JP5142208B2 - 金属ケイ素化物の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ゼーベック効果による熱電変換デバイス材料や太陽電池等のオプトエレクトロニクス半導体材料として、将来実用化が期待されている金属ケイ素化物の製造方法に関するものである。
金属ケイ素化物、特に、β−FeSiは、Fe−Si系2元系化合物の中で唯一の半導体で、その高いゼーベック係数から1000K付近の温度域で使用可能な高効率熱電変換素子として、また高い光吸収係数から高効率太陽電池への応用が期待される材料として注目されている。β−FeSiは、地球の地殻中に豊富に存在する元素で構成されることや、酸化されにくいために材料としての寿命が長く、かつ毒性が低いことから、廃棄時の環境負荷が小さいことが特徴である。
従来、β−FeSiの合成方法としては、FeとSiとをアーク溶融するか、分解温度よりも高い温度で固相反応させるかして作られたα−FeSiとε−FeSiとの合金を、β−FeSiが安定な温度領域で100h以上の長時間、アニールを行う必要がある。しかしながら、この方法は、製造に時間がかかり効率が悪く、高温条件での処理に対応できる設備が必要となり、製造コストが高いという問題がある。
この長時間のアニールプロセスを短縮、または省略する製造方法として、(1)活性な微粉末を原料に使用するメカニカルアロイング法(例えば、非特許文献1参照)や、(2)SPS放電プラズマ焼結法(例えば、非特許文献2参照)、(3)Cu等の低融点元素を添加する方法(例えば、特許文献1参照)、さらに(4)アンプル中に真空封入したFe粉末とSi粉末とから、β−FeSiを直接合成する方法(例えば、特許文献2参照)等が提案されてきた。
しかし、非特許文献1に記載の方法では、出発原料を微粒子化するために、密閉容器内に原料とボール状のアルミナなどの粉砕用材料とを入れて原料を粉砕し微粒子化するので、長時間粉砕を行うと密閉容器の内壁を構成する材料や粉砕用材料が原料粉末に混入し,原料粉末の純度が低下するという課題がある。また、非特許文献2に記載の方法では、真空中で混合した出発原料粉末を放電処理して焼結するため、真空中での加圧装置や放電用の電源などの高価な付帯設備が必要であり、実用的でないという課題がある。また、特許文献1に記載の方法では、Cu等を添加しているため純粋なβ−FeSiを作製することができないという課題がある。更に、特許文献2に記載の方法では、従来の方法よりも低温かつ短時間でβ−FeSiを製造することができるが、それでも20時間程度の熱処理を必要とし、また、煩雑な石英管へ封じ込める工程や真空工程が必要となるという課題がある。
Minoru Umemoto,"Preparation of Thermoelectric β-FeSi2Doped with Al and Mn by Mechanical Alloying (Overview)",Mater.Trans. JIM,Japan Institute of Metals,1995,36,p.373-383 谷淳一、水内潔、木戸博康著,「放電プラズマ焼結法による緻密な鉄ケイ化物の作製」,日本セラミックス協会学術論文誌,2001年,vol.109,p.55-59 特開平8−274380号公報 特開2002−76450号公報
本発明の目的は、従来よりも簡易に、低温で、かつ短時間で粉末およびバルク体の金属ケイ素化物を製造することができる金属ケイ素化物の製造方法を提供することにある。
本発明によれば、金属ケイ素化物の製造方法において、不活性ガス雰囲気の反応容器中で、Naの融液または蒸気を付加した状態で、金属とSiとを加熱することを、特徴とする金属ケイ素化物の製造方法が得られる。
