JP2013013393A - ホイップクリーム用の安定化剤及び安定化方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】発酵セルロースを含有するホイップクリーム用安定化剤を調製し、該組成物をホイップクリームの製造原料として、或いは既存のホイップクリームミックスに添加する。さらには発酵セルロースを含有する製剤と特定の性状を有するデキストリンを併用し添加する。
【選択図】なし
Description
<項1>
発酵セルロースを含有することを特徴とする、ホイップクリーム用の安定化剤。
<項2>
発酵セルロースが、カルボキシメチルセルロース、キサンタンガム又はグァーガムの一種以上と複合化したものである項1記載のホイップクリーム用の安定化剤。
<項3>
ホイップクリームに対し0.01〜1質量%添加することにより、ホイップクリームの安定性を向上させるものである項1又は2に記載のホイップクリーム用の安定化剤。
<項4>
さらに、下記の性質(a)を有するデキストリンを併用するものである項1乃至3に記載のホイップクリーム用の安定化剤;
(a)下記条件で測定された青価が0.4〜1.2の範囲である:
(a−1)80℃の蒸留水でデキストリン1w/v%水溶液を調製して、これを25℃に冷却する、
(a−2)上記デキストリン1w/v%水溶液(25℃)10mlを、ヨウ素20mgおよびヨウ化カリウム200mgを含む水溶液10mlと混合して、蒸留水で100mlとなるように調整する、
(a−3)上記調製液を遮光した状態で、25℃で30分間振盪した後、25℃条件下で、反応液の680nmにおける吸光度を、分光光度計を用いて測定し、これを青価とする。
<項5>
ホイップクリームの安定化が、次に掲げるもののひとつ以上である項1乃至4に記載のホイップクリーム用の安定化剤;
ボディ感の向上、保形性の向上、ホエー分離の抑制、離水抑制、食感変化の抑制
<項6>
ホイップクリームに対し0.2〜1.5質量%添加することにより、ホイップクリームの凍結解凍時の離水を抑制するものである項1又は2に記載のホイップクリーム用の安定化剤。
<項7>
さらに、下記の性質(a)を有するデキストリンを併用するものである項6に記載のホイップクリーム用の安定化剤;
(a)下記条件で測定された青価が0.4〜1.2の範囲である:
(a−1)80℃の蒸留水でデキストリン1w/v%水溶液を調製して、これを25℃に冷却する、
(a−2)上記デキストリン1w/v%水溶液(25℃)10mlを、ヨウ素20mgおよびヨウ化カリウム200mgを含む水溶液10mlと混合して、蒸留水で100mlとなるように調整する、
(a−3)上記調製液を遮光した状態で、25℃で30分間振盪した後、25℃条件下で、反応液の680nmにおける吸光度を、分光光度計を用いて測定し、これを青価とする。
<項8>
項1乃至7に記載のホイップクリーム用安定化剤を含有することを特徴とする、ホイップクリーム。
<項9>
項1乃至7に記載のホイップクリーム用安定化剤を含有し、次に掲げるもののひとつ以上を効果として生じるホイップクリーム;
ボディ感の向上、保形性の向上、ホエー分離の抑制、冷蔵保存時及び凍結解凍時の離水抑制、食感変化の抑制
<項10>
項1乃至7のいずれかに記載のホイップクリーム用の安定化剤を添加することを特徴とする、ホイップクリームの安定化方法。
<項11>
項10に記載の安定化方法が、次に掲げるもののひとつ以上を効果として生じるものであるホイップクリームの安定化方法;
ボディ感の向上、保形性の向上、ホエー分離の抑制、冷蔵保存時及び凍結解凍時の離水抑制、食感変化の抑制
(1)80℃の蒸留水でデキストリン1w/v%水溶液を調製して、これを25℃に冷却する。
(2)上記デキストリン1w/v%水溶液(25℃)10mlを、ヨウ素20mgおよびヨウ化カリウム200mgを含む水溶液10mlと混合して、蒸留水で100mlとなるように調整する。
(3)上記調製液を遮光した状態で25℃において30分間振盪した後、25℃条件下で反応液の680nmにおける吸光度を、分光光度計にて測定し、これを青価とする。
