JP4803781B2 - β−FeSi2の製造方法 - Google Patents
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(1)Fe及びSiの単体元素の粉末を1:2の原子比で混合し、この混合粉末に塩化物系固形反応助剤を添加して混合し、この混合物を加熱処理することを特徴とするβ−FeSi2の製造方法、
(2)前記固形反応助剤がKCl又はNaClであることを特徴とする(1)項に記載のβ−FeSi2の製造方法、
(3)前記のFeとSiとの混合粉末に固形反応助剤を添加して混合する工程を不活性ガス雰囲気下で行うことを特徴とする(1)又は(2)項に記載のβ−FeSi2の製造方法、および
(4)前記のFeとSiとの混合粉末に固形反応助剤を添加して混合する工程をアルゴン雰囲気下で行うことを特徴とする(1)〜(3)のいずれか1項に記載のβ−FeSi2の製造方法
を提供するものである。
本発明の製造方法は、以下の(1)〜(5)の工程を含む。
(1)Fe粉末とSi粉末との混合工程
(2)固形反応助剤の添加・混合工程
(3)混合粉末の加熱処理工程
(4)反応助剤の除去工程
(5)乾燥工程
まず、Fe及びSiの単体元素の粉末を1:2の原子比(モル比)で混合する。本発明に用いるFe及びSiの単体元素の粉末は、純粋なβ−FeSi2を製造する観点からそれぞれ純度99.9%以上のものが好ましい。また、各粉末の粒径は、0.5〜40μmが好ましく、1〜数μmがより好ましい。
次に、FeとSiとの混合粉末に固形反応助剤を添加して混合する。
本発明に用いる固形反応助剤は塩化物系反応助剤であることが好ましく、アルカリハライドがより好ましく、中でも、KCl及びNaClが特に好ましい。固形反応助剤の添加量は、液相ができFeとSiとの動きを良くする観点から、FeとSiとの混合粉末に対して6質量%以上が好ましく、8質量%以上がより好ましい。また、固形反応助剤の添加量の上限は、15質量%以下が好ましく、13質量%以下がより好ましく、10質量%以下が特に好ましい。
FeとSiとの混合粉末に固形反応助剤を添加して混合する工程は、Feの酸化を防止する観点から不活性ガス(好ましくはアルゴン)雰囲気下で行うことが好ましい。混合時間は、酸化防止の観点からできるだけ短い時間が好ましく、具体的には10〜30分程度が好ましく、15〜20分程度がより好ましい。
固形反応助剤との混合後、加熱処理を行う。加熱処理は、FeやSiの酸化を防止する観点から、不活性ガス(好ましくはアルゴン)雰囲気下で行うことが好ましい。
加熱温度は、効率よく製造する観点からできるだけ低い温度が好ましいが、820〜910℃が好ましく、850〜900℃がより好ましい。700〜800℃程度では反応温度が低すぎるため、反応しきれないFeやSiが後述する反応助剤除去工程や乾燥工程中に酸化反応を起こし、FeやSiの酸化物が生成してしまうので好ましくない。
加熱時間は、効率よく製造する観点からできるだけ短い時間が好ましいが、2.5〜10時間が好ましく、3.5〜7時間がより好ましい。
なお、加熱温度を高くすれば加熱時間は短くすることができ、また加熱時間を長くすれば加熱温度を低くすることができ、好ましい反応条件は適宜定めることができる。
加熱処理終了後、固形反応助剤を除去する。室温まで冷却した焼結体を、メノウ乳鉢等を用いて粉砕し、純水で数回洗浄する。本発明に用いられる固形反応助剤は水溶性であるので水洗により容易に除去することができる。
水洗した粉末を乾燥させる。
本発明の方法で得られたβ−FeSi2粉末はアルゴン中にてホットプレスにより焼結体にすることが可能である。また、本発明の方法で製造されたβ−FeSi2は、熱電変換材料や半導体材料などとして様々な分野に利用することができる。
Fe粉末(〜300メッシュ、純度3N;フルウチ化学社製、商品名:FEM−30005A)、Si粉末(〜300メッシュ、純度4N;フルウチ化学社製、商品名:SIM−65005A)、KCl(純度99.50%、小泉化学社製)を用意し、Fe粉末とSi粉末とをFe:Si=1:2(原子比)で秤量した(Fe=4.98549g、Si=5.01451g)。これにKClを10質量%(1.00000g)加え、遊星型ボールミルで20分間アルゴン雰囲気下で乾式混合した。
作製した圧粉体をアルミナボードに設置して炉心管へ挿入した。なお、炉心管の両端はゴム栓で封鎖し、さらに隙間からの酸素混入を防止する目的で真空グリスを塗布した。また、残留酸素を除去する目的でArガスを室温のまま10分間流した。さらに、Arガス中に極微量の酸素が混入している可能性を考慮して、Arガスが直接試料に当たらないように設置した。炉心管内に高純度Arガスを流通させながら、加熱速度800℃/hで試料を900℃まで加熱し3.5時間保持して焼結させた。加熱処理終了後は自然放冷により冷却した。
乾燥後、焼結試料をX線回折装置(商品名:CN4037A1、理学電機社製)により回折パターンを調べた。結果を図1に示す。図1から明らかなように、単相のβ−FeSi2を得ることができた。
KClを添加しないこと以外は実施例1と同様にして試験を行ったところ、FeとSiは反応せず、X線回折では単にFeとSiのピークが検出されるのみであった。
KClの添加量をFeとSiとの混合粉末に対して7質量%(0.700g)としたこと以外は実施例1と同様にして試験を行ったところ、実施例1と同様に単相のβ−FeSi2を得ることができた。
反応温度を850℃とし、反応時間(保持時間)を7時間としたこと以外は実施例1と同様にして試験を行ったところ、実施例1と同様に単相のβ−FeSi2を得ることができた。
Claims (4)
- Fe及びSiの単体元素の粉末を1:2の原子比で混合し、この混合粉末に塩化物系固形反応助剤を添加して混合し、この混合物を加熱処理することを特徴とするβ−FeSi2の製造方法。
- 前記固形反応助剤がKCl又はNaClであることを特徴とする請求項1に記載のβ−FeSi2の製造方法。
- 前記のFeとSiとの混合粉末に固形反応助剤を添加して混合する工程を不活性ガス雰囲気下で行うことを特徴とする請求項1又は2に記載のβ−FeSi2の製造方法。
- 前記のFeとSiとの混合粉末に固形反応助剤を添加して混合する工程をアルゴン雰囲気下で行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のβ−FeSi2の製造方法。
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