JP5124866B2 - ハイドロフォーム用電縫管及びその素材鋼板と、これらの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ハイドロフォーム加工における加工性ならびに疲労特性がいずれも優れるとともに引張強度が780MPa以上の高強度を有するために板厚の低下を図ることができることから、例えば自動車の構造部材や足廻り部材等の部品に用いるのに好適な、ハイドロフォーム用電縫管の素材鋼板と、これを用いたハイドロフォーム用電縫管と、これらの製造方法とに関する。
地球環境を保護するために、自動車の燃費の向上と炭酸ガス等の排出規制の強化とが叫ばれている。これに伴って、自動車の構成部材の高強度化及び薄肉化による車体質量の軽減が検討されており、引張強度が780MPa以上である高強度鋼板に対する需要が増加している。一方、部品の溶接フランジ箇所や部品点数そのものの低減による自動車の軽量化や製造コストの削減、さらには自動車の設計の自由度の拡大を目的として、特に複雑な形状を有する部品を、鋼管を素材とするハイドロフォーム法により成形加工する試みが行われている。
鋼管を素材とするハイドロフォーム法は、素材である鋼管に水圧と軸圧縮力とをあたえることにより金型に沿った形状を有する部品に塑性加工する加工法であり、従来のプレス成形及び溶接組立て法と比較すると、(a)複雑な形状の部品を一体成形することが可能となり、(b)加工硬化による強度上昇を図ることができ、(c)スプリングバックが小さく形状凍結性が良好であるので成形精度が良好であるといった長所がある。
ハイドロフォーム法は素材である鋼管に対して非常に厳しい加工を伴うので、ハイドロフォーム法による成形加工のメリットを十分に享受するには、この鋼管の素材として加工性が良好な鋼板を用いることが有効である。
これまでにもハイドロフォーム法に適する加工性が良好な鋼板に係る発明が、例えば、特許文献1〜3等に開示される。特許文献1〜3により開示された発明は、いずれも、ハイドロフォーム法による成形性を向上するために、加工性が良好な引張強度が490MPa以下の低強度の鋼板を素材として用いる。
近年では、軽量化を促進するためにハイドロフォーム法により成形される部品の形状がいっそう複雑化する傾向にあり、ハイドロフォーム加工性がさらに良好な鋼板が要求されている。引張強度が490MPa以下の鋼板は優れた加工性を有するので、複雑な形状の部品をハイドロフォーム法により成形することは可能である。
しかし、特許文献1〜3により開示された発明では、引張強度が490MPa以下の鋼板を用いるので、成形される部品の安全性を確保するためにその板厚を増加する必要があり、軽量化を充分に図ることはできない。
引張強度が780MPa以上の高強度鋼板、特に引張強度が980MPa以上の超高強度鋼板をハイドロフォーム加工の素材鋼板として用いて複雑な形状を有する部品を成形できれば、その分だけ板厚を低下することができるので大幅な軽量化を図ることが期待される。しかし、これらの高強度鋼板のハイドロフォーム加工性は低い。
そこで、特許文献4には、粒径10nm未満のTi−Mo系の炭化物をフェライト組織内に析出させ、さらにフェライト組織の面積率を60〜100%とした、引張強度が590〜1180MPaのハイドロフォーム加工性に優れた鋼板に係る発明が開示されている。
一般的に、低強度の鋼板を高強度鋼板に置き換えることにより部品の軽量化を図ると、部品の板厚が減少することから、外部から負荷される荷重により部品に生じる応力が増加する。このため、このような用途に供される高強度鋼板には、引張強度が高いことのみならず、疲労特性が良好であること(疲労限が高いこと)も要求される。しかし、特許文献4には疲労特性に関する記載がなく、どの程度の疲労限を得られるのか不明である。
さらに、特許文献5には、粒径10nm未満のTi−Mo系の炭化物をフェライト組織内に析出させ、さらにフェライト組織面分率を60〜100%にすることにより、ハイドロフォーム加工性のみならず疲労特性にも優れた、引張強度が590MPa以上の高強度鋼板が開示されている。
特開2000−119812号公報 特開2001−303193号公報 特開2001−303196号公報 特開2003−321747号公報 特開2003−321748号公報
特許文献5により開示された発明は、Ti−Mo系の炭化物を微細に析出させてフェライトを強化することにより疲労特性を向上するために、熱間圧延後の巻取り温度を600℃超とする。このため、この発明によると、フェライト粒が粗大化して結晶粒界によるき裂進展抑制効果が低下し、疲労特性に優れた鋼板を得られなくなるおそれがある。
本発明の目的は、ハイドロフォーム加工における加工性ならびに疲労特性に優れることから例えば自動車の構造部材や足廻り部材等に用いるのに好適な、引張強度が780MPa以上のハイドロフォーム用電縫管の素材鋼板、これを用いたハイドロフォーム用電縫管と、これらの製造方法とを提供することである。
