JP5034246B2 - シリコン単結晶の製造方法およびシリコン単結晶 - Google Patents

シリコン単結晶の製造方法およびシリコン単結晶 Download PDF

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Description

本発明は、COP欠陥密度の低いシリコン単結晶を効率よく低コストで製造することができるシリコン単結晶の製造方法およびシリコン単結晶に関する。
シリコン単結晶は、坩堝に収容された多結晶シリコン原料をヒーターで加熱してシリコン融液とし、チョクラルスキー法(以下、「CZ法」と略記する。)によりシリコン融液から引き上げながら成長させることにより製造される。近年、半導体回路の高集積化による素子の微細化に伴い、その基板となるシリコン単結晶に対する品質要求が高まってきている。
シリコン単結晶中のGrown−in欠陥は、シリコン単結晶を成長させるときの引上げ速度V(mm/min)と固液界面近傍の引上げ軸方向の結晶温度勾配G(℃/mm)との比であるV/G(mm/℃・min)値により、固液界面から導入される空孔量と格子間Si量が決定されると考えられている。V/G値は、引上げ速度に従う空孔の移流と温度勾配に従う格子間Siの拡散とのバランスを示している。固液界面から導入された空孔と格子間Siとは、引き上げ後のシリコン単結晶の温度が高いうちに結合して消滅する。
しかし、V/G値が大きい場合には、引上速度に従う空孔の移流が温度勾配に従う格子間Siの拡散を上回り、空孔濃度が高くなる。そして、シリコン単結晶の引き上げの進行に伴う温度低下により空孔過飽和となると、引き上げ後のシリコン単結晶にCOP(crystal originated particle)欠陥(空孔型欠陥)が検出されるようになる。逆に、V/G値が小さい場合には、引上げ速度に従う空孔の移流が温度勾配に従う格子間Siの拡散を下回り、格子間Si濃度が高くなる。そして、シリコン単結晶の引き上げの進行に伴う温度低下により格子間Si過飽和となり、引き上げ後のシリコン単結晶に格子間Si欠陥が検出されるようになる。
シリコン単結晶中のCOP欠陥は、ウェーハの初期の酸化膜耐圧特性(GOP)の劣化因子である。このため、シリコン単結晶のCOP欠陥密度を低くすることが求められている。シリコン単結晶のCOP欠陥密度は、シリコン単結晶を引き上げる際に、シリコン単結晶内に取り込まれるCOP欠陥核となる空孔濃度と、シリコン単結晶の温度が、COP欠陥核の凝集可能な1050℃〜1200℃である時間の長さとによって決定される。すなわち、シリコン単結晶中のCOP欠陥核は、シリコン単結晶を育成させる際に取り込まれた空孔が、格子間Siと結合して格子間Siを消滅させても残った段階(空孔過飽和となった段階)で形成が開始される。そして、COP欠陥核の形成が開始されてから引き上げられたシリコン単結晶の温度が1050℃に低下するまで間に、COP欠陥核が互いに凝集して寄せ集まりCOP欠陥密度が決定される。
一般に、引き上げ後のシリコン単結晶にCOP欠陥が検出されるV/G値は0.2(mm/℃・min)以上とされ、十分な酸化膜耐圧特性が得られるCOP欠陥密度の低いシリコン単結晶を引き上げる際のV/G値は0.2〜0.4(mm/℃・min)の範囲とされている。例えば、V/G値が0.2〜0.4(mm/℃・min)の範囲である場合、シリコン単結晶の引き上げの進行に伴う温度低下により空孔過飽和となる時点、言い換えると、シリコン単結晶を製造する際に取り込まれた空孔濃度がCOP欠陥核の形成開始可能な濃度となる時点の温度は1150℃程度である。よって、COP欠陥核の凝集が開始されてから止まるまでの凝集温度範囲は、1150℃から1050℃までの狭い範囲となる。凝集温度範囲が狭いと、引き上げられたシリコン単結晶の温度が凝集温度範囲内である時間が短くなり、シリコン単結晶内のCOP欠陥核を十分に寄せ集めることができず、十分に密度を低下させることができない場合がある。
このため、従来、低いCOP欠陥密度のシリコン単結晶を製造する場合には、引き上げられたシリコン単結晶の温度が凝集温度範囲内である時間を長時間確保するためのホットゾーン構造を備えた引き上げ装置で引き上げを行っている。
