JP5117079B2 - 車両試験装置 - Google Patents

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Description

本発明は自動車等の車両の定地走行試験を行なうための車両走行試験装置に関する。
従来、車検などにおいて、車両のスピードメータテスト或いは制動力テスト等を行なう車両走行試験装置として、前輪を支持するための固定式ローラ装置と後輪を支持するための移動式ローラ装置とからなり、該移動式ローラ装置を前記車両の車軸間距離に合わせて移動させるようにした車両用試験機のホイールベース位置決め装置が知られている(例えば特許文献1参照。)。
しかし、この従来の車両走行試験装置の前後のローラ装置は、一方のローラ装置を固定し、他方のローラ装置をその車両の車軸間距離に合わせて移動させているので、移動式ローラ装置の移動駆動機構や、固定式ローラ装置と移動式ローラ装置との間の距離を制御するための制御装置等が必要となり、装置が複雑で高価となる問題があった。
そこで、前記移動式ローラ装置の代りに、前後の大径ローラと該大径ローラの間に回転可能に並列する小径ローラと、前記前後の大径ローラ間に巻掛けた周回ベルトとからなる車輪支持装置を設けて、車両の車軸間の距離が異なっても該周回ベルトを有する車輪支持装置と前記固定式ローラ装置とによって試験車両の前輪及び後輪を支持するようにした例がある(例えば特許文献2参照。)。
特開2001−264218号公報 特開2004−309291号公報
前記特許文献2の発明の車輪支持装置及びその車輪支持システムは、前記2本の大径ローラの内の一方のローラに駆動用モータやワンウェイクラッチ、トルク検出器、速度センサなどを接続しており、検査車両の車輪を周回ベルト上に載せて、ローラの駆動用モータに発生する反力やローラ軸に発生する捩りトルクにより該車輪の制動力の測定を行なうようにしていた。
しかし、この測定時に、前記周回ベルトの上面に波動状の振動(脈動)を生じ、このため前記捩りトルク値にも脈動を生じて、正しい測定を行なうことができないという問題があった。
これは前記周回ベルトの曲がり癖や加工部品の不均一性等が原因と見られ、周回ベルトの脈動を完全に防止することは困難であった。
本発明は前記の問題点を解消し、周回ベルトに多少の脈動が発生しても正確に車輪の制動力の測定が行なえるような車両試験装置を提供することを目的とする。
本発明は上記の目的を達成すべく、ベース体と、該ベース体上に前後方向に移動自在に設け前後にローラを軸支した支持体と、これら前後のローラ間に張設し車両の前輪又は後輪を載せるベルトと、前記ベース体と前記支持体との間を連結して設け該支持体に作用する力を検出する検出手段とからなり、前記前後のローラのうちの一方のローラに回転駆動手段を連結し、前記検出手段は、前記ベルトの上面部に車両の前輪又は後輪を載置して前記ベルトを周回駆動させ該車両の車輪に制動力を掛けた時に生ずる車輪の前記ベルトとの間の反力を検出し、前記支持体が前記ベース体上を移動しないように固定するために係脱可能な支持体固定手段を該ベース体に設けた。
本発明の効果として、車両の前軸と後軸の各一対の車輪を載置する前後の車輪支持装置を備えた車両走行試験装置において、前後いずれか一方の車輪支持装置に本発明の車両試験装置一対を配設することによって、車軸間距離の異なる車両に対しても車両支持装置を移動させることなく試験を行なうことができ、又、車輪の制動力試験において前記車両試験装置の制動力の検出を前記周回ベルトの駆動部ではなく、前記支持体全体の動きで検出するようにしたので、周回ベルトに回転負荷変動が生じても正確に制動力の測定ができる車両試験装置を提供できる。
本発明を実施するための最良の形態の実施例を以下に示す。
本発明の実施例1を図1乃至図3により説明する。
図1は車両整備工場等の床面Fに設置されている車両走行試験装置の平面図を示し、該車両走行試験装置は、被試験車両(以下車両と称する)の一対の前輪(又は後輪)を支持するための第1車輪支持部Aと、前記車両の一対の後輪(又は前輪)を支持するための第2車輪支持部Bとからなる。
前記第1車輪支持部Aは、前後のローラ11b、11bの間に車両の車輪を昇降させるための中間リフト11cを備えた第1車輪支持装置11一対を左右に配置して形成されている。
尚、11aは該第1車輪支持装置11において車両の制動力及び速度を計測するための従来型の制御・表示装置である。
前記第2車輪支持部Bは、本発明の車両試験装置1一対を左右に配置して形成されている。1aは該車両試験装置1の周回ベルト3c(後述)を駆動するための減速機付きモータであり、又、1bは車両の車輪の制動力や速度等の計測するための制御・表示装置である。
前記車両試験装置1の側面図を図2に、又、その平面図を図3に示した(一部を截断して示す。)。
