JP5104437B2 - 炭素ドープ単結晶製造方法 - Google Patents
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Description
近年では、シリコンウェーハ中の結晶欠陥を制御しつつ十分なIG能力を付与するために、炭素や窒素を意図的にドープしてシリコン単結晶を製造することが行われている。
1. るつぼ中に供給した炭素が、原料融解後に、ルツボ内表面と反応して、SiCが形成されて、このSiCが引き上げる単結晶品質を低下する。
2. 原料純度、コスト面から、炭素粉末を利用したいという要求があるが、依然として、飛散、粉末故の難溶解性に伴う予期しない部分への付着、およびこれらに付随したSiC形成や、引き上げ単結晶品質低下への悪影響が改善されない。
ルツボ内にシリコン原料を配置する工程において、炭素ドープ剤を、前記ルツボ内面に対して5cm以上離れた位置に配置し、この状態で前記配置工程後に前記シリコン原料を溶融する溶融工程をおこなうとともに、
前記ルツボ内に前記シリコン原料を配置する工程において、前記炭素ドープ剤を、配置した前記シリコン原料の上側表面から5cm以上内側位置に配置し、この状態で前記配置工程後に前記シリコン原料を溶融する溶融工程をおこなうことを特徴とする。
本発明の炭素ドープ単結晶製造方法は、チョクラルスキー法によりチャンバ内において炭素をドープしてシリコン単結晶を製造する方法であって、ルツボ内にシリコン原料を配置する工程において、炭素ドープ剤を、前記ルツボ内面に対して5cm以上離れた位置に配置し、この状態で前記配置工程後に前記シリコン原料を溶融する溶融工程をおこなうことにより、投入した炭素ドープ剤がルツボ内表面と反応してSiCとなり、このSiCが異物として単結晶育成時に取り込まれてしまうことや、粉末の炭素ドープ剤がガス流で飛散してしまうことで、シリコン融液における炭素濃度が所望状態とならずに、引き上げた単結晶における所望の炭素濃度を実現できないことや、粉末故の難溶解性に伴い、未溶融の粉末により有転位化が発生する等により単結晶特性が低下することを防止できる。
ここで、塊状のシリコン原料は前記炭素ドープ剤が載置可能とは、このシリコン原料に載置した炭素ドープ剤が落下しない程度の平面視した大きさを有し、かつ、炭素ドープ剤が落下しない程度に平坦であるか、シリコン原料を配置した際に、炭素ドープ剤が落下しない程度にシリコン原料表面に凹部を有することを意味する。具体的には、配置したシリコン原料の上側表面に凹部が存在し、その凹部の周囲が、凹部内側に比べて高さ方向5mm程度突出していれば充分である。
なお、シート状とは、炭素繊維を編み込んで作製した布状あるいはシート状のもののことをいう。また、炭素ドープ剤として、炭素繊維の素線、数本〜数千本の炭素繊維の素線の束をも適応することができ、この場合にも、純度99.999%の炭素とされることが好ましい。
なお、直径300mmの単結晶シリコンを引き上げる場合の例を示すと、シリコン単結晶のインゴットは、直径306mmで直胴部2000mm、原料総重量400kgとなり、インゴットトップ部のカーボン濃度が1〜2×1016atoms/ccとなるように設定すると、カーボン重量470〜950mgが必要である。従って、シート状の炭素ドープ剤では、厚さ1mmの場合で2.6〜5.3cm2 程度の分量が必要となる。
従って、炭素ドープ剤がこのようなシート状とされた場合には、スリットの幅寸法1.5mm程度、奥行き10〜15mm、長さ寸法2cm以上シリコン原料塊のスリットに沿った最大サイズ寸法以下とされることが好ましく、このように設定されることにより、前記スリットにシート状の炭素ドープ剤を挟むことが容易となる。