また、生産性を向上させるためには引上げ速度Vは速いほど望ましいが、V/G値を大きくすると、COP欠陥が増えるため好ましくない。このため、V/G値を変えずに引上げ速度Vを速くすると、結晶温度勾配Gも大きくしなければならないので、引き上げられたシリコン単結晶の温度が凝集温度範囲内である時間の確保がより一層困難となる。したがって、低いCOP欠陥密度のシリコン単結晶を製造する場合には、引上げ速度Vおよび結晶温度勾配Gを大きくすることができず、生産性の低い低速の引上げ速度Vで製造している。
一方、従来、低速引き上げを採用する長時間引き上げの場合においても、単結晶の転位発生を防止することのできる単結晶成長用石英ルツボとして、特許文献1に記載のものが知られている。特許文献1に記載のルツボは、ルツボ内表面に失透促進剤付着層または失透促進剤含有層を有するものである。
特開2003−160363号公報 特開平8−261831号公報
上述したように、従来、COP欠陥密度の低いシリコン単結晶を製造する場合には、引き上げ速度を低速にしなければならないので、生産性が低いことが問題となっていた。また、上述したように、COP欠陥密度の低いシリコン単結晶を製造する場合、引き上げられたシリコン単結晶の温度が凝集温度範囲内である時間を増やすためのホットゾーン構造を備えた引き上げ装置で引き上げを行っているので、保温性が低い事からヒーターに供給する電力が余分に必要であり、高コストであった。
また、上述した特許文献1の技術は、COP欠陥密度の低いシリコン単結晶を製造する場合に適用しようとしても、要求されるCOP欠陥密度の低いシリコン単結晶を製造できるか否かが明確ではない。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、COP密度の低いシリコン単結晶を効率よく低コストで製造することができるシリコン単結晶の製造方法を提供することを目的とする。また、前記シリコン単結晶の製造方法で製造された安価でCOP密度の低いシリコン単結晶を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明のシリコン単結晶の製造方法は、ルツボに収容されたシリコン融液からシリコン単結晶を引き上げながら成長させて製造するシリコン単結晶の製造方法において、
前記シリコン単結晶の引き上げを、シリコン単結晶を成長させるときの引上げ速度Vと前記シリコン単結晶固液界面近傍の引上げ軸方向の結晶温度勾配Gとの比であるV/G値を、引き上げ後の前記シリコン単結晶にCOP欠陥が検出される範囲となるように行うとともに、
前記ルツボ内面に失透促進剤を付着または含有させるか、前記シリコン融液中に、前記ルツボ内面の失透促進剤を添加して、前記シリコン単結晶の引き上げ後に前記ルツボの内面に10〜1000μmの失透層が形成される過程で発生する微小な気泡がシリコン単結晶中で空孔として拡散することで、空孔過飽和となる時点の温度を失透層が形成されていないときよりも高くし、COP欠陥核の凝集が開始されてから止まるまでの凝集温度範囲を広げることにより、シリコン単結晶内のCOP欠陥核を寄せ集めてCOP欠陥サイズを大きくしCOP密度を小さくすることを特徴とする。
本発明のシリコン単結晶の製造方法は、前記V/G値を0.2〜0.4(mm /℃・min)の範囲とし、空孔過飽和となる時点の温度を、失透層が形成されていないときよりも100℃〜150℃高い1250℃〜1300℃として、凝集温度範囲を100℃〜150℃広くすることができる。
本発明のシリコン単結晶の製造方法は、ルツボに収容されたシリコン融液からシリコン単結晶を引き上げながら成長させて製造するシリコン単結晶の製造方法において、
前記シリコン単結晶の引き上げを、シリコン単結晶を成長させるときの引上げ速度Vと前記シリコン単結晶固液界面近傍の引上げ軸方向の結晶温度勾配Gとの比であるV/G値を、引き上げ後の前記シリコン単結晶にCOP欠陥が検出される範囲となるように行うとともに、
前記ルツボ内面に失透促進剤を付着または含有させるか、前記シリコン融液中に、前記ルツボ内面の失透促進剤を添加して、前記シリコン単結晶の引き上げ後に前記ルツボの内面に10〜1000μmの失透層が形成される過程で発生する微小な気泡がシリコン単結晶中で空孔として拡散することで、失透層が形成されていないときよりも空孔過飽和となる時点のV/G値を小さくし、前記シリコン単結晶にCOP欠陥が検出されるV/G値の範囲を広い0.1(mm /℃・min)以上とすることにより、シリコン単結晶内のCOP欠陥核を寄せ集めてCOP欠陥サイズを大きくしCOP密度を小さくすることを特徴とする。
