JP2023131691A - 冷凍菓子用食感改良剤 - Google Patents

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俊介 松本
Shunsuke Matsumoto
采香 佐藤
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Abstract

【課題】乳脂肪分の配合量を抑えながら、乳脂肪分が作り出すような自然なミルクの濃厚感を付与した冷凍菓子を提供する。また、冷凍菓子における氷結晶の生成および成長を抑制し、滑らかな食感の冷凍菓子を提供する。【解決手段】(a)生馬鈴薯澱粉および前記生馬鈴薯澱粉の化工澱粉からなる群から選ばれる1種または2種以上の馬鈴薯澱粉と、ポリグリセリン脂肪酸エステルとを、0MPa以上20MPa以下の圧力条件下にて加熱処理してなる食品用澱粉組成物であって、澱粉-脂質複合体を含む、前記食品用澱粉組成物、および(b)増粘多糖類を含む、冷凍菓子用食感改良剤を配合することにより冷凍菓子の食感を改良する。【選択図】なし

Description

特許法第30条第2項適用申請有り 1.掲載年月日 令和3年11月30日 2.掲載アドレス https://txdesign-lab.com/product/51/ https://txdesign-lab.com/solution/69/ https://txdesign-lab.lmsg.jp/form/25695/z5PiMDlW?_gl=1*151s5ur*_ga*NjE1MTUxMjQyLjE2NDE5NjUyMjA.*_ga_R2D3VFLP00*MTY0NTQwNjI4OC43LjEuMTY0NTQwNjQ1NS4w&_ga=2.232478492.261386450.1645406289-615151242.1641965220
本発明は、冷凍菓子用食感改良剤、冷凍菓子用含水クリームおよび冷凍菓子に関する。また本発明は、冷凍菓子に濃厚感を付与する方法および冷凍菓子における氷結晶安定化方法に関する。
近年、食に対する消費者の意識はますます高まり、アイスクリームなどの冷凍菓子においても、濃厚で高級感のある製品が好まれる傾向にある。乳脂肪分の配合量を高めることで冷凍菓子に濃厚感を付与することはできるが、原料コストが高くなるといった問題がある。
従来、乳化剤および増粘剤などの乳化安定剤を配合することで、アイスクリームの組織を滑らかにし、濃厚感を付与できることが知られている。また、特定の脂肪酸組成を有する植物性油脂組成物を用いることで、乳脂肪分の配合量を抑えながら濃厚感を付与する方法が提案されている(例えば、特許文献1、2など)。
しかし、従来の方法では、乳脂肪以外の油脂を必須とするため、乳脂肪分が作り出すような自然なミルクの濃厚感(濃厚な乳感ともいう)を冷凍菓子に付与することは難しかった。
特開2020-028238号公報 特開2018-148866号公報
このような状況下、乳脂肪分の配合量を抑えながら、乳脂肪分が作り出すような自然なミルクの濃厚感を付与した冷凍菓子を提供できることが望ましい。また、冷凍菓子における氷結晶の生成および成長を抑制し、滑らかな食感の冷凍菓子を提供できることがさらに望ましい。
本発明は、以下に示す冷凍菓子用食感改良剤、冷凍菓子用含水クリーム、冷凍菓子、冷凍菓子に濃厚感を付与する方法および冷凍菓子における氷結晶安定化方法にかかるものである。
[1](a)生馬鈴薯澱粉および前記生馬鈴薯澱粉の化工澱粉からなる群から選ばれる1種または2種以上の馬鈴薯澱粉と、ポリグリセリン脂肪酸エステルとを、0MPa以上20MPa以下の圧力条件下にて加熱処理してなる食品用澱粉組成物であって、澱粉-脂質複合体を含む、前記食品用澱粉組成物、および
(b)増粘多糖類
を含む、冷凍菓子用食感改良剤。
[2]前記成分(a)において、前記生馬鈴薯澱粉の化工澱粉が、前記生馬鈴薯澱粉に、ヒドロキシプロピル化およびエステル化からなる群から選ばれる1種または2種の化工処理が施されてなる化工澱粉である、前記[1]に記載の冷凍菓子用食感改良剤。
[3]前記成分(b)が、ローカストビーンガム、タマリンドシードガム、タラガム、グァーガム、ネイティブジェランガム、ペクチンおよびカラギナンからなる群から選ばれる1種または2種以上である、前記[1]または[2]に記載の冷凍菓子用食感改良剤。
[4]前記成分(a)100質量部に対し、前記成分(b)0.5質量部以上40質量部以下を含む、前記[1]から[3]のいずれか1項に記載の冷凍菓子用食感改良剤。
[5](a)生馬鈴薯澱粉および前記生馬鈴薯澱粉の化工澱粉からなる群から選ばれる1種または2種以上の馬鈴薯澱粉と、ポリグリセリン脂肪酸エステルとを、0MPa以上20MPa以下の圧力条件下にて加熱処理してなる食品用澱粉組成物であって、澱粉-脂質複合体を含む、前記食品用澱粉組成物、および
(b)増粘多糖類
を含む、冷凍菓子用含水クリーム。
[6]前記冷凍菓子用含水クリーム100質量部に対し、前記成分(a)0.5質量部以上6質量部以下を含む、前記[5]に記載の冷凍菓子用含水クリーム。
[7]前記冷凍菓子用含水クリーム100質量部に対し、前記成分(b)0.01質量部以上1質量部以下を含む、前記[5]または[6]に記載の冷凍菓子用含水クリーム。
[8]前記[5]から[7]のいずれか1項に記載の冷凍菓子用含水クリームを含む、冷凍菓子。
[9] 冷凍菓子に、
(a)生馬鈴薯澱粉および前記生馬鈴薯澱粉の化工澱粉からなる群から選ばれる1種または2種以上の馬鈴薯澱粉と、ポリグリセリン脂肪酸エステルとを、0MPa以上20MPa以下の圧力条件下にて加熱処理してなる食品用澱粉組成物であって、澱粉-脂質複合体を含む、前記食品用澱粉組成物、および
(b)増粘多糖類
を配合することを含む、冷凍菓子に濃厚感を付与する方法。
[10] 冷凍菓子に、
