JP4070665B2 - 穴かがりミシン - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、縫い針の上下動と同調して、布送りさせて穴かがり縫い目を形成しつつ、メスによりボタン穴を形成する穴かがりミシンに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
穴かがりミシンとは、自らの幅に応じた長さのボタン穴を形成するメスを布地に対して一乃至複数回上下動させることで所定長さのボタン穴を形成すると共に、そのボタン穴形成位置の周囲にかがり縫いを行うミシンである。図14は、布地に形成されるボタン穴と縫製が行われた場合の縫い糸の状態を示す説明図である。以下、布地の送り方向をY軸方向とし、針板平面上でY軸方向と直交する方向をX軸方向とする。
図14に示すように、ボタン穴の長さ方向とY軸方向とは平行であり、同方向に沿って布地の往復移動送りを行い、その送りを行っている間に、ボタン穴の長手方向両端部で閂止め縫いを行い、ボタン穴の左右方向両側でかがり縫いを行い、メスの上下動によりボタン穴形成を行う。なお、縫い針はX軸方向に沿って往復移動して縫製を行うことができ、図中の符号Wは、図の縫製を行う場合の縫い針の移動範囲を示し、符号Pは布地の一回の送りピッチを示している。
【0003】
メス幅の二倍未満であって一倍より大きいボタン穴を二回のメス落ちにより形成する場合を例にとり具体的に説明する。図14(A)は一回目のメス落ち位置を示し、図14(B)は二回目のメス落ち位置を示している。また、メス位置と針落ち位置とはY軸方向について相対的な位置関係が予め設定されており、Gの位置に縫い針がある場合に一回目のメス落ちが行われ、Hの位置に縫い針がある場合に二回目のメス落ちが行われる。
穴かがり縫製に際しては、まず図14における下端部左側からかがり縫いが開始されると共に布地は下方向に送られ、上端部までかがり縫いが行われると、閂止め縫いが開始される。さらに、閂止め縫い後は、布地は上方向に送られ、ボタン穴の右側のかがり縫いが行われる。そして、縫い針がG位置まで来るとメスが一回目の上下動を行い、符号C−D間において一回目分の穴が布地に形成される。さらに、縫い針がH位置まで来るとメスが二回目の上下動を行い、符号E−F間において二回目分の穴が布地に形成されると共に目的とするボタン穴が完成し、その後閂止め縫いが行われてから縫製が完了する。
【0004】
ところで、上述のように、メスの二回の上下動により布地にボタン穴形成を行う場合であって、その目標とするボタン穴の長さがメス幅と余り変わらない場合(図14(B)における符号D−F間の距離が短い場合)、一回目のメス落ちから二回目のメス落ちまでの時間的間隔が短くなり、メスの上下動に要する時間が足りなくなるという問題があった。図15は、メスの上下動に要する時間とその駆動出力信号との関係を示す説明図である。この図のように、メスは一回ごとの上下動に要する時間が決まっており、これよりも短い周期で上下動することはできなかった。
【0005】
かかるメスの上下動により規制を解消するために、従来の穴かがりミシンでは、一回目のメス落ちから二回目のメス落ちまでの時間が少ないことが予想される長さのボタン穴を形成する場合に、二回目のメス落ちの所定期間前から縫製速度を低速化させる制御を行っていた(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開平11−9860号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
一般に穴かがりミシンの縫製速度は縫い針の上下動を行うミシンモータに依存している。図16はミシンモータの回転数と動作時間の関係を示す線図であり、図16(A)は上記特許文献1記載の従来例の減速制御に基づいて二回のメス落ちを行った場合を示し、図16(B)は減速制御を行わずに図16(A)と同じ分の縫製作業を作業を行った場合を示す。また、符号t1,t2はそれぞれ一回目と二回目のメス落ちタイミングを示す。
【0008】
一般に、通常の縫製速度は予め設定された値に従って縫製が行われる。また、ミシンモータの速度の増加・減少に際しては、それぞれ一定の勾配を描いて変化するように動作制御され、瞬間的に切替わるものではない。これを前提として、上記特許文献1記載の従来例の減速制御が行われると、二回目のメス落ちまでに所定速度まで減速されてから再び通常速度まで加速し、その後、縫製終了に合わせて再び減速されるはずである。ところが、二回目のメス落ちから縫製終了までの針数が少ない場合には、二回目のメス落ちからの加速が不十分なまま縫製終了の減速状態となり、結局二回目のメス落ちてから低速状態のまま縫製終了に至る場合が生じる。この場合、減速制御を行わなかった場合と比して、時間tsの遅れを生じることとなる。上述した従来例は、タイミング的に接近する二回のメス落ちを行う場合に上記縫製時間の遅れを生じるという不都合があった。
【0009】
本発明は、タイミング的に接近する二回のメス落ちを行う場合の縫製時間の遅れの抑制を図ることを、その目的とする
