JP7271125B2 - バウムクーヘン生地及びバウムクーヘン - Google Patents

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本発明は、バウムクーヘン生地及び当該生地を使用したバウムクーヘンに関する。
各種ケーキの中でもバウムクーヘンは、他のケーキと製造方法が大きく異なる。一般的にバウムクーヘンの製造では、小麦粉、糖類、卵、油脂、食塩、ベーキングパウダー、水、乳成分、その他の呈味成分などを混合し、気泡化した生地を、回転する芯棒に塗布して焼成する。そして、焼成した層の上に、さらに生地を塗布して再び焼成するという工程を繰り返す。このような製造工程から、バウムクーヘンの生地は、他のケーキ生地よりも焼成前に高温にさらされる時間が長くなる。結果として、生地の分離が生じたり、粘度が変化したりするなど、生地の状態を一定に保持することが難しい。
状態の安定したバウムクーヘン生地を得るために、特開昭55-64755号公報は、炭素数22の飽和脂肪酸のモノグリセリド0.5~3%、プロピレングリコールモノステアレート6~10%、及び液状油87~93.5%からなるバームクーヘン用ショートニングを開示する。また、特開2009-153477号公報は、特定の油脂と、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル及び糖を含有する焼き菓子用油中水型乳化組成物であり、当該乳化組成物中における前記ポリグリセリン酸縮合リシノレイン酸エステルの含量が0.1~4質量%である焼き菓子用油中水型乳化組成物を開示する。
特開昭55-64755号公報 特開2009-153477号公報
しかしながら、上記組成物を使用しても、なお、作業温度を一定に保ちにくい環境では、焼成前の生地の状態を一定に保つことが困難な場合があった。特に、市場における低糖質化のトレンドに対応するために、小麦粉の替わりに低糖質の穀物粉を使用する場合、生地の状態が変化しやすい。
したがって、本発明の課題は、状態が安定し、良好な作業性を有するバウムクーヘン生地を開発することである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を行った。その結果、特定量の乳化剤を含有する水中油型乳化物を、穀物粉に対して一定の割合で使用することにより、安定したバウムクーヘン生地が得られることを見出した。これにより、本発明は完成された。
すなわち、本発明は以下の、バウムクーヘン生地及びバウムクーヘンを提供する。
(1)100質量部の穀物粉及び/又は澱粉に対して3~35質量部の水中油型乳化物を含有するバウムクーヘン生地であって、前記水中油型乳化物に占める乳化剤の含有量が5~25質量%である、前記バウムクーヘン生地。
(2)前記水中油型乳化物に含まれる乳化剤が、グリセリン脂肪酸エステルである、(1)のバウムクーヘン生地。
(3)前記穀物粉が、4質量%以上の食物繊維を含有する穀物粉を含む、(1)又は(2)のバウムクーヘン生地。
(4)比重が0.63以下である、(1)から(3)の何れか1つのバウムクーヘン生地。
(5)(1)から(4)の何れか1つのバウムクーヘン生地の焼成された薄層が、多層に積層した状態にある、バウムクーヘン。
本発明によれば、状態が安定し、良好な作業性を有するバウムクーヘン用生地を提供することができる。
以下、本発明のバウムクーヘン生地及び当該生地を使用したバウムクーヘンについて順を追って説明する。
なお、本発明において、A~Bは、A以上B以下を意味する。例えば、A~B質量%は、A質量%以上B質量%以下を意味する。
(水中油型乳化物)
本発明のバウムクーヘン生地は、5~25質量%の乳化剤を含有する水中油型乳化物を含有する。水中油型乳化物に含まれる乳化剤は、食品に使用できる乳化剤であれば特に限定されない。乳化剤としては、例えば、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、レシチン、酵素処理レシチンなどが挙げられる。乳化剤は、1種あるいは2種以上が含まれてもよい。水中油型乳化物は、乳化剤を、好ましくは7~22質量%含有し、より好ましくは9~19質量%含有し、さらに好ましくは11~16質量%含有する。
