JP2014113071A - 食用クリーム - Google Patents
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Abstract
【課題】小麦粉、卵、牛乳を由来とする食材を用いることなく、ケーキ用クリームのような保形性や保水性を有する食用クリーム及びその製造方法を提供する。
【解決手段】0.05〜5重量%の植物性油脂を水と混合して乳化させてなる乳化液500〜850重量部と、米粉5〜60重量部と、砂糖5〜50重量部と、増粘安定剤1〜30重量部とを混合し、加熱処理、特に、40〜70℃の温度範囲内で加熱処理をし、保形性や保水性を有する食用クリームとする。
【選択図】なし
【解決手段】0.05〜5重量%の植物性油脂を水と混合して乳化させてなる乳化液500〜850重量部と、米粉5〜60重量部と、砂糖5〜50重量部と、増粘安定剤1〜30重量部とを混合し、加熱処理、特に、40〜70℃の温度範囲内で加熱処理をし、保形性や保水性を有する食用クリームとする。
【選択図】なし
Description
本発明は食用クリームに係り、特に、ケーキに用いる食用クリームの代替品として用いることのできるものとして好適な、アレルギー症患者でも食べることのできる食用クリームの構成及び製造技術に関する。
近年、アレルギー症患者の増加とアレルギー症に対する理解により、アレルギー症患者でも食べることのできる食品の製造が種々試みられている。しかし、そのような食品のほとんどは米粉パンなどの主食類か、ゼリーなどの比較的素材の代替が容易な菓子類であり、小麦粉、卵や乳製品などを主体とするケーキ類や生クリームなどの代用食品は知られていない。特に、生クリームの代用食品は製造が困難である。
従来のクリーム製品としては、以下の特許文献1及び2に記載されているように、米粉を主体とするホワイトソース又はホワイトソースルーが提案されている。また、特許文献3には、米澱粉を原料とする加工澱粉を用いた、カスタードクリーム、フラワーペースト、フィリング、ホワイトソースなどのペースト状食品が記載されている。
しかしながら、上記の特許文献1及び2に記載されているホワイトソースは、いずれも米粉を主原料とするものの、これにバターや牛乳を多量に添加したものであり、アレルギー症患者が食べることのできる食品には到底なり得ない。また、特許文献3に記載されたペースト状食品としては、食材となるフラワーペーストにも少なからぬ量の脱脂粉乳が用いられ、最終食品となるカスタードクリームやホワイトソースには、牛乳、卵、バター、小麦粉などが大量に用いられている。このように、提示の従来文献には、アレルギー源として最も一般的な小麦粉、卵、乳製品を含まない食品の記載は存在しない。
そこで、本発明は上記問題点を解決するものであり、その課題は、小麦粉、卵、牛乳を由来とする食材を用いることなく、ケーキ用クリームのような保形性や保水性を有する食用クリーム及びその製造方法を実現することにある。
斯かる実情に鑑み、本発明の食用クリームは、0.05〜5重量%の植物性油脂を水と混合して乳化させてなる乳化液500〜850重量部と、米粉5〜60重量部と、砂糖5〜50重量部と、増粘安定剤1〜30重量部とを混合し、加熱処理を施してなることを特徴とする。
本発明によれば、0.05〜5重量%の植物性油脂を水と混合して乳化させてなる乳化液を用いることによって、乳製品の代替性を高めることができ、また、乳化液に所定量の米粉、砂糖、増粘安定剤を加えて加熱することによって食用クリームと同等の粘度や保形性を実現することができる。
本発明において、前記乳化液、前記米粉、前記砂糖及び前記増粘安定剤の混合物を40〜70℃の温度範囲内で加熱処理してなることが好ましい。カードランを含む増粘安定剤を添加した混合物を40〜70℃の範囲内で加熱処理することによって、食用クリームの粘度を容易に制御することができ、代替性の高い食用クリームを調製することができる。
本発明において、前記増粘安定剤とは別に3〜30重量部の加工でんぷんを含むことが好ましい。加工でんぷんを添加することにより、増粘安定剤との併用による効果で保水性を向上させることができる。また、のど越しや食感も向上する。
本発明において、ココナッツミルク3〜30重量部をさらに含むことが好ましい。これによれば、食用クリームのなめらかさやミルク感をさらに向上させることができる。
本発明において、前記加熱処理後に0.5〜5重量%の食物繊維を混合してなることが好ましい。これによれば、保水性を高めることにより、冷蔵時、冷凍時の離水を防止することができる。
次に、本発明に係る食用クリームの製造方法は、乳化剤を用いて植物性油脂と水を乳化させて乳化液を調製する乳化工程と、前記乳化液に米粉、砂糖及び増粘安定剤を混合して混合物を調製する混合工程と、前記混合物を加熱して粘度を高めてクリーム状にする最終加熱工程と、を具備することを特徴とする。これによれば、上記乳化液を調製してから米粉、砂糖とともに増粘安定剤を混合し、その後、加熱することによって、牛乳や卵などを用いなくても、生クリームに近い食感の食用クリームを製造することが可能になる。
本発明によれば、小麦粉、卵、牛乳を由来とする食材を用いることなく、ケーキ用クリームのような保形性や保水性を有する食用クリーム及びその製造方法を実現することができるという優れた効果を奏し得る。