(a)生馬鈴薯澱粉および前記生馬鈴薯澱粉の化工澱粉からなる群から選ばれる1種または2種以上の馬鈴薯澱粉と、ポリグリセリン脂肪酸エステルとを、0MPa以上20MPa以下の圧力条件下にて加熱処理してなる食品用澱粉組成物であって、澱粉-脂質複合体を含む、前記食品用澱粉組成物、および
(b)増粘多糖類
を配合することを含む、冷凍菓子における氷結晶安定化方法。
本発明によれば、前記成分(a)および(b)を配合することで、冷凍菓子に自然なミルクの濃厚感を付与することができる。また、本発明の好ましい形態によれば、冷凍菓子における氷結晶の生成および成長を抑制し、滑らかな食感の冷凍菓子を提供することができる。
以下、本発明の各実施態様についてより具体的に説明する。
1.冷凍菓子用食感改良剤
本発明にかかる冷凍菓子用食感改良剤は、次の成分:
(a)生馬鈴薯澱粉および前記生馬鈴薯澱粉の化工澱粉からなる群から選ばれる1種または2種以上の馬鈴薯澱粉と、ポリグリセリン脂肪酸エステルとを、0MPa以上20MPa以下の圧力条件下にて加熱処理してなる食品用澱粉組成物であって、澱粉-脂質複合体を含む、前記食品用澱粉組成物、および
(b)増粘多糖類
を含むことを特徴とする。
本発明にかかる冷凍菓子用食感改良剤は、前記成分(a)および(b)を含むことで、冷凍菓子に配合したときに、乳脂肪分が作り出すような自然なミルクの濃厚感を冷凍菓子に付与することができる。以下、各成分について説明する。
<食品用澱粉組成物(成分(a))>
本発明の冷凍菓子用食感改良剤に用いられる食品用澱粉組成物は、生馬鈴薯澱粉および前記生馬鈴薯澱粉の化工澱粉からなる群から選ばれる1種以上と、ポリグリセリン脂肪酸エステルとを、0MPa以上20MPa以下の圧力条件下にて加熱処理してなる食品用澱粉組成物であって、澱粉-脂質複合体を含むことを特徴とする。本明細書において圧力とはゲージ圧力を意味する。
ここで「澱粉-脂質複合体」とは、生馬鈴薯澱粉および前記生馬鈴薯澱粉の化工澱粉からなる群から選ばれる1種以上と、ポリグリセリン脂肪酸エステルとが相互作用して形成されている複合体を意味する。その構造を具体的に特定することは容易でなく、未だ解明されていない部分が多いが、例えば、生馬鈴薯澱粉および前記生馬鈴薯澱粉の化工澱粉からなる群から選ばれる1種以上の澱粉中のアミロース分子のらせん構造に、ポリグリセリン脂肪酸エステルが包摂されていると考えられる。あるいは、前記アミロース分子のらせん構造の表面にポリグリセリン脂肪酸エステルが付着している可能性もある。あるいはまた、前記アミロース分子以外の部分にポリグリセリン脂肪酸エステルが相互作用している可能性もある。なお、前記複合体において、前記澱粉は、澱粉鎖が切断されて低分子化していてもよく、または澱粉鎖が重合して高分子化していてもよく、あるいはその両方を含んでいてもよい。
前記生馬鈴薯澱粉の化工澱粉としては、前記生馬鈴薯澱粉に、架橋、エーテル化およびモノエステル化からなる群から選ばれる1種以上の化工処理が施されてなる化工澱粉であることが好ましい。前記化工処理としては、例えば、リン酸架橋、アジピン酸架橋等の架橋;ヒドロキシプロピル化等のエーテル化;アセチル化、リン酸モノエステル化等のモノエステル化;等の1種または2種以上が挙げられる。具体的に、前記化工澱粉としては、ヒドロキシプロピル化馬鈴薯澱粉、リン酸架橋馬鈴薯澱粉、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋馬鈴薯澱粉が好ましく、ヒドロキシプロピル化馬鈴薯澱粉またはリン酸架橋馬鈴薯澱粉が特に好ましい。
前記ポリグリセリン脂肪酸エステルの脂肪酸は特に限定されないが、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸およびベヘニン酸から選ばれる1種または2種以上であることが好ましく、パルミチン酸およびステアリン酸からなる群から選ばれる1種または2種であることがより好ましい。
前記ポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、HLB値が1以上13以下であり、かつ平均重合度が2以上9以下であるものが好ましい。ここで、HLB値は1以上11以下であることがより好ましく、3以上10以下であることがさらに好ましく、平均重合度は2以上7以下であるものがより好ましく、2以上5以下であるものがさらに好ましく、2以上4以下であるものがさらにより好ましく、2以上3以下であるものが特に好ましい。なお、本明細書において、ポリグリセリンの平均重合度は、水酸基価から算出する方法、あるいはガスクロマトグラフィー、液体クロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー、ガスクロマトグラフ質量分析法または液体クロマトグラフ質量分析法等からポリグリセリンの組成を決定し平均重合度を算出する方法で測定される。
なお、本明細書において、数値範囲を示したときは、上限値および下限値を適宜組み合わせることができ、それによって得られる数値範囲も開示されているものとする。
前記生馬鈴薯澱粉および前記生馬鈴薯澱粉の化工澱粉からなる群から選ばれる1種以上の原料澱粉100質量部に対する前記ポリグリセリン脂肪酸エステルの質量比率は特に限定されないが、0.01質量部以上4.8質量部以下であることが好ましく、0.1質量部以上4.5質量部以下であることがより好ましく、0.5質量部以上4.0質量部以下であることがさらに好ましい。
前記食品用澱粉組成物は、例えば、エクストルーダーを用いて、生馬鈴薯澱粉および前記生馬鈴薯澱粉の化工澱粉からなる群から選ばれる1種以上と、ポリグリセリン脂肪酸エステルと、必要に応じて少量(例えば、原料混合物中に0.1質量%以上2質量%以下)の炭酸カルシウムなどの不溶性塩とを含む原料混合物に対して加水し、加熱処理することで得られる。
