JP3726173B2 - ソフトクリームミックス用安定化組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ソフトクリームミックス用の安定化組成物、より詳細には、発酵セルロースを有効成分として含有する安定化組成物に関する。該組成物によれば、液状のソフトクリームミックスをゲル化させることなく乳漿分離を有意に抑制でき、その結果、ミックス成分を均質な状態で室温で長期保存することが可能となる。
【0002】
また本発明は、発酵セルロースに加えて、増粘多糖類又は酸乳安定化剤のいずれか少なくとも一方を含有する安定化組成物に関する。該組成物によれば、ソフトクリームミックスに保存安定性を付与できるとともに、それから調製されるソフトクリーム製品の呈味、風味及び食感等に種々のバリエーションを与えることが可能となる。
【0003】
さらに本発明は、該組成物を配合することによって高い安定性及び保存性を有し、また多様な呈味、風味及び食感を有するソフトクリームを調製できるソフトクリームミックスに関する。
【0004】
【従来の技術】
ソフトクリームは、一般にソフトクリームとしてレストランやスナックスタンドで、用時コーンカップに詰めて販売される。ソフトクリームの製造には、一般に市販のソフトクリームミックスが使用され、これをそのまま若しくは粉末状であれば適量の温湯とともにソフトアイス用フリーザーに導入し、空気とともに凍結させることによって調製される。
【0005】
液状のソフトクリームミックスは、調製の手間なくそのまま使用できて簡便である反面、冷蔵保存が必要でありまた長期保存ができないという保存管理上の問題がある。
【0006】
牛乳では、特殊な高温殺菌処理によって常温で数ヶ月間腐敗することなく保存できる長期保存乳が開発されている。上記問題を解決するために、かかる殺菌処理をソフトクリームミックスに応用する試みもなされている。しかしながら、過酷な条件下での加熱殺菌処理によって、ソフトクリームミックスが乳漿分離したりホエー凝集が生じるため実際の適用は不可能であった。
【0007】
一方、近年、消費者の食に対するニーズの多様性に伴って、食品に多様な食感を付与できるグアーガム、ローカストガム等の増粘多糖類が注目されている。ソフトクリームもその例外ではない。しかしながら、このような増粘多糖類をソフトクリームに適用すると乳漿分離が生じてしまい、多様な食感を有するソフトクリームの開発には更なる検討が必要であった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、液状のソフトクリームミックスを室温保存又は長期保存しても、乳漿分離やホエー凝集等の不都合を生じず、ミックス成分の均質性を維持することができるソフトクリーム用の安定化組成物を提供することを目的とする。
【0009】
また、本発明は、ソフトクリームミックスの安定性に影響を与えることなく、ソフトクリームに食感、味・風味の観点から種々のバリエーションを与えることのできる安定化組成物を提供することを目的とする。
【0010】
更に本発明の目的は、かかる安定化組成物を含有することによって、保存安定性が改善されて室温保存又は長期保存が可能であり、また呈味・風味及び食感等に関してバリエーションに富んだソフトクリームが調製できるソフトクリームミックスを提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねていたところ、ソフトクリームミックスの安定剤として微生物に由来するセルロースである発酵セルロースを用いることによって、UHT殺菌処理によっても乳漿分離やホエー凝集等が生じず、内容成分の均質性を維持したままで常温保存及び長期保存が可能となることを見いだした。
【0012】
さらに、発明者らは更なる研究によって、発酵セルロースを含有するソフトクリームミックスに、従来のソフトクリームミックスでは乳漿分離が起こるために食感に影響が現れるほどには使用できなかったグアーガムやローカストビーンガム等の増粘多糖類を添加しても、乳漿分離が生じずミックス成分が均質に維持でき、このためソフトクリーム食感にバリエーションを付与できることを見いだした。
【0013】
さらに、発酵セルロースと酸乳安定化剤とを併用することによって、従来酸乳安定化剤を使用しても困難であった酸性状態でのソフトアイスミックスの安定化が図れることを見いだした。