次に、添付図面を参照して本発明の食用クリーム及びその製造方法の実施形態について詳細に説明する。
本発明の食用クリームは、植物性油脂を水と混合して乳化させてなる乳化液を用いる。植物性油脂は、なたね油、ココアバター、パーム油などを用いることができる。ただし、風味によって使い分けたり、混合して用いたりすることもできる。なたね油は新鮮なものを使用することが好ましい。ココアバターなどの固形油脂は風味が強く、乳化しにくいが、なたね油は乳化しやすく、くせも少ない。
植物性油脂と水の比率は、最終的にできあがる食用クリームの粘度にも関係するが、通常、植物性油脂を0.05〜5重量%の範囲内とすることが好ましく、特に、0.1〜2重量%の範囲内とすることが望ましい。ケーキ用食用クリームの最適値としては、0.1〜0.8重量%の範囲内が挙げられる。ただし、植物性油脂の種類によっても配合を変える必要があり、例えば、なたね油の場合には0.2〜0.8重量%の範囲内、ココアバターの場合には0.1〜0.5重量%の範囲内とすることが好適である。植物性油脂の量が多すぎるとこってりするが脂っぽく、しつこくなり、また、後述する乳化工程において植物性油脂が均一に分散された乳化状態を得ることが難しくなる。一方、植物性油脂の量が少なすぎるとミルク感、クリーム感が得られない。
乳化剤は植物性油脂と水を混合して乳化液を調製するために用いる。この乳化液は牛乳や脱脂粉乳などの乳製品の代替素材となる。乳化剤としては、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルなどの合成添加物が挙げられる。天然添加物として、大豆や卵黄から採取されるレシチン、牛乳を原料とするカゼインナトリウムなどがあるが、これらのアレルゲンを由来とする乳化剤は避けることが好ましい。
米粉はうるち米の上新粉や上粉等を用いることができるが、もち米粉なども用いることができ、複数種類の米粉を適宜にブレンドして用いることも可能である。ただし、米粉によって粘度が高くなりすぎることがあるので、本発明の場合にはうるち米の米粉を主体とすることが好ましい。また、米粉はクリームの粘度に影響を与えるため、ブレンドによって粘度の調整を行うことが望ましい。米粉は5〜60重量部の範囲であり、特に、10〜40重量部であることが好ましく、15〜30重量部であることが望ましい。米粉が多すぎると、においが生じるとともに粘度が高まり過ぎて餅のような態様に成り易い。米粉が少なすぎると、クリーム感が薄れ、ボディー感が得られない。また、粘度を高めにくくなり、食用クリームをスポンジケーキに塗った場合に液だれなどを生ずる場合もある。
砂糖は食用クリームに甘味を付けるための素材であるが、甘味以外の食味と粘度にも影響を与える。また、加熱処理前に混合することによって均一性や他の素材との親和性を得ることができる。砂糖の量は5〜50重量部とするが、特に、10〜30重量部とすることが好ましい。他の甘味料を併用する場合には砂糖の量を下限近くまで減量することができる。
増粘安定剤は、本発明では主として食用クリームの粘度を高めるためのゲル化剤として用いる。一般的には、ペクチン、グアーガム、キサンタンガム、タマリンドガム、カラギーナン、プロピレングリコール、カルボキシメチルセルロースなどが挙げられる。本発明では、製造時の温度との関係で食用クリームの粘度を決定する最も重要な要素となる。本発明の製造方法においては、加熱することによって固まる性質を強く有するもの、例えば、カードラン、キサンタンガム等を含むことが好ましい。特に、カードランを増粘安定剤の60重量%以上とすることで、カードランの温度特性により、比較的低温で充分な粘度を得ることができ、温度制御性も良好である。増粘安定剤の量は3〜30重量部とするが、特に、5〜20重量部の範囲内とすることが好ましい。
加熱処理は、増粘安定剤の特性との関係で、所望のクリーム状態を得るために必要な温度に加熱する。特に、加熱温度は40〜70℃の範囲内とし、特に、45〜60℃の範囲内とすることが好ましく、48〜55℃の範囲内とすることが望ましい。
加工でんぷんは、つなぎの役目をするが、上記増粘安定剤と同様に食用クリームの粘度を決定する役割もある。加工でんぷんは、一般に、アセチル化アジピン酸架橋デンプン、アセチル化リン酸化架橋デンプン、アセチル化酸化デンプン、オクテニルコハク酸デンプンナトリウム、酢酸デンプン、酸化デンプン、ヒドロキシプロピルデンプン、ヒドロキシプロピルリン酸架橋デンプン、リン酸モノエステル化リン酸架橋デンプン、リン酸化デンプン、リン酸架橋デンプン、又はこれらの混合物をいう。増粘剤やゲル化剤としても用いられるものであるが、上記増粘安定剤とは別に加工でんぷんを添加することによって、粘度調整が容易になるとともに、食感、のど越し、後味の向上を図ることができる。加工でんぷんの量は3〜30重量部とするが、特に5〜20重量部の範囲内であることが好ましい。
ココナッツミルクを用いることで、乳製品の代替性をさらに高めることができる。ココナッツミルクは他の素材とともに乳化液に混合してもよいが、加熱処理によって匂いや色に影響が出る場合があるので、加熱処理後に添加することが好ましい。ココナッツミルクの量は3〜30重量部とするが、特に5〜20重量部とすることが好ましく、10〜15重量部とすることが望ましい。量が多すぎるとココナッツミルクの風味が強くなりすぎ、量が少ないとミルク感が低下する。
