JP4595450B2 - 炭素ドープシリコン単結晶の製造方法 - Google Patents
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このようなマルチプーリング法でも、炭素をドープする方法として、ガスドープを用いる方法、高純度炭素粉末を用いる方法、炭素塊を用いる方法を採用している。したがって、ガスドープを用いる方法では結晶が乱れて再溶融した場合に、炭素濃度の制御が困難である、高純度炭素粉末を用いる方法では原料溶融時に導入ガス等によって高純度炭素粉末が飛散する、炭素塊を用いる方法では炭素が溶けにくい上炭素塊の溶解に時間が掛かり、又育成中の結晶が乱れ易い、という前記と同様な問題があった。
しかし、これらの窒素と炭素の両方をドープする方法でもやはり、炭素のドープ方法としては、ガスドープを用いる方法、高純度炭素粉末を用いる方法、炭素塊を用いる方法などを採用している。そのため、ガスドープを用いる方法では結晶が乱れて再溶融した場合に、炭素濃度の制御が困難である、高純度炭素粉末を用いる方法では原料溶融時に導入ガス等によって高純度炭素粉末が飛散する、炭素塊を用いる方法では炭素が溶けにくい上炭素塊の溶解に時間が掛かり、又育成中の結晶が乱れ易い、などという前記と同様な問題があった。
尚、初期原料融液から育成する1本目のシリコン単結晶棒は、炭素ドープシリコン単結晶であっても、炭素をドープしないシリコン単結晶であっても良い。
ここで、糸状の炭素繊維及び/又は炭化ケイ素繊維とは、炭素繊維又は炭化ケイ素繊維の素線の他、数本〜数千本の炭素繊維及び/又は炭化ケイ素繊維の素線の束をも指す。また、クロス状の炭素繊維及び/又は炭化ケイ素繊維とは、糸状の炭素繊維及び/又は炭化ケイ素繊維を編み込んで作製した布状あるいはシート状のもののことをいう。
図2は、本発明の炭素ドープシリコン単結晶の製造方法を実施する際に用いる単結晶引上げ装置の一例である。単結晶引上げ装置20のメインチャンバー1内には、溶融された原料融液4を収容するための石英ルツボ5とその石英ルツボ5を支持する黒鉛ルツボ6が設けられている。そして、これらのルツボ5、6を囲繞するようにヒーター7が配置されている。ヒーター7の外側には、ヒーター7からの熱がメインチャンバー1に直接輻射されるのを防止するために、断熱部材8がその周囲を取り囲むように設けられている。
したがって、容易に且つ高精度でシリコン単結晶中に炭素をドープすることができる。しかも、炭素ドープシリコン単結晶を安価で製造することができる。
上記のように初期原料融液4から1本目のシリコン単結晶棒3を引上げる(図3のA0、A1)。そして、引上げたシリコン単結晶棒3を単結晶引上げ装置20から取り出す(図3のA2)。その後、原料融液4の表面のみが固化する程度にヒーター7のパワーを制御しておく。
ドープ剤が炭素繊維及び/又は炭化ケイ素繊維であれば、容易に且つ高精度でシリコン単結晶中に炭素をドープすることができる。しかも、炭素繊維や炭化ケイ素繊維は、安価で入手できるため、炭素ドープシリコン単結晶を安価で製造することができる。また、ドープ剤である炭素繊維及び/又は炭化ケイ素繊維としては、糸状及び/又はクロス状のものが好ましい。糸状及び/又はクロス状の形状のものを用いれば、ドープ剤の飛散をより確実に防止できるからである。特に、図1に示すように、糸状の炭素繊維及び/又は炭化ケイ素繊維22は、原料である塊状のシリコン多結晶21に巻き付けるのが良い。この繊維を巻き付けたシリコン多結晶を前記石英管に入れればよい。これにより、炭素ドープ剤の飛散を確実に防止して、炭素をドープすることができる。
もちろん、炭素ドープ剤を添加するのに、リチャージ管と種結晶の両方を用いて行っても良い。
(実施例1)
肩の位置の炭素濃度を、5×1016atoms/cm3(Old ASTM)とすべく、以下の方法により炭素ドープシリコン単結晶棒を育成した。