[エクストルーダーを用いた加熱処理]
例えば、エクストルーダーを用いて加熱処理する場合、生馬鈴薯澱粉および前記生馬鈴薯澱粉の化工澱粉からなる群から選ばれる1種以上と、ポリグリセリン脂肪酸エステルとを含む原料混合物に対して加水して、水分含量を、原料混合物と水を含む組成物の質量基準で、10質量%以上60質量%以下程度に調整した後、例えば、バレル温度30℃以上200℃以下、出口温度80℃以上180℃以下、スクリュー回転数100rpm以上1000rpm以下、加熱処理時間5秒以上60秒以下の条件で、原料混合物を加熱膨化させることで、目的とする食品用澱粉組成物を得ることができる。
ここで温度条件としては、バレル温度30℃以上170℃以下、出口温度100℃以上160℃以下であることがより好ましく、バレル温度30℃以上140℃以下、出口温度110℃以上145℃以下であることがさらに好ましい。
加水条件としては、水分含量を、原料混合物と水を含む組成物の質量基準で、15質量%以上40質量%以下に調整することがより好ましく、20質量%以上30質量%以下に調整することがさらに好ましい。
スクリュー回転数としては、150rpm以上900rpm以下であることがより好ましく、200rpm以上850rpm以下であることがさらに好ましい。
圧力条件としては、0.5MPa以上20MPa以下が好ましく、0.5MPa以上18MPa以下がより好ましく、0.5MPa以上15MPa以下がさらに好ましい。
また、加熱処理時間は、7秒以上50秒以下がより好ましく、10秒以上45秒以下がさらに好ましい。
生馬鈴薯澱粉および前記生馬鈴薯澱粉の化工澱粉からなる群から選ばれる1種以上と、ポリグリセリン脂肪酸エステルとを含む原料混合物に対して加水して、水分含量を、原料混合物と水を含む組成物の質量基準で、10質量%以上60質量%以下程度に調整した後、大気圧下で加熱糊化した後、乾燥させることによって、目的とする食品用澱粉組成物を得てもよい。加熱糊化させる温度は、90℃以上100℃以下が好ましく、95℃以上100℃以下がより好ましく、100℃(沸騰状態)がさらに好ましい。加熱糊化させる時間は、特に制限はないが、例えば、1分以上2時間以下が好ましい。
乾燥させる手段としては、例えば、ドラムドライヤー、ホットプレートなどを用いることができる。
上記の条件で、原料混合物に対して、好ましくは水の存在下、加熱処理することにより目的の食品用澱粉組成物を得ることができる。上記のとおり、いずれの加熱処理方法を用いた場合も高圧処理する必要はなく、20MPa以下、好ましくは18MPa以下、より好ましくは15MPa以下の圧力条件で目的の食品用澱粉組成物を得ることができる。
なお、前記食品用澱粉組成物において、澱粉-脂質複合体は、少なくとも一部に形成されていればよい。前記食品用澱粉組成物中のその他の成分は、生馬鈴薯澱粉および前記生馬鈴薯澱粉の化工澱粉からなる群から選ばれる1種以上、およびポリグリセリン脂肪酸エステルを含む原料に由来する成分である。
前記食品用澱粉組成物は、油分および水分と混合して用いることで特徴的な性質を呈することができるため、油分および水分とともに冷凍菓子に配合することが好ましい。例えば、本発明にかかる冷凍菓子用食感改良剤を、冷凍菓子に含まれる含水クリームに配合することで、前記食品用澱粉組成物の特徴的な性質をより効果的に発揮することができる。
<増粘多糖類(成分(b))>
本発明の冷凍菓子用食感改良剤に用いられる増粘多糖類としては、食品に一般に使用されているものであれば特に限定されない。
増粘多糖類としては、例えば、キサンタンガム、カラギナン(例えば、カッパカラギナン、イオタカラギナン、ラムダカラギナンなど)、アルギン酸類(例えば、アルギン酸、アルギン酸塩など)、ジェランガム(例えば、脱アシルジェランガム、ネイティブジェランガムなど)、ペクチン(例えば、LMペクチン、HMペクチンなど)、ガラクトマンナン(例えば、グァーガム、ローカストビーンガム、タラガムなど)、タマリンドシードガム、サイリウムシードガム、サバクヨモギシードガム、グルコマンナン、ラムザンガム、ウェランガム、カードラン、プルラン、カラヤガム、トラガントガム、ガティガム、アラビアガム、カシアガム、マクロホモプシスガム、寒天、ゼラチン、デンプン、微結晶セルロース、微小繊維状セルロース、発酵セルロース、セルロース誘導体(例えば、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースなど)、大豆多糖類、キチン、キトサンなどを挙げることができる。これらは1種で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
中でも、ローカストビーンガム、タマリンドシードガム、タラガム、グァーガム、ネイティブジェランガム、ペクチンおよびカラギナンからなる群から選ばれる1種または2種以上が好ましく、ローカストビーンガム、タマリンドシードガム、タラガム、ネイティブジェランガム、ペクチン、イオタカラギナンおよびラムダカラギナンからなる群から選ばれる1種または2種以上がより好ましく、ローカストビーンガム、タラガム、ネイティブジェランガム、ペクチンおよびイオタカラギナンからなる群から選ばれる1種または2種以上がさらに好ましい。
本発明の冷凍菓子用食感改良剤において、前記成分(a)および(b)の配合比は特に限定されないが、前記成分(a)100質量部に対し、前記成分(b)が0.5質量部以上40質量部以下であることが好ましく、より好ましくは1.25質量以上20質量部以下、さらに好ましくは6質量部以上15質量部以下、特に好ましくは8質量部以上12質量部以下である。前記成分(a)および(b)を上記の範囲で配合することにより、冷凍菓子により自然なミルクの濃厚感を付与することができる。また、本発明の好ましい形態によれば、前記成分(a)および(b)を上記の範囲で配合することにより、冷凍菓子における氷結晶の生成および成長を抑制することができる。