食物繊維は、食用クリームの保水性を高め、冷蔵・冷凍後の離水を防止するために用いる。食物繊維としては、セルロース、ヘミセルロース、リグニンなどの不溶性食物繊維を用いることが好ましく、キチン、キトサンなどの甲殻類由来のものは避けることが望ましい。食物繊維は粉末状のものを用いる。平均粒径は5〜30μmの範囲内であることが好ましく、特に5〜15μmの範囲内であることが望ましい。食物繊維の量は、得られた食用クリームの0.5〜5重量%とするが、特に、1〜3重量%とすることが好ましい。食物繊維の量が多すぎるとゼリー状になるなど、なめらかさなどのクリーム感に悪影響を与える場合があり、量が少なすぎると保水効果が得られず、時間の経過、冷蔵、冷凍などによって離水が生じやすくなる場合がある。
(乳化工程)上記乳化液の調製方法としては、水を30〜50℃の範囲内、好ましくは35〜40℃に加熱し、植物性油脂を乳化剤とともに投入する。ホモジナイザー等によって強制的に乳化させることもできるが、加熱しながら攪拌する方法を用いると、容易に植物性油脂の均一な分散状態を得ることができる。なお、ココアバター等の固形油脂の場合には予め加熱して液状にして投入する。後者の方法では、植物性油脂を投入した後に加熱しながらハンドミキサー等で攪拌する。攪拌時間は通常5〜10分程度であり、温度は最終的に80〜105℃程度とすることが好ましいが、特に、85〜96℃の範囲内とすることが望ましい。このように乳化液が調製されると、乳化液の変質を防止するために、ブラストチラー等によって急速に冷却し、次の混合工程に用いる温度、例えば30〜50℃の範囲まで温度を降下させることが好ましい。なお、上述の加熱方法を採用した乳化工程において米粉や砂糖を投入すると、乳化液の粘度が過剰になってしまうため、その後の工程に影響を与える。
(混合工程)上記乳化液に、米粉、砂糖、増粘安定剤を添加して混合して混合物を調製する。このとき、乳化液は30〜50℃の範囲内の温度とすることが好ましく、特に、40〜45℃の温度範囲内とすることが望ましい。温度が低すぎるとジューサーミキサーやハンドミキサー等で混合する場合には均一な混合が難しくなり、温度が高すぎると増粘安定剤の作用により粘度が高くなりすぎる場合がある。砂糖は食用クリームに甘味を付けるために用いられるが、混合工程において投入する砂糖その他の甘味料と、最終加熱工程後に投入される甘味料とによって食用クリームの甘味が決定される。一般に、混合工程において甘味料を投入すると均一性や分散性が高くなるため、分散性が悪く、混合しにくい甘味料(甘味の強い甘味料や固体状の甘味料)は混合工程において投入し、分散性が良好で混合しやすい甘味料(液体甘味料や食味の微調整のための微量の甘味料)は最終加熱工程後に投入することが望ましい。また、香を生かしたい甘味料(フレーバー類)は、加熱によって香が失われ易いので、最終加熱工程後に投入することが望ましい。
増粘安定剤は種々のものがあるが、加熱によって固まる性質が制御しやすいものが望まれる。本実施形態ではカードランを主体として用い、これに他の一般的なゲル化剤を併用している。加工でんぷんを添加する場合にはこの混合工程において混合する。加工でんぷんの量が多すぎると食用クリームの粘度が高くなりやすく、温度による粘度調整が困難になる。量が少なすぎると保水性や食感に関する効果が得られない。
(最終加熱工程)最終加熱工程は上記混合工程によって得られた混合物を加熱する。なお、この工程を上記混合工程と連続的に行うことも可能である。この場合には、上記混合物を攪拌しながら加熱を開始する。この工程では、加熱することによって増粘安定剤を含む混合物の粘度を高めてクリーム状にする。食用クリームの粘度は加熱温度と加熱時間に依存すると考えられるため、混合物の配合比率に応じて温度と時間を制御することが好ましい。特に、均一な加熱処理を施すために、攪拌しながら加熱することが望ましい。この工程により食用クリームとしての基本的な物理的性質や食感が決定される。
(食味調整工程)その後、食用クリームの物理的性質や食感を調整するために各種の素材を添加する。この工程ではココナッツミルクを混合する場合がある。ココナッツミルクは食用クリームのミルク感を高める。最終加熱工程後にココナッツミルクを加えることにより、ココナッツミルクに対する加熱時間を短くすることができるため、においの発生や変色を回避することができる。また、この工程では、各種シロップなどの甘味料や香料を添加することができる。この食味調整の目的で添加する素材の分散性や均一性は、上記最終加熱工程直後の比較的高い温度で行うことによって得られやすいが、一方で加熱による変成や揮発による喪失も生じ得るため、最終加熱工程の加熱温度との関係で、制御された温度域で行うことが望ましい場合もある。
(食物繊維添加工程)最後に、食用クリームの重さに応じて食物繊維を添加することが好ましい。食物繊維の添加目的は主として保水性の向上にある。ここで、素材の配合や製造条件を一定にしても、製造環境の温度、湿度等によって完成量にはばらつきが生じるため、上述のように完成量に対する比率で添加する。