上記の寸法のスリットを形成すれば、このスリット内に、必要なカーボン量を精度良く添加でき、成長軸方向のカーボン濃度の偏析のばらつき幅が少ないシリコン単結晶を、重金属等の汚染を伴うことなく、所定量の高純度カーボンをドーピングすることが可能で、成長軸方向のカーボン濃度の偏析のばらつき幅改善が可能である。
また、粉末状の炭素ドープ剤の場合には、スリットの幅寸法3mm程度、奥行き10〜15mm、長さ寸法2cm以上シリコン原料塊のスリットに沿った最大サイズ寸法以下とされることが好ましく、このように設定されることにより、前記スリットに粉末状の炭素ドープ剤を挟むことが容易となる。
具体的には、炭素ドープ剤がシート状とされた場合には、スリットの幅寸法1mm程度、奥行き5〜7mm、長さ寸法1.5cm以上シリコン原料塊のスリットに沿った最大サイズ寸法以下とされることが好ましく、このように設定されることにより、前記スリットに挟むことが容易となる。
同時に、溶融前のシリコン原料配置中から溶融途中までの間、炭素ドープ剤に対するガス流の影響を低減することができる。これにより、配置位置から炭素ドープ剤が移動し、ルツボ内表面付近に近づいた状態でシリコン原料を溶融することがなく、ルツボ内表面でのSiC発生等の不具合を低減して、所望の炭素を含有したシリコン融液状態を実現することができ、炭素ドープ剤がルツボ内表面と反応したSiCが異物として単結晶育成時に取り込まれてしまうことや、飛散した粉末の炭素ドープ剤が単結晶育成時に悪影響を与えることや、シリコン融液における炭素濃度が所望状態とならずに引き上げた単結晶における所望の炭素濃度を実現できないことや、有転位化が発生する等により単結晶特性が低下することを防止できる。
さらに、ブリッジや付着原料の重量により、加熱によって軟化しているルツボの形状を著しく変形させ、変形が著しい場合には結果的に引き上げがおこなえなくなるといった状態になったり、固体として残っていた原料やブリッジが崩落してルツボ内のシリコン融液に落下してルツボ内壁等に損傷を与えるといった問題や、このるつぼ内壁の損傷に起因して、引き上げる単結晶の特性が低下するという問題をも防止することができる。
ここで、前記シリコン原料の下側に比べて上側から先に融解するように、ヒータを制御するとは、具体的に、ルツボの周囲の上サイドヒータと下サイドヒータを有する構成の場合には、溶融開始時に、上サイドヒータの出力が下サイドヒータの1.05〜2.3倍となるように制御し、シリコン融液の液面が引き上げ開始時の約半分の高さになった状態で、上サイドヒータの出力が下サイドヒータの1.05〜0.95倍となるように制御するものである。
具体的には、直径300mmの結晶を引き上げるために400kgの融液を作る場合、溶融開始から6時間は、磁場中心を坩堝底面から70mmの位置におき、その後12時間まで液面から80mm下の位置まで移動させ、その後、原料溶解が終了するまで、当該位置で固定する。このとき、原料溶解に要した時間は約18時間であった。
さらに、前記ルツボの回転速度を0〜5rpmの範囲内で周期的に変化させることができ、前記ルツボの回転は一時停止を含むことができる。これにより、角速度の増加に伴う遠心力の増加により、溶融液内部に混入している微小異物となっている融け残った炭素ドープ剤やSiCは中心に向かう流れに逆らってルツボ壁側へと押しやられる。その後、角加速度を減少させて遠心力を低減すると、ルツボ壁側からルツボ中心側へ向かう流れにより微小異物は中心へ向かおうとするが、再度の角加速度の増加に伴う遠心力の増加によりルツボ壁へと押しやられる。これを繰り返すことにより微小異物はルツボ壁付近で停滞した状態を維持することができる。