本発明の冷凍菓子用食感改良剤は、前記成分(a)および(b)のほか、本発明の目的および効果を阻害しない範囲であれば、乳化剤、酸化防止剤、pH調整剤、糖類、甘味料、調味料、色素、香料などを含むことができる。
ただし、本発明の冷凍菓子用食感改良剤に占める前記成分(a)および(b)の含有量の合計は、80質量%以上であることが好ましく、より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上、特に好ましく98質量%以上であり、100質量%であってもよい。
本発明の冷凍菓子用食感改良剤は、前記成分(a)および(b)、必要に応じて任意成分を適宜混合して調製することができる。本発明の冷凍菓子用食感改良剤は、冷凍菓子の他の原料に混合する前に調製してもよいし、別々に添加して、冷凍菓子の他の原料と一緒に混合してもよい。
本発明の冷凍菓子用食感改良剤を冷凍菓子に配合することにより、冷凍菓子に自然なミルクの濃厚感を付与することができる。特に、冷凍菓子に含まれる含水クリームに本発明の冷凍菓子用食感改良剤を配合することにより、より効果的に濃厚感を付与することができる。また、本発明の好ましい形態によれば、冷凍菓子における氷結晶の生成および成長を抑制することができ、滑らかな食感の冷凍菓子を得ることができる。
例えば、後述するとおり、冷凍菓子に含まれる含水クリームの製造工程において、原料と共に添加し混合攪拌することで、本発明の冷凍菓子用食感改良剤を配合することができる。
本発明の冷凍菓子用食感改良剤を配合する冷凍菓子としては、冷凍温度域(通常-60℃以上0℃未満)で保管され喫食される菓子類であれば特に限定されないが、含水クリームを含むものであることが好ましく、アイスクリーム類、氷菓や、アイスクリーム類を少なくとも一部に含む冷凍菓子、例えば、アイスケーキ、シューアイス、クッキーサンドアイス、アイスモナカ、アイス大福などが挙げられる。
ここで「アイスクリーム類」とは、乳又はこれらを原料として製造した食品を加工し、又は主要原料としたものを凍結させたものであつて、乳固形分3.0質量%以上を含むもの(発酵乳を除く。)をいい、例えば、厚生労働省の「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令」(以下「乳等省令」という)で規定されるアイスクリーム(乳固形分15.0%以上、乳脂肪分8.0%以上)、アイスミルク(乳固形分10.0%以上、乳脂肪分3.0%以上)、ラクトアイス(乳固形分3.0%以上、乳脂肪分規定なし)等が挙げられる。
2.冷凍菓子用含水クリーム
本発明にかかる冷凍菓子用含水クリームは、次の成分:
(a)生馬鈴薯澱粉および前記生馬鈴薯澱粉の化工澱粉からなる群から選ばれる1種または2種以上の馬鈴薯澱粉と、ポリグリセリン脂肪酸エステルとを、0MPa以上20MPa以下の圧力条件下にて加熱処理してなる食品用澱粉組成物であって、澱粉-脂質複合体を含む、前記食品用澱粉組成物、および
(b)増粘多糖類
を含むことを特徴とする。
成分(a)および(b)については、前記「1.冷凍菓子用食感改良剤」で述べたとおりである。
前記冷凍菓子用含水クリームは、食用油脂および水を含む乳化組成物であれば特に限定されるものではなく、水中油型、油中水型、複合乳化型の何れの乳化型であってもよいが、水中油型乳化組成物であることが好ましい。
前記食用油脂は、食用に供される動植物性油脂であれば特に限定されない。
例えば、大豆油、菜種油、コーン油、綿実油、米油、ヒマワリ油、サフラワー油、ゴマ油、オリーブ油、落花生油、カポック油、月見草油、あまに油、えごま油、パーム油、パーム核油、ヤシ油等の植物油脂;魚油、豚脂、牛脂、乳脂、卵黄油等の動物油脂;中鎖脂肪酸トリグリセリド、およびこれらに、エステル交換、水素添加、分別からなる群から選ばれる1または2以上の加工がなされた加工油脂からなる群から選択される1種または2種以上が挙げられる。
前記食用油脂は、冷凍菓子の種類および目的に応じて適宜選択することができるが、冷凍菓子に自然なミルクの濃厚感を付与する観点から、前記食用油脂として乳脂を含むことが好ましい。
なお、前記食用油脂としては、食用油脂として配合するもの以外に、冷凍菓子用含水クリームの原料に含まれる油脂も含むこととする。例えば、原料に乳または乳製品を含む場合、これらに含まれる油脂(乳脂)も前記食用油脂に含むこととする。
ここで、「乳」とは、生乳、牛乳、特別牛乳、生山羊乳、殺菌山羊乳、生めん羊乳、生水牛乳、成分調整牛乳、低脂肪牛乳、無脂肪牛乳及び加工乳をいう。また「乳製品」とは、クリーム、バター、バターオイル、チーズ、濃縮ホエイ、濃縮乳、脱脂濃縮乳、無糖練乳、無糖脱脂練乳、加糖練乳、加糖脱脂練乳、全粉乳、脱脂粉乳、クリームパウダー、ホエイパウダー、たんぱく質濃縮ホエイパウダー、バターミルクパウダー、加糖粉乳、調製粉乳、調製液状乳、発酵乳、乳酸菌飲料(無脂乳固形分三・〇%以上を含むものに限る。)及び乳飲料をいう。
また、冷凍菓子用含水クリームの原料に、卵黄、植物性ミルクなど油脂が含まれているものを含む場合は、これらに含まれる油脂も前記食用油脂に含むこととする。
前記冷凍菓子用含水クリームに占める前記食用油脂の含有量(油分)は、0.5質量%以上20質量%以下が好ましく、より好ましくは1質量%以上15質量%以下、さらに好ましくは2質量%以上10質量%以下、特に好ましく3質量%以上5質量%以下である。
このうち、乳脂の割合(乳脂肪分)は、冷凍菓子または冷凍菓子に含まれる含水クリームの種類および目的に応じて適宜決定すればよく特に限定されない。