(実施例1)
30〜50℃程度、好ましくは40〜48℃の温度範囲内に加熱した水800gに植物性油脂としてココアバター1gを加熱して液状にして投入し、乳化剤としてポエムBS−20(理研ビタミン社製)を5g添加して80〜96℃まで加熱しながらハンドミキサー等で攪拌した。ここで、植物性油脂と乳化剤は数回に分けて投入することが好ましく、必要に応じて加熱するが、この場合には加熱をときどき中断して油が浮いていないかどうか確認しては再び加熱するといったことを繰り返し、油分が均一に分散した乳化液を調製した(乳化工程)。乳化液は調製後、ブラストチラー等により急速に40℃程度まで冷却した。
30〜50℃程度、好ましくは40〜48℃の温度範囲内に加熱した水800gに植物性油脂としてココアバター1gを加熱して液状にして投入し、乳化剤としてポエムBS−20(理研ビタミン社製)を5g添加して80〜96℃まで加熱しながらハンドミキサー等で攪拌した。ここで、植物性油脂と乳化剤は数回に分けて投入することが好ましく、必要に応じて加熱するが、この場合には加熱をときどき中断して油が浮いていないかどうか確認しては再び加熱するといったことを繰り返し、油分が均一に分散した乳化液を調製した(乳化工程)。乳化液は調製後、ブラストチラー等により急速に40℃程度まで冷却した。
上記の乳化液に、米粉10gと砂糖20gをゲル化剤であるカードランNS(キリン協和フーズ社製)2〜3g及びキサンタンガム(小川香料社製)1gの合計3〜4gとともに投入して溶解させた。米粉と砂糖は乳化液の温度が40℃程度で溶解するが、50℃以上になるとゲル化剤が反応して粘度が高くなるので、ゲル化剤が反応しないように乳化液を50℃未満に保ってハンドミキサーを用いてミキシングすることにより溶解させた。実際には41〜45℃の範囲に制御した。これによって粘度が増加し、全体としてクリーム状になった(混合工程)。
上記のクリーム状のものは少し粘度が緩めであるため、ここで再度加熱して上記のゲル化剤を反応させる。攪拌しながら加熱温度が50℃になったら即座に加熱を終了した(最終加熱工程)。この後、ココナッツミルク10gを投入して攪拌した。また、甘味料としてバニラシロップ(モナン社製)を25g程度、香料としてミルクフレーバー(小川香料社製)を1g程度混合し、ハンドミキサーで攪拌し、食用クリームを完成させた。なお、上記バニラシロップは濃すぎるため、10gの水で希釈して混合しして食用クリームを完成させた。その後、冷蔵庫で24時間冷蔵した。
(実施例2)
実施例1と基本的には同じ方法で行ったが、上記実施例2の条件に対して、上記乳化工程においてココアバターを2gとするとともに乳化剤を7gとし、上記混合工程において米粉を20gに増量し、砂糖を35gに増量するとともにタピオカでんぷん5gを追加し、最終加熱後に投入するココナッツミルクを15gに増量して、食用クリームを完成させた。乳化時の温度は若干高温になった。その後、実施例1と同様に冷蔵した。
実施例1と基本的には同じ方法で行ったが、上記実施例2の条件に対して、上記乳化工程においてココアバターを2gとするとともに乳化剤を7gとし、上記混合工程において米粉を20gに増量し、砂糖を35gに増量するとともにタピオカでんぷん5gを追加し、最終加熱後に投入するココナッツミルクを15gに増量して、食用クリームを完成させた。乳化時の温度は若干高温になった。その後、実施例1と同様に冷蔵した。
(実施例3)
実施例2と基本的には同じ方法で行ったが、上記実施例3の条件に対して、上記混合工程においてゲル化剤を5g(カードラン4g、キサンタンガム1g)に増量するとともに、上記タピオカでんぷんの代わりに加工でんぷんとしてジェルコールA−13(J−オイルミルズ社製)8gを添加し、食用クリームを完成させた。なお、ジェルコールA−13は実際には当初3gから初め、最終的に8gとした。
実施例2と基本的には同じ方法で行ったが、上記実施例3の条件に対して、上記混合工程においてゲル化剤を5g(カードラン4g、キサンタンガム1g)に増量するとともに、上記タピオカでんぷんの代わりに加工でんぷんとしてジェルコールA−13(J−オイルミルズ社製)8gを添加し、食用クリームを完成させた。なお、ジェルコールA−13は実際には当初3gから初め、最終的に8gとした。
(実施例4)
実施例3と基本的には同じ方法で完成させた食用クリームに対して2重量%の量の、食物繊維(セルロース)としてKCフロックW−400G(日本ケミカル社製、粉末セルロース、平均粒径が24μm)を添加して均一に攪拌した。
実施例3と基本的には同じ方法で完成させた食用クリームに対して2重量%の量の、食物繊維(セルロース)としてKCフロックW−400G(日本ケミカル社製、粉末セルロース、平均粒径が24μm)を添加して均一に攪拌した。
(実施例5)
ケーキ用クリームとしてのなめらかさ、強度、食味などをさらに改善するために、実施例4の条件に対して、植物性油脂をなたね油3gとし、水を600gに減量して食用クリームを完成させた。
ケーキ用クリームとしてのなめらかさ、強度、食味などをさらに改善するために、実施例4の条件に対して、植物性油脂をなたね油3gとし、水を600gに減量して食用クリームを完成させた。
(実施例6)