上記水中油型乳化物は、好ましくはグリセリン脂肪酸エステルを含有する。ここで、グリセリン脂肪酸エステルは、グリセリン及び/又はポリグリセリン(グリセリン重合体)を骨格とする脂肪酸エステルを指す。すなわち、グリセリン脂肪酸エステルは、ポリグリセリン脂肪酸エステル、グリセリン有機酸脂肪酸エステルなどを含み得る。水中油型乳化物は、好ましくはグリセリンモノ飽和脂肪酸エステルを含み得る。グリセリンモノ飽和脂肪酸エステルは、グリセリンに飽和脂肪酸が1つエステル結合したものであり、飽和脂肪酸のグリセリンへの結合位置は問わない。グリセリンモノ飽和脂肪酸エステルを構成する飽和脂肪酸は、好ましくは12~22の炭素数を有し、より好ましくは14~18の炭素数を有する。水中油型乳化物に含まれるグリセリンモノ飽和脂肪酸エステルの含有量は、好ましくは3~11質量%であり、より好ましくは5~9質量%である。上記水中油型乳化物は、好ましくは、グリセリン脂肪酸エステル以外の乳化剤を含まないか、3質量%以下、好ましくは1質量%以下、の含有量で含み得る。
上記水中油型乳化物において、グリセリンモノ飽和脂肪酸エステルは、好ましくはラメラ構造体を形成するように調製される。ラメラ構造体は、グリセリンモノ飽和脂肪酸エステルを水に分散させた際に、2分子のグリセリンモノ飽和脂肪酸エステルが親水基部分を水側に向けて疎水基部分(脂肪酸)を互いに向け合う形態をとり、これが2次元的に広がった構造のことである。ラメラ構造体は、例えば、グリセリンモノ飽和脂肪酸エステルを含有する油相を加熱溶融し液晶状態とした後、同程度の温度に保持された水相に添加し、物理的に攪拌して油相を水相に分散することによって調製することができる。加熱温度は、好ましくは45~100℃であり、より好ましくは50~80℃である。ラメラ構造体は、油相を水相に分散したものを偏光顕微鏡にかけることで確認できる。水中油型乳化物がグリセリンモノ飽和脂肪酸エステルをラメラ構造体の状態で含有すると、良好な抱気性を有するバウムクーヘン生地が得やすい。
上記水中油型乳化物は、好ましくは8~35質量%の油脂を含有する。ここで、油脂は、食用であれば特に限定されない。しかし、好ましくは常温(25℃)で液状ないし半固形状の油脂である。具体的には、大豆油、菜種油、コーン油、ひまわり油、紅花油、胡麻油、綿実油、米油、オリーブ油、落花生油、亜麻仁油、パーム油など、並びにそれらの混合油脂、それら単独の油脂又は混合油脂の、水素添加油脂、エステル交換油脂、分別油脂などの加工油脂が挙げられる。水中油型乳化物に含まれる油脂の含有量は、好ましくは10~30質量%であり、より好ましくは12~25質量%である。
上記水中油型乳化物は、好ましくは10~50質量%の水を含有する。水は飲用できれば特に限定されない。水道水、ミネラルウォーター、脱イオン水、蒸溜水などが使用できる。水中油型乳化物に含まれる水の含有量は、より好ましくは12~40質量%であり、さらに好ましくは15~30質量%である。水の含有量が上記範囲程度であると、乳化が安定し、また、保存性がよいので好ましい。なお、水中油型乳化物における水の含量は、水中油型乳化物に水として配合する量であり、後述する副原料等に含まれる水分を考慮したものではない。すなわち、配合する水の量と副原料等に含まれる水分とを合計した含有量ではない。
上記水中油型乳化物は、本発明の効果を損なわない限りにおいて、上記の成分以外に、一般的に水中油型乳化物に使用される副素材を含んでもよい。副素材としては、例えば、アルコール類、糖類、増粘多糖類、澱粉類、無機塩、有機酸塩、乳製品、卵製品、香料、着色料、調味料、酸化防止剤、保存料、pH調整剤などが挙られる。水中油型乳化物に含まれる副素材の含有量は、好ましくは60質量%以下であり、より好ましくは50質量%以下である。水中油型乳化物に含まれる副素材の個別成分の含有量としては、副素材そのままの態様で、例えば、アルコール類は好ましくは1~8質量%であり、糖類は好ましくは20~50質量%であり、増粘多糖類は好ましくは0.02~0.5質量%であり、乳製品は好ましくは0.5~5質量%である。副素材の含有量が上記範囲程度であると、乳化が安定した水中油型乳化物を得やすい。