本発明者らは上述した課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、熱間圧延後の巻取り温度を低温化することによって、フェライトを微細化するとともに、後述する(Ti、Nb、V)(C、N)の析出物を微細に析出させ、フェライトの粒内硬度を増加することによって、ハイドロフォーム加工における加工性ならびに耐疲労特性を向上させ、例えば自動車の構造部材や足廻り部材等に用いるのに好適な、引張強度が780MPa以上のハイドロフォーム用電縫管の素材鋼板を提供できることを知見し、さらに検討を重ねて、本発明を完成した。
本発明は、C:0.04%以上0.25%以下(本明細書では特にことわりがない限り組成に関する「%」は「質量%」を意味する)、Si:0.5%以下、Mn:1.0%以上3.5%以下、P:0.003%以上0.10%以下、S:0.01%以下、Ti:0.01%以上0.3%以下、Nb:0.01%以上0.1%以下、V:0.05%超0.5%以下、Al:0.001%以上0.1%以下、N:0.0004%以上0.01%以下を含有し、かつ0.1%<(Ti含有量+Nb含有量+V含有量)<0.6%を満足し、残部Fe及び不純物からなる鋼組成を有し、フェライトの面積率が30%以上であり、フェライトの平均結晶粒径が1μm以上10μm以下であり、残部が硬質第2相であり、さらに、粒径が200nm以下である(Ti、Nb、V)(C、N)の析出物が1×10〜1×1014個/mmの密度で存在する金属組織を有し、さらに、圧延直角方向の引張強度が780MPa以上であって引張強度(MPa)×伸び(%)が13000(MPa・%)以上であり、かつ、疲労耐久比が0.38以上である特性を有することを特徴とするハイドロフォーム用電縫管の素材鋼板である。
本発明において「(Ti、Nb、V)(C、N)の析出物」とは、Ti系炭窒化物、Nb系炭窒化物及びV系炭窒化物、ならびにこれらの複合析出物を意味する。また、本発明において「析出物の粒径」とは、この析出物の面積と同じ面積を有する真円の直径として求められる円相当粒径を意味する。
また、本発明は、C:0.06%以上0.25%以下、Si:0.5%以下、Mn:2.0%超3.5%以下、P:0.003%以上0.10%以下、S:0.01%以下、Ti:0.01%以上0.3%以下、Nb:0.01%以上0.1%以下、V:0.05%超0.5%以下、Al:0.001%以上0.1%以下、N:0.0004%以上0.01%以下を含有し、かつ0.2%<(Ti含有量+Nb含有量+V含有量)<0.6%を満足し、残部Fe及び不純物からなる鋼組成を有し、フェライトの面積率が30%以上であり、フェライトの平均結晶粒径が1μm以上10μm以下であり、残部が硬質第2相であり、さらに、粒径が200nm以下である(Ti、Nb、V)(C、N)の析出物が1×10〜1×1014個/mmの密度で存在する金属組織を有し、さらに、圧延直角方向の引張強度が980MPa以上であって引張強度(MPa)×伸び(%)が13000(MPa・%)以上であり、かつ、疲労耐久比が0.4以上である特性を有することを特徴とするハイドロフォーム用電縫管の素材鋼板である。
これらの本発明に係るハイドロフォーム用電縫管の素材鋼板では、鋼組成が、Feの一部に代えて、(i)Cu:1.0%以下、Ni:1.0%以下、Cr:1.0%以下、Mo:1.0%以下及びB:0.005%以下からなる群から選ばれた1種又は2種以上を有すること、及び/又は(ii)Ca:0.01%以下、Mg:0.01%以下及びREM:0.01%以下からなる群から選ばれた1種又は2種以上を有することが望ましい。
別の観点からは、本発明は、上述した本発明に係るハイドロフォーム用電縫管の素材鋼板からなり、ハイドロフォーム拡管率7%以上の特性を有することを特徴とするハイドロフォーム用電縫管である。
別の観点からは、本発明は、上述した鋼組成を有する鋼塊又は鋼片を1230℃以上に加熱して30分以上保持した後、加熱を終了してから仕上げ圧延を開始するまでの温度を1000℃以上に保ちながら、Ar点以上の仕上げ温度でかつ加熱を終了してから7分間以内に熱間圧延を終了し、ついで20℃/秒以上1000℃/秒以下の平均冷却速度で780℃以下550℃以上まで冷却し、600℃以下で巻き取ることにより、ハイドロフォーム用電縫管の素材鋼板を製造することを特徴とするハイドロフォーム用電縫管の素材鋼板の製造方法である。
さらに別の観点からは、本発明は、上述した本発明に係るハイドロフォーム用電縫管の素材鋼板を管状に成形した後に突きあわせ部を溶接することを特徴とするハイドロフォーム用電縫管の製造方法である。
本発明によれば、ハイドロフォーム加工における加工性ならびに疲労特性がいずれも優れるとともに引張強度が780MPa以上の高強度を有するために板厚の低下を図ることができることから、例えば自動車の構造部材や足廻り部材等に用いるのに好適な、ハイドロフォーム用電縫管の素材鋼板と、これを用いたハイドロフォーム用電縫管を提供することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態を、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
まず、本発明に係るハイドロフォーム用電縫管の素材鋼板の組成を説明する。
