JPH09302570A - 自動刺繍機の枠移動制御装置 - Google Patents

自動刺繍機の枠移動制御装置

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JPH09302570A
JPH09302570A JP14499896A JP14499896A JPH09302570A JP H09302570 A JPH09302570 A JP H09302570A JP 14499896 A JP14499896 A JP 14499896A JP 14499896 A JP14499896 A JP 14499896A JP H09302570 A JPH09302570 A JP H09302570A
Authority
JP
Japan
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embroidery
frame
moving frame
servo motor
control mode
Prior art date
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Application number
JP14499896A
Other languages
English (en)
Inventor
Tsunetada Kasai
常工 葛西
Katsuyuki Suzuki
勝之 鈴木
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NIPPON DENPA KK
Original Assignee
NIPPON DENPA KK
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Publication date
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Pending legal-status Critical Current

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 刺繍縫いを高速化し、移動枠の移動時、停止
時の性能を高める。 【解決手段】 モータ制御装置により移動枠を移動させ
るためにX軸用、Y軸用サーボモータの回転制御を行う
に際し、刺繍縫いを実行するときには刺繍用制御モード
を選択し、各サーボモータのサーボ特性(追従特性)を
移動枠の高速移動に最適となるように設定する。また、
移動枠に刺繍布を取付ける等のために移動枠を大きく移
動させるときには枠移動専用モードを選択し、移動枠を
低トルクで移動させるのに最適となるように各サーボモ
ータのサーボ特性を設定する。さらに、移動枠の停止制
御をするときには停止用制御モードを選択し、移動枠を
安定して停止させるのに最適となるようにサーボモータ
のサーボ特性を設定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、模様縫いミシン等
の自動刺繍機において、布保持用移動枠の移動を制御す
るための枠移動制御装置に関し、特に、移動枠の移動を
制御するための駆動源としてサーボモータを用いた枠移
動制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】自動刺繍機は、刺繍針が所定の速度で
上,下に往復動する間に、刺繍布が展張状態で保持され
た移動枠をX軸方向またはY軸方向に移動させることに
より、所望の刺繍柄を前記刺繍布上に実現するものであ
る。そして、前記移動枠の移動を制御するための枠移動
制御装置は、駆動源としてのサーボモータと、該サーボ
モータを駆動制御するためのモータ制御手段とを備えて
いる。さらに、前記モータ制御手段は後述する制御部と
駆動部とから構成されている。
【0003】即ち、制御部は演算処理装置,メモリ等を
備えた枠移動制御専用の制御装置である。そして、該制
御部は、当該自動刺繍機を全般的に制御するための上位
制御装置から出力される枠移動量データおよび刺繍速度
データを受取り、該枠移動量データおよび刺繍速度デー
タに基づいて、枠移動制御を行うための移動指令パルス
信号を生成し、該移動指令パルス信号を駆動部に向けて
出力する。
【0004】また、駆動部は、サーボモータを駆動する
ための、いわゆるドライバであり、主としてフィードバ
ック制御回路により構成されているが、該フィードバッ
ク制御回路の他に、増幅回路やサーボモータの追従特
性、即ち、サーボ特性を設定するための演算処理装置等
を備えている。そして、該駆動部は主として前記制御部
から出力された移動指令パルス信号により目標位置(目
標となる回転角)を求め、サーボモータに設けられたポ
ジションセンサからの検出信号によりサーボモータの現
在位置(現在の回転角)を求め、目標位置と現在位置と
の偏差に応じた駆動電流をサーボモータに向けて出力す
る。
【0005】さらに、該駆動部には、サーボモータのサ
ーボ特性を設定する機能が設けられている。サーボモー
タのサーボ特性は、主として位置ループゲイン、速度ル
ープゲイン、積分時間の特性要素から決定される。即
ち、これらの特性要素を設定することによりサーボモー
タのサーボ特性が決定される。そして、このサーボ特性
に応じて、サーボモータの出力トルク、回転速度、応答
性、安定性等が決定される。
【0006】ここで、位置ループゲインとは、サーボモ
ータに印加する電圧の大きさを決定するものである。即
ち、目標位置(目標量)と現在位置(フィードバック
量)とに偏差がある場合に、この偏差が実質的に「0」
となるようにサーボモータを駆動する。この際、サーボ
モータに印加する電圧をどれだけ増加または減少させる
かを、この位置ループゲインによって決定する。位置ル
ープゲインを増加させるとサーボモータに印加する電圧
が大きくなり、サーボモータの出力トルクが増加する。
また、位置ループゲインを減少させるとサーボモータに
印加する電圧が小さくなり、サーボモータの出力トルク
が減少する。
【0007】また、速度ループゲインとは、目標位置
