤水溶液には、水あめと、寒天および/または発酵セルロースとを添加するのが好ましい。さらに、必要に応じて他の酸化防止剤や保型性を高める物質、でん粉、糖類、香料、着色料、リキュールなどを添加してもよい。
従って、風味や物性に影響を与えにくい適度なpHのホイップクリームを得るためには、安定剤水溶液のpHを5.0〜7.0程度に調整するのが好ましい。pHを調整する際は、ナトリウム塩などを用いればよい。安定剤水溶液のpHが上記範囲内であれば、詳しくは後述するが、安定剤水溶液と原料液とを混合した際に、物性や風味に影響を与えにくい。
原料液を殺菌する方法としては、プレート式殺菌機、インジェクション式殺菌機、インフュージョン式殺菌機など、いずれの方法を用いてもよい。
原料液の殺菌条件は、殺菌温度130〜140℃、殺菌時間(保持時間)2〜4秒が好ましい。ここで殺菌温度130〜140℃とは、殺菌機の加熱部において最も高温な部分の温度のことである。殺菌温度が低い場合や保持時間が短い場合は、殺菌効果が不十分となる場合がある。一方、殺菌温度が高い場合や保持時間が長い場合は、ホイップクリームの風味や色調が変化することが懸念される。
原料液の均質化は、2段式圧力ホモジナイザー(APV社製、三丸機械工業社製等)を用い、均質圧力が1段目と2段目の合計として2〜8MPaになるように行うのが好ましい。均質圧力が2MPa以上であれば原料液中の脂肪成分の浮上や凝集を抑制でき、8MPa以下であれば良好なホイップ性が得られると共に、ホイップクリームの風味が変化しにくい。
原料液の冷却は、公知の冷却機を用いればよい。原料液を冷却する際は、原料液を3〜8℃程度まで冷却するのが好ましい。
原料液のエージングは、冷却した状態で11時間以上静置する。エージングは、調製された原料液の物性や風味を安定化する目的がある。エージング時間が短いと、原料液の物性や風味に影響がでることが懸念される。
原料液のホイップは、公知のホイッパーを用いればよい。
安定剤水溶液の殺菌条件は、殺菌温度90〜140℃、殺菌時間(保持時間)2〜300秒が好ましい。ここで殺菌温度90〜140℃とは、殺菌機の加熱部において最も高温な部分の温度のことである。殺菌温度が低い場合や保持時間が短い場合は、殺菌効果が不十分となる場合がある。一方、殺菌温度が高い場合や保持時間が長い場合は、ホイップクリームの風味や色調が変化することが懸念される。
殺菌された安定剤水溶液は、40〜50℃程度まで冷却される。
原料液と安定剤水溶液の混合は、公知の混合機を用いればよい。
また、原料液と安定剤水溶液の混合割合は、各液に含まれる成分のホイップクリーム中の含有量が上記範囲内になるように調整すればよい。
従って、本発明によれば、ホイップクリーム、またはホイップクリームをデコレーションしたデザートなどにおいて、店頭のショーケースの照明による風味劣化を抑制できるので、長期間の賞味期限を有するデザートを提供できる。
なお、原料液をホイップする前に安定剤水溶液を混合すると、安定剤水溶液に含まれるゼラチンが固化してホイップを阻害する傾向にあり、高いオーバーランが得られにくくなることがある。また、ホイップすることで固化したゼラチンが崩れやすくなり、保型性を維持する効果が発揮されにくくなることがある。従って、高いオーバーランを確保し、かつ保型性を維持するには、殺菌された原料液をホイップした後に、これと殺菌された安定剤水溶液とを混合するのが好ましい。
以下の各例において、「%」は特に記載のない限りは「質量%」である。また、表1、2、5、8、13におけるカッコ内の数値は、ホイップクリームにしたときのホイップクリーム100質量%中の各成分の含有量である。
(1)目的
この試験は、酸化防止剤の種類を検討する目的で実施した。
<試験No.1>
まず、表1の配合割合に従って各成分を混合して溶解し、原料液を調製した。ついで、この原料液を70℃に加温した後、冷却部とホモジナイザーを内蔵するプレート式UHT殺菌機(森永乳業社製、「MAU」)で、殺菌温度132℃、保持時間2秒の条件で殺菌した。ついで、冷却部にて80℃まで冷却した後、ホモジナイザーで1段目4.0MPa、2段目1.0MPaの条件で均質化した。その後、冷却部にて5℃まで冷却し、さらに5℃で12時間のエージングを行った。ついで、5℃の条件で卓上ホイッパー(森永乳業社製、「MOホイッパー」)を用いて、オーバーランの値が220%になるまでホイップした。
別途、表2の配合割合に従って各成分を混合して溶解し、安定剤水溶液を調製した。ついで、この安定剤水溶液を90℃に加温して殺菌し、その後、45℃に冷却した。
続いて、先にホイップした原料液と、殺菌して冷却した安定剤水溶液とを、原料液:安定剤水溶液の質量比が85:15になるように混合し、ホイップクリーム(試料)を得た。