[鋼組成]
C:0.04%以上0.25%以下
Cは、Ti系、Nb系又はV系の炭窒化物による析出強化、その炭窒化物によるフェライトの微細化、さらには、フェライト以外の第2相による強度確保を図るために含有する。しかし、C含有量が、0.04%未満であると所望の780MPa以上の引張強度を確保できず、一方、0.25%を超えると溶接性が低下する。そこで、C含有量は0.04%以上0.25%以下とする。
980MPa以上の高強度を得るには、C含有量を0.06%以上0.25%以下とすることが望ましい。
Si:0.5%以下
Si含有量が増加すると、表面に生成する酸化スケールが過度になって製造上の困難を伴い、特にSi含有量が0.5%を超えると表面に生成する酸化スケールが極めて過多になる。そこで、Si含有量は0.5%以下とする。
Mn:1.0%以上3.5%以下
Mnは、焼入性を高めて強度を上昇させるのに有効な元素であり、Mn含有量が、1.0%未満であると所望の780MPa以上の引張強度を確保できず、一方、3.5%を超えると焼入性が過多となってマルテンサイトが多く生成し、ハイドロフォームの加工性の著しい低下をきたす。したがって、Mn含有量は1.0%以上3.5%以下とする。
なお、Mnを2.0%超含有することによりフェライト粒の成長を抑制して微細なフェライトを生成することができ、これにより、980MPa以上の高強度を確保しながらハイドロフォーム加工性ならびに耐疲労特性を向上することができる。このため、980MPa以上の高強度を得るには、Mn含有量を2.0%超3.5%以下とすることが望ましい。
P:0.003%以上0.10%以下
Pは、固溶強化元素であり、高強度化のために有効である。P含有量が0.003%未満ではこのような効果を得ることができず、一方、Pは、偏析し易い元素であるために、多量に含有すると加工性の低下を招き、特にP含有量が0.10%を超えると偏析が著しくなって加工性の低下が極めて大きくなる。そこで、P含有量は0.003%以上0.10%以下とする。
S:0.01%以下
Sは、ハイドロフォーム性や耐疲労特性を低下させる硫化物を生成するため、その含有量は可能な限り低いほうが望ましい。しかし、過剰な低下には相応の製鋼コストの上昇を伴うとともに、S含有量が0.01%以下であれば所望のハイドロフォーム性や疲労特性は確保される。そこで、本発明ではS含有量は0.01%以下とする。望ましくは0.005%以下である。
Ti:0.01%以上0.3%以下、Nb:0.01%以上0.1%以下、V:0.05%超0.5%以下、かつ0.1%<(Ti含有量+Nb含有量+V含有量)<0.6%
Ti、Nb、Vは、本発明において最も重要な元素である。
Ti含有量が0.3%超であり、Nb含有量が0.1%超であり、又はV含有量が0.5%超であると、各元素が有する強度上昇効果が飽和し、製造コストが嵩むだけとなる。そこで、Ti、Nb、Vそれぞれの含有量の上限は、0.3%、0.1%、0.5%以下とする。
一方、Ti含有量が0.01%未満、Nb含有量が0.01%未満、又はV含有量が0.05%以下であると、生成するTi、Nb、Vの炭窒化物の量が少なくなり過ぎ、強度上昇に殆ど寄与しない。さらに、Ti:0.01%以上0.3%以下、Nb:0.01%以上0.1%以下及びV:0.05%超0.5%以下とするとともに、さらに、Ti、Nb及びVの総含有量(Ti含有量+Nb含有量+V含有量)を0.1%超とすることにより、微細な(Ti、Nb、V)(C、N)の析出物による析出強化により780MPa以上の引張強度を確保することができるとともに、これら(Ti、Nb、V)(C、N)の析出物の析出によってフェライト結晶粒を微細化することができ、ハイドロフォーム加工性ならびに疲労特性を向上させることができる。一方、Ti、Nb及びVの総含有量(Ti含有量+Nb含有量+V含有量)が0.6%以上であると、強度上昇が飽和しコストが嵩むだけとなるので、Ti、Nb及びVの総含有量(Ti含有量+Nb含有量+V含有量)は0.6%未満とする。
引張強度を980MPa以上とする場合には、Ti、Nb及びVの総含有量を0.2%超とする。これにより、980MPa以上の強度を確保しながらフェライト粒の成長を抑制して微細なフェライトを生成することができ、ハイドロフォーム加工性ならびに疲労特性を向上させることができる。さらに、Ti、Nb及びVを上述した含有量で含有することにより析出物による溶接部のHAZ軟化が緩和されて優れた溶接性が得られ、電縫管用の素材鋼板としてより望ましい。
Al:0.001%以上0.1%以下
Alは、鋼の脱酸に有用な元素である。その効果を得るには、少なくとも0.001%含有する。一方、Al含有量が0.1%を超えると、粗大なアルミナ系介在物が増加してハイドロフォーム加工性及び疲労特性が著しく低下する。そこで、Al含有量は0.001%以上0.1%以下とする。脱酸の効果とアルミナ系介在物の抑制の観点から、0.01%以上0.08%以下であることが望ましい。
N:0.0004%以上0.01%以下
