JP5110398B2 - 鉄基焼結合金、鉄基焼結合金の製造方法およびコンロッド - Google Patents

鉄基焼結合金、鉄基焼結合金の製造方法およびコンロッド Download PDF

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Description

本発明は、鉄系粉末を焼結して得られる鉄基焼結合金およびその製造方法に関するものである。
粉末冶金法は、不純物が混入しにくく、複雑形状の製品を精度よく量産することが可能であることから、機械部品の製造に広く用いられている。たとえば、コネクティングロッド(コンロッド)、ベアリングレース等の機械部品は、加熱した粉末成形体(鍛造用プリフォーム)を鍛造したり、焼結体を切削したりして製造される。たとえばコンロッドは、焼結鍛造法により鍛造用プリフォームを所望の形状に熱間鍛造し、仕上げ加工として切削加工を施して製造される。このとき使用される鉄基焼結合金には、コンロッドの高性能化、軽量化のためのさらなる高強度化はもちろん、被削性も要求される。しかし、強度とともに被削性も向上させることは、両者が相反する性質であるため、非常に困難である。
焼結鍛造により製造されるコンロッドにおいては、Fe−2質量%Cu−0.6質量%C系合金からなる鉄系粉末が、一般に用いられる。Cuが高濃度で存在する周辺はマルテンサイトになりやすいので、Cuの添加は鉄基焼結合金の強度向上に有効である。Fe−2質量%Cu−0.6質量%C系合金に対して、銅(Cu)の添加量を増加させ炭素(C)の添加量を低減させることで、疲労強度が改善される。たとえば、特許文献1には、炭素(C)を0.2〜0.4質量%、銅(Cu)を3〜5%、マンガン(Mn)を0.5質量%以下、残部鉄(Fe)および不可避的不純物よりなる鉄基焼結合金が開示されている。また、Fe−2質量%Cu−0.6質量%C系合金に快削成分を添加することで、被削性を向上させることができる。特許文献2に記載の鉄基焼結合金は、少なくとも、Cを0.4〜1.0質量%、モリブデン(Mo)を1.0〜3.0質量%、Cuを1.0〜4.0質量%、Mnを0.2〜1.0質量%、硫黄(S)を0.05〜0.3質量%、を含む。Sは、硫化マンガン(MnS)化合物となって、鉄基焼結合金の被削性を向上させる。
特許文献3には、ニッケル(Ni)を2〜6質量%、Cuを0.5〜2.5質量%、Moを0.5〜1.3質量%、Cを0.2〜0.8質量%、Pを0.1〜0.3質量%、Mnを0.2〜0.65質量%、を含有し、残りがFeと不可避不純物からなる鉄基焼結合金製コンロッドが開示されている。特許文献3では、NiとCuとを共存させることで、靭性を向上させている。
特開2008− 13818号公報 特開2008−231538号公報 特開2002− 20847号公報
上述のように、高強度化の観点から、鉄基焼結合金のCuはほぼ必須の添加元素と考えられてきた。ところが、鍛造に供される鍛造用プリフォームに未固溶のCuが存在すると、鍛造用プリフォームは脆くなり、たとえば鍛造用プリフォームをハンドリングする際には破損に注意する必要がある。また、未固溶のCuは、熱間鍛造される鍛造用プリフォームに割れを引き起こす(熱間脆性)ことがある。鍛造割れは、鍛造用プリフォームの温度を1190℃以上の高温に加熱したり加熱時間を長くしたりすることで抑制される。しかし、高温および長時間の加熱は、製造効率を低下させ、製造コストの面で不利である。また、CuおよびNiは、強度を向上させるのに有効な元素であるが、高価であるだけでなく、リサイクル性に乏しい。
本発明は、上記の問題点に鑑み、Cu、さらにはNiをほとんど含まなくとも、十分な強度を保ちつつ被削性に優れた鉄基焼結合金およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、従来のFe−Cu−C系合金ではなく、これまで焼結鍛造には不向きであるとされてきたFe−Cr−Mo系粉末を用いて強度と被削性とが両立する鉄基焼結合金を作製可能であることを見出した。そして本発明者は、この成果を発展させることで、以降に述べる種々の発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明の鉄基焼結合金は、Fe−Cr−Mo系粉末、グラファイト粉末およびFe−Mn−Si系粉末を混合した原料粉末を焼結させてなる鉄基焼結合金であって、
前記Fe−Cr−Mo系粉末は、全体を100質量%としたときに、0.5質量%以上3.5質量%以下のクロム(Cr)および0.1質量%以上2質量%以下のモリブデン(Mo)を含み、残部が鉄と不可避不純物とからなり、
前記Fe−Mn−Si系粉末は、全体を100質量%としたときに、40質量%以上70質量%以下のマンガン(Mn)および10質量%以上40質量%以下の珪素(Si)を含み、残部が鉄と不可避不純物とからなり、
前記原料粉末は、該原料粉末全体を100質量%としたときに、前記グラファイト粉末を0.3質量%以上0.7質量%以下、最大粒径で5μm以下に分級された前記Fe−Mn−Si系粉末を0.4質量%以上1質量%以下含み、
密度が7.4g/cm以上であり、かつ、マルテンサイトおよびベイナイトからなる金属組織を有し、金属組織全体に対するマルテンサイトの面積率が40%以下、マルテンサイトの粒径が20μm以下であることを特徴とする。
本発明の鉄基焼結合金は、Fe−Cr−Mo系粉末、グラファイト粉末およびFe−Mn−Si系粉末からなる原料粉末を焼結させてなる。本発明の鉄基焼結合金は、C、MnおよびSiを適量含有することで、高強度となる。そのため、本発明の鉄基焼結合金では、これまで鉄基焼結合金の強化にほぼ必須と考えられていたCuを含む必要がない。MnやSiは、Cuよりも比較的安価に入手でき、しかも本発明の鉄基焼結合金においてはその使用量も比較的少なくて済む。つまり、本発明の鉄基焼結合金によれば原料コストの低減も可能となる。