また、本発明によれば、前記金属および前記Siは、それぞれ単独の粉末を混合したもの、それぞれ単独の粉末を混合し圧縮成形したもの、前記金属のバルク体の上に前記Siの粉末またはバルク体を接触させたもの、前記金属のバルク体または粉体、および前記Siのバルク体または粉体を同一Na融液に浸したもののうち、いずれか一種類であることを、特徴とする金属ケイ素化物の製造方法が得られる。
また、本発明によれば、前記金属が、Fe、Mg、Cr、Moから選択される一種類の金属、もしくはそれを主構成金属とする合金であり、前記金属と前記Siとを加熱した後に得られる主たる金属ケイ素化物が、β−FeSi、MgSi、CrSiまたはMoSiであることを、特徴とする金属ケイ素化物の製造方法が得られる。
更に、本発明によれば、前記金属と前記Siとを加熱する温度は、500℃以上、1200℃以下であることを、特徴とする金属ケイ素化物の製造方法が得られる。
本発明により、従来よりも簡易に、低温で、かつ短時間で粉末およびバルク体の金属ケイ素化物を製造することができる金属ケイ素化物の製造方法が得られるので、β−FeSiやMgSi、CrSiを用いた低価格、高性能な熱電デバイスや、MoSiを使用した超高温ヒーター等が得られるという効果が得られる。
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
図1に、合成に使用した反応容器の概略図を示す。不活性ガスとして高純度アルゴン雰囲気(O2,H2O濃度<1ppm)のグローブボックス内で、Fe:Siのモル比が1:x(x=2.0〜2.25)となるよう、50mg(0.9mmol)の金属Fe粉末(Wako製,99.9%,<45μm)と50〜63mg(1.8〜2.2mmol)のSi粉末(Koujundo Kagaku製,99.999%,<75μm)とを秤量し、ガラス容器(2ml)に入れた。この容器内で各粉末を薬さじでかき混ぜて混合粉末3とした。これを、210mg(9mmol)の金属ナトリウム(Nippon Soda製,99.95%)2とともに焼結BNルツボ(φ6×10mm of inner volume,Showa Denko製,99.5%)1に入れた。
反応容器5となるステンレスチューブ(SUS316,内径11mm,長さ80mm)内に、原料を入れたBNルツボ1とそれを支えるステンレス柱4とを配置し、アルゴン雰囲気中でステンレスチューブの上部および下部をステンレス製のキャップでシールした。反応容器5を電気炉内に設置し、673〜1073Kまで2時間で昇温し、その後1.5〜24時間加熱した。加熱終了後、反応容器5を炉内で室温まで冷却した。ステンレスチューブをグローブボックス内で切断し、BNルツボ1を取り出した。
加熱後に反応容器5から取り出したBNルツボ1内には金属ナトリウム2が残存しており、873K〜1073Kで加熱した試料では、Na融液が固化した表面上に長さ0.5〜2mm,幅0.1〜0.3mm,厚み約0.1mmの薄板状の銀色の単結晶が析出していた。この単結晶をアルゴン雰囲気でガラスキャピラリーに封入し、単結晶X線回折測定(Rigaku製,RAPID-II,MoΚα)を行った結果、この単結晶の結晶系はMonoclinic,格子定数はa=1.216nm,b=0.655nm,c=1.114nm,β=118.80°であり、NaSiであると同定された。
BNルツボ1をこわし、試料内部を観察したところ、底面付近には黒色粉末があった。得られた生成物から、2-プロパノール,エタノール混合溶液で、NaやNa−Si化合物をNaアルコキシドとして取り除き、その後蒸留水を用いて数回洗浄し、オーブンを用いて空気中353Kで乾燥させた。後には、水やアルコールとは反応しないFe−Si系化合物のみが得られた。粉体の生成物については、粉末X線回折測定(Rigaku製,RINT2200,CuKα)を行い、相の同定を行った。走査線型電子顕微鏡(Philips製,ESEMXL30)で粒子の形態を観察し、SEMに装着されたエネルギー分散型分析装置(EDAX,NEWXL30)で元素の定量分析を行った。
