JP3149889B2 - ミシンの布送り制御装置 - Google Patents

ミシンの布送り制御装置

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JP3149889B2 JP07523392A JP7523392A JP3149889B2 JP 3149889 B2 JP3149889 B2 JP 3149889B2 JP 07523392 A JP07523392 A JP 07523392A JP 7523392 A JP7523392 A JP 7523392A JP 3149889 B2 JP3149889 B2 JP 3149889B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ステッピングモータで
直接駆動される布送り機構を備えたミシンの布送り制御
装置に関し、特にミシン主軸の加速度に基いて布送り開
始タイミングを補正するようにしたものに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、天秤が最上位置近傍に移動してい
るときに、加工布の布送りを実行させると、安定した糸
調子が得られるので、加工布を移送する送り歯を上下動
させる送り歯上下動機構をミシンモータで駆動する一
方、送り歯を前後動させる送り歯前後動機構を専用のス
テッピングモータで直接に駆動するようにして、最新の
布送り量を最適な時期に正確に布送り制御するようにし
た電子制御式ミシンが種々提案されている。
【0003】例えば、本願出願人は特開昭63─125
285号公報に記載のように、送り歯に代えて複数のロ
ーラをその上部が針板の上面に突出するように設け、こ
れらローラを布送り用ステッピングモータで直接回転さ
せることにより、加工布を布送り方向に正確に移送でき
るように構成する一方、縫製速度が低速のときには、低
速用の送り開始タイミングから、布送り量に基づく遅延
時間だけ遅らせて、しかも針布一致のタイミングまでに
送りを終了できるように布送り動作を開始するととも
に、縫製速度が高速のときには、高速用の送り開始タイ
ミングから、布送り量に基づく遅延時間だけ遅らせて、
しかも針布一致のタイミングまでに送りを終了できるよ
うに布送り動作を開始するようにしたミシンの布送り制
御装置を提案した。尚、布送り機構としては、ステッピ
ングモータにより送り歯を直接駆動する構成のものも実
用化されている(特開平2−213386号参照)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、前記
公報の布送り制御装置においては、所定の送り開始タイ
ミングからミシンモータの回転速度と布送り量とに基づ
く遅延時間だけ遅らせて布送り動作を開始するので、縫
製開始時や縫製途中などにおいて、ミシンモータの回転
速度が加速されるようなときには、布送り動作中におい
ても回転速度が刻々加速されているので、布送り量に基
づいて決定された布送り動作の開始タイミングから布送
りを開始すると、布送り動作が完了するまでに針布一致
のタイミングとなり、縫針が折損するという問題があ
る。更に、ミシンモータの回転速度が減速されるような
ときには、布送り動作中においても回転速度が刻々減速
されているので、決定された布送り動作の開始タイミン
グから布送を開始すると、布送り動作と天秤の最上位置
との位相関係が崩れ、糸調子が不安定になるという問題
がある。
【0005】本発明の目的は、縫製速度が加速或いは減
速される変動時においても、縫針を折損することなく常
に安定した糸調子が得られるようなミシンの布送り制御
装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明に係るミシンの布
送り制御装置は、下端に縫針を備えミシンモータで主軸
を介して上下に往復駆動される針棒と、針棒の上下動と
略調時して送り歯で加工布を移送する送り機構と、送り
機構を駆動する送り用ステッピングモータと、複数の縫
目模様の各々の縫目データを格納した記憶手段と、記憶
手段の縫目データのうち送り量データに基いて送り用ス
テッピングモータを制御する送り制御手段とを備えたミ
シンにおいて、主軸の回転速度を検出する速度検出手段
と、少なくとも、布送りタインミングに関する主軸の回
転位相を検出する位相検出手段と、速度検出手段からの
速度信号と位相検出手段からの位相信号と送り量データ
とに基いて加工布の移送を開始するタイミングを決定す
るタイミング決定手段と、速度検出手段からの速度信号
に基いて前記主軸の加速度を演算する演算手段と、演算
手段からの加速度に基いて加速度が大きくなる程移送開
