JP2018174745A - ベーカリー用可塑性油中水型乳化油脂組成物 - Google Patents
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Abstract
Description
なかでも、マーガリンやショートニング等の油脂組成物中に各種改良成分を含有させた製パン練り込み用油脂組成物は、パン生地混捏時の最終段階で生地に添加することにより、生地のグルテン形成に影響を与えることなく各種製パン改良成分をパン生地に添加可能な点で有利であり、生地物性への影響も少ないことから、各種提案されている。
また、特許文献2〜8に記載の方法では、上記のような水分移行を起こしやすいパンにおいてはその効果が少ないという問題があった。
しかし、特許文献9、10の方法では、得られるパンの老化抑制効果が十分ではなく、特にソフト感が不足するという問題があった。また、特許文献11、12の方法は、水分移行を抑制する効果が十分ではなく、得られるパンのソフト感やしとり感が不足するという問題があった。
本発明は、上記知見に基づいてなされたもので、水不溶性且つ水膨潤性の食物繊維を0.1〜5質量%(組成物基準)含有するベーカリー用可塑性油中水型乳化油脂組成物を提供するものである。
また、本発明は、該ベーカリー生地の加熱品であるベーカリー製品を提供するものである。
更に本発明は、水不溶性且つ水膨潤性の食物繊維を含有する可塑性油中水型乳化油脂組成物を、澱粉類含有生地に練込使用するベーカリー製品の老化防止方法を提供するものである。
よく知られているように、食物繊維とは、栄養学的に「ヒトの消化酵素で消化されない食物中の難消化性成分の総体」と定義され、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維に分類される。水溶性食物繊維としては、ポリデキストロース、アルギン酸、アルギン酸塩、ペクチン、グルコマンナン、アガロース(寒天)、キサンタンガム、カラギーナン、ローカストビーンガム、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、グアーガム、難消化性デキストリン等が代表的であり、また、不溶性食物繊維としては、小麦フスマ、セルロース、リグニン、キチン、キトサン、ヘミセルロース、穀物ファイバー、果実ファイバー等が代表的である。
食物繊維の食品における利用は、栄養学的なものを除くと、増粘剤やゲル化剤としての利用が主となっている。これは、食物繊維が一般的に分子量の多い多糖類であることによる。ここで、水溶性食物繊維は、溶解度の差により冷水可溶性と冷水不溶性に分類されることはあるものの、いずれも熱水には可溶であるため、その使用方法として特に難しい点はないが、不溶性食物繊維の場合は、その使用方法に若干のコツが必要になっている。
即ち、例えばセルロースのように、水に対する溶解性が極端に低い食物繊維の場合は、微細粉末として使用することが行われている。また、穀物ファイバー、果実ファイバーのように、一部水溶性食物繊維を含むものの不溶性食物繊維が主成分であるがために不溶性食物繊維に分類されている「複合型食物繊維」の場合は、水に対して完全に溶解はしないものの、膨潤により多量(2〜10倍)の水分を保持することが可能であることから、時間をかけて十分に膨潤させることにより増粘安定剤としての利用も行われている。
これらの中でも保水性が高いことに加え、水分含量の高い場合であっても、べとつきが少ないパン生地とすることができる点で、アップルファイバー、シトラスファイバー、オレンジファイバー、シュガービートファイバー、コーンファイバー、小麦ファイバー、大豆ファイバー、コンニャクファイバー、低置換度カルボキシメチルセルロースのうちの一種又は二種以上を使用することが好ましく、保水性が特に高いことからシトラスファイバー、オレンジファイバー、小麦ファイバー、コンニャクファイバー、低置換度カルボキシメチルセルロースのうちの一種又は二種以上を使用することがより好ましく、シトラスファイバー及び/又は低置換度カルボキシメチルセルロースを使用することが更に一層好ましい。最も好ましくは、乳化性を有することから、安定した乳化油脂組成物を製造可能なことに加え、特に多加水パン生地から得られたパンの食感が優れている点で、低置換度カルボキシメチルセルロースを使用する。