上記アルコール類としては、例えば、エタノール、プロピレングリコール、洋酒などが挙げられる。上記糖類としては、例えば、上白糖(ショ糖)、ブドウ糖、果糖、乳糖、液糖、水飴、酵素糖化水飴などの糖や、糖を還元処理したソルビトール、還元水飴、還元澱粉糖化物などの糖アルコールが挙げられる。澱粉糖化物のデキストリン価は、好ましくは10以上である。上記増粘多糖類としては、例えば、キサンタンガム、ジェランガム、グアーガム、セルロース、カルボキシメチルセルロースなどが挙げられる。上記澱粉類としては、例えば、コーンスターチ、タピオカ澱粉などの澱粉や、澱粉に酵素処理、α化処理、分解処理、エーテル化処理、エステル化処理、架橋処理、グラフト化処理などを施した化工澱粉などが挙げられる。上記無機塩としては、例えば、塩化ナトリウム、炭酸水素ナトリウムなどが挙げられ、上記有機酸塩としては、脂肪酸、脂肪酸ナトリウム、クエン酸、クエン酸ナトリウムなどが挙げられる。上記乳製品としては、例えば、全粉乳、脱脂粉乳、ホエイパウダーなどが挙げられる。上記卵製品としては、例えば、全卵、卵黄、卵白、及びそれらを凍結、乾燥、加糖、加塩、殺菌、酵素処理などの処理をしたものが挙げられる。副素材は、これらの中から選ばれた1種又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記水中油型乳化物は、油相と水相とを混合乳化する通常の方法により製造できる。例えば、水に、必要に応じて、水溶性の乳化剤、増粘多糖類、糖類、乳製品、アルコール類などを加えて攪拌しながら加温し、水相部を調製する。並行して、油脂に、グリセリンモノ飽和脂肪酸エステルなどの油溶性の乳化剤を加えて加温溶解させ、油相部を調製する。上記油相部を、水相部にゆっくりと加えながら攪拌乳化し、さらに攪拌しながら冷却してグリセリンモノ飽和脂肪酸エステルのラメラ構造体を形成した水中油型の乳化物を得ることができる。上記油相部と上記水相部との質量比が、好ましくは1:1~1:4、より好ましくは、1:1.5~1:3の範囲内にあると、乳化が安定した水中油型乳化物を得やすい。
(バウムクーヘン生地)
本発明のバウムクーヘン生地は、100質量部の穀物粉及び/又は澱粉に対して3~35質量部の上記水中油型乳化物を含有する。穀物粉は、穀物を挽いて粉状にしたものである。例えば、小麦粉(薄力粉、中力粉、強力粉)、小麦全粒粉、小麦ふすま粉、デュラム粉、大麦粉、米粉、ライ麦粉、ライ麦全粒粉、大豆粉、とうもろこし粉、ハトムギ粉、各種ナッツ類粉末などが挙られる。穀物粉は、1種又は2種以上が用いられてもよい。また、澱粉としては、例えば、馬鈴薯、甘藷、片栗、サゴ、タピオカ、コーン、米、小麦、豆などから得られる澱粉、あるいは、それらの加工澱粉(架橋澱粉、酸化澱粉、アセチル化澱粉、エーテル化澱粉など)など、が挙げられる。澱粉は、1種又は2種以上が用いられてもよい。本発明のバウムクーヘン生地は、100質量部の穀物粉及び/又は澱粉に対して上記水中油型乳化物を、好ましくは4~31質量%含有し、より好ましくは5~29質量%含有する。100質量部の穀物粉及び/又は澱粉に対する水中油型乳化物の配合量が上記範囲内にあると、状態が安定し、良好な作業性を有するバウムクーヘン生地が得られる。
上記穀物粉は、好ましくは4質量%以上の食物繊維を含有する穀物粉を含む。食物繊維含有量が4質量%以上である穀物粉は、例えば、小麦全粒粉、小麦胚芽、ライ麦粉、大豆粉、とうもろこし粉、ふすま、ぬか、各種ナッツ類粉末及びそれらの加工粉が挙げられる。本発明のバウムクーヘン生地は、全脂大豆粉、脱脂大豆粉などの大豆粉及びその加工粉のように食物繊維含有量が高い穀物粉を使用しても、状態が安定し易い。上記4質量%以上の食物繊維を含有する穀物粉を使用することで、健康感のあるバウムクーヘンを提供できる。
上記4質量%以上の食物繊維を含有する穀物粉に含まれる食物繊維の含有量は、好ましくは8~60質量%であり、より好ましくは10~50質量%である。上記4質量%以上の食物繊維を含有する穀物粉に含まれる食物繊維含有量の上限は、40質量%或いは30質量%であり得る。また、本発明のバウムクーヘン生地の穀物粉及び/又は澱粉に占める、上記4質量%以上の食物繊維を含有する穀物粉の含有量は、好ましくは30質量%以上であり、より好ましくは50質量%以上であり、さらに好ましくは60~100質量%である。