【0014】
本発明は、このような各種知見に基づいて完成されたものである。
【0015】
すなわち本発明は、下記(1)〜(4)に示すソフトクリームミックス用の安定化組成物である。
【0016】
(1)発酵セルロースを含有することを特徴とする、加熱殺菌または室温保存若しくは長期保存において生じる乳漿分離またはホエー凝集を抑制する安定化組成物。
【0017】
(2) 発酵セルロース及び増粘多糖類を含有する安定化組成物。
【0018】
(3) 増粘多糖類が、グアーガム、ローカストビーンガム、キサンタンガム、ペクチン、水溶性大豆多糖類、サイリウムシードガム、タラガム、カラヤガム及びタマリンド種子ガムからなる群から選択される少なくとも一種である(2)記載の安定化組成物。
【0019】
(4) 酸乳安定化剤を含有することを特徴とする上記(1)乃至(3)のいずれかに記載の安定化組成物。
【0020】
また本発明は、上記(1)〜(4)に記載されるいずれかの安定化組成物を含有するソフトクリームミックスである。
【0021】
(1)記載の安定化組成物を含有するミックスは、液状であっても安定した品質を維持した状態で常温・長期保存が可能となる。また(2)又は(3)記載の安定化組成物を含有するミックスは、常温・長期保存が可能であるだけでなく、該ミックスによれば多様な食感を呈するソフトクリームを調製することができる。さらに(4)記載の安定化組成物を含有するミックスは耐酸性を有し、酸性状態であっても分離することなく安定した品質を維持した状態で常温・長期保存することができる。このため該ミックスによれば、レモン味やイチゴ味等といった従来のソフトアイスクリームにはなかった酸味を与えることができ、これによりソフトアイスクリームの味や風味に多様性を付与できる。
【0022】
【発明の実施の形態】
本発明の安定化組成物は、ソフトクリームミックスのための安定剤として有用である。
【0023】
ここでソフトクリームミックスとは、ソフトクリームを調製するために用いられる調合物を広く意味する。その内容成分としては、一般に乳製品、糖類、乳化剤、香料、油脂等を挙げることができる。
【0024】
ここで用いられる乳製品、乳化剤又は油脂等としては、一般にソフトクリームの調製に用いられるものを広く挙げることができ、具体的には乳製品としては、牛乳、生クリーム、脱脂粉乳、濃縮乳、練乳を、油脂としては、バター、ヤシ油、パーム油、ナタネ油を例示することができるが、これらに限定されるものではない。また各成分の配合割合も特に制限されないが、全固形分が5〜70重量%、好ましくは15〜35重量%、乳脂肪分が0〜40重量%、好ましくは3〜20重量%、無脂乳固形分が5〜50重量%、好ましくは5〜20重量%の割合で配合されるいるものが望ましい。
なお、ソフトクリームミックスは、その態様によって限定されるものではなく、ソフトクリーム専用のフリーザーにそのまま添加導入できる液状のミックスであってもよいし、濃縮乾燥処理された粉末状のミックスであってもよい。好ましくは液状のソフトクリームミックスである。
【0025】
本発明の安定化組成物は、少なくとも発酵セルロースを含有することを特徴とするものである。
【0026】
本発明で用いられる発酵セルロースは、セルロース生産菌が生産するセルロースであれば特に限定されない。通常、セルロース生産菌を既知の方法、例えば特開昭61−212295号公報、特開平3−157402号公報、特開平9−121787号公報に記載される方法に従って培養し、得られる発酵セルロースを所望に応じて適宜精製することによって製造することができる。
【0027】
セルロース生産菌としては、アセトバクター属、シュードモナス属、アグロバクテリウム属等に属する細菌が挙げられるが、好適にはアセトバクター属である。発酵セルロースを生産するアセトバクター属の細菌として、より具体的には、アセトバクター・パスツリアヌス株(例えば、ATCC10245等)、アセトバクター・エスピーDA株(例えば、FERM P−12924等)、アセトバクター・キシリナム株(例えば、ATCC23768、ATCC23769、ATCC10821、ATCC1306−21等)を挙げることができる。好ましくは、アセトバクター・キシリナム株である。
【0028】
