JP4790273B2 - 熱電変換材料の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、熱電変換材料の製造方法に関するものである。
現在、世界のエネルギーは、その多くを化石燃料の燃焼エネルギーに依存しているが、熱サイクルを使用する発電システムの場合、そのエネルギーの多くを廃熱として未利用のまま廃棄しているのが現状である。一方、地球環境の保全が世界的規模で議論されるようになり、エネルギーの未利用分の有効利用技術開発が精力的に進められている。
この中で、熱電変換を用いた発電は、比較的低品質の熱においても直接電気に変換することが可能であるため、現在利用されていない廃熱を回収できる技術として、最近のエネルギー問題や環境問題の深刻化に伴い、熱電変換に対する期待度はますます大きくなっている。
この熱電変換とは、異なる2種の金属やp型半導体とn型半導体等の熱電変換材料に温度差を与えると、両端に熱起電力が発生するというゼーベック効果を利用し、熱エネルギーを直接電力に変換する技術である。この技術は、モーターやタービン等の可動部がまったくなく、また、老廃物もないという優れた特徴を有している。
ここで、熱電特性の性能評価に用いられる性能指数Zは、下記の式で表される。
Z=α2/(κ・ρ)
α:ゼーベック係数
κ:熱伝導率
ρ:比抵抗
すなわち、ゼーベック係数が大きく、熱伝導率と比抵抗が小さいことが好ましい材料であると言うことができる。
従来、熱電変換材料としては、例えば、Bi-Te系材料、Pb-Te系材料、Si-Ge系材料、Fe-Si系材料等が用いられてきた。しかし、これらは非酸化物系の熱電変換材料であるため、高温域での耐久性の面で問題が生じていた。
また、Bi-Te系材料、Pb-Te系材料では、Teを用いているため、その毒性が環境に及ぼす影響が懸念されていた。こういった理由から、酸化物系の熱電変換材料が望まれており、種々の酸化物系熱電変換材料が提案されてきた。
例えば、特許文献1の特開2001−257385号公報には、Li,Na,K,Rbから選ばれたアルカリ金属を含む複合酸化物であって、室温以上の一定温度で一定時間熱処理を施した後に急冷してえられることが記載され、好ましくは、アルカリ金属とMn,Fe,Coなどの価数(p)が3<p<4の範囲で安定な3d遷移金属との複合酸化物という内容のアルカリ金属酸化物を用いた熱電変換材料及びその製造方法が提案されている。
また、特許文献2の特開2002−223011号公報には、元素組成式NaxCoOy (式中、0.3≦x≦0.8、1.65≦y≦2.4である)の酸化物からなる熱電変換材料の製造方法が記載され、初期原料粉として、予め合成した該酸化物の単結晶粉を用いるとともに、該単結晶粉に焼結助剤としてナトリウム化合物を添加し、且つ、該単結晶粉の結晶方向を揃えて焼成することにより電気抵抗率及びパワーファクターを改善すると熱電変換材料の製造方法が提案されている。
さらに、特許文献3の特開2002−280623号公報には、組成式Nax-yAyCoO2+d (0.6<x≦1.0、0≦y<0.28、-0.4<d≦0)で表され、前記組成式中のAが、Mg, Ca, Sr, Li, K, 並びに希土類元素の少なくとも一種の元素である酸化物熱電材料の製造方法が記載され、溶液中に存在する前記AのイオンとNaイオン並びにCoイオンとの比率が前記範囲内の所定比率となるように、前記Aイオン錯体とNaイオン錯体並びにCoイオン錯体とを混合、均一化する混合工程と、該混合工程で得られた水溶液に多価アルコールを加えた後、該水溶液を加熱してゲル化させるゲル化工程と、得られたゲルを加熱し、ゲル中の不要有機化合物を分解する加熱分解工程と、該加熱分解工程後の材料を所定温度の酸化雰囲気中にて焼成する焼成工程と、を少なくとも有する酸化物熱電材料の製造方法が提案されている。
