JP5142771B2 - ベルトループの供給装置 - Google Patents
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ベルトループの供給装置100は、歯付きベルト114を介してモータ112に連結されるローラ111の回転によりテープ材送り出し台113からテープ材(図示しない)をその長手方向に沿って繰り出す繰り出し機構110と、モータ123に連結されるアーム121が繰り出されたテープ材の先端部を挟持して矢印B方向に移動することによりテープ材を引き出す引出し機構120と、繰り出され且つ引き出されたテープ材を可動メス131を固定メス132に対して下降させることにより所定の長さで切断する切断機構130と、切断されたテープ材をミシンへと搬送するループ供給機構(図示略)と、を備えている。
この問題を解決するため、繰り出し機構のモータ112とローラ111との間にワンウェイクラッチ(図示略)を設け、ローラ111はモータ112の駆動速度に関らずテープ材を繰り出す方向(図8における右回転方向)に空転可能とすることでテープ材の伸びを防止するベルトループの供給装置が知られている(例えば特許文献1)。
また、上記特許文献1に記載されているようにワンウェイクラッチを用いた場合でも、テープ材が伸縮性に富む材質であった場合には、テープ材が伸張することでテープ材に対する張力を吸収してしまい、ワンウェイクラッチを空転させるに至らないことがあった。この場合、テープ材は大幅に伸びているので、このまま切断された場合にはベルトループを形成するための所定の長さよりも大幅に短い長さとなり、ベルトループを形成するための十分な長さを有しなくなるといった問題点があった。なお、この問題点はベルトループを形成するテープ材の所定の長さが長い程顕著になる。
さらに、ワンウェイクラッチが何らかの理由により引っ掛かりを生じ、その後当該引っ掛かりが解消された際にテープ材が引出し機構によって強く引っ張られていた場合には、引っ掛かりが解消された反動でテープ材が急激に引き出されることによってワンウェイクラッチが過空転してしまい、テープ材が必要以上に長く引き出されてしまうことがあった。この場合、テープ材がベルトループを形成するための所定の長さよりも長くなってしまうといった問題点があった。
なお、第1の決定手段及び第2の決定手段は、例えばテープ材を形成する布の材質やテープ材の厚みがオペレータによって入力されることで決定されるようにしてもよいし、テープ材を形成する布の材質や厚みを検出する機構を設けてもよい。
例えば、テープ材に対して引出し手段による張力が強く働いている場合は、第1のモータに対する指令角度に基づくモータの駆動力とは異なる力が繰り出し手段を介して第1のモータに強く働くため、第1のモータに対する指令角度と第1の検出手段が検出した第1のモータの回転角度との偏差は大きくなる。また、このときテープ材は張力によって伸張している可能性があり、このまま切断されるとテープ材は所定の長さより短くなってしまう可能性がある。
一方、引出し手段による張力が弱い場合は、第1のモータに対する指令角度に基づくモータの駆動力以外に第1のモータに働く力がほとんどないので、第1のモータに対する指令角度と第1の検出手段が検出した第1のモータの回転角度との偏差は小さくなる。また、このときテープ材は引出し手段によって引っ張られた状態にはない、あるいは繰り出し量が多すぎてテープ材が弛んでいる可能性がある。
なお、第2のモータについても第1のモータとほぼ同様であるが、偏差の生じる方向は逆となる。つまり、モータの駆動力以外の力によって生ずるそれぞれのモータの指令角度と検出された回転角度との偏差は主に繰り出し手段と引出し手段との間のテープ材に対する張力によって決定するので、繰り出し手段の第1のモータの偏差は引出し手段側に生じ、引出し手段の第2のモータの偏差は繰り出し手段側に生じる。
なお、テープ材が適切な長さだけ繰り出された状態とは、テープ材が伸張してしまわない程度に引出し手段によってテープ材が引っ張られている状態である。この場合、テープ材は繰り出され過ぎて弛むこともなく、また引っ張られすぎて伸張することもない最適な張り具合で引出し手段と繰り出し手段との間で保持されていることを示す。