実施例5の条件をさらに試行錯誤により検討し、乳化剤を8gに増量し、米粉を40gまで増量した。また、合成甘味料を増量した一方で砂糖を10gに減量した。さらに、増粘安定剤をカードラン15gとキサンタンガム5gの合計20gに増量した。加工でんぷんも15gに増量している。なお、食物繊維は、添加量は2重量%のままであるが、KCフロックNPファイバーW−10MG2(日本製紙ケミカル社製、粉末セルロース、平均粒径が約10μm)に変更した。最後に添加するバニラシロップを30gに増量し、ミルクフレーバーも3gに増量した。本実施例では上記のように素材量を大幅に変更したとともに製造条件等も変更したため、以下に詳細を記述する。
実施例5の条件をさらに試行錯誤により検討し、乳化剤を8gに増量し、米粉を40gまで増量した。また、合成甘味料を増量した一方で砂糖を10gに減量した。さらに、増粘安定剤をカードラン15gとキサンタンガム5gの合計20gに増量した。加工でんぷんも15gに増量している。なお、食物繊維は、添加量は2重量%のままであるが、KCフロックNPファイバーW−10MG2(日本製紙ケミカル社製、粉末セルロース、平均粒径が約10μm)に変更した。最後に添加するバニラシロップを30gに増量し、ミルクフレーバーも3gに増量した。本実施例では上記のように素材量を大幅に変更したとともに製造条件等も変更したため、以下に詳細を記述する。
本実施例では、まず、水を36〜38℃程度に加熱して、ここになたね油雄及び乳化剤(ポエムBS−20)を入れ、ハンドミキサー等で1〜2分程度攪拌する。その後、加熱しながらさらにハンドミキサー等で攪拌する。攪拌時間は少なくとも5分以上、好適には7〜8分程度で、温度は85〜95℃程度になる。これで乳化液が調製された。
次に、上記乳化液をブラストチラー等で急速冷却し、40〜43℃程度とする。この乳化液に、ジューサーミキサーを使って、米粉、甘味料、砂糖、カードラン、キサンタンガム、ジェルコールA−13を混合し、混合物を調製する。この工程でジューサーミキサーを使用するのは、高い攪拌能力が要求されるからである。最後に、上記混合物を攪拌しながら49〜51℃の温度で45〜50秒加熱し、粘度を高める。米粉はボディー感を高めるために増量した。上記甘味料としてサネット(キリン協和フーズ)0.3gを併用したので、砂糖の量は上述のように減量した。また、米粉を増量したためと、製造時からの時間経過で粘度が低下し緩くなる点を改善するために、増粘安定剤を上述のように増量した。
上記のようにして調製された食用クリームに対して、味付けを行う。上記最終加熱工程の直後に、ココナッツミルク、甘味料及び香料としての上記バニラシロップと上記ミルクフレーバーを入れ、ハンドミキサーで混合した。その後、食物繊維として、製造された食用クリームの量に対して2重量%の上記KCフロックNPファイバーW−10MG2を添加し、ハンドミキサーにより攪拌して分散させた。最後に、ブラストチラー等により10℃程度まで冷却することにより、食用クリームを完成させた。
(比較例1)
ライスミルクを30〜40℃程度まで加熱した上で、片栗粉、コーンスターチ、タピオカでんぷんをそれぞれ投入してみた。
ライスミルクを30〜40℃程度まで加熱した上で、片栗粉、コーンスターチ、タピオカでんぷんをそれぞれ投入してみた。
(比較例2)
ライスミルク130gを水60gで薄め、30〜40℃程度に加熱した後、ココナッツミルク10gを混合するとともにゲル化剤カードランを1〜3g程度添加した。その後、液体を攪拌しながら加熱し、40〜60℃の範囲で加熱した。
ライスミルク130gを水60gで薄め、30〜40℃程度に加熱した後、ココナッツミルク10gを混合するとともにゲル化剤カードランを1〜3g程度添加した。その後、液体を攪拌しながら加熱し、40〜60℃の範囲で加熱した。
(比較例3)
30〜40℃程度に加熱した水800gになたね油5gを投入し、乳化剤として上記ポエムBS−20を1g添加して80〜96℃の温度まで加熱した。加熱をときどき中断してなたね油が浮いていないかどうか確認しては再び加熱するといったことを繰り返した。
30〜40℃程度に加熱した水800gになたね油5gを投入し、乳化剤として上記ポエムBS−20を1g添加して80〜96℃の温度まで加熱した。加熱をときどき中断してなたね油が浮いていないかどうか確認しては再び加熱するといったことを繰り返した。
(比較例4)
なたね油をココアバターに代えて乳化液を調製した。最初は3gのココアバターを用いたが、風味が強いため、最終的に1gとした。
なたね油をココアバターに代えて乳化液を調製した。最初は3gのココアバターを用いたが、風味が強いため、最終的に1gとした。
(比較例5)
ライスミルクの代わりに米粉を用いることにし、まず、米粉50gを上記乳化工程で投入した。
ライスミルクの代わりに米粉を用いることにし、まず、米粉50gを上記乳化工程で投入した。
(比較例6)
上記乳化工程において、米粉の投入をやめ、先に砂糖を投入して乳化液を調製する方法を試みた。
上記乳化工程において、米粉の投入をやめ、先に砂糖を投入して乳化液を調製する方法を試みた。
以上の実施例1〜6、比較例1〜6の組成や製造条件を以下の表1及び表2にまとめた。