Nは、AlやTi、NbさらにはVと結合して窒化物を形成する。窒化物はハイドロフォーム加工性を劣化させる傾向を有するため、できるだけ低減することが望ましい。N含有量が0.01%以下であればハイドロフォーム加工性に悪影響を及ぼさない。そこで、N含有量の上限は0.01%とする。N含有量の下限は、Nの低減に要するコストとハイドロフォーム加工性の程度との兼ね合いから0.0004%以上とする。製造コストの観点から下限は0.006%以上とすることが好ましい。
また、本発明に係るハイドロフォーム用電縫管の素材鋼板は、以下に大別する二つの元素群を任意添加元素として含有してもよい。
Cu:1.0%以下、Ni:1.0%以下、Cr:1.0%以下、Mo:1.0%以下及びB:0.005%以下からなる群から選ばれた1種又は2種以上
Cu、Ni、Cr、Mo、Bは、いずれも、固溶強化により強度を一層高める作用を有する。Cu:1.0%超、Ni:1.0%超、Cr1.0%超、Mo:1.0%超、又はB:0.005%超含有すると、延性が低下してハイドロフォーム加工性が劣化する。そこで、それぞれの含有量の上限をCuでは1.0%とし、Niでは1.0%とし、Crでは1.0%とし、Moでは1.0%とし、さらにBでは0.005%とする。
また、固溶強化を確実に得るためには、Cu:0.1%以上、Ni:0.1%以上、Cr:0.1%以上、Mo:0.1%以上、又はB:0.0002%以上含有することが好ましい。
Ca:0.01%以下、Mg:0.01%以下及びREM(希土類元素):0.01%以下からなる群から選ばれた1種又は2種以上
ハイドロフォーム加工性ならびに耐疲労特性の向上を目的として、Ca:0.01%以下、Mg:0.01%以下、希土類元素:0.01%以下のいずれか1種以上を含有してもよい。Ca、Mg及び希土類元素は、それぞれを単独で含有してもよいし、又は2種以上を複合して含有してもよい。ここで、希土類元素とは、Sc、Y及びランタノイドの合計17元素を指し、ランタノイドの場合、工業的にはミッシュメタルの形で添加する。なお、本発明では、希土類元素の含有量とはこれらの元素の合計含有量を意味する。
Ca、Mg及び希土類元素は、いずれも、酸化物や硫化物を微細に球状化し、ハイドロフォーム加工性や疲労特性を向上させる効果を有する。しかし、各元素の含有量が、それぞれ0.01%を超えると、鋼中に酸化物や硫化物が多量に存在し、ハイドロフォーム加工性や疲労特性が劣化する。そこで、Ca:0.01%以下、Mg:0.01%以下、希土類元素:0.01%以下とする。
酸化物や硫化物の微細に球状化する効果を確実に得るには、Ca、Mg、希土類元素はいずれも0.0002%以上含有することが好ましい。
上記以外はFe及び不純物である。
本発明に係るハイドロフォーム用電縫管の素材鋼板は、以上の鋼組成を有する。
[金属組織]
次に、本発明に係るハイドロフォーム用電縫管の素材鋼板の金属組織を説明する。
圧延直角方向の引張り強度が780MPa以上で引張強度(TS)(MPa)×伸び(El)(%)が13000(MPa・%)以上を満たし、優れたハイドロフォーム加工性と疲労特性を得るには、フェライトの面積率が30%以上であり、フェライトの平均結晶粒径が1μm以上10μm以下であり、さらに、残部が硬質第2相である。
フェライトの面積率が30%未満であると、伸びが少なくなってハイドロフォーム加工性が著しく劣化する。ハイドロフォーム加工性に必要な伸びを保つためのフェライト粒が少ないからである。したがって、フェライトの面積率を30%以上とする。フェライトの面積率を30%以上とすることにより、圧延直角方向の引張強度が780MPa以上であって引張強度(TS)(MPa)×伸び(El)(%)が13000(MPa・%)以上を確保することができる。
フェライトの面積率の上限は特に規定しない。フェライト単相組織でも構わない。ここで、フェライトとはベイニティックフェライトを含む。
また、ハイドロフォーム加工性と疲労特性を向上させるため、フェライトの平均結晶粒径は1μm以上10μm以下である。フェライトの平均結晶粒径が1μm未満であると、降伏点が上昇して伸びが劣化するため、ハイドロフォーム加工性が悪化する。一方、フェライトの平均結晶粒径が10μm超であると、結晶粒界によるき裂進展抑制効果が少なくなるため、疲労特性が劣化する。そこで、フェライトの面積率が30%以上であり、かつフェライトの平均結晶粒径が1μm以上10μm以下である金属組織とする。
フェライト以外の残部である硬質第2相とは、パーライト組織、ベイナイト組織、マルテンサイト組織さらにはセメンタイト相等の、上記定義したフェライト以外の組織や相を意味する。
さらに、本発明に係るハイドロフォーム用電縫管の素材鋼板の金属組織には、粒径が200nm以下である(Ti、Nb、V)(C、N)の析出物が1×10〜1×1014個/mmの密度で存在する。
本発明に係るハイドロフォーム用電縫管の素材鋼板は、Ti、Nb、Vの析出強化により、強度を確保しつつ優れたハイドロフォーム加工性及び疲労特性を有する鋼板である。
強化に寄与する析出物は、Ti系炭窒化物、Nb系炭窒化物、V系炭窒化物である。この析出物の粒径、つまりこの析出物の面積と同じ面積を有する真円の直径として求められる円相当粒径は、200nm以下である。粒径が200nm超であると粒径が大き過ぎるために強化に殆ど寄与しない。
