以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態を説明する。
本実施形態における遊技機としては、液晶ディスプレイ(LCD;Liquid Crystal Display)等から構成される画像表示装置により特図ゲームを行う遊技機であり、プリペイドカードによって球貸しを行うカードリーダ(CR;Card Reader)式の第1種パチンコ遊技機等である。また、プリペイドカードにより球貸しを行うCR式パチンコ遊技機だけではなく、現金によって球貸しを行うパチンコ遊技機にも適用可能である。すなわち、識別情報としての表示図柄を可変表示することが可能な遊技機であれば、どのような形態のものであっても構わない。
図1は、本実施形態におけるパチンコ遊技機1の正面図であり、主要部材の配置レイアウトを示す。パチンコ遊技機(遊技機)1は大別して、遊技盤面を構成する遊技盤(ゲージ盤)2と、遊技盤2を指示固定する遊技機用枠(台枠)3とから構成されている。遊技盤2にはガイドレールによって囲まれた、ほぼ円形状の遊技領域が形成されている。この遊技領域のほぼ中央位置には、各々が識別可能な識別情報としての飾り図柄を可変表示(変動)可能に表示する可変表示装置4が設けられている。可変表示装置4の上側には、特別図柄表示器5が配置されている。可変表示装置4の下側には、普通可変入賞球装置(始動入賞口)6が配置されている。普通可変入賞球装置6の下側には、特別可変入賞球装置(大入賞口)7が配置されている。また、可変表示装置4の上部には、普通図柄表示器40が設けられている。さらに、パチンコ遊技機1の下部には、操作ボタン15が設けられている。
特別図柄表示器5は、たとえば7セグメントやドットマトリクスのLED等から構成されている。特別図柄表示器5は、普通可変入賞球装置6が形成する始動入賞口への遊技球の入賞により始動条件が成立したことに基づいて行われる可変表示ゲームとしての特図ゲームにおいて、たとえば「00」〜「99」を示す数字等から構成され、各々が識別可能な複数種類の識別情報として機能する特別図柄を可変表示する。各特別図柄には、たとえば各図柄が示す数字と同一の番号といった、各々の特別図柄に対応した図柄番号が付されている。
特別図柄表示器5により行われる特図ゲーム(普通可変入賞球装置6に遊技球が入賞することが始動条件となる可変表示ゲーム)では、特別図柄の変動を開始させた後、所定時間が経過すると、特別図柄の可変表示結果となる確定特別図柄を停止表示(導出表示)する。このとき、特別図柄表示器5にて特図ゲームでの確定特別図柄として特定の特別図柄(大当り図柄)が停止表示されれば特定表示結果としての「大当り」となり、大当り図柄以外の特別図柄が停止表示されれば「ハズレ」となる。特図ゲームでの可変表示結果が「大当り」になると、特別可変入賞球装置7が備える開閉板を開閉させることによる特定遊技状態としての大当り遊技状態に制御される。この実施の形態におけるパチンコ遊技機1では、具体的な一例として、「−−」、「00」〜「99」のぞろ目の組合せを特別図柄とし、「00」〜「99」の組合せを示す特別図柄を大当り図柄とし、「−−」を示す特別図柄をハズレ図柄としている。
そして、確定図柄の組合せ(停止図柄態様)が所定の特定表示結果(大当り)となったときに、このパチンコ遊技機1は、特定遊技状態(大当り遊技状態)となる。この大当り遊技状態においては、特別可変入賞球装置7の開閉板が所定期間(たとえば、29秒)あるいは所定個数(たとえば、10個)の入賞球が発生するまでの期間において開放され、開放されている間は遊技盤2の表面を落下する遊技球を受け止め、その後に閉鎖する。そして、この開閉サイクルを所定の上限回数(たとえば、16回)まで繰り返すことができる。