上記各実施例及び比較例において確認した特性を表3及び表4にまとめる。ここで、各表の特性欄に記載する記号は、◎、○、△、×の順で好ましい特性であることを示し、◎+はさらに好ましい特性であることを示す。なお、比較例は発明者が本発明を完成させるまでの過程で種々試みた例であるため、以下の説明では、上記過程を追いながら、各比較例及び各実施例の特性について説明する。
最初に一般的なケーキ用クリームを作る材料のうち、牛乳、脱脂粉乳、ホイップクリームの素などのアレルゲン又はアレルゲン由来のものを特定し、代用品を検討した。その結果、ライスミルクとココナッツミルク、片栗粉、コーンスターチ、タピオカでんぷんなどの代用品に、砂糖、植物性油脂(なたね油)などを用いることとした。
(比較例1)
まず、ライスミルクを主原料とすることとし、片栗粉を混合してジェル状にした。しかし、一旦はジェル状になるものの、時間が経過すると離水が激しく使用できないことがわかった。片栗粉の代わりにコーンスターチを使用しても同様の結果となった。また、片栗粉の代わりにタピオカでんぷんを使用したが、プリンのように凝固してしまうとともに離水があるために使用できないことがわかった。また、これらの方法では、ライスミルクに含まれる米糖化液の加熱によって異臭や苦みを生ずることが判明した。
まず、ライスミルクを主原料とすることとし、片栗粉を混合してジェル状にした。しかし、一旦はジェル状になるものの、時間が経過すると離水が激しく使用できないことがわかった。片栗粉の代わりにコーンスターチを使用しても同様の結果となった。また、片栗粉の代わりにタピオカでんぷんを使用したが、プリンのように凝固してしまうとともに離水があるために使用できないことがわかった。また、これらの方法では、ライスミルクに含まれる米糖化液の加熱によって異臭や苦みを生ずることが判明した。
(比較例2)
次に、ライスミルクを半固体にする他の素材を探索したが、食品の類では発見できなかったので、食品添加物のゲル化剤(増粘安定剤)を用いることとした。ゲル化剤は、上記カードランNSや上記キサンタンガムを用いた。ライスミルクにゲル化剤を添加し、加熱する方法を採用したが、加熱する温度帯によって、ジェル状というよりもゼリーのように固まったり、ゴムのようになったりしたため、断念した。また、上記異臭や苦みは、加熱後にココナッツミルクを添加しても解消できなかった。また、ライスミルクを水でうすめてからココナッツミルクを添加することとした。加熱温度帯やゲル化剤の添加量を調整しながら何度も試みたが、いずれもゼリーやゴムを連想させるような状態になってしまう。また、食味もココナッツミルクの味となってしまった。
次に、ライスミルクを半固体にする他の素材を探索したが、食品の類では発見できなかったので、食品添加物のゲル化剤(増粘安定剤)を用いることとした。ゲル化剤は、上記カードランNSや上記キサンタンガムを用いた。ライスミルクにゲル化剤を添加し、加熱する方法を採用したが、加熱する温度帯によって、ジェル状というよりもゼリーのように固まったり、ゴムのようになったりしたため、断念した。また、上記異臭や苦みは、加熱後にココナッツミルクを添加しても解消できなかった。また、ライスミルクを水でうすめてからココナッツミルクを添加することとした。加熱温度帯やゲル化剤の添加量を調整しながら何度も試みたが、いずれもゼリーやゴムを連想させるような状態になってしまう。また、食味もココナッツミルクの味となってしまった。
(比較例3)
次に、今までのようにいきなり固めるのではなく、まず強いとろみがあるものを作り、これをかためていくという考え方に変更した。そこで、最初に植物性油脂と水を乳化剤で乳化させて乳化液を作ることを考えた。乳化液を作成する方法としてはホモジナイザー(高速攪拌機)を用いる方法もあるが、加熱しながら攪拌することで乳化させることができることが判明した。
次に、今までのようにいきなり固めるのではなく、まず強いとろみがあるものを作り、これをかためていくという考え方に変更した。そこで、最初に植物性油脂と水を乳化剤で乳化させて乳化液を作ることを考えた。乳化液を作成する方法としてはホモジナイザー(高速攪拌機)を用いる方法もあるが、加熱しながら攪拌することで乳化させることができることが判明した。
(比較例4)
上記比較例3では植物性油脂としてなたね油を用いたが、加熱による乳化後のにおいが気になったため、植物性油脂をココアバターに変えた。しかし、風味が強く、こってり感が強すぎるために使用量をなたね油よりも減量した。ココアバターは風味が強く、乳化時に油の塊が残りやすい傾向にある。一方、なたね油は乳化しやすく、あっさりしている。
上記比較例3では植物性油脂としてなたね油を用いたが、加熱による乳化後のにおいが気になったため、植物性油脂をココアバターに変えた。しかし、風味が強く、こってり感が強すぎるために使用量をなたね油よりも減量した。ココアバターは風味が強く、乳化時に油の塊が残りやすい傾向にある。一方、なたね油は乳化しやすく、あっさりしている。
(比較例5)
比較例3及び4で異臭や苦みがなかったため、比較例2の異臭や苦みの原因をライスミルクと断定し、ライスミルクの代替を検討した。その結果、米粉を用いることとした。まず、上記乳化工程で米粉を投入してみたが、乳化液が粘度の強いおかゆ状のものになってしまった。