また、ルツボを反転させることで、ルツボ内の融液流れを変化させ、ルツボ内壁に接触しない状態で、融け残った炭素ドープ剤を充分溶融することが可能となる。
ここで、引き上げる単結晶サイズとしては、φ300mm、1500〜3000mm程度のものとされ、300〜550kgとされることができる。
溶融したシリコン融液面において前記ルツボ内壁面から前記ルツボ中心部へ向かう融液流を低減するように、前記ルツボ上方に位置して同心状に設けられ略円筒形とされるヒートキャップ下端の高さ位置が、前記シリコン融液面から1〜20cm上側位置に設定されることにより、ヒートキャップ内側からシリコン融液面付近に吹き付けられこの融液面付近でルツボ中心部から外側に向かうガス流を形成して、このガス流により、引き上げ中に融液においてルツボ内壁側から引き上げ中の単結晶側へ形成される融液流れによって、融液表面付近に存在するSiC等が固液界面付近へ流れてゆき、結晶に取り込まれてDF切れ等を発生することを防止できる。
前記ルツボ上方に位置して同心状に設けられ略円筒形とされるヒートキャップ下端の高さ位置が、溶融したシリコン融液面から10〜50cm上側位置に設定されることにより、高温である溶融工程においてヒートキャップ下端の温度が上昇しないようにヒータから離間していたヒートキャップ下端に対して、その後、引き上げを開始するまでの間において、融液においてルツボ中央付近からルツボ内壁側へ流れが形成されてしまい、融液表面付近に炭素ドープ剤が存在していた場合でもこのドープ剤がルツボ内壁付近へ流れてゆきルツボ内壁に接触してSiCが発生することを防止できる。
さらに、この引き上げ状態制御工程、つまり、ルツボ内でシリコン原料及び炭素ドープ剤を溶融して融液を生成した後に、該融液を結晶原料の融点よりも15℃以上高い表面温度を維持して2時間以上放置することができ、さらに、シリコン原料の融点よりも20℃を超える温度とし、かつ放置する時間を10時間以下とすることがより好ましい。これにより、従来は溶融液中で溶け残ることの多かった炭素ドープ剤等を溶融液中に十分に溶け込ませることができる。従って、続く引き上げ工程における有転位化の発生の原因の一つであった、溶融液中に炭素ドープ剤等が溶け残っているという問題が解消できるので、結晶育成中に発生する単結晶の有転位化の回数を減らすことができる。これにより、単結晶製造時の生産性や歩留りを向上させることができる。
溶融したシリコン融液面において前記ルツボ内壁面から前記ルツボ中心部へ向かう融液流を低減し前記ルツボ上方に位置して同心状に設けられ略円筒形とされるヒートキャップ下端の平面視して内側にSiCや混入物などの有転位化原因物が流入することを防止するように、前記チャンバ内の炉内圧が1.3〜6.6kPaに設定され、前記ヒートキャップ上側からルツボ側に流れるガス流量が、3〜150(L/min)に設定されることにより、ヒートキャップ内側からシリコン融液面付近に吹き付けられこの融液面付近でルツボ中心部から外側に向かうガス流を形成して、このガス流により、引き上げ中に融液においてルツボ内壁側から引き上げ中の単結晶側へ形成される融液流れによって、融液表面付近に存在するSiC等が固液界面付近へ流れてゆき、結晶に取り込まれてDF切れ等を発生することを防止できる。
溶融したシリコン融液面において前記ルツボ内壁面から前記ルツボ中心部へ向かう融液流を低減し前記ルツボ上方に位置して同心状に設けられ略円筒形とされるヒートキャップ下端の平面視して内側にSiCが流入することを防止するように、前記シリコン融液と前記単結晶との固液下面の形状が上に凸になるようにヒータ出力状態を制御することにより、引き上げ中に融液においてルツボ内壁側から引き上げ中の単結晶側への融液対流を形成し、この流れによって融液表面付近に存在するSiC等が固液界面付近へ流れることを防止し、結晶に取り込まれてDF切れ等を発生することを防止できる。