特図ゲームにおける可変表示結果が特定表示結果(大当り)のうち確変大当り図柄の組合せとなったときは、確変大当りとなる。確変大当りとなったときには、その確変大当りに基づく大当り遊技状態が終了した後、特別遊技状態の1つとして、継続して確率変動制御(確変制御)が行われる確変遊技状態(高確率状態、高確)となる。この確変遊技状態では、特図ゲームにおいて可変表示結果として大当り図柄が停止表示されて大当り遊技状態に制御される確率が、通常遊技状態時よりも向上する。なお、通常遊技状態とは、大当り遊技状態や特別遊技状態以外の遊技状態のことであり、特図ゲームにおける確定図柄として大当り図柄が停止表示されて大当りとなる確率が、電源投入直後などの初期設定状態と同一に制御されている。
また、特図ゲームにおける可変表示結果が特定表示結果(大当り)のうち時短大当り図柄の組合せとなったときは、時短大当りとなる。時短大当りとなったときには、その時短大当りに基づく大当り遊技状態が終了した後、特別遊技状態の1つとしての時短状態(時間短縮状態、時短)となる。この時短状態では、特図ゲームの始動条件が成立してから、特別図柄の可変表示結果となる確定特別図柄を停止表示(導出表示)するまでの時間が、通常状態の特図ゲームにおける導出表示時間よりも短い。したがって、この時短状態では、特図ゲームにおいて、単位時間あたりの可変表示結果を得られる回数が通常状態よりも一般的に増加する。
さらに、この実施形態では、時短状態にある場合、通常遊技状態のときよりも始動入賞口6に遊技球が入賞しやすくなる高ベース状態となるように制御される。たとえば、高ベース状態では、普通図柄表示器40による普通図ゲームにおける可変表示時間が通常遊技状態のときよりも短くなるとともに、各回の普通図ゲームで表示結果が当り図柄となる確率が向上する。このときにはさらに、普通可変入賞球装置6における可動翼片の傾動時間が長くなるとともに、その傾動回数が通常遊技状態のときよりも増加する。
可変表示装置4は、LCD等から構成され、特図ゲームにおける特別図柄表示器5の特別図柄の変動表示に対応して、たとえば3つに分割された表示領域としての可変表示部にて、各々が識別可能な複数種類の飾り図柄を変動可能に表示する可変表示を行う。具体的な一例として、可変表示装置4には、「左」、「中」、「右」の表示領域が配置され、各表示領域にて飾り図柄が可変表示される。そして、特別図柄表示器5における特別図柄の変動表示が開始されるときには、可変表示装置4における「左」、「中」、「右」の表示領域にて飾り図柄の変動表示(たとえば切換表示やスクロール表示)を開始させ、その後、特別図柄表示器5における特別図柄の変動表示結果として確定特別図柄が停止表示されるときに、可変表示装置4における「左」、「中」、「右」の表示領域にて確定飾り図柄となる飾り図柄が停止表示されることで、可変表示結果となる飾り図柄の組合せが停止表示(導出表示)される。
なお、可変表示装置4の構成については後に図3から図8を参照して詳細に説明する。
普通図柄表示器40は、発光ダイオード(LED)等から構成され、遊技領域に設けられた通過ゲート25のいずれかを遊技球が通過することを始動条件とする普通図ゲームにおいて、点灯、点滅、発光色などが制御される。この普通図ゲームにおいて所定の当りパターンで表示が行われると、普通図ゲームにおける表示結果が「当り」となり、普通可変入賞球装置6を構成する電動チューリップの可動翼片を所定時間が経過するまで傾動制御する。通過ゲート25を遊技球が通過することに基づく普通図ゲームの表示は、所定回数(本実施形態では、4回)まで後述する普通図保留記憶部121B(図18)に記憶される。普通図柄表示器40の右側には、通過ゲート25を通過した遊技球数を記憶する4つのLEDによる表示部を有する普通図柄始動記憶表示器42が設けられている。通過ゲート25を遊技球が通過する毎に、普通図柄始動記憶表示器42は点灯するLEDを1増やす。普通図柄表示器40の可変表示が開始される毎に、点灯するLEDを1減らす。
普通可変入賞球装置6は、ソレノイド21によって垂直(通常開放)位置と傾動(拡大開放)位置との間で可動制御される一対の可動翼片を有するチューリップ型役物(普通伝導役物)として構成される。普通可変入賞球装置6への遊技球の入賞に基づく特別図柄の可変表示は、所定回数(本実施形態では、4回)まで後述する特図保留記憶部121A(図18)に記憶される。普通図柄表示器40の左側には、普通可変入賞球装置6に入った有効入賞球数すなわち始動記憶数を記憶する4つのLEDによる表示部を有する特別図柄始動記憶表示器41が設けられている。有効始動入賞がある毎に、特別図柄始動記憶表示器41は点灯するLEDを1増やす。特別図柄表示器5の可変表示が開始される毎に、点灯するLEDを1減らす。