さらに、本発明の鉄基焼結合金では、Fe−Cr−Mo系粉末とともにFe−Mn−Si系粉末を原料粉末として用いることで、焼入れ性が大幅に向上する。つまり、本発明の鉄基焼結合金は、マルテンサイト組織が得られやすい。
また、本発明の鉄基焼結合金の密度は、7.4g/cm以上である。本発明の鉄基焼結合金は、7.4g/cm以上の密度で高強度および優れた被削性を示す。なお、本発明の鉄基焼結合金において「高強度」とは、たとえば引張強さで960MPa以上さらには1000MPa以上である。
本発明の鉄基焼結合金は、マルテンサイトおよびベイナイトからなる金属組織を有する。鉄基焼結合金の金属組織がベイナイト単独の組織あるいはベイナイトおよびパーライトからなる複合組織であると軟質であるため、鉄基焼結合金を被切削材として切削を行う際に発生する切粉が連続的となり、切削工具と被切削材との間で凝着が生じることがある。しかし、マルテンサイトおよびベイナイトからなる金属組織を有する本発明の鉄基焼結合金は、比較的硬質であることから、切削の際に発生する切粉は分断されやすく、工具と被切削材(鉄基焼結合金)との凝着が抑制される。鉄基焼結合金では、マルテンサイトの存在割合が多い程より硬質になるが、過度に硬質な鉄基焼結合金は脆く、切削加工に不向きである。マルテンサイト率が面積率で40%以下である本発明の鉄基焼結合金は、被削性に優れる。
さらに、本発明の鉄基焼結合金は、マルテンサイトの粒径が20μm以下である。上述のごとくマルテンサイト率を40%以下に抑えても、粒径の大きなマルテンサイトを含む鉄基焼結合金を切削加工すると、加工中に切削工具に欠けが生じたり摩耗が生じたりといった悪影響がある。マルテンサイトの粒径を20μm以下とすることで、粒子自体の硬さが低下する。そのため、本発明の鉄基焼結合金を切削加工する際には、切削工具の欠け・摩耗などが抑制される。さらに、本発明の鉄基焼結合金では、粒子状のマルテンサイトがマトリックス中に分散して存在するため、切削により発生する切粉はマルテンサイト粒子により良好に分断される。その結果、切削工具と被切削材との凝着が抑制される。
また、本発明の鉄基焼結合金は、その製造において、5μm以下に分級されたFe−Mn−Si粉末を含む原料粉末を使用することで、金属組織中のマルテンサイトの粒径を20μm以下に抑制することができる。
なお、本発明の鉄基焼結合金には、単なる焼結体、焼結体を鍛造して得られる焼結鍛造体、がともに含まれる。つまり、本明細書においては、製造工程における鍛造の有無にかかわらず、「鉄基焼結合金」と総称する。
後述の原料粉末1〜30を焼結させてなる鉄基焼結合金のビッカース硬さを示す。 後述の原料粉末1〜30を焼結させてなる鉄基焼結合金の金属組織に含まれる各相の割合を示すとともに、原料粉末2、12および22を焼結させてなる鉄基焼結合金の金属組織を示す図面代用写真である。 後述の原料粉末12、31、34および35を焼結させてなる鉄基焼結合金について、Fe−Mn−Si系粉末の粒径(d)とマルテンサイトの粒径(D)との関係を示すグラフである。 切削試験の説明図である。 切削試験における、加工パス数に対する切削工具の摩耗量を示すグラフである。 比較例の鉄基焼結合金からなる試験片に対して切削試験を行った後のチップ逃げ面の摩耗状態および切削で発生した切粉の外観を示す図面代用写真である。 本発明の鉄基焼結合金からなる試験片に対して切削試験を行った後のチップ逃げ面の摩耗状態および切削で発生した切粉の外観を示す図面代用写真である。 本発明の鉄基焼結合金からなる試験片に対して切削試験を行った後のチップ逃げ面の摩耗状態および切削で発生した切粉の外観を示す図面代用写真である。 自動車用コンロッドを模式的に示す。
以下に、本発明の鉄基焼結合金および鉄基焼結合金部材の製造方法、さらには本発明の鉄基焼結合金からなるコンロッドを実施するための最良の形態を説明する。なお、特に断らない限り、本明細書に記載された数値範囲「x〜y」は、下限xおよび上限yをその範囲に含む。そして、これらの上限値および下限値、ならびに実施例中に列記した数値も含めてそれらを任意に組み合わせることで数値範囲を構成し得る。
[鉄基焼結合金]
本発明の鉄基焼結合金は、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、珪素(Si)、マンガン(Mn)および炭素(C)を含み、残部が鉄(Fe)と不可避不純物とからなり、マルテンサイトおよびベイナイトからなる金属組織を有する。マルテンサイトの面積率は、金属組織全体に対して40%以下であり好ましくは4〜40%さらに好ましくは4〜25%である。マルテンサイトの面積率は、たとえば、鉄基焼結合金の断面を顕微鏡観察し、得られた画像の全体の面積に対するマルテンサイトの占有面積を画像解析により算出することで求められる。マルテンサイトの存在により、鉄基焼結合金が硬質となり、切削加工を良好に行うことができる。しかし、マルテンサイトの面積率が40%を超えると、鉄基焼結合金が硬質になり過ぎて脆化し、かえって被削性が低下する。
さらに、マルテンサイトの粒径は20μm以下であり粒径が小さい程好ましいが、好ましくは2〜20μmさらには5〜20μmである。2μm未満の粒径をもつマルテンサイトを含む金属組織をもつ鉄基焼結合金の作製は、製造コスト等の面から実用的ではない。マルテンサイトの粒径は、たとえば、鉄基焼結合金の断面を観察し、得られた画像から結晶粒の最大径(粒子を2本の平行線で挟んだとき平行線の間隔の最大値)を測定して得られる値である。
また、本発明の鉄基焼結合金は、密度が7.4g/cm以上さらには7.5g/cm以上である。上記のような合金元素を含み上記のような金属組織をもつ鉄基焼結合金であっても、密度が低いと高強度化および被削性の向上は望めないからである。