なお、本発明における穀物粉の食物繊維含有量は、不溶性食物繊維と水溶性食物繊維の合計含有量であり、その測定は、例えば、プロスキー法(厚生労働省監修 食品衛生検査指針 2005)に準じて行うことができる。
本発明のバウムクーヘン生地は、上記水中油型乳化物の他に、油脂を含有してもよい。前記油脂は特に限定されない。しかし、前記油脂は、例えば、サラダ油、バター、マーガリン、ショートニングなどの態様で使用されてもよい。前記油脂は1種又は2種以上が使用されてもよい。また、前記油脂に含まれる乳化剤の含有量は、好ましくは15質量%以下であり、より好ましくは7質量%以下であり、さらに好ましくは2質量%以下であり、ことさらに好ましくは0~1質量%である。本発明のバウムクーヘン生地において、100質量部の穀物粉及び/又は澱粉に対する油脂の割合は、好ましくは40~120質量部であり、より好ましくは60~110質量部である。本発明のバウムクーヘン生地は、好ましくは乳化剤の含有量が2質量%を超える油脂を含まない。
本発明のバウムクーヘン生地は、卵を含有してもよい。前記卵は特に限定されない。しかし、前記卵は、例えば、全卵、液体卵白、全卵粉末、卵白粉末、冷凍全卵、加糖全卵などの態様で使用されてもよい。前記卵は1種又は2種以上が使用されてもよい。本発明のバウムクーヘン生地において、100質量部の穀物粉及び/又は澱粉に対する、例えば、全卵の割合は、好ましくは100~300質量部であり、より好ましくは、140~260質量部である。
本発明のバウムクーヘン生地は、上記水中油型乳化物の他に、糖類を含有してもよい。前記糖類は特に限定されない。しかし、前記糖類は、例えば上述の水中油型乳化物に使用される糖類と同様の糖類が使用できる。前記糖類は1種又は2種以上が使用されてもよい。本発明のバウムクーヘン生地において、100質量部の穀物粉及び/又は澱粉に対する糖類の割合は、固形分換算で、好ましくは40~120質量部であり、より好ましくは60~110質量部である。
本発明のバウムクーヘン生地は、本発明の効果を損なわない限りにおいて、上記水中油型乳化物、油脂、卵、糖類以外の成分として、一般的にバウムクーヘン生地に使用される副原料を含んでもよい。前記副原料としては、例えば、膨張剤、増粘剤、調味料、酸味料、香料、着色料、pH調整剤、水、乳製品などが挙げられる。本発明のバウムクーヘン生地において、100質量部の穀物粉及び/又は澱粉に対する前記副原料の割合は、好ましくは20質量部以下であり、より好ましくは10質量部以下である。
上記膨張剤としては、例えば、重曹、酒石酸水素カリウム、炭酸アンモニウムなどが挙げられる。上記増粘剤としては、キサンタンガム、グアーガム、ジェランガム、カラギーナン、プルラン、アラギン酸などが挙げられる。上記調味料としては、食塩、グルタミン酸ナトリウムなどが挙げられる。上記酸味料としては、酢酸、乳酸などが挙げられる。上記香料としては、チーズフレーバーなどの各種フレーバーが挙げられる。上記着色料としては、カロテンなどが挙げられる。上記pH調整剤としては、酢酸ナトリウム、グリシンなどが挙げられる。上記水は飲用できれば特に限定されない。水道水、ミネラルウォーター、脱イオン水、蒸溜水などが挙げられる。上記乳製品としては、牛乳、生クリーム、チーズ、脱脂粉乳などが挙げられる。
本発明のバウムクーヘン生地の調製方法は、特に限定されない。通常のケーキ生地で使われる方法で調製されればよい。例えば、糖類と油脂とを最初に混合するシュガーバッター法でもよいし、全ての原料を一度に混合するオールインワンミックス法でもよい。しかし、好ましくはオールインワンミックス法である。本発明のバウムクーヘン生地の比重は、好ましくは0.45~0.75であり、より好ましくは0.47~0.63であり、さらに好ましくは0.47~0.53である。上記水中油型乳化物を配合するとバウムクーヘン生地の調製が容易である。また、上記水中油型乳化物を配合して調製された本発明のバウムクーヘン生地は、生地比重が低くても、長時間加温された作業環境で、状態が安定しており、良好な作業性を有する。