Ti系炭窒化物、Nb系炭窒化物、V系炭窒化物は、上述したように、それぞれ複合して生成しても強度上昇の効果を奏する。
さらに、これらの析出物の密度を1×10個/mm以上1×1014個/mm以下とすることにより、これらの析出物による析出強化を効果的に得ることができる。密度が1×10個/mm未満であると、フェライト粒が軟らかいために疲労特性が劣化し、疲労耐久比も0.38以上を確保できない。一方、密度が1×1014個/mm超であると、フェライト粒が硬くなり過ぎて伸びが低下し、ハイドロフォーム加工性が悪化する。
これら析出物の生成により溶接部のHAZ軟化も起こり難くなる。そのため、本発明に係るハイドロフォーム用電縫管の素材鋼板は、電縫管とされた後にハイドロフォーム成形に供される鋼板として、好適である。
本発明に係るハイドロフォーム用電縫管の素材鋼板は、以上の金属組織を有する。
[特性]
本発明に係るハイドロフォーム用電縫管の素材鋼板は、上述した鋼組成及び金属組織を有するので、引張強度780MPa以上、引張強度(MPa)×伸び(El)(%)が13000(MPa・%)以上、かつ疲労耐久比を0.38以上の特性を有する。
これにより、ハイドロフォーム加工により製造される部品の高強度化、それによる薄肉化、軽量化を図ることができる。引張強度が780MPa未満であると軽量化の効果が少ない。また、引張強度(MPa)×伸び(El)(%)が13000(MPa・%)未満であると、強度に対する伸びが少なくハイドロフォーム加工性が劣化する。
なお、伸び(El)(%)は13%以上であることが望ましい。
さらに、疲労限/引張強度として求められる疲労耐久比が0.38未満であると、部品として要求される十分な疲労耐久比を満足しない。さらに、引張強度が980MPa以上である場合には、さらに軽量化による板厚減少が進むため、0.40以上の疲労耐久比を要する。
本発明に係るハイドロフォーム用電縫管の素材鋼板は、以上の鋼組成、金属組織及び特性を有する。次に、この素材鋼板の製造方法を説明する。
はじめに、上述した鋼組成を有する鋼塊又は鋼片であるスラブを1230℃以上に加熱して30分以上保持する。なお、以降の説明ではスラブを用いる場合を例にとる。
スラブの加熱温度が1230℃未満であると、スラブの製造時に析出又は晶出した粗大な(Ti、Nb、V)(C、N)が再固溶せず、フェライト粒径の成長を抑制する微細な(Ti、Nb、V)(C、N)の析出物の量が激減してしまい、フェライトの平均粒径が10μmを超えてしまう。また析出強化の寄与も激減し、ハイドロフォーム加工性ならびに疲労特性が劣化する。また、30分未満の加熱でもスラブ製造時に析出した粗大な(Ti、Nb、V)(C、N)の再固溶が少なく、同様の問題が生じる。
次に、スラブの加熱を終了してから仕上げ圧延を開始するまでにおける温度を1000℃以上に保ちながら、Ar点以上の仕上げ温度でかつスラブの加熱を終了してから7分間以内に熱間圧延を終了する。
熱間圧延は、スラブの加熱を終了してから仕上げ圧延を開始する直前までの温度を1000℃以上に保ちながら、仕上げ圧延温度、詳しくは仕上圧延完了温度をAr点以上とし、かつスラブの加熱後から7分間以内に熱間圧延を完了する。仕上げ圧延を開始する直前までの温度、及び仕上圧延温度は、いずれも、放射温度計により測定したスラブ、粗バー、鋼板の表面の測定温度を意味する。
スラブの加熱を終了してから仕上げ圧延を開始する直前までの温度が1000℃未満に低下すると、スラブの加熱により再固溶した(Ti、Nb、V)(C、N)が再度粗大な(Ti、Nb、V)(C、N)として析出し、フェライトの微細化に寄与しなくなる。また、スラブの加熱を終了してから7分間以内に熱間圧延を完了しないと、再固溶した(Ti、Nb、V)(C、N)が再度粗大な(Ti、Nb、V)(C、N)として析出して同様の問題を生じる。
また、仕上げ圧延温度がAr点未満であると、オーステナイト及びフェライトの2相域での圧延となり、フェライトが異常粒成長し、このためにフェライトの平均粒径を10μm以下とすることができない。最悪の場合には、圧延を制御できなくなって、破断等の操業トラブルを発生する。
このようにして熱間圧延を終了した後、20℃/秒以上1000℃/秒以下の一次冷却速度で780℃以下550℃以上の一次冷却停止温度まで冷却する。
熱間圧延後の冷却が20℃/秒未満であるか、あるいは1次冷却停止温度が780℃を超えると、冷却速度が遅すぎること、又は1次冷却停止温度が高すぎることに起因して、生成物が粒成長し、粒径が200nm以下である微細な(Ti、Nb、V)(C、N)の析出物の密度が1×10個/mmを下回ってしまう。
一方、1次冷却速度が1000℃/秒を超えると、冷却速度が速すぎるために粒径200nm以下の微細な(Ti,Nb,V)(C,N)の析出物の密度が1×1014個/mmを超えてしまう。また、フェライトの粒径が1μm未満となり、降伏点が増加し伸びが劣化してしまう。
また、1次冷却停止温度が550℃未満であると、フェライトの生成が不足し、フェライト面積率が30%を下回ってしまう。