(b)80℃の蒸留水で調製したデキストリンの30質量%水溶液を、5℃で24時間静置した時のゼリー強度が4N/cm2以上である、
(c)25℃の蒸留水で調製したデキストリン30質量%水溶液を、25℃で5分間静置した時の粘度が100mPa・s以下である。
<ホイップクリームの調製>
次の処方に従い、ホイップクリームを調製し、本発明にかかるホイップクリーム用安定化剤の効果を、下記ホイップテストを実施して確認した。
1)水に2を加え、3、4、5、6の粉体混合物を添加し、65〜70℃10分間撹拌溶解した。
2)1)に溶融した1を加え、65〜70℃10分間攪拌した。次いで少量のお湯にとかした7の溶液を加えた。
3)全量調整後、UHT殺菌(138℃ 15秒)を行い、均質化(第一段 7.5MPa、第二段 2.5MPa)を行った。
4)得られた均質液を5℃まで冷却し、1夜冷蔵保存した。
1.ホイップ前のホイップクリームミックスを、試飲カップ(小)に入れ重さを測定(オーバーラン測定用)した。
2.ステンレスボールに、1夜エージングした5℃のミックス500gに対して砂糖40gを入れ、20℃の部屋でホイッパーで角が立つまでホイップした(品温:6℃からホイップ)。
3.試飲カップ(小)にホイップしたクリームを入れ、オーバーランを測定し残りを絞り袋に入れた。
4.ゼリーカップに、絞り袋に入れたホイップクリームで花形を造形し、しまり、つや、組織の細かさ、保形性、風味、口どけ及びボディ感を、視覚や試食によって官能評価した。
a)ミックスの粒度分布測定:島津製作所SALD-2100-WJA1を用いてメジアン径を測定した。
b)粘度測定 B型粘度計(品温:約5℃ Rotor NO.2 60rpmまたは、NO.3 60rpm)にて測定。
c)ホイップテスト(ホイップ時間、オーバーラン、しまり、つや、組織の細かさ、保形性、風味、口どけ及びボディ感)の評価を行う。
d)離水の測定:ろ紙に、面積が12cm2になるようにホイップクリームを10g±0.3g絞り出して花形を造形し、20℃2時間後のろ紙上に染み出た離水の面積をKOIZUMI社製Polar Planimeterにて測定し、3回の測定値の平均値を面積とした。
e)保形性の測定:ゼリーカップ内にカップの蓋に付くまでホイップクリームを絞り、保形性の弱いものはホイップクリームが縮小しカップの蓋から離れてしまうので、この蓋から離れて生じた距離を物差しで測定した。7℃と20℃の1日後の保形性を測定した。
f)風味、口どけ、ボディ感については、1日後に試食し官能評価を行った。
表2の結果より、発酵セルロースを原料の一成分として加えてホイップクリームを調製することにより、次のような効果が得られた。
・メジアン径:一般にメジアン径は、添加する乳化剤によって変化することが知られているが、上記調製品では大きな差は生じず、同程度のメジアン径を有するホイップクリームが得られていた。
・オーバーラン:次式にて求めた。
(元のミックスの質量−ホイップ後の質量)/ホイップ後の質量×100(%)
比較例2で得られたオーバーランが、やや大きな数値となっていた。
・しまり、つや、組織の細かさ:発酵セルロースを添加することにより、これらの項目全てが向上していた。しまりが良くなることで食べ応えが向上し、かつ、組織の細かさも向上しているため食べ応えが重くなることはなかった。また、つやが向上していることから、ホイップクリームの見栄えも良くなっていた。
・風味、口どけ:両者ともに実施例・比較例間で差は生じていなかった。セルロース等の多糖類を添加すると、風味が抑えられることがあるが、本願発明ではそのような影響は生じていなかった。また、油脂量が増えると油っぽくなり、口どけも重くなりがちであるが、この点についても実施例・比較例のいずれにも影響は現れていなかった。これらのことより、ホイップクリームとして油脂含量や発酵セルロース等の存在にかかわらず、一般的なホイップクリームと同等の風味や口どけ感を有するものであることがわかった。