本発明で使用するオリゴ糖及び/又はデキストリンとしては、単糖が2個以上結合し、且つ、澱粉ではない水溶性の糖であれば問題なく使用することができるが、好ましくは重量平均分子量300〜1000000、より好ましくは330〜100000のものを使用する。
本発明で使用することのできるオリゴ糖としては、結合数2〜20のものであれば問題なく使用可能である。
また、上記オリゴ糖は、しとり感が特に良好なパンが得られる点で、結合数3の糖類(以下三糖類ということがある)の割合が10〜90質量%のオリゴ糖であることが好ましく、30〜60質量%のオリゴ糖であることがより好ましく、40〜50質量%のオリゴ糖であることが更に好ましい。
また、上記オリゴ糖としては、スクロース、ラクトース 、マルトース、トレハロース、ツラノース、セロビオース、マルトオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、ゲンチオオリゴ糖、キチンオリゴ糖、キトサンオリゴ糖、直鎖オリゴ糖、分岐オリゴ糖、ラフィノース、ガラクトオリゴ糖、フラクトオリゴ糖、乳果オリゴ糖、大豆オリゴ糖、ビートオリゴ糖、寒天オリゴ糖(アガロオリゴ糖)、シアリルオリゴ糖、パラチノースオリゴ糖、キシロオリゴ糖、イヌロオリゴ糖、カップリングシュガー、ニゲロオリゴ糖、パノースオリゴ糖、セロオリゴ糖、ペクチンオリゴ糖、レバンオリゴ糖、マンノオリゴ糖、環状オリゴ糖(シクロデキストリン)、還元澱粉糖、直鎖オリゴ糖アルコール、分岐オリゴ糖アルコール、ガラクトシルラクトース等を挙げることができ、これらの中の1種又は2種以上を使用することができるが、なかでも、マルトオリゴ糖、ラフィノース、フラクトオリゴ糖、乳果オリゴ糖及び大豆オリゴ糖のうちの1種又は2種以上を使用することが好ましく、マルトオリゴ糖を使用することが特に好ましい。
即ち、本発明では、上記結合数のマルトオリゴ糖を使用することが最も好ましい。
本発明において、オリゴ糖を使用することで、ソフトでしとり感が良好であるパンを得ることができる。
本発明で使用することのできるデキストリンとしては、澱粉を酵素処理、熱処理、アルカリ処理、酸処理等の方法で低分子化したものであって、水溶性であれば特に制限なく使用することができる。上記デキストリンとしては、その重量平均分子量が3600〜1000000のものを使用することが好ましく、より好ましくは重量平均分子量5000〜50000のデキストリンを使用する。また、上記デキストリンは、DEが2〜10のものであることが好ましく、4〜8のものであることがより好ましい。尚、上記DEはウィルシュテッター・シューデル法による数値を使用する。
ここで、重量平均分子量が1000000を超えるか、又はDEが2より小さいデキストリンであると、水相の粘度が高くなりすぎ、乳化油脂組成物の製造が困難となるおそれがある。一方、重量平均分子量が3600未満であるか、又はDEが10より大きいと、性質がオリゴ糖に近似するため、後述のようにデキストリンとオリゴ糖とを併用した場合に、併用効果が得られにくいことがある。
本発明において、デキストリンを使用することで、ソフトで歯切れが良好であるパンを得ることができる。
デキストリンは、製パン改良効果は高いものの、溶解度がオリゴ糖に比べて低いため、デキストリンのみを使用した場合には、水相に多くを含有させることができない。しかし、オリゴ糖と併用することで、デキストリンの溶解性が改善され、デキストリンの配合量を増やすことができ、更には、得られるパンが、ソフトでありながらしとり感があり、更にねちゃつきの少ない歯切れが良好なものとなる。