比較例3及び4で異臭や苦みがなかったため、比較例2の異臭や苦みの原因をライスミルクと断定し、ライスミルクの代替を検討した。その結果、米粉を用いることとした。まず、上記乳化工程で米粉を投入してみたが、乳化液が粘度の強いおかゆ状のものになってしまった。
(比較例6)
次に、上記乳化工程で米粉を投入することを断念し、その代わりに味付けを先に行う意味で砂糖を投入したが、乳化液がカラメル状のものになってしまった。
次に、上記乳化工程で米粉を投入することを断念し、その代わりに味付けを先に行う意味で砂糖を投入したが、乳化液がカラメル状のものになってしまった。
(実施例1)
上記の結果、乳化工程が重要ではあるが、乳化工程で米粉や砂糖を入れると粘度が高くなりすぎることがわかったので、乳化液を調製した後に、米粉、砂糖を投入することとした。また、粘度を調整してクリーム状にするために増粘安定剤であるゲル化剤を添加することにした。ここで、ゲル化剤の加熱により固まる性質を利用して、温度管理をすることによって粘度の調整をしていくことで、多少緩め(やわらか目)ではあるもののクリーム状の構成が得られるようになった。外観と強度や粘度などの物理的性質も生クリームに比較的近く、甘味料や香料を添加することで食味も改善された。ただし、冷蔵保存の結果、24時間経過した後に取り出してみると、離水が観察された。そこで、増粘安定剤を3gから4gに増量した。その結果、多少の改善はみられたが、36時間の冷蔵によって離水が生じたため、離水問題の完全な解消はできなかった。
上記の結果、乳化工程が重要ではあるが、乳化工程で米粉や砂糖を入れると粘度が高くなりすぎることがわかったので、乳化液を調製した後に、米粉、砂糖を投入することとした。また、粘度を調整してクリーム状にするために増粘安定剤であるゲル化剤を添加することにした。ここで、ゲル化剤の加熱により固まる性質を利用して、温度管理をすることによって粘度の調整をしていくことで、多少緩め(やわらか目)ではあるもののクリーム状の構成が得られるようになった。外観と強度や粘度などの物理的性質も生クリームに比較的近く、甘味料や香料を添加することで食味も改善された。ただし、冷蔵保存の結果、24時間経過した後に取り出してみると、離水が観察された。そこで、増粘安定剤を3gから4gに増量した。その結果、多少の改善はみられたが、36時間の冷蔵によって離水が生じたため、離水問題の完全な解消はできなかった。
(実施例2)
上記の離水を解消するために、保水性を高めることを目的とし、タピオカでんぷんを用いることにしたが、実施例と同様の離水が観察された。
上記の離水を解消するために、保水性を高めることを目的とし、タピオカでんぷんを用いることにしたが、実施例と同様の離水が観察された。
(実施例3)
上記タピオカでんぷんの代わりに加工でんぷんを用いることとした。使用量を3gから開始し、徐々に増加させていくことで離水が減少し、最終的に8gとすることで、24時間の冷蔵、36時間の冷蔵の後にも離水が発生しなくなった。
上記タピオカでんぷんの代わりに加工でんぷんを用いることとした。使用量を3gから開始し、徐々に増加させていくことで離水が減少し、最終的に8gとすることで、24時間の冷蔵、36時間の冷蔵の後にも離水が発生しなくなった。
(実施例4)
スポンジケーキに塗布した結果、塗りダレが発生したため、検討したところ、外見上離水は発生しなくなったが保水性が充分でなく、時間の経過とともに水分が溶出して緩くなる傾向が見られた。そこで、水分を吸収する素材として食物繊維を添加することとした。食物繊維は食用クリームの本来的なボディーを構成するものではなく、また、最初から吸水した状態では添加効果が得られないものと思われ、さらに仕上がり量に対して配合を勘案する必要があるとも考えたため、最終段階で添加することとした。その結果、保水性が向上し、塗りダレも改善された。
スポンジケーキに塗布した結果、塗りダレが発生したため、検討したところ、外見上離水は発生しなくなったが保水性が充分でなく、時間の経過とともに水分が溶出して緩くなる傾向が見られた。そこで、水分を吸収する素材として食物繊維を添加することとした。食物繊維は食用クリームの本来的なボディーを構成するものではなく、また、最初から吸水した状態では添加効果が得られないものと思われ、さらに仕上がり量に対して配合を勘案する必要があるとも考えたため、最終段階で添加することとした。その結果、保水性が向上し、塗りダレも改善された。
(実施例5)
全体構成としてはほぼ問題はなくなったが、生クリームとしての食感や物理的特性にさらに近づけるため、植物性油脂をなたね油に戻し、水を減量してみた。その結果、一般的なケーキ用クリームに極めて近い外観、物理的特性、食感が得られた。また、離水もなく、冷凍保存後の解凍でも問題は生じなかった。
全体構成としてはほぼ問題はなくなったが、生クリームとしての食感や物理的特性にさらに近づけるため、植物性油脂をなたね油に戻し、水を減量してみた。その結果、一般的なケーキ用クリームに極めて近い外観、物理的特性、食感が得られた。また、離水もなく、冷凍保存後の解凍でも問題は生じなかった。
(実施例6)