・ボディ感:硬化ヤシ油の添加量が20%のホイップクリーム(実施例1、比較例1)では、油脂含量が低いため食べたときのボディ感が不足することが多いが、発酵セルロースを添加した実施例1品のホイップクリームでは、無添加のもの(比較例1)に比べてボディ感があり、硬化ヤシ油の含量の低さをカバーできていた。同様に硬化ヤシ油30%のもの(実施例2、比較例2)についても同様の結果が得られた。さらに硬化ヤシ油を40%としたもの(実施例3、比較例3)では、顕著に発酵セルロースを添加したホイップクリーム(実施例3)のボディ感が向上しており、食した際の濃厚感や食べ応えは、同じ油脂含量とは思えないほど比較例3とは異なるものであった。
・離水:室温に静置した際の離水は、発酵セルロースを添加することで顕著に抑制されていた。尚、比較例における離水面積が、油脂含量の少ない実施例品よりも押さえられている結果が得られているが、これは油脂含量が増えることにより相対的に水分含量が少なくなるため、離水の前提となるホイップクリーム中の水分量が少なくなり、結果として離水量も少なくなったものと推測される。
・保形性:硬化ヤシ油の添加量にかかわらず、発酵セルロースを添加した実施例1、2及び3のホイップクリームでは、7℃、20℃のいずれの温度においてもホイップクリームの縮小が生じなかったため、当初充填したままカップの蓋にホイップクリームが付いたままの状態であった。一方の比較例1、2及び3のホイップクリームでは縮小が生じ、ホイップクリームがカップの蓋から離れてしまっていた。
また、本願発明に係る発酵セルロースを含有する安定化剤を使用した実施例1〜3においては、無添加の比較例1品よりも、大幅なホイップ時間の短縮が可能であったことが確認することができた。
続いて、調製済みのホイップクリームの液状ミックスに、本発明にかかる安定化剤を添加した場合の効果を確認した。
市販のホイップクリームミックス(植物性脂肪含量30%)を試飲カップ(小)に入れ、重さを測定(オーバーラン計測用:下記)し、次の手順にてホイップクリームを調製した。
1.ステンレスボールにホイップクリームミックス(5℃)500gに対して、砂糖量40gと本発明にかかる安定化剤(発酵セルロース製剤、発酵セルロース製剤及び特定の性状を有するデキストリン(青価:0.66))を加え6℃まで冷却し、20℃の部屋でホイッパーを用い、角が立つまでホイップした。
2.試飲カップ(小)に1で得たホイップ後のクリームを入れ、重さ(オーバーラン計測用)を測定し、残りを絞り袋に入れた。
3.絞り袋に入れたホイップクリームで、ゼリーカップの蓋につく高さまで花形をかき、保形性などを評価した。
4.得られたホイップクリームをゼリーカップに充填し、試食にて食感を確認した。
・ホイップテスト(ホイップに要する時間、オーバーラン、しまり、つや、保形性、風味、口どけ、離水、ボディ感など測定)を行った。
・離水については、ろ紙に面積が12cm2となるようにホイップクリームを10g±0.3g搾り出して花形を造形し、20℃2時間静置後のろ紙に染み出た離水の面積を、KOIZUMI社製 Polar Planimeterにて測定した。
・保形性は、ゼリーカップにカップの蓋に付くまでホイップクリームを絞り出し、保形性の弱いものはホイップクリームが収縮しカップの蓋から離れてしまうので、この蓋から離れて生じた距離をモノサシで測定した。7℃と20℃の1日静置後の保形性を測定した。
保形性に関しては、発酵セルロース製剤を添加した実施例4及び5において、十分な効果が認められ、発酵セルロース製剤と特定の性状を有するデキストリンを併用した実施例6では、さらに良好な効果が得られていた。一方、比較例品では、20℃保存時の保形性は悪く、ホイップクリームによる造形は一見して目減りしていることが明らかであった。
次いで、発酵セルロースの添加量による発明の効果を検証した。
<ホイップクリームの調製>
次に示す処方に基づきホイップクリームを調製し、発酵セルロースの添加量の変化による効果を確認した。ホイップクリームに関する物性の測定値を表4に、ホイップテストの結果を表5に示す。
1.硬化ヤシ油 30