特開2001−257385号公報 特開2002−223011号公報 特開2002−280623号公報
しかしながら、特許文献1から3に提案された方法によると、確かに高温域での耐久性の向上が見込める酸化物系の熱電変換材料の合成は可能である。また、これらの熱電変換材料はTe等の有毒な元素を用いていないため、環境にやさしい熱電変換材料となり得る。
しかしながら、これらの方法を用いて熱電変換材料を形成する場合は、適切な組成を選択しない場合には焼結性が悪かったり、また、所望の化合物以外の化合物が生じてしまうという不具合が生じるという欠点がいまだ存在するのが現状である。
したがって、焼結性が良好であり、また、所望の化合物のみが得られる酸化物系の熱電変換材料前駆体が切望されていた。
本発明は、酸化物系熱電変換材料の前駆体の形態を制御することにより、焼結性が良好で、また、所望の化合物のみが得られる熱電変換材料の製造方法を提供することを目的としている。
本発明の第1の態様は、アルカリ金属と、価数(p)が3<p<4の範囲で安定な3d遷移金属との複合化合物を基に形成されたゾルを加熱してゲルを生成するゲル化工程と、生成したゲルをさらに加熱することで水素と炭素を除去する加熱分解工程と、水素と炭素を除去したゲルを粉砕、混合する粉砕・混合工程と、粉砕、混合したゲルを熱処理し、熱電変換材料前駆体を形成する第一の焼成工程と、形成した熱電変換材料前駆体を粉砕、混合し、所定の形状に成形する粉砕・混合・成形工程と、成形した熱電変換材料前駆体を熱処理し、焼結する第二の焼成工程と、をその順に有し、第一の焼成工程では、形成した熱電変換材料前駆体の粒子の表面に、Na化合物である微粒子を付着させた状態に形態制御することを特徴とする熱電変換材料の製造方法である。
本発明の第2の態様は、アルカリ金属と、価数(p)が3<p<4の範囲で安定な3d遷移金属との複合化合物を焼成用容器に挿入する容器挿入工程と、焼成用容器に挿入した複合化合物を熱処理し、熱電変換材料前駆体を形成する第一の焼成工程と、形成した熱電変換材料前駆体を粉砕、混合し、所定の形状に成形する粉砕・混合・成形工程と、成形した熱電変換材料前駆体を熱処理し、焼結する第二の焼成工程と、をその順に有し、第一の焼成工程では、形成した熱電変換材料前駆体の粒子の表面に、Na化合物である微粒子を付着させた状態に形態制御することを特徴とする熱電変換材料の製造方法である
発明によって、熱電変換材料の焼結性を向上し、さらに、所望の化合物のみの合成が可能である。
また、本発明によって、Na-Co系酸化物熱電変換材料において、該熱電変換材料の焼結性を向上し、さらに、所望の化合物のみの合成が可能である。
また、本発明によって、第一の焼成において、母粒子の表面に微粒子を付着させた形態制御が可能になり、それにより、熱電変換材料の焼結性を向上し、さらに、所望の化合物のみの合成が可能である。
さらに、本発明によって、焼結性が良好で、不純物の析出していない所望の化合物のみの熱電変換材料を得ることができる。
以下、本発明の熱電変換材料前駆体、熱電変換材料粉体及び熱電変換材料に関し、説明する。
図1は、錯体重合法を用いた場合の、本発明の製造工程の一例を示したものである。
例えば、組成がNaxCoOy (0.5≦x≦1.0、1.0≦y≦2.0)である熱電変換材料を製造する工程について説明する。本発明は、材料として、NaxCoOy (0.5≦x≦1.0、1.0≦y≦2.0)に限るわけではないが、酸化物系熱電変換材料は、毒性がなく、環境にやさしいばかりでなく、高温の使用にも耐えられる材料であり好ましい。特に、NaxCoOy (0.5≦x≦1.0、1.0≦y≦2.0)は、本発明では、好ましく使用できる。
原料として、例えば、酢酸ナトリウム及び酢酸コバルトをそれぞれ秤量し、これらの塩を純水に添加し十分に撹拌を行う。ここでは、酢酸塩を用いているが、これに限るわけではなく、構成する各金属元素を含む塩を適宜選択すればよい。