また、デキストリンは、焼成直後の製パン改良効果は高いものの、パン生地中に分散した場合、パンの配合や種類によっては老化を促進する場合がある。ここでオリゴ糖を併用することで、老化の促進を抑制することもできる。
本発明で使用する乳清ミネラルとしては、良好な乳風味と口溶けを有するベーカリー用可塑性油中水型乳化油脂組成物が得られる点で、固形分中のカルシウム含量が2質量%未満、好ましくは1質量%未満の乳清ミネラルを使用することが好ましい。尚、該カルシウム含量は低いほど好ましい。乳清ミネラルの固形分中のカルシウム含量は、例えば、高周波誘導結合プラズマ発光分光分析法(ICP)、イオンクロマト法(IC)、原子吸光光度法(AAS)により測定することができるが、高周波誘導結合プラズマ発光分光分析法(ICP)で測定することが好ましい。
本発明のベーカリー用可塑性油中水型乳化油脂組成物中の油脂の含有量は、上記油脂以外の配合原料中に含まれる油脂分も含めた油分含量が、好ましくは3〜95質量%、更に好ましくは5〜90質量%、より好ましくは8〜85質量%であり、最も好ましくは10〜80質量%となる量である。
上記その他の原料は、本発明の目的を損なわない限り、任意に使用することができるが、本発明のベーカリー用可塑性油中水型乳化油脂組成物中、合計で好ましくは30質量%以下、より好ましくは10質量%以下となる範囲で使用する。
まず、油脂を好ましくは40〜70℃に加熱し、溶解させ均一にした後、必要によりその他の油相成分を添加して油相とし、ここに、水不溶性且つ水膨潤性の食物繊維、必要によりオリゴ糖、デキストリン、乳清ミネラル、更にはその他の成分を含有する水相成分を添加、混合し、乳化する。そして殺菌処理するのが望ましい。殺菌方法はタンクでのバッチ式でも、プレート型熱交換機や掻き取り式熱交換機を用いた連続式でも構わない。次に、冷却して可塑化、好ましくは急冷可塑化工程に供する。急冷可塑化する機器としては、密閉型連続式チューブ冷却機、例えばボテーター、コンビネーター、パーフェクター等のマーガリン製造機やプレート型熱交換機等が挙げられ、また、開放型のダイアクーラーとコンプレクターの組み合わせが挙げられる。
また、本発明のベーカリー用可塑性油中水型乳化油脂組成物を製造する際のいずれかの工程で、窒素、空気等を含気させてもよい。
本発明のベーカリー生地は、本発明のベーカリー用可塑性油中水型乳化油脂組成物をしようした含有するベーカリー生地である。
上記のベーカリー生地としては、例えば、クッキー生地、パイ生地、シュー生地、サブレ生地、スポンジケーキ生地、バターケーキ生地、ケーキドーナツ生地等の菓子生地や、食パン生地、フランスパン生地、デニッシュ生地、スイートロール生地、イーストドーナツ生地等のパン生地が挙げられる。本発明のベーカリー生地は、本発明の効果、とくに老化耐性の高い改良効果が得られる点から、パン生地であることが好ましい。
本発明のベーカリー生地は、本発明のベーカリー用可塑性油中水型乳化油脂組成物を生地に含有させることにより、製造することができる。ベーカリー用可塑性油中水型乳化油脂組成物を生地に含有させる方法としては、折り込みであっても練り込みであってもいいが、練り込みであることが好ましい。
尚、本発明のベーカリー生地がパン生地の場合、その製造方法としては、中種法、直捏法、液種法、中麺法、湯種法等、従来製パン法として使用されるあらゆる製パン法を採ることができる。尚、中種法で製造する場合は、本発明のベーカリー用可塑性油中水型乳化油脂組成物を中種生地に練り込んでも本捏生地に添加してもよいが、本捏生地に練り込むことが好ましい。
次に、本発明のベーカリー製品について述べる。
本発明のベーカリー製品は、上記の本発明のベーカリー生地を、適宜、成形し、必要に応じホイロ、リタード、レストをとった後、加熱したものである。
上記成形においては、どのような形状に成形してもよく、型詰めを行っても構わない。これらの成形は、手作業で行っても、連続ラインを用いて全自動で行っても構わない。