かかるセルロース生産菌を培養する培地及び条件としては、特に制限されず、常法に従うことができる。例えば、培地は、基本的に窒素源、炭素源、水、酸素及びその他の必要な栄養素を含有しており、上記微生物が増殖して目的の発酵セルロースを産生することができるものであればよく、例えばHestrin-Schramm培地を挙げることができる。なお、セルロースの生産性を向上させるために、培地中にセルロースの部分分解物、イノシトール、フイチン酸等を添加することもできる(特開昭56−46759号公報、特開平5−1718号公報)。培養条件としては、例えばpH5〜9、培養温度20〜40℃の範囲が採用され、発酵セルロースが十分産生されるまで培養が続けられる。培養方法は、静置培養、撹拌培養、通気培養のいずれでもよいが、好適には通気撹拌培養である。
【0029】
発酵セルロースを大量生産するためには、多段階接種法が好ましい。この場合、通常、2段階の予備接種プロセス、一次接種発酵プロセス、二次接種発酵プロセス及び最終発酵プロセスからなる5段階の発酵プロセスが採用され、各プロセスで増殖された細菌について細胞の形態およびグラム陰性であることを確認しながら、次プロセスの発酵器に継代される。
【0030】
発酵後、産生された発酵セルロースは培地から分離処理され、洗浄されて、適宜精製される。精製方法は特に制限されないが、通常、培地から回収した発酵セルロースを洗浄後、脱水し、再度水でスラリー化した後に、アルカリ処理によって微生物を除去し、次いで該アルカリ処理によって生じた溶解物を除去する方法が用いられる。具体的には、次の方法が例示される。
【0031】
まず微生物の培養によって得られる培養物を脱水し、固形分約20%のケーキとした後、このケーキを水で再スラリー化して固形分を1から3%にする。これに水酸化ナトリウムを加えて、pH13程度にして撹拌しながら数時間、系を65℃に加熱して、微生物を溶解する。次いで、硫酸でpHを6〜8に調整し、該スラリーを脱水して再度水でスラリー化し、かかる脱水・スラリー化を数回繰り返す。
【0032】
精製された発酵セルロースは、必要に応じて乾燥処理を施すことができる。乾燥処理としては特に制限されることなく、自然乾燥、熱風乾燥、凍結乾燥、スプレードライ等の公知の方法を用いることができる。好ましくはスプレードライ法である。
【0033】
かくして得られる発酵セルロースは、白色から黄褐色の無臭の物質であり、水に急速に分散できる非常に微細な繊維性粒子からなる。なお、本発明で用いられる発酵セルロースは、上記方法で調製される発酵セルロースと同一若しくは類似の性質を有し、本発明の目的を達成しえるものであれば、その調製方法によって限定されるものではない。
【0034】
また、本発明の発酵セルロースは、特開平9−121787号公報に記載されるように、カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC−Na)、キサンタンガム、アルギン酸ナトリウム、カラギナン、ペクチン等の高分子物質の一種もしくは二種以上と複合化していてもよい。
【0035】
発酵セルロースを含有する本発明の安定化組成物をソフトクリームミックスの安定剤として用いることによって、耐熱性が向上したミックスが得られる。このため、HTST(high temperature short time)殺菌法やUHT加熱処理(ultra-high temperature heating system)といった比較的過酷な条件下での加熱殺菌処理によっても、内容成分が分離凝集することなく、均質性が維持された状態で殺菌ミックスを得ることができる。
【0036】
また本発明の安定化組成物をソフトクリームミックスの安定剤として用いることによって、液状ミックスの長期保存や常温以上の温度下での保存によって生じる分離凝集を有意に抑制することができる。
【0037】
このため、本発明の安定化組成物を安定剤として用いたソフトクリームミックスは、一定の品質を維持した状態で長期保存及び常温保存が可能となる。
【0038】
ソフトクリームミックスに配合する本発明の安定化組成物の割合は、上記本発明の効果を奏する範囲であれば特に制限されず、ソフトクリームミックスの配合成分や各種成分の配合割合に応じて適宜選択採択することができる。通常、最終ソフトクリームミックスあたり発酵セルロースが乾燥重量換算で0.01〜0.2重量%、好ましくは0.03〜0.1重量%の範囲を挙げることができる。