続いて、溶液中の金属イオンと錯体を形成する錯体配位子であるクエン酸を添加し、十分に撹拌を行うことにより、ゾルを形成する。ここでは、錯体配位子としてクエン酸を用いているが、これは前記同様に単なる例示であり、これに限定されるわけではなく、適切な錯体配位子を適宜選択すればよい。
続いて、上記で形成したゾルに多価アルコールであるエチレングリコールを添加し、十分に撹拌を行う。
続いて、エチレングリコールを添加したゾルを250℃程度の温度に加熱することにより、加熱重合エステル化してゲル化する。この際の加熱温度を250℃程度としたが、温度に関しては、これに限定するわけでなく、適切な温度を適宜選択すればよい。また、多価アルコールとしてエチレングリコールを用いた例を記載したが、これに限定するわけでなく、適切な多価アルコールを適宜選択すればよい。
続いて、ゲル中に残存する水素と炭素を350℃程度に加熱することにより、ゲル中より除去する。この際の加熱温度を350℃程度としたが、この温度に限定するわけでなく、ゲル中から除去できる温度であり、この温度は適宜選択すればよい。
加熱分解により水素と炭素を除去したゲルは、粉砕と混合を十分に行い、第一の焼成工程を行う。この第一の焼成工程により、Na-Co系酸化物粒子の表面に、Na化合物である微粒子を付着させた状態に熱電変換材料前駆体を形態制御するのが、本発明の実施形態の一つである。第一の焼成条件は、例えば、酸化雰囲気中で、600〜800℃で5〜12時間程度の熱処理工程を行った後に冷却する。この熱処理条件は一例であり、これに限定されるわけでなく、適宜選択すればよい。また、ここでは、熱電変換材料前駆体として説明したが、この前駆体自体が、熱電変換材料であってもよい。
第一の焼成工程を行って形成された熱電変換材料前駆体は、粉砕と混合を十分に行った後、所定の形状に成形する。この成形体に対し、第二の焼成工程を行う。この第二の焼成工程は、成形体の緻密化(焼結)工程である。ここで、第一の焼成工程において、Na-Co系酸化物粒子の表面に、Na化合物である微粒子を付着させた状態に熱電変換材料前駆体を形態制御しておくことにより、第二の焼成工程後、焼結性が良好で十分な緻密化が行われ、また、所望の化合物以外の不純物化合物の生成を抑制することができる。第二の焼成工程の条件としては、例えば、酸化雰囲気中で、600〜925℃で5〜20時間程度の熱処理を行った後冷却することができる。但し、この熱処理条件は一例であり、本発明はこれに限定されるわけでなく、適宜選択可能である。
以上の工程を経ることにより、錯体重合法を用いて熱電変換材料が製造できる。
図2は、固相反応法を用いた場合の、本発明の製造工程の一例を示したものである。
前記した錯体重合法の場合と同様に、例えば、組成がNaxCoOy (0.5≦x≦1.0、1.0≦y≦2.0)である熱電変換材料を製造する工程について説明する。
固相反応法に使用する原料として、例えば、炭酸ナトリウム及び四三酸化コバルト(Co3O4)をそれぞれ所定量秤量し、これらを均一に混合した後、焼成用の容器に挿入する。ここで使用した原料は、これらに限られず、構成する金属が含まれた別の原料を適宜選択すればよい。
続いて、第一の焼成工程(固相反応法を用いた場合の第一の焼成工程)を行う。錯体重合法を用いた場合と同様に、この第一の焼成工程により、Na-Co系酸化物粒子の表面に、Na化合物である微粒子を付着させた状態に熱電変換材料前駆体を形態制御するのが、本発明の実施形態の一つである。第一の焼成工程での焼成条件は、例えば、酸化雰囲気中で、600〜800℃にて5〜12時間程度の熱処理を行い、冷却する。この際の熱処理条件は一例であり、これに限定するわけでなく、適宜選択すればよい。また、ここでは、熱電変換材料前駆体として説明したが、錯体重合法の場合と同様に、この前駆体自体が、熱電変換材料であってもよい。