単結晶直胴部における引き上げ速度を0.1〜1.5mm/minとすることにより、炭素ドープ結晶の結晶特性を向上することができる。
前記ルツボにシリコン原料を配置する際に、炭素ドープ剤を配置する前記ルツボ内面に対して5cm以上離れた配置位置を設定するドープ位置設定手段を有することにより、投入した炭素ドープ剤がルツボ内表面と反応してSiCとなり、このSiCが異物として単結晶育成時に取り込まれてしまうことや、粉末の炭素ドープ剤がガス流で飛散してしまうことや、シリコン融液における炭素濃度が所望状態とならずに、引き上げた単結晶における所望の炭素濃度を実現できないことや、粉末故の難溶解性に伴い、未溶融の粉末により有転位化が発生する等により単結晶特性が低下することを防止できる。
図1は、本実施形態における炭素ドープ単結晶製造装置の一部を示す正面図であり、図において、符号1は、CZ法を用いた炭素ドープ単結晶製造装置(単結晶引上装置)のチャンバである。
本実施形態における炭素ドープ単結晶製造方法は、図2に示すように、シリコン原料配置工程S1と、炭素ドープ剤配置工程S2と、炭素ドープ剤配置位置確認工程S3と、溶融状態制御工程S4と、溶融工程S5と、引き上げ状態制御工程S6と、引き上げ工程S7とを有するものである。
シリコン原料配置工程S1においては、前記ルツボ3内に前記シリコン原料Sを配置する際、炭素ドープ剤を、前記ルツボ3内面3aに対して距離D1とされる5cm以上離れた位置すなわち、図3に示す領域K1内に配置することが好ましい。さらに、シリコン原料配置工程S1においては、前記シリコン原料Sの上側表面S11から距離D2とされる5cm以上内側位置、すなわち、図4に示す領域K2内に配置することが好ましい。
さらに、シリコン原料配置工程S1においては、配置した前記シリコン原料S内で、前記ルツボ底面3bから前記シリコン原料上側表面S11までの高さHに対して、H/2であるこの中心位置Oから上H/4の高さH1,下H/4の高さH2の間とされる位置つまり、図5に示す領域範囲K3内に、炭素ドープ剤が配置(充填)され、また、ルツボ3の半径R(直径2R)に対して、平面視したルツボ3中心Oから、R/2である横方向位置R1,R2の範囲である図5に示す領域範囲K3内に、炭素ドープ剤が配置されることが好ましい。
炭素ドープ剤配置工程S2においては、配置した前記シリコン原料Sとして、図3〜図5、図7に示すように、少なくとも平面視して10cm2 以上の塊状の原料S12を有し、該塊状のシリコン原料S12は前記炭素ドープ剤が載置可能な平面形状とされるとともに、図7で矢印SSで示すように、この塊状のシリコン原料S12上に前記炭素ドープ剤が載置されることにより、溶融前の配置位置である塊状のシリコン原料S12上側から炭素ドープ剤が落下し、ルツボ底面3b付近に近づくか接触した状態でシリコン原料Sを溶融することを防止できる。
ここで、塊状のシリコン原料S12においては、前記炭素ドープ剤が載置可能な平面形状であり、このシリコン原料S12に載置した炭素ドープ剤が落下しない程度の平面視した大きさを有し、かつ、炭素ドープ剤が落下しない程度に平坦であるか、シリコン原料を配置した際に、炭素ドープ剤が落下しない程度にシリコン原料S12の上側表面に凹部S12aを有し、その凹部S12aの周囲S12bが、凹部S12a内側に比べて高さ方向寸法SHとして5mm程度突出していれば充分である。
