JP5105858B2 - 炭化水素系燃料油及びその製造方法 - Google Patents

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本発明は炭化水素系燃料油及びその製造方法に関する。より詳細には、本発明は軽油より高い総発熱量を有する環境性能に優れた炭化水素系燃料油及びその製造方法に関する。
軽油よりも総発熱量が高い燃料油としては、JISで規定されるA重油が広く用いられている。A重油は、常圧蒸留装置から留出される未洗軽油留分、未洗軽油留分を水素化精製して得られる脱硫軽油、間接脱硫軽油、直接脱硫軽油、ライトサイクルオイル、脱ろう軽油等、各種基材を調合して生産される。
総発熱量の高い燃料油の最近の研究例としては以下のようなものが挙げられる。
特開2001−055587号公報には、高カロリーで、かつゴム膨潤性の少ない各種の燃焼機器に適した燃料を提供することを目的として、50℃における動粘度が20cst以下、硫黄分が0.3wt%以下、引火点が60℃以上、アニリン点が40℃以上であり、かつ総発熱量が9400kcal/L以上である燃料油が開示されている。
特開2002−180070号公報には、高沸点留分を含みつつ、かつ低温流動性が良好なボイラー・工業炉用燃料油を提供することを目的として、15℃における密度が0.8762g/ミリリットルを超え、硫黄分量が0.3質量%以下、10%残油の残留炭素分量が0.6質量%以下、引火点が60℃以上、50℃における動粘度が1.5〜5.5mm2 /s、総発熱量が39,400kJ/リットル以上、セタン指数が32以上、目詰まり点が−14℃以下及び流動点が−30℃以下である燃料油が開示されている。また、密度が0.8762g/mL以下では充分な発熱量が得られないことも記載されている。
特開2003−231889号公報には、環境負荷が低く、安定性、低温流動性及び燃焼性が良好で、かつ従来より高い発熱量を有する燃料油組成物を提供することを目的として、目詰まり点が0℃より高く、かつ密度が0.880以上である直接脱硫軽油留分を70容量%以上含有し、かつ流動性向上剤を90〜900ppm含有する燃料油組成物であって、密度が0.8762より大きく、硫黄含有量が0.1重量%以下、目詰まり点が0℃以下、かつ流動点が−10℃以下である燃料油組成物が開示されている。
特開2001−055587号公報 特開2002−180070号公報 特開2003−231889号公報
我が国で販売されているA重油は硫黄分が1.0質量%以下のグレードと硫黄分が0.1質量%のグレードに大きくは分けられるが、硫黄分は通常500質量ppmを超えている。なお、両グレードの中間的な硫黄分レベルのA重油も市販されている。10%残油の残留炭素分については、JISでは残留炭素分として4質量%以下との規定があるが、市場では、概ね10%残油の残留炭素分として0.21質量%〜1.5質量%の範囲となっている。また、窒素分についての規定はなく、市場品の窒素分は概ね100〜600質量ppmとなっている。このように、現在市場に出回っているA重油は硫黄分、残留炭素分及び窒素分が充分に低減されていないというのが実情である。
また、上記特許文献においても、総発熱量の高い燃料油を得るために燃料油の成分として比較的重質の油を用いるというアプローチを採用しており、燃料油中に含有される硫黄分、残留炭素分及び窒素分といった環境負荷となる成分のすべてを充分なレベルまで低減しているとは言えない。例えば、硫黄分は特開2002−180070号公報の実施例では0.250質量%であり、特開2003−231889号公報の実施例では0.06質量%である。また、残留炭素は特開2001−055587号公報の実施例では0.22〜0.25重量%であり、特開2002−180070号公報の実施例では0.36質量%である。窒素分については上記の特許文献には具体的な記載がない。