【0039】
なお、ソフトクリームミックスの調製工程における本発明安定化組成物の添加時は、加熱殺菌前であれば特に制限されないが、各種ミックス成分を混合均質化する前に配合することが好ましい。
【0040】
より具体的には、水若しくは温水中に発酵セルロースを含む各種ミックス成分を添加して加熱溶解後、適度な強度の剪断力を加えて撹拌することが好ましい。
【0041】
適度な強度の剪断力を加えた撹拌の方法であれば特に制限されることなく一般に採用される方法が広く用いられるが、例えば、ミキシング(プロペラ撹拌、ミキサーによる高撹拌等)、ホモゲナイズ、コロイドミル等の処理が挙げられる。好ましくは、約100〜200kg/cm2のホモゲナイズ圧力の範囲でホモゲナイズする方法である。撹拌する際の温度は特に制限されず、通常50〜90℃、好ましくは75〜85℃の温度範囲を採用することができる。
【0042】
次いで、HTST殺菌法やUHT加熱処理などの加熱殺菌処理を施してソフトクリームミックスが調製される。加熱殺菌処理の方法には制限はなく常法でよい。殺菌条件は、例えばUHT加熱処理による場合には、約90〜130℃程度の温度で約0.5〜15秒間の処理があげられるが、当業者が適宜選択すればよい。
【0043】
かくして調製されるソフトクリームミックスは、前述するように液状であっても安定した品質を維持した状態で常温・長期保存が可能であるという点で有用である。
【0044】
本発明の安定化組成物は、上記発酵セルロースに加えて増粘多糖類を含有することもできる。
【0045】
増粘多糖類としては、上記発酵セルロースのソフトクリームミックスに対する効果を妨げないで、かつ可食用のものであれば特に制限されず、いずれのものをも使用することができる。好ましくは、発酵セルロースとともにソフトクリームミックスに配合されて、液状ミックスの安定性を維持しながらも、ソフトクリーム製品の食感に種々のバリエーションを付与することができる増粘多糖類である。
【0046】
かかる増粘多糖類としては、具体的には、グアーガム、ローカストビーンガム、キサンタンガム、ペクチン、水溶性大豆多糖類、サイリウムシードガム、タラガム、カラヤガム、タマリンド種子ガムを挙げることができる。
【0047】
例えば発酵セルロースにグアーガムを組み合わせた組成物を含有するミックスによれば、乳脂肪量はそのままでボディー感、コク感のあるソフトクリーム製品を調製することができる。また発酵セルロースにローカストビーンガムを組み合わせた組成物を含有するミックスによれば、液ダレしにくい固形性のあるソフトクリーム製品を調製することができる。また発酵セルロースに、ペクチン及び又は水溶性大豆多糖類を組み合わせた組成物を含有するミックスによれば、例えばpH3〜4.5といった酸性下でも、蛋白質の凝集が起こらないソフトクリーム製品を調製することができる。
【0048】
従来のソフトクリームミックスは、安定化剤としてカラギナンやアルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース(以下、CMCという)及びその塩が用いられているが、かかるミックスに上記の増粘多糖類を配合すると分離が生じてしまう。このため、従来ソフトクリームに増粘多糖類がもつ独特な多様な食感を付与することは不可能であった。本発明は安定剤として発酵セルロースを採用することによって、かかる問題を解決し、ソフトクリームの食感のバリエーション化に成功したものである。
【0049】
かかる安定化組成物に含まれる発酵セルロース及び各種増粘多糖類の配合割合は、ソフトクリームミックスの配合成分や各種成分の配合割合、所望の食感に応じて種々異なり、一概に決めることはできないが、最終ミックス当たりの発酵セルロースの配合割合としては、通常0.01〜0.2重量%、好ましくは0.03〜0.1重量%であり、また増粘多糖類の配合割合としては、種類によらず、通常0.01〜0.5重量%、好ましくは0.1〜0.3重量%である。
【0050】
さらに本発明の組成物は、上記の発酵セルロース、または発酵セルロース及び増粘多糖類に加えて、酸乳安定化剤を含有していてもよい。
【0051】