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明では、針振りをしながら上下動して布地に縫い目を形成する縫い針と、機枠に支持され上下に移動可能で下降することにより布地にボタン穴を形成するメスと、縫い針及びメスに対して縫い針の上下動と同期して針振り方向と交差する方向に布地を移動させる布送り装置と、縫い針の針振り動作と上下動速度と布地の送り動作とメスの下降動作とについて制御を行う制御部とを備え、制御部は、布地に形成すべきボタン穴の目標長さがメスの一回の上下動による切断長さよりも大きく、穴かがり縫い目の形成終了までにメスの二回の上下動でボタン穴を形成する場合において、穴かがりの縫い目の形成の途中でメスの一回目の上下動と二回目の上下動とを順次行う第一制御と、一回目の上下動を縫い目形成中に行い,二回目の上下動を穴かがりの縫製終了後に布送り装置により布送りを戻してから行う第二制御とのいずれかを選択して行う、という構成を採っている。
【0011】
上記構成では、穴かがりの縫い目の形成の途中でメスの二回の上下動を行う第一制御と、メスの二回目の上下動については穴かがりの縫い目の形成終了後に行う第二制御とのいずれかを選択して行うことができる。
例えば、第二制御が行われる場合には、前述した図16(B)と同様に縫製が終了し、時間ts以内に、布送り装置により二回目のメス落ち位置に布地の位置を戻し、二回目のメス落ちを行うことで穴かがり縫製の全体の作業時間の短縮化が図られる。
なお、第一制御と第二制御のいずれの作業時間がより短いかは、通常状態での縫製速度、布送りピッチ幅、減速又は加速の速度勾配、布送り速度、メスの上下動速度等によっても左右されるので、これらのパラメータを考慮して第一,第二制御のいずれを選択するかを決定しても良い。
なお、第一制御とは、穴かがりの縫い目の形成の為の縫製速度を一定に維持して行う場合と、一回目のメスの上下動から二回目のメスの上下動までの間隔が短いために二回目のメス落ちまでの縫製速度を遅速化する制御のいずれであっても良い。
【0012】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明と同様の構成を備えると共に、制御部は、メスの一回目から二回目の上下動までの針数が、所定値以下又は未満の場合に、これを判別して第二制御を行う、という構成を採っている。
なお、「針数」とは、縫製時に縫い針が上下往復移動を行う回数をいう。
【0013】
上記構成では、請求項1記載の発明と同様の動作が行われると共に、各動作を時間ではなく針数に基づいて制御している。例えば、形成すべきボタン穴の目標長さや布送りピッチが決定されれば、予め、縫製全体に要する針数が求められるし、メス落ちを何針目で行ったら良いか等を決定することができる。そして制御部は、このように、予め求められた一回目のメス落ちすべき針数と二回目のメス落ちすべき針数との差の値について、第一制御と第二制御のいずれを行うべきかを決定する閾値となる所定値との大小を比較し、第一制御と第二制御のいずれかを行うべきかを決定する。さらに、制御部は、当該決定に従って各部の動作制御を行う。
なお、所定値は、形成すべきボタン穴の目標長さ,メス幅、布送りピッチ、通常状態での縫製速度、布送りピッチ幅、減速又は加速の速度勾配、布送り速度、メスの上下動速度等に基づいて制御部が算出しても良いし、設定入力を受け付けて記憶する構成としても良い。
【0014】
請求項3記載の発明は、請求項1記載の発明と同様の構成を備えると共に、制御部は、メスの一回目から二回目の上下動までの針数に対応した減速量を求め、この減速量が所定値以下又は未満の場合には、これを判別して第二制御を行う、という構成を採っている。
【0015】
上記構成では、請求項1記載の発明と同様の動作が行われると共に、請求項2記載の発明のように、各動作を時間ではなく針数に基づいて制御している。
そして制御部は、予め求められた一回目のメス落ちすべき針数と二回目のメス落ちすべき針数との差の値を算出する。さらに、制御部は、第一制御を行う場合は、一回目と二回目のメス落ち時における針数の差に応じた縫製速度の減速制御を行う。
このため、制御部は、予め、第一制御における減速量について、メスの二回目の上下動までの残り針数ごとに段階的に特定する。なお、減速量とは、現在の縫製の速度からどの程度減速するかを示す値である。そして、かかる減速量の特定は、二回目のメス落ちまでの針数ごとに設定されたマップ等を参照することで特定しても良いし、設定された数式条件により算出しても良い。
【0016】
そして、予め求められた一回目のメス落ちの時の減速量と所定値との大小を比較し、第一制御と第二制御のいずれを行うべきかを決定する。なお、この減速量の所定値は、形成すべきボタン穴の目標長さ,メス幅、布送りピッチ、通常状態での縫製速度、布送りピッチ幅、減速又は加速の速度勾配、布送り速度、メスの上下動速度等に基づいて制御部が算出しても良いし、設定入力を受け付けて記憶する構成としても良い。
さらに、制御部は、上記比較により第一制御、第二制御のいずれを行うかを決定し、当該決定に従って各部の動作制御を行う。
【0017】
請求項4記載の発明は、請求項1記載の発明と同様の構成を備えると共に、制御部は、メスの一回目から二回目の上下動までの針数に対応した目標減速速度を求め、この目標減速速度が所定値以下又は未満の場合には、これを判別して第二制御を行う、という構成を採っている。
【0018】
上記構成では、請求項1記載の発明と同様の動作が行われると共に、請求項2記載の発明のように、各動作を時間ではなく針数に基づいて制御している。
そして制御部は、予め求められた一回目のメス落ちすべき針数と二回目のメス落ちすべき針数との差の値を算出する。さらに、制御部は、第一制御を行う場合は、一回目と二回目のメス落ち時における針数の差に応じた縫製速度の減速制御を行う。