焼成する場合の加熱条件は、ベーカリー製品の種類によって異なるが、例えばオーブンを使用する場合、好ましくは150〜240℃で4〜40分、更に好ましくは180〜230℃で8〜30分である。また、フライする場合の加熱条件は、好ましくは180〜260℃で1〜10分、更に好ましくは200〜250℃で2〜5分である。
このようにして得られた本発明のベーカリー製品は、ソフトでしとりと口溶けが良好である。そして、レーズンパンやきな粉スプレッドなどの吸水性の高い素材をフィリングに使用したパンであっても老化耐性の高いパンである。
本発明のベーカリー製品の老化防止方法は、水不溶性且つ水膨潤性の食物繊維を含有すベーカリー用可塑性油中水型乳化油脂組成物を、澱粉類含有生地に使用することを特徴とするものであり、特に、レーズンパンやきな粉スプレッドなどの吸水性の高い素材をフィリングに使用したパンであっても老化耐性の高いパンを得ることができるものである。本明細書において、ベーカリー製品の老化とは、焼成直後はソフトでしとりのある食感であったベーカリー製品が、その主成分である澱粉が老化することにより、経時的に硬くパサついた食感に変化することを意味する。
尚、本発明のベーカリー製品の老化防止方法において、特に詳述しなかった点については、前述の本発明のベーカリー用可塑性油中水型乳化油脂組成物、ベーカリー生地及びベーカリー製品における説明を適宜適用することができる。
チーズを製造する際に副産物として得られる甘性ホエイをナノ濾過膜分離した後、更に逆浸透濾過膜分離により固形分が20質量%となるまで濃縮し、次いで、80℃、20分の加熱処理をして生じた沈殿を遠心分離して除去し、これを更にエバポレーターで濃縮したのち、固形分が40質量%となるように水で希釈し、乳清ミネラルAとした。得られた乳清ミネラルAの固形分中のカルシウム含量は0.4質量%であった。
〔実施例1〕
菜種液状油45質量%、パームスーパーオレイン(ヨウ素価65)のランダムエステル交換油脂45質量%及びパームステアリン10質量%を均一に混合した混合油脂55質量部に、グリセリンモノパルミチン酸エステル5質量部、コハク酸脂肪酸エステル0.5質量部、 ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル0.5質量部、ミックストコフェロール液0.01質量部及び香料0.1質量部を、添加、混合、溶解した油相を70℃に保温した。
一方、水27.54質量部に、オリゴ糖(商品名「ピュアトースS」:サンエイ糖化株式会社製)(結合数3の糖の含量:46%)10質量部、及び、デキストリン(DE=8、重量平均分子量=30000、ワキシーコーン由来、結合数1〜7の糖類含量17質量%、単糖含量0.5質量%、三糖類含量3質量%)0.5質量部、上記乳清ミネラルA0.05質量部、精製塩0.3質量部を溶解し、さらにを、添加、溶解し、低置換度カルボキシメチルセルロース(日本製紙ケミカル製、商品名「サンローズSLD−FM」、カルボキシメチルエーテル基置換度=0.2〜0.3)0.5質量部を添加・分散した水相を用意した。
上記油相に上記水相を添加し、予備乳化液を製造した後、90℃にて1分間、蒸気を用いて殺菌処理し、次いでコンビネーターを用いて急冷可塑化を行ない、本発明のベーカリー用可塑性油中水型乳化油脂組成物1を得た。
実施例1で使用したデキストリンの配合量を0.5質量部から0.1質量部に変更し、更に水の配合量を27.54質量部から27.94質量部に変更した以外は実施例1の配合・製法に従って本発明のベーカリー用可塑性油中水型乳化油脂組成物2を得た。
実施例1で使用した低置換度カルボキシメチルセルロースに代えてシトラスファイバー(鳥越製粉製、商品名「シトリファイ100FG」)を使用した以外は実施例1の配合・製法に従って本発明のベーカリー用可塑性油中水型乳化油脂組成物3を得た。