このとき、シリコン原料S13として、図6に示すように、炭素ドープ剤を挟むためのスリットSLが形成された塊状とされ、炭素ドープ剤が1cm2 程度のシート状とされた場合には、スリットSLが、少なくともシート状炭素ドープ剤の半分以上の面積を挿入可能な寸法に設定され、具体的には、スリットの幅寸法SL1;3mm程度、奥行きSL2;10〜15mm、長さ寸法SL3;2cm以上シリコン原料塊のスリットに沿った最大サイズ寸法SL4以下とされることが好ましく、このように設定される。ここで、スリットSLを設ける方向は、シリコン原料S13の最大寸法SL5に沿っていることは必要ではなく、長さ運寸法SLが1.5cmより大きく設定して炭素ドープ剤を挟めでばどの方向に形成してもよい。
また、粉末状の炭素ドープ剤の場合には、スリットSLの幅寸法SL1;2mm程度、奥行きSL;5〜10mm、長さ寸法SL3;1.5cm以上シリコン原料塊のスリットに沿った最大サイズ寸法SL4以下とされることが好ましく、このように設定されることにより、前記スリットに粉末状の炭素ドープ剤を挟むことが容易になる。
本実施形態のドープ位置設定手段20は、前記ルツボ3上端3d位置および該ルツボ3との相対位置として炭素ドープ剤配置位置のうち高さ位置および水平方向位置を検出する検出手段20aと、該検出手段からの出力を表示する表示手段20bと、を有するものとされ、図7に示すように、前記ルツボ3側壁3aにルツボ3中心位置を通って掛け渡すルツボ上端位置検出棒部材21と、該ルツボ上端位置検出棒部材21の中心位置から下方に向かって高さ方向移動可能に垂設される高さ位置設定棒部材22と、該高さ位置設定棒部材22下端に設けられ水平方向範囲を設定する略円板である水平方向範囲位置設定部材23と、を有する。
炭素ドープ剤配置位置確認工程S3においては、ルツボ上端位置検出棒部材21をルツボ3上端3dに載置し、高さ位置設定棒部材22がルツボ3中心位置にくるようにして、水平方向範囲位置設定部材23をシリコン原料に接触しない程度に下げて、検出手段20bの目盛りを読み、これが、あらかじめ設定した領域K1〜K3の範囲内にあるかどうか確認することで高さ位置を設定する。また、平面視して、水平方向範囲位置設定部材23によって、炭素ドープ剤の配置位置が覆われているかどうかで、水平方向の配置位置があらかじめ設定した領域K1〜K3の範囲内にあるかどうか確認することで水平方向位置を設定する。
さらに、前記ドープ位置設定手段が、前記炭素ドープ剤配置位置データをあらかじめ登録する記憶手段と、前記検出手段の出力を前記記憶手段のデータと比較する演算手段と、該演算結果を表示させる前記表示手段と、を有することもできる。
溶融状態制御工程S4においては、図8に示すように、ルツボ3上方に位置して同心状に設けられるヒートキャップ7のフロー管7cの下端7bの高さ位置が、配置したシリコン原料Sの上側表面S11から20〜50cm上側となる位置SH1とされ、この状態で、次のシリコン原料を溶融する溶融工程S5を開始する。
具体的には、溶融開始時に、図1に示すルツボ3の周囲のヒータのうち、その上側の上サイドヒータ4aの出力が、下側の下サイドヒータ4bの1.05〜2.3倍となるように制御し、シリコン融液Lの液面が引き上げ開始時の液面高さLSの約半分の高さになった状態で、上サイドヒータ4aの出力が下サイドヒータ4bの1.05〜0.95倍となるように制御するものである。
さらに、溶融開始時に、ルツボ3底部3b下側のボトムヒータ4cに電力供給しないとともに、シリコン融液Lの液面が引き上げ開始時の液面LSの約半分の高さになった状態で、ボトムヒータ4cの出力がサイドヒータ4a,4bの0.5倍程度となるように制御する。