特別可変入賞球装置7は、ソレノイド22によって入賞領域を開成・閉成制御する開閉板を備える。この開閉板は、通常時には閉成し、普通可変入賞球装置6への遊技球の入賞に基づいて特別図柄表示器5による特図ゲームが行われた結果、大当り遊技状態となった場合に、ソレノイド22によって入賞領域を所定期間(たとえば、29秒)あるいは所定個数(たとえば、10個)の入賞球が発生するまで開成(開成サイクル)する状態となるように設定され、その開成している間に遊技領域を落下する遊技球を受け止める。そして、この開成サイクルをたとえば最高16回繰り返すことができるようになっている。特別可変入賞球装置7に入賞した遊技球は、所定の検出部により検出され、主基板11(図2)および図示せぬ払出制御基板により、所定数の賞球の払い出しが行われる。
また、遊技盤2の表面には、ランプを内蔵した風車、アウト口等が設けられている。また、パチンコ遊技機1には、点灯または点滅する遊技効果ランプ9や効果音を発声するスピーカ8L、8Rが設けられている。
パチンコ遊技機1には、たとえば図2に示すような主基板11、演出制御基板12、音声制御基板13、ランプ制御基板14といった、各種の制御基板が搭載されている。また、パチンコ遊技機1には、主基板11と演出制御基板12との間で伝送される各種の制御信号を中継するための中継基板18なども搭載されている。なお、音声制御基板13やランプ制御基板14は、演出制御基板12とは別個の独立した基板によって構成されてもよいし、演出制御基板12にまとめられて1つの基板として構成されてもよい。その他、パチンコ遊技機1の背面には、たとえば払出制御基板、情報端子基板、発射制御基板、インタフェース基板などといった、各種の基板が配置されている。
主基板11は、メイン側の制御基板であり、パチンコ遊技機1における遊技の進行を制御するための各種回路が搭載されている。主基板11は、主として、特図ゲームにおいて用いる乱数の設定機能、所定位置に配設されたスイッチ等からの信号の入力を行う機能、演出制御基板12などからなるサブ側の制御基板に宛てて、指令情報の一例となる制御コマンドを制御信号として出力して送信する機能、ホールの管理コンピュータに対して各種情報を出力する機能などを備えている。また、主基板11は、特別図柄表示器5、普通図柄表示器40、特別図柄始動記憶表示器41、普通図柄始動記憶表示器42の点灯、点滅、発色制御を行う。
図2に示すように、主基板11には、各入賞口スイッチ70(ゲートスイッチ、始動口スイッチ、カウントスイッチ等)からの検出信号を受信するための配線が接続されている。加えて、主基板11には、普通可変入賞球装置6における可動翼片の傾動制御を行うための指令信号をソレノイド21に伝送したり、特別可変入賞球装置7における開閉板の開閉制御を行うための指令信号をソレノイド22に伝送したりするためのソレノイド回路108が、後述する遊技制御用マイクロコンピュータ100に接続されていてもよい。さらに、主基板11には、特別図柄表示器5、普通図柄表示器40、特別図柄始動記憶表示器41、普通図柄始動記憶表示器42の表示制御を行うための指令信号を伝送する配線が接続されている。
主基板11は、たとえば遊技制御用マイクロコンピュータ100、スイッチ回路107などから構成される。遊技制御用マイクロコンピュータ100は、ゲーム制御用のプログラム等を記憶するROM(Read Only Memory)101、ワークメモリとして使用されるRAM(Random Access Memory)102、プログラムにしたがって制御動作を行うCPU(Central Processing Unit)103、CPU103とは独立して乱数値を示す数値データの生成を行う乱数回路104及びI/O(Input/Output Port)105から構成される。スイッチ回路107は、各入賞口スイッチ70からの検出信号を取り込んで、遊技制御用マイクロコンピュータ100に伝送する。なお、遊技制御用マイクロコンピュータ100は、たとえば1チップマイクロコンピュータであってもよい。