先ず、直径0.3mmの糸状の炭素繊維を1.6gになるところで切断した。この切断した糸状の炭素繊維をドープ剤とした。次に、図1に示すように、切断した糸状の炭素繊維(ドープ剤)22を塊状のシリコン多結晶21に巻き付けた。そして、原料として準備した160kgのシリコン多結晶とシリコン多結晶に巻きつけた1.6gの炭素繊維を、口径24インチ(600mm)の石英ルツボ内へ充填した。次に、ヒーターを加熱してルツボ内のシリコン多結晶原料を溶融した。念のため、シリコン多結晶原料の溶融後も、1時間溶融時のヒーターパワーを維持し、炭素繊維を確実に溶かした。その後、この原料融液から、直径200mm、直胴長さ100cmの炭素ドープシリコン単結晶を育成した。
その結果、炭素濃度は平均値=4.97×1016atoms/cm3(Old ASTM)、σ=0.1となった。これは、目標の炭素濃度(5×1016atoms/cm3(Old ASTM))に非常に近い濃度である。また、濃度のバラツキも非常に小さい。
また、ライフタイムは平均値581μsec、σ=17となった。
次に、肩の位置の炭素濃度を5×1016atoms/cm3(Old ASTM)とすべく、以下の方法により単結晶棒を育成した。
直径0.3mmの糸状の炭素繊維を1.0gになるところで切断した。この切断した糸状の炭素繊維をドープ剤とした。次に、図1に示すように、切断した糸状の炭素繊維(ドープ剤)22を塊状のシリコン多結晶21に巻き付けた。そして、追加原料として準備した90kgのシリコン多結晶と、シリコン多結晶に巻きつけた1.0gの糸状の炭素繊維を、実施例1と同様の方法によるシリコン単結晶育成後のルツボ内に、石英管を用いて充填した。次に、ヒーターを加熱してルツボ内の追加原料を溶融した。念のため、追加したシリコン多結晶原料の溶融後も1時間溶融時のヒーターパワーを維持し、炭素繊維を確実に溶かした。その後、追加された原料融液から、直径200mm、直胴長さ100cmのシリコン単結晶を育成した。
その結果、炭素濃度は平均値=4.94×1016atoms/cm3(Old ASTM)、σ=0.15となった。これは、目標の炭素濃度(5×1016atoms/cm3(Old ASTM))に非常に近い濃度である。また、濃度のバラツキも非常に小さい。
また、ライフタイムは平均値605μsec、σ=26となった。
次に、肩の位置の炭素濃度を5×1016atoms/cm3(Old ASTM)とすべく、以下の方法により単結晶棒を育成した。
先ず、直径0.3mmの糸状の炭化ケイ素繊維を2.2gになるところで切断した。この切断した糸状の炭化ケイ素繊維をドープ剤とした。次に、切断した糸状の炭化ケイ素繊維(ドープ剤)を種結晶に巻きつけた。そして、糸状の炭化ケイ素繊維を巻きつけた種結晶を、種ホルダーにセットした。そして、これを、実施例1と同様の方法によるシリコン単結晶育成後の原料融液に浸漬し、種結晶の一部とともに炭化ケイ素繊維を溶融した。その後、追加原料として準備した90kgのシリコン多結晶を、ルツボ内に、石英管を用いて充填した。次に、ヒーターを加熱してルツボ内の追加原料を溶融した。その後、追加された原料融液から、直径200mm、直胴長さ100cmのシリコン単結晶を育成した。
その結果、炭素濃度は平均値=5.04×1016atoms/cm3(Old ASTM)、σ=0.05となった。これは、目標の炭素濃度(5×1016atoms/cm3(Old ASTM))に非常に近い濃度である。また、濃度のバラツキも非常に小さい。
また、ライフタイムは平均値590μsec、σ=34となった。
肩の位置の炭素濃度を、5×1016atoms/cm3(Old ASTM)とすべく、以下の方法により炭素ドープシリコン単結晶棒を育成した。
先ず、ドープ剤として1.6gの炭素粉末を準備した。次に、原料として準備した160kgのシリコン多結晶原料とともに炭素粉末1.6gを、口径24インチ(600mm)の石英ルツボ内に充填した。次に、ヒーターを加熱してシリコン多結晶原料を溶融した。念のため、シリコン多結晶原料の溶融後も、1時間溶融時のヒーターパワーを維持し、炭素粉末を確実に溶かした。その後、この原料融液から、直径200mm、直胴長さ100cmのシリコン単結晶を育成した。