始タイミングが早まるようにその開始タイミングを補正
する補正手段とを備えたものである。
【0007】
【作用】本発明に係るミシンの布送り制御装置において
は、加工布の移送を開始するタイミングは、タイミング
決定手段により速度検出手段からの主軸に関する速度信
号と位相検出手段からの布送りタイミングに関する位相
信号と縫目データの送り量データとに基いて決定され
る。更に、この開始タイミングは、補正手段により演算
手段から受けた主軸の加速度に基いて、加速度が大きく
なる程移送開始タイミングが早まるように補正される。
そして、この補正された移送開始タイミングで送り用ス
テッピングモータが駆動されて布送りされる。その結
果、主軸の回転速度が加速或いは減速される変動時にお
いても、布送り動作が天秤の略最上位置付近で行なわ
れ、縫針を折損することなく常に安定した糸調子が得ら
れる。
【0008】
【発明の効果】本発明に係るミシンの布送り制御装置に
よれば、〔作用〕の項で説明したように、速度検出手段
と、位相検出手段と、タイミング決定手段と、演算手段
と、補正手段とを設け、主軸の加速度に基いて、加速度
が大きくなる程移送開始タイミングが早まるように補正
されるので、主軸の回転速度が加速或いは減速される変
動時においても、布送り動作が天秤の略最上位置付近で
行なわれ、縫針を折損することなく常に安定した糸調子
が得られる。
【0009】
【実施例】以下、本発明の実施例について図面に基いて
説明する。本実施例は、送り歯駆動用モータで送り歯を
直接前後動させる布送り機構を備えた電子制御式ジグザ
グミシンに本発明を適用した場合のものである。図1に
示すように、ミシンMのベッド部1の右端部には脚柱部
2が立設され、この脚柱部2の上端から左方に延びるア
ーム部3はベッド部1の上側に対向するように配設さ
れ、このアーム部3の頭部4には、針棒5及び押え棒
(図示略)が上下方向に夫々配設されている。この針棒
5の下端には縫針6が取付けられ、針棒5は針棒支持体
7に上下動自在に装着され、針棒支持体7の上端部は機
枠8にピン9を介して枢着されている。これにより、針
棒5は針棒支持体7と共にピン9を回動中心として左右
に揺動可能になっている。
【0010】前記アーム部3内には左右方向向きにミシ
ン主軸10が配設され、この主軸10はミシンモータ1
1によりタイミングベルト12とプーリ18とを介して
回転駆動される。この主軸10の左端部には針棒クラン
ク13が取付けられ、針棒5はこの針棒クランク13に
連結され、主軸10の回転により針棒5が上下に往復駆
動される。更に、針棒支持体7は、連杆14とセクタギ
ヤ15と駆動ギヤ16とを介して針棒揺動用ステッピン
グモータ17に連結され、針棒5はこの針棒揺動用ステ
ッピングモータ17の駆動により針棒支持体7と共に揺
動するようになっている。
【0011】次に、送り歯22を上下動及び前後動させ
る布送り機構20について、図1に基いて説明する。前
記ベッド部1内には送り台21が前後方向向きに配設さ
れ、この送り台21は送り歯22を載置支持するととも
に、その前端の二股部は上下送り腕23上の軸部と嵌合
し、その上下送り腕23は左右方向向きの上下送り軸2
4に固着されている。その上下送り軸24の二股部に嵌
合するカム25は揺動体26に固着され、この揺動体2
6と主軸10のクランプ部10aとはクランクロッド2
7を介して連結されている。
【0012】一方、送り台21の後端部は、左右方向向
きに配設された水平送り軸28に突設された1対の腕部
に回動可能に枢支され、水平送り軸28はそれ自信の軸
周りに揺動し得るように機枠8に支持されている。この
水平送り軸28の右端部にはセクダギヤ29が固着さ
れ、そのギヤ部は送り歯駆動用ステッピングモータ30
の出力軸に固着された駆動ギヤ31と噛合している。従
って、主軸10の回転によりクランクロッド27を介し
て揺動体26が上下に揺動するのに伴って、カム25と
上下送り軸24と上下送り腕23とを介して送り歯22
が上下駆動される。しかも、この送り歯22の上下動と
同期して送り歯駆動用ステッピングモータ30が駆動さ
れるので、送り歯22はその上昇位置及び下降位置のと
きに前後方向に駆動される。
【0013】前記主軸10には、多数のスリットを所定
間隔毎に放射状に形成したディスクが固着され、このデ
ィスクとこれら多数のスリットを検出して速度信号(パ
ルス信号)を出力するフォトインタラプタとからなる速
度検出器35が設けられている。更に、この主軸10に
は、約10°の開角を有するV字状の切欠きを設けたデ
ィスクが固着され、このディスクと、針棒5の最上位置
のときの主軸10の位相角を0°としたときに、図4に
示すように切欠きにより位相角325°(タイミングT