主基板11から演出制御基板12に向けて出力される制御信号は、中継基板18によって中継される。主基板11には、たとえば中継基板18対応の主基板側コネクタが設けられ、主基板側コネクタと遊技制御用マイクロコンピュータ100との間には、出力バッファ回路が接続されている。出力バッファ回路は、主基板11から中継基板18を介して演出制御基板12へ向かう方向にのみ信号を通過させることができ、中継基板18から主基板11への信号の入力を阻止する。
中継基板18には、たとえば主基板11から演出制御基板12に対して出力される制御信号を伝送するための配線毎に、伝送方向規制回路が設けられていればよい。各伝送方向規制回路は、主基板11対応の主基板用コネクタにアノードが接続されるとともに演出制御基板12対応の演出制御基板用コネクタにカソードが接続されたダイオードと、一端がダイオードのカソードに接続されるとともに他端がグランド(GND)接続された抵抗とから構成されている。この構成により、各伝送方向規制回路は、演出制御基板12から中継基板18への信号の入力を阻止して、主基板11から演出制御基板12へ向かう方向にのみ信号を通過させることができる。したがって、演出制御基板12の側から主基板11側に信号が伝わる余地はない。なお、主基板への不正な信号の入力を防ぐために、主基板とサブ基板との間に主基板からサブ基板への信号の出力のみを規制する一方向データ転送手段を設けたものは既に提案されている(たとえば、特開平8−224339号公報などを参照)。しかしながら、主基板と一方向データ転送手段との間には主基板への信号入力を規制するものがないため、一方向データ転送手段に改変を加えることで主基板に不正な信号を入力させることが可能であった。この実施の形態では、中継基板18において制御信号を伝送するための配線毎に伝送方向規制回路を設けるとともに、主基板11にて遊技制御用マイクロコンピュータ100と主基板側コネクタの間に出力バッファ回路を設けることで、外部から主基板11への不正な信号の入力を、より確実に防止することができる。
次に、可変表示装置4の構成について図3から図8を参照して説明する。
図3(a)は、可変表示装置4の構造を示す概略図である。図3に示すように、可変表示装置4は、遊技盤2の面内に設置され、飾り図柄を表示するLCD58と、LCD58の後ろに設置され、立体識別情報を形成する立体物60aを備える回転表示装置60と、立体物60aの後ろに設置され、立体物60aの背景画像を表示するLCD68とから構成される。なお、LCD58の表示画面は方形状に形成されている。
本実施形態におけるLCD58の任意の部分(領域)は、遊技者が表示画面の裏側を視認可能な(裏側が透けて見える)透明部分(透明領域)または遊技者が表示画面の裏側を視認不可能な(裏側が見えない)非透明部分(非透明領域)に切り替えることができる。図3(b)に示すように、可変表示装置4の正面からは、透明領域から、LCD58の後ろに存在する立体物60aおよびLCD68を見ることができる。このように、表示画面の領域中に透明部分または非透明部分に切り替えることができる部分を有しているLCD58は、一般に透明液晶と呼ばれる。以下、LCD58の構造および原理について説明する。