このため、制御部は、予め、第一制御における目標減速速度について、メスの二回目の上下動までの残り針数ごとに段階的に特定する。なお、目標減速速度とは、現在の縫製の速度から減速すべき目標速度を示す値である。そして、かかる目標減速速度の特定は、二回目のメス落ちまでの針数ごとに設定されたマップ等を参照することで特定しても良いし、設定された数式条件により算出しても良い。
【0019】
そして、予め求められた一回目のメス落ちの時の目標減速速度と所定値との大小を比較し、第一制御と第二制御のいずれを行うべきかを決定する。なお、この目標減速速度の所定値は、形成すべきボタン穴の目標長さ,メス幅、布送りピッチ、通常状態での縫製速度、布送りピッチ幅、減速又は加速の速度勾配、布送り速度、メスの上下動速度等に基づいて制御部が算出しても良いし、設定入力を受け付けて記憶する構成としても良い。
さらに、制御部は、上記比較により第一制御、第二制御のいずれを行うかを決定し、当該決定に従って各部の動作制御を行う。
【0020】
請求項5記載の発明は、請求項1記載の発明と同様の構成を備えると共に、制御部は、メスの一回目から二回目の上下動までの針数に対応した第一制御による縫製所要時間と第二制御による縫製所要時間とを予め算出し、算出所要時間が少ない方を選択して行う、という構成を採っている。
【0021】
上記構成では、請求項1記載の発明と同様の動作が行われると共に、請求項2記載の発明のように、各動作を時間ではなく針数に基づいて制御している。
そして、制御部は、予め求められた一回目のメス落ちすべき針数と二回目のメス落ちすべき針数との差の値を算出する。さらに、制御部は、第一制御を行う場合は、一回目と二回目のメス落ち時における針数の差に応じた縫製速度の減速制御を行う。
さらに、制御部は、予め、第一制御及び第二制御における穴かがり縫製の完了までの所要時間を算出し、その長短の比較を行う。第一制御における所要時間は、縫製完了までの縫製速度変化及び行うべき針数等から算出される。また、第二制御における所要時間は縫製完了までに要する時間と布地の戻し作業及び二回目のメス落ちに要する時間から求められる。
そして、第一制御と第二制御の所要時間の少ない方を選択することで穴かがり縫製の作業時間の短縮化を図ることができる。
【0022】
請求項6記載の発明は、請求項2,3,4又は5記載の発明と同様の構成を備えると共に、制御部は、外部設定により第一又は第二制御のいずれか一方のみを強制的に実行する状態に切り替えることを可能とする、という構成を採っている。
かかる構成では、制御部は、第一制御又は第二制御のいずれかを強行的に実行する外部指令を受け付け、当該外部指令の入力があった場合には、請求項2,3,4又は5による第一制御と第二制御のいずれを実行するかを特定する処理を行わず、外部指令で選択された第一制御又は第二制御を実行する。
【0023】
【発明の実施の形態】
図1乃至図11に基づいて本発明の実施形態を説明する。図1は本実施形態たる穴かがりミシン1の外観斜視図、図2は穴かがりミシン1の内部構造を示す概略斜視図を示す。
図1に示すように、この穴かがりミシン1は、外形が側面視にて略コ字状を呈するミシンフレーム2を備えている。このミシンフレーム2は、穴かがりミシン1の上部をなし前後方向に延びるミシンアーム部2a、穴かがりミシン1の下部をなし前後方向に延びるミシンベッド部2bと、ミシンアーム部2aとミシンベッド部2bとを連結する縦胴部2cとを有している。
【0024】
この穴かがりミシン1は、図2に示すように、ミシンフレーム2内に動力伝達機構が配され、回動自在で前後方向に延びる上軸3及び下軸4を有している。上軸3はミシンアーム部2aの内部に配され、下軸4はミシンベッド部2bの内部に配される。
【0025】
図2に示すように、上軸3は、ミシンモータ5に接続され、このミシンモータ5により回動力が付与される。上軸3にはベベルギヤを介して縦軸6の上端側が連結される。また、縦軸6の下端側は、ベベルギヤを介して下軸4が連結される。これにより、上軸3が回動すると、上軸3の動力が縦軸6を介して下軸4側へ伝達し、下軸4が回動するようになっている。
【0026】
上軸3の前端には、上軸3の回動により上下動する縫い針棒7が接続される。縫い針棒7の下端には、縫い針8が設けられる。
また、縫い針棒7には、上端部を中心に前記前後方向と交差する方向に揺動する針振り機構が装着されており、図示しない針振りモータにより所定量の針振り駆動が行われる。
尚、上軸3、縫い針棒7、縫い針8等の接続構成は従来公知のものと同様であるので、ここでは詳述しない。
【0027】
また、下軸4の前端には、釜9が設けられる。上軸3とともに下軸4が回動すると、縫い針8と釜9との協働により縫い目が形成される。尚、釜9は、従来公知のものと同様であるので、ここでは詳述しない。
【0028】
図1に示すように、ミシンベッド2b上には、布保持板10が配され、この布保持板10の上方に布押さえ11及びメス12が配設される。図2に示すように、縦胴部2c内には、布保持板10及び布押さえ11用の送りモータ13が配設され、この送りモータ13の出力軸から布保持板10及び布押さえ11にかけて送り機構が構成されている。すなわち、本実施形態においては、布送り装置14は、送りモータ13、針振りモータ(図示せず)、布保持板10、布押さえ11等を有し、縫い針8の上下動と同期して布地を所定方向に移動させる。
【0029】