(バウムクーヘン)
本発明のバウムクーヘンは、上記バウムクーヘン生地を焼成ことにより得られる。焼成は、好ましくはオーブン加熱である。バウムクーヘン生地は、好ましくは薄い焼成生地が積み上げられて層状を形成するように焼成される。すなわち、焼成した層の上に、さらに生地を塗布して再び焼成するという工程が繰り返される。層は、年輪状であってもよいし、平面状であってもよい。しかし、年輪状が好ましい。その場合、流動性の高い生地を加温して保持し、芯棒に付着させては焼成し、さらにその上から同一の生地を付着させて焼成する、という作業が繰り返される。本発明のバウムクーヘン生地は、長時間にわたって加温下での生地の状態が安定(一定)しているため、生地の付着が一定している。そのため、見栄えのよいバウムクーヘンが製造できる。特に、食物繊維含有量が高い穀物粉を使用した場合や、生地比重を低くした場合であっても、見栄えのよいバウムクーヘンが製造できる。
次に、実施例及び比較例を挙げ、本発明を更に詳しく説明する。しかし、本発明はこれらに何ら限定されない。
<水中油型乳化物の調製>
バウムクーヘン生地の調製に使用する水中油型乳化物及び起泡性ショートニングを以下のように調製した。
(水中油型乳化物-1の調製)
18質量%の菜種油、7質量%のグリセリンモノステアリン酸エステル、9質量%のプロピレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、及びレシチンの混合物、6.6質量%のエタノールとプロピレングリコール混合物、30.6質量%の砂糖と水飴の混合物(うち固形分24.2質量%)、2質量%の乳清蛋白、0.1質量%のガム質、及び26.7質量%の水、を準備した。油溶性の原料を油脂に溶解した油相と、水溶性の原料を水に溶解した水相を調製した。水相と油相をゆるやかに混合し、ホモミキサーを用いて攪拌乳化した。さらに攪拌しながら冷却することにより水中油型乳化物を調製した。グリセリンモノステアリン酸エステルのラメラ構造体の形成を偏光顕微鏡で確認した。
(水中油型乳化物-2の調製)
18質量%の菜種油、7質量%のグリセリンモノステアリン酸エステル、8質量%のポリグリセリン脂肪酸エステルの混合物、46質量%の還元水飴(うち固形分35質量%)、及び21質量%の水、を準備した。油溶性の原料を油脂に溶解した油相と、水溶性の原料を水に溶解した水相を調製した。水相と油相をゆるやかに混合し、ホモミキサーを用いて攪拌乳化した。さらに攪拌しながら冷却することにより水中油型乳化物を調製した。グリセリンモノステアリン酸エステルのラメラ構造体の形成を偏光顕微鏡で確認した。
(起泡性ショートニングの調製)
88質量%の菜種油、10質量%のプロピレングリコールステアリン酸エステル、2質量%の、グリセリンモノ飽和脂肪酸エステル、ソルビタン飽和脂肪酸エステル及びレシチンの混合物、を準備した。乳化剤を油脂に溶解し、急冷混捏することにより、起泡性ショートニングを調製した。
<バウムクーヘンの製造1及び評価1>
表1の配合にしたがって比較例1、2及び実施例1、2のバウムクーヘン生地を調製した。すなわち、縦型ミキサーを使用して、水中油型乳化物(及び/又は起泡性ショートニング)、と糖類とをよく混ぜ合わせた。その後、全卵を混合した。その後、粉類を混合し、ミキシングにより、比重を0.72に調整した。予め湯煎により溶かしたマーガリンと牛乳を加え、生地を調整した(最終比重0.72)。なお、比較例1は、最初に糖類とマーガリンとを混合するシュガーバッター法により生地を調製した(最終比重0.72)。
バウムクーヘン焼成器(SCHLEE社製)、及び、比較例1、2及び実施例1、2のバウムクーヘン生地を使用して、14層を有するバウムクーヘンを製造した。
以下の基準にしたがって、バウムクーヘン生地調製時の作業性、バウムクーヘン焼成時の生地の状態、及び、焼成されたバウムクーヘンの状態を評価した。結果を表1に示した。
なお、上記バウムクーヘンの製造と評価は、30年以上のパン菓子製造の経験を有する職人が、以下の評価基準を参考にして経験に基づき行った。
<評価基準>