ここで酸乳安定化剤とは、酸性下における乳蛋白質の安定化に寄与するものをいい、より具体的には、pH3〜4.5のソフトクリームミックスであってもミックス中の乳蛋白質が凝集せず安定化させ得るものをいい、かかる作用を有するものである限り特に制限されないが、具体的にはペクチン、水溶性大豆多糖類、CMC及びその塩、アルギン酸プロピレングリコールエステル(PGA)等を例示することができる。なお、ペクチンはHMペクチン又はLMペクチンの別を問わないが、好ましくはHMペクチンである。
【0052】
発酵セルロース、又は発酵セルロース及び増粘多糖類に加えて、これらの酸乳安定化剤を含有する組成物をソフトクリームミックスの安定剤として用いることによって、ミックスに耐酸性を付与することができる。このため、ソフトクリームミックスの成分として酸性成分、例えばクエン酸、リンゴ酸、酒石酸、果汁等を配合しても、加熱殺菌、長期保存や常温保存等によって生じる分離凝集を有意に抑制することができる。このことは、今までになかった酸味を呈するソフトクリームが一定の品質で調製できることを意味し、ソフトクリームの味のバリエーション化に寄与するものである。
【0053】
かかる安定化組成物に含まれる発酵セルロースの最終ミックス当たりの配合割合は、上記と同じく通常0.01〜0.2重量%、好ましくは0.03〜0.1重量%であり、酸乳安定化剤の配合割合は通常0.01〜0.5重量%、好ましくは0.1〜0.3重量%の範囲を例示することができる。また酸乳安定化剤としてペクチン及び水溶性大豆多糖類以外のものを用いる場合は、更に増粘多糖類を上記の配合割合、0.01〜0.5重量%、好ましくは0.1〜0.3重量%の割合で配合することもできる。
【0054】
本発明の安定化組成物は、それら単独でも用いられる他、蛋白質や食物繊維、調味料等の他の食品素材及び乳化剤、香料等の食品添加剤等を含有する組成物として用いることもできる。
【0055】
【実施例】
以下、本発明の内容を以下の実施例及び実験例を用いて具体的に説明するが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。なお、以下特に断らない限り、%は重量%を意味する。
【0056】
実施例1〜3
下記の配合割合からなるソフトクリームミックス(全固形分38.5%、乳脂肪分15%、無脂乳固形分8.5%)を調製した。なお、安定剤の組成及び配合割合は表1に示す通りである。
【0057】
Figure 0003726173
【0058】
【表1】
Figure 0003726173
【0059】
具体的には、牛乳、生クリーム、水あめを混合し40℃まで撹拌しながら加熱し、その中に砂糖、脱脂粉乳、安定化組成物及び乳化剤を投入し、その後80℃まで加熱した後に、あらかじめ溶解しておいたバターを入れ、さらに10分間撹拌した。これを150kg/cm2ホモゲナイズし、次いでプレート式殺菌(120℃、10秒間)し、取り出した後10℃程度になるまで冷却してソフトクリームミックスを調製した。
【0060】
実施例4〜5
下記の配合割合からなる酸性(pH4.2)のソフトクリームミックス(全固形分28.6%)を調製した。なお、安定剤の組成及び配合割合は表2に示す通りである。
【0061】
Figure 0003726173
【0062】
【表2】
Figure 0003726173
【0063】
具体的には、水、水あめを混合し40℃まで撹拌しながら加熱し、その中に砂糖、脱脂粉乳、粉末水あめ、クエン酸、安定化組成物及び乳化剤を投入し、その後80℃まで加熱した後に、精製ヤシ油、果汁、香料を入れ、さらに10分間撹拌した。これを150kg/cm2ホモゲナイズし、次いでプレート式殺菌(120℃、10秒間)し、取り出した後10℃程度になるまで冷却してソフトクリームミックスを調製した。
【0064】
実験例1
実施例1〜3で調製したソフトクリームミックスを40℃下で7日間保存して、ミックスの保存安定性を調べた。また、調製したソフトクリームミックスの粘度、及びそれをアイスクリームフリーザーにかけて調製したソフトクリームの食感を調べた。
【0065】
なお、比較品として、上記安定剤の代わりにカラギナン3%、アルギン酸ナトリウム25%、CMC−Na7%、ブドウ糖残部からなる安定剤(商品名:サンベストSOF-10、三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製)を0.3%用いたもの(比較品1)、及びグアーガム45%、ローカストビーンガム18%、タマリンド種子ガム9%、カラギナン3%、ブドウ糖残部からなる安定剤(商品名:サンベストN-109、三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製)を0.3%を用いたもの(比較品2)を用いて調製したソフトクリームミックスを採用した。