例えば、前記冷凍菓子用含水クリームに占める乳脂肪分は、例えば0.1質量%以上であり、1質量%以上が好ましく、より好ましくは2質量%以上、さらに好ましくは3質量%以上である。乳脂肪分の上限値は特に限定されないが、原料コストを抑える観点から、20質量%以下であることが好ましく、より好ましくは15質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下である。例えば、含水クリームに占める乳脂肪分は、0.1質量%以上20質量%以下が好ましく、より好ましくは1質量%以上15質量%以下、さらに好ましくは2質量%以上10質量%以下、特に好ましくは3質量%以上10質量%以下である。
なお、冷凍菓子用含水クリームに含まれる食用油脂の含有量(油分)は、原料に含まれる油分と配合量から算出することができる。
本発明の冷凍菓子用含水クリームは、前記成分(a)および(b)を含むことにより、自然なミルクの濃厚感を付与することができるため、所望の濃厚感を得るための乳脂肪分の配合量を抑えることができ、原料コストを抑えることができる。また、含水クリームが乳脂を含む場合は、ミルクの濃厚感が増強され、より美味しく感じられる。
冷凍菓子用含水クリームに含まれる水は、食品の製造に用いられるものであれば特に制限されなく、天然水や水道水が挙げられる。また、水として、乳および乳製品に含まれる動物性ミルク;豆乳およびアーモンドミルクなどの植物性ミルク;果汁、野菜ジュースなどの植物搾汁などの水含有液体を使用してもよい。
冷凍菓子用含水クリームに占める前記水の含有量(水分)は、30質量%以上90質量%以下が好ましく、より好ましくは40質量%以上85質量%以下、さらに好ましくは50質量%以上80質量%以下、特に好ましく60質量%以上75質量%以下である。水含有液体を使用する場合は、前記液体中に含まれる水分量を加えた水分の合計量が、前記含有量を満たしていればよい。
冷凍菓子用含水クリームは、その他必要に応じて、一般に冷凍菓子用含水クリームに用いられる添加成分、例えば、乳化剤、酸化防止剤、糖類、甘味料、調味料、色素、香料、pH調整剤、具材(例えば、果肉、ナッツ類、クッキー、チョコレートなど)、副材料(例えば、果汁、ココアパウダー、抹茶パウダー)などを含んでいてもよい。
冷凍菓子用含水クリームに占める前記成分(a)の含有量は特に限定されないが、前記成分(a)の含有量が、0.5質量%以上6質量%以下であることが好ましく、より好ましくは0.8質量%以上5質量%以下、さらに好ましくは1質量%以上4質量%以下、特に好ましく1.5質量%以上3質量%以下である。
また、冷凍菓子用含水クリームに占める前記成分(b)の含有量は特に限定されないが、前記成分(b)の含有量が0.01質量%以上1質量%以下であることが好ましく、より好ましくは0.02質量%以上0.7質量%以下、さらに好ましくは0.03質量%以上0.5質量%以下、特に好ましく0.05質量%以上0.2質量%以下である。
前記成分(a)および(b)の配合比は特に限定されないが、前記成分(a)100質量部に対し、前記成分(b)が0.5質量部以上40質量部以下であることが好ましく、より好ましくは1.25質量以上20質量部以下、さらに好ましくは6質量部以上15質量部以下である。
冷凍菓子用含水クリームに占める前記成分(a)および(b)の含有量の合計は、0.51質量%以上7質量%以下であることが好ましく、より好ましくは0.8質量%以上5質量%以下、さらに好ましくは1質量%以上4質量%以下、特に好ましく1.2質量%以上3.5質量%以下である。
前記成分(a)および(b)を上記の範囲で配合することにより、冷凍菓子用含水クリームにより自然なミルクの濃厚感を付与することができる。また、本発明の好ましい形態によれば、冷凍菓子用含水クリームにおける氷結晶の生成および成長を抑制することができ、滑らかな食感が得られる。また、好ましい形態によれば、含水クリームの組織が均一で滑らかであり、スプーン通りもよい。
<冷凍菓子用含水クリームの製造方法>
本発明にかかる凍菓子用含水クリームは、例えば、以下の工程にしたがって製造することができる。
(i)攪拌混合工程
まず、前記成分(a)および(b)、食用油脂、水および任意の添加成分を攪拌混合し、均一に分散させて乳化組成物を得る。
攪拌混合は、ミキサーやミキシングタンクなどの装置内で行うことが好ましい。
任意の添加成分として、香料を用いる場合は、加熱により揮発したり変質したりする場合があるため、均質化処理および殺菌処理を施した後に添加することが好ましい。
前記成分(a)および(b)の添加順序は特に限定されないが、粉体成分と混ぜ合わせてから、液体成分と混ぜ合わせると、より均一に配合することができ、滑らかな食感の冷凍菓子用含水クリームを得ることができるため好ましい。なお、前記成分(a)および(b)は予め混ぜ合わせてから用いてもよいし、別々に添加して他の成分と一緒に混ぜ合わせてもよい。
(ii)均質化処理および殺菌処理工程
次に、工程(i)で得られた乳化組成物に対し、均質化処理および殺菌処理を施す。均質化処理と殺菌処理は、どちらを先に行ってもよく、均質化処理を行った後、殺菌処理を行ってもよいし、殺菌処理を行った後、均質化処理を行ってもよい。また、均質化処理を行った後、殺菌処理を施し、さらにその後、均質化処理を行ってもよい。
均質化処理は、食用油脂を粉砕して均質化するために行う処理であり、ホモジナイザー、ホモミキサー、コロイドミル等の公知の装置を用いて行うことができる。
殺菌処理は、低温保持殺菌(63~65℃で30分)、高温保持殺菌(75℃以上で15分以上)、高温短時間殺菌(72℃以上で15秒以上)または超高温殺菌(120~150℃で1~3秒)などの公知の連続加熱方法や、回分式または連続式の間接加熱方法などを採用して行うことができる。
(iii)冷却工程
続いて、工程(ii)で得られた乳化組成物を冷却する。冷却温度は特に限定されないが、通常0℃以上10℃以下であり、好ましくは0℃以上8℃以下、より好ましくは0℃以上5℃以下である。この工程により乳化組成物の変質や乳化破壊を防ぐことができる。