実施例1で使用した低置換度カルボキシメチルセルロースの配合量を0.5質量部から0.3質量部に変更し、更に水の配合量を27.54質量部から27.74質量部に変更した以外は実施例1の配合・製法に従って本発明のベーカリー用可塑性油中水型乳化油脂組成物4を得た。
実施例1で使用した低置換度カルボキシメチルセルロースの配合量を0.5質量部から3.5質量部に変更し、更に水の配合量を27.54質量部から24.54質量部に変更した以外は実施例1の配合・製法に従って本発明のベーカリー用可塑性油中水型乳化油脂組成物5を得た。
実施例1で使用したオリゴ糖の配合量を10質量部から3質量部に変更し、更に水の配合量を27.54質量部から34.54質量部に変更した以外は実施例1の配合・製法に従って本発明のベーカリー用可塑性油中水型乳化油脂組成物6を得た。
実施例1で使用したオリゴ糖の配合量を10質量部から22質量部に変更し、更に水の配合量を27.54質量部から15.54質量部に変更した以外は実施例1の配合・製法に従って本発明のベーカリー用可塑性油中水型乳化油脂組成物7を得た。
実施例1で使用したオリゴ糖の配合量を10質量部から5.5質量部に、デキストリンの配合量を0.5質量部から5質量部に変更した以外は実施例1の配合・製法に従って本発明のベーカリー用可塑性油中水型乳化油脂組成物8を得た。
実施例1で使用したオリゴ糖の配合量を10質量部から無添加に、デキストリンの配合量を0.5質量部から10質量部に変更し、更に水の配合量を27.54質量部から28.04質量部に変更した以外は実施例1の配合・製法に従って本発明のベーカリー用可塑性油中水型乳化油脂組成物9を得た。
実施例1で使用したデキストリンの配合量を0.5質量部から無添加に変更し、更に水の配合量を27.54質量部から28.04質量部に変更した以外は実施例1の配合・製法に従って本発明のベーカリー用可塑性油中水型乳化油脂組成物10を得た。
実施例1で使用したオリゴ糖を上白糖に変更した以外は実施例1の配合・製法に従って本発明のベーカリー用可塑性油中水型乳化油脂組成物11を得た。
実施例1で使用したデキストリン及びオリゴ糖を無添加に変更し、更に水の配合量を27.54質量部から38.04質量部に変更した以外は実施例1の配合・製法に従って本発明のベーカリー用可塑性油中水型乳化油脂組成物12を得た。
実施例1で使用したグリセリンモノパルミチン酸エステルの配合量を5質量部から2質量部に変更し、更に混合油脂の配合量を55質量部から58質量部に変更した以外は実施例1の配合・製法に従って本発明のベーカリー用可塑性油中水型乳化油脂組成物13を得た。
実施例1で使用したグリセリンモノパルミチン酸エステルの配合量を5質量部から10質量部に変更し、更に混合油脂の配合量を55質量部から50質量部に変更した以外は実施例1の配合・製法に従って本発明のベーカリー用可塑性油中水型乳化油脂組成物14を得た。
実施例1で使用したコハク酸脂肪酸エステルを無添加に変更し、更に混合油脂の配合量を55質量部から55.5質量部に変更した以外は実施例1の配合・製法に従って本発明のベーカリー用可塑性油中水型乳化油脂組成物15を得た。
実施例1で使用したグリセリンモノパルミチン酸エステルの配合量を5質量部から1質量部に、コハク酸脂肪酸エステル及びポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルを無添加に変更し、更に混合油脂の配合量を55質量部から60質量部に変更した以外は実施例1の配合・製法に従って本発明のベーカリー用可塑性油中水型乳化油脂組成物16を得た。
実施例1で使用した乳清ミネラルAを無添加に変更し、更に水の配合量を27.54質量部から27.59質量部に変更した以外は実施例1の配合・製法に従って本発明のベーカリー用可塑性油中水型乳化油脂組成物17を得た。
実施例1で使用した低置換度カルボキシメチルセルロースの配合量を0.5質量部から無添加に変更し、更に水の配合量を27.54質量部から28.04質量部に変更した以外は実施例1の配合・製法に従って比較例のベーカリー用可塑性油中水型乳化油脂組成物18を得た。