図2に示すように、ミシンアーム2aの前端部には、取付板16を介してメス12に接続されたメスアクチュエータ15が設置される。また、図3はメス駆動部分を示す穴かがりミシン1の一部分解斜視図である。この図3に示すように、取付板16には上昇復帰用のスプリング17が接続される。すなわち、メスアクチュエータ15がON状態となるとメス12が下降し、メスアクチュエータ15がOFF状態となるとメス12がスプリングの付勢力により上昇するようになっている。
【0030】
この穴かがりミシン1は、オペレータが縫製に必要な各種設定、操作を行う図4に示す操作パネル20を有している。図4は操作パネルの外観斜視図である。この操作パネル20とミシン本体とは、図示しない有線又は無線の回線により接続されている。図4に示すように、この操作パネル20には、ミシンの各種設定、操作が可能な複数の操作キー群21と、各種設定、操作状態を表示する表示部22と、を備えている。本実施形態においては、操作パネル20に減速スピード量入力部23が設けられ、この減速スピード量入力部23によりミシンモータ5の回転速度(ミシンスピード)の減速制御を行う場合の現在速度からの減速量の入力設定を行なう。
また、この操作パネル20は、図示しない速度調整つまみを備え、ミシンモータ5の回転速度を変更することにより、針8の上下動速度ひいては布地の送り速度を変更することができるようになっている。さらには、ミシンモータ5の回転速度を変更することにより、縫い速度(単位時間あたりに形成される縫い目の数)等も変更される。
【0031】
操作パネル20により設定される主要な各パラメータは、布切り長さ(形成すべきボタン穴の長さ)、メス巾(メス12は交換可能であって現在装着されているメスに応じて入力される)、閂止め長さ(図14(A)における閂止め部分のY軸方向における長さ)、閂止め幅(図14(A)における閂止め部分のX軸方向における幅)、縫いピッチ(かがり縫いにおけるY軸方向の幅、図14(A)における布送りピッチPと一致する)、閂止め部ピッチ(かがり縫いにおけるY軸方向の幅)、布切り穴と閂止めの間のスキマ長さ、ミシンスピード(ミシンモータ5の回転数)、等である。
【0032】
また、図5に示すように、この穴かがりミシン1は、ミシンモータ5、針振りモータ、送りモータ13、メスアクチュエータ15、操作パネル20等に接続される制御部100を有している。制御部100は、ミシンモータ5の回転速度を制御し、布送り装置14における布地の送り速度と、メス12の下降タイミングとを制御している。この制御部100は、CPU101、ROM102、RAM103及びI/Oインターフェース104を備えている。CPU101には、バスを介して、ROM102、RAM103及びI/Oインターフェース104が接続される。
【0033】
I/Oインターフェース104には、ミシンモータドライバ5aを介してミシンモータ5が接続される。このミシンモータドライバ5aには、ミシンモータ5の回転数を検出するエンコーダ5bが接続され、フィードバック制御が可能となっている。
さらに、ミシンモータドライバ5aには、縫い針8が上昇したことを検知する縫い針上位置センサ5cが接続される。これにより、縫い針8により縫い目が形成される際の縫い針数が、制御部100によりカウントされるようになっている。
【0034】
また、I/Oインターフェース104には、送りモータドライバ13aを介して送りモータ13が接続される。また、I/Oインターフェース104には、メス駆動回路15aを介してメスアクチュエータ15が接続される。
【0035】
制御部100は、ROM102に記憶された各種のプログラムをRAM103を用いてCPU101が処理することで各種の機能を実行する。以下、制御部100が実行する各種の機能について説明する。
【0036】
▲1▼制御部100のCPU101は、操作パネル20から布切り長さ及びメス巾の入力があると、ROM102に格納されたプログラムに従い、何回のメス落ちによりボタン穴形成を行うかを算出する。通常、布切り長さがメス幅のn-1倍以上n倍未満であれば、n回のメス落ちによりボタン穴形成を行う。
また、CPU101は、操作パネル20から縫いピッチ,閂止め部ピッチ及び閂止め長さの入力があると、ROM102に格納されたプログラムに従い、縫製開始から何針目でメス落ちを行うかを算出し特定すると共にその値をRAM103に記憶する。何針目でメス落ちを行うべきかは、縫い針とメス12のY軸方向における相対的な位置関係と、既に求められたメス落ちの回数と、布切り長さと縫いピッチ,閂止め部ピッチと閂止め長さとに基づく各縫製に要する針数等から決定される。
【0037】
▲2▼制御部100のCPU101は、ROM102に格納されたプログラムに従い、第一制御モードによる穴かがり縫製を行うために、各構成の動作制御を行う。
第一制御とは、二回のメス落ちによりボタン穴形成を行う場合であってメス幅に対して布切り長さがわずかしか大きくない場合に行われる制御であって、一回目のメス落ちから二回目のメス落ちがタイミング的或いは針数的に近接している場合に,二回目のメス落ちを行う針数よりも所定数手前の針数から段階的にミシンスピードを低減する制御である。即ち、メスアクチュエータ15によるメス12の連続する二回の上下動が時間的に間に合わない事態を回避するために行われる制御である。
図6は、ROM102に記憶された減速制御テーブルであり、二回目のメス落ちを行う針数までの針数のカウント数と、各カウントにおける目標回転速度とが関連づけられて記憶されている。CPU101は、第一制御において、二回目のメス落ちの所定数手前の各針数ごとに、このテーブルを参照すると共に現在のミシンモータ5の回転速度から目標回転速度を減じてその差となる減速量に基づいて減速するようにミシンモータ5の制御を行う。