また、本発明の鉄基焼結合金は、常温において、ビッカース硬さがHv300〜400かつ引張強さが960MPa以上であると好ましい。上記のような合金元素を含み上記のような金属組織をもつ本発明の鉄基焼結合金は、上記の範囲に極近いビッカース硬さおよび引張強さを発揮する。ビッカース硬さが300〜400の範囲内にあれば、鉄基焼結合金は被削性に優れる。また、引張強さが960MPa以上さらには1000MPa以上であれば、本発明の鉄基焼結合金は、コンロッド等の機械部品材料として十分な強度をもつと言える。
上記の金属組織、さらには上記の物性を備える本発明の鉄基焼結合金は、主成分であるFe−Cr−Mo系粉末と、強化粉末としてのグラファイト粉末およびFe−Mn−Si系粉末と、からなる原料粉末を焼結させてなる。
Fe−Cr−Mo系粉末は、クロム(Cr)およびモリブデン(Mo)を含み、残部が鉄と不可避不純物とからなる。CrおよびMoは、鉄基焼結合金の強化に有効な元素である。Crの含有量は、Fe−Cr−Mo系粉末全体を100質量%としたときに、0.5〜3.5質量%さらには1〜2質量%とするのが好適である。Cr含有量が0.5質量%以上であれば、鉄基焼結合金の強度が十分に得られる。しかし、3.5質量%を超えると、粉末の圧縮性が低下するため好ましくない。また、Moの含有量は、Fe−Cr−Mo系粉末全体を100質量%としたときに、0.1〜2質量%、0.1〜0.6質量%さらには0.1〜0.3質量%とするのが好適である。Mo含有量が0.1質量%以上であれば、鉄基焼結合金の強度が十分に得られる。しかし、2質量%を超えると、強度を向上させる効果が少ないだけでなく高コストとなるため好ましくない。
Fe−Cr−Mo系粉末は、必要に応じて、珪素(Si)およびマンガン(Mn)を合金元素として含んでもよい。ただし、SiおよびMnの含有量が過多であるとFe−Cr−Mo系粉末が硬質となって成形性が低下する。そのため、Fe−Cr−Mo系粉末全体を100質量%としたときに、Siの含有量を0.05質量%未満、Mnの含有量を0.2質量%未満とするとよい。
Fe−Mn−Si系粉末は、鉄基焼結合金の機械的強度を向上させる強化粉末である。Fe−Mn−Si系粉末は、鉄基焼結合金の主成分であるFeとMnおよびSiとの合金または金属間化合物であるのが好ましい。このような粉末は、Fe−Mn−Si系合金インゴットとして市販されており入手は容易であり、粉砕処理により比較的安価に製造することができる。
Fe−Mn−Si系粉末は、Fe−Mn−Si系粉末全体を100質量%として、40〜70質量%のMn、10〜40質量%のSiを含み、残部が鉄と不可避不純物とからなると好ましい。MnやSiが過少であると、延性のある鉄合金となり、それを微粉に粉砕するのが困難となる。また、MnやSiが過少であると、本発明の鉄基焼結合金の原料粉末に占めるFe−Mn−Si系粉末の割合が多く必要となり、鉄基焼結合金のコストを上昇させてしまう。一方、MnやSiが過多だと、成分調整のためコストが上昇するので好ましくない。さらに好ましいMnおよびSiの含有量は、Fe−Mn−Si系粉末全体を100質量%として、Mnが40〜70質量%、Siが15〜35質量%、MnとSiとの合計が75〜85質量%さらには80〜85質量%である。
Fe−Mn−Si系粉末中のMnとSiとの組成比は問わないが、その組成比(Mn/Si)が0.5〜4さらには1.5〜4であると好ましく、強度、延性、寸法安定性などのいずれにおいても優れた、バランスの良い鉄基焼結合金が得られやすいからである。また、Fe−Mn−Si系粉末は、必要に応じて2.5質量%以下さらには1.5〜2質量%の炭素(C)を含んでもよい。
グラファイト粉末は、本発明の鉄基焼結合金にCを導入する。本発明の鉄基焼結合金は、Fe−Mn−Si系粉末によって強化されるが、さらにグラファイト粉末を用いることで一層の高強度化が図られる。特に、焼入、焼戻などの熱処理によって、鉄基焼結合金の機械的特性を改善または調整することが容易となる。Fe−C合金粉や各種の炭化物粉末などを使用することも可能であるが、Cがほぼ100%のグラファイト粉末が好ましい。
原料粉末は、原料粉末全体を100質量%としたときに、グラファイト粉末を0.3〜0.7質量%さらには0.5〜0.7質量%、Fe−Mn−Si系粉末を0.4〜1質量%さらには0.5〜0.8質量%含むとよい。残部は、主としてFe−Cr−Mo系粉末である。グラファイト粉末およびFe−Mn−Si系粉末が過少であると、マルテンサイトを含む金属組織が得られにくい。グラファイト粉末およびFe−Mn−Si系粉末が増加するにつれて、マルテンサイト率は増加するが、過多であるとマルテンサイトの面積率が40%を超えるため、好ましくない。原料粉末は、所定の割合のグラファイト粉末とFe−Mn−Si系粉末とを含み、残部は主としてFe−Cr−Mo系粉末であるのが好ましいが、さらに、MnS粉末、BN粉末などの快削成分を含んでもよい。快削成分は、原料粉末全体を100質量%としたときに、0.6質量%以下、0.3質量%以下さらには0.1〜0.3質量%含まれるとよい。
また、本発明の鉄基焼結合金は、鉄基焼結合金全体を100質量%としたとき、0.5〜3.5質量%のCr、0.1〜0.6質量%のMo、0.04〜0.4質量%のSi、0.1〜0.7質量%のMnおよび0.3〜0.9質量%のCを含み、残部が鉄と不可避不純物とからなる、と規定することも可能である。
MoおよびCrは、鉄基焼結合金の焼き入れ性を向上させる元素である。それらの好適な含有量はC量などによっても変化するため一概には特定できないが、たとえば、鉄基焼結合金全体を100質量%として、Crを0.5〜3.5質量%さらには1.3〜1.7質量%、Moを0.1〜0.6質量%さらには0.1〜0.3質量%含有すると好適である。
さらに、適量のMnおよびSiの両方を含む場合に、本発明の鉄基焼結合金の機械的強度は大きく向上し、さらには寸法安定性にも優れたものとなる。