2.脱脂粉乳 4
3.ポリグリセリン脂肪酸エステル 0.05
(ホモゲン※No.2897*)
4.ショ糖脂肪酸エステル 0.3
(第一工業製薬社製 F-160 0.2%、F-70 0.1%)
5.粉末レシチン(辻製油社製 SLPホワイトリソ゛) 0.15
6.pH調整剤(メタリン酸ナトリウム) 0.1
(サンポリマー※No.143*)
7.発酵セルロースを含有する製剤 表4参照
清水にて合計 100
1)水に3を加え、2、4、5、7の粉体混合物を添加し、65〜70℃で10分間攪拌溶解した。
2)1)に溶融した1を加え、65〜70℃で10分間攪拌し、これに一部のお湯に溶かした6の溶液を加えた。
3)清水にて全量調整後、UHT殺菌(138℃ 15秒)を行い、ホモジナイザーにて均質化(第一段 7.5MPa、第二段 2.5MPa)した。
4)均質後の液を10℃以下まで冷却し、1夜冷蔵保存して検体とした。
尚、ここで使用する三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製の「サンアーティスト(商標)PX」は、発酵セルロースとキサンタンガムの複合体を含有するものであり、その組成は発酵セルロース20%、CMC−Na3.3%、キサンタンガム10%及びデキストリン66.7%からなるものである。
実験例2と同様の評価・基準にて試験を行い、その結果を表5に示す。
実験例3の結果から、発酵セルロースの添加量の範囲は、発酵セルロースとグァーガムの複合体を使用した場合は0.01〜1.0%(実施例7〜15、発酵セルロース量として0.002〜0.2質量%)においてしまり、つや、保形性、ボディ感付与及び離水抑制効果が得られた。複合体の添加量が0.01%以下(比較例10)では十分な効果が得られず、1.0%以上(比較例11)になるとホイップクリームの粘度が1000mPa・s以上となり(表4参照)、調製時に不利不便を生じることとなった。また風味も悪くなり、ホイップクリームとしての商品価値が損なわれていた。
また、いずれの製剤を用いた場合においても、添加量が増えるにつれてホイップ時間の短縮が効果として現れていた。
次いで、本発明で用いる特定の性状を有するデキストリンと、一般に得られるデキストリンとの効果の差異を確認した。
<ホイップクリームの調製>
次に示す処方に基づきホイップクリームを調製し、本発明で用いるデキストリンと、一般に入手可能であるデキストリンとの効果を確認した。
1.硬化ヤシ油 30
2.脱脂粉乳 4
3.発酵セルロース製剤 0.2
(サンアーティスト※PG*)
4.デキストリン(詳細 表6参照) 4
5.酵素分解レシチン(辻製油社製 SLPホワイトリソ゛)0.15
6.乳化剤(ホモゲン※No.3039*) 0.7
内容:ショ糖脂肪酸エステル 42.9%
微結晶セルロース 36.5%
CMC−Na 6.4%
デキストリン 14.2%
7.ポリグリセリン脂肪酸エステル(HLB13)0.05
(ホモゲン※No.2897*)
8.pH調整剤(メタリン酸ナトリウム) 0.1
(サンポリマー※No.143*)
清水にて合計 100
1)水に7を加え、2、3、4、5及び6の粉体混合物を添加し、65〜70℃で10分間攪拌溶解した。
2)1)に溶融した1を加え、65〜70℃で10分間攪拌し、これに一部のお湯に溶かした8の溶液を加え1分間攪拌した。
3)清水にて全量調整後、UHT殺菌(138℃ 15秒)を行い、ホモジナイザーにて均質化(第一段 7.5MPa、第二段 2.5MPa)した。
4)均質液を10℃以下まで冷却し、1夜冷蔵保存して検体とした。
本発明にかかる特定の性状を有するデキストリンと、発酵セルロースを併用したホイップクリーム(実施例20)において、口どけ及びボディ感が最も良好であった。
これに対し実施例20で用いたデキストリンと同じDE値が4である、一般に使用されるデキストリンを用いた比較例14のホイップクリームは、粘度が高くホイップ時間も長くなり、ホイップクリームの製造には不適であった。また、濃厚感というよりものりっぽく口どけが悪く、臭いがあり風味も悪かった。