【0038】
▲3▼制御部100のCPU101は、ROM102に格納されたプログラムに従い、第二制御モードによる穴かがり縫製を行うために、各構成の動作制御を行う。
第二制御とは、二回のメス落ちによりボタン穴形成を行う場合であってメス幅に対して布切り長さがわずかしか大きくない場合に行われる制御であって、一回目のメス落ちから二回目のメス落ちがタイミング的或いは針数的に近接している場合に,ミシンスピードを予め設定された通常速度に維持したまま縫製を続け、二回目のメス落ちを予め算出された針数のときに行わないで、かがり縫い,閂止め等の縫製作業が完了してから布地の位置を二回目のメス落ち位置に戻し、最後に二回目のメス落ちを行う制御である。通常のミシンスピード,第一制御における減速量,一回目と二回目のメス落ちを行う針数の間隔,減速時から通常速度までのミシンモータの立ち上がり,停止時におけるミシンモータの減速勾配等の各種の条件に応じて、第一制御よりも迅速に穴かがり縫製を完了することができる。
第一制御と同様に、メスアクチュエータ15によるメス12の連続する二回の上下動が時間的に間に合わない事態を回避するために行われる制御である。
【0039】
▲4▼制御部100のCPU101は、ROM102に格納されたプログラムに従い、一回目のメス落ちから二回目のメス落ちまでの針数が、予め設定された所定値以下の場合には第一・第二制御のいずれかを選択し、さらに、予め特定されるメスの一回目の上下動時の減速量(以下、ミシンスピード減速量Aとする)が所定値(以下、設定ミシンスピード減速量とする)未満の場合は第一制御を選択し、設定ミシンスピード減速量以上の場合には第二制御を選択し、いずれか選択した制御に従って各部の動作制御を行う。
一回目のメス落ち時におけるミシンスピード減速量A(通常速度からの減速量)が設定ミシンスピード減速量以上の場合には、一回目のメス落ちと二回目のメス落ちとの間の針数が少なく、時間的に接近していることを示しており、このような場合には、ミシンスピードの減速を行う第一制御を選択せず、第二制御が選択される。
なお、設定ミシンスピード減速量は、試験的或いは経験的に、第一制御よりも第二制御の方が穴かがり縫製の作業時間が短くなる境界の値が求められると共に、その適正値がミシンの使用者により操作パネル20から入力設定される。
【0040】
▲5▼制御部100のCPU101は、ROM102に格納されたプログラムに従い、第一制御又は第二制御のいずれかが操作パネル20により選択されると共に当該選択された制御を強行的に実行する設定入力を受けると、▲4▼の制御を実行することなく、選択された第一制御又は第二制御に従って各部の動作制御を行う。
【0041】
(穴かがりミシンの動作説明)
以下、図7乃至図11に基づいて穴かがりミシン1の動作説明を行う。図7〜11は穴かがりミシン1の制御フローチャートである。
以下に説明する穴かがりミシン1について、穴かがり縫製に必要とする各種のパラメータは既に設定入力されており、メス落ち回数は二回であり、各メス落ちを行う針数はM1,M2と算出されているものとし、第一制御又は第二制御を強行的に実行する設定はなされていないものとする。
【0042】
まず、穴かがりミシン1の制御部100は、縫製の開始を入力されると、メス駆動後回しフラグを0に設定する(図7:ステップS1)。このメス駆動後回しフラグは、第二制御の選択状態の有無を示すものであり、0で未選択状態,1で選択状態を示す。つまり、当初は第二制御は選択されていない状態にある。
【0043】
そして、縫製が開始される(図7:ステップS2)。このとき、初期設定により予め求められた総縫い針数TMが縫製終了までの残りの針数をカウントするカウント値である残縫い針数Nrの初期値として設定される(図7:ステップS3)。また、メス落ち回数を示す変数nを1に設定する(図7:ステップS4)。
【0044】
次に、縫製開始に従い、制御部100はミシンモータ5の起動を開始する(図7:ステップS5)。これにより、縫い針8が上下動すると共にX軸方向に針振りを行い、その一方で布地は設定されたピッチでY軸方向に沿って送られる。
【0045】
次に、制御部100により、ミシンモータ5の回転確認がエンコーダ5bを介して行われる(図7:ステップS6)。つまり、ミシンモータ5の停止により、総縫い針数TM分の針落ちが行われ、縫製が完了した状態かが判定される。そして、ミシンモータ5の停止状態の場合は、空送り後のメス駆動処理に移行する(図7:ステップS8)。当該空送り後のメス駆動処理については後述する。
また、ミシンモータ5の駆動継続が確認されると、針上位置割込要求の有無が確認される(図7:ステップS7)。この針上位置割込要求は、ミシンモータ5の一回転につき縫い針8が上方に位置するときに針上位置センサ5cから出力され、当該要求を確認すると、制御部100は、針上位置割込処理に移行する(図7:ステップS9)。
【0046】
図8は針上位置割込処理を示すフローチャートである。これに従って針上位置割込処理について説明すると、まず、針上位置割込要求を確認すると、制御部100は、残縫い針数Nrをもとの値から1減算する(図8:ステップS11)。
また、制御部100は、このとき、縫製終了までの針数をカウントするカウント値である縫い針数カウントNnの値に1を加算する(図8:ステップS12)。
【0047】