このようにして、一次冷却を終了した後は、放冷してから600℃以下の巻取り温度で巻き取るか、あるいは、2次冷却を行ってから600℃以下の巻取り温度で巻き取る。
巻取り温度が600℃を超えると、析出物が粒成長し、粒径が200nm以下である微細な(Ti、Nb、V)(C、N)の析出物の密度が1×10個/mm未満になってしまう。それにより、析出強化により強度を確保することができず、さらに、フェライトが粒成長してその平均粒径10μmを超えてしまい、疲労強度も劣化する。
2次冷却は、巻き取り温度が600℃以下になるように1次冷却の停止温度、またはその後の放冷後の温度に対し、必要に応じて行えばよい。2次冷却の冷却速度は、特に規定しないが、設備上、又は巻き取り温度の制御性の観点から500℃/秒以下の冷却速度で行うのが好ましい。
このようにして、本発明に係るハイドロフォーム用電縫管の素材鋼板が製造される。そして、この素材鋼板を、周知慣用の手段により管状に丸めて成形した後に突きあわせ部を溶接することにより、本発明に係るハイドロフォーム用電縫管が製造される。
すなわち、本発明に係るハイドロフォーム用電縫管は、圧延直角方向の引張強度が780MPa以上であって引張強度(MPa)×引張伸び(%)が13000(MPa・%)以上であり、かつ、疲労耐久比が0.38以上である特性を有する上述した本発明に係るハイドロフォーム用電縫管の素材鋼板からなっているので、後述するハイドロフォーム成形試験機1を用いて求める拡管率(%、ただし{(バースト後の周長−素管の周長)/素管の周長}×100)に換算して7%以上という、優れたハイドロフォーム加工性を得られる。
このようにして、ハイドロフォーム加工における加工性ならびに疲労特性に優れることから例えば自動車の構造部材や足廻り部材等に用いるのに好適な、引張強度が780MPa以上のハイドロフォーム用電縫管の素材鋼板、これを用いたハイドロフォーム用電縫管と、これらの製造方法とを提供することができる。
本発明を、実施例を参照しながらさらに具体的に説明する。
表1に示す鋼組成(表1に示す以外の残部はFe及び不純物)を有する鋼種A〜Mを溶製してスラブとした。
Figure 0005124866
このスラブを、表2に示す「加熱温度(℃)」及び「加熱時間(分)」で加熱保持し、スラブ加熱を終了してから仕上げ圧延を開始するまでにおける温度を表2の「熱間圧延の仕上げ圧延開始前温度(℃)」に保ちながら、表2の「熱間圧延の仕上げ圧延完了(℃)」の仕上げ温度で、かつスラブ加熱を終了してから表2の「加熱炉抽出から圧延完了までの時間(分)」以内の時間で熱間圧延を終了し、ついで表2の「1次冷却の冷却速度(℃/sec)」の冷却速度で表2の「1次冷却停止温度(℃)」まで冷却し、その後放冷するか、又は表2の「2次冷却の冷却速度(℃/sec)」で2次冷却を行い、そして表2の「熱間圧延後の巻取り温度(℃)」で巻き取ることにより、板厚が2.0mmであるとともに板幅が300mmであるハイドロフォーム用電縫管の素材鋼板としての熱延鋼板を製造した。
Figure 0005124866
その後、この熱延鋼板を酸洗し、圧延方向と垂直に片側約50mmのスリット加工を行った。その後、この熱延鋼板を管状に丸め、突きあわせ部の端面を突合せ電気抵抗溶接にて溶接することにより、鋼管の肉厚が2.0mmであり、外径Dが60.5mmであるとともに長さが847mmであるハイドロフォーム用電縫管に係る供試材No.1〜26を得た。
なお、スラブの鋳造ならびに熱間圧延、酸洗及び造管は、いずれも、試験用装置を用いて行った。
得られた供試材No.1〜26のハイドロフォーム用電縫管にハイドロフォーム成形を行った。
図1(a)は、ハイドロフォーム成形試験機1を模式的に示す説明図であり、図1(b)は、ハイドロフォーム用電縫管5にバースト部6が生じた状況を模式的に示す説明図である。
図1(a)に示すように、ハイドロフォーム成形は、供試材No.1〜26のハイドロフォーム用電縫管5をハイドロフォーム成形試験機1の上金型2及び下金型3の間に配置し、ハイドロフォーム用電縫管5の管端を封止した状態でハイドロフォーム用電縫管5の内部に水で内圧を負荷して、ハイドロフォーム用電縫管5を上下の金型2、3により形成された空間4内でハイドロフォーム拡管率内に膨出変形させ、そして,図1(b)に示すように、ハイドロフォーム用電縫管5にバースト部6を生じるまで加工を行い、バースト部6を含む拡管部7の周長を測定した。ハイドロフォーム成形は室温で行い、軸押し無し(軸圧縮無し)で行った。
そして、以下に説明する要領で、供試材No.1〜26のハイドロフォーム用電縫管5についてハイドロフォーム加工性を把握するとともに、その素材である鋼板の組織と析出物の調査、引張り試験及び平面曲げ疲労試験を行った。
<ハイドロフォーム加工性>
ハイドロフォーム加工性は、そのバースト後の周長と素管の周長から拡管率((%)、ただし{(バースト後の周長−素管の周長)/素管の周長}×100)を算出し、この拡管率(%)によりハイドロフォーム加工性を評価した。
<組織と析出物調査>
供試材No.1〜26のハイドロフォーム用電縫管5の素材鋼板について、走査型電子顕微鏡を用いて各組織の面積率を求めた。
これらの素材鋼板の断面の板厚に対する(1/4)t部について、倍率2000倍で30視野を調査し、画像処理により各組織の面積率を求めた。フェライトの平均粒径は、画像解析により個々のフェライトの面積をもとめ、その面積から円相当に換算することにより求めた。
また、析出物の測定は、透過型電子顕微鏡を用いて測定した。これらの素材鋼板の断面の板厚に対する(1/4)t部について100000〜5000000倍の倍率で30視野を調査した。画像解析により析出物の面積を求め、それを真円と仮定してその面積から円相当直径を、析出物の粒径として求めた。そして、粒径200nm以下の析出物の密度及び成分同定分析を行った。成分同定分析は、任意の50個を選定して調査した。その結果、いずれも、(Ti、Nb、V)(C、N)であった。
<引張り試験>
これらの素材鋼板から、JIS Z 2201に規定される5号引張試験片を切り出して引張試験を行った。そして、降伏点YP、引張強度TS及び伸びElを測定した。採取方向は圧延直角方向とした。
さらに、供試材No.1〜26のハイドロフォーム用電縫管5の機械特性は、管軸方向からJIS Z 2201に規定される12号B引張り試験片を採取して引張強度を測定した。
<平面曲げ疲労試験>
各素材鋼板からJIS Z 2275に規定される形状で、長さ90mm、巾40mmの試験片を採取した。試験方法は、JIS Z 2275に準じた。両振り平面曲げ疲労(応力比:−1)を行い、10回の繰り返し回数により破断しない応力振幅値を疲労限界とし、耐久比=10回で破断した応力振幅値/引張強度により疲労耐久比を求めた。
表3に素材鋼板の調査結果を示し、表4にハイドロフォーム用電縫管の調査結果を示した。
Figure 0005124866
Figure 0005124866
本発明例である供試材No.1〜15は、いずれも、780MPa以上の引張強度を有し、引張強度(MPa)×伸び(El)(%)が13000(MPa・%)以上であるとともに、疲労耐久比が0.38以上である。
その中でも供試材No.7〜15は、980MPa以上の引張強度を有し、引張強度(MPa)×引張伸び(El)(%)が13000(MPa・%)以上であるとともに、疲労耐久比が0.4以上を満たす。
さらに、供試材No.1〜15は、いずれも、電縫管でのハイドロフォーム拡管率が10.5%以上であり、ハイドロフォーム加工性にも優れる。
これに対し、比較例である供試材No.16は、スラブ加熱温度が1220℃と低かったため、フェライトの平均結晶粒径が12μmと本発明の範囲外となり、疲労耐久比が0.35となり疲労特性が不芳である。
比較例である供試材No.17は、スラブ加熱時間が20分と短かったため、フェライトの平均結晶粒径が13μmと本発明の範囲外となり、疲労耐久比が0.37となり疲労特性が不芳である。
比較例である供試材No.18は、熱間圧延の仕上げ圧延開始前温度が980℃と低かったため、フェライトの平均結晶粒径が12μmと本発明の範囲外となり、疲労耐久比が0.35となり疲労特性が不芳である。
比較例である供試材No.19は、熱間圧延の仕上げ圧延温度が760℃と、Ar点を下回った。そのため、フェライトが異常粒成長し、フェライトの平均粒径が15μmと本発明の範囲外となり、疲労耐久比が0.36となり疲労特性が不芳である。
比較例である供試材No.20は、加熱炉抽出から圧延完了までの時間(分)が8分と長かった。そのため、フェライトの平均結晶粒径が11μmと本発明の範囲外となり、疲労耐久比が0.36となり疲労特性が不芳である。
比較例である供試材No.21は、仕上げ圧延完了後の1次冷却速度が10℃/secと冷却速度が遅かった。そのため、粒径が200nm以下の微細な(Ti、Nb、V)(C、N)の析出物の密度が7.5×10個/mmと少なく、そのため、疲労耐久比が0.37となり疲労特性が不芳である。
比較例である供試材No.22は、仕上げ圧延完了後の1次冷却速度が1200℃/secと冷却速度が速かった。そのため、粒径が200nm以下の微細な(Ti、Nb、V)(C、N)の析出物の密度が1.2×1014個/mmと多かった。そのため、伸びが劣化し、TS×Elが10978(MPa・%)と低い値になった。したがって、ハイドロフォーム拡管率が5.0%となりハイドロフォーム加工性が不芳である。
比較例である供試材No.23は、仕上げ圧延完了後の1次冷却停止温度が800℃と温度が高かった。そのため、粒径が200nm以下の微細な(Ti、Nb、V)(C、N)の析出物の密度が6.2×10個/mmと少なかった。そのため、疲労耐久比が0.36となり疲労特性が不芳である。
比較例である供試材No.24は、仕上げ圧延完了後の1次冷却停止温度が540℃と温度が低かった。そのため、フェライト面積率が26%と少なかった。したがって、伸びが劣化し、TS×Elが8104(MPa×%)と低い値になった。したがって、ハイドロフォーム拡管率も6.2%となりハイドロフォーム加工性が不芳である。
比較例である供試材No.25は、熱間圧延後の巻取り温度が620℃と温度が高かった。そのため、粒径が200nm以下の微細な(Ti、Nb、V)(C、N)の析出物の密度が5.8×10個/mmと少なかった。また、フェライト粒も粗大化し、フェライトの平均結晶粒径が14μmとなった。そのため、疲労耐久比が0.29となり疲労特性が不芳である。さらに、引張強度も770MPaと所望の強度が得られなかった。
さらに、比較例である供試材No.26は、(Ti含有量+Nb含有量+V含有量)が0.08%と本発明の範囲外であった。このため析出強化元素が少ないため、フェライトの平均粒径が12μm、粒径が200nm以下の微細な(Ti、Nb、V)(C、N)の析出物の密度が3.1×10個/mmと少なかった。そのため、疲労耐久比が0.32となり疲労特性が不芳である。
図1(a)は、ハイドロフォーム成形試験機1を模式的に示す説明図であり、図1(b)は、ハイドロフォーム用電縫管5にバースト部6が生じた状況を模式的に示す説明図である。
符号の説明
1 ハイドロフォーム成形試験機
2 上金型
3 下金型
4 空間
5 ハイドロフォーム用電縫管
6 バースト部
7 拡管部

Claims (7)

  1. 質量%で、C:0.04〜0.25%、Si:0.5%以下、Mn:1.0〜3.5%、P:0.003〜0.10%、S:0.01%以下、Ti:0.01〜0.3%、Nb:0.01〜0.1%、V:0.05%超0.5%以下、Al:0.001〜0.1%、N:0.0004〜0.01%を含有し、かつ0.1%<(Ti含有量+Nb含有量+V含有量)<0.6%を満足し、残部Fe及び不純物からなる鋼組成を有し、
    フェライトの面積率が30%以上であり、フェライトの平均結晶粒径が1〜10μmであり、残部が硬質第2相であり、さらに、粒径が200nm以下である(Ti、Nb、V)(C、N)の析出物が1×10〜1×1014個/mmの密度で存在する金属組織を有し、さらに、
    圧延直角方向の引張強度が780MPa以上であって引張強度(MPa)×伸び(%)が13000(MPa・%)以上であり、かつ、疲労限/引張強度として求められる疲労耐久比が0.38以上である特性を有することを特徴とするハイドロフォーム用電縫管の素材鋼板。
  2. 質量%で、C:0.06〜0.25%、Si:0.5%以下、Mn:2.0%超3.5%以下、P:0.003〜0.10%、S:0.01%以下、Ti:0.01〜0.3%、Nb:0.01〜0.1%、V:0.05%超0.5%以下、Al:0.001〜0.1%、N:0.0004〜0.01%を含有し、かつ0.2%<(Ti含有量+Nb含有量+V含有量)<0.6%を満足し、残部Fe及び不純物からなる鋼組成を有し、
    フェライトの面積率が30%以上であり、フェライトの平均結晶粒径が1〜10μmであり、残部が硬質第2相であり、さらに、粒径が200nm以下である(Ti、Nb、V)(C、N)の析出物が1×10〜1×1014個/mmの密度で存在する金属組織を有し、さらに、
    圧延直角方向の引張強度が980MPa以上であって引張強度(MPa)×伸び(%)が13000(MPa・%)以上であり、かつ、疲労限/引張強度として求められる疲労耐久比が0.4以上である特性を有することを特徴とするハイドロフォーム用電縫管の素材鋼板。
  3. 前記鋼組成は、前記Feの一部に代えて、質量%で、Cu:1.0%以下、Ni:1.0%以下、Cr:1.0%以下、Mo:1.0%以下及びB:0.005%以下からなる群から選ばれた1種又は2種以上を有する請求項1又は請求項2に記載されたハイドロフォーム用電縫管の素材鋼板。
  4. 前記鋼組成は、前記Feの一部に代えて、質量%で、Ca:0.01%以下、Mg:0.01%以下及びREM:0.01%以下からなる群から選ばれた1種又は2種以上を有する請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載されたハイドロフォーム用電縫管の素材鋼板。
  5. 請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載された素材鋼板からなり、ハイドロフォーム拡管率7%以上の特性を有することを特徴とするハイドロフォーム用電縫管。
  6. 請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載された鋼組成を有する鋼塊又は鋼片を1230℃以上に加熱して30分以上保持した後、加熱を終了してから仕上げ圧延を開始するまでの温度を1000℃以上に保ちながら、Ar点以上の仕上げ温度でかつ加熱を終了してから7分間以内に熱間圧延を終了し、ついで20〜1000℃/秒の平均冷却速度で780〜550℃まで冷却し、600℃以下で巻き取ることにより、ハイドロフォーム用電縫管の素材鋼板を製造することを特徴とするハイドロフォーム用電縫管の素材鋼板の製造方法。
  7. 請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載されたハイドロフォーム用電縫管の素材鋼板を管状に成形した後に突きあわせ部を溶接することを特徴とするハイドロフォーム用電縫管の製造方法。
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