バウムクーヘン生地調製のし易さ
◎:調製が容易である
○:調製が比較的容易である
△:調製にはやや経験を必要とする
×:調製できない、又は、相当の経験を必要とする

焼成時のバウムクーヘン生地の状態
◎:生地の状態を維持するのが容易である
○:生地の状態を維持するのが比較的容易である
△:生地の状態を維持するのにはやや経験を要する
×:生地が調製できない、又は、生地の状態を維持するのに相当の経験を要する

焼成されたバウムクーヘンの状態
◎:生地目が揃い、きれいな層が形成されて非常に良好
○:生地目が揃い、許容範囲の均一な層が形成されて良好
△:生地目がやや不揃いで、層にやや不均一な部分が見られる
×:製造できない、又は、生地目が不均一で層が不均一であり不良
Figure 0007271125000001

<バウムクーヘンの製造2及び評価2>
表2の配合にしたがって比較例3、4及び実施例3、4のバウムクーヘン生地を調製した。すなわち、縦型ミキサーを使用して、水中油型乳化物(及び/又は起泡性ショートニング)、全卵、糖類、洋酒、食塩及びベーキングバウダーをよく混ぜ合わせた。その後、粉類と香料を混合し、ミキシングにより、比重を0.50に調整した。予め湯煎により溶かしたマーガリン及びサラダ油を加え、生地を調整した(最終比重0.50)。なお、比較例1は、最初に糖類とマーガリンとを混合するシュガーバッター法により生地を調製した(最終比重0.70)。
バウムクーヘン焼成器(SCHLEE社製)、及び、比較例3、4及び実施例3、4のバウムクーヘン生地を使用して、14層を有するバウムクーヘンを製造した。
<バウムクーヘンの製造1及び評価1>と同様の基準にしたがって、バウムクーヘン生地調製時の作業性、バウムクーヘン焼成時の生地の状態、及び、焼成されたバウムクーヘンの状態を評価した。結果を表2に示した。
なお、上記バウムクーヘンの製造と評価は、30年以上のパン菓子製造の経験を有する職人が、<バウムクーヘンの製造1及び評価1>と同様の評価基準を参考にして経験に基づき行った。
Figure 0007271125000002

Claims (5)

  1. 100質量部の穀物粉及び/又は澱粉に対して3~35質量部の水中油型乳化物を含有するバウムクーヘン生地であって、
    前記水中油型乳化物は12~40質量%の水を含み、
    前記水中油型乳化物に占める乳化剤の含有量が7~19質量%であり、
    前記乳化剤はグリセリン脂肪酸エステルである、ポリグリセリン脂肪酸エステルとグリセリンモノ飽和脂肪酸エステルとを少なくとも含み、前記グリセリンモノ飽和脂肪酸エステルを構成する飽和脂肪酸の炭素数は14~18であり、かつ、
    前記水中油型乳化物に占める、前記グリセリンモノ飽和脂肪酸エステルの含有量は5~11質量%であり、前記グリセリン脂肪酸エステル以外の乳化剤の含有量は3質量%以下である、前記バウムクーヘン生地。
  2. 100質量部の穀物粉及び/又は澱粉に対して140~300質量部の全卵を含む、請求項1に記載のバウムクーヘン生地。
  3. 前記穀物粉が、4質量%以上の食物繊維を含有する穀物粉を含む、請求項1又は2に記載のバウムクーヘン生地。
  4. 比重が0.63以下である、請求項1から3の何れか1項に記載のバウムクーヘン生地。
  5. 請求項1から4の何れか1項に記載のバウムクーヘン生地の焼成された薄層が、多層に積層した状態にある、バウムクーヘン。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2004016187A (ja) 2002-06-20 2004-01-22 Miyoshi Oil & Fat Co Ltd 食品用起泡剤組成物及びその製造方法
WO2016042778A1 (ja) 2014-09-18 2016-03-24 株式会社カネカ 新規な練り込み用起泡性水中油型乳化物
JP2016073278A (ja) 2014-10-03 2016-05-12 ミヨシ油脂株式会社 起泡性水中油型乳化物、焼成品、及び焼成品の製造方法

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