1)のときに「H」レベルから「L」レベルに変わる第
1位相信号と位相角335°(タイミングT2)のとき
に「L」レベルから「H」レベルに変わる第2位相信号
とを出力するフォトインタラプタとからなる布送り位相
信号発生器36とが設けられている。尚、このタイミン
グT2は、加工布の移送開始の為の基準タイミングであ
る。
【0014】次に、電子制御式ミシンMの制御系は、図
2のブロック図に示すように構成されている。縫製作業
の起動と停止を指示する起動・停止スイッチ33と、テ
ンキーからなり模様番号を選択する模様選択スイッチ3
4と、速度検出器35と、布送り位相信号発生器36
と、縫製速度を設定する為のスピードボリューム37に
接続されたA/D変換器38とは制御装置Cの入出力イ
ンターフェース47に夫々接続されている。また、この
入出力インターフェース47には、ミシンモータ11の
為の駆動回路41、針棒揺動用ステッピングモータ17
の為の駆動回路42、送り歯駆動用ステッピングモータ
30の為の駆動回路43、選択された模様番号を2桁で
表示するLED(7セグメント発行素子)40を駆動す
る為のLEDコントローラ(LEDC)44が夫々接続
されている。
【0015】制御装置Cは、CPU48と、このCPU
48にデータバスなどのバス46を介して接続された入
出力インターフェース47と、ROM49及びRAM5
0とから構成されている。ROM49には、実用縫いや
模様縫いの各縫目模様の縫目データが模様の種類毎に分
類して模様コードと対応づけて格納され、このROM4
9には、選択設定された各縫目模様の縫目データを順次
読出すプログラム、この縫目データの針揺動データに基
いて、針棒揺動用ステッピングモータ17を駆動する針
揺動制御プログラムや本願特有の後述の布送り制御の制
御プログラムが格納されている。更に、揺動データや送
りデータ或いは起動・停止指令に基いて各モータ11・
17・30を駆動する駆動制御プログラム、縫製開始時
にミシンモータ11の回転速度を設定速度まで徐々に加
速させる加速制御プログラム、LED40に選択された
模様番号を表示する表示制御プログラムなどが格納され
ている。
【0016】前記ROM49には、次の表1に示すよう
に、主軸10の回転速度Vの変動つまり加速度aとこの
加速度aに対応して布送りの開始タイミングを補正する
為の補正時間ctとをパラメータとする補正テーブルが
格納されている。 (以下、余白)
【0017】
【表1】 ここで、この加速度aと補正時間ctとの関係は、図3
に示すように、加速度aが正の値のときには補正時間c
tは負の値となり、また加速度aが負の値のときには補
正時間ctは正の値となる。
【0018】RAM50のワークメモリ51には、速度
データや種々のデータが格納される。また、このRAM
50には、CPU48で演算した演算結果を格納するメ
モリやカウンタなどの各種メモリが設けられている。
【0019】次に、電子制御式ミシンMで行なわれる布
送り制御のルーチンについて、図4を参照しながら図5
のフローチャートに基いて説明する。尚、図中符号Si
(i=10、11、12・・・・)は各ステップであ
る。ここで、この布送り制御を説明する前に、図6に基
いて主軸10の回転速度Vを検出する速度検出制御につ
いて簡単に説明するものとする。ミシンMに電源が投入
されるとこの制御が開始され、先ず制御装置C内のソフ
トタイマーである第1タイマーが初期化され(S1
0)、速度速度検出器35から入力される速度信号の立
上がりでこの第1タイマーのカウント動作が開始され
(S11:Yes、S12)、次の速度信号の立上がり
でこの第1タイマーのカウント動作が停止され(S1
3:Yes、S14)、第1タイマーのカウント値に基
いて速度信号の1サイクルの所要時間X(ms) がRAM
50のワークメモリに格納されるとともに、その1サイ
クルの所要時間から回転速度Vが演算され、この速度V
のデータがワークメモリに格納され(S15)、S10
に戻る。
【0020】次に、布送り制御について説明すると、起
動・停止スイチ33が操作されるとこの制御が開始さ
れ、先ずタイミングT1のときに布送り位相信号発生器
36から第1位相信号が入力されたとき(S30:Ye
s)、ワークメモリ内の回転速度Vが読込まれて第1速
度V1として速度メモリ51に格納される(S31)。
次に、タイミングT2のときに第2位相信号が入力され
たとき(S32:Yes)、再度ワークメモリ内の回転
速度Vが読込まれて第2速度V1として速度メモリ51
に格納される(S33)。
【0021】次に、これら両回転速度V1・V2に基い
て、加速度aが演算され(S34)、これら変数A、
B、D、Xに基いて、加工布の移送開始の基準タイミン