我が国では、NO2環境基準の達成、また光化学スモッグ防止の観点から、トラック、バス等、ディーゼル車の排ガス規制が強化されてきているが、環境改善が依然進まないことから、これまで規制の対象となっていなかった、公道を走行しない建設機械等のオフロードディーゼルエンジンの排ガス規制強化が望まれている。これらの排ガス規制に対応するため、車両側では排ガス後処理装置の装着が必要となるが、後処理装置をうまく機能させるためには、燃料としてディーゼル軽油を使用することとなり、現在使用されているA重油と比較すると、十分な動力性能が発揮できなくなることが懸念されている。
そこで、本発明は、将来的な環境規制を見据えた、A重油と同等の総発熱量を有しながらも、環境性能にも優れた炭化水素系燃料油を提供することを課題の一つとする。また、本発明はそのような炭化水素系燃料の製造方法を提供することを別の課題の一つとする。
本発明者は、鋭意研究を重ねた結果、特定の性状の石油系炭化水素留分を配合することにより、上記課題が解決できることを見出した。具体的には、分解軽油留分を水素化精製した留分を10〜40容量%、間接脱硫軽油留分を70〜5容量%含有し、残部を随意的な他の炭化水素とする炭化水素系燃料油が所望の性状を満足することを見出した。
斯かる知見を基礎として完成した本発明は一側面において、分解軽油留分を水素化精製した留分を10〜40容量%と、間接脱硫軽油留分を70〜5容量%とを含む炭化水素系燃料油であって、硫黄分が200質量ppm以上500質量ppm以下、窒素分が100質量ppm以下、密度が0.850〜0.875g/cm3、10%残油の残留炭素分が0.20質量%以下、芳香族化合物が30質量%以下、ASTMカラーが1.5以下、引火点が70℃以上、セタン価が45以上、HFRRが500μm以下、かつ、総発熱量が38,600kJ/L以上の炭化水素系燃料油である。
本発明に係る燃料油は一実施形態において、ナトリウム含有分が0.1質量ppm以下、カルシウム含有分が0.1質量ppm以下、バナジウム含有分が0.1質量ppm以下、かつ、水銀が0.1質量ppm以下である。
本発明に係る燃料油は別の一実施形態において、密度が0.850〜0.860g/cm3である。本発明に係る燃料油は更に別の一実施形態において、流動点が−5℃以下である。
本発明は別の一側面において、分解軽油留分を水素化精製した留分を10〜40容量%と、間接脱硫軽油留分を70〜5容量%と、随意的な他の石油留分とを配合することを含む炭化水素系燃料油の製造方法である。
本発明に係る燃料油の製造方法は一実施形態において、前記分解軽油留分は熱分解軽油留分と接触分解軽油留分の混合物である。
本発明に係る燃料油の製造方法は別の一実施形態において、引火点が70℃以上、析出点が−70℃以下、硫黄分が1質量ppm以下、窒素分が1質量ppm以下の基材を1〜25容量%を更に配合することを含む。
本発明により、高い総発熱量と環境性能を両立させた炭化水素系燃料油を提供することが可能となり、本発明に係る燃料油は、将来的に予測される排ガス規制対応オフロードエンジンに適した燃料であり、ボイラーやガスタービンにも使用できる多用途の燃料としても有望である。
分解軽油留分
本発明に係る燃料油は、分解軽油留分を水素化精製した留分を基材に用いるのが好ましい。分解軽油留分とは重質の石油留分を熱分解又は接触分解して得られる軽油留分である。水素化精製前の分解軽油留分中には硫黄分が500〜2000質量ppm及び窒素分が100〜500質量ppm程度含まれているのが通常であるが、この程度の値であれば支障はない。
熱分解軽油留分は、重質油留分に熱を加えてラジカル反応を主体にした反応により得られ、例えばコーキング法(ディレードコーキング法やフルードコーキング法等)、ビスブレーキング法により得ることができる。得られる全留分を熱分解軽油として用いてもよいが、一般に、10容量%留出温度が120〜250℃、50容量%留出温度が300〜360の範囲にある留分を用いる。