本発明のシリコン単結晶の製造方法は、前記V/G値は、0.1〜0.3(mm /℃・min)の範囲であることができる。
本発明は、前記V/G値を失透層が形成されていないときの1.1倍〜1.5倍程度まで大きくして、失透層が形成されていないときと同等のCOP欠陥密度が検出されるシリコン単結晶を引き上げることが可能である。
本発明は、失透促進剤が、バリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、ベリリウムのうちの1又は2以上からなる2a族元素、アルミニウムを含む3b族元素もしくはこれらの化合物とされることが可能である。
本発明は、記ルツボ内面にアルカリ金属イオンを0.01〜10ppm含有させるか、または、前記シリコン融液にCaOまたはBaOを0.01〜10wtppm添加することができる。
本発明のシリコン単結晶の製造方法は、ルツボに収容されたシリコン融液からシリコン単結晶を引き上げながら成長させて製造するシリコン単結晶の製造方法において、前記シリコン単結晶の引き上げを、シリコン単結晶を成長させるときの引上げ速度Vと前記シリコン単結晶固液界面近傍の引上げ軸方向の結晶温度勾配Gとの比であるV/G値が、引き上げ後の前記シリコン単結晶にCOP欠陥が検出される範囲となるように行うとともに、前記シリコン単結晶の引き上げ後に前記ルツボの内面に10〜1000μmの失透層が形成されるように行うことを特徴とする。
なお、本発明において、失透層の厚みとはルツボ内面における失透層厚みの平均値のことを意味する。
本発明によれば、シリコン単結晶の引き上げを、シリコン単結晶の引き上げ後に前記ルツボの内面に10〜1000μmの失透層が形成されるように行うので、シリコン単結晶の引き上げ中の失透層が形成される過程で微小な気泡が発生する。微小な気泡は、気泡として存在するよりも収縮して拡散した方が安定するので、シリコン単結晶中で空孔として拡散する。また、本発明では、シリコン単結晶の引き上げを、V/G値が、引き上げ後の前記シリコン単結晶にCOP欠陥が検出される範囲となるように行うので、シリコン単結晶の引き上げの進行に伴う温度低下により空孔過飽和となる。
ここで、本発明においては、上述したように、微小な気泡がシリコン単結晶中で空孔として拡散するので、空孔過飽和となる時点の温度がV/G値を同じとした従来の製造方法と比較して高くなる。よって、COP欠陥核の凝集が開始されてから止まるまでの凝集温度範囲が、従来よりも広くなる。
例えば、V/G値が0.2〜0.4(mm/℃・min)の範囲である場合、空孔過飽和となる時点の温度は、従来よりも100℃〜150℃程度高くなり1250℃〜1300℃程度となる。よって、凝集温度範囲が、従来よりも100℃〜150℃程度広くなる。
その結果、引き上げられたシリコン単結晶の温度が、凝集温度範囲である時間を、従来のようにホットゾーン構造によって増やさなくても、シリコン単結晶内のCOP欠陥核を寄せ集めて密度を低下させる時間が十分に確保できる。よって、COP密度の低いシリコン単結晶を、保温性の低いホットゾーンを用いることなく製造でき、ヒーターに供給する電力を不要とすることができ、従来と比較して低コストで製造できる。
また、シリコン単結晶内のCOP欠陥核を寄せ集めて密度を低下させる時間が十分に確保できるので、低いCOP欠陥密度を維持したまま、シリコン単結晶の引き上げ速度を速くすることが可能となる。例えば、シリコン単結晶の引き上げ速度Vを従来の1.1倍〜1.5倍程度まで速くしても、従来と同等のCOP欠陥密度が検出されるシリコン単結晶を引き上げることができる。また、V/G値を従来の1.1倍〜1.5倍程度まで大きくしても、従来と同等のCOP欠陥密度が検出されるシリコン単結晶を引き上げることができる。その結果、COP密度の低いシリコン単結晶を効率よく製造することができ、生産性を向上させることができる。
また、上記のシリコン単結晶の製造方法においては、ルツボが、内面に失透促進剤を付着または含有させたものである方法、あるいはシリコン融液中にルツボ内面の失透促進剤を含む方法とすることができる。
このような製造方法とすることで、シリコン単結晶の引き上げ後に前記ルツボの内面に10〜1000μmの失透層を容易に形成できる。