前記した固相反応法による第一の焼成を行って形成された熱電変換材料前駆体は、粉砕と混合を十分に行った後、所定の形状に成形する。錯体重合法の場合と同様に、この成形体に対し、第二の焼成工程(固相反応法を用いた場合の第二の焼成工程)を行う。この第二の焼成工程は、成形体の緻密化(焼結)工程である。この場合も、第一の焼成工程において、Na-Co系酸化物粒子の表面に、Na化合物である微粒子を付着させた状態に熱電変換材料前駆体を形態制御しておくことにより、第二の焼成後、焼結性が良好で十分な緻密化が行われ、また、所望の化合物以外の不純物化合物の生成を抑制することができる。固相反応法による第二の焼成の条件としては、例えば、酸化雰囲気中で、600〜925℃で5〜20時間程度の熱処理を行った後冷却する。但し、この熱処理条件は一例に過ぎず、これに限定するわけでなく、適宜選択すればよい。
以上の工程を経ることにより、固相反応法を用いて熱電変換材料が製造できる。
以上のように、本発明において、第一の焼成において、Na-Co系酸化物粒子の表面に、Na化合物である微粒子を付着させた状態に熱電変換材料前駆体を形態制御しておくことにより、第二の焼成後、従来の課題であった、焼結性を良好にすることができ、十分な緻密化が行われることとなった。さらに、従来の課題であった、所望の化合物以外の不純物化合物の生成をも抑制することができた。
以下、本発明を、実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明は、これら実施例に記載された範囲には限定されず、これら実施例を含んだ範囲以外の発明も本発明の効果を得られる範囲内での変形例も含まれることは、言うまでもない。
[実施例1]
酢酸ナトリウム一水和物5.8gと、酢酸コバルト四水和物10.8gと、70mlの純水とを、アルミナ製の容器に添加し、十分に撹拌して溶解させて溶液を形成し、クエン酸79.3gを添加し、十分に撹拌してゾル液を作製した。このゾル液に、エチレングリコール5.8gを添加し、十分に撹拌を行い、溶液を作製した。
続いてこの溶液を前記したアルミナ容器のままマントルヒータに挿入し、室温から250℃までを4時間かけて昇温加熱することにより、ゲル化した。続いて、このゲルをアルミナ容器のまま電気マッフル炉に挿入し、350℃で1時間、空気雰囲気中で加熱することにより、ゲルの熱分解を行った。
ゲルの熱分解を行った熱分解試料は、メノウ乳鉢を用いて粉砕・混合を行った後、アルミナボートに移した。続いてこの熱分解試料をアルミナボートのまま電気マッフル炉に挿入し、800℃で5時間、熱処理工程を空気雰囲気下に行った(第一の焼成工程)。
この熱処理工程において形成された試料の電子顕微鏡写真を図3に示す。
図3から明らかなように、試料(試料1)の形態は、母粒子の表面に、より微小粒径の微粒子が付着した状態になっている。EPMA分析の結果、母粒子は、Na、Co、Oを含む組成物であり、また、組成物の母粒子の表面に付着した微粒子は、Naを含む組成物であることが判明した。
また、試料1の母粒子の表面に付着した微粒子は、水溶性であることが判明し、試料1を純水で洗浄すると、母粒子表面に付着した微粒子を取り除くことができた。この母粒子を試料2とする。
試料2の電子顕微鏡写真を図4に示す。
図4に示すように、純水で洗浄を行うことにより、母粒子表面に付着した微粒子は取り除かれていることが判る。
次に、試料1を、加圧成形した後アルミナボートに移した。続いてこの試料1をアルミナボートのまま電気マッフル炉に挿入し、900℃で20時間、熱処理を空気雰囲気下に行った(第ニの焼成工程)。この第二の焼成工程は、成形体の緻密化(焼結)工程である(試料3)。次いで、試料2も、試料1と同様の第二の焼成工程を行った(試料4)。