さらに、溶融工程S5において、融解開始から融解終了までの時間Tに対して、開始からT/3の間は磁場中心高さがルツボ3底面3bからルツボ3の高さの1/8以上1/3以下の範囲となるように設定し、終了までT/3の間は磁場中心高さが融解終了時のシリコン融液面LSから上下10cmの範囲となるように設定し、開始からT/3〜2T/3の間は前記開始時の高さから終了時の高さまで徐々に移動させるように、原料融解に伴うルツボ3高さ位置変化に対応して、印加磁場の高さを制御する。
また、前記溶融工程S5において、融解開始から融解終了までの時間Tに対して、終了までT/3の間は磁場強度が最強強度で一定になるように設定し、開始からT/3の間は磁場強度が前記最強強度に対して1/8以上1/3以下の範囲となるように設定し、開始からT/3〜2T/3の間は前記開始時の高さから終了時の強度まで徐々に変化させるように、印加する磁場を制御する。
さらに、この引き上げ状態制御工程S6において、融液Lをシリコン原料の融点よりも15℃以上高い表面温度を維持して2時間以上放置することができ、さらに、シリコン原料の融点よりも20℃を超える温度とし、かつ放置する時間を10時間以下とすることがより好ましい。
引き上げ工程S7において、図9に示すように、チャンバ1上部の縦型筒部1a内に垂下されたW(タングステン)等のワイヤーWにより、縦型筒部1a下方に配置されたルツボ3内の半導体融液Lから半導体単結晶Cを引き上げる。このとき、シリコン融液面LSにおけるルツボ内壁面3aからルツボ3中心部へ向かう融液流を低減するように、ヒートキャップ7下端7bの高さ位置SH2が、シリコン融液面LSから1〜20cm上側位置に設定されることにより、ヒートキャップ内側からシリコン融液面付近に吹き付けられこの融液面付近でルツボ中心部から外側に向かうガス流Gを図9に示すように形成する。
この引き上げ工程S7において、前記チャンバ内の炉内圧が1.3〜6.6kPaに設定され、前記ヒートキャップ上側からルツボ側に流れるガス流量が、3〜150(L/min)に設定される。
具体的には、上サイドヒータ4a、下サイドヒータ4b、ボトムヒータ4cの出力を、上サイドヒータ4a:下サイドヒータ4b=3:1の比とし、ボトムヒータ4cの出力は0とする。
引き上げ工程S7において、単結晶C直胴部における引き上げ速度を0.1〜1.5mm/minとする。
本実施形態においては、ヒータ出力、ヒートキャップ高さ、ガス流量、炉内圧、磁場強度、磁場高さ、ルツボ回転、をそれぞれ図10〜図17、表2,表3、に示すように制御することで、引き上げたシリコン単結晶Cが、酸素濃度が0.1〜18×1017 atoms/cm3 (OLDASTM法)、炭素濃度が1〜20×1016 atoms/cm3 (NEW ASTM法)の各範囲に、また、引き上げたシリコン単結晶Cからスライスされたウェーハの比抵抗値が0.1Ω・cm〜99Ω・cmに制御される。
Claims (25)
- チョクラルスキー法によりチャンバ内において炭素をドープしてシリコン単結晶を製造する方法であって、
ルツボ内にシリコン原料を配置する工程において、炭素ドープ剤を、前記ルツボ内面に対して5cm以上離れた位置に配置し、この状態で前記配置工程後に前記シリコン原料を溶融する溶融工程をおこなうとともに、
前記ルツボ内に前記シリコン原料を配置する工程において、前記炭素ドープ剤を、配置した前記シリコン原料の上側表面から5cm以上内側位置に配置し、この状態で前記配置工程後に前記シリコン原料を溶融する溶融工程をおこなうことを特徴とする炭素ドープ単結晶製造方法。 - 前記ルツボ内に前記シリコン原料を配置する工程において、前記炭素ドープ剤を、配置した前記シリコン原料内で、前記ルツボ底面から前記シリコン原料上側表面までの高さHに対して、H/2であるこの中心位置から上下H/4の高さ位置範囲内に配置し、この状態で前記配置工程後に前記シリコン原料を溶融する溶融工程をおこなうことを特徴とする請求項1記載の炭素ドープ単結晶製造方法。
