JP4768294B2 - 配向熱電材料の製造方法とその配向熱電材料 - Google Patents

配向熱電材料の製造方法とその配向熱電材料 Download PDF

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本発明は、熱電材料及びその製造方法に関し、さらに詳しくは、結晶配向性を有する熱電材料及びその製造方法に関するものである。
現在、世界のエネルギーは、その多くを化石燃料の燃焼エネルギーに依存しているが、熱サイクルを使用する発電システムの場合、そのエネルギーの多くを廃熱として未利用のまま廃棄しているのが現状である。一方、地球環境の保全が世界的規模で議論されるようになり、エネルギーの未利用分の有効利用技術開発が精力的に進められている。
この中で、熱電変換を用いた発電は、比較的低品質の熱においても直接電気に変換することが可能であるため、現状の未利用の廃熱を回収できる技術であり、最近のエネルギー問題や環境問題の深刻化に伴い、熱電変換に対する期待度はますます大きくなっている。
この熱電変換とは、異なる2種の金属やp型半導体とn型半導体等の熱電変換材料に温度差を与えると、両端に熱起電力が発生するゼーベック効果を利用して、熱エネルギーを直接電力に変換する技術であり、モーターやタービン等の可動部がまったくなく、また、老廃物もないという優れた特徴を有している。
ここで、熱電特性の性能評価に用いられる性能指数Zは、「Z=α/(κ・ρ)」の式で表される。尚、「α」はゼーベック係数、「κ」は熱伝導率、「ρ」は比抵抗である。
この式で示されるように、熱電特性を向上させるには、ゼーベック係数が大きく、熱伝導率と比抵抗が小さいことが必要である。ここで、ゼーベック係数は物性値であるため、材料によって決まってしまうが、熱伝導率と比抵抗は、材料の微細組織や配向性によっても大きく変化させることが可能なため、熱伝導率や比抵抗を小さくするための結晶組織制御方法が検討されている。すなわち、結晶組織の配向性を向上させることにより、ある方向において、熱伝導率及び比抵抗を小さくすることが可能で、その方向における熱電特性を向上することができるわけである。
例えば、特許文献1には、AxBOy(A:Na必須、Ca,Sr,Ba,Bi,Y, B:Co必須、Mn,Fe,Cu、1≦x≦2、2≦y≦4)型構造を有する熱電素子材料。特にNaCo系熱電素子材料は、水酸化コバルト又は酸化コバルトの板状粒子とナトリウム金属塩とを混合し、これを前記水酸化コバルト又は酸化コバルト粒子が一方向に配向するように成形し、この成形体を焼成して緻密化させることによりC軸方向が配向した焼結体が作製される。という内容の熱電素子材料及びその製造方法が提案されている。
また、特許文献2には、結晶配向材料のテンプレートとなる物質である形状異方性を有するZnOまたはその前駆体粉末材料と、このZnOまたはその前駆体粉末材料との反応によって結晶異方性のある導電性酸化物を生成する物質とを混合し、この混合材料を前記異方形状粉末が一方向に配向するように常温下で成形し、この成形物を熱処理することにより合成し、その後に焼結する。という内容の結晶配向バルクZnO系焼結体材料の製造方法およびそれにより製造された熱電変換デバイスが提案されている。
さらに、特許文献3には、V族元素とVI族元素からそれぞれ選択した一種以上の元素の組み合わせを主成分とする熱電材料若しくは金属と半金属系材料の組み合わせを主成分とする熱電材料又はこれらに酸化物、炭化物、窒化物若しくはこれらの混合物を添加した熱電材料の直流通電加圧による焼結に際し、100〜15000Aの可変電流範囲で通電するとともに、磁束密度0.1T≦H≦2.0T(T:テスラ)の範囲で磁場をかけながら焼結し、焼結体組織の電気的配向性を得ることを特徴とする熱電材料の製造方法が提案されている。
また、特許文献4には、熱電微粒子を磁場中で成形し、さらに、磁場中で焼結することにより、配向熱電材料を形成する技術が、また、特許文献5には、熱電微粒子を溶媒中に分散し、その分散液を磁場中で成形し、さらに、磁場中で焼結することにより、配向熱電材料を形成する技術が記載されている。