車両試験装置1は床面Fに設けたピットP内に設置されている。
即ち車両試験装置1は、前記ピットP内に設置したベース体2と、該ベース体2の上を前後方向に移動自在に載置した支持体3とを有している。
前記支持体3は上部の前後に大径ローラ3a、3bを軸支すると共に、これら前後のローラ間にベルト(周回ベルト)3cを張設しており、更に該周回ベルト3cの上側に位置する部分を複数の補助ローラ3dで支持するようにしている。
尚、3eは前記大径ローラ3bの軸受部であり、又、前記減速機付きモータ1aは大径ローラ3aを介して周回ベルト3cを駆動している。
3fは支持体3を支承する車輪又はコロで、該コロ3fは前記ベース体2の上面を前後方向に転動自在に形成されている。
3gは前記ベース体2と前記支持体3との間に介在する力の検出手段のロードセルで、該ロードセル3gは前記ベース体2の端部の上方に突出する突出部2aと前記支持体3の端部とを連結するように設置されている。
次に本実施例の作動及び効果について説明する。
試験車両の一対の前輪(又は後輪)を第1車輪支持部Aに設けた一対の第1車輪支持装置11の各中心部分に載置し、該車両の一対の後輪(又は前輪)を第2車輪支持部Bに設けた一対の車両試験装置1の各周回ベルト3c上に載置する。
そして減速機付きモータ1aで大径ローラ3aを駆動し、周回ベルト3cが前記後輪の回転する方向、またはその逆方向に動くようにする。
車両のブレーキを踏んだとき、車両の測定していない車輪(前輪)が第1車輪装置11に乗っていることで、測定車輪の制動力は対地反力となって前記支持体3に車輪の回転する方向または逆方向に向かわせる力を発生させる。
この力を前記検出手段のロードセル3gで検出してその検出信号を前記制御・表示装置1bに送り、該制御・表示装置1bにおいて信号変換して表示部に制動力を表示する。
このように本発明の車両試験装置1は、ベルト3cが前記対地反力に応じて前後方向に移動が許容されるので、従来のローラ軸にトルク検出器を設けた試験装置の如く周回ベルト3cに発生し易い脈動を無視して支持体3に生ずる反力のみを検出するので、正確な制動力測定を行なうことができると共に、前後の車軸間距離が異なる車両の計測にも車両試験装置1の位置を動かすことなく対応することができる。
尚、車両の計測しようとする車輪を本発明の車両試験装置1の周回ベルト3c上に載置し、その他の車輪は床面F上に載置するようにしてもよい。又、図2及び図3には検出手段のロードセル3gをベース体2の後端部と支持体3の後端部との間に設置した例を示したが、これはベース体2の前端部と支持体3の前端部との間にロードセル3gを設置するようにしてもよい。
本発明の実施例2を図4及び図5により説明する。
図4は一対の車両試験装置1´、1´を左右に配置した本実施例の第2車輪支持部B´の平面図を示し、左右の前部ローラ3aは各々減速機とワンウェイクラッチ付きモータ1aによって回転駆動されると共に、ベルト3cを駆動する。
左右の車両試験装置1´の後部ローラ3b、3bは、電磁クラッチ4a及びユニバーサルジョイント4bを介して互いに接離可能に連結している。
尚、左右の車両試験装置1´、1´には試験車両の左右の車輪をそれぞれ載置して制動力テスト等を行なうが、該試験車両の左右の車輪に制動力の差があるときは、左右の車両試験装置1´、1´における支持体3の前後の移動量に差を生じる。このため前記ユニバーサルジョイント4bは、取付け角度と共にその長さも可変の構造として、左右の後部ローラ3bの移動量の差に対処するようにしている。
4cは回転検出器(タコメータ)で、前記後部ローラ3bの一端部に接続されている。
次に本実施例の作用及び効果について説明する。
試験車両のスピードメータテストを行なうときは、前記電磁クラッチ4aを接続状態として試験を行なう。
然る時は左右の後部ローラ3b、3bが等速度で回転するため、試験車両の左右の後輪も等速度で回転することとなる。
そこで、該後輪を駆動回転させると前記モータ1aに付属のワンウェイクラッチが解除状態となって後部ローラ3b、3bが該後輪の回転に追従して回転可能になり、かくて該後輪の回転速度を前記回転検出器4cで検出してその検出信号を前記制御・表示装置1bに送り、該制御・表示装置1bにおいて信号変換して表示部にスピードの値を表示する。そして、該スピードの値と試験車両のスピードメータの指示値を比較して該スピードメータの良否を判定することができる。
又、試験車両の制動力テストを行なうときは、前記電磁クラッチ4aを断絶状態として試験を行なう。このときは前記各モータ1aの回転駆動するとワンウェイクラッチが連結状態となって後部ローラ3b、3bをそれぞれ回転駆動し、試験車両の左右の後輪の制動力を別々に計測することができる。
尚、本実施例では電磁クラッチ及びユニバーサルジョイントを左右の後部ローラ3b、3b間に介在させたが、これは後部ローラの代りに左右の前部ローラ3a、3a間に介在させてもよく、又は図5に示すように、左右の前部のローラ3a、3a間に介在する1個のワンウェイクラッチ5aと、該ワンウェイクラッチ5aの両側部のユニバーサルジョイント5b、5cとで前記左右の前部ローラ3a、3aを同期回転させるようにしてもよい。
尚、図5において、5dは左右の前部ローラ3a、3aを駆動するための減速機付きモータであり、又、5eは該減速機付きモータ5dと前記ワンウェイクラッチ5a間を回転連結する駆動用のチェーン又はベルトである。
本発明の実施例3を図6及び図7により説明する。
図6は一対の車両試験装置1´´、1´´を左右に配置した本実施例の第2車両支持部B´´の平面図を示す。
6は支持体固定手段で、該支持体固定手段6は円錐形の頭部6aと根部のピストン式のアクチュエータ6bとからなる。
支持体3´はベース体2上に前後方向へ移動自在に設けられており、前記支持体固定手段6は該支持体3´がベース体2上を移動しないように固定するための装置である。
即ち前記支持体固定手段6は根部のアクチュエータ6bでベース体2に固定されており、頭部6aを進退させて円錐形の頭部6aの先端部を支持体3´の側面部に設けた嵌合穴3hに係合させて該支持体3´の動きを拘束することができる。
図7に前記車両試験装置1´´の側面図を示す。尚、前記支持体固定手段6は前記支持体3´の片側面部にだけ嵌合させるように設けてもよく、又は支持体3´の両側にそれぞれ支持体固定手段6を設けて、支持体3´の両側から頭部6aを突出させて支持体3´を固定するようにしてもよい。
次に本実施例の作用及び効果について説明する。
試験車両のスピードメータテストを行なうときは、前記支持体固定手段6のアクチュエータ6bを作動させて頭部6aを突出させ、該頭部6aの円錐形の先端部を支持体3´の側面部の嵌合穴3hに係合させる。
このようにして支持体3´の前後の移動を拘束することにより、試験車両の車輪をベルト3cの上で高速回転させたときにも支持体3´が不動の状態に保たれるので、回転検出器4cの指示値も安定した値を示すことができる。
このように支持体3´を拘束することにより、試験車両のスピードメータテストを精度良く行なうことができる効果を有する。
尚、本実施例では支持体固定手段6の円錐形の頭部6aを支持体3´の側面部の嵌合穴3hに係合させて支持体3´を拘束するとしたが、側面部の代りに図示していないが支持体3´の前後の側面部に嵌合穴を設けると共に該支持体3´の前後に支持体固定手段6を配置し、その頭部を該嵌合穴に係合させて支持体3´を拘束するようにしてもよい。
又、支持体固定手段6の頭部6aを円錐形の代りに平板状又は丸く膨出した凸状とし、該頭部6aを支持体3´の前後の端面部に当接させて支持体3´の前後の動きを拘束するようにしてもよい。
又、前記実施例では本発明の車両試験装置1を左右の両方に配置した4輪車の場合を示したが、2輪車の場合は該車両試験装置1を一方のみ設置すればよい。
本発明は車検を行なう車両整備工場等で定地走行試験を行なうための車両試験装置に使用される。
実施例1の車両試験装置を具備した車両走行試験装置の平面図である。 同上車両試験装置の側面図である。 同上車両試験装置の一部を截断して示した平面図である。 実施例2の車両試験装置を具備した第2車輪支持部の平面図である。 同上実施例2の車両試験装置を具備した第2車輪支持部の他の例の平面図である。 実施例3の車両試験装置を具備した第2車輪支持部の平面図である。 同上実施例3の車両試験装置の側面図である。
符号の説明
1、1´、1´´ 車両試験装置
1a 回転駆動手段(減速機付きモータ)
2 ベース体
3、3´ 支持体
3a、3b ローラ(大径ローラ)
3c ベルト(周回ベルト)
3d 補助ローラ
3g 検出手段
4a 電磁クラッチ
4b、5b、5c ユニバーサルジョイント
5a ワンウェイクラッチ
6 支持体固定手段

Claims (1)

  1. ベース体と、該ベース体上に前後方向に移動自在に設け前後にローラを軸支した支持体と、これら前後のローラ間に張設し車両の前輪又は後輪を載せるベルトと、前記ベース体と前記支持体との間を連結して設け該支持体に作用する力を検出する検出手段とからなり、前記前後のローラのうちの一方のローラに回転駆動手段を連結し、前記検出手段は、前記ベルトの上面部に車両の前輪又は後輪を載置して前記ベルトを周回駆動させ該車両の車輪に制動力を掛けた時に生ずる車輪の前記ベルトとの間の反力を検出し、前記支持体が前記ベース体上を移動しないように固定するために係脱可能な支持体固定手段を該ベース体に設けた車両試験装置。
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