つまり、判定手段は、第1の算出手段が算出した偏差と第2の算出手段が算出した偏差に基づいて判定されるテープ材の状態が、テープ材が伸張してしまわない程度に引出し手段によってテープ材が引っ張られている状態となっている場合の偏差となっているかどうかを判定することによって、テープ材の繰り出し量が適切であるかどうかを判定する。つまり、テープ材は切断される前に判定手段によってテープ材が強く引っ張られることによって伸張したり、繰り出され過ぎることによって弛んだりしていないかどうか判定される。
よって、弛みが生じた状態でテープ材が切断された場合にテープ材がベルトループを形成するための所定の長さよりも長くなってしまうといった問題点や、テープ材が大幅に伸びた状態で切断されることによってベルトループを形成するための所定の長さよりも大幅に短い長さとなり、ベルトループを形成するための十分な長さを有しなくなるといった問題点を解消できる。従って、ベルトループの供給装置の信頼性が大幅に向上する。
加えて、判定手段によってテープ材の繰り出し量が適切でないと判定された場合には、調節手段が第1のモータ、第2のモータのうち少なくとも一方のモータの駆動を制御して第1のモータの指令角度と回転角度との偏差及び第2のモータの指令角度と回転角度との偏差を調節することでテープ材の繰り出し量が適切になるよう調節する。これによって、繰り出されるテープ材の長さが適切となるので、ベルトループを形成するテープ材の長さは常に適切な長さとなり、品質の高いベルトループの縫い付けが可能となる。よって、ベルトループの縫い付け品質が大幅に向上する。
また、テープ材の繰り出し量の判定及び調節はテープ材の繰り出し動作中に行われるので、テープ材繰り出し動作が完了した後すぐにテープ材を切断することが可能となる。よって、ベルトループを形成するテープ材の供給サイクルタイムが大幅に短縮され、ベルトループの供給装置を用いたベルトループの縫い付け作業効率が大幅に向上する。
さらに、繰り出し手段及び引出し手段によるテープ材の繰り出し動作が完了した後、テープ材の切断前に当該繰り出し動作によって繰り出されたテープ材の繰り出し量が適切かどうかを判定手段が判定し、適切でなかった場合は調節手段がテープ材の繰り出し量が適切になるよう調節する。これによって、万が一繰り出し手段及び引出し手段によるテープ材の繰り出し動作が完了した後にテープ材が適切な繰り出し量でなかった場合であっても、テープ材が切断される時点では常にテープ材の繰り出し量は適切となっており、切断されたテープ材の長さは常に所定の長さに保たれる。よって、ベルトループの供給装置の信頼性が大幅に向上する。加えて、ベルトループを形成するテープ材の長さが所定の長さに統一され、ベルトループの縫い付け品質がより一層向上する。
以下、図を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
本発明によるベルトループの供給装置1は、ベルトループ形成用のテープ材Tをミシンに供給するベルトループの供給装置である。
図1は本発明によるベルトループの供給装置の一実施形態を示す説明図である。
ベルトループの供給装置1は、テープ材送り出し台13からテープ材Tの長手方向に沿ってテープ材Tを繰り出す繰り出し機構10と、繰り出されたテープ材Tの先端部を挟持してテープ材Tを引き出すように動作する引出し機構20と、繰り出されたテープ材Tを所定の長さで切断する切断機構30と、切断されたテープ材Tをミシンへと搬送するループ供給機構(図示略)と、ベルトループの供給装置1の各部の動作を制御する制御装置40(図5参照)と、を備えている。
テープ材Tはローラ11に対して引出し機構20と逆方向から供給される。即ち、テープ材Tはテープ材送り出し台13の上面部に置かれ、ローラ11とルーズロール15との間に挟み込まれるよう配置される。このとき、モータ12の駆動によってローラ11が回転することで、ローラ11とルーズロール15に挟み込まれたテープ材Tはローラ11の回転に伴って引出し機構20が設けられた方向(図1の矢印B方向)へと繰り出される。よって、テープ材Tを繰り出す繰り出し機構10のローラ11は「繰り出し手段」として機能し、ローラ11を回転駆動するモータ12は「第1のモータ」として機能する。
また、繰り出し機構10はテープ材Tの厚みを検出する厚み検出機構16を有している。厚み検出機構16は、レバー状の部材であってその一端を中心として回転可能に設けられ、他端がテープ材送り出し台13の上面に対して上下方向に回動する厚み検出レバー16aと、厚み検出レバー16aの一端と接続されて厚み検出レバー16aの一端の回転量を検出するポテンショメータ16bと、を有している。テープ材送り出し台13の上面にテープ材Tが置かれた場合、テープ材Tはテープ材送り出し台13と厚み検出レバー16aの他端部とに挟まれた状態となる。つまり、厚み検出レバー16aの他端部はテープ材Tの厚み分だけテープ材送り出し台13の上面から離れた位置となる。このときの厚み検出レバー16aの回動角度によるポテンショメータ16bの検出値と、テープ材Tがテープ材送り出し台13の上面にない場合即ち厚み検出レバー16aの他端部がテープ材送り出し台13の上面と当接している際の厚み検出レバー16aの回動角度によるポテンショメータ16bの検出値とから、テープ材Tの厚みを検出可能となる。よって、テープ材厚み検出機構16は「第2の決定手段」として機能する。
引出し機構20は、繰り出し機構10によって繰り出されたテープ材Tの先端部を挟持するアーム21と、繰り出されるテープ材Tの長手方向にほぼ沿った方向に延設されてアーム21をその延設方向に沿った方向に移動可能に支持するロッド22と、ロッド22をその延設方向に沿った方向に移動させる駆動源としてのモータ23と、ロッド22を移動可能に支持する土台部24と、を有している。
なお、モータ23及びエアシリンダ25の駆動は制御装置40によって制御される。また、図示しないが、モータ23にはモータ23の回転軸の回転角度を検出するエンコーダ23aが設けられており、モータ23の回転軸の回転角度はエンコーダ23aによって検出され、制御装置40に出力される。このとき、制御装置40はエンコーダ23aによって検出されたモータ23の回転角度からロッド22の位置すなわちアーム21の位置を算出する。つまり、モータ23の駆動に伴って回転するロッド駆動用ローラ26、27の回転量をエンコーダ23aによって検出されるモータ23の回転角度から求め、ロッド駆動用ローラ26、27の回転に伴って移動するロッド22の繰り出し機構10側の端部に設けられたアーム21の位置を算出する。よって、エンコーダ23aは「第2の検出手段
として機能する。
繰り出し機構10によるテープ材Tの繰り出しが行われる前は、アーム21は最後退位置(動作基準位置)に待機している。このとき、可動アーム部21aは上方に回動している。繰り出し機構10によってテープ材Tが送り出されると、それに伴ってアーム21が繰り出し機構10側に前進することにより、テープ材Tの先端部がアーム21の最前進位置(つかみ位置)にまで達するときにはテープ材Tの先端部が可動アーム部21aと固定アーム部21bとの間に位置する。このとき、エアシリンダ25の駆動により可動アーム部21aが下方へと回動してテープ材Tの先端部を可動アーム部21aと固定アーム部21bとで挟持する。その後、アーム21は繰り出し機構10によるテープ材Tの繰り出し速度とほぼ等速でテープ材Tの繰り出し方向へと後退移動する。その後、テープ材Tの繰り出し量が予め設定されたベルトループを形成するテープ材の長さとなったとき、繰り出し機構10によるテープ材Tの繰り出し及び引出し機構20のアーム21の移動が停止される。つまり、アーム21は繰り出し機構10によって繰り出されるテープ材Tの先端部を挟持して、あらかじめ設定されたベルトループを形成するテープ材Tの長さまでテープ材Tを引き出すように移動する。よって、テープ材Tの先端部を挟持するアーム21を、テープ材Tを引き出すように移動させる引出し機構20は「引出し手段」として機能する。また、アーム21を移動させるすなわちロッド22を移動させる駆動源となるモータ23は「第2のモータ」として機能する。
なお、上述の繰り出し機構10による繰り出し動作、引出し機構20によるテープ材Tの引出し動作の制御は制御装置40によって行われる。
メス31は、繰り出し機構10によって繰り出されたテープ材Tに対して上下動可能に設けられた可動メス31aと、繰り出し機構10によって繰り出されたテープ材Tの下方であって可動メス31aが下降した際に可動メス31aと噛み合う位置に設けられた固定メス31bとを有している。つまり、可動メス31aがテープ材Tに下降して固定メス31bと噛み合うことでテープ材Tが切断される。また、可動メス31aはエアシリンダ32のプランジャ部に接続されており、エアシリンダ32の駆動によって可動メス31aの上下動が行われる。エアシリンダ32の駆動は制御装置40によって行われる。
次に、制御装置40について詳細に説明する。図5は、制御装置40の構成を示す機能ブロック図である。
制御装置40は、ベルトループの供給装置1の動作における各種処理を行うCPU41と、CPU41が処理を行うための各種プログラム及びデータを書き換え不可能に記憶するROM42と、CPU41が処理を行う際に各種プログラム及びデータを格納するRAM43と、CPU41が処理を行うための各種プログラム及びデータを書き換え可能に記憶するEEPROM44と、制御装置40とベルトループの供給装置1の各部とを接続するI/Oインターフェース45と、を有している。
制御装置40のCPU41はベルトループの供給装置1の各種動作に対応したソフトウェア及びデータをROM42又はEEPROM44から呼び出して実行処理し、ベルトループの供給装置1の動作制御を行う。また、制御装置40はI/Oインターフェース45を介してモータ12、エンコーダ12a、モータ23、エンコーダ23a、エアシリンダ25、エアシリンダ32及びベルトループの供給装置1の各種情報が表示されると共にベルトループの供給装置1の動作に関する各種入力操作を行うことが可能な操作パネル50等のベルトループの供給装置1の各部に接続されている。制御装置40のCPU41は、エンコーダ12a、エンコーダ23a、ポテンショメータ16b及び操作パネル50等の入力内容に応じて各種処理を行い、モータ12、モータ23、エアシリンダ25及びエアシリンダ32等を制御する。
操作パネル50はベルトループの供給装置1の各種情報が表示されると共にベルトループの供給装置1の動作に関する各種入力操作を行うことが可能な所謂タッチパネルディスプレイである。オペレータは操作パネル50を介してベルトループの供給装置1の動作に関する各種情報を確認し、必要に応じて各種設定や入力を行うことができる。例えば、ベルトループのテープ材Tに用いられている布の材質について設定する画面を表示させた場合、操作パネル50には布の材質の一覧が表示される。このとき、布の材質がそれぞれ独立したボタンとして表示されており、オペレータはテープ材Tに用いられている材質に対応する材質のボタンを押すことで設定が可能となる。よって、操作パネル50は「第1の決定手段」として機能する。
また、ベルトループを形成するテープ材Tの長さ即ちテープ材Tが切断される際の長さの設定等も操作パネル50を介して行われる。この場合、ベルトループを形成するテープ材の長さを数値入力する画面が表示され、オペレータは任意の値を設定できる。
次に、制御装置40が行う処理のうち、モータ12及びモータ23の駆動におけるモータ12及びモータ23に対する指令角度とエンコーダ12aが検出したモータ12の回転角度及びエンコーダ23aが検出したモータ23の回転角度との間にそれぞれ生ずる偏差に基づくモータ12及びモータ23の駆動制御について詳細に説明する。図6はテープ材Tに生じている張力Sの強さとモータ12の偏差及びモータ23の偏差の生じる方向との関係を示す概念図である。なお、図6(a)は適正な張力Sがテープ材Tに生じている場合、図6(b)は適正な張力Sよりも大きな張力Sがテープ材Tに生じている場合、図6(c)はテープ材Tに張力Sが生じていない場合を示す。
制御装置40のCPU41の制御によってテープ材Tが繰り出される際、CPU41はまず繰り出し機構10のモータ12に対して駆動指令を出す。このとき、モータ12に対する駆動指令はモータ12の回転軸の指令角度Oとして出力される。つまり、モータ12の回転軸が指令角度Oまで駆動するようCPU41によって制御される。また、モータ12が駆動しているとき、モータ12の回転軸の回転角度Pは所定時間ごとにエンコーダ12aによって検出される。
なお、本実施形態では、テープ材Tの過剰な引張りと弛みの双方を検出可能とするために、引出し機構20の引張り量に対して繰り出し機構10の繰り出し量が若干少なくなるように設定されている。これによって、適正なテープ材の送り出し状態では、繰り出し機構10と引出し機構20との間のテープ材Tに適正な張力Sが生じる。このように設定することで、テープ材Tに弛みが生じた状態(張力がほぼゼロとなる状態)を検出可能としている。従って、図6(a)に示すように、適正にテープ材Tの繰り出し及び引出しが行われている場合には、繰り出し機構10のモータ12は引出し機構20の方向に僅かに張力Sを受けた状態となり、これによってモータ12に対する指令角度に対して先行状態の偏差を生じることとなる。
一方、実際のモータ12の回転においては指令角度Oに対する遅延が発生する。モータ12の遅延の度合いはモータ12にかかる負荷の大きさによって変化し、負荷が大きいほど遅延が大きくなる。つまり、モータ12の遅延が生じている場合にはモータ12に生じている負荷が大きく、テープ材Tの繰り出し動作において何らかの障害が生じていること(例えばテープ材が引っ掛かりを生じていて適正に繰り出されていない等)を示す。また、引出し機構20によるテープ材Tへの張力Sによりテープ材Tが繰り出し機構10のローラ11に対して滑りを生じてしまい、繰り出し機構10による繰り出し量以上にテープ材Tが引き出されてしまうことがある。この場合、テープ材Tは繰り出し機構10と引出し機構20との間で弛みを生じるか、あるいは弛みを生じなくても引出し機構20による張力Sがほとんど発生しない状態となる。よって、張力Sによるモータ12の先行状態はほとんどなくなり、モータ12の偏差はゼロに近くなる。
制御装置40のCPU41は、繰り出し機構10と引出し機構20との間に位置するテープ材Tが引出し機構20によって僅かに張力Sが生じる程度となるモータ12及びモータ23の偏差となるようにモータ12及びモータ23を駆動制御する。
なお、図6(a)、(b)、(c)におけるモータ12の指令角度O、モータ23の指令角度Qはそれぞれのモータの回転軸に対してほぼ鉛直方向となっているが、実際にはそれぞれの指令角度ごとに異なる角度が駆動指令として出力される。
D1=d1×(L/L1)×Km×Kt……(1)
D2=d2×(L/L1)×Km×Kt……(2)
式(1)、(2)におけるL1はそのときのテープ材Tが切断される際の繰り出し量である。上述のように、d1、d2はテープ材Tが切断される長さが所定の長さLだった場合の基準値であるので、そのときのテープ材Tが切断される際の繰り出し量に応じて補正されたD1、D2が算出される。
また、Kmはそのときのテープ材Tを形成する布の材質ごとに定められた固有の数値である。Kmはテープ材Tを形成する布の材質ごとにあらかじめ設定された固有の数値がEEPROM44に記憶されており、操作パネル50を介してオペレータによって設定された布の材質に応じたKmが用いられる。
また、Ktはそのときのテープ材Tの布の厚みごとに定められた固有の数値である。Ktはテープ材Tを形成する布の厚みごとにあらかじめ設定された固有の数値がEEPROM44に記憶されており、厚み検出機構16によって検出された布の厚みに応じたKtが用いられる。
よって、テープ材Tを形成する布の材質ごとにあらかじめ設定された固有の数値及びテープ材Tを形成する布の厚みごとにあらかじめ設定された固有の数値を記憶するEEPROM44は「記憶手段」として機能する。
次に、CPU41はモータ12の偏差Do、モータ23の偏差Dpから総合出力偏差Dopを以下の式(3)によって算出する。
Dop=Dp×Kp−Do×Ko……(3)
式(1)におけるKp、Koは、引出し機構20及び繰り出し機構10のそれぞれが有する動力伝達機構(ベルト等)の摩擦やその他の要因によって生じるそれぞれのモータの駆動量と実際の機構の動作との間の差異を補正するための固有値である。なお、Kp、Koはあらかじめベルトループの供給装置1の検証動作等により測定された最適な値が用いられ、Kp、KoはROM42あるいはEEPROM44に記憶されている。
つまり、総合出力偏差Dopは、モータ23の偏差Dpに基づいて求められた引出し機構20の動作の遅れ量とモータ12の偏差Doに基づいて求められた繰り出し機構10の動作の遅れ量との偏差である。
また、このときモータ12の偏差Doは先行状態の偏差を正の偏差、遅延状態の偏差を負の偏差として扱う。モータ23の偏差Dpは遅延状態の偏差を正の偏差、先行状態の偏差を負の偏差として扱う。
なお、D1、D2、Dopの算出及びD1≦Dop≦D2の判定は極めて短時間のタイムサイクルで行われており、DopがD1≦Dop≦D2の範囲内でなくなった場合は即座にDopがD1≦Dop≦D2の範囲内に収まるようモータ12、23が駆動制御される。
次に、ベルトループの供給装置1の動作について詳細に説明する。図7はベルトループの供給装置1の動作を示すフロー図である。
まず、操作パネル50を介してオペレータによって各種設定が行われる(ステップS1)。各種設定とは、ベルトループの長さ即ち切断後のテープ材Tの長さ、テープ材Tを形成する布の材質等である。その後、テープ材Tの先端部がローラ11とルーズロール15の間に巻き込まれるようにテープ材Tが繰り出し機構10に設置される。このとき、厚み検出機構16によってテープ材Tの厚みが検出される(ステップS2)。制御装置40のCPU41はステップS1にて入力されたベルトループの長さ、テープ材Tの布の材質とステップS2で検出されたテープ材Tの厚みから基準値D1、D2を算出する(ステップS3)。その後、CPU41によってモータ12、モータ23が駆動され、テープ材Tの繰り出し動作と引き出し機構20の動作が開始される(ステップS4)。
また、この動作開始により、偏差Do、Dpの算出が行われる(ステップS5、第1の算出手段及び第2の算出手段)。
その後、切断機構30が動作してテープ材Tが切断され、ループ供給機構によって切断されたテープ材Tがミシンに搬送される。
上記ステップS7、S8、S14、S15は、判定手段を構成し、ステップS9、S10、S16、S17は、調節手段を構成する。
上述の実施の形態によれば、制御装置40のCPU41がモータ12の偏差とモータ23の偏差とに基づいてテープ材Tの繰り出し量が適切であるかどうかを判定する。つまり、制御装置40のCPU41は、モータ12の偏差とモータ23の偏差とに基づいて判定されるテープ材Tの状態が、テープ材Tが伸張してしまわない程度に引出し機構20によってテープ材Tが引っ張られている状態となっている場合の偏差となっているかどうかを判定することによって、テープ材Tの繰り出し量が適切であるかどうかを判定する。よって、弛みが生じた状態でテープ材が切断された場合にテープ材がベルトループを形成するための所定の長さよりも長くなってしまうといった問題点や、テープ材が大幅に伸びた状態で切断されることによってベルトループを形成するための所定の長さよりも大幅に短い長さとなり、ベルトループを形成するための十分な長さを有しなくなるといった問題点を解消できる。従って、ベルトループの供給装置の信頼性が大幅に向上する。
加えて、制御装置40のCPU41によってテープ材Tの繰り出し量が適切でないと判定された場合には、制御装置40のCPU41がモータ12、モータ23のうち少なくとも一方のモータの駆動を制御して総合出力偏差Dopを調節することでテープ材Tの繰り出し量が適切になるよう調節する。これによって、繰り出されるテープ材Tの長さが適切となるので、ベルトループを形成するテープ材Tの長さは常に適切な長さとなり、品質の高いベルトループの縫い付けが可能となる。よって、ベルトループの縫い付け品質が大幅に向上する。
さらに、繰り出し機構10及び引出し機構20によるテープ材Tの繰り出し動作が完了した後、テープ材Tの切断前に当該繰り出し動作によって繰り出されたテープ材Tの繰り出し量が適切かどうかを制御装置40のCPU41が判定し、適切でなかった場合はCPU41がテープ材Tの繰り出し量が適切になるようモータ12の駆動制御を行ってテープ材Tの繰り出し量を調節する。これによって、繰り出し機構10及び引出し機構20によるテープ材Tの繰り出し動作が完了した後にテープ材Tが適切な繰り出し量でなかった場合であっても、テープ材Tが切断される時点では常にテープ材Tの繰り出し量は適切となっており、切断されたテープ材Tの長さは常に所定の長さに保たれる。よって、ベルトループの供給装置の信頼性が大幅に向上する。加えて、ベルトループを形成するテープ材の長さが所定の長さに統一され、ベルトループの縫い付け品質がより一層向上する。
なお、上述の実施の形態によるD1、D2、Dopの算出方法や、モータ12の偏差、モータ23の偏差からテープ材Tの張力Sが適正かどうかを判定することでテープ材Tの繰り出し量を判定する方法についてはあくまで一例であり、他の計算式や判定方法によっても良い。例えば、モータ12の偏差及びモータ23の偏差の絶対値を取り、その加算結果に応じて判定するようにしてもよい。
また、上述の実施の形態においては、厚み検出機構16によってテープ材Tの布の厚みが検出されているが、テープ材Tの布の厚みを操作パネル50から入力することによって設定可能としても良い。
また、繰り出し機構10のローラ11あるいはルーズロール15をテープ材Tに対して上下方向に移動可能に設けても良い。これによって、繰り出し機構10はテープ材Tの材質及び厚みの変化により柔軟に対応してテープ材Tを繰り出すことが可能となる。
11 ローラ
12 モータ
12a エンコーダ
16 厚み検出機構
20 引出し機構
21 アーム
22 ロッド
23 モータ
23a エンコーダ
30 切断機構
40 制御装置
41 CPU
42 ROM
44 EEPROM
50 操作パネル
Claims (5)
- ベルトループのテープ材を順次繰り出すと共に所定長さに切断してミシンに供給するベルトループの供給装置において、
前記テープ材の長手方向に前記テープ材を繰り出す繰り出し手段と、
前記繰り出し手段によって繰り出される前記テープ材の先端部を挟持して前記テープ材の長手方向に引き出す引出し手段と、
前記繰り出し手段が前記テープ材を繰り出す動作の駆動源としての第1のモータと、
前記引出し手段が前記テープ材を引き出す動作の駆動源としての第2のモータと、
前記第1のモータの回転角度を検出する第1の検出手段と、
前記第2のモータの回転角度を検出する第2の検出手段と、
前記第1のモータに対する指令角度と前記第1の検出手段によって検出された回転角度との偏差を算出する第1の算出手段と、
前記第2のモータに対する指令角度と前記第2の検出手段によって検出された回転角度との偏差を算出する第2の算出手段と、
前記テープ材を形成する布の材質の各々と前記テープ材を形成する布の厚みの各々に応じて予め定められた固有の数値を記憶する記憶手段と、
前記所定長さと前記記憶手段に記憶された固有の数値とに基づいて、前記所定長さの前記テープ材を形成する布の材質及び厚みに応じた偏差の範囲の上限値及び下限値を算出し、前記第1の算出手段が算出した偏差と前記第2の算出手段が算出した偏差とに基づいて、前記引き出し手段の動作の遅れ量と前記繰り出し手段の動作の遅れ量とにより生じた前記テープ材に対する張力の偏差である総合出力偏差を算出し、算出された総合出力偏差が前記偏差の範囲内であるか否かにより前記テープ材の繰り出し量が適切であるか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段によって前記テープ材の繰り出し量が適切でないと判定された場合に、前記第1のモータ、前記第2のモータのうち少なくとも一方のモータの駆動を制御して前記第1のモータの指令角度と回転角度との偏差及び前記第2のモータの指令角度と回転角度との偏差を調節する調節手段を備えることを特徴とするベルトループの供給装置。 - 前記判定手段によるテープ材の繰り出し量の判定は、前記第1のモータ及び前記第2のモータの駆動停止後であって前記テープ材が切断される前に行うことを特徴とする請求項1に記載のベルトループの供給装置。
- 前記判定手段によるテープ材の繰り出し量の判定は、前記テープ材が所定長さ繰り出されるまでの前記第1のモータ及び前記第2のモータの駆動中に行うことを特徴とする請求項1に記載のベルトループの供給装置。
- 前記判定手段によるテープ材の繰り出し量の判定は、前記テープ材が所定長さ繰り出されるまでの前記第1のモータ及び前記第2のモータの駆動中及び前記第1のモータ及び前記第2のモータの駆動停止テープ材が所定長さだけ繰り出された後であって、前記テープ材が切断される前に行うことを特徴とする請求項1に記載のベルトループの供給装置。
- 前記テープ材を形成する布の材質を入力する第1の決定手段と、
前記テープ材の厚みを入力する第2の決定手段と、を備え、
前記基準値は、前記テープ材を形成する布の材質及び厚みごとにそれぞれ設けられ、
前記判定手段は、前記第1の決定手段によって入力された布の材質と、前記第2の決定手段によって入力されたテープ材の厚みと、前記テープ材を形成する布の材質及び厚みに対応した前記固有の数値と、に基づいて前記偏差の範囲の上限値及び下限値を算出することを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のベルトループの供給装置。
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