現在、熱電材料の結晶配向度を大きくでき、その配向度を減少させることなく熱電材料を製造できる方法並びに十分な配向度を有した熱電材料が切望されている。
しかしながら、上記特許文献1および上記特許文献2により提案された方法によると、確かにある程度配向された試料を提供することが可能であるが、いずれもその配向度には限界があり、さらに、配向した成形物を焼結あるいは焼成して緻密化する際に配向度が低下するため、その配向性がまだ十分ではないという不具合が生じている。
また、上記特許文献3により提案された方法によると、磁場中において焼結を行うことにより、電気的配向性を得ているのみであり、磁場強度が小さいため、結晶そのものを配向することができず、かえって電気抵抗や熱伝導率等の物理的特性の異方性を減少または消失させてしまう。その結果、結晶組織の配向度を大きくし、ある方向における熱伝導率や比抵抗を小さくするための結晶組織制御方法という目的では用いることができない。
また、上記特許文献4,5に記載の技術では、熱電微粒子を配向させやすくさせたものであるが、さらに熱電微粒子を配向しやすくさせることが求められている。
特許第3493654号公報 特開2002−016297号公報 特許第3443640号公報 特開2004−119429号公報 特開2004−119413号公報
解決しようとする問題点は、従来の技術では、熱電微粒子を配向しやすくさせることが十分にはできない点である。
本発明の目的は、これら従来技術の課題を解決し、結晶配向度が大きく優れた熱電特性を有する熱電材料を提供することである。
上記目的を達成するため、本発明は、磁性体の単結晶微粒子(形状異方性有し、長径方向に磁化しやすい微粒子)を添加することにより、さらに熱電微粒子を配向しやすくさせたことを特徴とする。より詳しくは、微粒子で形成された配向熱電材料中にフェリ磁性体の単結晶微粒子といった磁性体の単結晶微粒子を添加することにより、磁場中にて熱電材料あるいは熱電材料成形体を形成し、必要に応じてさらに磁場中にて熱処理による緻密化を行う等により、結晶配向度が大きく優れた熱電特性を有する熱電材料を製造することを特徴とする。
具体的には、(1)微粒子がそれぞれ一定の方向に配向している配向熱電材料の製造方法であって、熱電材料微粒子を合成する第1のステップと、この熱電材料微粒子に磁性体の単結晶微粒子を添加する第2のステップと、磁性体の単結晶微粒子を添加した熱電材料微粒子の集合体を磁場中に挿入して、磁化率の異方性を有した微粒子が、磁化率の大きい方向を、印加した磁場の方向に配向した成形体を形成する第3のステップと、形成した成形体を熱処理により緻密化を行い、強度の大きいバルク体を形成する第4のステップとを有し、第2のステップにおいて添加する磁性体の単結晶微粒子として、常磁性体の単結晶微粒子、強磁性体の単結晶微粒子、フェリ磁性体の単結晶微粒子のいずれかを用い、さらに、第2のステップで磁性体の単結晶微粒子を添加した熱電材料微粒子を、溶媒中に分散するステップを有し、第3のステップでは、磁性体の単結晶微粒子を添加した熱電材料微粒子の分散液を磁場中に挿入して成形体を形成することを特徴とする。
あるいは、()第2のステップにおいて、熱電材料微粒子を溶媒中に分散して分散液とし、この分散液に、磁性体の単結晶微粒子を添加することを特徴とする。
あるいは、(3)工程中に磁場を印加する工程を具備する配向熱電材料の製造方法において、用いる熱電微粒子中に、フェリ磁性体の単結晶微粒子を添加する工程を具備したことを特徴とする。
このように、()配向熱電材料が、微粒子の集合体より構成され、その微粒子がそれぞれ一定の方向に配向している配向熱電材料において、この配向熱電材料が少なくともフェリ磁性体の単結晶微粒子を含有することを特徴とする。あるいは、()配向熱電材料において、この配向熱電材料に含有する磁性体の単結晶微粒子の短径をd、長径をaとした場合、a/d>1であることを特徴とする。あるいは、()配向熱電材料において、磁性体の単結晶微粒子における長径方向の磁化率が、磁性体の単結晶微粒子における長径方向以外の方向の磁化率よりも大きいことを特徴とする。