次に、残縫い針数Nrが0に到達したか確認される(図8:ステップS13)。もし0であれば縫製作業は終了しているものとしてミシンモータ5の駆動が停止される(図8:ステップS14)。もし0でなければ縫製作業は継続しているものとしてミシンモータ5の駆動が継続される。
そして、ミシンモータ5の駆動が継続されても停止されてもメス駆動処理に移行する(図8:ステップS15)。
【0048】
図9はメス駆動処理を示すフローチャートである。これに従ってメス駆動処理について説明する。
まず、制御部100は、予め求められているメス落ちの針数Mn(ここでは一回目のメス落ち針数M1)から現在の針数カウントNnを減算し、一回目のメス落ちを行うまでの針数を算出する。そして、その減算値が、前述した第一制御における二回目のメス落ちに対して予め減速制御を開始する針落ち回数Tmax以下となったかを判定する(図9:ステップS21)。
そして、まだTmaxに達していない場合は、現在の針数カウントNnがメス落ちの針数Mn(現段階では一回目のメス落ち針数M1)に達したかを判定する処理に移行する(図9:ステップS28)。
【0049】
M1−NnがTmaxに達した場合には、一回目のメス落ちの針数M1から二回目のメス落ちの針数M2までの針数がTmax以下であるかを判定し(図9:ステップS22)、Tmaxより大きな場合には、一回目のメス落ちと二回目のメス落ちとの間にメスアクチュエータ15を駆動する余裕があるものと判断して、第二制御は行われない。そして、現在の針数カウントNnが一回目のメス落ちの針数M1に達したかを判定する処理に移行する(図9:ステップS28)。
なお、Tmaxは、請求項3記載の発明におけるミシンスピード減速制御を行うかどうかを決定するための針数の所定値に相当する。
【0050】
M2−M1がTmax以下の場合には、一回目のメス落ちと二回目のメス落ちとの間にメスアクチュエータ15を駆動する余裕が足りないと判断される。そして、メス駆動後回しフラグが確認される(図9:ステップS23)。
このとき、メス駆動後回しフラグ=0ではない状態であれば(1であれば)、すでに第二制御が選択されているものとして、現在の針数カウントNnが一回目のメス落ちの針数M1に達したかを判定する処理に移行する(図9:ステップS28)。
【0051】
また、メス駆動後回しフラグ=0であれば、第一制御が実行されたものと仮定した場合の一回目のメス落ち時のミシンスピード減速量Aが算出される(図9:ステップS24)。さらに、算出されたミシンスピード減速量Aが設定ミシンスピード減速量以上であるか判定される(図9:ステップS25)。
【0052】
そして、上記判定において算出されたミシンスピード減速量Aの方が小さければ、第一制御が選択され、減速制御テーブルが参照されると共に、現在の針数が二回目のメス落ちを行う針数まであといくつあるかに応じた減速速度量が算出され、算出値によりミシンモータ5が減速制御される(図9:ステップS26)。そして、現在の針数カウントNnが一回目のメス落ちの針数M1に達したかを判定する処理に移行する(図9:ステップS28)。
【0053】
また、上記判定において算出されたミシンスピード減速量Aの方が大きければ、第二制御が選択され、メス駆動後回しフラグが1に更新される(図9:ステップS27)。そして、現在の針数カウントNnが一回目のメス落ちの針数M1に達したかを判定する処理に移行する(図9:ステップS28)。
【0054】
ステップS28の処理においては、現在の針数カウントNnが一回目のメス落ちの針数M1に達したかが判定され、達していなければ図7:ステップS5の処理に戻る。
また、現在の針数カウントNnが一回目のメス落ちの針数M1に達していれば、布切りメス下降処理に移行する(図9:ステップS29)。
【0055】
図10は布切りメス下降処理を示すフローチャートである。これに従って布切りメス下降処理について説明する。
まず、この布切りメス下降処理では、メス駆動後回しフラグが1となっているかが確認される(図10:ステップS31)。フラグが0の場合には、第一制御が選択されている状態にあり、一回目のメス落ちが実行される(図10:ステップS34)。
【0056】
また、メス駆動後回しフラグが1となっている場合には、第二制御が選択された状態にあり、さらに変数nが1か2か確認される(図10:ステップS32)。そして、n=1の場合には、一回目のメス落ちが実行される(図10:ステップS34)。また、n=2の場合には、第二制御では、二回目のメス落ちは縫製終了後に行われるので、メス12を下降させるべき現在位置をRAM103に記録する。縫製終了後に、記録した位置に布地を戻し、二回目のメス落ちを実行するためである(図10:ステップS33)。
これにより、布切りメス下降処理は終了する。
【0057】
布切りメス下降処理の終了後は、メス駆動処理のステップS30に移行する。このとき、まだ、n=1の場合にはn=2に更新される(図9:ステップS30)。これにより、次回のメス駆動処理において、ステップS21及びS28についてMn=M2として処理が行われる。
【0058】
Mn=M2としてメス駆動処理が行われ、針上位置割り込み処理のステップS13の処理において残縫い針数Nr=0となり、ミシンモータ5の駆動が停止すると、ステップS6(図7)の処理において、空送り後のメス駆動処理に移行する(図7:ステップS8)。
この空送り後のメス駆動処理について図11に基づいて説明する。