表2の配合割合に従って安定剤水溶液を調製した以外は、試験No.1と同様にして試料を調製した。
植物油脂A(太陽油脂社製、「ヤシ油、パーム油」)、植物油脂B(花王社製、「パーム油」)、48%乳脂肪クリーム(森永乳業社製、「クリーム」)、脱脂粉乳(森永乳業社製、「脱脂粉乳」)、脱脂練乳(森永乳業社製、「脱脂練乳」)、乳たん白質(森永乳業社製、「TMP」)、加工澱粉(日本澱粉工業社製、「サナス」)、乳化剤A(坂本薬品社製、「SYグリスター」)、乳化剤B(三菱化学社製、「リョートーシュガーエステル」)、クエン酸ナトリウム(三栄源エフ・エフ・アイ社製、「精製クエン酸ナトリウム」)、タマリンドガム(三栄源エフ・エフ・アイ社製、「ビストップ」)、砂糖(双日食料社製、「グラニュー糖」)、スクラロース(三栄源エフ・エフ・アイ社製、「スクラロース」)、ゼラチン(新田ゼラチン社製、「ゼラチン」)、水あめ(双日食料社製、「シラップ低M」)、抽出トコフェロール(理研ビタミン社製、「理研E乳剤」)、チャ抽出物(太陽化学社製、「サンフェノン」)、酵素処理ルチン抽出物(三栄源エフ・エフ・アイ社製、「サンメリン」)、ローズマリー抽出物(三菱化学フーズ社製、「RMキーパー」)、没食子酸(岩手ケミカル社製、「没食子酸」)。
<オーバーランの測定>
オーバーランは下記一般式(1)より求めた。
オーバーラン(%)=(ホイップ後の体積−ホイップ前の体積)/ホイップ前の体積×100 ・・・(1)
(評価1:光照射前(10℃×12時間冷却後))
得られた各試料を透明プラスチックカップ(大日本印刷社製、「PPカップ」)に50g充填し、透明プラスチックフィルム(東洋アルミニウム社製、「PET蓋フィルムロール」)を被せ、ヒートシール装置(サニーパッケージ社製、「オートカップシーラー」)でシールし、冷蔵庫にて10℃で12時間冷却した。冷却後の各試料について、官能評価した。
官能評価は、順位法の検定表を用いる方法(「おいしさを測る−食品官能検査の実際−」、p28、古川秀子著、幸書房、1994年)に基づき、10人の味覚審査員に試料を試食させ、風味のよい順に試料に順位をつけさせ、各試料の順位合計を求め、各試料間の順位合計差の絶対値を求め、その数値から順位法の検定表から有意水準を判定した。結果を表3に示す。
評価1と同様にして、各試料を冷蔵庫にて10℃で12時間冷却した。
ついで、冷却後の各試料をショーケース(サンヨー電機社製、「SAR-360FLG」)に入れ、4000Lxの照度で7日間、試料の上から連続光照射した。
光照射後の各試料について、官能評価した。官能評価は評価1と同様である。結果を表4に示す。
評価1と同様にして、試験No.1と6の試料を冷蔵庫にて10℃で12時間冷却した。
ついで、冷却後の各試料をショーケースに入れ、4000Lxの照度で11日間および14日間、試料の上から連続光照射した。
光照射前と後の各試料について、光照射による風味劣化の指標物質であるヘキサナール(Hexanal)の濃度を液体クロマトグラフィー質量分析法(LCMS、Agilent Technologies社製、「SL」)にて測定し、そのピーク面積を求めた。その際の測定条件は、以下の通りである。また、これらの結果を図1に示す。
・移動相 A;30mM CH3COONH4
B;AcCN
A:B=20:80
・カラム SUPELCO Discovery HS C18
25cm×2.1mm、0.5um
・カラム流速 0.200ml/min
・カラム温度 40.0℃
・試料量 1.0μl
(b)検出器
・検出器 マススペクトロメータ
・イオン化モード API−ES
・極性 (−)
・検出モード SIM
<:記号の左が右より上位で統計的有意差がある。
≦:記号の左が右より上位であるが統計的な有意差はない。
また、図1より、ヘキサナールのピーク面積は、試験No.1の場合、照射前(照射日数0日)が1692633、11日間照射後が8555622、14日間照射後が10089052であったのに対し、試験No.6の場合、照射前(照射日数0日)が1966778、11日間照射後が5360231、14日間照射後が5931036であった。この結果より、光照射前の試料のヘキサナールのピーク面積は同程度であったが、光を照射すると試験No.6の試料のヘキサナールのピーク面積は試験No.1の試料の50%程度であった。すなわち、試験No.6は試験No.1よりも風味劣化を抑制するという、良好な結果が得られることが認められた。
(1)目的
この試験は、ゼラチンの含有量を検討する目的で実施した。
<試験No.7〜12>
表5の配合割合に従って安定剤水溶液を調製した以外は、試験No.1と同様にして試料を調製した。
なお、試験No.7〜12で用いた各成分は、試験No.1〜6と同じである。