図2は、Fe:Si=1:x(xSi/Fe=2.0〜2.5)の比率の原料粉末を用いて、1073K,24時間加熱・炉冷後,アルコールおよび蒸留水で処理した後に得られた試料の粉末X線回折パターンである。図2(a)は、Naを加えなかった試料のXRDパターンである。図2(a)には、原料のFe,Siのピークの他に、FeSiのXRDパターンに一致するピークが観察された。図2(b)、図2(c)は、Naとともに加熱した xSi/Fe=2.0,2.15の試料のXRDパターンである。図2(b)、図2(c)からは、主な回折ピークはβ−FeSiに由来するもので、ε−FeSiの小さいピークが数本観察された。図2(d)、図2(e)は、xSi/Fe=2.25,2.5の試料の回折パターンである。図2(d)、図2(e)からは、原料中のSiの比率が増えるとともに、ε−FeSiのピーク強度は減少し、β−FeSiの単一相であることが分かる。
本実施の形態では、Naを加えて加熱したすべての試料でNaSi単結晶が観察されたことから、原料粉末より、まずSiがNa融液の一部に溶解し、このSiを含む融液がFeと反応してFe−Si系化合物が生成したと考えられる。
図3は、原料に用いたFe粉末およびSi粉末と、xSi/Fe=2.25のFeおよびSiの原料とを1073Kで24時間加熱することで得られたβ−FeSi粉末のSEM写真である。図3(a)、3(b)は、原料のFe粉体やSi粉体である。図3(a)、3(b)から、それぞれ約5〜80μmの粒子で、それらの表面には若干の起伏が見られるものの平坦(滑らか)である。図3(c)は、図3(a)、3(b)の原料をNaとともに加熱することで生成したβ−FeSi粒子である。図3(c)からβ−FeSi粒子は原料とほぼ同じ約5〜80μmだが、その形態は大きく異なり、よじれたような形状が観察された。また、図3(d)は、β−FeSi粒子の表面のSEM像である。図3(d)から、粒径100〜400nmの一次粒子が凝集して、このβ−FeSi粒子が構成されていることが観察された。EDXによる組成分析の結果、β−FeSi粒子のFe:Siの比率は1:2.04であった。またNaは検出されず、β−FeSi粒子中に残存するNa化合物は、検出限界の0.5wt%以下であった。
図4は、xSi/Fe=2.25の原料を673,773,873Kで24時間加熱後、アルコールと蒸留水とで洗浄することで得られた生成物のXRDパターンである。873Kで加熱した試料(図4(c))でも、1073Kのそれと同様にβ−FeSiの単一相が合成された。図4(b)の773Kの試料では、β−FeSiだけでなくε−FeSiのピークも僅かに確認された。図4(a)の673Kで加熱した試料では、ケイ化鉄は生成せず、原料のFe,Siが未反応のままであった。エタノールおよび蒸留水処理を行う前のこの試料には、β−FeSiが生成した他の試料とは異なり、固化したNa融液表面にNaSi単結晶が観察されなかった。従って、β−FeSiの生成には、500℃以上の加熱温度が必要であり、また、工業的なコストを考えると、1200℃以下であることが望ましい。
図5は、xSi/Fe=2.25の粉末を873Kで1.5,3,6時間加熱した後の試料の粉末X線回折パターンである。図5から、1.5h間の加熱によりほぼ単一相のβ−FeSiが合成されたことがわかる。僅かに観察されたε−FeSiに由来するピークも3時間の加熱の試料ではさらに減少し、6時間では完全に消失してβ−FeSiの単相が得られた。1.5,3時間の生成物のXRDパターンにはSiのピークは観察されず、過剰のSiはNaSiとして析出し、その後エタノール・蒸留水処理の過程で取り除かれたと考えられる。
図6は、xSi/Mg=1.0の粉末を1073Kで24時間加熱した試料の粉末X線回折パターンである。図6から、MgSiが合成されたことがわかる。MgSiの他に、原料組成より過剰分のSiが検出されている。