図4は、LCD58の構造を示した図である。LCD58は多層パネルから構成される。多層パネルは、前面側から保護ガラス301、液晶パネル310、ホログラム304、導光板305、反射フィルム306を備えた多層構造を有する。保護ガラス301は、光を透過させる透明な強化ガラスであって、裏面側の液晶パネル310を保護する。液晶パネル310は、2枚のガラス基板303A、303Bの内側に液晶302が挟まれた構造となっている。液晶302は、液晶を高分子中に微小粒として分散させた高分子分散型液晶(PDLC;Polymer Dispersed Liquid Crystal)である。高分子分散型液晶は、光散乱効果をディスプレイ装置に利用するものである。すなわち、高分子・液晶の複合体に電圧を加えて液晶分子の配列方向を電界の方向にそろえ、高分子と液晶とのマッチングによる効果を利用して白濁・透明の切り替えを行うものである。このような高分子分散型液晶を用いれば、配向膜も偏向板も不要となる。図4には図示していないが、ガラス基板303A、303Bの内面には、液晶302に電圧を印加する透明電極が配されている。透明電極の電極パターンはマトリクス状となっている。
ホログラム304は、一定方向から入射した特定波長の光を回折して他の方向に出射させる。ホログラム304は、ガラス基板303Bの裏面(液晶302がある方の面とは反対側の面)上に作成されている。一般に、ホログラフィ技術は、物体にレーザ光線を照射して、散乱した物体光と参照光との干渉縞(ホログラム)を記録し、参照光で物体光の波面再生を行う。しかし、ホログラム304は、通常の立体画像を表示するホログラムと異なり、実際の物体からの物体光を用いずに、平行光を利用して作成される。ホログラム304は体積位相型のホログラムである。すなわち、光照射によって屈折率が変化する感光性樹脂を用い、干渉縞の光強度分布に対応した位相分布を実現する。したがって、回折効率が高く、また面の垂直方向に入射された光は透過させるので、面の垂直方向に対してはほぼ透明である。また、体積位相型のホログラム304は、記録時に用いられていた特定波長の光またはその近傍の波長の光によってのみ再生され、その波長と異なる波長の光によっては再生されない。
導光板305は、光源320から照射される光をホログラム304の面に導くアクリル板である。導光板305の裏面には、裏側からの光を透過させるが、前側からの光を反射する反射フィルム306が貼り付けられている。光源320は、液晶302に対して平行光(照明光)を照射するための冷陰極管である。光源320は、導光板305の上部に隣接して設置されている。なお、導光板305、反射フィルム306および光源320によりLCD58のバックライトを構成する。
次に、LCD58における透明液晶の原理を、図5を参照して説明する。図5に示すように、導光板305の上端部に設けられた光源320は、特定波長の平行光(照明光)を照射する。導光板305の上端部から入射された平行光は、導光板305内を進行しホログラム304に入射する。ホログラム304では、斜め下方向に入射した特定波長の平行光を回折して液晶パネル310側に対して斜め上方向に出射する。ホログラム304からの回折光は、液晶パネル310のガラス基板303Bを通じて液晶302に入射する。
液晶302は、上述したように、高分子分散型液晶であって、透明電極により電圧が印加されているとき(オン状態のとき)は透明で、電圧が印加されていないとき(オフ状態のとき)は白濁である。したがって、透明にしたい表示画面の透明部分内の画素をオン状態にし、画像を表示したい表示画面の透明部分内の画素を画像信号に応じてオフ状態にする。オフ状態の画素では、回折光の入射方向に関係なく光を前方に散乱する。オフ状態の画素で前方散乱した光が遊技者の目に入ることにより、遊技者にはオフ状態の画素のみ輝いて見える。一方、オン状態の画素では、ホログラム304からの回折光が斜め上方向に入射されるので、その回折光は遊技者の目に入らない。また、外光(可変表示装置4の内部からの光)は、導光板305およびホログラム304を透過し、さらに液晶302におけるオン状態の画素を透過するので、遊技者の目に入る。よって、オン状態の画素において裏側(可変表示装置4の内部)が透けて見えることになる。
このように、LCD58では、画像を表示できるとともに、画像を表示していない部分を透明にすることができる。よって、LCD58の表示画面における透明部分において、立体物60aによる識別情報の表示やLCD68の表示と重畳させて画像を表示することができる。ここで、LCD58では偏向板が用いられていないため、光の透過率が低下してしまうことがない。また、光源320からの光を液晶302に照射して液晶302を散乱させているので明るい画像を得ることができる一方、ホログラム304からの回折光は斜め上方向に液晶302に入射するので遊技者の目に入ることはない。