試験例1と同様にして、得られた各試料について「風味評価(評価1、2)」を行った。評価1の結果を表6に、評価2の結果を表7にそれぞれ示す。
<:記号の左が右より上位で統計的有意差がある。
≦:記号の左が右より上位であるが統計的な有意差はない。
具体的には、ゼラチンの含有量が少ない試験No.7と8では、光照射によって酸化反応が進行し、風味劣化を感じやすかった。また、ゼラチンの含有量が試験No.11と12では、食感が重く感じられた。
(1)目的
この試験は、保型性を高める物質の種類を検討する目的で実施した。
<試験No.13〜19>
表8の配合割合に従って安定剤水溶液を調製した以外は、試験No.1と同様にして試料を調製した。
なお、試験No.13〜19で用いた各成分は、試験No.1〜6と同じである。また、寒天、発酵セルロース、および乾燥こんにゃく加工品は以下のものである。
寒天(三栄源エフ・エフ・アイ社製、「ウルトラ寒天イーナ」)、発酵セルロース(三栄源エフ・エフ・アイ社製、「サンアーティスト」)、乾燥こんにゃく加工品(三栄源エフ・エフ・アイ社製、「サンスマート」)。
<外観評価>
(評価3:冷却前(ホイップクリーム調製後))
得られた各試料について、外観を評価した。
外観の評価は、順位法の検定表を用いる方法(「おいしさを測る−食品官能検査の実際−」、p28、古川秀子著、幸書房、1994年)に基づき、10人の審査員に外観のよい順に試料に順位をつけさせ、各試料の順位合計を求め、各試料間の順位合計差の絶対値を求め、その数値から順位法の検定表から有意水準を判定した。結果を表9に示す。
評価1と同様にして、各試料を冷蔵庫にて10℃で冷却した。ただし、冷却時間は14日間とした。冷却後の各試料について、評価3と同様にして外観を評価した。結果を表10に示す。
<:記号の左が右より上位で統計的有意差がある。
≦:記号の左が右より上位であるが統計的な有意差はない。
以上より、ゼラチンに加え、水あめと、寒天および/または発酵セルロースとを含むホイップクリーム(試験No.17〜18)は、水あめ、寒天、発酵セルロースのいずれか1つを含むホイップクリーム(試験No.14〜16)や、水あめ、寒天、発酵セルロースを含まないホイップクリーム(試験No.13、19)よりも、保型性付与効果が高いといえる。特に、ゼラチンに加え、水あめと発酵セルロースとを含むホイップクリーム(試験No.18)は、ひび割れの数が最も少ないことが、視覚的に確認できた。
なお、試験No.19は、ゼラチンに加え、保型性を高める物質として汎用的に用いられる乾燥こんにゃく加工品を用いた例であるが、試験No.17〜18で得られたホイップクリームの方が保型性に優れることが分かった。
(1)目的
この試験は、ホイップクリームの製造方法を検討する目的で実施した。なお、試料としては、試験例3の試験No.18で調製した試料と、以下に示す試験No.20で調製した試料とを用いる。
<試験No.20>
表11の配合割合に従って各成分を混合して溶解し、混合溶液を調製した。ついで、この混合溶液を70℃に加温した後、冷却部とホモジナイザーを内蔵するプレート式UHT殺菌機(森永乳業社製、「MAU」)で、殺菌温度132℃、保持時間2秒の条件で殺菌した。ついで、冷却部にて80℃まで冷却した後、ホモジナイザーで1段目4.0MPa、2段目1.0MPaの条件で均質化した。その後、冷却部にて5℃まで冷却し、さらに5℃で12時間のエージングを行った。ついで、5℃の条件で卓上ホイッパー(森永乳業社製、「MOホイッパー」)を用いてホイップし、ホイップクリーム(試料)を得た。
なお、試験No.20で用いた各成分は、試験No.1〜6と同じである。また、発酵セルロースは以下のものである。
発酵セルロース(三栄源エフ・エフ・アイ社製、「サンアーティスト」)。
<オーバーランの測定>
試験例1と同様にして、オーバーランの測定を行った。結果を表12に示す。
なお、試験No.18で調製した試料については、オーバーランの値が220%になるのに要した時間を測定した。また、試験No.18は、原料液:安定剤水溶液=85:15の割合で混合するため、オーバーランの値の85%が、ホイップクリーム当たりのオーバーランの値となる。ホイップクリーム当たりのオーバーランの値をカッコ内に示す。
一方、試験No.20で調製した試料については、ホイップが完了するのに要した時間と、そのときのオーバーランの値を測定した。
各試料について、市販のホイップクリーム絞り機を用いて花形に造花したときの外観の様子を目視観察し、以下の基準にて評価した。結果を表12に示す。
○:形が崩れず、ツノが立っていた。
×:形が崩れた。