冷却後、乳化組成物に香料を添加してもよい。また、必要に応じてエージングしてもよい。エージングすることにより、乳化組成物中の脂肪を固形化し、粘度を上昇させて、組織の滑らかさや保形性を向上させることができる。エージングの時間は特に限定されないが、通常3時間以上24時間以下であり、好ましくは6時間以上18時間以下、より好ましくは12時間以上16時間以下である。
(iv)フリージング工程
次に、工程(iii)で得られた乳化組成物をフリージングする。フリージングは、乳化組成物をフリーザー内で急激に冷却して水分を凍結させながら、所定のオーバーラン(通常60~100%)になるように適当量の空気を混入させて行うことが好ましい。冷却温度は、乳化組成物の組成によって適宜選択すればよいが、通常-10℃以上0℃以下であり、好ましくは―8℃以上―1℃以下、より好ましくは-6℃以上-3℃以下である。
フリージング後、得られた乳化組成物は、必要に応じて容器に充填され、冷凍温度域(例えば、-60℃以上-18℃以下)で保管される。
上記のようにして、冷凍菓子用含水クリームを製造することができる。
なお、上記の製造方法は一例であり、当業者であれば、冷凍菓子の種類および目的に応じて適宜変更することができる。
3.冷凍菓子
本発明にかかる冷凍菓子は、冷凍温度域で保管され喫食される菓子類であり、前記冷凍菓子用含水クリームを少なくとも一部に含むものであれば特に限定されない。冷凍温度域は、通常-60℃以上0℃未満であり、好ましくは-50℃以上―5℃以下、より好ましくは-40℃以上―10℃以下である。また、冷凍温度域は、例えば、-60℃以上-18℃以下であってもよい。
本発明にかかる冷凍菓子としては、前記「1.冷凍菓子用食感改良剤」で述べたようなアイスクリーム類(例えば、アイスクリーム、アイスミルク、ラクトアイスなど)、氷菓などの冷凍菓子用含水クリームそれ自体であってもよく、アイスクリーム類を少なくとも一部に含む冷凍菓子、例えば、アイスケーキ、シューアイス、クッキーサンドアイス、アイスモナカ、アイス大福などであってもよい。
本発明にかかる冷凍菓子は、前記冷凍菓子用含水クリームを含むことにより、口に入れたときに、適度な重さとミルクのコクが感じられ、乳脂肪分が作り出すような自然なミルクの濃厚感が感じられる。また、好ましい形態によれば、含水クリームの組織が均一で滑らかであり、スプーン通りもよい。
また、冷凍菓子が口の中で温められると、前記冷凍菓子用含水クリームの粘性が下がり、口溶けが良く、滑らかな食感が得られる。
冷凍菓子が乳脂肪分を含む場合は、ミルクの濃厚感が増強され、より美味しく感じられる。
4.冷凍菓子に濃厚感を付与する方法
本発明はまた、冷凍菓子に、次の成分:
(a)生馬鈴薯澱粉および前記生馬鈴薯澱粉の化工澱粉からなる群から選ばれる1種または2種以上の馬鈴薯澱粉と、ポリグリセリン脂肪酸エステルとを、0MPa以上20MPa以下の圧力条件下にて加熱処理してなる食品用澱粉組成物であって、澱粉-脂質複合体を含む、前記食品用澱粉組成物、および
(b)増粘多糖類
を配合することにより、冷凍菓子に自然なミルクの濃厚感を付与する方法を提供する。
前記成分(a)および(b)については、前記「1.冷凍菓子用食感改良剤」で述べたとおりである。前記成分(a)および(b)は、冷凍菓子、特に冷凍菓子に含まれる含水クリームに配合することが好ましく、それにより冷凍菓子に自然なミルクの濃厚感を付与することができる。前記成分(a)および(b)の配合量は、前記「2.冷凍菓子用含水クリーム」において述べたとおりである。
前記成分(a)および(b)を配合することにより、冷凍菓子に自然なミルクの濃厚感を付与することができる。特に、冷凍菓子に含まれる含水クリームに前記成分(a)および(b)を配合することにより、より効果的に濃厚感を付与することができる。また、冷凍菓子が乳脂肪分を含む場合は、ミルクの濃厚感が増強され、より美味しく感じられる。
5.氷結晶安定化方法
本発明はさらに、冷凍菓子に、次の成分:
(a)生馬鈴薯澱粉および前記生馬鈴薯澱粉の化工澱粉からなる群から選ばれる1種または2種以上の馬鈴薯澱粉と、ポリグリセリン脂肪酸エステルとを、0MPa以上20MPa以下の圧力条件下にて加熱処理してなる食品用澱粉組成物であって、澱粉-脂質複合体を含む、前記食品用澱粉組成物、および
(b)増粘多糖類
を配合することを含む、冷凍菓子における氷結晶安定化方法を提供する。
前記成分(a)および(b)については、前記「1.冷凍菓子用食感改良剤」で述べたとおりである。前記成分(a)および(b)は、冷凍菓子、特に冷凍菓子に含まれる含水クリームに配合することが好ましい。前記成分(a)および(b)の配合量は、前記「2.冷凍菓子用含水クリーム」において述べたとおりである。
前記成分(a)および(b)は、冷凍菓子、特に冷凍菓子に含まれる含水クリームにおける氷結晶を安定化する作用を有しており、冷凍菓子の製造時または冷凍保管中の冷凍菓子における氷結晶の生成および成長を抑制することができる。
本発明の好ましい形態によれば、前記成分(a)および(b)を冷凍菓子、特に冷凍菓子に含まれる含水クリームに配合することにより、冷凍菓子の製造時または冷凍保管中の不安定な温度状況下においても、氷結晶の生成および成長に起因するジャリジャリ感やざらつき感の発生を抑制し、滑らかな食感を保持することができる。
次に実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら制限されない。
[1]冷凍菓子用食感改良剤の調製
表1(表1-1~1-3)の組成で成分(a)および(b)を配合し、冷凍菓子用食感改良剤を調製した。なお、表1中の各成分の配合量の単位は質量部である。
<食品用澱粉組成物(成分(a))>
以下に示した方法に従って食品用澱粉組成物1~6を調製した。
製造例1(食品用澱粉組成物1)