本発明によれば、磁性体の単結晶微粒子を含有することにより、磁場による配向が可能になり、それにより特定の方向において熱電特性が向上できる。また、微粒子がそれぞれ磁化率の異方性に沿って配向しているので、特定の方向において熱電特性が向上する。また、簡便な方法を用いて配向性の良好な熱電材料を製造することが可能である。
以下、図を用いて本発明を実施するための最良の形態例を説明する。
図1は、本発明に係わる配向熱電材の製造方法の一例を示すフローチャートである。
最初の工程(ステップ101)は、熱電材料微粒子の合成工程である。この微粒子は、磁化率の異方性を有していることが必要である。すなわち、任意の方向には磁化率:χが小さく、他の任意の方向においては磁化率が大きく、その両方向の磁化率の差:Δχはできるだけ大きい方が磁場を用いて配向熱電材料を製造するには好ましい。
また、もともと結晶構造に異方性がある場合は、それによって磁化率の異方性をも有することが可能である。この意味からも、例えば、酸化物の層状化合物は配向熱電材料を製造するための原料として好ましい。この化合物は層状になっているため、層の積層方向とそれに垂直方向で磁化率が大きく異なっており、磁場で配向することによって熱電特性を向上させることが可能になるわけである。
次の工程(ステップ102)は、磁性体の単結晶微粒子の添加工程である。磁場による配向熱電材料の形成を考慮した場合には、添加する磁性体の単結晶微粒子としては、常磁性体の単結晶微粒子、強磁性体の単結晶微粒子、及びフェリ磁性体の単結晶微粒子が適している。
これらの磁性体の単結晶微粒子が、磁化率の異方性を有していると、さらに好適である。この意味からも磁性体の多結晶微粒子ではなく、磁化率の異方性を大きくすることが可能な磁性体の単結晶微粒子を用いることが好ましいわけである。
また、添加した磁性体の単結晶微粒子は、全体に均一に分布するように、必要に応じて均一分布化処理を施しても問題ない。添加する量に関しては、添加する磁性体の単結晶微粒子の磁気特性及びその形状等によって異なるため、添加する磁性体の単結晶微粒子によって最適な添加量を適宜選択すればよい。
ここで、この磁性体の単結晶微粒子は、磁化率の異方性を有していることが必要である。すなわち、任意の方向には磁化率:χが小さく、他の任意の方向においては磁化率が大きく、その両方向の磁化率の差:Δχはできるだけ大きい方が配向熱電材料を製造するには好ましい。
また、この磁性体の単結晶微粒子が形状異方性を有している方が、配向熱電材料を製造するには好ましい。
ここで、磁性体の単結晶微粒子の短径をdとし、長径をaとした場合に、aをdで割った値、すなわちa/dが1より大きいことが必要である。
また、上記のように磁性体の単結晶微粒子の方向によるの磁化率の差:Δχは大きい方が好ましいが、特に、微粒子の長径方向に磁化率が大きい磁性体の単結晶微粒子を添加すると、磁場による配向がしやすいため、好ましい。
また、磁場による配向熱電材料の形成並びに配向熱電材料の熱電特性を考慮すると、熱電材料としては、少なくとも反磁性材料を含有することが好ましい。この場合、反磁性磁化率の異方性が大きいことがより好ましい。
次の工程(ステップ103)は、上記のように磁性体の単結晶微粒子を添加した熱電微粒子を溶媒中に分散する分散液作製の工程である。分散液を特に用いない場合は、この工程を省略することができる。
分散液としては、水、有機溶媒、無機溶媒、いずれを用いても特に問題ない。いずれの場合にも、微粒子が、凝集することなく溶媒中に分散していることが必要である。そのために、必要に応じて超音波分散を行ったり、あるいは、界面活性剤等を添加しても問題ない。
ここで、上記工程で添加した磁性体の単結晶微粒子を、上記工程で添加せず(上記工程を経ず)この工程で添加しても問題ない。その場合は、磁性体の単結晶微粒子をそのまま添加しても問題ないし、磁性体の単結晶微粒子を分散液とした後に添加しても問題ない。適宜選択すればよい。
次の工程(ステップ104)は、上記の熱電微粒子の分散液(分散液を用いない場合は集合体)を磁場中に挿入し、成形体とする工程である。磁化率の異方性を有した微粒子は、磁場により配向させることが可能である。微粒子が置かれている状態にもよるが、磁場強度をHとすると、式「H≫2kT/Δχ」の関係を満たすような磁場強度の場合に、磁化率の大きい方向を磁場印加方向に配向させることが可能になる。