なお、本発明のシリコン単結晶の製造方法を適用することが可能なV/G値の範囲は、引き上げ後の前記シリコン単結晶にCOP欠陥が検出されるV/G値の範囲である。本発明においては、上述したように、微小な気泡がシリコン単結晶中で空孔として拡散するので、従来よりもV/G値が小さくても空孔過飽和となる。よって、本発明のシリコン単結晶の製造方法における引き上げ後の前記シリコン単結晶にCOP欠陥が検出されるV/G値の範囲は、従来より広く、0.1(mm/℃・min)以上とされる。
また、本発明のシリコン単結晶は、上記のシリコン単結晶の製造方法で製造したことを特徴とする。
本発明のシリコン単結晶は、安価でCOP密度の低いシリコン単結晶となる。
本発明によれば、シリコン単結晶の引き上げを、V/G値が引き上げ後の前記シリコン単結晶にCOP欠陥が検出される範囲となるように行うとともに、前記シリコン単結晶の引き上げ後に前記ルツボの内面に10〜1000μmの失透層が形成されるように行うので、COP密度の低いシリコン単結晶を効率よく低コストで製造することができる。
以下、図面を参照して本発明の一実施形態によるシリコン単結晶の製造方法について詳細に説明する。
本発明のシリコン単結晶の製造方法では、ルツボに収容された多結晶シリコン原料をヒーターで加熱してシリコン融液とし、CZ法によりシリコン融液からシリコン単結晶を引き上げながら成長させることにより製造する。
このとき、本発明のシリコン単結晶の製造方法では、シリコン単結晶の引き上げを、V/G値が引き上げ後の前記シリコン単結晶にCOP欠陥が検出される範囲となるように行う。本発明では、V/G値は、0.1〜0.3(mm/℃・min)の範囲であることが望ましい。V/G値が0.3(mm/℃・min)を越えると、COP欠陥密度が高くなり、十分な酸化膜耐圧特性が得られない虞がある。一方、V/G値が0.1未満であると、引上げ速度Vが低速となり生産性に支障を来たす。また、V/G値が0.1未満であると、シリコン単結晶の引き上げの進行に伴う温度低下により空孔過飽和とならずに格子間Si過飽和となり、凝集温度範囲を従来よりも広くする効果が得られない場合が生じる。
また、本発明のシリコン単結晶の製造方法では、シリコン単結晶の引き上げ後に前記ルツボの内面に10〜1000μmの失透層が形成されるように、シリコン単結晶を引き上げる。引き上げ後に形成される失透層の厚みが、10μm未満であると、シリコン単結晶中で空孔として拡散する微小な気泡の量が少なくなり、シリコン単結晶を製造する際に取り込まれた空孔濃度がCOP欠陥核の形成開始可能な濃度となる時点の温度を十分に高くすることができなくなる虞が生じる。また、引き上げ後に形成される失透層の厚みが、1000μmを越えると、失透層を構成する結晶化したシリカの剥離に起因するシリコン単結晶の転位が発生する虞が生じる。
また、本発明のシリコン単結晶の製造方法では、シリコン単結晶の引き上げ後に前記ルツボの内面に10〜500μmの失透層が形成されるように、シリコン単結晶を引き上げることが望ましい。
ルツボの内面に10〜500μmの失透層が形成されるように、シリコン単結晶を引き上げることで、シリカの剥離に起因して有転位化する可能性が少なく、高歩留を得ることが可能となる。
シリコン単結晶の引き上げ後に前記ルツボの内面に10〜1000μmの失透層を形成する方法としては、特に限定されないが、例えば、ルツボとして、内面に失透促進剤を塗布して付着させたものや、内面に失透促進剤を含有した石英層を形成させたものを用いて、シリコン単結晶の引き上げを行う方法や、シリコン融液中に、前記ルツボ内面の失透促進剤を添加させる方法を挙げることができる。
シリコン単結晶の成長中、内面に失透促進剤を付着させたルツボや、内面に失透促進剤を含有した石英層を形成させたルツボ、シリコン融液中に失透促進剤を含む融液のルツボ内面では、シリカの結晶化によって失透層が形成される。
ルツボの内面への失透促進剤の付着方法としては、例えば、水酸化バリウム水溶液などの失透促進剤溶液を準備し、約200〜300℃に加熱したルツボに失透促進剤溶液を吹き付ける方法などを挙げることができる。
内面に失透促進剤を含有した石英層を有するルツボの製造方法としては、例えば、石英ルツボの製造時に失透促進剤を石英粉内に含ませる方法や、シリコン融液中に失透促進剤を添加する方法などを挙げることができる。