- 前記ルツボ内に前記シリコン原料を配置する工程において、前記炭素ドープ剤を、前記ルツボ半径Rに対して、平面視した前記ルツボ中心から、R/2である横方向位置範囲内に配置し、この状態で前記配置工程後に前記シリコン原料を溶融する溶融工程をおこなうことを特徴とする請求項1または2記載の炭素ドープ単結晶製造方法。
- 前記炭素ドープ剤が炭素粉末とされることを特徴とする請求項1から3のいずれか記載の炭素ドープ単結晶製造方法。
- 前記炭素ドープ剤が純度99.999%の炭素粉末とされることを特徴とする請求項4記載の炭素ドープ単結晶製造方法。
- 配置した前記シリコン原料が少なくとも平面視して10cm2 以上の塊状の原料を有し、該塊状のシリコン原料は前記炭素ドープ剤が載置可能な平面形状とされるとともに、該塊状のシリコン原料上に前記炭素ドープ剤が載置されることを特徴とする請求項4または5記載の炭素ドープ単結晶製造方法。
- 前記炭素ドープ剤がシート状とされることを特徴とする請求項1から3のいずれか記載の炭素ドープ単結晶製造方法。
- 配置した前記シリコン原料が、少なくとも前記炭素ドープ剤を挟むためのスリットが形成された塊状の原料を有することを特徴とする請求項4または7記載の炭素ドープ単結晶製造方法。
- 前記シリコン原料のスリットが、少なくとも前記シート状炭素ドープ剤の半分以上の面積を挿入可能な寸法に設定されることを特徴とする請求項8記載の炭素ドープ単結晶製造方法。
- 前記配置工程後の溶融状態制御工程において、前記ルツボ上方に位置して同心状に設けられ略円筒形とされるヒートキャップ下端の高さ位置が、配置した前記シリコン原料の上側表面から20〜50cm上側位置とし、この状態で前記シリコン原料を溶融する溶融工程を開始することを特徴とする請求項1から9のいずれか記載の炭素ドープ単結晶製造方法。
- 前記溶融状態制御工程において、前記チャンバ内の炉内圧が2〜13.3kPaに設定され、前記ヒートキャップ上側からルツボ側に流れるガス流量が、3〜150(L/min)に設定され、この状態で前記シリコン原料を溶融する溶融工程を開始することを特徴とする請求項10記載の炭素ドープ単結晶製造方法。
- 前記溶融工程において、配置した前記シリコン原料の下側に比べて上側から先に融解するように、ヒータを制御することを特徴とする請求項1から11のいずれか記載の炭素ドープ単結晶製造方法。
- 前記溶融工程において、前記ルツボの中心部よりも外周部の温度が高くなる温度勾配を生じさせるように前記ルツボ内に磁場を印加することを特徴とする請求項1から12のいずれか記載の炭素ドープ単結晶製造方法。
- 前記磁場の強度が、水平磁場にあっては1000〜5000G、カスプ磁場にあっては300〜1000Gにそれぞれ設定し、前記磁場の中心高さが前記ルツボの上端から底部の範囲内になるように設定した状態で前記溶融工程を開始するとともに、
前記溶融工程において、融解開始から融解終了までの時間Tに対して、融解開始からT/3の間は磁場中心高さがルツボ底面からルツボの高さの1/8以上1/3以下の範囲となるように設定し、融解終了までのT/3の間は磁場中心高さが融解終了時のシリコン融液面から上下10cmの範囲となるように設定し、開始からT/3〜2T/3の間は前記開始時の高さから終了時の高さまで徐々に移動させるように、原料融解に伴うルツボ高さ位置変化に対応して、印加磁場の高さを制御するとともに、