尚、上記式において、「k」はボルツマン定数、「T」は絶対温度、「Δχ」は磁化率の異方性である。
しかしながら、熱電材料は一般的には強磁性体ではないので、その配向のためには、非常に大きい磁場強度を必要とする。この磁場強度としては、2Tより大きい場合が、熱電材料を配向するためには好ましく、より好ましくは5T以上の磁場であり、さらに好ましくは10T以上の磁場である。
この工程により、磁化率の異方性を有した微粒子が磁化率の大きい方向を、印加した磁場の方向に配向した成形体が形成される。
ここで、本例のように、熱電材料中に、常磁性体の単結晶微粒子、強磁性体の単結晶微粒子、及びフェリ磁性体の単結晶微粒子といった磁性体の単結晶微粒子が添加されている場合は、より配向性の良好な熱電材料を製造することが可能である。
さらには、添加する磁性体の単結晶微粒子の、磁気特性並びに形状によっては、より小さい磁場強度においても、配向熱電材料を製造することが可能になり、生産性の向上に貢献できるものである。
続いての工程(ステップ105)は、この成形体を熱処理により緻密化を行い、強度の大きいバルク体を形成する磁場中熱処理の工程である。この熱処理による緻密化工程には、微粒子原料をバルク化する焼結の工程も含まれる。
従来の配向熱電材料を製造する技術では、配向した成形体を形成した後、この熱処理による緻密化を行う工程で、その配向度を小さくしてしまっていた。これは、熱処理により、せっかく配向していた粒子等がその一部の領域がランダムな方向を向いてしまうためである。
これに対して、本例では、磁場中での熱処理(焼結も含む)を行うことにより緻密化を行う場合は、この工程においても配向度を維持することが可能になるため、極めて配向性の良い熱電材料のバルク体を形成することができるわけである。
但し、この場合は、温度が高温になるため、磁化率が低下し、それによって磁化率の異方性が減少することが考えられ、その場合には、それに応じた磁場強度にすることが必要になる。この工程に於いても、本例のように、熱電材料中に、常磁性体の単結晶微粒子、強磁性体の単結晶微粒子、及びフェリ磁性体の単結晶微粒子といった磁性体の単結晶微粒子が添加されている場合は、より配向性の良好な熱電材料を製造することが可能である。
さらには、添加する磁性体の単結晶微粒子の、磁気特性並びに形状によっては、より小さい磁場強度においても、配向熱電材料を製造することが可能になり、生産性の向上に貢献できるものである。
図2は、結晶の配向性を有していない熱電材料(多結晶体)の概念を示す説明図であり、この図2に示すように、結晶の配向性を有していない熱電材料(多結晶体)は、磁化率の異方性もばらばらの方向を向いている。図2中の点線の方向が磁化率の大きい方向に相当する様子を示している。
それに対し、図3は、本例で製造した配向熱電材料(多結晶体)の概念を示す説明図であり、この図3に示すように、本例で製造した配向熱電材料(多結晶体)は、添加した磁性体の単結晶微粒子が印加した磁場方向に配向する性質を利用することにより、より簡易的に全体が磁化率の異方性に沿って配向している。このように本例の技術によれば、磁化率の大きい方向が試料全体で揃うことが可能になる。
例えば、この磁化率の異方性に対して比抵抗あるいは熱伝導率等の電気的特性の異方性が対応する酸化物の層状化合物から構成される熱電材料等では、特定の方向において、熱電特性を向上させることが可能になる。
例えば、特定の方向において比抵抗を小さくすることができれば、その他の物理定数が一緒であってもその方向における性能指数Zは大きくなり、その方向で優れた熱電特性が得られることになる。また、熱伝導率の小さい方向を利用して、一端を高温とし、多端を低温とすることにより、両端での温度差を大きく取ることが可能になり、それによって取り出せる電力を向上することが可能になるわけである。
このように本例の技術を用いると、熱電材料に、常磁性体の単結晶微粒子、強磁性体の単結晶微粒子、フェリ磁性体の単結晶微粒子といった磁性体の単結晶微粒子を添加し、磁場中で配向成形体を形成することにより、磁化率の異方性に沿って配向した成形体を得ることができる。