シリコン融液中に失透促進剤を添加する方法としては、シリコン原料を溶融させる前にルツボ内に添加する方法などが挙げられる。
ここで使用する失透促進剤としては、特に限定されないが、例えば、バリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、ベリリウムのうちの1又は2以上からなる2a族元素、アルミニウムを含む3b族元素もしくはこれらの化合物を用いることができる。
また、これらの方法として、具体的には、石英ルツボにアルカリ金属イオンを0.01〜10ppm含有させることや、シリコン融液にCaOまたはBaOを0.01〜10wtppm添加すること可能である。
「実施例」
(実験例1)
6インチ(152mm)のルツボの内面に、失透促進剤である水酸化バリウム水溶液を単位面積あたりの濃度が7.5×10-2(mM/1000cm)となるように塗布して付着させた後、ルツボに多結晶シリコン原料を収容し、ヒーターで加熱してシリコン融液とし、V/G値が0.241となるように、CZ法によりシリコン融液からシリコン単結晶を引き上げながら成長させてシリコンインゴットを得た。
(実験例2)
ルツボの内面に、失透促進剤を塗布しなかったこと以外は実験例1と同様にしてシリコン単結晶を引き上げながら成長させてシリコンインゴットを得た。
実験例1および実験例2において使用したシリコン単結晶引き上げ後のルツボの内面を観察した。その結果、実験例1において使用したルツボの内面には、厚み100μmの失透層が形成されていた。なお、失透層の厚みとは、ルツボ内面における失透層の厚みの平均値を意味し、ルツボサンプルを樹脂に埋め込んで切断し、断面を顕微鏡観察して厚さを測定する方法で測定した。
また、実験例2において使用したルツボの内面には、失透層が形成されておらず、ルツボの内面がシリコン融液へ溶融し、ブラウンリングが形成されていた。
また、実験例1および実験例2で得られたシリコンインゴットをスライスして得た複数のシリコンウェーハについて、COP欠陥サイズおよびCOP密度を調べた。
COP欠陥サイズは、各シリコンウェーハ毎に以下に示す方法により測定した。すなわち、COP欠陥サイズは、波長1.0〜1.3μmの赤外線を振動方向が互いに垂直である二つの直線偏光した光束に分離し、レンズで集光してシリコンウェーハ中で焦点を形成したとき、二つの光束のうちどちらか一方の光束にのみ欠陥が存在したときに、二つの光束間に発生する位相差を検知することで、欠陥を検出する赤外明視野干渉法を用いて測定した。具体的には、アクセント・オプティカル・テクノロジーズ社製のOPP(Optical Precipitate Profiler)を用いて、特許文献2に記載されている方法で測定した。サイズを振った多面体酸素析出物をOPPとTEMで観察することによって、信号強度から実際の欠陥サイズ(同体積の球の直径)への換算係数を求め、これに基づいてCOPのサイズ分布を測定した。その結果を図1に示す。
また、得られた各シリコンウェーハ毎のCOP欠陥サイズ分布から、実験例1のシリコンインゴットに対するCOP欠陥サイズ(サイズ分布における欠陥密度の極大値)とCOP密度とを求めるとともに、実験例2のシリコンインゴットに対するCOP欠陥サイズ(サイズ分布における欠陥密度の極大値)とCOP密度とを求めた。その結果を表1に示す。
Figure 0005034246
図1および表1より、実験例1のシリコンウェーハにおけるCOP欠陥サイズが、実験例2と比較して大きくなっていることが確認できた。また、実験例1のシリコンウェーハにおけるCOP密度が、実験例2の半分程度に小さくなっていることが確認できた。このことから、実験例1では、実験例2と比較して、凝集温度範囲が広くなり、シリコン単結晶内のCOP欠陥核が寄せ集められたことがわかる。
また、実験例1および実験例2のシリコンウェーハの酸化膜耐圧を調べた。
なお、酸化膜耐圧は、定電流注入法(Constant Current Injection Method)を用いて求めた。具体的には、実験例1および実験例2のシリコンウェーハを複数用意し、それぞれのシリコンウェーハ上に、膜厚25nmの酸化膜と、面積8mmの電極とを有するMOS容量を作成し、60μA/cmの電流を150msec.間注入して、8MV/cm以上保持(第一テスト)させ、1μA/cmの電流を500msec.間注入(第二テスト)した。そして、第二テスト後に8MV/cm以上の電解を保持しているものを良品とみなし、総数に対する良品の数の割合(%)を求めた。その結果を図2に示す。