発酵セルロースを含有するホイップクリームを調製し、発酵セルロースの添加量の違いによる凍結解凍安定化効果を確認した。
<ホイップクリームの調製>
次の処方に従い、ホイップクリームを調製し、本発明にかかるホイップクリーム用安定化剤の効果を、下記ホイップテストを実施して確認した。
1. 硬化ヤシ油 30
2. 脱脂粉乳 4
3. ポリグリセリンオレイン酸エステル 0.05
(ホモゲン※No.2897*)
4. ショ糖脂肪酸エステル 0.3
(第一工業製薬社製 DKエステルF-160 0.2%、同F-70 0.1%)
5. 粉末レシチン 0.15
(辻製油社製 SLPホワイトリゾ)
6. pH調整剤(メタリン酸ナトリウム) 0.1
(サンポリマー※No.143*)
7. 発酵セルロースを含有する製剤 (詳細表7参照)
清水にて合計 100
実験例1と同様の手順にてホイップクリームミックスを調製し、調製したホイップクリームでろ紙上に花形をかき、実験例1と同様の条件で凍結解凍を行い、トップの切れ、表面の荒れ、離水の程度を目視にて評価し、解凍後のろ紙上に現れた水分の面積を測定した。結果を表7に示す。
上記結果より、グァーガムと複合化した発酵セルロース(三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製 サンアーティスト(商標)PG)の添加量が0.2〜1.4質量%(実施例21〜実施例27)、好ましくは0.4〜1.0質量%(実施例22〜実施例25)である場合に、解凍後の見栄えも良く、離水抑制に効果が見られるホイップクリームを提供できることが明らかとなった。また、キサンタンガムと複合化した発酵セルロース(三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製 サンアーティスト(商標)PX)を用いた場合は、0.1〜1.0質量%(実施例28〜実施例32)を添加した際に、離水が抑制され解凍後の見栄えのよいホイップクリームが得られた。
次いで、発酵セルロースと特定の性状を有するデキストリンとの併用による効果を確認するため、下記処方による試験を行った。
1 硬化ヤシ油 20
2 ポリグリセリンオレイン酸エステル 0.1
(ホモゲン※No.2897*)
3 脱脂粉乳 4
4 デキストリン 表8参照
(スマートテイスト※*)
5 発酵セルロース製剤 0.3
(サンアーティスト※PG*)
6 ショ糖脂肪酸エステル 0.2
(第一工業製薬社製DKエステル F-160)
7 ショ糖脂肪酸エステル 0.1
(第一工業製薬社製DKエステル F-70)
8 粉末レシチン 0.15
(辻製油社製 SLPホワイトリゾ)
9 pH調整剤(メタリン酸ナトリウム) 0.1
(サンポリマー※No.143*)
清水にて合計 100
実験例3と同様の処理を行い、凍結解凍後の離水と形状、肌荒れを評価した。結果を表8に示す。
表8の結果より、本発明で使用する特定の性状を有するデキストリンを1質量%以上、好ましくは3質量%以上添加することにより、ホイップクリームの凍結解凍後の離水を効果的に抑制できることがわかった。
次いで、本発明で用いる特定の正常を有するデキストリンと、一般に得られるデキストリンとの凍結解凍時の離水抑制効果の差異を確認した。
<ホイップクリームの調製>
次に示す処方に基づきホイップクリームを調製した。
<処方> (単位:質量%)
1.硬化ヤシ油 30
2.脱脂粉乳 4
3.発酵セルロース製剤 0.2
(サンアーティスト※PG*)
4.デキストリン(詳細 表9参照) 4
5.粉末レシチン 0.15
(辻製油社製 SLPホワイトリゾ)
6.乳化剤(ホモゲン※No.3039*) 0.7
7.ポリグリセリンオレイン酸エステル 0.05
(ホモゲン※No.2897*)
8.pH調整剤(メタリン酸ナトリウム) 0.1
(サンポリマー※No.143*)
清水にて合計 100
実験例3と同様の処理を行い、凍結解凍後の離水面積と、風味、口どけ及びボディ感を評価した。結果を表9に示す。