接触分解軽油留分は、中間留分、重質留分や残油、特には減圧軽油留分や常圧蒸留残油等をゼオライト系触媒と接触分解する際に得られる留分、特に高オクタン価ガソリン製造を目的とした流動接触分解装置において副生する分解軽油留分である。この留分は、一般に、沸点が相対的に低い軽質接触分解油と沸点が相対的に高い重質接触分解油とが別々に採取されている。本発明においては、これらの留分のいずれをも用いることができるが、前者の軽質接触分解油、いわゆるライトサイクルオイル(LCO)を用いることが着火性能向上の理由から好ましい。このLCOは、一般に、5容量%留出温度が200〜240℃、10容量%留出温度が220〜250℃、50容量%留出温度が260〜290℃、95容量%留出温度が310〜350℃の範囲内にある。また、重質接触分解油、いわゆるヘビーサイクルオイル(HCO)は、通常、10容量%留出温度が280〜340℃、50容量%留出温度が390〜420℃、90容量%留出温度が450℃以上である。
水素化精製は石油留分中の硫黄化合物及び窒素化合物を触媒(アルミナを担体としたCo、Mo、Ni、W等)の存在下で水素と反応させ、硫化水素及びアンモニアとして除去するプロセスであり、当業者に知られた任意の方法を使用することができる。本発明に係る燃料油の基材として好適な水素化精製後の分解軽油留分は、5%留出温度が180〜230℃で95%留出温度が280〜360℃、好ましくは5%留出温度が190〜220℃で95%留出温度が300〜350℃、密度が0.85〜0.89g/cm3、好ましくは0.86〜0.88g/cm3、硫黄分が500質量ppm以下、好ましくは100質量ppm以下、窒素分が100質量ppm以下、好ましくは50質量ppm以下、10%残油の残留炭素が0.2質量%以下、好ましくは0.1質量%以下、引火点が50〜80℃、好ましくは60〜80℃、セタン価が35〜50、好ましくは40〜50、ASTMカラーが1.5以下、好ましくは1.0以下、芳香族化合物が20〜70容量%、好ましくは20〜40容量%、ナトリウム含有量が0.1質量ppm以下、好ましくは0.05質量ppm以下、カリウム含有量が0.1質量ppm以下、好ましくは0.05質量ppm以下、バナジウム含有量が0.1質量ppm以下、好ましくは0.05質量ppm以下、水銀含有量が0.1質量ppm以下、好ましくは0.05質量ppm以下である。
水素化精製は、例えば、特許第3414861号公報に記載されているような方法を使用するのが高度な脱硫及び脱窒素、触媒活性の劣化抑制の観点から好ましい(その全開示を本明細書に援用する。)。具体的には、直留軽油留分と熱分解軽油留分を95:5〜20:80の容量比で混合し、この混合物に対して5〜45容量%、好ましくは5〜30容量%の接触分解軽油留分を添加した後に水素化精製する。ここでいう直留軽油留分とは、原油を常圧蒸留して得られる、おおよそ10%留出温度が220〜250℃、50%留出温度が270〜310℃、90%留出温度が320〜370℃からなっているものである。
従って、本発明に係る燃料油の好適な一実施形態では、基材として、直留軽油留分と熱分解軽油留分を95:5〜20:80の容量比で混合し、この混合物に対して5〜45容量%、好ましくは5〜30容量%の接触分解軽油留分を添加した後に水素化精製した留分を使用する。本発明に係る燃料油の基材として好適な水素化精製後の該留分は、5%留出温度が200〜250℃で95%留出温度が340〜380℃、好ましくは5%留出温度が210〜240℃で95%留出温度が350〜360℃、密度が0.82〜0.86g/cm3、好ましくは0.83〜0.84g/cm3、硫黄分が10質量ppm以下、好ましくは5質量ppm以下、窒素分が10質量ppm、好ましくは5質量ppm以下、10%残油の残留炭素が0.2質量%以下、好ましくは0.1質量%以下、引火点が70〜100℃、好ましくは85〜95℃、セタン価が50〜70、好ましくは55〜65、ASTMカラーが1.5以下、好ましくは0.5以下、芳香族化合物が10〜30容量%、好ましくは15〜25容量%、ナトリウム含有量が0.1質量ppm以下、好ましくは0.05質量ppm以下、カリウム含有量が0.1質量ppm以下、好ましくは0.05質量ppm以下、バナジウム含有量が0.1質量ppm以下、好ましくは0.05質量ppm以下、水銀含有量が0.1質量ppm以下、好ましくは0.05質量ppm以下である。