さらに、磁場中で熱処理を行い、配向成形体の緻密化を行うことにより、磁化率の異方性に沿って配向したままの(配向性を低下させないで)強度の大きいバルク体を形成することが可能になる。
以上、説明した本例の技術では、非常に簡便な方法にて、従来その製造が困難であった非常に良好な配向性を有した熱電材料の製造が可能になり、本例の技術で製造した配向性熱電材料は、特定の方向において非常に高い熱電特性を有することができるものである。
以下、具体的な例を用いて本発明に係わる説明を行う。
まず、具体例(1)では、Co粉末とNaCO粉末を、十分に混合した後、電気マッフル炉にて、880℃にて20時間焼成を行った。
そして、この焼成後、この試料を粉砕することにより、NaxCoOy(1≦x≦2、2≦y≦4)微粒子を合成した。
さらに、この微粒子を、超伝導マグネットを用いて10T(テスラ)の磁場を印加しながら成形した結果、1軸方向に配向した成形体が形成できた。(試料1)
これに対し、粉砕したNaxCoOy(1≦x≦2、2≦y≦4)微粒子中に、常磁性体の単結晶微粒子として、FeCrの単結晶微粒子を5wt%添加した複合微粒子を、同様に超伝導マグネットを用いて10T(テスラ)の磁場を印加しながら成形した結果、この場合も1軸方向に配向した成形体が形成できた。(試料2)
走査型電子顕微鏡を用いて、両試料の配向性を評価した結果、試料2の配向性の方が良好であった。
次に、具体例(2)では、上述の具体例(1)における、NaxCoOy(1≦x≦2、2≦y≦4)微粒子中に添加する磁性体の単結晶微粒子として、フェリ磁性体の単結晶微粒子であるMnZnフェライト(38mol%MnO−6.4mol%ZnO−Fe)の単結晶微粒子を5wt%添加した複合微粒子を、同様に超伝導マグネットを用いて10Tの磁場を印加しながら成形した結果、この場合も1軸方向に配向した成形体が形成できた。(試料3)
走査型電子顕微鏡を用いて配向性を評価した結果、試料1と比較して試料3の配向性の方が良好であった。
また、具体例(3)では、上記具体例(2)と同様にて成形体を形成する際、超伝導マグネットの磁場強度を変化させ、同様に走査型電子顕微鏡を用いて配向性を評価した。
その結果、NaxCoOy(1≦x≦2、2≦y≦4)微粒子のみを用いた場合は、5T以上の磁場強度において、良好な配向性が確認できたのに対し、NaxCoOy(1≦x≦2、2≦y≦4)微粒子中にMnZnフェライト(38mol%MnO−6.4mol%ZnO−Fe)の単結晶微粒子を5wt%添加した複合微粒子を用いた場合には、2T以上の磁場強度において良好な配向性が確認できた。
このように、磁性体の単結晶微粒子を添加した場合には、より小さい磁場強度においても、良好な配向成形体が形成できた。
そして、具体例(4)では、上記具体例(1)において形成した成形体(試料1)と、上記具体例(2)において形成した成形体(試料3)を、920℃で12時間空気中にて焼結を行った。焼結は、高温強磁場熱処理装置を用いて、15Tの磁場を印加しながら焼結を行った。尚、磁場の印加方向は、配向成形体の磁化率の大きい方向と一致させた。
焼結後の両試料の微細組織を走査電子顕微鏡にて観察したところ、フェリ磁性体の単結晶微粒子を添加した試料(試料3)の方が、配向性が良好であった。このように、磁性体の単結晶微粒子を添加した場合には、焼結体においても、配向性が良好であった。
以上、図1〜図3を用いて説明したように、本例では、配向熱電材料が、微粒子の集合体より構成され、その微粒子がそれぞれ一定の方向に配向している配向熱電材料において、磁性体の単結晶微粒子(形状異方性有し、長径方向に磁化しやすい微粒子)を添加することにより、さらに熱電微粒子を配向しやすくさせている。すなわち、微粒子で形成された配向熱電材料中に、常磁性体の単結晶微粒子、強磁性体の単結晶微粒子、フェリ磁性体の単結晶微粒子といった磁性体の単結晶微粒子を添加することにより、磁場中にて熱電材料あるいは熱電材料成形体を形成し、必要に応じてさらに磁場中にて熱処理による緻密化を行う等により、結晶配向度が大きく優れた熱電特性を有する熱電材料を製造することができる。