図2に示すように、実験例1のシリコンウェーハにおける酸化膜耐圧が、実験例2と比較して3倍大きくなった。
図1は、COP欠陥サイズとCOP密度との関係を示したグラフである。 図2は、実験例1および実験例2の酸化膜耐圧を示したグラフである。

Claims (7)

  1. ルツボに収容されたシリコン融液からシリコン単結晶を引き上げながら成長させて製造するシリコン単結晶の製造方法において、
    前記シリコン単結晶の引き上げを、シリコン単結晶を成長させるときの引上げ速度Vと前記シリコン単結晶固液界面近傍の引上げ軸方向の結晶温度勾配Gとの比であるV/G値を、引き上げ後の前記シリコン単結晶にCOP欠陥が検出される範囲となるように行うとともに、
    前記ルツボ内面に失透促進剤を付着または含有させるか、前記シリコン融液中に、前記ルツボ内面の失透促進剤を添加して、前記シリコン単結晶の引き上げ後に前記ルツボの内面に10〜1000μmの失透層が形成される過程で発生する微小な気泡がシリコン単結晶中で空孔として拡散することで、空孔過飽和となる時点の温度を失透層が形成されていないときよりも高くし、COP欠陥核の凝集が開始されてから止まるまでの凝集温度範囲を広げることにより、シリコン単結晶内のCOP欠陥核を寄せ集めてCOP欠陥サイズを大きくしCOP密度を小さくすることを特徴とするシリコン単結晶の製造方法。
  2. 前記V/G値を0.2〜0.4(mm /℃・min)の範囲とし、空孔過飽和となる時点の温度を、失透層が形成されていないときよりも100℃〜150℃高い1250℃〜1300℃として、凝集温度範囲を100℃〜150℃広くすることを特徴とする請求項1に記載のシリコン単結晶の製造方法。
  3. ルツボに収容されたシリコン融液からシリコン単結晶を引き上げながら成長させて製造するシリコン単結晶の製造方法において、
    前記シリコン単結晶の引き上げを、シリコン単結晶を成長させるときの引上げ速度Vと前記シリコン単結晶固液界面近傍の引上げ軸方向の結晶温度勾配Gとの比であるV/G値を、引き上げ後の前記シリコン単結晶にCOP欠陥が検出される範囲となるように行うとともに、
    前記ルツボ内面に失透促進剤を付着または含有させるか、前記シリコン融液中に、前記ルツボ内面の失透促進剤を添加して、前記シリコン単結晶の引き上げ後に前記ルツボの内面に10〜1000μmの失透層が形成される過程で発生する微小な気泡がシリコン単結晶中で空孔として拡散することで、失透層が形成されていないときよりも空孔過飽和となる時点のV/G値を小さくし、前記シリコン単結晶にCOP欠陥が検出されるV/G値の範囲を広い0.1(mm /℃・min)以上とすることにより、シリコン単結晶内のCOP欠陥核を寄せ集めてCOP欠陥サイズを大きくしCOP密度を小さくすることを特徴とするシリコン単結晶の製造方法。
  4. 前記V/G値は、0.1〜0.3(mm /℃・min)の範囲であることを特徴とする請求項3に記載のシリコン単結晶の製造方法。
  5. 前記V/G値を失透層が形成されていないときの1.1倍〜1.5倍程度まで大きくして、失透層が形成されていないときと同等のCOP欠陥密度が検出されるシリコン単結晶を引き上げることを特徴とする請求項1または3に記載のシリコン単結晶の製造方法。
  6. 失透促進剤が、バリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、ベリリウムのうちの1又は2以上からなる2a族元素、アルミニウムを含む3b族元素もしくはこれらの化合物とされることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のシリコン単結晶の製造方法。
  7. 前記ルツボ内面にアルカリ金属イオンを0.01〜10ppm含有させるか、または、前記シリコン融液にCaOまたはBaOを0.01〜10wtppm添加することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のシリコン単結晶の製造方法。
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