一方、試験No.20は試験No.18よりも長い時間ホイップを続けたにもかかわらず、オーバーランの値が140と低かった。なお、試験No.20について6分以上ホイップを行ってみたが、オーバーランの値は変化しなかった。また、造花性にも劣っていた。
<ホイップクリームの調製>
まず、表1の配合割合に従って各成分を混合して溶解し、原料液を調製し、試験No.1と同様にして原料液をホイップした。ただし、原料液をホイップする際はオーバーランの値が200%になるまでとした。
別途、表13の配合割合に従って各成分を混合して溶解し、安定剤水溶液を調製した。ついで、この安定剤水溶液をプレート式UHT殺菌機(森永乳業社製、「MAU」)で、殺菌温度130℃、保持時間2秒の条件で殺菌し、その後、45℃に冷却した。
続いて、先にホイップした原料液と、殺菌して冷却した安定剤水溶液とを、原料液:安定剤水溶液の質量比が85:15になるように混合し、ホイップクリームを得た。
実施例1で得られたホイップクリームはカスタードプリン用として、実施例2で得られたホイップクリームはコーヒーゼリー用として、それぞれ用いて評価した。
発酵セルロース(三栄源エフ・エフ・アイ社製、「サンアーティスト」)、インスタントコーヒー(味の素ゼネラルフーヅ社製、「インスタントコーヒー」)、アラビアガム(三栄薬品貿易社製、「アラビックコール」)、ローカストビーンガム(太陽化学社製、「ネオソフト」)、タマリンド色素(三栄源エフ・エフ・アイ社製、「サンブラウン」)、クリームフレーバー(三栄源エフ・エフ・アイ社製、「クリームフレーバー」)、消泡剤(信越化学工業社製、「シリコーン」)。
表14の配合割合に従って、各成分を混合溶解して調製したカスタードプリン液を、プレート式UHT殺菌機(森永乳業社製、「MAU」)で、殺菌温度130℃、保持時間2秒の条件で殺菌し、その後、60℃に冷却した。
ついで、殺菌および冷却したカスタードプリン液を、カップ充填機(トーワテクノ社製、「MTYパッカー」)を用いて透明プラスチックカップ(大日本印刷社製、「PPカップ」)に100g充填し、冷蔵庫にて10℃で固化させた。
固化したカスタードプリンに、実施例1で得られたホイップクリームを20g充填した。これに透明プラスチックフィルム(東洋アルミニウム社製、「PET蓋フィルムロール」)を被せ、ヒートシール装置(サニーパッケージ社製、「オートカップシーラー」)でシールし、冷蔵庫にて10℃で冷却して、ホイップクリームをデコレーションしたプリン(デザート)を作製した。
表14の配合割合に従って各成分を混合溶解してコーヒーゼリー液を調製した。このコーヒーゼリー液を、デザートの作製1で調製したカスタードプリン液と同様にして冷蔵庫にて10℃で固化させた。
固化したコーヒーゼリーに、実施例2で得られたホイップクリームを20g充填した以外は、カスタードプリンと同様にして冷蔵庫にて10℃で冷却して、ホイップクリームをデコレーションしたコーヒーゼリー(デザート)を作製した。
寒天(伊那食品工業社製、「寒天」)、エッグソース(太陽化学社製、「エッグソース」)、インスタントコーヒー(味の素ゼネラルフーヅ社製、「インスタントコーヒー」)、プリンフレーバー(小川香料社製、「プリンフレーバー」)、コーヒーフレーバー(長谷川香料社製、「コーヒーフレーバー」)。
また、これら各デザートは、10℃の冷蔵庫に14日間保存しても、ホイップクリームのひび割れが少なく、保型性が向上していた。
Claims (2)
- (1)トコフェロール、(2)チャ抽出物、(3)酵素処理ルチン抽出物、没食子酸、ローズマリー抽出物からなる群より選ばれる1種以上、および(4)ゼラチンを含む安定剤水溶液と、油脂を含み、前記(1)〜(4)を含まない原料液とを別々に殺菌する殺菌工程と、
殺菌された原料液をホイップするホイップ工程と、
ホイップされた原料液と殺菌された安定剤水溶液とを混合する混合工程とを有するホイップクリームの製造方法。 - 前記安定剤水溶液が、水あめと、寒天および/または発酵セルロースとをさらに含む請求項1に記載のホイップクリームの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2010015890A JP5145364B2 (ja) | 2010-01-27 | 2010-01-27 | ホイップクリームの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2010015890A JP5145364B2 (ja) | 2010-01-27 | 2010-01-27 | ホイップクリームの製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2011152082A JP2011152082A (ja) | 2011-08-11 |