試料3及び試料4を、それぞれメノウ乳鉢を用いて粉砕し、得られた粉体を電子顕微鏡を用いて観察した。試料3及び試料4の電子顕微鏡写真を、それぞれ図5および図6に示す。
これらの顕微鏡写真から、図5に示す試料3の母粒子の粒径のほうが、図6に示す試料4の母粒子の粒径よりも大きいことがわかる。すなわち、第一の焼成工程において母粒子の表面に微粒子が付着した試料1を第二の焼成工程で緻密化する場合には、母粒子は粒径が増大するが、母粒子の表面に微粒子が付着していない試料2を用いて第二の焼成工程で緻密化する場合には、粒径の増大が生じないことが判る。
このように、錯体重合法を用いた場合、第一の焼成工程において、母粒子の表面に微粒子を付着した状態に形態を制御することにより、第二の焼成工程において粒径が増大し、それにより焼結性を向上することができた。
[実施例2]
酢酸ナトリウム一水和物4.6gと、酢酸コバルト四水和物8.6gと、58mlの純水とを、アルミナ製の容器に添加し、十分に撹拌して溶解させた。続いてこの溶液に、クエン酸63.5gを添加し、十分に撹拌することによってゾル液を作製した。続いてこのゾル液に、エチレングリコール5.8gを添加し、十分に撹拌を行い作製した溶液を、アルミナ容器のままマントルヒータに挿入した。このアルミナ容器を挿入したマントルヒータを、室温から250℃まで4時間かけて昇温加熱することにより、ゲル化を行った。続いて、このゲル化したゲルをアルミナ容器のまま電気マッフル炉に挿入し、350℃で1時間、空気雰囲気下に加熱することにより、ゲルの熱分解を行った。
熱分解を行った試料をメノウ乳鉢を用いて粉砕・混合を行った後、アルミナボートに移した。続いてこの試料をアルミナボートのまま電気マッフル炉に挿入し、800℃で5時間熱処理を空気雰囲気下に行った(第一の焼成工程)。
これにより、実施例1と同様に、母粒子の表面に、より微小粒径の微粒子が付着した形態が得られた(試料5)。また、この試料5を、純水を用いて洗浄し、実施例1と同様に母粒子表面の微粒子を取り除いた(試料6)。
次に、試料5を、加圧成形した後アルミナボートに移し、アルミナボートのまま電気マッフル炉に挿入して、900℃で20時間、熱処理を空気雰囲気下に行った(第ニの焼成工程:試料7を作製)。
続いて、前記試料6も、試料5と同様に第二の焼成工程を行った(試料8)。
試料7及び試料8のX線回折を行い、得られたスペクトルを、それぞれ図7と図8に示す。図7のスペクトルは所望の化合物であったNa0.7CoO2化合物と対応した値を示しており、単相の化合物が得られていることがわかる。
これにより、第一の焼成工程において、母粒子の表面に微粒子が付着した試料7を第二の焼成工程を行った場合には、所望の酸化物熱電変換材料の単相試料が得られることが判った。これに対し、図8に示すスペクトルには、図中の「▼」で示したように、Co3O4化合物に対応したピークも観察されている。これにより、第一の焼成工程において母粒子の表面に微粒子が付着していない試料8に、第二の焼成工程を行った場合には、所望の酸化物熱電変換材料以外の不純物が析出してしまうことがわかる。
このように、錯体重合法を用いた場合、第一の焼成工程において、母粒子の表面に微粒子を付着した状態に形態を制御することにより、第二の焼成工程において所望の酸化物熱電変換材料単相が得ることができた。
[実施例3]
炭酸ナトリウム3.7gと、四三酸化コバルト(Co3O4)8.0gを、メノウ乳鉢を用いて粉砕し混合した試料をアルミナボートに移した。続いてこの試料をアルミナボートのまま電気マッフル炉に挿入し、800℃で5時間、熱処理を空気雰囲気下に行った(第一の焼成工程)。
この熱処理工程において形成された試料9を電子顕微鏡により観察したところ、試料の形態は、実施例1の場合と同様に、母粒子の表面に、より微小粒径の微粒子が付着した状態になっていた。また、この試料9を純水で洗浄して試料10とすることにより、実施例1と同様に母粒子表面に付着した微粒子を取り除いた。