図7は、Crの板をSi粉末とともにNa中で1073Kで24時間加熱した試料の粉末X線回折パターンである。図7から、CrSi単一相が合成されたことがわかる。
図8は、Moの板をSi粉末とともにNa中で1073Kで24時間加熱した試料の粉末X線回折パターンである。図8から、ほぼ単一相のMoSiが合成されたことがわかる。
図9は、ステンレススチール板(SUS304:Fe,Cr,Niベース合金)をSi粉末とともにNa中で1073Kで24時間加熱した試料の粉末X線回折パターンである。図9から、本合金の主構成金属であるFeが珪化したβ−FeSiおよびε−FeSi、副構成金属であるCrが珪化したCrSiが合成され、複数の金属珪化物の混合物が合成されたことがわかる。
金属ケイ化物を熱電変換材料や構造材料として利用するためには、それらのバルク体が必要である。ここでは、原料に金属圧粉成型体を用い、NaとSiの混合物、もしくは、Na-Si融液とともに加熱する手法で、金属ケイ化物のバルク体を合成した。
FeもしくはFeにCoやMnを5mol%混合した粉体を金属製の成型器に入れ、油圧プレスで400kgの加重を加えて、縦横14×2mm、厚み約1mmの圧粉成型体を大気中で作製した。圧粉成形体を縦横10×2mmに切り出し、Si粉(0.2g)およびNa金属(0.2g)とともに焼結BNルツボ(内径φ8mm×13mm)に入れた。ステンレススチール製の容器内にルツボを置き、アルゴンガス雰囲気下で密閉後、電気炉を用いて加熱した。炉内温度を室温から3hで1173Kまで上げ、この温度を24h保持した。その後、ヒータへの通電を切り、試料を炉内に入れたまま冷却した。大気中でステンレス容器からルツボを取り出し、生成物をエタノール、水の順で洗浄し、NaやNa-Si系化合物を取り除いた。
エタノールおよび水と反応させることにより、試料周囲に生成したNa-Si系化合物を除去した後、ルツボ内部から生成物を取り出した。原料の金属圧粉体の形状を保持したバルク体試料が得られた。
生成物の体積と質量から、得られたバルク体の相対密度を求めた。Feの圧粉体から得られたβ−FeSiバルク体の相対密度は69.1%、Feに対して5mol%のCoまたはMnを加えた混合粉の圧粉体から得られたβ−FeSiバルク体の相対密度は、それぞれ74.2%および63.5%であった。
図10は、Fe圧粉成型体をNaおよびSiとともに1173Kで加熱した後、エタノールおよび水で洗浄した後に得られたバルク体試料表面の走査型電子顕微鏡写真である。表面は緻密で、5〜50μmの粒子が焼結してバルク体を構成している。EDXによる組成分析の結果、β−FeSi粒子のFe:Siの比率は、1:1.92であった。Naは検出されず、β−FeSi粒子中に残存するNa化合物は、検出限界の0.5wt%以下であった。
図11は、Feの圧粉成型体、またはFeにCoもしくはMnを5mol%加えた圧粉成型体をNaおよびSiとともに1173Kで加熱した後、エタノールおよび水で洗浄した後に得られたバルク体を粉砕し、その粉末試料について測定したX線回折パターンである。図11(a)および(b)に示すように、Feの圧粉成型体、またはFeにCoを5mol%加えた圧粉成型体から得られた試料のXRDパターンには、β−FeSi以外の相に由来するピークは観察さなかった。このことから、本合成で得られたバルク体は表面だけでなく、内部まで、β−FeSiで構成されていることがわかる。図11(c)に示すように、Feに対してMnを5mol%加えた混合粉の圧粉成型体より得られた試料では、XRDパターンにε−FeSiのピークが僅かに観察された。