JP5145364B2 true JP5145364B2 (ja) | 2013-02-13 |
Family
ID=44538513
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2010015890A Expired - Fee Related JP5145364B2 (ja) | 2010-01-27 | 2010-01-27 | ホイップクリームの製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP5145364B2 (ja) |
Families Citing this family (12)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2013013393A (ja) * | 2010-10-14 | 2013-01-24 | Sanei Gen Ffi Inc | ホイップクリーム用の安定化剤及び安定化方法 |
JP6293988B2 (ja) * | 2012-03-22 | 2018-03-14 | 雪印メグミルク株式会社 | 食品およびその製造方法 |
JP6062645B2 (ja) * | 2012-03-22 | 2017-01-18 | 雪印メグミルク株式会社 | 食品およびその製造方法 |
JP6232364B2 (ja) * | 2014-09-30 | 2017-11-15 | 森永乳業株式会社 | ホイップドクリームの製造方法 |
WO2016208605A1 (ja) * | 2015-06-22 | 2016-12-29 | クラシエフーズ株式会社 | 非加熱加水クリーム状食品用粉末 |
JP6395748B2 (ja) * | 2016-03-14 | 2018-09-26 | 雪印メグミルク株式会社 | 食品およびその製造方法 |
CN105851246B (zh) * | 2016-03-27 | 2021-03-09 | 上海海融食品科技股份有限公司 | 一种咖啡奶油的制备方法 |
JP7027063B2 (ja) * | 2017-08-10 | 2022-03-01 | 森永乳業株式会社 | ゲル状ホイップドクリームの製造方法及びゲル状ホイップドクリーム |
WO2020004052A1 (ja) | 2018-06-27 | 2020-01-02 | 株式会社J-オイルミルズ | ホイップクリーム |
CN111011527B (zh) * | 2019-12-25 | 2022-09-02 | 光明乳业股份有限公司 | 一种奶盖奶浆及其制备方法 |
JP7329801B2 (ja) | 2020-06-22 | 2023-08-21 | 株式会社レイマック | 検査用面照明装置 |
CN115918724A (zh) * | 2022-11-16 | 2023-04-07 | 重庆市天友乳业股份有限公司 | 一种减少光照对牛奶产生异味的方法 |
Family Cites Families (11)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS6344841A (ja) * | 1986-08-11 | 1988-02-25 | Asahi Denka Kogyo Kk | 高粘性水中油型乳化物の製造法 |
JP2529728B2 (ja) * | 1988-11-04 | 1996-09-04 | 不二製油株式会社 | フィリング材の製造法 |
JP3978286B2 (ja) * | 1998-08-11 | 2007-09-19 | 雪印乳業株式会社 | 酸化防止方法及び酸化防止食品 |
JP2001342489A (ja) * | 2000-03-31 | 2001-12-14 | Sanei Gen Ffi Inc | 香味劣化抑制剤および香味劣化抑制方法 |
JP2003018972A (ja) * | 2001-07-06 | 2003-01-21 | Asahi Denka Kogyo Kk | 水中油型乳化物 |
JP2003033164A (ja) * | 2001-07-24 | 2003-02-04 | Sanei Gen Ffi Inc | 香味劣化抑制方法及び香味劣化抑制剤 |
JP4370189B2 (ja) * | 2003-03-07 | 2009-11-25 | 花王株式会社 | 起泡性油中水型乳化組成物 |
JP5235259B2 (ja) * | 2004-06-25 | 2013-07-10 | 不二製油株式会社 | 水中油型乳化物 |
JP5283302B2 (ja) * | 2004-01-26 | 2013-09-04 | 不二製油株式会社 | 起泡性水中油型乳化物 |