(目標量)と現在位置(フィードバック量)とに偏差が
ある場合に、この偏差をどれくらいの速度で実質的に
「0」にするかを決定するものである。速度ループゲイ
ンを増加させると、サーボモータの回転速度が増加し、
速度ループゲインを減少させると、サーボモータの回転
速度が減少する。
【0008】さらに、積分時間とは、目標位置(目標
量)と現在位置(フィードバック量)とに偏差がある場
合に、この偏差を積分し、サーボモータに向けて出力す
る駆動電流に一定の遅れと減衰の特性をもたせるもので
ある。積分時間を長くするとサーボモータの応答性が低
下するが、安定性がよくなる。一方、積分時間を短くす
るとサーボモータの応答性がよくなるが、安定性が低下
する。
【0009】これら位置ループゲイン、速度ループゲイ
ン、積分時間等を調整することにより、サーボモータの
サーボ特性を枠移動制御に適したものとなるように設定
することができる。
【0010】そこで、従来技術による枠移動制御装置で
は、サーボモータのサーボ特性が枠移動制御を行うのに
適したものとなるように、位置ループゲイン、速度ルー
プゲイン、積分時間を、製造時(設計時)に予め固定的
に設定するようにしている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述した従
来技術による枠移動制御装置では、前記位置ループゲイ
ン、速度ループゲイン、積分時間を予め固定的に設定す
るようにしているため、下記のような問題が生じる。
【0012】枠移動制御には、少なくとも、刺繍縫いを
行うべく移動枠を移動させるときの制御と、例えば刺繍
縫いの終了後等に移動枠を停止させておくときの制御と
がある。
【0013】即ち、刺繍縫いを行うべく移動枠を移動さ
せるときには、刺繍針が往復動する周期に同期して移動
枠を所定の位置へ移動させるように枠移動制御を行う。
この場合、刺繍針が刺繍布から離れて刺繍布の上方に位
置している間に、移動枠を枠移動量データに基づいて所
定の位置に移動させる必要があるため、移動枠を高速に
かつ正確に移動させる必要がある。
【0014】このように、移動枠を高速にかつ正確に移
動させるためには、サーボモータのサーボ特性を高速回
転に適し、かつ応答性、位置決め性を高めるように設定
する必要がある。
【0015】一方、例えば刺繍縫いの終了後等に移動枠
を停止させておくときには、サーボモータにより移動枠
を停止状態に保持すると共に、もし移動枠に外力が加わ
り該移動枠が位置ずれしたときには、該移動枠を元の位
置に戻すといった制御を行う。
【0016】この場合、移動枠に外力が加わり該移動枠
が位置ずれしたとき、該移動枠を元の位置に戻す速度が
速過ぎると、移動枠の移動量が行き過ぎ、移動枠が振動
してしまう。これを防止するため、移動枠が位置ずれし
たときに該移動枠を元の位置に戻す速度を適度に遅くな
るように制御する必要がある。また、移動枠に僅かな外
力が加わっただけで移動枠が不安定となり振動が発生す
るのを防止する必要がある。
【0017】このように、移動枠を元の位置に戻す速度
を適度に遅くし、移動枠の停止を安定させるためには、
サーボモータのサーボ特性を、サーボモータを比較的低
速回転させるのに適し、安定性に優れた特性に設定する
必要がある。
【0018】以上のように、刺繍縫いを行うべく移動枠
を移動させるときには、サーボモータのサーボ特性を高
速回転に適し、応答性、位置決め性の高い特性に設定す
る必要があり、一方、移動枠を停止させておくときに
は、サーボモータのサーボ特性を比較的低速回転に適
し、安定性の高い特性に設定する必要がある。
【0019】しかし、従来技術による枠移動制御装置で
は、前記位置ループゲイン、速度ループゲイン、積分時
間が、製造時(設計時)に予め固定的に設定されてい
る。このため、刺繍縫いの高速化を図るために、サーボ
モータのサーボ特性を高速回転に適した特性に設定する
と、移動枠の停止時における制御性能が低下する。即
ち、サーボモータのサーボ特性を高速回転に適した特性
に設定すると、移動枠に外力が加わり該移動枠が位置ず
れしたとき、該移動枠を元の位置に戻す速度が過剰に速
くなり、移動枠の移動量が行き過ぎて移動枠が振動する
という問題が生じる。
【0020】一方、かかる移動枠の振動を防止するよう
に、サーボモータのサーボ特性を比較的低速回転に適し
た特性に設定すると、刺繍縫いの高速化が図れないとい
う問題が生じる。
【0021】このため、従来技術による枠移動制御装置
では、刺繍時に要求される特性と、停止時に要求される
特性とのいずれにも適合するように、サーボモータのサ
ーボ特性を折衷的に設定せざるを得ず、これが、刺繍縫
いの高速化、ひいては自動刺繍機の性能を向上させる上
での障害となっていた。
【0022】また、移動枠に刺繍布を取付けるとき、若
しくは取り外すとき、または、刺繍布にアップリケを載
せるとき等は、これらの作業をし易くするために、一般
に移動枠を手前側に大きく移動させるようにしている。
【0023】このとき、従来技術による枠移動制御装置
では、刺繍時に枠移動制御するのと同様のサーボ特性で
サーボモータを回転駆動させ、移動枠を手前側に大きく
移動させるようにしている。
【0024】しかし、かかる従来技術による枠移動制御
装置では、移動枠が手前側に大きく移動している最中
に、作業者の手が移動枠に衝突する場合がある。また、
移動枠が手前側に大きく移動したとき、作業者の不注意
等により、該移動枠の移動経路途中に障害物が放置され
ていた場合には、移動枠が該障害物に衝突するといった
事故が生じるおそれがある。
【0025】本発明は上述した従来技術の問題に鑑みな
されたものであり、本発明は刺繍時には移動枠を高速に
かつ正確に移動させることができ、刺繍縫いの高速化を
図ることができると共に、移動枠の停止時等における移
動枠の制御性能を向上させることができる自動刺繍機の
枠移動制御装置を提供することを目的としている。
【0026】
【課題を解決するための手段】上述した課題を解決する
ために請求項1に係る発明の特徴は、モータ制御手段
は、サーボモータの駆動時には駆動に適したサーボモー
タの追従特性とする駆動用制御モードを選択し、サーボ
モータが停止状態のときには停止状態に適したサーボモ
ータの追従特性とする停止用制御モードを選択する構成
としたことにある。
【0027】即ち、サーボモータの駆動時には駆動用制
御モードを選択することにより、移動枠を移動させるの
に最適となるようにサーボモータの追従特性(サーボ特
性)を設定する。一方、サーボモータの停止時には停止
用制御モードを選択することにより、移動枠の停止制御
を行うのに最適となるようにサーボモータの追従特性を
設定する。
【0028】ここで、移動枠の停止制御とは、例えば刺
繍縫いが終了した後に、サーボモータにより移動枠を停
止状態に安定させて保持すると共に、もし移動枠に外力
が加わり該移動枠が位置ずれしたときには、該移動枠を
元の位置に戻すといった制御である。
【0029】請求項2に係る発明の特徴は、停止用制御
モードはサーボモータの追従特性のうち少なくとも位置
ループゲインを駆動用制御モードよりも下げる構成とし
てなる。
【0030】上記構成より、サーボモータの駆動時、即
ち刺繍縫いを行うべく移動枠を移動させるときには、サ
ーボモータの追従特性のうち、少なくとも位置ループゲ
インを停止時よりも上げる制御モードを選択する。これ
により、サーボモータの出力トルクが増加し、高速回転
に適し、応答性、位置決め性に優れたモータ制御が行わ
れるようになる。従って、移動枠を高速で移動させるこ
とが可能となる。
【0031】一方、サーボモータの停止時において移動
枠を停止制御するときには、サーボモータの追従特性の
うち、少なくとも位置ループゲインを駆動時よりも下げ
る制御モードを選択する。これにより、サーボモータの
出力トルクが減少し、サーボモータが比較的低速回転に
適し、安定性に優れたモータ制御が行われるようにな
る。従って、移動枠の停止制御を行うことが可能とな
る。
【0032】即ち、移動枠の停止制御を行っているとき
に、移動枠に外力が加わり該移動枠が位置ずれしたと
き、該移動枠を元の位置に戻す速度が速過ぎると、移動
枠の移動量が行き過ぎ、移動枠が振動してしまう。これ
を防止するため、請求項2に係る発明では、移動枠の停
止時にサーボモータの出力トルクを減少させ、サーボモ
ータを比較的低速回転に適し、安定性に優れた特性とな
るようにサーボモータの追従特性を設定する。これによ
り、移動枠が位置ずれしたときには該移動枠を元の位置
に戻す速度を適度に遅くなるように制御する。
【0033】請求項3に係る発明の特徴は、サーボモー
タを駆動制御するモータ制御手段は、刺繍針を往復動し
ている途中で移動枠を移動させるためにサーボモータを
駆動制御する刺繍用制御モードと、刺繍針を停止してい
るときに移動枠を移動させるためにサーボモータを駆動
制御する枠移動専用制御モードと、移動枠を任意の位置
に位置決めするためにサーボモータを停止制御する停止
用制御モードとを有する構成としたことにある。
【0034】上記構成より、刺繍針を往復動している途
中、即ち、主として刺繍縫いを実行しているときには、
刺繍用制御モードを選択することにより、サーボモータ
の追従特性を、刺繍針の往復動周期に同期させて移動枠
を高速にかつ正確に移動させるのに最適なものとなるよ
うに設定する。
【0035】また、刺繍針を停止しているとき、即ち、
移動枠に刺繍対象物を取付けるとき、または取り外すと
き等のように、刺繍針が停止している状態で、移動枠を
大きく移動させるときには、枠移動専用制御モードを選
択することにより、サーボモータの追従特性を、移動枠
を低トルクで移動させるのに最適なものとなるように設
定する。即ち、移動中の移動枠に僅かな外力が加わった
だけで該移動枠が停止するように、サーボモータの追従
特性を設定する。これにより、移動枠が移動している最
中に、作業者の手が該移動枠に接触したとき、または移
動枠が障害物に接触したときに移動枠がすぐに停止する
ようになる。
【0036】また、サーボモータを停止制御するときに
は、停止用制御モードを選択することにより、移動枠の
停止制御を行うのに最適となるようにサーボモータの追
従特性を設定する。
【0037】請求項4に発明の特徴は、停止用制御モー
ドはサーボモータの追従特性のうち少なくとも位置ルー
プゲインを前記刺繍用制御モードよりも下げる構成とし
たことにある。
【0038】上記構成により、例えば刺繍縫いを行って
いるときに刺繍用制御モードを選択すると、停止用制御
モードを選択したときよりも位置ループゲインが高く設
定される。これにより、サーボモータの出力トルクが増
加し、高速回転に適し、応答性、位置決め性に優れたモ
ータ制御が行われるようになる。従って、移動枠を高速
で移動させることが可能となる。
【0039】また、移動枠を停止制御するときに停止用
制御モードを選択すると、刺繍用制御モードを選択した
ときよりも位置ループゲインが低く設定される。これに
より、サーボモータの出力トルクが減少し、比較的低速
回転に適し、かつ安定性の優れたモータ制御が行われる
ようになり、上述したような移動枠の停止制御を行うこ
とが可能となる。
【0040】請求項5に係る発明の特徴は、枠移動専用
制御モードはサーボモータの追従特性のうち少なくとも
位置ループゲインを刺繍用制御モードよりも下げる構成
としたことにある。
【0041】上記構成により、移動枠に刺繍対象物を取
付けるとき、または取り外すとき等のように、刺繍針が
停止している状態で移動枠を大きく移動させるときに移
動枠専用制御モードを選択すると、刺繍用制御モードを
選択したときよりも位置ループゲインが低く設定され
る。これにより、刺繍針が停止している状態で移動枠を
大きく移動させるときは、刺繍縫いを実行するときと比
較して、サーボモータの出力トルクが減少するようなモ
ータ制御が行われるようになる。
【0042】従って、移動枠が低トルクで移動するよう
になり、例えば移動中の移動枠に作業者の手がぶつかっ
た場合、または移動中に移動枠が障害物に衝突した場合
等のように、移動中の移動枠に小さな外力が加わったと
きには、その外力によって該移動枠が容易に停止するよ
うになる。
【0043】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図1
ないし図5に従って詳説する。
【0044】図において、1は自動刺繍機の基台を示
し、該基台1のテーブル2上にはミシンヘッド3が設け
られ、該ミシンヘッド3の先端側には刺繍針4が針軸
(図示せず)を介して往復動可能に設けられている。
【0045】5はミシンヘッド3の下側に位置してテー
ブル2上に水平方向に移動可能に設けられた移動枠を示
し、該移動枠5は後述する枠移動機構7,7によってX
軸方向(左右方向)およびY軸方向(前後方向)に移動
するようになっている。また、該移動枠5の中央部には
刺繍布を保持するための保持部6が設けられ、該保持部
6に刺繍布を展張した状態で保持することにより、刺繍
布を移動枠5と一体に移動させ、刺繍縫いを行うように
なっている。
【0046】7,7は移動枠5を移動させるX軸用,Y
軸用の枠移動機構を示し、該各枠移動機構7には、該各
枠移動機構7の駆動源となるX軸用サーボモータ8、Y
軸用サーボモータ8がそれぞれ設けれている。そして、
該各枠移動機構7は、X軸用サーボモータ8,Y軸用サ
ーボモータ8の各回転をタイミングベルト9,9等によ
りX軸方向の変位,Y軸方向の変位にそれぞれ変換し、
移動枠5を水平移動させるものである。
【0047】また、前記各サーボモータ8には、該各サ
ーボモータ8の現在位置(現在の回転角)を検出し、後
述する各モータドライバ20に向けてポジション検出信
号Q1,Q2を出力するポジションセンサ10,10が
設けられている。
【0048】11は当該自動刺繍機を制御する刺繍制御
装置を示し、該刺繍制御装置11はテーブル2の下側等
に配設されている。そして、該刺繍制御装置11は、当
該自動刺繍機を制御するための種々の制御プログラムを
実行する中央演算処理装置12(以下、「メインCPU
12」という)と、前記各制御プログラム、刺繍デー
タ、各種制御用フラグ等を記憶するためのメモリ13
と、刺繍針4を往復動させるための主軸モータ14と、
該主軸モータ14の主軸位置を検知するための主軸位置
検知器15と、刺繍データ等の入力や各種データの出力
等を行うための入出力装置16と、移動枠5を移動制御
するためのモータ制御装置17とを備えている。
【0049】ここで、前記モータ制御装置17について
図4に基づいて詳細に説明するに、18はモータ制御装
置17の一部を構成する制御用プロセッサを示し、該制
御用プロセッサ18は枠移動制御専用のマイクロプロセ
ッサであり、演算処理装置、メモリ、カウンタ等を備え
ている。また、該制御用プロセッサ18はシリアルイン
タフェース19を介してメインCPU12に接続されて
いる。
【0050】そして、該制御用プロセッサ18は、メイ
ンCPU12からシリアルインタフェース19を介して
出力される刺繍速度データ、枠移動量データ等を受け取
り、これら刺繍速度データ、枠移動量データ等に基づい
てX軸用サーボモータ8の回転を制御するための移動指
令パルス信号P1と、Y軸用サーボモータ8の回転を制
御するための移動指令パルス信号P2を後述の各モータ
ドライバ20に向けて出力する。また、該制御用プロセ
ッサ18は枠移動量データ等に基づき、X軸用サーボモ
ータ8の回転方向を指令する回転方向指令信号R1と、
Y軸用サーボモータ8の回転方向を指令する回転方向指
令信号R2を各モータドライバ20に向けて出力する。
【0051】さらに、該制御用プロセッサ18は、枠移
動制御を行うとき、枠移動制御の態様に対応して駆動用
制御モードとしての刺繍用制御モード、枠移動専用制御
モード、停止用制御モードを選択し、該各制御モードに
対応して選択指令信号S1,S2,S3を各モータドラ
イバ20に向けて出力する。なお、これについては後述
する。
【0052】20,20は前記制御用プロセッサ18と
共にモータ制御装置17の一部を構成するX軸用,Y軸
用のモータドライバをそれぞれ示し、該各モータドライ
バ20は各サーボモータ8を駆動するための専用の駆動
装置である。そして、該各モータドライバ20は、サー
ボ制御を行うためのフィードバック制御回路と、増幅回
路と、各サーボモータ8のサーボ特性(追従特性)の設
定等を行う演算処理装置と、後述する位置ループゲイ
ン、速度ループゲイン、積分時間の各設定値を記憶する
サーボ特性メモリ21,21とを備えている。
【0053】そして、該各モータドライバ20は、制御
用プロセッサ18から出力される移動指令パルス信号P
1(P2)、回転方向指令信号R1(R2)に基づい
て、目標位置(枠移動するに際し、目標となる回転角)
を求める。また、該各モータドライバ20は、各サーボ
モータ8に設けられたポジションセンサ10から出力さ
れるポジション検出信号Q1(Q2)を受け取り、これ
に基づいて各サーボモータ8の現在位置(現在の回転
角)を求める。そして、該各モータドライバ20は前記
目標位置と現在位置との偏差を求め、この偏差に応じた
駆動電流I1(I2)を各サーボモータ8に向けて出力
する。
【0054】また、該各モータドライバ20には、サー
ボモータ8のサーボ特性(追従特性)を可変に設定する
機能が設けられている。
【0055】ここで、サーボモータ8のサーボ特性は、
位置ループゲイン、速度ループゲイン、積分時間の3つ
の特性要素からなる。即ち、位置ループゲイン、速度ル
ープゲイン、積分時間のそれぞれのパラメータをどのよ
うな値に設定するかによってサーボ特性が決定される。
そして、このサーボ特性に応じて、サーボモータ8の出
力トルク、回転速度、応答性、安定性、位置決め性等が
決定される。
【0056】なお、位置ループゲイン、速度ループゲイ
ン、積分時間については従来技術で述べたものと同様で
ある。即ち、位置ループゲインを増減することにより、
主にサーボモータ8の出力トルクを増減させることがで
きる。また、速度ループゲインを増減することにより、
主にサーボモータ8の回転速度を増減させることができ
る。さらに、積分時間を増減させることにより、主にサ
ーボモータ8の応答性、安定性を変化させることができ
る。
【0057】そして、前記制御用プロセッサ18から刺
繍用制御モード、枠移動専用制御モード、停止用制御モ
ードに対応して選択指令信号S1,S2,S3が出力さ
れると、該各モータドライバ20は、この選択指令信号
S1,S2,S3に基づいて、サーボモータ8のサーボ
特性を可変に設定する。即ち、選択指令信号S1,S
2,S3に基づいて位置ループゲイン、速度ループゲイ
ン、積分時間を可変に設定する。
【0058】ここで、刺繍用制御モード、枠移動専用制
御モード、停止用制御モードとサーボ特性の関係につい
て、下記の表1を参照しつつ説明する。
【0059】
【表1】
【0060】まず第1に、刺繍用制御モード(駆動用制
御モード)は刺繍縫いを実行するのに最適なサーボ特性
を設定する制御モードである。即ち、刺繍縫いを実行す
るときには、刺繍針4の往復動周期に同期して移動枠5
を高速にかつ正確に移動させる必要がある。
【0061】このため、刺繍縫いを実行するときには、
制御用プロセッサ18によって当該刺繍用制御モードが
選択され、該制御用プロセッサ18から各モータドライ
バ20に向けて選択指令信号S1が出力される。そし
て、該各モータドライバ20は、この選択指令信号S1
に基づいて、位置ループゲイン、速度ループゲイン、積
分時間の各パラメータを他の制御モードと比較して上記
表1上段に示すような関係となるようにそれぞれ設定す
る。これにより、各サーボモータ8は、出力トルクが高
く、高速回転に適し、かつ応答性、位置決め性の優れた
特性を発揮するようになり、移動枠5を高速にかつ正確
に移動させることが可能となる。
【0062】第2に、枠移動専用制御モードは、刺繍針
4を停止しているときに移動枠5を大きく移動させるの
に最適なサーボ特性を設定する制御モードである。即
ち、移動枠5に刺繍布等の刺繍対象物を取付けるとき、
若しくは取り外すとき、または刺繍布にアップリケを載
せるときなどに、作業者に対し上記作業をし易くするよ
うに、移動枠5をテーブル2の前側に大きく移動させ
る。このとき、移動枠5を刺繍時と同様に高速で移動さ
せると、作業者の手が移動枠5に接触したとき等に事故
が発生する危険性があるため、これを防止するために、
移動枠5を比較的低速にかつ低トルクで移動させる必要
がある。
【0063】このため、移動枠5に刺繍布等を取付ける
等のために移動枠5を大きく移動させるときには、制御
用プロセッサ18によって当該枠移動専用制御モードが
選択され、該制御用プロセッサ18から各モータドライ
バ20に向けて選択指令信号S2が出力される。そし
て、該各モータドライバ20は、この選択指令信号S2
に基づいて、位置ループゲイン、速度ループゲイン、積
分時間の各パラメータを他の制御モードと比較して上記
表1中段に示すような関係となるようにそれぞれ設定す
る。これにより、各サーボモータ8は、刺繍用制御モー
ドまたは停止用制御用モードを選択したときと比較して
出力トルクが低くなり、移動枠5を低トルクで移動させ
るのに最適なサーボ特性が設定される。
【0064】第3に、停止用制御モードは、移動枠5の
停止制御を実行するのに最適なモータ制御モードを設定
する制御モードである。ここで、停止制御とは、各サー
ボモータ8により移動枠5を停止状態に安定させて保持
すると共に、もし移動枠5に外力が加わり該移動枠5が
位置ずれしたときには、該移動枠5を元の位置に戻すと
いった制御である。
【0065】この場合、移動枠5に外力が加わり該移動
枠5が位置ずれしたとき、該移動枠5を元の位置に戻す
速度が速過ぎると、移動枠5の移動量が行き過ぎ、移動
枠5が振動してしまう。これを防止するため、移動枠5
の停止時に各サーボモータ8の出力トルクを減少させ、
サーボモータ8を比較的低速回転に適したものとなるよ
うにサーボ特性を設定し、移動枠5が位置ずれしたとき
に該移動枠5を元の位置に戻す速度を適度に遅くなるよ
うにする必要がある。
【0066】このため、移動枠5の停止制御をするとき
には、制御用プロセッサ18により当該停止用制御モー
ドが選択され、該制御用プロセッサ18から各モータド
ライバ20に向けて選択指令信号S3が出力される。そ
して、該モータドライバ20は、この選択指令信号S3
をに基づいて、位置ループゲイン、速度ループゲイン、
積分時間の各パラメータを他の制御モードと比較して上
記表1下段に示すような関係となるようにそれぞれ設定
する。これにより、各サーボモータ8は、刺繍用制御モ
ードを選択したときに比較して、出力トルクが低くな
り、比較的低速回転に適した特性を発揮するようになる
と共に、安定性が向上する。
【0067】なお、上記表1の位置ループゲイン、速度
ループゲイン、積分時間の大小関係は、これに限るもの
ではない。
【0068】次に、各モータドライバ20が選択指令信
号S1,S2,S3に基づいて、サーボモータ8のサー
ボ特性を設定する点について説明する。
【0069】まず、該各モータドライバ20のサーボ特
性メモリ21には、各制御モードに対応してサーボ特性
を決定する各パラメータを設定するためのプリセット値
が記憶されている。即ち、位置ループゲインのパラメー
タを設定するためのプリセット値と、速度ループゲイン
のパラメータを設定するためのプリセット値と、積分時
間のパラメータを設定するためのプリセット値との3つ
のプリセット値を1組とすると、サーボ特性メモリ21
には、この1組のプリセット値が、刺繍用制御モード、
枠移動専用制御モード、停止用制御モードにそれぞれ対
応して合計3組、記憶されている。さらに、これらのプ
リセット値は、各制御モードに対応して読出ができるよ
うに、所定のアドレスに配置されている。
【0070】そして、各モータドライバ20は、制御用
プロセッサ18から出力された選択指令信号S1を受け
取ったときには、刺繍用制御モードが選択されているの
で、サーボ特性を刺繍用制御モードに設定するために、
サーボ特性メモリ21から該当する各プリセット値を読
出し、該各プリセット値を位置ループゲイン、速度ルー
プゲイン、積分時間の各パラメータとして設定する。
【0071】同様に、各モータドライバ20は選択指令
信号S2,S3を受け取ったときには、サーボ特性を枠
移動専用制御モード,停止用制御モードに設定するため
に、サーボ特性メモリ21から該当する各プリセット値
を読出し、該各プリセット値を位置ループゲイン、速度
ループゲイン、積分時間の各パラメータとして設定す
る。
【0072】本実施例による自動刺繍機の枠移動制御装
置は上述したような構成を有するものであり、次にその
基本的な動作について説明する。
【0073】まず、フロッピーディスクに予め記憶され
た刺繍データを入出力装置16によって刺繍制御装置1
1のメモリ13に読込む。そして、メインCPU12
は、この刺繍データに基づいて主軸モータ14の回転を
制御して刺繍針4を往復動させると共に、モータ制御装
置17を作動させて移動枠5の移動を制御することで刺
繍縫いを行う。
【0074】即ち、メインCPU12が、刺繍速度デー
タおよび前記刺繍データ中に含まれた枠移動量データ
を、刺繍針4の往復動周期に同期するように、モータ制
御装置17に出力する。そして、モータ制御装置17
は、枠移動量データに基づいてX軸用のサーボモータ8
と、Y軸用のサーボモータ8をそれぞれ所望の角度だけ
回転させる。これにより、移動枠5がX−Y平面上の所
望の位置に移動し、移動前の針落ち点から移動後の針落
ち点までの間に刺繍糸が縫いつけられる。
【0075】次に、モータ制御装置17による枠移動制
御について図5のフローチャートに基づいて説明する。
【0076】ステップ1で自動刺繍機の電源が投入され
ると、メインCPU12、入出力装置16等が初期化さ
れると共に、モータ制御装置17が初期化される。
【0077】ステップ2では、停止用制御モードを選択
し、各モータドライバ20に向けて選択指令信号S3を
出力する。そして、各モータドライバ20は選択指令信
号S3に対応した各プリセット値をサーボ特性メモリ2
1から読出し、該各プリセット値を位置ループゲイン、
速度ループゲイン、積分時間のそれぞれのパラメータと
して設定する。
【0078】これにより、各サーボモータ8は、刺繍用
制御モードを選択したときに比較して、出力トルクが低
く、比較的低速回転に適した特性を発揮するようになる
と共に、安定性が向上する。従って、移動枠5の停止制
御を実行すると、停止中の移動枠5に外力が加わり該移
動枠5が位置ずれしたときでも、該移動枠5が元の位置
にゆっくりと戻り、振動することなく停止する。
【0079】ステップ3では、枠移動量データに基づい
て、移動枠5を移動させるか否かを判定する。即ち、メ
インCPU12から枠移動量データが出力されたときに
は、メインCPU12が、刺繍縫いを開始するか、また
は、移動枠5に刺繍布を取付る等の作業を開始すること
を要求しているため「YES」と判定し、刺繍用制御モ
ードまたは枠移動専用制御モードを選択すべくステップ
4に移行する。一方、枠移動量データが出力されないと
きは「NO」と判定し、枠移動量データが出力されるま
でステップ3を繰り返す。
【0080】ステップ4では、刺繍データ中の枠移動量
データに基づいて、移動量が所定値(例えば12.7m
m)以下か否かを判定する。移動量が所定値以下のとき
には「YES」と判定し、刺繍用制御モードを選択すべ
くステップ5に移行する。
【0081】即ち、移動量が所定値以下のときは、刺繍
縫いを開始するとき、または刺繍縫いの実行中であり、
刺繍針4が往復動しているときである。このときには、
刺繍針4の往復動周期に同期して移動枠5を高速にかつ
正確に移動させる必要があるため、制御用プロセッサ1
8は刺繍用制御モードを選択すべく、ステップ5に移行
する。
【0082】ステップ5では、刺繍用制御モードを選択
し、各モータドライバ20に向けて選択指令信号S1を
出力する。そして、各モータドライバ20は選択指令信
号S1に対応した各プリセット値をサーボ特性メモリ2
1から読出し、該各プリセット値を位置ループゲイン、
速度ループゲイン、積分時間のそれぞれのパラメータと
して設定する。
【0083】これにより、各サーボモータ8は、出力ト
ルクが高く、高速回転に適し、かつ応答性、位置決め性
の優れた特性に設定される。従って、刺繍針4の往復動
周期に同期して移動枠5を高速かつ正確に移動させるこ
とが可能となる。
【0084】一方、ステップ4で移動量が所定値以下で
ないときには「NO」と判定し、枠移動専用制御モード
を選択すべくステップ6に移行する。
【0085】ステップ6では、枠移動専用制御モードを
選択し、各モータドライバ20に向けて選択指令信号S
2を出力する。そして、該モータドライバ20は選択指
令信号S2に対応した各プリセット値をサーボ特性メモ
リ21から読出し、該各プリセット値を位置ループゲイ
ン、速度ループゲイン、積分時間のそれぞれのパラメー
タとして設定する。
【0086】これにより、各サーボモータ8は、刺繍用
制御モードまたは停止用制御モードを選択したときと比
較して出力トルクが低くなり、移動枠5を低トルクで移
動させることが可能となる。
【0087】ステップ7では、刺繍データ中の刺繍速度
データ、枠移動量データに基づいて移動指令パルス信号
P1(P2)、回転方向指令信号R1(R2)を生成
し、該移動指令パルス信号P1(P2)、回転方向指令
信号R1(R2)を各モータドライバ20に向けて出力
する。これにより、各モータドライバ20から駆動電流
I1(I2)がサーボモータ8に向けて出力され、サー
ボモータ8が枠移動量データに従って回転し、移動枠5
が所定位置へ移動する。
【0088】ステップ8では、移動枠5を停止させるか
否かを判定する。即ち、刺繍データの内容が停止ファン
クション等となったとき、または停止制御用の信号が出
力されたとき等には、移動枠5の停止制御を実行すべく
「YES」と判定し、ステップ9に移行する。一方、刺
繍データの内容が停止ファンクション等でないときには
「NO」と判定し、刺繍縫いを続行すべくステップ3に
移行する。
【0089】ステップ9では、移動枠5の停止制御を行
う前の安定時間が経過したか否かを判定する。ここで、
安定時間とは、各サーボモータ8が回転直後の不安定な
状態を脱し、所定の目標位置に安定して位置決めされる