バルク体の両端に温度差を発生させて得られる起電力を測定することにより、ゼーベック係数を求めた。図12は、Feの圧粉成型体、またはFeにCoもしくはMnを5mol%加えた圧粉成型体を、NaおよびSiとともに1173Kで加熱した後、エタノールおよび水で洗浄して得られたバルク体のゼーベック係数の温度依存性である。図12(a)に示すように、Feのみの圧粉成型体から得られたバルク体のゼーベック係数は、400〜1000Kの全測定温度域にわたり小さく、0〜20μV/Kであった。図12(b)に示すように、FeにCoを5mol%加えた圧粉成型体から得られたバルク体のゼーベック係数は、400〜1000Kで−120〜−180μV/Kと負の値を示し、n型の熱電特性が得られたことが明らかになった。ゼーベック係数の絶対値は、750Kで最大を示した。図12(c)に示すように、FeにMnを加えた圧粉成型体から得られたバルク体は、測定温度範囲で良好なp型の熱電特性を示した。そのゼーベック係数は、400Kで190μV/Kで、その値は温度とともに増加し、750Kで最大値270μV/Kを示した。750K以上で、その値は温度とともに減少し、1000Kでは125μV/Kであった。
直流4端子法によりバルク体の電気伝導率を測定した。図13は、Feの圧粉成型体、またはFeにCoもしくはMnを5mol%加えた圧粉成型体を、NaおよびSiとともに1173Kで加熱した後、エタノールおよび水で洗浄して作製されたバルク体の電気伝導率の温度依存性である。FeにCoまたはMnを5mol%加えた圧粉成型体から得られたバルク体の室温付近での電気伝導率は、Feのみの圧粉成型体から得られたバルク体のそれよりもCo添加で約100倍、Mn添加では約10倍の値を示した。この各試料間に観察される電気伝導率の著しい差は、測定温度の増加とともに減少するものの、FeにCoやMnを添加したバルク体のゼーベック係数が最大の絶対値を示す750Kにおいても、Co添加バルク体の電気伝導率は無添加のそれよりも約10倍、Mn添加バルク体は約3倍の値であった。熱電材料の特性を表す性能指数(Z)はZ=(σ×S2)/κで表される。ここで、σは電気伝導率、Sはゼーベック係数、κは熱伝導率である。本実施例で作製したβ−FeSiバルク体の熱伝導率が同じ値と仮定すると、CoやMnをドープした試料の性能指数は、ノンドープのそれよりもはるかに大きな値を示すことが予想される。
Feの圧粉成形体をNaおよびSiとともに1173Kで24時間加熱することで、β−FeSiバルク体を得た。FeにCoやMnを添加した圧粉成型体から得られたβ−FeSiバルク体のゼーベック係数や電気伝導率は、無添加のバルク体のそれよりも大きな絶対値を示した。またCo添加のゼーベック係数は負の値を、Mn添加のそれは正の値を示した。本合成手法では、CoやMnをドープしたβ−FeSiバルク体も作製可能で、n型とp型の伝導特性や電気伝導率、ゼーベック係数といった熱電特性が制御可能であることが示された。また、本合成手法は、異種金属元素をドーピングした金属ケイ化物のバルク体合成に応用が可能である。
本発明の実施の形態の金属ケイ素化物の製造方法の、金属ケイ素化物の合成に使用した反応容器の概略図である。 本発明の実施の形態の金属ケイ素化物の製造方法の、Fe:Si=1:x((a)Naなし,xSi/Fe=2.0、(b)Naあり,xSi/Fe=2.0、(c)Naあり,xSi/Fe=2.15、(d)xSi/Fe=2.25、(e)xSi/Fe=2.50)の比率の原料粉末を用いて、1073K,24時間加熱・炉冷後、アルコールおよび蒸留水で処理した後に得られた試料の粉末X線回折パターンである。 本発明の実施の形態の金属ケイ素化物の製造方法の、(a)、(b)原料に用いたxSi/Fe=2.25のFe粉末およびSi粉末のSEM写真、(c)、(d)その原料を1073Kで24時間加熱することで得られたβ-FeSi2粉末のSEM写真である。 本発明の実施の形態の金属ケイ素化物の製造方法の、xSi/Fe=2.25の原料を(a)673K、(b)773K、(c)873Kで24時間加熱後、アルコールと蒸留水とで洗浄することで得られた生成物のXRDパターンである。 本発明の実施の形態の金属ケイ素化物の製造方法の、xSi/Fe=2.25の粉末を873Kで(a)1.5時間、(b)3時間、(c)6時間加熱した試料の粉末X線回折パターンである。 