次に、試料9を、加圧成形した後アルミナボートに移し、アルミナボートのまま電気マッフル炉に挿入し、900℃で20時間、熱処理を空気雰囲気下に行った(第ニの焼成工程:試料11の作製)。
続いて、試料10も、試料9と同様の第二の焼成工程を行って試料12を作製した。
試料11及び試料12をメノウ乳鉢を用いてそれぞれ粉砕し、得られた粉体の電子顕微鏡観察を行った結果、試料11の母粒子の粒径のほうが、試料12の母粒子の粒径よりも大きかった。
すなわち、第一の焼成工程において母粒子の表面に微粒子が付着した試料9を第二の焼成工程で緻密化する場合には、母粒子は粒径の増大が生じるが、母粒子の表面に微粒子が付着していない試料12を第二の焼成工程で緻密化しても、粒径の増大が生じないことが判る。
このように、固相反応法を用いた場合にも、第一の焼成工程において、母粒子の表面に微粒子が付着した状態に形態を制御することにより、第二の焼成工程において粒径が増大し、焼結性を向上することができることが判った。
錯体重合法を用いた場合の、本発明の製造方法の工程の流れの一例を示す図である。 固相反応法を用いた場合の、本発明の製造方法の工程の流れの一例を示す図である。 本発明の実施例1における試料1の電子顕微鏡写真。 実施例1における試料2の電子顕微鏡写真である。 実施例1における試料3の電子顕微鏡写真である。 実施例1における試料4の電子顕微鏡写真である。 実施例2における試料7のX線回折スペクトルであり、縦軸は強度(cps:counts per sec.)を示し、横軸は回折角(2θ)を示す。 実施例2における試料8のX線回折スペクトルであり、縦軸及び横軸は、図7と同様の単位である。
符号の説明
1 母粒子(Na、Co、Oを含む組成物)
2 微粒子(Naを含む組成物)

Claims (4)

  1. アルカリ金属と、価数(p)が3<p<4の範囲で安定な3d遷移金属との複合化合物を基に形成されたゾルを加熱してゲルを生成するゲル化工程と、
    生成したゲルをさらに加熱することで水素と炭素を除去する加熱分解工程と、
    水素と炭素を除去したゲルを粉砕、混合する粉砕・混合工程と、
    粉砕、混合したゲルを熱処理し、熱電変換材料前駆体を形成する第一の焼成工程と、
    形成した熱電変換材料前駆体を粉砕、混合し、所定の形状に成形する粉砕・混合・成形工程と、
    成形した熱電変換材料前駆体を熱処理し、焼結する第二の焼成工程と、をその順に有し、
    前記第一の焼成工程では、
    形成した熱電変換材料前駆体の粒子の表面に、Na化合物である微粒子を付着させた状態に形態制御することを特徴とする熱電変換材料の製造方法
  2. 前記複合酸化物は、酢酸ナトリウム及び酢酸コバルトを含むことを特徴とする請求項1記載の熱電変換材料の製造方法
  3. アルカリ金属と、価数(p)が3<p<4の範囲で安定な3d遷移金属との複合化合物を焼成用容器に挿入する容器挿入工程と、
    前記焼成用容器に挿入した複合化合物を熱処理し、熱電変換材料前駆体を形成する第一の焼成工程と、
    形成した熱電変換材料前駆体を粉砕、混合し、所定の形状に成形する粉砕・混合・成形工程と、
    成形した熱電変換材料前駆体を熱処理し、焼結する第二の焼成工程と、をその順に有し、
    前記第一の焼成工程では、
    形成した熱電変換材料前駆体の粒子の表面に、Na化合物である微粒子を付着させた状態に形態制御することを特徴とする熱電変換材料の製造方法
  4. 前記複合酸化物は、炭酸ナトリウム及び四三酸化コバルトを含むことを特徴とする請求項3記載の熱電変換材料の製造方法
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