生馬鈴薯澱粉を2kgおよびポリグリセリン脂肪酸エステル(デュポン・スペシャルティ・プロダクツ社製「GRINDSTED PGE55-M」(HLB:約7、ポリグリセリンの平均重合度:3以下、構成脂肪酸:ステアリン酸、数%パルミチン酸))を15g混合した原料混合物に対して、対紛11.5質量%(50g/分)にて加水を行いながら2軸エクストルーダー(幸和工業社製「KEI-45-15」)にて加熱処理を行った。得られた加熱処理物を110℃に設定した恒温槽に30分入れて乾燥させた。乾燥させた加熱処理物を卓上粉砕機で粉砕し、JIS-Z8801-1規格の目開き0.25mmの篩に通した篩下画分を回収し、食品用澱粉組成物1を得た。
なお、2軸エクストルーダーの条件は、バレル温度は30℃~170℃、出口温度100℃~170℃、バレル内の最高圧力は5MPa、スクリュー回転数230rpmとした。
製造例2(食品用澱粉組成物2)
生馬鈴薯澱粉に代えて、ヒドロキシプロピル化馬鈴薯澱粉(株式会社J-オイルミルズ製「BO-15」)を用いたこと以外は、製造例1と同様にして、食品用澱粉組成物2を得た。
製造例3(食品用澱粉組成物3)
生馬鈴薯澱粉に代えて、リン酸架橋馬鈴薯澱粉(株式会社J-オイルミルズ製「KPS-200」)を用いたこと以外は、製造例1と同様にして、食品用澱粉組成物3を得た。
製造例4(食品用澱粉組成物4)
1.生馬鈴薯澱粉30gおよびポリグリセリン脂肪酸エステル(デュポン・スペシャルティ・プロダクツ社製「GRINDSTED PGE55-M」(HLB:約7、ポリグリセリンの平均重合度:3以下、構成脂肪酸:ステアリン酸、数%パルミチン酸))0.225gを混合した原料混合物に対して、乾物換算で6質量%になる量の水を添加し、更に30gの水を添加後、攪拌し、スラリーを調製した。
2.上記1.のスラリーを加熱し、水分が30g蒸発するまで沸騰させ、糊液を得た。
3.上記2.の糊液を200℃に加熱したホットプレートに塗布して、フィルムになるまで加熱した。
4.上記3.のフィルムをヘラで剥がして回収し、40℃に設定した恒温槽に24時間入れて、乾燥させた。
5.上記4.の乾燥フィルムを卓上粉砕機で粉砕し、JIS-Z8801-1規格の目開き0.25mmの篩に通した篩下画分を回収し、食品用澱粉組成物4を得た。
なお、上記1~5の作業は大気圧下(ゲージ圧力:0MPa)で行った。
製造例5(食品用澱粉組成物5)
2軸エクストルーダーの条件として、バレル内の最高圧力を2MPaとしたこと以外は、製造例1と同様にして、食品用澱粉組成物5を得た。
製造例6(食品用澱粉組成物6)
2軸エクストルーダーの条件として、バレル内の最高圧力を15MPaとしたこと以外は、製造例1と同様にして、食品用澱粉組成物6を得た。
<増粘多糖類(成分(b))>
増粘多糖類としては、以下に示した市販品を用いた。
ローカストビーンガム:DuPont Nutrition Biosciences ApS社製「GRINDSTED LBG860」
タマリンドシードガム:DSP五協フード&ケミカル株式会社製「グリロイド5S」
タラガム:ユニテックフーズ社製「VIDOGUM SP175」
グァーガム:ユニテックフーズ社製「VIDOCREM A」
ペクチン:三晶株式会社製「GENU pectin type BETA BI-J」
イオタカラギナン:三晶株式会社製「GENUVISCO carrageenan type J-J」
ラムダカラギナン:株式会社タカラゲン製「G-40」
ネイティブジェランガム:三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製「ケルコゲルHM」
[2]冷凍菓子の調製および評価
[2-1]アイスミルク(その1)
表2-1に示した組成を用い、下記の方法に従ってアイスミルクを調製し、得られたアイスミルクの濃厚感(濃厚な乳感)、スプーン通りおよびざらつきを、専門パネラー5人により評価した。結果を表2-1に示す。
(1)アイスミルクの調製
(i)攪拌混合工程
まず、ミキシングタンクに牛乳、クリーム、凍結卵黄および水を入れ、泡立て器で攪拌混合した。そこへ事前に粉体混合した脱脂粉乳、グラニュー糖、成分(a)および(b)(配合する場合)を投入し、再度泡立て器で混合攪拌し、均一なミックスを得た。
なお、成分(a)および(b)以外の原料としては以下のものを用いた。
・牛乳(乳固形分8.00重量%、乳脂肪分3.5質量%、水分88質量%)
・クリーム(中沢乳業株式会社製「ナイスホイップE」、油分40.0質量%(乳脂肪分22質量%、植物性脂肪分18質量%))
・脱脂粉乳(よつ葉乳業株式会社社製「脱脂粉乳」、乳固形分95.0質量%、乳脂肪分0.7質量%)
・グラニュー糖(三井精糖株式会社製)
・凍結卵黄(キユーピータマゴ株式会社製「加糖凍結卵黄20」、油分22.3質量%、水分44.9質量%)
(ii)均質化処理および殺菌処理工程
次に、工程(i)の混合物をホモミキサー(特殊機化工業社製「TKホモミキサーMARKII」)にて12,000rpm、10分の条件で均質化処理し、乳化組成物を得た。得られた乳化組成物をパウチに充填して密封し、恒温水槽を用いて85℃~86℃に加温し、15分加熱して殺菌処理した。殺菌処理後、パウチを開封し、内容物を容器に移し替えてから、前記ホモミキサーにて12,000rpm、10分の条件で再度均質化処理した。
(iii)冷却工程
続いて、工程(ii)で得られた乳化組成物を、40℃まで放冷した後、バニラエッセンスを加えた。
得られた乳化組成物をパウチに充填して密封し、3℃で一晩(16時間)エージングした。
(iv)フリージング工程
次に、工程(iii)で得られた乳化組成物を、アイスクリームメーカー(Cuisinart社製、CUISINART COMMERCIAL QUALITY ICE CREAM&GELATO MAKER「ICE-100」)にセットし、-5℃で30分間攪拌フリージングした。