Mnは、特に鉄基焼結合金の強度向上に有効な元素である。Mn含有量は、鉄基焼結合金全体を100%としたときに、0.1〜0.7質量%さらには0.16〜0.7質量%、0.2〜0.6質量%が好ましい。Mn量が過少では、その効果が乏しい。Mn量が過多になると、鉄基焼結合金の伸びが減少して靱性が低下し、寸法変化も増加して寸法安定性が阻害される。
Siは、鉄基焼結合金の強度向上にも寄与するが、特に、鉄基焼結合金の寸法安定性に大きく寄与する。特に、この傾向は、SiがMnと共存する場合に大きい。Mnは鉄基焼結合金の寸法を増加させる傾向に作用するのに対して、Siは鉄基焼結合金の寸法を減少させる傾向に作用する。両元素が共存することでそれらの傾向が打ち消し合って、鉄基焼結合金の寸法安定性が確保される。Si含有量は、鉄基焼結合金全体を100%としたときに、0.04〜0.4質量%さらには0.1〜0.3質量%が好ましい。Si量が過少では、寸法安定性が乏しく、過多になると寸法収縮量が大きくなって好ましくない。
Cは、鉄基焼結合金の重要な強化元素である。焼結中にCが拡散して鉄基焼結合金が固溶強化されることは勿論のこと、Cを適量含むことで、鉄基焼結合金の焼入れ、焼戻しといった熱処理が可能となり、それによって鉄基焼結合金の機械的特性を一層大きく向上させることができる。C含有量は、鉄基焼結合金全体を100%としたときに、0.3〜0.9質量%さらには0.3〜0.7質量%が好ましい。Cが過少ではその効果が乏しくCが過多になると延性が低下する。
なお、本発明の鉄基焼結合金は、銅(Cu)を実質的に含まないCuフリー鉄基焼結合金またはニッケル(Ni)を実質的に含まないNiフリー鉄基焼結合金であるのが好ましい。本発明の鉄基焼結合金は、CuまたはNiを含有させるまでもなく、高強度である。CuおよびNiの少なくとも一方を実質的に含まないCuフリー鉄基焼結合金またはNiフリー鉄基焼結合金であると、リサイクル性が向上して環境対策上好ましい。また、高価なCuおよびNiの使用が抑制されることで、鉄基焼結合金の低コスト化も図れる。さらには、鉄基焼結合金がCuフリーであると、Cuに起因した鉄基焼結合金の熱間脆性も回避される。ただし、本発明の鉄基焼結合金は、CuやNiの含有を全く排除するものではない。上述した合金元素と共に適量のCuやNiを含有する場合も本発明の範囲に含まれる。本発明の鉄基焼結合金におけるCuおよびNiの含有量を規定するのであれば、鉄基焼結合金全体を100%としたときに、2質量%以下さらには1質量%以下が好ましい。
なお、本発明の鉄基焼結合金は、本明細書全体を通じて、鉄基焼結合金からなる鉄基焼結合金部材を含む広い概念である。以下に、本発明の鉄基焼結合金あるいは鉄基焼結合金部材を製造するための好適な形態を説明する。
[鉄基焼結合金の製造方法]
本発明の鉄基焼結合金の製造方法は、主として、分級工程、原料粉末混合工程、成形工程および焼結工程を含む。以下に、それぞれの工程を説明する。なお、原料粉末として使用するFe−Cr−Mo系粉末、Fe−Mn−Si系粉末およびグラファイト粉末の組成および配合割合は、既に説明した通りである。
(1)分級工程
分級工程は、Fe−Mn−Si系粉末を最大粒径で5μm以下に分級(篩い分け)する工程である。5μm以下に分級されたFe−Mn−Si粉末を使用することで、金属組織中のマルテンサイトの粒径を20μm以下に抑制することができる。なお、図3に、Fe−Cr−Mo系粉末、グラファイト粉末およびFe−Mn−Si系粉末からなる原料粉末を焼結させてなる鉄基焼結合金のFe−Mn−Si系粉末の粒径とマルテンサイトの粒径との関係を示す。図3において、「FeMSII粒径(d)」がFe−Mn−Si系粉末の粒径、「マルテンサイト径(D)」がマルテンサイトの粒径、に相当する。マルテンサイトの粒径は、Fe−Mn−Si系粉末の粒径の約2倍である。そして、5μm以下に分級されたFe−Mn−Si系粉末を使用すれば、マルテンサイトを確実に微細化できる。
なお、分級工程において、Fe−Cr−Mo系粉末を分級してもよい。市販のFe−Cr−Mo系粉末(たとえば後述のAstaloyCrLで最大粒径212μm)は、原料粉末として使用可能な粒径を有するが、このような粉末を最大粒径で212μm以下、180μm以下さらには150μm以下に分級してもよい。特に、最大粒径で150μm以下に分級されると、成形体密度比や焼結体密度比が向上し、成分変動や偏析などの少ない均質な鉄基焼結合金が得られ易い。しかし、63μm以下に分級したFe−Cr−Mo系粉末を用いると、成形性が低下するため望ましくない。
(2)原料粉末混合工程
(2−1)原料粉末混合工程は、Fe−Cr−Mo系粉末、グラファイト粉末およびFe−Mn−Si系粉末からなる原料粉末を調製する工程である。本工程では、原料粉末全体を100質量%としたときに、グラファイト粉末を0.3〜0.7質量%さらには0.5〜0.7質量%、Fe−Mn−Si粉末を0.4〜1質量%さらには0.5〜0.8質量%となるように調製する。所定の範囲の組成を有する各粉末を所定の配合割合で調製することで、上記の金属組織を有する本発明の鉄基焼結合金が容易に得られる。また、原料粉末の混合は、一般的な方法により行えばよい。
(2−2)なお、成形後の焼結工程が焼結鍛造工程であれば、原料粉末混合工程において、原料粉末にさらに潤滑剤を添加する。すなわち、本工程において、Fe−Cr−Mo系粉末、グラファイト粉末、Fe−Mn−Si系粉末および潤滑剤を混合する。潤滑剤の含有量は、原料粉末(潤滑剤を含む)を100質量%としたときに、1質量%以下さらには0.4〜0.8質量%であるとよい。潤滑剤としては、具体的には、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸リチウム、ワックス系潤滑剤(たとえば、ロンザジャパン製アクラワックスC、日本油脂製アミドワックス、ヘガネス社製ケノルーブ等)などが挙げられ、これらのうちの一種以上を単独あるいは混合して用いればよい。
(3)成形工程
(3−1)成形工程は、原料粉末を成形して密度が7.4g/cm以上の粉末成形体とする工程である。密度が7.4g/cm以上とは、成形体密度比にして95%以上の高密度成形体である。このような高密度成形体を得ることができる成形方法の一例として特許3309970号公報に記載の粉末成形体の成形方法が挙げられる。以下、この成形方法を適宜「金型潤滑温間加圧成形法」という。金型潤滑温間加圧成形法によれば、成形圧力が1000MPa以上、1200MPa以上、1500MPa以上さらには2000MPaといった、従来レベルを超越した超高圧成形を工業レベルで行うことが可能である。これにより得られる粉末成形体の密度は96%以上、97%以上、98%以上さらには99%までにも到達し得る。
(3−2)なお、次の焼結工程が焼結鍛造工程であれば、必ずしも粉末成形体の密度を7.4g/cm以上とする必要はない。焼結鍛造工程終了後の焼結体の密度が7.4g/cm以上となればよく、成形工程終了時点での粉末成形体の密度は、少なくとも6.5g/cm、6.8g/cm以上さらには7.0g/cm以上であれば十分である。したがって、上記の金型潤滑温間加圧成形法を必ずしも用いる必要はなく、一般的な方法により粉末成形体を成形してもよい。
(4)焼結工程
(4−1)密度が7.4g/cm以上の粉末成形体は、粉末成形体を加熱する加熱工程、および加熱工程後の粉末成形体を冷却してマルテンサイトおよびベイナイトからなる金属組織を有する焼結体を得る冷却工程、からなる焼結工程に供される。
焼結工程の加熱工程は、焼入れの観点からいえば、A1変態点(約730℃)以上に加熱されてオーステナイト処理されるものでなければならないが、通常の焼結温度は1050℃以上さらには1100℃以上である。焼結体のさらなる高強度化を図るときは、1200℃以上、1250℃以上、1300℃以上さらには1350℃以上といった一層高い焼結温度が選択される。たとえば、本発明の焼結工程は、1100〜1370℃さらには1100〜1180℃の不活性ガス雰囲気で加熱を行う加熱工程を備えると好ましい。また、加熱工程において、上記の所定の加熱温度で粉末成形体を保持する保持時間は、1分以上さらには5分以上とするのが望ましく、60分以下さらには30分以下とするとよい。
焼結工程の冷却工程は、上記加熱工程に続いてなされ、鉄基焼結合金の温度を焼結温度から室温付近まで下げる工程である。焼入れの観点から厳密に言えば、鉄基焼結合金の温度を焼結温度からMs点以下まで下げる工程となる。この冷却工程における冷却速度を大きくすることで、鉄基焼結合金へ確実に焼入れを行うことができる。たとえば、冷却速度を5℃/秒以上さらには10℃/秒以上とするのが好ましい。しかし、本発明の鉄基焼結合金の製造方法では、冷却速度が小さくても十分な焼入れがなされる。具体的には、冷却速度が100℃/分以下でも焼入れが可能であり、30℃/分以上さらには70℃/分以上が望ましい。これは、原料粉末に含まれるCrおよびMoとMnおよびSiとの相乗効果によって鉄基焼結合金の焼入れ性が著しく向上したためと考えられる。したがって、本発明によれば、強制冷却のために別途設備を設けるまでもなく、鉄基焼結合金に焼入れをなすことが可能である。
本発明の焼結工程が上述した加熱工程および冷却工程を備えることで、前述したマルテンサイトおよびベイナイトからなる金属組織を有する焼結体(すなわち本発明の鉄基焼結合金)が焼結工程後に得られる。そして、焼結工程終了と同時に焼入れを完了させることも可能であるので、高強度鉄基焼結合金の製造コスト低減を図れる。しかも、急冷設備などを別途設ける必要もなく、工業レベルでの実用化が十分に可能である。
なお、本発明の鉄基焼結合金の製造方法は、焼結工程終了後に、強度や靱性などを調整するために、別途、熱処理工程を含んでもよい。たとえば、焼入れ後に通常行われる焼戻し等を別途行ってもよい。ところで、鉄基焼結合金の焼入れは、焼結工程終了後に得られた鉄基焼結合金に、別途熱処理を施すことでもなされるが、本発明によれば必ずしもその必要はない。すなわち、焼結工程でなされる加熱工程と、それに続く冷却工程とを利用して焼入れを行うことが可能である。
(4−2)一方、潤滑剤を含む原料粉末からなる粉末成形体は、粉末成形体を加熱する加熱工程、加熱工程後の粉末成形体を熱間鍛造して粉末成形体の密度を7.4g/cm以上とする熱間鍛造工程および熱間鍛造工程後の該粉末成形体を冷却して焼結体を得る冷却工程からなる焼結鍛造工程に供される。
焼結工程の加熱工程および冷却工程は、(4−1)ですでに説明した通りである。そのため、以下に、焼結工程の熱間鍛造工程について説明する。熱間鍛造工程は、加熱工程に続いてなされ、粉末成形体を熱間鍛造して粉末成形体の密度を7.4g/cm以上とする工程である。熱間鍛造は、一般に、被加工材を再結晶温度以上の高温に加熱してから、所望の形状に成形する加工である。したがって、上記の加熱工程で所定の温度で所定の時間保持された粉末成形体を、そのまま熱間鍛造工程に供すればよい。鍛造としては、たとえば、コイニング、ロールフォージング、すえ込みコイニングなどが挙げられる。熱間鍛造工程に続いて、冷却工程が行われる。
[鉄基焼結合金からなるコンロッド]
上記本発明の鉄基焼結合金は、各種機械部品に好適であるが、高強度で優れた被削性をもつことから、特に、自動車用エンジンのコネクティングロッド(コンロッド)に好適である。コンロッドとは、ピストンとクランクシャフトとを連結するための部材である。コンロッドの一例を図7に示す。コンロッド70は、一端側にピストンピンを挿入するための挿入穴71hが形成された小端部71と、他端側にクランクシャフトのピン部を挿入するための挿入穴72hが形成された大端部72と、を備える。このようなコンロッドは、本発明の鉄基焼結合金の製造方法により得られた所定の形状の素材に対して、ピストンあるいはクランクシャフトに確実に連結するために必要な挿入穴を切削加工して形成することで、製造される。
以上、本発明の鉄基焼結合金、鉄基焼結合金の製造方法およびコンロッドの実施形態を説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。本発明の要旨を逸脱しない範囲において、当業者が行い得る変更、改良などを施した種々の形態にて実施することができる。
以下に実施例を挙げて、本発明を具体的に説明する。
(1−1.鉄基焼結合金の製造)
(原料粉末の調製)
Fe−1.5Cr−0.2Mo粉末(ヘガネス社製AstaloyCrL、粒径20〜212μm)、およびグラファイト(Gr)粉末(日本黒鉛社製JCPB、粒径は45μm以下)を用意した。また、Fe−50Mn−30Si(日本電工社製)のインゴットを振動ミル(中央化工機製)にて30分間粉砕処理して粉末とした。これらの粉末を5μm以下、10μm以下、25μm以下および45μm以下に篩い分けした。以後、Nμm以下に分級したことを「粒度−Nμm」と略記する。同様に、シリコマンガン(JIS1号)のインゴットを振動ミルにて30分間粉砕処理して粉末とし分級し、粒度−5μmとした。以後、Fe−50Mn−30Si粉末を「FeMSII」、シリコマンガン粉を「FeMSC」と表記し、両者を「FeMS」と総称する。FeMSIIおよびFeMSCの組成を表1に示す。
なお、組成の単位は全て「質量%」であり、特に断らない限り以下同様である。
上記のAstaloyCrL粉末、Gr粉末およびFeMS粉末を、表2の配合割合となるように秤量し、ボールミル式回転混合を十分に行って、均一な混合粉末からなる原料粉末(No.1〜40)を用意した。
(粉末成形体の作製)
粉末成形体の作製は、特許3309970号公報に記載の金型潤滑温間加圧成形法により行った。具体的には以下の通りである。φ23mmの円柱型キャビティを有する超硬製金型を用意した。金型の内周面には予めTiNコート処理を施した。金型は、バンドヒータで予め150℃に加熱した。加熱した金型の内周面に、ステアリン酸リチウム(LiSt)を分散させた水溶液をスプレーガンにて均一に塗布し、約1μmのLiSt被膜を形成した。この金型のキャビティへ、上記の手順で調製した原料粉末を自然充填した。原料粉末は、金型と同温の150℃に乾燥機で予め加熱しておいた。次に、金型に充填された原料粉末を、成形圧力1176MPaで成形して、φ23mm×12mmの円柱形状の粉末成形体を得た。
(焼結体の作製)
得られた粉末成形体を、島津製作所製雰囲気可変急速冷却焼結炉を用いて、1150℃の窒素ガス雰囲気中でそれぞれ焼結させて、焼結体(鉄基焼結合金)を得た。粉末成形体は、1150℃で10分間保持し、焼結後の冷却速度を70℃/分とした。その後、200℃で60分間、大気中で焼き戻しを行った。
(物性値の測定)
上記の手順で作製された粉末成形体および焼結体の密度を測定した。密度は、マイクロメータを用いて測定した円柱の外径および高さから計算した体積と、別途計量した質量から算出した。結果を表2に示す。なお、表2において、「G.D」は粉末成形体、「S.D」は焼結体、の密度をそれぞれ示す。また、ビッカース硬度計を用いて、試験荷重30kgfのもと、焼結体の断面の硬さを測定した。結果を表2および図1に示す。
なお、焼結体に含まれる各元素の含有割合は、原料粉末の組成および配合割合から算出される値と同等で、C含有量が僅かに減少するのみであった。
(金属組織の観察)
上記の手順で製作した焼結体の断面を、光学顕微鏡を用いて観察した。観察面は、焼結体の切断面を研磨した後、ナイタールを用いてエッチング処理を施して作製した。顕微鏡観察して得られた画像から、マルテンサイトの面積率(マルテンサイト率)と粒径を求めた。マルテンサイト率は、得られた画像の全体の面積に対するマルテンサイトの占有面積を画像解析により算出して求めた。算出したマルテンサイト率を図2に示す。図2において、Mはマルテンサイト、UBは上部ベイナイト、FPは微細パーライト、をそれぞれ示す。粒径は、得られた画像のマルテンサイト結晶粒の最大径D(粒子を2本の平行線で挟んだとき平行線の間隔の最大値)と、同じ結晶粒の中央部に視認されるFeMSII粒子の最大径dを測定した。幾つか撮影した画像から測定した個々の結晶粒のdおよびDを図3のグラフに示す。また、測定される結晶粒のDおよびdを、図3の左上に模式的に示す。
なお、No.2、12および22の原料粉末から得られた焼結体の断面を顕微鏡観察した結果を、図2に併せて示す。
(1−2.評価)
いずれの原料粉末を用いても、7.4g/cm以上の高密度の焼結体が得られた。また、寸法変化は、密度の変化率にして0.2%程度であった。硬さは、Gr添加量およびFeMS添加量が多くなるほど高くなった。
図1および図2の表は、粒度−5μmのFeMSII粉末およびGr粉末の添加量を変えた場合のビッカース硬さと組織割合を示している。原料粉末に占めるGr粉末およびFeMSIIの割合を調整することで、マルテンサイトおよびベイナイトからなる金属組織を有しマルテンサイト率が40%以下である鉄基焼結合金が得られることがわかった。特に、原料粉末全体に対するFeMSIIの含有量を0.5〜1%程度、Grの含有量を0.7%以下とすることで、マルテンサイトおよびベイナイトからなる金属組織を有しマルテンサイト率が40%以下である鉄基焼結合金が容易に得られることがわかった。さらに、マルテンサイトおよびベイナイトからなる金属組織を有しマルテンサイトの面積率が40%以下である金属組織をもつ鉄基焼結合金は、300〜400程度のビッカース硬さであることがわかった。
なお、FeMSIIの添加量が多くなる程、マルテンサイト率が増大することは、図2に示すそれぞれの顕微鏡写真より明らかである。しかし、これらの焼結体の原料粉末に含まれるFeMSIIの粒度はいずれも−5μmであったため、マルテンサイトの粒径に大差はなかった。
図3は、原料粉末に含まれるFeMSIIの粒径(d)とマルテンサイトの粒径(D)との関係を示すグラフである。このグラフにおいて、dが25〜45μmの範囲は原料粉末31、dが10〜25μmの範囲は原料粉末34、dが5〜10μmの範囲は原料粉末35、dが5μm以下は原料粉末12、を用いて作製した焼結体の断面を撮影した画像から測定した値である。FeMSIIの粒径が大きい程、マルテンサイトの粒径も大きくなった。マルテンサイトの粒径は、FeMSIIの粒径の約2倍であった。そして、粒度−5μm以下のFeMSIIを使用すれば、マルテンサイトの粒径を20μm以下にできた。なお、マルテンサイト粒子のビッカース硬さを測定したところ、粒径が20μm以下のマルテンサイトはHv400〜500程度であった。一方、20μmを超える粒径のマルテンサイトは、Hv500を上回った。
(2−1.鉄基焼結合金の製造)
(原料粉末の調製)
上記のAstaloyCrL粉末、Gr粉末、FeMSII粉末(粒度−5μm)および潤滑剤としてステアリン酸亜鉛(ZnSt.)、必要に応じて快削成分として硫化マンガン(MnS)粉末を、表3の配合割合となるように秤量し、ボールミル式回転混合を十分に行って、均一な混合粉末からなる原料粉末(No.2c、11e〜13e、22eおよび12e)を用意した。
(粉末成形体の作製)
一般的な金型成形装置を用い、φ61mm×27mmの円柱形状の粉末成形体を作製した。得られる粉末成形体の密度が7.0g/cmとなるように、成形を行った。
(焼結鍛造体の作製)
得られた各粉末成形体を、雰囲気加熱炉(エレマ炉)を用いて、1150℃の窒素ガス雰囲気中で10分間加熱した。加熱した粉末成形体を、面圧10t/cmでコイニング鍛造し、冷却速度70℃/分で冷却し、焼結鍛造体(鉄基焼結合金)を得た。なお、原料粉末2c、11e〜13e、22eおよび12eを用いて作製された焼結鍛造体を順にC2、E11〜E13、E22およびE12とした。これらの焼結鍛造体は、いずれも、φ62mm×厚さ23mm、密度7.78〜7.82g/cmであった。その後、200℃で60分間、大気中で焼き戻しを行った。
(金属組織の観察)
上記の手順で製作した焼結鍛造体の断面を光学顕微鏡を用いて観察し、マルテンサイト率を求めた。マルテンサイト率の算出方法は、既に述べた通りである。求めたマルテンサイト率を表4に示す。
(物性値の測定)
上記の手順で作製された焼結鍛造体の硬さを測定した。硬さの測定方法は、既に述べた通りである。結果を表4に示す。また、各焼結鍛造体の引張強さおよび伸びを測定した。引張強さおよび伸びは、JIS Z 2241に準拠した手順により求めた。
(切削試験)
上記の手順で作製された焼結鍛造体から黒皮を除去しφ61mm×t23mmとした試験片を用い、切削試験を行った。切削試験にはCNC旋盤を用い、図4に示すように、試験片Pを生爪41でチャッキングした後、外径加工用バイト42を用いて外径旋削加工を行った。バイト42には、チップ42t(住友電工製超硬チップSPP−321S−CG05)を取り付けた。切削条件は、切削速度:195m/分、送り:0.12mm/rev、切込量:0.05mm、とした。この条件の下、試験片の外径を1パスあたり12mm旋削し、1つの試験片に対して150パス(30パス×5回)まで旋削を行った。そして、試験片に対し30パス後と150パス後の仕上げ面の十点平均粗さRz(JIS)を面粗さ計により測定し、30パス毎のチップの摩耗量(摩耗深さ)を実体顕微鏡により測定した。仕上げ面粗さを表4に、チップの摩耗量を図5に、それぞれ示す。
(2−2.評価)
焼結体C2は、FeMSIIを含まない原料粉末2cを用いて作製された比較例である。焼結体C2は、金属組織にマルテンサイトを含まず、硬さおよび引張強さは十分ではなかった。そのため、90パスの時点でチッピングが発生し、試験が中断した。
一方、焼結体E11〜E13、E22およびE12は、150パスまで加工ができた。焼結体E11〜E13、E22およびE12の金属組織は、マルテンサイトおよびベイナイトからなり、マルテンサイト率が5〜40%の範囲内であった。また、これらの焼結体は、ビッカース硬さがHv300〜400の範囲内であり、引張強さが1000MPa程度、伸びは6〜10%であった。切削試験では、焼結体E11〜E13、E22およびE12の150パス後の仕上げ面の粗さは、30パス後のものとほとんど変わりなかった。この表面粗さの値は、現在実用されている鉄基焼結合金(Fe−Cu−C−MnS材:Hv270)と同等であった。また、焼結体E12と焼結体E12は、MnS粉末の有無が異なるが、いずれの焼結体も、強度および被削性ともに優れた特性を示した。
なお、図6A〜Cに、切削試験後のチップ逃げ面の摩耗状態および切削で発生した切粉の外観を示す。焼結体C2を旋削したチップの表面は摩耗が著しく、切粉が連続していた(図6A)。一方、焼結体E12またはE12を旋削したチップの表面は摩耗が目立たず、切粉が分断されていた。特に、焼結体E12を旋削したチップの表面の摩耗は小さく、切粉の分断も良好であった(図6C)。
以上のように、本発明の鉄基焼結合金は、1000MPa程度の高強度を有するとともに、快削成分(MnS粉末)を添加しなくても、現用材(Fe−Cu−C材)と同等の被削性を有した。特に、Fe−Mn−Si系粉末を0.5%(0.4〜0.6%であれば誤差範囲である)、グラファイト粉末を0.5〜0.7%、必要に応じて快削成分を0.6%以下含み、残部がFe−Cr−Mo系粉末からなる原料粉末より得られる鉄基焼結合金は、高強度を有するとともに被削性に優れることがわかった。

Claims (13)

  1. Fe−Cr−Mo系粉末、グラファイト粉末およびFe−Mn−Si系粉末を混合した原料粉末を焼結させてなる鉄基焼結合金であって、