その結果、炭素濃度は平均値=3.0×1016atoms/cm3(Old ASTM)、σ=0.89となった。これは、目標の炭素濃度(5×1016atoms/cm3(Old ASTM))より40%も低い濃度である。しかも、バッチ間での濃度のばらつきが大きい。
また、ライフタイムは平均値603μsec、σ=32となった。
次に、肩の位置の炭素濃度を、5×1016atoms/cm3(Old ASTM)とすべく、以下の方法により炭素ドープシリコン単結晶棒を育成した。
先ず、ドープ剤として、1.0gの炭素粉末を準備した。そして、追加原料として準備した90kgのシリコン多結晶原料と、1.0gの炭素粉末を、実施例1と同様の方法によるシリコン単結晶育成後のルツボ内に、石英管を用いて充填した。次に、ヒーターを加熱してシリコン多結晶原料を溶融した。念のため、その後も1時間溶融時のヒーターパワーを維持し、炭素粉末を確実に溶かした。その後、直径200mm、直胴長さ100cmのシリコン単結晶を育成した。
その結果、炭素濃度は平均値=3.7×1016atoms/cm3(Old ASTM)、σ=0.76となった。これは、目標の炭素濃度(5×1016atoms/cm3(Old ASTM))より24%低い濃度である。しかも、比較例1と同様に、バッチ間での濃度のばらつきが大きい。
また、ライフタイムは平均値605μsec、σ=36となった。
4…原料融液、 5…石英ルツボ、 6…黒鉛ルツボ、 7…ヒーター、
8…断熱部材、 9…ガス流出口、 10…ガス導入口、
11…ガス整流筒、 12…断熱材、 13…種結晶、 20…単結晶引上げ装置、
21…シリコン多結晶、 22…炭素繊維又は炭化ケイ素繊維、
30…石英管。
Claims (5)
- チョクラルスキー法により炭素をドープしてシリコン単結晶を製造する方法において、少なくとも、ドープ剤として糸状の炭素繊維及び/又は炭化ケイ素繊維を準備する工程と、原料として準備したシリコン多結晶とともに前記糸状の炭素繊維及び/又は炭化ケイ素繊維からなるドープ剤をルツボ内に充填する工程と、該充填した原料を溶融して原料融液とする工程と、該原料融液から炭素ドープシリコン単結晶棒を育成する工程とを含むことを特徴とする炭素ドープシリコン単結晶の製造方法。
- チョクラルスキー法により炭素をドープしてシリコン単結晶を製造する方法において、少なくとも、ルツボに収容された初期原料融液からシリコン単結晶棒を育成する工程と、該育成したシリコン単結晶棒を取り出す工程と、ドープ剤として糸状の炭素繊維及び/又は炭化ケイ素繊維を準備する工程と、追加原料として準備したシリコン多結晶と前記糸状の炭素繊維及び/又は炭化ケイ素繊維からなるドープ剤をルツボ内に充填する工程と、前記追加原料を溶融する工程と、該追加された原料融液から炭素ドープシリコン単結晶棒を育成する工程とを含むことを特徴とする炭素ドープシリコン単結晶の製造方法。
- さらに、前記単結晶を取り出す工程から、前記炭素ドープシリコン単結晶棒を育成する工程までを繰り返すことで、2本以上の炭素ドープシリコン単結晶棒を育成することを特徴とする請求項2に記載の炭素ドープシリコン単結晶の製造方法。
- 前記ドープ剤である糸状の炭素繊維及び/又は炭化ケイ素繊維を、原料として準備したシリコン多結晶に巻きつけてルツボ内に充填することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の炭素ドープシリコン単結晶の製造方法。
- 前記ドープ剤である糸状の炭素繊維及び/又は炭化ケイ素繊維を準備し、該ドープ剤である糸状の炭素繊維及び/又は炭化ケイ素繊維を巻きつけた種結晶を結晶育成後の原料融液に浸漬して炭素繊維及び/又は炭化ケイ素繊維を溶融し、その後、原料として準備したシリコン多結晶をルツボ内に充填することを特徴とする請求項2乃至請求項4のいずれか1項に記載の炭素ドープシリコン単結晶の製造方法。
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