までの時間であり、例えば0.1m秒〜0.2m秒程度
である。そして、安定時間を経過した場合には「YE
S」と判定し、停止制御モードを選択すべくステップ1
0に移行する。一方、安定時間を経過していない場合に
は「NO」と判定し、安定時間を経過するまでステップ
9を繰り返す。
【0090】ステップ10では、停止用制御モードを選
択し、各モータドライバ20に向けて選択指令信号S3
を出力する。そして、各モータドライバ20は選択指令
信号S3に対応した各プリセット値をサーボ特性メモリ
21から読出し、該各プリセット値を位置ループゲイ
ン、速度ループゲイン、積分時間のそれぞれのパラメー
タとして設定する。そして、移動枠5の停止制御を実行
し、ステップ3に移行する。
【0091】かくして、本実施例によれば、刺繍用の移
動枠5を移動制御するときに、枠移動制御の態様に対応
して刺繍用制御モード、枠移動専用制御モード、停止用
制御モードを選択することにより、枠移動制御の態様に
対応して最適なサーボ特性を設定でき、枠移動制御の各
態様に適合するように各サーボモータ8の性能を最大限
に発揮させることができる。
【0092】即ち、刺繍縫いを実行するときには、刺繍
用制御モードを選択することにより、移動枠5を高速に
かつ正確に移動させることが可能となる。従って、刺繍
縫いの高速化を図ることができる共に、刺繍品質を高め
ることができる。
【0093】一方、移動枠5に刺繍布を取付ける等のた
めに、移動枠5を大きく移動させるときには、枠移動専
用制御モードを選択することにより、移動枠5に僅かな
外力が作用しただけで移動枠5が停止するようになる。
従って、移動枠が大きく移動している最中に、作業者の
手が移動枠に接触しても、移動枠5はすぐに停止するか
ら、作業者の手が移動枠に衝突するのを確実に防止でき
る。また、移動枠5が手前側に大きく移動したとき、作
業者の不注意等により、該移動枠5の移動経路途中に障
害物が放置されていた場合でも、移動枠5が該障害物に
接触した時点で停止し、移動枠5が障害物に衝突するの
を確実に防止できる。
【0094】さらに、移動枠5の停止制御を行うときに
は、停止用制御モードを選択することにより、移動枠5
を停止状態で安定させて保持することができ、僅かな外
乱により移動枠5が振動するのを確実に防止できる。即
ち、停止中の移動枠5に外力が加わり該移動枠5が位置
ずれしたときでも、該移動枠5を元の位置にゆっくりと
戻し、振動することなく停止させることができる。従っ
て、移動枠5の停止時における振動、騒音を防止でき
る。
【0095】このように、本実施例によれば、刺繍縫い
の高速化と移動枠5の移動時、停止時等における性能の
向上とを同時に実現することができ、自動刺繍機の性能
を大幅に向上させることができる。
【0096】なお、前記実施例では、刺繍用制御モー
ド、枠移動専用制御モードおよび停止用モードの3つの
制御モードを設け、各制御モードに対応して、サーボモ
ータ8のサーボ特性(追従特性)を設定するための3組
のプリセット値を設ける構成としたが、本発明はこれに
限らず、制御モードを4つ以上にし、これに対応して4
組以上のプリセット値を設ける構成としてもよい。例え
ば、前記刺繍用制御モードを、刺繍速度(主軸モータ1
4の回転速度)が高速のときに選択する第1の刺繍用制
御モードと、低速のときに選択する第2の刺繍用制御モ
ードから構成するようにしてもよい。
【0097】また、前記実施例では、制御用プロセッサ
18から選択指令信号S1,S2,S3を出力すると共
に、モータドライバ20がサーボ特性メモリ21からサ
ーボ特性を設定するための各プリセット値を読出す構成
としたが、本発明はこれに限るものでなく、制御用プロ
セッサ18側で、サーボ特性を設定するための各設定値
を生成し、該各設定値を制御用プロセッサ18からモー
タドライバ20に出力する構成としてもよい。
【0098】さらに、前記実施例では、それぞれの制御
モードに応じて位置ループゲイン、速度ループゲインお
よび積分時間の各パラメータを変更することにより、サ
ーボ特性を決定するものとして述べたが、本発明はこれ
限らず、位置ループゲインのみのパラメータを変更する
ことによりサーボ特性を決定してもよい。
【0099】さらにまた、前記実施例では、駆動用制御
モードとしての刺繍用制御モードと、枠移動専用制御モ
ードと、停止用制御モードとの3つの制御モードを選択
するものとして述べたが、本発明はこれに限らず、駆動
用制御モードと停止用制御モードとの2つの制御モード
を有する構成とし、刺繍縫いを実行するとき、および移
動枠5に刺繍布を取付ける等のために移動枠5を大きく
移動させるときには、駆動用制御モードを選択し、移動
枠5の停止制御をするときには停止用制御モードを選択
するようにしてもよい。
【0100】
【発明の効果】以上詳述した通り、請求項1に係る発明
によれば、サーボモータの駆動時には駆動用制御モード
を、停止時には停止用制御モードをそれぞれ選択するこ
とにより、サーボモータを駆動して移動枠を移動させる
ときには、サーボモータの追従特性を枠移動に最適とな
るように設定でき、一方、サーボモータの停止制御をす
るときには、サーボモータの追従特性を停止制御に最適
となるように設定できる。
【0101】従って、枠移動制御の各態様毎に最適な枠
移動制御を行うことができ、自動刺繍機の枠移動制御装
置の性能を大幅に向上させることができる。
【0102】請求項2に係る発明では、停止用制御モー
ドはサーボモータの追従特性のうち少なくとも位置ルー
プゲインを前記駆動用制御モードよりも下げる構成とし
たから、サーボモータの駆動時には、刺繍縫いを行うべ
く移動枠を移動させるのに最適となるように、サーボモ
ータの位置ループゲインを高くすることができ、サーボ
モータの停止時には、移動枠を停止制御するのに最適と
なるように、サーボモータの位置ループゲインを低くす
ることができる。
【0103】従って、刺繍時には、刺繍針が高速に往復
動するのに同期させ、移動枠を高速にかつ正確に移動さ
せることができる。一方、移動枠の停止時には、停止中
の移動枠に外力が加わり移動枠が位置ずれしても、該移