    前記Fe−Cr−Mo系粉末は、全体を100質量%としたときに、0.5質量%以上3.5質量%以下のクロム(Cr)および0.1質量%以上2質量%以下のモリブデン(Mo)を含み、残部が鉄と不可避不純物とからなり、
    前記Fe−Mn−Si系粉末は、全体を100質量%としたときに、40質量%以上70質量%以下のマンガン(Mn)および10質量%以上40質量%以下の珪素(Si)を含み、残部が鉄と不可避不純物とからなり、
    前記原料粉末は、該原料粉末全体を100質量%としたときに、前記グラファイト粉末を0.3質量%以上0.7質量%以下、最大粒径で5μm以下に分級された前記Fe−Mn−Si系粉末を0.4質量%以上1質量%以下含み、
    密度が7.4g/cm以上であり、かつ、マルテンサイトおよびベイナイトからなる金属組織を有し、金属組織全体に対するマルテンサイトの面積率が40%以下、マルテンサイトの粒径が20μm以下であることを特徴とする被削性に優れた鉄基焼結合金。
  2. 前記Fe−Mn−Si粉末において、MnとSiとの組成比(Mn/Si)が、0.5〜4である請求項1に記載の鉄基焼結合金。
  3. 前記原料粉末は、該原料粉末全体を100質量%としたときに、前記グラファイト粉末を0.5質量%以上0.7質量%以下含む請求項1または2に記載の鉄基焼結合金。
  4. 前記Fe−Cr−Mo系粉末は、最大粒径で212μm以下に分級されている請求項1〜3のいずれかに記載の鉄基焼結合金。
  5. 全体を100質量%としたとき、0.5質量%以上3.5質量%以下のクロム(Cr)、0.1質量%以上0.6質量%以下のモリブデン(Mo)、0.04質量%以上0.4質量%以下の珪素(Si)、0.1質量%以上0.7質量%以下のマンガン(Mn)および0.3質量%以上0.9質量%以下の炭素(C)を含み、残部が鉄(Fe)と不可避不純物とからなる請求項1〜4のいずれかに記載の鉄基焼結合金。
  6. 銅(Cu)を含まないCuフリー鉄基焼結合金またはニッケル(Ni)を含まないNiフリー鉄基焼結合金である請求項1〜5のいずれかに記載の鉄基焼結合金。
  7. 常温において、ビッカース硬さがHv300以上400以下かつ引張強さが960MPa以上である請求項1〜6のいずれかに記載の鉄基焼結合金。
  8. マルテンサイトおよびベイナイトからなる金属組織を有し、金属組織全体に対するマルテンサイトの面積率が40%以下、マルテンサイトの粒径が20μm以下である被削性に優れた鉄基焼結合金の製造方法であって、
    全体を100質量%としたときに、40質量%以上70質量%以下のマンガン(Mn)および10質量%以上40質量%以下の珪素(Si)を含み、残部が鉄と不可避不純物とからなるFe−Mn−Si系粉末を最大粒径で5μm以下に分級する分級工程と、
    全体を100質量%としたときに、0.5質量%以上3.5質量%以下のクロム(Cr)および0.1質量%以上2質量%以下のモリブデン(Mo)を含み、残部が鉄と不可避不純物とからなるFe−Cr−Mo系粉末、グラファイト粉末および前記Fe−Mn−Si系粉末を混合して、粉末全体を100質量%としたときに、前記グラファイト粉末を0.3質量%以上0.7質量%以下、前記Fe−Mn−Si系粉末を0.4質量%以上1質量%以下含む原料粉末を得る原料粉末混合工程と、
    前記原料粉末を成形して密度が7.4g/cm以上の粉末成形体とする成形工程と、
    前記粉末成形体を加熱する加熱工程および該加熱工程後の該粉末成形体を冷却して前記金属組織を有する焼結体を得る冷却工程からなる焼結工程と、
    を含むことを特徴とする鉄基焼結合金の製造方法。
  9. マルテンサイトおよびベイナイトからなる金属組織を有し、金属組織全体に対するマルテンサイトの面積率が40%以下、マルテンサイトの粒径が20μm以下である被削性に優れた鉄基焼結合金の製造方法であって、
    全体を100質量%としたときに、40質量%以上70質量%以下のマンガン(Mn)および10質量%以上40質量%以下の珪素(Si)を含み、残部が鉄と不可避不純物とからなるFe−Mn−Si系粉末を最大粒径で5μm以下に分級する分級工程と、
    全体を100質量%としたときに、0.5質量%以上3.5質量%以下のクロム(Cr)および0.1質量%以上2質量%以下のモリブデン(Mo)を含み、残部が鉄と不可避不純物とからなるFe−Cr−Mo系粉末、グラファイト粉末、前記Fe−Mn−Si系粉末および潤滑剤を混合して、粉末全体を100質量%としたときに、前記グラファイト粉末を0.3質量%以上0.7質量%以下、前記Fe−Mn−Si系粉末を0.4質量%以上1質量%以下含む原料粉末を得る原料粉末混合工程と、
    前記原料粉末を粉末成形体に成形する成形工程と、
    前記粉末成形体を加熱する加熱工程、該加熱工程後の該粉末成形体を熱間鍛造して該粉末成形体の密度を7.4g/cm以上とする熱間鍛造工程および該熱間鍛造工程後の該粉末成形体を冷却して前記金属組織を有する焼結体を得る冷却工程からなる焼結鍛造工程と、
    を含むことを特徴とする被削性に優れた鉄基焼結合金の製造方法。
  10. 前記原料粉末は、該原料粉末全体を100質量%としたときに、前記グラファイト粉末を0.5質量%以上0.7質量%以下含む請求項8または9に記載の鉄基焼結合金の製造方法。
  11. 前記加熱工程は、前記粉末成形体を1100〜1370℃で1〜60分間加熱する工程である請求項8〜10のいずれかに記載の鉄基焼結合金の製造方法。
  12. 前記冷却工程は、30℃/分以上100℃/分以下の冷却速度で冷却する工程である請求項8〜11のいずれかに記載の鉄基焼結合金の製造方法。
  13. 請求項1〜7のいずれかに記載の鉄基焼結合金からなるコンロッド。
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