本発明にかかる特定の性状を有するデキストリンと、発酵セルロースを併用したホイップクリーム(実施例38)においては、凍結解凍時の離水は表7で得られた結果よりも顕著な効果を示していた。
これに対し、実施例38で用いたデキストリンと同じDE値が4である一般に使用されるデキストリンを用いた比較例23のホイップクリームは、凍結解凍時の離水は実施例品よりも押さえられず、また、粘度が高くホイップクリームの製造には不適であった。また、濃厚感というよりものりっぽく口どけが悪く、臭いがあり風味も悪かった。
DE値が8のデキストリンを用いた比較例24のホイップクリームでは、離水抑制効果は実施例38品と遜色ないものであったものの、ホイップクリームのつやがなく組織が粗く、外観上見劣りするものであった。また、ボディ感も足りず、実施例38のホイップクリームと比べると物足りない食感であった。
Claims (11)
- 発酵セルロースを含有することを特徴とする、ホイップクリーム用の安定化剤。
- 発酵セルロースが、カルボキシメチルセルロース、キサンタンガム又はグァーガムの一種以上と複合化したものである請求項1記載のホイップクリーム用の安定化剤。
- ホイップクリームに対し0.01〜1質量%添加することにより、ホイップクリームの安定性を向上させるものである請求項1又は2に記載のホイップクリーム用の安定化剤。
- さらに、下記の性質(a)を有するデキストリンを併用するものである請求項1乃至3に記載のホイップクリーム用の安定化剤;
(a)下記条件で測定された青価が0.4〜1.2の範囲である:
(a−1)80℃の蒸留水でデキストリン1w/v%水溶液を調製して、これを25℃に冷却する、
(a−2)上記デキストリン1w/v%水溶液(25℃)10mlを、ヨウ素20mgおよびヨウ化カリウム200mgを含む水溶液10mlと混合して、蒸留水で100mlとなるように調整する、
(a−3)上記調製液を遮光した状態で、25℃で30分間振盪した後、25℃条件下で、反応液の680nmにおける吸光度を、分光光度計を用いて測定し、これを青価とする。 - ホイップクリームの安定化が、次に掲げるもののひとつ以上である請求項1乃至4に記載のホイップクリーム用の安定化剤;
ボディ感の向上、保形性の向上、ホエー分離の抑制、離水抑制、食感変化の抑制 - ホイップクリームに対し0.2〜1.5質量%添加することにより、ホイップクリームの凍結解凍時の離水を抑制するものである請求項1又は2に記載のホイップクリーム用の安定化剤。
- さらに、下記の性質(a)を有するデキストリンを併用するものである請求項6に記載のホイップクリーム用の安定化剤;
(a)下記条件で測定された青価が0.4〜1.2の範囲である:
(a−1)80℃の蒸留水でデキストリン1w/v%水溶液を調製して、これを25℃に冷却する、
(a−2)上記デキストリン1w/v%水溶液(25℃)10mlを、ヨウ素20mgおよびヨウ化カリウム200mgを含む水溶液10mlと混合して、蒸留水で100mlとなるように調整する、
(a−3)上記調製液を遮光した状態で、25℃で30分間振盪した後、25℃条件下で、反応液の680nmにおける吸光度を、分光光度計を用いて測定し、これを青価とする。 - 請求項1乃至7に記載のホイップクリーム用安定化剤を含有することを特徴とする、ホイップクリーム。
- 請求項1乃至7に記載のホイップクリーム用安定化剤を含有し、次に掲げるもののひとつ以上を効果として生じるホイップクリーム;
ボディ感の向上、保形性の向上、ホエー分離の抑制、冷蔵保存時及び凍結解凍時の離水抑制、食感変化の抑制 - 請求項1乃至7のいずれかに記載のホイップクリーム用の安定化剤を添加することを特徴とする、ホイップクリームの安定化方法。
- 請求項10に記載の安定化方法が、次に掲げるもののひとつ以上を効果として生じるものであるホイップクリームの安定化方法;
ボディ感の向上、保形性の向上、ホエー分離の抑制、冷蔵保存時及び凍結解凍時の離水抑制、食感変化の抑制
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