また、本発明に係る燃料油中に含まれる分解軽油留分(熱分解軽油留分及び/又は接触分解軽油留分)を水素化精製した留分は、潤滑性向上の理由により、10〜40容量%、好ましくは10〜30容量%、より好ましくは10〜20容量%である。上述した理由により、分解軽油留分は熱分解軽油留分と接触分解軽油留分を混合して用いるのが好ましい。
間接脱硫軽油留分
また、本発明に係る燃料油は、間接脱硫軽油留分を基材に用いるのが好ましい。間接脱硫軽油留分は、常圧残油を減圧蒸留して減圧軽油留分を得た後、この減圧軽油留分を間接脱硫装置で水素化処理する際に副生する軽油留分であり、特に燃料油の総発熱量を補う作用がある。間接脱硫軽油留分中には硫黄分が100〜1000質量ppm及び窒素分が50〜400質量ppm程度含まれているのが通常であるが、この程度の値であれば本発明に係る燃料油の基材として用いることができる。逆に間接脱硫軽油留分から硫黄分や窒素分を過度に除去する条件で水素化精製すると潤滑性が悪化するような弊害が生じ得る。
以上のような観点も含め、本発明に係る燃料油の基材として好適な間接脱硫軽油留分は、5%留出温度が240〜300℃で95%留出温度が290〜370℃、好ましくは5%留出温度が260〜280℃で95%留出温度が約310〜340℃、密度が0.85〜0.89g/cm3、好ましくは0.87〜0.88g/cm3、硫黄分が500質量ppm以下、好ましくは250質量ppm以下、窒素分が250質量ppm以下、好ましくは100質量ppm以下、10%残油の残留炭素が0.2質量%以下、好ましくは0.1質量%以下、引火点が70〜120℃、好ましくは80〜100℃、セタン価が40〜60、好ましくは45〜55、ASTMカラーが1.5以下、好ましくは0.5以下、芳香族化合物が10〜30容量%、好ましくは15〜25容量%、ナトリウム含有量が0.1質量ppm以下、好ましくは約0.05質量ppm以下、カリウム含有量が0.1質量ppm以下、好ましくは0.05質量ppm以下、バナジウム含有量が0.1質量ppm以下、好ましくは0.05質量ppm以下、水銀含有量が0.1質量ppm以下、好ましくは0.05質量ppm以下である。
また、本発明に係る燃料油中に含まれる間接脱硫軽油留分は、潤滑性向上および着火性向上の理由により、70〜5容量%、好ましくは55〜10容量%、より好ましくは55〜35容量%である。
低析出点基材
本発明に係る燃料油は、随意的な成分として引火点が70℃以上(通常70〜75℃)、好ましくは71℃以上、析出点が−70℃以下、好ましくは−75℃以下、硫黄分が1質量ppm以下、好ましくは0.5質量ppm以下、窒素分が1質量ppm以下、好ましくは0.5質量ppm以下である低析出点基材を用いてもよい。
低析出点基材は発熱量および潤滑性能を維持する理由により、燃料油中に1〜25容量%、好ましくは10〜25容量%配合することができる。これによって燃料油の流動点低下が期待でき、例えば−5℃以下、好ましくは−10℃以下の流動点をもつ燃料油が得られる。流動点の低い燃料油は寒冷地における使用に有利となる。
低析出点基材としては、例えば、ノルマルパラフィン製造装置から留出されるラフィネートを使用することができる。ラフィネートはより詳細には洗剤原料等に用いられるノルマルパラフィンを製造するプロセス中で、ナフサ、灯油又は軽油等の留分からアイソシーブ法、モレックス法、尿素アダクト法、ニューレックス法等によってノルマルパラフィンを吸着分離した残りの留分であり、セタン価を向上させ及び流動点を下げるという観点から5%留出温度が180〜230℃、95%留出温度が220〜280℃であるのが好ましく、5%留出温度が190〜200℃、95%留出温度が230〜250℃であるのがより好ましい。
以上のような観点も含め、本発明に係る燃料油の基材として好適な低析出点基材は、5%留出温度が180〜230℃で95%留出温度が220〜280℃、好ましくは5%留出温度が190〜200℃で95%留出温度が230〜250℃、密度が0.80〜0.82g/cm3、好ましくは0.80〜0.81g/cm3、硫黄分が1質量ppm以下、好ましくは0.5質量ppm以下、窒素分が1質量ppm以下、好ましくは0.5質量ppm以下、10%残油の残留炭素が0.2質量%以下、好ましくは0.1質量%以下、引火点が70℃以上、好ましくは71℃以上、セタン価が40以上、好ましくは45以上、ASTMカラーが1.5以下、好ましくは1.0以下、芳香族化合物が10〜30容量%、好ましくは10〜20容量%、ナトリウム含有量が0.1質量ppm以下、好ましくは0.05質量ppm以下、カリウム含有量が0.1質量ppm以下、好ましくは0.05質量ppm以下、バナジウム含有量が0.1質量ppm以下、好ましくは0.05質量ppm以下、水銀含有量が0.1質量ppm以下、好ましくは0.05質量ppm以下である。
他の石油留分
本発明に係る燃料油は、潤滑性能向上のため、随意的な成分として更にその他の石油留分を含有させてもよい。他の石油留分としては、例えば直留軽油留分及び接触分解軽油留分が挙げられる。
水素化精製されていない直留軽油留分を添加すると、燃料油に対して潤滑性向上のような効果があり、本発明に係る燃料油の基材として好適な直留軽油留分は、5%留出温度が230〜270℃で95%留出温度が350〜370℃、好ましくは5%留出温度が240〜260℃で95%留出温度が350〜360℃、密度が0.82〜0.87g/cm3、好ましくは0.84〜0.86g/cm3、硫黄分が1.0〜1.5質量ppm、好ましくは1.0〜1.3質量ppm、窒素分が200質量ppm以下、好ましくは100質量ppm以下、10%残油の残留炭素が0.2質量%以下、好ましくは0.1質量%以下、引火点が70℃以上、好ましくは71℃以上、セタン価が55〜65、好ましくは60〜65、ASTMカラーが1.5以下、好ましくは0.5以下、芳香族化合物が10〜30容量%、好ましくは15〜25容量%、ナトリウム含有量が0.1質量ppm以下、好ましくは0.05質量ppm以下、カリウム含有量が0.1質量ppm以下、好ましくは0.05質量ppm以下、バナジウム含有量が0.1質量ppm以下、好ましくは0.05質量ppm以下、水銀含有量が0.1質量ppm以下、好ましくは0.05質量ppm以下である。
該直留軽油留分は潤滑性向上のため、燃料油中に1〜10容量%、好ましくは1〜3容量%配合することができる。
水素化精製されていない接触分解軽油留分を添加することにより燃料油に対して総発熱量を高め、潤滑性を向上させるような効果があり、本発明に係る燃料油の基材として好適な直留軽油留分は、5%留出温度が200〜240℃で95%留出温度が310〜360℃、好ましくは5%留出温度が210〜230℃で95%留出温度が320〜350℃、密度が0.90〜0.93g/cm3、好ましくは0.91〜0.92g/cm3、硫黄分が0.1〜0.3質量%、好ましくは0.1〜0.2質量ppm、窒素分が500質量ppm以下、好ましくは300質量ppm以下、10%残油の残留炭素が0.2質量%以下、好ましくは0.1質量%以下、引火点が50〜90℃、好ましくは70〜80℃、セタン価が20〜35、好ましくは25〜35、ASTMカラーが1.5以下、好ましくは0.5以下、芳香族化合物が60〜95容量%、好ましくは60〜80容量%、ナトリウム含有量が1.0質量ppm以下、好ましくは0.5質量ppm以下、カリウム含有量が0.1質量ppm以下、好ましくは0.05質量ppm以下、バナジウム含有量が0.1質量ppm以下、好ましくは0.05質量ppm以下、水銀含有量が約0.1質量ppm以下、好ましくは0.05質量ppm以下である。
該接触分解軽油留分は総発熱量および潤滑性向上のため、またセタン価を維持するため、燃料油中に1〜30容量%、好ましくは10〜20容量%配合することができる。
更に、本発明に係る燃料油には、当業界で公知の燃料油添加剤の1種又は2種以上を必要に応じて配合することができる。これらの配合量は適宜選べるが、通常は添加剤の合計配合量を0.1重量%以下に維持することが好ましい。本発明の炭化水素系燃料油で使用可能な燃料油添加剤を例示すれば、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アルキルアクリレート共重合体、ポリアルキルアクリレート等のポリマー系、アルケニルこはく酸アミド等の界面活性剤などの低温流動性向上剤、硝酸アルキル系のセタン価向上剤、脂肪酸系やエステル系の潤滑性向上剤などをあげることができる。
更に、本発明の炭化水素系燃料油には所望の性状が維持されることを条件として、脂肪酸メチルエステルや脂肪酸エチルエステル等のバイオディーゼルを配合することもできる。バイオディーゼルを配合することにより潤滑性向上のような効果があり、通常は燃料中で1〜30容量%、好ましくは1〜10容量%となるように配合する。
本発明に係る燃料油
以上説明してきた基材を所要量配合することにより得られる本発明に係る炭化水素系燃料油は以下の特徴を有する。
硫黄分が500質量ppm以下、窒素分が100質量ppm以下である。硫黄分、窒素分を上記範囲にすることにより、燃焼後の硫黄酸化物、窒素酸化物を低減することができ、また、ディーゼル機関の排ガス後処理装置の負荷を低減できる。
硫黄分は典型的な実施形態においては200〜500質量ppmであり、幾つかの実施形態においては350〜500質量ppmである。
窒素分は典型的な実施形態においては20〜100質量ppmであり、幾つかの実施形態においては40〜90質量ppmである。
10%残油の残留炭素分が0.20質量%以下、好ましくは0.10質量%以下、より好ましくは0.05質量%以下である。10%残油の残留炭素分の上限値を上記範囲にすることにより、フィルター通過性を良好にすることができる。
芳香族化合物が30容量%以下である。芳香族分を上記範囲にすることにより、燃焼を良好にすることができる。
芳香族化合物は典型的な実施形態においては10〜30容量%であり、幾つかの実施形態においては20〜30容量%である。
ASTMカラーが1.5以下、好ましくは1.0以下、典型的には0.5以下である。ASTMカラーを上記範囲にすることにより、スラッジの発生を抑えることができる。
引火点が70℃以上、好ましくは72℃以上、さらに好ましくは75℃以上である。引火点を上記範囲にすることにより、安全性を高めることができる。
引火点は典型的な実施形態においては70℃〜100℃であり、幾つかの実施形態においては75℃〜80℃である。
HFRRが500μm以下、好ましくは460μm以下である。HFRRを上記範囲にすることにより、噴射ポンプの磨耗を防止することができる。
HFRRは典型的な実施形態においては400〜500μmであり、幾つかの実施形態においては400〜460μmである。
総発熱量が38,600kJ/L以上、好ましくは38,700kJ/L以上、典型的には38,700〜39,300kJ/Lである。
上記の性状を有する本発明に係る燃料油は、A重油同等の発熱量を有しながら、ディーゼルエンジンに用いた際に、その排ガス後処理装置が十分に機能する。排ガス後処理装置を用いない場合でも、また、ディーゼルエンジン以外の外燃ボイラーなどに用いた場合にも、排ガスを向上できる。
更に、本発明に係る燃料油は、ナトリウム含有分が0.1質量ppm以下、好ましくは0.05質量ppm以下であり、カルシウム含有分が0.1質量ppm以下、好ましくは0.05質量ppm以下であり、バナジウム含有分が0.1質量ppm以下、好ましくは0.05質量ppm以下であり、水銀が0.1質量ppm以下、好ましくは0.05質量ppm以下であることが機関や装置の腐食を防止する上で好ましい。
更に、寒冷地での使用に適するために、本発明に係る燃料油は、流動点が−5℃以下であることが好ましく、−7.5〜−15℃であることがより好ましい。
本発明に係る燃料油に用いる基材は比較的容易に入手できるものであり、また、配合時に複雑な工程を経る必要もないため、本発明に係る燃料油は工業的に製造することが容易である。
本明細書で使用される各種パラメータは以下の方法に準拠して測定されたものをいう。
硫黄分:JIS K2541−6「硫黄分試験方法(紫外蛍光法)」に規定された方法
窒素分:JIS K 2609「窒素分試験方法(化学発光法)」に規定された方法
密度:JIS K 2249「原油及び石油製品密度試験方法」に規定された方法(15℃)
10%残油の残留炭素分:JIS K 2270「残留炭素分試験方法」に規定された方法
芳香族含有量:JPI−5S−49−97「石油製品―炭化水素タイプ試験方法―高速液体クロマトグラフ法」に規定された方法
ASTMカラー:JIS K 2580「色試験方法」に規定された方法
引火点:JIS K 2265「引火点試験方法」に規定された方法
HFRR:JPI−5S−50−98「軽油−潤滑性試験方法」に規定された方法
ナトリウム含有分:プラズマ発光分光法
カルシウム含有分:プラズマ発光分光法
バナジウム含有分:プラズマ発光分光法
水銀含有分:原子吸光法
流動点:JIS K 2269「流動点試験方法」に規定された方法
セタン価:JIS K2280「セタン指数算出方法」に規定された方法
総発熱量:JIS K2279「発熱量試験方法」に規定された方法
沸点及び留出温度:JIS K 2254「燃料油蒸留試験方法」に規定された方法
以下に、本発明を実施例に基づいてより詳細に説明するが、本発明は、これらに限定されるものではない。
表1に示す炭化水素系燃料油基材を用意した。各基材は、次の方法で用意した。
基材A:中東系原油を常圧蒸留して、常圧蒸留装置から留出される、5%留出温度が255℃であって95%留出温度が354℃の直留軽油留分である。
基材B:常圧蒸留装置から留出される直留軽油:50容量%、流動接触分解装置から留出されるライトサイクルオイル:10容量%、熱分解装置から留出される軽油留分40容量%を混合して、水素化精製して得られる、5%留出温度が230℃であって95%留出温度が351℃の留分である。
基材C:間接脱硫装置から留出される5%留出温度が262℃であって95%留出温度が320℃の留分である。
基材D:流動接触分解装置から留出される5%留出温度が212℃であって95%留出温度が336℃の留分である。
基材E:ノルマルパラフィン製造装置からから留出されるラフィネートであり、5%留出温度が197℃であって95%留出温度が242℃の留分である。
Figure 0005105858
表1で示した基材を表2の比率で配合して、実施例1〜となる炭化水素系燃料油を調製した。調製した炭化水素系燃料油の性状・特性を表2に併せて示す。
Figure 0005105858

Claims (7)

  1. 分解軽油留分を水素化精製した留分を10〜40容量%と、間接脱硫軽油留分を70〜5容量%とを含む炭化水素系燃料油であって、
    硫黄分が200質量ppm以上500質量ppm以下、窒素分が100質量ppm以下、密度が0.850〜0.875g/cm3、10%残油の残留炭素分が0.20質量%以下、芳香族化合物が30質量%以下、ASTMカラーが1.5以下、引火点が70℃以上、セタン価が45以上、HFRRが500μm以下、かつ、総発熱量が38,600kJ/L以上の炭化水素系燃料油。
  2. ナトリウム含有分が0.1質量ppm以下、カルシウム含有分が0.1質量ppm以下、バナジウム含有分が0.1質量ppm以下、かつ、水銀が0.1質量ppm以下である請求項1に記載の燃料油。
  3. 密度が0.850〜0.860g/cm3である請求項1又は2に記載の燃料油。
  4. 流動点が−5℃以下である請求項1〜3の何れか一項に記載の燃料油。
  5. 分解軽油留分を水素化精製した留分を10〜40容量%と、間接脱硫軽油留分を70〜5容量%とを配合することを含む炭化水素系燃料油の製造方法。
  6. 前記分解軽油留分は熱分解軽油留分と接触分解軽油留分の混合物である請求項5に記載の燃料油の製造方法。
  7. 引火点が70℃以上、析出点が−70℃以下、硫黄分が1質量ppm以下、窒素分が1質量ppm以下の基材を1〜25容量%更に配合することを含む請求項5又は6に記載の燃料油の製造方法。
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