実施例1で使用した低置換度カルボキシメチルセルロースの配合量を0.5質量部から6質量部に変更し、更に水の配合量を27.54質量部から22.04質量部に変更した以外は実施例1の配合・製法に従って比較例のベーカリー用可塑性油中水型乳化油脂組成物19を得た。
実施例1で使用した低置換度カルボキシメチルセルロースに代えてキサンタンガムを使用した以外は実施例1の配合・製法に従って比較例のベーカリー用可塑性油中水型乳化油脂組成物20を得た。
また、得られたベーカリー用可塑性油中水型乳化油脂組成物1〜20は下記のベーカリー試験1及び保管試験1に供した。
〔実施例18〜34・比較例4〜6〕
上記ベーカリー用可塑性油中水型乳化油脂組成物1〜20を練り込み油脂として使用し、下記の配合及び製法により実施例18〜34及び比較例4〜6のパン生地及びレーズンブレッドを得た。得られたレーズンブレッドは下記の評価方法及び評価基準に従い、食感(ソフト性、しとり感、口溶け)を評価した。
強力粉70質量部、生イースト2質量部、イーストフード0.1質量部、水40質量部をミキサーボウルに投入し、フックを使用し、低速2分、中速2分混合し、中種生地を得た。捏ね上げ温度は24℃であった。この中種生地を生地ボックスに入れ、温度28℃、相対湿度85%の恒温室で、4時間中種発酵をおこなった。終点温度は29℃であった。この中種発酵の終了した生地を再びミキサーボウルに投入し、更に、強力粉30質量部、食塩1.8質量部、上白糖5質量部、脱脂粉乳1質量部、水20質量部を添加し、低速3分、中速3分ミキシングした。ここで上記ベーカリー用可塑性油中水型乳化油脂組成物1〜20を10質量部それぞれ投入し、フックを使用し、低速3分、中速4分ミキシングをおこない、更に、湯戻ししたレーズン20質量部を添加、低速1分混合し、レーズンブレッド生地を得た。得られたレーズンブレッド生地の捏ね上げ温度は28℃であった。ここで、フロアタイムを30分とった後、1200gに分割・丸目をおこなった。次いでベンチタイムを20分とった後、ワンローフ成形し、ワンロ―フ型に入れ、38℃、相対湿度85%、55分ホイロをとった後、200℃に設定した固定オーブンに入れ40分焼成し、レーズンブレッドを得た。
焼成後1時間25℃で放冷したレーズンブレッドの食感(ソフト性、しとり感及び口溶け)について、それぞれ下記の4段階の評価を行ない、結果を〔表2〕に記載した。
上記放冷1時間後のレーズンブレッドの一部をポリエチレンの袋に密封し、3日後に開封し、老化耐性について下記の4段階の評価を行ない、その結果を併せて〔表2〕に記載した。
・食感(ソフト性)の評価基準:
◎:極めて良好。
○:良好。
△:やや不良である。
×:不良である。
・食感(しとり感)の評価基準:
◎:極めて良好である。
○:良好である。
△:ぱさつき感が感じられ、やや不良である。
×:ぱさつき感が強く、不良である。
・食感(口溶け)の評価基準:
◎:歯切れがよく、極めて良好である。
○:歯切れがあり、良好である。
△:ねちゃつきが感じられ、やや不良である。
×:ねちゃつきが強く、不良である。
・老化耐性の評価基準:
◎:焼成直後同様の良好なソフト性としとり感が感じられ、優れた老化耐性を有している。
○:ソフトでしとり感が感じられ、老化耐性が良好である。
△:ソフトであるが、ややぱさつき感が感じられ、老化耐性はやや不良である。
×:はっきりしたぱさつき感があり、老化耐性は不良である。
〔実施例35〜37・比較例7〜9〕
上記ベーカリー用可塑性油中水型乳化油脂組成物1、4、5、18、19及び20を練り込み油脂として使用し、下記の配合及び製法により実施例35〜37及び比較例7〜9のパン生地及び菓子パンを得た。得られた菓子パンは下記の評価方法及び評価基準に従い、食感(ソフト性、しとり感、口溶け)を評価した。