詳しくは、(1)微粒子がそれぞれ一定の方向に配向している配向熱電材料の製造方法であって、熱電材料微粒子を合成する第1のステップと、この熱電材料微粒子に磁性体の単結晶微粒子を添加する第2のステップと、磁性体の単結晶微粒子を添加した熱電材料微粒子の集合体を磁場中に挿入して、磁化率の異方性を有した微粒子が、磁化率の大きい方向を、印加した磁場の方向に配向した成形体を形成する第3のステップと、形成した成形体を熱処理により緻密化を行い、強度の大きいバルク体を形成する第4のステップとを有し、第2のステップにおいて添加する磁性体の単結晶微粒子として、常磁性体の単結晶微粒子、強磁性体の単結晶微粒子、フェリ磁性体の単結晶微粒子のいずれかを用いることを特徴とする。
また、(2)第2のステップで磁性体の単結晶微粒子を添加した熱電材料微粒子を、溶媒中に分散するステップを有し、第3のステップでは、磁性体の単結晶微粒子を添加した熱電材料微粒子の分散液を磁場中に挿入して成形体を形成することを特徴とする。
あるいは、(3)第2のステップにおいて、熱電材料微粒子を溶媒中に分散して分散液とし、この分散液に、磁性体の単結晶微粒子を添加することを特徴とする。
尚、本発明は、図1〜図3を用いて説明した例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能である。例えば、図1に示した例では、熱電材料を配向成形体にした後、熱処理により緻密化する場合を説明したが、熱電材料の前駆体を同様な方法で配向成形体とし、熱処理により熱電材料を合成することも可能である。
本発明に係わる配向熱電材の製造方法の一例を示すフローチャートである。 結晶の配向性を有していない熱電材料(多結晶体)の概念を示す説明図である。 本例で製造した配向熱電材料(多結晶体)の概念を示す説明図である。
符号の説明
1:熱電材料の結晶粒、2;点線の方向が磁化率の大きい方向、3:結晶粒の磁化率の異方性はランダム。

Claims (6)

  1. 微粒子がそれぞれ一定の方向に配向している配向熱電材料の製造方法であって、
    熱電材料微粒子を合成する第1のステップと、
    該熱電材料微粒子に磁性体の単結晶微粒子を添加する第2のステップと、
    該磁性体の単結晶微粒子を添加した上記熱電材料微粒子の集合体を磁場中に挿入して、磁化率の異方性を有した微粒子が、磁化率の大きい方向を、印加した磁場の方向に配向した成形体を形成する第3のステップと、
    形成した上記成形体を熱処理により緻密化を行い、強度の大きいバルク体を形成するステップと
    を有し、上記第2のステップにおいて添加する磁性体の単結晶微粒子として、フェリ磁性体の単結晶微粒子を用い、
    さらに、上記第2のステップで磁性体の単結晶微粒子を添加した熱電材料微粒子を、溶媒中に分散するステップを有し、
    上記第3のステップでは、上記磁性体の単結晶微粒子を添加した上記熱電材料微粒子の分散液を磁場中に挿入して上記成形体を形成することを特徴とする配向熱電材料の製造方法。
  2. 請求項1に記載の配向熱電材料の製造方法であって、
    上記第2のステップにおいて、上記熱電材料微粒子を溶媒中に分散して分散液とし、該分散液に、上記磁性体の単結晶微粒子を添加することを特徴とする配向熱電材料の製造方法。
  3. 工程中に磁場を印加する工程を具備する配向熱電材料の製造方法において、用いる熱電微粒子中に、フェリ磁性体の単結晶微粒子を添加する工程を具備したことを特徴とする配向熱電材料の製造方法。
  4. 配向熱電材料が、微粒子の集合体より構成され、その微粒子がそれぞれ一定の方向に配向している配向熱電材料において、該配向熱電材料が少なくともフェリ磁性体の単結晶微粒子を含有することを特徴とする配向熱電材料。
  5. 請求項に記載の配向熱電材料において、該配向熱電材料に含有する磁性体の単結晶微粒子の短径をd、長径をaとした場合、a/d>1であることを特徴とする配向熱電材料。
  6. 請求項に記載の配向熱電材料において、磁性体の単結晶微粒子における長径方向の磁化率が、磁性体の単結晶微粒子における長径方向以外の方向の磁化率よりも大きいことを特徴とする配向熱電材料。
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