【0066】
(1)ソフトクリームミックスの保存安定性
結果を表3に示す。
【0067】
【表3】
Figure 0003726173
【0068】
このことから、発酵セルロースを含有する組成物にソフトクリームミックスの乳漿分離抑制効果があることがわかる。
【0069】
(2)ソフトクリームの食感
実施例1〜3で調製したソフトクリーム及び比較品1、2のそれぞれからソフトクリームを作成して、任意の5名にそれぞれのソフトクリームを試食してもらって、その食感を比較評価してもらった。各人の評価を総合的に判断した結果を表4に示す。
【0070】
【表4】
Figure 0003726173
【0071】
実験例2
実施例4及び5で調製したソフトクリームミックスを40℃下で7日間保存して、ミックスの保存安定性を調べた。また、調製したソフトクリームミックスの粘度、及びそれをアイスクリームフリーザーにかけて調製したソフトクリームの食感を調べた。
【0072】
なお、比較品として、上記安定剤の代わりに、ペクチン50%、グアーガム5%、ブドウ糖残部からなる安定剤(商品名:サンベストYOS-01、三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製)を0.7%用いたもの(比較品3)、及び、実験例1で用いた安定剤(商品名:サンベストSOF-10、三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製)を0.3%用いたもの(比較品4)を用いて調製したソフトクリームミックスを採用した。
【0073】
(1)ソフトクリームミックスの保存安定性
結果を表5に示す。
【0074】
【表5】
Figure 0003726173
【0075】
以上の結果からわかるように、少なくとも発酵セルロースと酸乳安定化剤を含有する組成物を安定剤として用いることによって、酸性のソフトクリームミックスに対しても、40℃といった比較的高温下保存における乳漿分離及びホエー凝集を抑制する効果があることが認められた。
【0076】
(2)ソフトクリームの食感
実施例4及び5で調製したソフトクリーム及び比較品3、4のそれぞれからソフトクリームを作成して、任意の5名にそれぞれのソフトクリームを試食してもらって、その食感を比較評価してもらった。各人評価を総合的に判断した結果を表6に示す。
【0077】
【表6】
Figure 0003726173
【0078】
以上のことから、発酵セルロース及び酸乳安定化剤を含有する組成物を安定剤として用いることにより、酸性のソフトクリーム(pH4.2)をほぼ安定に保つことができることがわかった。さらに発酵セルロースと酸乳安定化剤としての作用をも有する増粘多糖類とを組み合わせることによって、酸乳の安定化が図られるとともにソフトクリームの食感にバリエーションを与えることができることが分かった。なお、この効果は、発酵セルロース及び増粘多糖類以外の酸乳安定化剤に更に増粘多糖類を組み合わせて調製される組成物にも認められた。

Claims (6)

  1. 発酵セルロースを含有することを特徴とする、加熱殺菌または室温保存若しくは長期保存において生じる乳漿分離またはホエー凝集を抑制するソフトクリームミックス用安定化組成物。
  2. 発酵セルロース、並びにグアーガム、ローカストビーンガム、キサンタンガム、ペクチン、水溶性大豆多糖類、サイリウムシードガム、タラガム、カラヤガム、及びタマリンド種子ガムからなる群から選択される少なくとも一種の増粘多糖類を含有する、請求項1記載のソフトクリームミックス用安定化組成物。
  3. さらに酸乳安定化剤を含有する、請求項1または2に記載するソフトクリームミックス用安定化組成物。
  4. 請求項1記載の安定化組成物を含有するソフトクリームミックス。
  5. 請求項2に記載の安定化組成物を含有するソフトクリームミックス。
  6. 請求項に記載の安定化組成物を含有するソフトクリームミックス。
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