動枠を元の位置に静かに戻すことができ、該移動枠の移
動量が行き過ぎて振動が発生する等の問題を確実に解消
できる。
【0104】請求項3に係る発明によれば、モータ制御
手段は、刺繍針を往復動している途中で移動枠を移動さ
せるためにサーボモータを駆動制御する刺繍用制御モー
ドと、刺繍針を停止しているときに移動枠を移動させる
ためにサーボモータを駆動制御する枠移動専用制御モー
ドと、移動枠を任意の位置に位置決めするためにサーボ
モータを停止制御する停止用制御モードとを有する構成
としたから、刺繍縫いを実行するとき、移動枠に対して
刺繍対象物の取付け等をするとき、移動枠を停止保持す
るとき等の様々な態様毎に、最適な枠移動制御を行うこ
とができる。
【0105】請求項4に係る発明によれば、停止用制御
モードはサーボモータの追従特性のうち少なくとも位置
ループゲインを刺繍用制御モードよりも下げる構成とし
たから、例えば、刺繍縫いを行っているとき等のように
刺繍針が往復運動している途中では、刺繍用制御モード
を選択することにより、移動枠を高速にかつ正確に移動
させることができる。これにより、刺繍品質を高めると
共に、刺繍縫いの高速化を実現することができる。
【0106】また、移動枠を停止制御するときには停止
用制御モードを選択することにより、停止中の移動枠に
外力が加わり移動枠が位置ずれしても、該移動枠を元の
位置に比較的低速に戻すことができ、該移動枠の移動量
が行き過ぎて振動が発生するのを確実に防止できる。
【0107】請求項5に係る発明によれば、枠移動専用
制御モードは、サーボモータの追従特性のうち少なくと
も位置ループゲインを刺繍用制御モードよりも下げる構
成としたから、例えば、移動枠に刺繍対象物を取付ける
とき、または取り外すとき等のように、刺繍針が停止し
ている状態で移動枠を大きく移動させるときには、枠移
動専用制御モードを選択することにより、移動枠を比較
的低トルクで移動させることができる。これにより、例
えば移動枠の移動中に、作業者の手が該移動枠に衝突す
るのを確実に防止できる。また、移動中の移動枠が障害
物に衝突した場合に移動枠が破損するのを確実に防止で
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例による自動刺繍機の枠移動制御
装置を示す斜視図である。
【図2】図1に示す自動刺繍機の部分横断面図である。
【図3】本発明の実施例による自動刺繍機の枠移動制御
装置を示す制御ブロック図である。
【図4】図3中のモータ制御装置を示す制御ブロック図
である。
【図5】枠移動制御処理を示す流れ図である。
【符号の説明】
3 ミシンヘッド(ヘッド) 4 刺繍針 5 移動枠 7 枠移動機構 8 サーボモータ 17 モータ制御装置 18 制御用プロセッサ 20 モータドライバ 21 サーボ特性メモリ

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 刺繍対象物に向けて刺繍針を往復動させ
    る刺繍機のヘッドと、該ヘッドの下側に移動可能に設け
    られ前記刺繍対象物を展張状態で保持する移動枠と、該
    移動枠を移動させる枠移動機構の駆動源となるサーボモ
    ータと、該サーボモータを駆動制御するモータ制御手段
    とからなる自動刺繍機の枠移動制御装置において、 前記モータ制御手段は、前記サーボモータの駆動時には
    駆動に適したサーボモータの追従特性とする駆動用制御
    モードを選択し、前記サーボモータが停止状態のときに
    は停止状態に適したサーボモータの追従特性とする停止
    用制御モードを選択する構成としたことを特徴とする自
    動刺繍機の枠移動制御装置。
  2. 【請求項2】 前記停止用制御モードは前記サーボモー
    タの追従特性のうち少なくとも位置ループゲインを前記
    駆動用制御モードよりも下げる構成としてなる請求項1
    に記載の自動刺繍機の枠移動制御装置。
  3. 【請求項3】 刺繍対象物に向けて刺繍針を往復動させ
    る刺繍機のヘッドと、該ヘッドの下側に移動可能に設け
    られ前記刺繍対象物を展張状態で保持する移動枠と、該
    移動枠を移動させる枠移動機構の駆動源となるサーボモ
    ータと、該サーボモータを駆動制御するモータ制御手段
    とからなる自動刺繍機の枠移動制御装置において、 前記モータ制御手段は、前記刺繍針を往復動している途
    中で前記移動枠を移動させるために前記サーボモータを
    駆動制御する刺繍用制御モードと、前記刺繍針を停止し
    ているときに前記移動枠を移動させるために前記サーボ
    モータを駆動制御する枠移動専用制御モードと、前記移
    動枠を任意の位置に位置決めするために前記サーボモー
    タを停止制御する停止用制御モードとを有する構成とし
    たことを特徴とする自動刺繍機の枠移動制御装置。
  4. 【請求項4】 前記停止用制御モードは前記サーボモー
    タの追従特性のうち少なくとも位置ループゲインを前記
    刺繍用制御モードよりも下げる構成としてなる請求項3
    に記載の自動刺繍機の枠移動制御装置。
  5. 【請求項5】 前記枠移動専用制御モードは前記サーボ
    モータの追従特性のうち少なくとも位置ループゲインを
    前記刺繍用制御モードよりも下げる構成としてなる請求
    項3に記載の自動刺繍機の枠移動制御装置。
JP14499896A 1996-05-15 1996-05-15 自動刺繍機の枠移動制御装置 Pending JPH09302570A (ja)

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Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100393332B1 (ko) * 2000-04-19 2003-07-31 주식회사 기연테크 자수기 수틀의 운전방법 및 그 장치
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