その後、種々の試行錯誤の結果、時間の経過とともに全体に強度が低下し、緩い状態になる点のさらなる改善を図るために、各素材の配合割合や製造条件の改善を試みた。その結果、生クリームに近い食感等が得られる範囲内で、米粉、増粘安定剤、加工でんぷんを増量した。また、混合工程で甘味料を使用することで砂糖を原料するとともに、最終加熱工程後の甘味料を若干増加させて食味を調整した。これによって、全体としてバランスの取れた配合と製造条件が得られた。また、保水性、保形性にも問題はなく、冷蔵保存、冷凍保存でも問題は見られなかった。
その後、種々の試行錯誤の結果、時間の経過とともに全体に強度が低下し、緩い状態になる点のさらなる改善を図るために、各素材の配合割合や製造条件の改善を試みた。その結果、生クリームに近い食感等が得られる範囲内で、米粉、増粘安定剤、加工でんぷんを増量した。また、混合工程で甘味料を使用することで砂糖を原料するとともに、最終加熱工程後の甘味料を若干増加させて食味を調整した。これによって、全体としてバランスの取れた配合と製造条件が得られた。また、保水性、保形性にも問題はなく、冷蔵保存、冷凍保存でも問題は見られなかった。
尚、本発明の食用クリーム及びその製造方法は、上述の図示例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、上記実施例はいずれもケーキ用生クリームの代替品を目標に素材の配合や製造条件を決定したものであるが、本発明はケーキ用生クリームに限らず、種々の食品に用いることのできる食材としての食用クリームに適用可能である。特に、甘味を有する食用クリーム、例えば、カスタードクリーム、バタークリーム、サワークリーム、アイスクリームなどの代替品として用いる場合に好適である。
Claims (6)
- 0.05〜5重量%の植物性油脂を水と混合して乳化させてなる乳化液500〜850重量部と、米粉5〜60重量部と、砂糖5〜50重量部と、増粘安定剤1〜30重量部とを混合し、加熱処理を施してなることを特徴とする食用クリーム。
- 前記乳化液、前記米粉、前記砂糖及び前記増粘安定剤の混合物を40〜70℃の温度範囲内で加熱処理してなることを特徴とする請求項1に記載の食用クリーム。
- 前記増粘安定剤とは別に3〜30重量部の加工でんぷんを含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の食用クリーム。
- ココナッツミルク3〜30重量部をさらに含むことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の食用クリーム。
- 前記加熱処理後に0.5〜5重量%の食物繊維を混合してなることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の食用クリーム。
- 乳化剤を用いて植物性油脂と水を乳化させて乳化液を調製する乳化工程と、前記乳化液に米粉、砂糖及び増粘安定剤を混合して混合物を調製する混合工程と、前記混合物を加熱して粘度を高めてクリーム状にする最終加熱工程と、を具備することを特徴とする食用クリームの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2012267695A JP2014113071A (ja) | 2012-12-06 | 2012-12-06 | 食用クリーム |
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Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2018171057A (ja) * | 2017-03-31 | 2018-11-08 | 株式会社カネカ | フィリング用油脂組成物 |
CN112753944A (zh) * | 2021-01-25 | 2021-05-07 | 鑫兰食品武汉有限公司 | 一种植物奶油及其制作方法 |
WO2021153726A1 (ja) * | 2020-01-29 | 2021-08-05 | 日清フーズ株式会社 | クリーム系ソース用乳化液及びクリーム系ソース |
WO2021200163A1 (ja) * | 2020-03-31 | 2021-10-07 | 不二製油グループ本社株式会社 | フォーミング用ナッツミルク及びその製造方法 |
-
2012
- 2012-12-06 JP JP2012267695A patent/JP2014113071A/ja active Pending
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WO2021153726A1 (ja) * | 2020-01-29 | 2021-08-05 | 日清フーズ株式会社 | クリーム系ソース用乳化液及びクリーム系ソース |
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CN112753944A (zh) * | 2021-01-25 | 2021-05-07 | 鑫兰食品武汉有限公司 | 一种植物奶油及其制作方法 |
CN112753944B (zh) * | 2021-01-25 | 2023-12-15 | 鑫兰食品武汉有限公司 | 一种植物奶油及其制作方法 |
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