JP4396334B2 (ja) * | 2004-03-11 | 2010-01-13 | 不二製油株式会社 | 起泡性水中油型乳化物 |
JP2005278482A (ja) * | 2004-03-29 | 2005-10-13 | Sanei Gen Ffi Inc | ホイップクリーム用安定剤及びホイップクリーム |
-
2010
- 2010-01-27 JP JP2010015890A patent/JP5145364B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2011152082A (ja) | 2011-08-11 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5145364B2 (ja) | ホイップクリームの製造方法 | |
WO2017030206A1 (ja) | ウェランガム含有組成物 | |
TWI373311B (en) | Oil or fat composition | |
TWI702912B (zh) | 奶製品之劣化臭味遮蔽劑及奶製品之劣化臭味遮蔽方法 | |
JP2001342489A (ja) | 香味劣化抑制剤および香味劣化抑制方法 | |
TWI607707B (zh) | 抑制褐變之乳製食品及其製造方法 | |
JP2016093111A (ja) | 柑橘果皮加工品およびその製造方法 | |
JP5941021B2 (ja) | 塩味増強剤及び飲食品の塩味増強方法 | |
JP7388468B2 (ja) | 味質向上剤 | |
CN108703339A (zh) | 一种榴莲酱及其制作方法 | |
JP6225617B2 (ja) | 成形チーズ様食品 | |
JP2015226533A (ja) | 藻類由来成分含有飲食物 | |
KR101932589B1 (ko) | 슬라이스 과일 잼의 제조방법 및 상기 방법으로 제조된 슬라이스 과일 잼 | |
JP2019170326A (ja) | ゲル状食品およびその製造方法 | |
JP5015102B2 (ja) | ナタデココ加工品およびその製造方法 | |
KR101651865B1 (ko) | 짜먹는 젤리형 고농축 양배추 조성물 및 이의 제조방법 | |
JP5010632B2 (ja) | 乳製品の光劣化臭マスキング剤、該マスキング剤を含有する乳製品並びに該マスキング剤を利用する光劣化臭のマスキング方法 | |
JP2019050775A (ja) | マウスコーティング感増強剤 | |
JP2015130840A (ja) | 粉末飲食品 | |
JP3609999B2 (ja) | 桑の葉を含有する油中水型乳化物及びその製造方法 | |
JPS60256372A (ja) | 酸性蛋白飲料の製造法 | |
JP2017176066A (ja) | 乳含有飲食品用の経時劣化抑制剤 | |
JP2006340639A (ja) | 香味劣化抑制剤 | |
EP3251525B1 (en) | Pink seasoning | |
JP2002330741A (ja) | 食品又は香粧品の香味又は香気の劣化抑制剤 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20111012 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20120217 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20120228 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20120427 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821 Effective date: 20120427 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20121030 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20121126 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20151130 Year of fee payment: 3 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 5145364 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |