JP3874601B2 - 工業炉用燃料油 - Google Patents
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【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は工業炉用燃料油に関し、結晶水を有する化合物から結晶水を減少させる反応や化学反応に供される工業炉、特にセメント工業用窯炉に用いられる燃料油に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
近年、環境に対する負荷低減及び燃費向上を目的として、工業炉やその付帯設備の改善がなされている。また、工業炉に使用する燃料についても、より高い発熱量（高カロリー）の燃料油が要求される傾向にある。
従来、セメント工業用窯炉等の工業炉用燃料油として、主に灯油、Ａ重油及びＣ重油が用いられている。これらの中で、灯油は、硫黄分、窒素分、残留炭素分が極めて低く、環境負荷が小さいが、発熱量が低いという欠点を有している。
一方、Ａ重油は、一般に安定供給の面で優れており、かつ灯油に比べて高い発熱量を持つが、近年、より高い発熱量が要求される傾向がある。より高い発熱量を有するＡ重油はライトサイクルオイル（ＬＣＯ）の混合比率の増大により達成できることが知られているが、該ＬＣＯの混合比率が高い燃料を使用した場合、工業炉に使用時に着火不良、煤の発生など燃焼不良が観察されることがある。
このＡ重油より高い発熱量を有する燃料油としてＣ重油があるが、Ｃ重油は、高粘度を有し、加温設備が必要であるなど、取り扱いが不便である上、硫黄分、窒素分、残留炭素分が高いなど、環境に対する影響が大きいという欠点を有している。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、以上のような状況下で、燃焼性が良好で、かつ高い発熱量を有し、燃料使用量（燃料原単位）の低減及び環境負荷の低減が可能な工業炉用燃料油を提供することを目的とするものである。
【０００４】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、特定の性状を有し、かつ一次空気比を制御した二段燃焼式バーナにより、結晶水を有する化合物から結晶水を減少させる反応および／または化学反応のための工業炉に用いられる工業炉用燃料油が、その目的に適合し得ることを見い出し、本発明に到達した。すなわち、本発明は、１５℃における密度が０．９００ｇ／ミリリットル以上、硫黄分量が０．６重量％以下、灰分量が０．０１重量％以下、反応が中性、引火点が６０℃以上、５０℃における動粘度が１．０〜５．０ｍｍ2／ｓ、１０％残油の残留炭素分量が０．３重量％以下、総発熱量が３９，８００ｋＪ／リットル以上及びセタン指数が２３以上であり、かつ一次空気比を５〜３０％として二段燃焼式バーナにより、セメント工業用窯炉に用いられることを特徴とする燃料油を提供するものである。
【０００５】
【発明の実施の形態】
本発明の工業炉用燃料油は、以下に示す性状を有するものである。
まず、１５℃における密度は0.９００ｇ／ミリリットル以上、好ましくは0.９０５ｇ／ミリリットル以上である。この密度が0.９００ｇ／ミリリットル未満では充分な発熱量が得られない。また、硫黄分量は0.６重量％以下、好ましくは0.３重量％以下である。この硫黄分量が0.６重量％を超えると煙道の低温腐食防止が不充分となる。さらに、工業炉や、その付帯設備の腐食抑制の点から、灰分量は0.０１重量％以下であり、反応は中性である。引火点は、取扱いの安全性（ＪＩＳ Ａ重油１種１号規格）の面から６０℃以上であり、５０℃における動粘度は、燃焼性及び取扱い性の面から、1.０〜5.０ｍｍ2 ／ｓの範囲、好ましくは1.５〜3.５ｍｍ2 ／ｓの範囲である。また、１０％残油の残留炭素分量は、煤発生の抑制の点から、0.３重量％以下である。総発熱量は、灯油及びＡ重油（従来品）に対する優位性の点から、３９，８００ｋＪ／リットル（９５００ｋｃａｌ／リットル）以上であり、また、セタン指数は燃焼性の面から、２３以上、好ましくは２５以上である。
【０００６】
このような性状を有する本発明の工業炉用燃料油は、ライトサイクルオイル（ＬＣＯ）を９０容量％以上の割合で含むものが好適であり、９５容量％以上の割合で含むものが更に好適である。ここで、ライトサイクルオイル（ＬＣＯ）は、通常流動接触分解（ＦＣＣ）または残油流動接触分解（ＲＦＣＣ）により生成する軽質軽油を指す。ライトサイクルオイル（ＬＣＯ）の代表的な性状は、密度が０．８９５〜０．９６０ｇ／ミリリットル、沸点範囲は初留点が１６０〜２２０℃、50％留分点が１９０〜３００0 ℃、終留点が３３０〜３６０℃である。
なお、上記諸物性は、後述の方法に従って測定した値である。
【０００７】
本発明の対象である工業炉は、結晶水を有する化合物から結晶水を減少させる反応や化学反応のための工業炉であり、セメント工業用窯炉である。これらの工業炉で排ガス中のＮＯｘや煤の発生を抑制する面から、一次空気比を制御した二段燃焼式バーナ、すなわち燃焼用空気を二段に分けて供給し, 第一段階では理論空気量より少ない空気で燃焼し, 第二段階で不足の空気を補給して系全体で完全燃焼するようにしたバーナが用いられる。このように二段燃焼式バーナを用いるに際し、一次空気比を５〜３０％に制御することが重要である。もしも一次空気比が５％未満であると、不完全燃焼により該工業炉からの排ガス中の煤煙量が増加し易く、一方３０％を超えると、充分な輻射エネルギーが得られず, 輻射率が減少するので好ましくない。
【０００８】
【実施例】
次に、本発明を実施例によりさらに詳しく説明するが、本発明は以下の実施例によってなんら限定されるものではない。
なお、燃料油の諸物性は、下記の方法に従って測定した。
（１）密度（１５℃）：ＪＩＳ Ｋ２２４９に準拠
（２）硫黄分量：ＪＩＳ Ｋ２５４１に準拠
（３）灰分量：ＪＩＳ Ｋ２２７２に準拠
（４）反応：ＪＩＳ Ｋ２２５２に準拠
（５）引火点：ＪＩＳ Ｋ２２６５に準拠
（６）動粘度（５０℃）：ＪＩＳ Ｋ２２８３に準拠
（７）１０％残留炭素分量：ＪＩＳ Ｋ２２７０に準拠
（８）総発熱量：ＪＩＳ Ｋ２２７９に準拠
（９）セタン指数：ＪＩＳ Ｋ２２０４に準拠
【０００９ 】
実施例１，２及び比較例１〜４
工業炉用燃料油を、それぞれＦＣＣからのＬＣＯ（実施例１）、ＲＦＣＣからのＬＣＯ（実施例２）、灯油（比較例１）、Ａ重油１（比較例２）、Ａ重油２（比較例３）及びＣ重油（比較例４）を用いて調製した。それぞれの性状を第１表に示す。
各燃料油について、下記の燃焼性評価を行った。結果を第１表に示す。
＜燃焼性評価＞
バーナ：二段燃焼式、負荷：定格（燃料20リットル/hr)、一次空気比率20vol%の条件で燃焼テストを行い、以下に示すように燃焼性を評価した。
着火性：良好に着火するかどうかを確認した。
煤発生状況：排ガス酸素濃度2.5 容量％において、排ガスのバッカラッカ指数が3.0 未満を○、3.0 以上6.０未満を△、6.０以上を×とした。
燃料油発熱量：３９，８００ｋＪ／リットル以上を○、３９，８００ｋＪ／リットル未満を△とした。
取扱い性：粘度の点から、加温不要を○、加温必要を△とした。
【００１０】
【表１】
【００１１】
実施例３〜５及び比較例５〜６
実施例１と同様の燃料油を用い、バーナ：二段燃焼式、負荷：定格（燃料20リットル/hr)の条件で一次空気比率を変えた燃焼テストを行い、ツインビームパイロメーターを利用するシュミット法による輻射率を求めた。なお煤発生状況は、排ガス酸素濃度2.5 容量％において、排ガスのバッカラッカ指数が3.0 未満を○、3.0 以上6.０未満を△、6.０以上を×とした。結果を第２表に示す。
【００１２】
【表２】
【００１３】
実施例６，７及び比較例７
図１に示すフローのセメント工業用窯炉（セメントキルン）で、実施例１のＦＣＣからのＬＣＯ（実施例６，７）および比較例１（比較例７）の灯油を用い、燃料原単位等の比較を行った。結果を第３表に示す。
なお、ロータリーキルンの大きさは、内径1. 5ｍ、長さ28ｍであり、セメント２ｔ／ｈｒの製造能力を有するセメント工業用窯炉である。
セメントキルンでの主な反応は次に通りである。
450 〜800 ℃：Al2O3 ・２SiO2・２H2O → ２Al2O3 ・２SiO2＋２H2O
710 〜900 ℃：MgCO3 → MgO ＋CO2
750 〜730 ℃：CaCO3 → CaO ＋CO2
＜800 ℃：CaO ＋ Al2O3 → CaO ・ Al2O3
950 〜1200℃：CaO ＋２SiO2 → CaO ・ ２SiO2
1200〜1300℃：3CaO ＋ Al2O3 → 3CaO・ Al2O3
1260〜1450℃：2CaO ＋ SiO2 → 2CaO ・SiO2
【００１４】
【表３】
【００１５】
第３表において、実施例６は比較例７の燃料発熱量に相当した量の燃料使用量とした場合であり、本発明では高い発熱量を有する燃料油を用いるので燃料使用量が減少するが、クリンカ温度が比較例７に比べ約５０℃高いことから、燃料使用量を更に削減できることが分かる。
実施例７は比較例７とほぼ同一のクリンカ温度になるまで燃料使用量を削減した場合であり、本発明の工業炉用燃料油を用いることにより、燃料の発熱量以上の燃料使用量が削減されると共に、排ガスのNOｘも著しく低減されている。これは、火炎の輻射エネルギー増大及び火炎温度低下が原因と考えられる。
【００１６】
【発明の効果】
以上の実施例からも明らかなように、本発明の工業炉用燃料油は、燃焼性が良好で、かつ高い発熱量を有し、燃料使用量（燃料原単位）が削減されると共に、排ガスのＮＯｘも著しく低減されることなどから環境負荷が低減される。本発明の工業炉用燃料油は、二段燃焼式バーナにより、結晶水を有する化合物から結晶水を減少させる反応や化学反応に供される工業炉、特にセメント工業用窯炉に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【図１】実施例６，７及び比較例７におけるセメント工業用窯炉（セメントキルン）のフロー図である。
【符号の説明】
１：ロータリーキルン
２：サイクロン
３：燃料タンク
４：セメント原料供給口
５：燃焼用空気供給口
６：クリンカ排出口
７：煙突
【発明の属する技術分野】
本発明は工業炉用燃料油に関し、結晶水を有する化合物から結晶水を減少させる反応や化学反応に供される工業炉、特にセメント工業用窯炉に用いられる燃料油に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
近年、環境に対する負荷低減及び燃費向上を目的として、工業炉やその付帯設備の改善がなされている。また、工業炉に使用する燃料についても、より高い発熱量（高カロリー）の燃料油が要求される傾向にある。
従来、セメント工業用窯炉等の工業炉用燃料油として、主に灯油、Ａ重油及びＣ重油が用いられている。これらの中で、灯油は、硫黄分、窒素分、残留炭素分が極めて低く、環境負荷が小さいが、発熱量が低いという欠点を有している。
一方、Ａ重油は、一般に安定供給の面で優れており、かつ灯油に比べて高い発熱量を持つが、近年、より高い発熱量が要求される傾向がある。より高い発熱量を有するＡ重油はライトサイクルオイル（ＬＣＯ）の混合比率の増大により達成できることが知られているが、該ＬＣＯの混合比率が高い燃料を使用した場合、工業炉に使用時に着火不良、煤の発生など燃焼不良が観察されることがある。
このＡ重油より高い発熱量を有する燃料油としてＣ重油があるが、Ｃ重油は、高粘度を有し、加温設備が必要であるなど、取り扱いが不便である上、硫黄分、窒素分、残留炭素分が高いなど、環境に対する影響が大きいという欠点を有している。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、以上のような状況下で、燃焼性が良好で、かつ高い発熱量を有し、燃料使用量（燃料原単位）の低減及び環境負荷の低減が可能な工業炉用燃料油を提供することを目的とするものである。
【０００４】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、特定の性状を有し、かつ一次空気比を制御した二段燃焼式バーナにより、結晶水を有する化合物から結晶水を減少させる反応および／または化学反応のための工業炉に用いられる工業炉用燃料油が、その目的に適合し得ることを見い出し、本発明に到達した。すなわち、本発明は、１５℃における密度が０．９００ｇ／ミリリットル以上、硫黄分量が０．６重量％以下、灰分量が０．０１重量％以下、反応が中性、引火点が６０℃以上、５０℃における動粘度が１．０〜５．０ｍｍ2／ｓ、１０％残油の残留炭素分量が０．３重量％以下、総発熱量が３９，８００ｋＪ／リットル以上及びセタン指数が２３以上であり、かつ一次空気比を５〜３０％として二段燃焼式バーナにより、セメント工業用窯炉に用いられることを特徴とする燃料油を提供するものである。
【０００５】
【発明の実施の形態】
本発明の工業炉用燃料油は、以下に示す性状を有するものである。
まず、１５℃における密度は0.９００ｇ／ミリリットル以上、好ましくは0.９０５ｇ／ミリリットル以上である。この密度が0.９００ｇ／ミリリットル未満では充分な発熱量が得られない。また、硫黄分量は0.６重量％以下、好ましくは0.３重量％以下である。この硫黄分量が0.６重量％を超えると煙道の低温腐食防止が不充分となる。さらに、工業炉や、その付帯設備の腐食抑制の点から、灰分量は0.０１重量％以下であり、反応は中性である。引火点は、取扱いの安全性（ＪＩＳ Ａ重油１種１号規格）の面から６０℃以上であり、５０℃における動粘度は、燃焼性及び取扱い性の面から、1.０〜5.０ｍｍ2 ／ｓの範囲、好ましくは1.５〜3.５ｍｍ2 ／ｓの範囲である。また、１０％残油の残留炭素分量は、煤発生の抑制の点から、0.３重量％以下である。総発熱量は、灯油及びＡ重油（従来品）に対する優位性の点から、３９，８００ｋＪ／リットル（９５００ｋｃａｌ／リットル）以上であり、また、セタン指数は燃焼性の面から、２３以上、好ましくは２５以上である。
【０００６】
このような性状を有する本発明の工業炉用燃料油は、ライトサイクルオイル（ＬＣＯ）を９０容量％以上の割合で含むものが好適であり、９５容量％以上の割合で含むものが更に好適である。ここで、ライトサイクルオイル（ＬＣＯ）は、通常流動接触分解（ＦＣＣ）または残油流動接触分解（ＲＦＣＣ）により生成する軽質軽油を指す。ライトサイクルオイル（ＬＣＯ）の代表的な性状は、密度が０．８９５〜０．９６０ｇ／ミリリットル、沸点範囲は初留点が１６０〜２２０℃、50％留分点が１９０〜３００0 ℃、終留点が３３０〜３６０℃である。
なお、上記諸物性は、後述の方法に従って測定した値である。
【０００７】
本発明の対象である工業炉は、結晶水を有する化合物から結晶水を減少させる反応や化学反応のための工業炉であり、セメント工業用窯炉である。これらの工業炉で排ガス中のＮＯｘや煤の発生を抑制する面から、一次空気比を制御した二段燃焼式バーナ、すなわち燃焼用空気を二段に分けて供給し, 第一段階では理論空気量より少ない空気で燃焼し, 第二段階で不足の空気を補給して系全体で完全燃焼するようにしたバーナが用いられる。このように二段燃焼式バーナを用いるに際し、一次空気比を５〜３０％に制御することが重要である。もしも一次空気比が５％未満であると、不完全燃焼により該工業炉からの排ガス中の煤煙量が増加し易く、一方３０％を超えると、充分な輻射エネルギーが得られず, 輻射率が減少するので好ましくない。
【０００８】
【実施例】
次に、本発明を実施例によりさらに詳しく説明するが、本発明は以下の実施例によってなんら限定されるものではない。
なお、燃料油の諸物性は、下記の方法に従って測定した。
（１）密度（１５℃）：ＪＩＳ Ｋ２２４９に準拠
（２）硫黄分量：ＪＩＳ Ｋ２５４１に準拠
（３）灰分量：ＪＩＳ Ｋ２２７２に準拠
（４）反応：ＪＩＳ Ｋ２２５２に準拠
（５）引火点：ＪＩＳ Ｋ２２６５に準拠
（６）動粘度（５０℃）：ＪＩＳ Ｋ２２８３に準拠
（７）１０％残留炭素分量：ＪＩＳ Ｋ２２７０に準拠
（８）総発熱量：ＪＩＳ Ｋ２２７９に準拠
（９）セタン指数：ＪＩＳ Ｋ２２０４に準拠
【０００９ 】
実施例１，２及び比較例１〜４
工業炉用燃料油を、それぞれＦＣＣからのＬＣＯ（実施例１）、ＲＦＣＣからのＬＣＯ（実施例２）、灯油（比較例１）、Ａ重油１（比較例２）、Ａ重油２（比較例３）及びＣ重油（比較例４）を用いて調製した。それぞれの性状を第１表に示す。
各燃料油について、下記の燃焼性評価を行った。結果を第１表に示す。
＜燃焼性評価＞
バーナ：二段燃焼式、負荷：定格（燃料20リットル/hr)、一次空気比率20vol%の条件で燃焼テストを行い、以下に示すように燃焼性を評価した。
着火性：良好に着火するかどうかを確認した。
煤発生状況：排ガス酸素濃度2.5 容量％において、排ガスのバッカラッカ指数が3.0 未満を○、3.0 以上6.０未満を△、6.０以上を×とした。
燃料油発熱量：３９，８００ｋＪ／リットル以上を○、３９，８００ｋＪ／リットル未満を△とした。
取扱い性：粘度の点から、加温不要を○、加温必要を△とした。
【００１０】
【表１】
実施例３〜５及び比較例５〜６
実施例１と同様の燃料油を用い、バーナ：二段燃焼式、負荷：定格（燃料20リットル/hr)の条件で一次空気比率を変えた燃焼テストを行い、ツインビームパイロメーターを利用するシュミット法による輻射率を求めた。なお煤発生状況は、排ガス酸素濃度2.5 容量％において、排ガスのバッカラッカ指数が3.0 未満を○、3.0 以上6.０未満を△、6.０以上を×とした。結果を第２表に示す。
【００１２】
【表２】
実施例６，７及び比較例７
図１に示すフローのセメント工業用窯炉（セメントキルン）で、実施例１のＦＣＣからのＬＣＯ（実施例６，７）および比較例１（比較例７）の灯油を用い、燃料原単位等の比較を行った。結果を第３表に示す。
なお、ロータリーキルンの大きさは、内径1. 5ｍ、長さ28ｍであり、セメント２ｔ／ｈｒの製造能力を有するセメント工業用窯炉である。
セメントキルンでの主な反応は次に通りである。
450 〜800 ℃：Al2O3 ・２SiO2・２H2O → ２Al2O3 ・２SiO2＋２H2O
710 〜900 ℃：MgCO3 → MgO ＋CO2
750 〜730 ℃：CaCO3 → CaO ＋CO2
＜800 ℃：CaO ＋ Al2O3 → CaO ・ Al2O3
950 〜1200℃：CaO ＋２SiO2 → CaO ・ ２SiO2
1200〜1300℃：3CaO ＋ Al2O3 → 3CaO・ Al2O3
1260〜1450℃：2CaO ＋ SiO2 → 2CaO ・SiO2
【００１４】
【表３】
第３表において、実施例６は比較例７の燃料発熱量に相当した量の燃料使用量とした場合であり、本発明では高い発熱量を有する燃料油を用いるので燃料使用量が減少するが、クリンカ温度が比較例７に比べ約５０℃高いことから、燃料使用量を更に削減できることが分かる。
実施例７は比較例７とほぼ同一のクリンカ温度になるまで燃料使用量を削減した場合であり、本発明の工業炉用燃料油を用いることにより、燃料の発熱量以上の燃料使用量が削減されると共に、排ガスのNOｘも著しく低減されている。これは、火炎の輻射エネルギー増大及び火炎温度低下が原因と考えられる。
【００１６】
【発明の効果】
以上の実施例からも明らかなように、本発明の工業炉用燃料油は、燃焼性が良好で、かつ高い発熱量を有し、燃料使用量（燃料原単位）が削減されると共に、排ガスのＮＯｘも著しく低減されることなどから環境負荷が低減される。本発明の工業炉用燃料油は、二段燃焼式バーナにより、結晶水を有する化合物から結晶水を減少させる反応や化学反応に供される工業炉、特にセメント工業用窯炉に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【図１】実施例６，７及び比較例７におけるセメント工業用窯炉（セメントキルン）のフロー図である。
【符号の説明】
１：ロータリーキルン
２：サイクロン
３：燃料タンク
４：セメント原料供給口
５：燃焼用空気供給口
６：クリンカ排出口
７：煙突
Claims (2)
- １５℃における密度が０．９００ｇ／ミリリットル以上、硫黄分量が０．６重量％以下、灰分量が０．０１重量％以下、反応が中性、引火点が６０℃以上、５０℃における動粘度が１．０〜５．０ｍｍ2／ｓ、１０％残油の残留炭素分量が０．３重量％以下、総発熱量が３９，８００ｋＪ／リットル以上及びセタン指数が２３以上であり、かつ一次空気比を５〜３０％として二段燃焼式バーナにより、セメント工業用窯炉に用いられることを特徴とする燃料油。
- ライトサイクルオイルを９０容量％以上含む請求項１に記載の燃料油。
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|---|---|
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|---|---|---|---|---|
| JP5105858B2 (ja) * | 2006-12-22 | 2012-12-26 | Ｊｘ日鉱日石エネルギー株式会社 | 炭化水素系燃料油及びその製造方法 |
| JP5507043B2 (ja) * | 2007-09-27 | 2014-05-28 | 出光興産株式会社 | 燃料油組成物 |
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