前記溶融工程において、融解開始から融解終了までの時間Tに対して、終了までT/3の間は磁場強度が最強強度で一定になるように設定し、開始からT/3の間は磁場強度が前記最強強度に対して1/8以上1/3以下の範囲となるように設定し、開始からT/3〜2T/3の間は前記開始時の高さから終了時の強度まで徐々に変化させるように、印加する磁場を制御することを特徴とする請求項13記載の炭素ドープ単結晶製造方法。 - 前記ルツボ内面のラフネスがRMS3〜50nmに設定されることを特徴とする請求項1から14のいずれか記載の炭素ドープ単結晶製造方法。
- 前記ルツボ内面に10〜1000μmの失透層が形成されることを特徴とする請求項1から14のいずれか記載の炭素ドープ単結晶製造方法。
- 前記溶融工程において、前記ルツボを1〜5rpmで回転させるとともに、15〜300secの周期で反転させることを特徴とする請求項1から14のいずれか記載の炭素ドープ単結晶製造方法。
- 前記炭素ドープ剤が前記ルツボ内に1×10−6〜10g配置されることを特徴とする請求項1から15のいずれか記載の炭素ドープ単結晶製造方法。
- 引き上げたシリコン単結晶が、酸素濃度が0.1〜18×1017 atoms/cm3 (OLDASTM法)、炭素濃度が1〜20×1016 atoms/cm3 (NEW ASTM法)の各範囲に制御されることを特徴とする請求項1から15のいずれか記載の炭素ドープ単結晶製造方法。
- 引き上げたシリコン単結晶からスライスされたウェーハの比抵抗値が0.1Ω・cm〜99Ω・cmに制御されることを特徴とする請求項1から15のいずれか記載の炭素ドープ単結晶製造方法。
- 前記溶融工程後における単結晶引き上げ工程において、
溶融したシリコン融液面において前記ルツボ内壁面から前記ルツボ中心部へ向かう融液流を低減するように、前記ルツボ上方に位置して同心状に設けられ略円筒形とされるヒートキャップ下端の高さ位置が、前記シリコン融液面から1〜20cm上側位置に設定されることを特徴とする請求項1から20のいずれか記載の炭素ドープ単結晶製造方法。 - 前記溶融工程後、前記引き上げ工程を開始するまでの引き上げ状態制御工程において、
前記ルツボ上方に位置して同心状に設けられ略円筒形とされるヒートキャップ下端の高さ位置が、溶融したシリコン融液面から10〜50cm上側位置に設定されることを特徴とする請求項21記載の炭素ドープ単結晶製造方法。 - 前記溶融工程後における単結晶引き上げ工程において、
溶融したシリコン融液面において前記ルツボ内壁面から前記ルツボ中心部へ向かう融液流を低減し前記ルツボ上方に位置して同心状に設けられ略円筒形とされるヒートキャップ下端の平面視して内側にSiCや混入物などの有転位化原因物が流入することを防止するように、前記チャンバ内の炉内圧が1.3〜6.6kPaに設定され、前記ヒートキャップ上側からルツボ側に流れるガス流量が、3〜150(L/min)に設定されることを特徴とする請求項1から22のいずれか記載の炭素ドープ単結晶製造方法。 - 前記溶融工程後における単結晶引き上げ工程において、
溶融したシリコン融液面において前記ルツボ内壁面から前記ルツボ中心部へ向かう融液流を低減し前記ルツボ上方に位置して同心状に設けられ略円筒形とされるヒートキャップ下端の平面視して内側にSiCが流入することを防止するように、前記シリコン融液と前記単結晶との固液下面の形状が上に凸になるようにヒータ出力状態を制御することを特徴とする請求項1から22のいずれか記載の炭素ドープ単結晶製造方法。 - 前記溶融工程後における単結晶引き上げ工程において、
単結晶直胴部における引き上げ速度を0.1〜1.5mm/minとすることを特徴とする請求項1から22のいずれか記載の炭素ドープ単結晶製造方法。
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