フリージング後、得られた乳化組成物80gをカップに充填し、ショックフリーザー(ホシザキ株式会社製「HBC-6B3」)にて、-30℃で1時間凍結し、その後、冷凍庫(福島工業株式会社製「ARD-124FM」)にて、-20℃で24時間保管した。
(2)アイスミルクの評価
冷凍庫からアイスミルクを取り出し、25℃で10分放置し、スプーンが刺さる程度になってから、専門パネラー5人により喫食し、濃厚感、スプーン通りおよびざらつきについて、下記の評価基準に従って5段階評価を行い、平均点を評価値とした。
〔濃厚感(濃厚な乳感)〕
5点 非常に濃厚感がある。
4点 かなり濃厚感がある。
3点 やや濃厚感がある。
2点 あまり濃厚感がない。
1点 濃厚感がない。

〔スプーン通り〕
5点 非常にスプーン通りがよい。
4点 かなりスプーン通りがよい。
3点 ややスプーン通りがよい。
2点 あまりスプーン通りがよくない。
1点 スプーン通りが悪い。

〔ざらつき〕
5点 ざらつきがない。
4点 ざらつきがほとんどない。
3点 ややざらつきがある。
2点 とてもざらつきがある。
1点 非常にざらつきがある。
[2-2]アイスミルク(その2)
表2-2に示した組成を用い、成分(b)の種類を変えたこと以外は、前記[2-1]と同様にしてアイスミルクを調製し、得られたアイスミルクの濃厚感、スプーン通りおよびざらつきを、専門パネラー5人により評価した。結果を表2-2に示す。
[2-3]アイスミルク(その3)
表2-3に示した組成を用い、成分(a)の種類を変えたこと以外は、前記[2-1]と同様にしてアイスミルクを調製し、得られたアイスミルクの濃厚感、スプーン通りおよびざらつきを、専門パネラー5人により評価した。結果を表2-3に示す。
[2-4]アイスミルク(その4)
表2-4に示した組成を用い、成分(b)の種類を変えたこと以外は、前記[2-1]と同様にしてアイスミルクを調製し、得られたアイスミルクの濃厚感、スプーン通りおよびざらつきを、専門パネラー2人により評価した。結果を表2-4に示す。
[2-5]ラクトアイス
表2-5に示した組成を用い、脱脂粉乳を用いないこと以外は、前記[2-1]と同様にしてラクトアイスを調製し、-50℃で保管後、25℃で10分放置し、スプーンが刺さる程度になってから、ラクトアイスを喫食して、濃厚感、スプーン通りおよびざらつきを、専門パネラー2人により評価した。結果を表2-5に示す。
上記の実施例および比較例に示されるとおり、本発明によれば、成分(a)および(b)を配合することにより、乳脂肪分の配合量を抑えながら、乳脂肪分が作り出すような自然なミルクの濃厚感を冷凍菓子に付与することができる。また、冷凍菓子における氷結晶の生成および成長を抑制し、ざらつきがなく、滑らかな食感の冷凍菓子が得られる。

Claims (10)

  1. (a)生馬鈴薯澱粉および前記生馬鈴薯澱粉の化工澱粉からなる群から選ばれる1種または2種以上の馬鈴薯澱粉と、ポリグリセリン脂肪酸エステルとを、0MPa以上20MPa以下の圧力条件下にて加熱処理してなる食品用澱粉組成物であって、澱粉-脂質複合体を含む、前記食品用澱粉組成物、および
    (b)増粘多糖類
    を含む、冷凍菓子用食感改良剤。
  2. 前記成分(a)において、前記生馬鈴薯澱粉の化工澱粉が、前記生馬鈴薯澱粉に、ヒドロキシプロピル化およびエステル化からなる群から選ばれる1種または2種の化工処理が施されてなる化工澱粉である、請求項1に記載の冷凍菓子用食感改良剤。
  3. 前記成分(b)が、ローカストビーンガム、タマリンドシードガム、タラガム、グァーガム、ネイティブジェランガム、ペクチンおよびカラギナンからなる群から選ばれる1種または2種以上である、請求項1または2に記載の冷凍菓子用食感改良剤。
  4. 前記成分(a)100質量部に対し、前記成分(b)0.5質量部以上40質量部以下を含む、請求項1から3のいずれか1項に記載の冷凍菓子用食感改良剤。
  5. 成分(a)生馬鈴薯澱粉および前記生馬鈴薯澱粉の化工澱粉からなる群から選ばれる1種または2種以上の馬鈴薯澱粉と、ポリグリセリン脂肪酸エステルとを、0MPa以上20MPa以下の圧力条件下にて加熱処理してなる食品用澱粉組成物であって、澱粉-脂質複合体を含む、前記食品用澱粉組成物、および
    成分(b)増粘多糖類
    を含む、冷凍菓子用含水クリーム。
  6. 前記冷凍菓子用含水クリーム100質量部に対し、前記成分(a)0.5質量部以上6質量部以下を含む、請求項5に記載の冷凍菓子用含水クリーム。
  7. 前記冷凍菓子用含水クリーム100質量部に対し、前記成分(b)0.01質量部以上1質量部以下を含む、請求項5または6に記載の冷凍菓子用含水クリーム。
  8. 請求項5から7のいずれか1項に記載の冷凍菓子用含水クリームを含む、冷凍菓子。
  9. 冷凍菓子に、
    (a)生馬鈴薯澱粉および前記生馬鈴薯澱粉の化工澱粉からなる群から選ばれる1種または2種以上の馬鈴薯澱粉と、ポリグリセリン脂肪酸エステルとを、0MPa以上20MPa以下の圧力条件下にて加熱処理してなる食品用澱粉組成物であって、澱粉-脂質複合体を含む、前記食品用澱粉組成物、および
    (b)増粘多糖類
    を配合することを含む、冷凍菓子に濃厚感を付与する方法。
  10. 冷凍菓子に、
    (a)生馬鈴薯澱粉および前記生馬鈴薯澱粉の化工澱粉からなる群から選ばれる1種または2種以上の馬鈴薯澱粉と、ポリグリセリン脂肪酸エステルとを、0MPa以上20MPa以下の圧力条件下にて加熱処理してなる食品用澱粉組成物であって、澱粉-脂質複合体を含む、前記食品用澱粉組成物、および
    (b)増粘多糖類
    を配合することを含む、冷凍菓子における氷結晶安定化方法。
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