強力粉70質量部、生イースト3質量部、イーストフード0.1質量部、上白糖3質量部及び水40質量部をミキサーボウルに投入し、フックを使用し、低速で2分、中速で2分混合し、中種生地を得た。捏ね上げ温度は24℃であった。この中種生地を生地ボックスに入れ、温度28℃、相対湿度85%の恒温室で、4時間中種発酵をおこなった。終点温度は29℃であった。
この中種発酵の終了した生地を再びミキサーボウルに投入し、更に、強力粉30質量部、上白糖15質量部、脱脂粉乳2質量部、食塩1.2質量部及び水23質量部を添加し、低速で3分、中速で3分本捏ミキシングした。ここで、上記ベーカリー用可塑性油中水型乳化油脂組成物1、4、5、18、19及び20をそれぞれ20質量部投入し、フックを使用し、低速で3分、中速で3分、高速で1分ミキシングを行ない、菓子パン生地を得た。得られた菓子パン生地の捏ね上げ温度は28℃であった。
得られた菓子パン生地は、フロアタイムを30分とり、50gに分割した。更に30分ベンチタイムを取った後、丸め成形をし、38℃、相対湿度85%、50分のホイロを取った後、200℃に設定した固定オーブンで10分焼成した。
焼成後1時間25℃で放冷した菓子パンの食感(ソフト性、しとり感及び口溶け)について、それぞれ下記の4段階の評価を行ない、結果を〔表3〕に記載した。
放冷1時間後の菓子パンの一部は背割りし、下記配合・製法で得られたきな粉スプレッドを絞り袋を用いて線状にフィリング(20g)し、ポリエチレンの袋に密封し、3日後に開封し、老化耐性について下記の4段階の評価を行ない、その結果を併せて〔表3〕に記載した。
◎:極めて良好。
○:良好。
△:やや不良である。
×:不良である。
・食感(しとり感)の評価基準:
◎:極めて良好である。
○:良好である。
△:ぱさつき感が感じられ、やや不良である。
×:ぱさつき感があり、不良である。
・食感(口溶け)の評価基準:
◎:歯切れがよく、極めて良好である。
○:歯切れがあり、良好である。
△:ねちゃつきが感じられ、やや不良である。
×:ねちゃつきが強く、不良である。
パーム油30部、ナタネ油15部及びレシチン0.2部からなる油相を70℃に溶解し、きな粉12.0部及びHLB13のデカグリセリンモノオレエート0.5部を添加し、ホモミキサーにより高速回転で2分間攪拌混合後、急冷可塑化を行ない、次いでグラニュー糖を42.3部を加え、縦型ミキサーにて低速で3分混合後5℃まで冷却し、きな粉スプレッドを得た。
◎:焼成直後同様の良好なソフト性としとり感が感じられ、優れた老化耐性を有している。
○:ソフトでしとり感が感じられ、老化耐性が良好である。
△:ソフトであるが、ややぱさつき感が感じられ、老化耐性はやや不良である。
×:はっきりしたぱさつき感があり、老化耐性は不良である。
Claims (9)
- 水不溶性且つ水膨潤性の食物繊維を0.1〜5質量%(組成物基準)含有するベーカリー用可塑性油中水型乳化油脂組成物。
- 上記水不溶性且つ水膨潤性の食物繊維が、低置換度カルボキシメチルセルロースである請求項1記載のベーカリー用可塑性油中水型乳化油脂組成物。
- 更にオリゴ糖及び/又はデキストリンを含有する請求項1又は2記載のベーカリー用可塑性油中水型乳化油脂組成物。
- 更に乳清ミネラルを含有する請求項1〜3のいずれか一項に記載のベーカリー用可塑性油中水型乳化油脂組成物。
- 更に乳化剤成分を含有する請求項1〜4のいずれか一項に記載のベーカリー用可塑性油中水型乳化油脂組成物。
- 請求項1〜5のいずれか一項に記載のベーカリー用可塑性油中水型乳化油脂組成物を含有するベーカリー生地。
- パン生地である請求項6記載のベーカリー生地。
- 請求項6又は7記載のベーカリー生地の加熱品であるベーカリー製品。
- 水不溶性且つ水膨潤性の食物繊維を含有するベーカリー用可塑性油中水型乳化油脂組成物を、澱粉類含有生地に練込使用するベーカリー製品の老化防止方法。
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