グT2からの遅延時間T(ms)が演算される(S3
5)。ここで、変数Aは、送り歯22の作動可能な移送
の範囲であり、位相角335°〜75°に亙る約100
°である。変数Bは、主軸10の回転数の分解能つまり
速度検出器35のディスクに形成されたスリットの数で
ある。変数Dは、布送り量だけ加工布を移送するのに必
要な送り時間(ms)である。また、変数Xは、速度検出
器35から出力される速度信号の1サイクルの時間
(「H」レベルと「L」レベルと加算した時間(ms))
である。
【0022】次に、補正テーブルに基いて加速度aに対
応する補正時間ctが読込まれ(S36)、これら遅延
時間Tと補正時間ctとを加算した補正遅延時間Wが求
められ(S37)、この補正遅延時間Wが制御装置C内
のソフトタイマーである第2タイマーにセットしてその
作動が開始される(S38)。次に、この補正遅延時間
Wがタイムアップしたときには(S39:Yes)、送
り歯駆動用ステッピングモータ30が布送り量dに基づ
いて駆動され、布送りが実行される(S40)。次に、
起動・停止スイッチ33が操作されないで停止指令が入
力されないときには(S41:No)、S30以降が繰
り返して実行される。そして、停止指令が入力されたと
きには(S41:Yes)、この制御を終了してリター
ンする。
【0023】従って、例えば、図4に示すように、布送
り量dが5.0mmのときには、この布送り量dや加速度
aなどに基いて、加速度aが大きくなる程移送開始タイ
ミングが早まるように補正された補正遅延時間W1だけ
加工布の移送開始の基準タイミングT2から遅れて布送
りが実行され、この布送り動作は針布一致タイミングま
でに終了する。これにより、主軸10の回転速度Vが加
速或いは減速される変動時においても、布送り動作が天
秤16の略最上位置付近で行なわれ、縫針5を折損する
ことなく常に安定した糸調子が得られる。同様に、布送
り量dが2.5mmのときには、この布送り量dや加速度
aなどに基いて補正された補正遅延時間W2だけ基準タ
イミングT2から遅れて布送りが実行される。また、布
送り量dが1.5mmのときには、この布送り量dや加速
度aなどに基いて補正された補正遅延時間W3だけ基準
タイミングT2から遅れて布送りが実行され、何れの場
合でも縫針5を折損することなく常に安定した糸調子が
得られる。
【0024】尚、加速度aに対応する補正時間ctを、
所定の演算式により求めることも可能である。尚、送り
歯17を前後方向に直接駆動する布送り機構は、本実施
例のものに限られるものではない。
【図面の簡単な説明】
【図1】電子制御式ジグザグミシンに組み込まれた内部
機構の概略斜視図である。
【図2】電子制御式ジグザグミシン制御系のブロック図
である。
【図3】加速度と補正時間との補正特性を示す図であ
る。
【図4】ミシンの角機構の動作を示すタイムチャートで
ある。
【図5】布送り制御のルーチンの概略フローチャートで
ある。
【図6】速度検出制御のルーチンの概略フローチャート
である。
【符号の説明】
M 電子制御式ジグザグミシン 5 針棒 6 縫針 20 布送り機構 22 送り歯 30 送り歯駆動用ステッピングモータ 35 速度検出器 36 布送り位相信号発生器 48 CPU 49 ROM 50 RAM C 制御装置

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下端に縫針を備えミシンモータで主軸を
    介して上下に往復駆動される針棒と、前記針棒の上下動
    と略調時して送り歯で加工布を移送する送り機構と、前
    記送り機構を駆動する送り用ステッピングモータと、複
    数の縫目模様の各々の縫目データを格納した記憶手段
    と、前記記憶手段の縫目データのうち送り量データに基
    いて前記送り用ステッピングモータを制御する送り制御
    手段とを備えたミシンにおいて、 前記主軸の回転速度を検出する速度検出手段と、 少なくとも、布送りタインミングに関する前記主軸の回
    転位相を検出する位相検出手段と、 前記速度検出手段からの速度信号と位相検出手段からの
    位相信号と送り量データとに基いて加工布の移送を開始
    するタイミングを決定するタイミング決定手段と、 前記速度検出手段からの速度信号に基いて前記主軸の加
    速度を演算する演算手段と、 前記演算手段からの加速度に基いて加速度が大きくなる
    程前記移送開始タイミングが早まるようにその開始タイ
    ミングを補正する補正手段と、 を備えたことを特徴とするミシンの布送り制御装置。
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