本発明の実施の形態の金属ケイ素化物の製造方法の、Mg粉末を原料としてSiとNaとともに1073K,24時間加熱・炉冷後,アルコールおよび蒸留水で処理した後に得られた試料の粉末X線回折パターンである。 本発明の実施の形態の金属ケイ素化物の製造方法の、Crバルク体を原料としてSiとNaとともに1173K,24時間加熱・炉冷後,アルコールおよび蒸留水で処理した後に得られた試料の粉末X線回折パターンである。 本発明の実施の形態の金属ケイ素化物の製造方法の、Moバルク体を原料としてSiとNaとともに1173K,24時間加熱・炉冷後,アルコールおよび蒸留水で処理した後に得られた試料の粉末X線回折パターンである。 本発明の実施の形態の金属ケイ素化物の製造方法の、ステンレススチール板(SUS304:Fe,Cr,Niベース合金)を原料としてSiとNaとともに1073K,24時間加熱・炉冷後,アルコールおよび蒸留水で処理した後に得られた試料の粉末X線回折パターンである。 本発明の実施の形態の金属ケイ素化物の製造方法の、Fe圧粉成型体を原料としてNaおよびSiとともに1173K、24時間加熱・炉冷後、アルコールおよび蒸留水で処理した後に得られたバルク体表面の走査型電子顕微鏡写真である。 本発明の実施の形態の金属ケイ素化物の製造方法の、(a)Fe圧粉成型体、(b)FeにCoを5mol%混合した圧粉成型体、(c)FeにMnを5mol%混合した圧粉成型体をNaおよびSiとともに1173K、24時間加熱・炉冷後、アルコールおよび蒸留水で処理した後に得られたバルク体を粉砕し、粉末試料について測定されたX線回折パターンである。 本発明の実施の形態の金属ケイ素化物の製造方法の、(a)Fe圧粉成型体、(b)FeにCoを5mol%混合した圧粉成型体、(c)FeにMnを5mol%混合した圧粉成型体を原料としてNaおよびSiとともに1173K、24時間加熱・炉冷後、アルコールおよび蒸留水で処理した後に得られたバルク体について測定されたゼーベック係数の温度依存性を示すグラフである。 本発明の実施の形態の金属ケイ素化物の製造方法の、(a)Fe圧粉成型体、(b)FeにCoを5mol%混合した圧粉成型体、(c)FeにMnを5mol%混合した圧粉成型体をNaおよびSiとともに1173K、24時間加熱・炉冷後、アルコールおよび蒸留水で処理した後に得られたバルク体について測定された電気伝導率の温度依存性を示すグラフである。
符号の説明
1 BNルツボ
2 金属ナトリウム
3 FeとSiとの混合粉末
4 ステンレス柱
5 反応容器

Claims (4)

  1. 金属ケイ素化物の製造方法において、不活性ガス雰囲気の反応容器中で、Naの融液または蒸気を付加した状態で、金属とSiとを加熱することを、特徴とする金属ケイ素化物の製造方法。
  2. 前記金属および前記Siは、それぞれ単独の粉末を混合したもの、それぞれ単独の粉末を混合し圧縮成形したもの、前記金属のバルク体の上に前記Siの粉末またはバルク体を接触させたもの、前記金属のバルク体または粉体、および前記Siのバルク体または粉体を同一Na融液に浸したもののうち、いずれか一種類であることを、特徴とする請求項1記載の金属ケイ素化物の製造方法。
  3. 前記金属が、Fe、Mg、Cr、Moから選択される一種類の金属、もしくはそれを主構成金属とする合金であり、前記金属と前記Siとを加熱した後に得られる主たる金属ケイ素化物が、β−FeSi、MgSi、CrSiまたはMoSiであることを、特徴とする請求項1または2記載の金属ケイ素化物の製造方法。
  4. 前記金属と前記Siとを加熱する温度は、500℃以上、1200℃以下であることを、特徴とする請求項1、2または3記載の金属ケイ素化物の製造方法。

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