まず、この空送り後のメス駆動処理では、メス駆動後回しフラグが1となっているかが確認される(図11:ステップS41)。フラグが0の場合には、第一制御が選択されている状態にあり、縫製が終了すると穴かがり縫製作業全体が終了することとなるので、この空送り後のメス駆動処理も終了となる。
【0059】
また、メス駆動後回しフラグが1となっている場合には、第二制御が選択された状態にあるので二回目のメス落ちが実行されることとなる。まず、布切りメス下降処理のステップS33においてRAM103に記録されたメス12を下降させるべき位置が読み出されると共に布地がその位置に戻され(図11:ステップS42)、メスアクチュエータ15の駆動によりメス12が下降され、二回目のメス落ちが実行される(図11:ステップS43)。以上により、穴かがりミシン1の動作が終了する。
【0060】
(実施形態の効果)
上記穴かがりミシン1は、二回目のメス落ちを縫製終了後に行う第二制御を行うことができるので、布地の位置合わせ及びメスの上下動に要する時間が第一制御を行う場合に生じる遅れ時間よりも短い場合に、穴かがり縫製の全体の所要時間の短縮化を図ることが可能となる。
即ち、図16を参照して説明すると、図16(A)は、第一制御が実行され、二回目のメス落ちのタイミングt2に合わせて前もってミシンモータ5の減速制御が実行された状態に相当する。
一方、図16(B)のように、第二制御を実行して、通常速度を維持したまま縫製作業を終了してしまうと、第一制御と同じ作業量(例えば、同じ針落ち数)で時間ts分縫製作業が早く終了する。従って、かかる時間tsの範囲内で布地の位置合わせと二回目のメス落ちを実行すれば、第一制御よりも穴かがり縫製全体の作業時間の短縮化を図ることが可能となる。
【0061】
(その他)
なお、図16のように、第一制御と第二制御の各々が描くミシンモータ5の回転速度変化が前もって分かる場合には、それらを積分して求まる作業量が等しい場合の所要時間を算出することが可能である。第一制御による穴かがり縫製全体の作業時間は、算出される所要時間と等しくなる。一方、第二制御による穴かがり縫製全体の作業時間は、算出される所要時間にさらに布地の位置合わせと二回目のメス落ちに要する時間を加算すれば良い。
従って、縫製の際の初期条件に基づいて、制御部100は前もって第一制御と第二制御の縫製全体の作業時間を算出すると共に比較して、自動的にその作業時間の短い方を選択し実行する制御を行っても良い。
【0062】
また、上記実施形態にあっては、制御部100のCPU101は、一回目のメス落ちから二回目のメス落ちまでの針数が、Tmax以下の場合には、さらに、予定されるメスの一回目の上下動時のミシンスピード減速量Aが設定ミシンスピード減速量未満の場合に第一制御を選択し、設定ミシンスピード減速量以上の場合には第二制御を選択する制御を実行している。この第一制御と第二制御のいずれを選択するかについては、予定される一回目のメス落ちの際のミシンスピード減速量ではなく減速目標スピードBを予め設定された減速目標スピードと比較して選択する構成としても良い。
【0063】
即ち、図12に示すように、操作パネル20に減速スピード量入力部23に替えて減速目標スピード入力部23Aを設け、試験等により求められた適正な設定減速目標スピードの値が制御部100に設定入力され記録される。
これに対して、制御部100のCPU101は、ROM102に格納されたプログラムに従い、予め特定されるメスの一回目の上下動時の減速目標スピードBを算出する共に、記録された設定減速目標スピードと比較し、当該設定減速目標スピードを超える場合は第一制御を選択し、設定減速目標スピード未満の場合には第二制御を選択し、いずれか選択した制御に従って各部の動作制御を行う。
なお、減速目標スピードBは、一回目のメス落ちを行う針数が特定されれば、図6に示す減速制御テーブルを参照し、その針数により特定される回転数Snそのものの値と等しく、これにより減速目標スピードBを取得することができる。
【0064】
具体的な動作としては、メス駆動処理のステップS24,S25が図13に示すステップS24A,S25Aのように変更される。
即ち、ステップS23においてメス駆動後回しフラグ=0であれば、第一制御において予定される一回目のメス落ち時の減速目標スピードBが算出される(図13:ステップS24A)。さらに、算出された減速目標スピードBが設定減速目標スピード以上であるか判定される(図13:ステップS25A)。そして、Bの値が設定値を超える場合には第一制御が選択されて減速制御に移行し、Bの値が設定値以下の場合には第二制御が選択されてメス駆動後回しフラグが1に更新される。
なお、その他の動作については、前述と同様である。
【0065】
また、第一制御と第二制御の選択については、ミシンスピード減速量,減速目標スピード等のパラメータに限らず、一回目のメス落ちの針数と二回目のメス落ちの針数との差の値により決定しても良い。即ち、制御部100は、当該針数差の値と、Tmaxよりもさらに小さな適正な設定値とを比較し、設定値よりも大きければ第一制御を選択し、設定よりも小さければ第二制御を選択する構成としても良い。
【0066】
【発明の効果】
請求項1記載の発明は、二回目のメス落ちを縫製終了後に行う第二制御を行うことができるので、布地の位置合わせ及びメスの上下動に要する時間が第一制御を行う場合に生じる遅れ時間よりも短い場合に、適宜第二制御を選択することにより穴かがり縫製の全体の所要時間の短縮化を図ることが可能となる。
【0067】
請求項2記載の発明は、メスの一回目から二回目の上下動までの針数に応じて第一制御、第二制御のいずれを行うかが自動的に決定されるので、縫製作業全体のさらなる高効率化、迅速化を図ることが可能となる。
【0068】
請求項3記載の発明は、予め特定されるメスの一回目の減速量に応じて、第一制御と第二制御のいずれを行うかが自動的に決定されるので、縫製作業全体のさらなる高効率化、迅速化を図ることが可能となる。
【0069】
請求項4記載の発明は、予め特定されるメスの一回目の目標減速速度に応じて、第一制御と第二制御のいずれを行うかが自動的に決定されるので、縫製作業全体のさらなる高効率化、迅速化を図ることが可能となる。
【0070】
請求項5記載の発明は、メスの一回目から二回目の上下動までの針数に対応した第一制御と第二制御のそれぞれの穴かがり縫製の完了までの時間を予め比較することで第一制御と第二制御のいずれを行うかが自動的に決定されるので、縫製作業全体のさらなる高効率化、迅速化を図ることが可能となる。
【0071】
請求項6記載の発明は、使用者の任意により第一制御又は第二制御を強行的に実行することが可能であり、また、そのような外部指令を入力しない限りは、請求項2,3,4又は5記載の発明と同様の穴かがり縫製の作業時間の迅速化を図ることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態たる穴かがりミシンの斜視図である。
【図2】図1に開示した穴かがりミシンの概略内部構造を示す説明図である。
【図3】メス駆動部分を示す穴かがりミシンの一部分解斜視図である。
【図4】操作パネルの外観斜視図である。
【図5】穴かがりミシンの概略構成ブロック図である。
【図6】ROMに記憶された減速制御テーブルを示す説明図である。
【図7】穴かがりミシンの制御フローチャートである。
【図8】針上位置割込処理を示すフローチャートである。
【図9】メス駆動処理を示すフローチャートである
【図10】布切りメス下降処理を示すフローチャートである。
【図11】空送り後のメス駆動処理を示すフローチャートである。
【図12】穴かがりミシンの他の制御構成を示す概略構成ブロック図である。
【図13】他の制御構成によるメス駆動処理を示すフローチャートである
【図14】布地に形成されるボタン穴と縫製が行われた場合の縫い糸の状態を示す説明図であり、図14(A)は一回目のメス落ち位置を示し、図14(B)は二回目のメス落ち位置を示している。
【図15】メスの上下動に要する時間とその駆動出力信号との関係を示す説明図である。
【図16】図16はミシンモータの回転数と動作時間の関係を示す線図であり、図16(A)は上記特許文献1記載の従来例の減速制御に基づいて二回のメス落ちを行った場合を示し、図16(B)は減速制御を行わずに図16(A)と同じ分の縫製作業を作業を行った場合を示す。
【符号の説明】
1 穴かがりミシン
5 ミシンモータ
5a ミシンモータドライバ
5b エンコーダ
5c 縫い針上位置センサ
8 縫い針
11 布押さえ
12 メス
13 送りモータ
14 布送り装置
15 メスアクチュエータ
20 操作パネル
23 速度調整つまみ
100 制御部
101 CPU
102 ROM
103 RAM

Claims (6)

  1. 針振りをしながら上下動して布地に縫い目を形成する縫い針と、機枠に支持され上下に移動可能で下降することにより前記布地にボタン穴を形成するメスと、前記縫い針及びメスに対して前記縫い針の上下動と同期して前記針振り方向と交差する方向に前記布地を移動させる布送り装置と、前記縫い針の針振り動作と上下動速度と前記布地の送り動作と前記メスの下降動作とについて制御を行う制御部とを備え、
    前記制御部は、
    前記布地に形成すべきボタン穴の目標長さが前記メスの一回の上下動による切断長さよりも大きく、穴かがり縫い目の形成終了までに前記メスの二回の上下動で前記ボタン穴を形成する場合において、
    穴かがりの縫い目の形成の途中で前記メスの一回目の上下動と二回目の上下動とを順次行う第一制御と、前記一回目の上下動を縫い目形成中に行い,二回目の上下動を穴かがりの縫製終了後に前記布送り装置により布送りを戻してから行う第二制御とのいずれかを選択して行うことを特徴とする穴かがりミシン。
  2. 前記制御部は、前記メスの一回目から二回目の上下動までの針数が、所定値以下又は未満の場合に、これを判別して前記第二制御を行うことを特徴とする請求項1記載の穴かがりミシン。
  3. 前記制御部は、前記メスの一回目から二回目の上下動までの針数に対応した減速量を求め、この減速量が所定値以下又は未満の場合には、これを判別して前記第二制御を行うことを特徴とする請求項1記載の穴かがりミシン。
  4. 前記制御部は、前記メスの一回目から二回目の上下動までの針数に対応した目標減速速度を求め、この目標減速速度が所定値以下又は未満の場合には、これを判別して前記第二制御を行うことを特徴とする請求項1記載の穴かがりミシン。
  5. 前記制御部は、前記メスの一回目から二回目の上下動までの針数に対応した前記第一制御による縫製所要時間と前記第二制御による縫製所要時間とを予め算出し、算出所要時間が少ない方を選択して行うことを特徴とする請求項1記載の穴かがりミシン。
  6. 前記制御部は、外部設定により前記第一又は第二制御のいずれか一方のみを強制的に実行する状態に切り替えることを可能とすることを特徴とする請求項2,3,4又は5記載の穴かがりミシン。
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