以上において、モノクロ(白黒)画像を表示可能な透明液晶の構成を説明したが、カラー画像を表示可能な透明液晶も実現可能である。たとえば、二枚のガラス基板の一方の表面(たとえばガラス基板303Aと透明電極との間)にカラーフィルタを画素ごとに設けることなどによって実現できる。
なお、図4および図5に示したLCD58は、透明液晶の構造の一例であって、透明液晶を実現できるものであれば、その他の構造であっても構わない。たとえば、光源320からの平行光の光路を変換する手段として体積位相型のホログラム304を用いていたが、位相回折格子やハーフミラーなどを用いることも可能である。また、液晶302として高分子分散型液晶を用いていたが、ネマティック液晶等を用いてもよい。また、高分子分散型液晶による光の前方散乱を利用していたが、光の後方散乱を利用することも可能である。また、光源320は、冷陰極管で実現されていたが、自ら発光するものであれば、各種ランプ、放電管、EL(electro-luminescence)などであってもよい。さらに、画像のカラー化を実現するための手段として、カラーフィルタを用いるのではなく、その他の手段を利用してもよい。
次に、回転表示装置60の構成について、図6から図8を参照して説明する。まず、可変表示装置4は、図6に示すとおり、各々の識別情報を可変表示する上段、中段、下段の可変表示部から構成される。各可変表示部は、右方向から左方向への横スクロールによって識別情報を各々可変表示させる。上段の可変表示部は、図6に示すように、回転表示装置60を構成する上段回転体61および上段ステッピングモータ62と、LCD68を構成する上段LCD68aとから形成される。上段回転体61は、識別情報(立体識別情報)を形成する立体物61aが外周部分に複数設けられたリール形状をなし、その中心部分に設けられた円盤状の取付部61bが上段ステッピングモータ62の駆動軸62aにビス62bで一体的に取り付けられる。そして、リール形状の上段回転体が上段ステッピングモータ62の駆動によって回転するようになっている。一方、上段の可変表示部を形成する上段LCD68aは、横長方形状の画像表示面が上段回転体61の外周形状に沿って湾曲して形成され、立体物61aの背面側に配置される。そして、上段LCD68aは、上段の可変表示部の背景画像を表示するようになっている。
また、中段の可変表示部は、回転表示装置60を構成する中段回転体63と中段ステッピングモータ(図示せず)と、LCD68を構成する中段LCD68bとから形成されており、下段の可変表示部は、回転表示装置60を構成する下段回転体65と下段ステッピングモータ(図示せず)と、LCD68を構成する下段LCD68cとから形成されている。中段回転体63および下段回転体65は、上段回転体61と同様に、立体識別情報を形成する立体物63a、65aが外周部分に複数設けられたリール形状をなし、その中心部分に設けられた円盤状の取付部が個々に中段ステッピングモータ、下段ステッピングモータの駆動軸に一体的に取り付けられる。そして、中段回転体63が中段ステッピングモータの駆動によって回転することで、立体識別情報を形成する複数の立体物63aが回転して中段の可変表示部の可変表示を行い、下段回転体65が下段ステッピングモータの駆動によって回転することで、立体識別情報を形成する複数の立体物65aが回転して下段の可変表示部の可変表示を行う。
一方、中段の可変表示部を形成する中段LCD68bおよび下段の可変表示部を形成する下段LCD68cは、上段LCD68aと同様に、横長方形状の画像表面が湾曲して形成され、各々立体物63a、65aの背面側に配置される。そして、中段LCD68bは、中段の可変表示部の背景画像を表示し、下段LCD68cは、下段の可変表示部の背景画像を表示する。
なお、立体識別情報を形成する立体物61a、63a、65aは、それぞれ回転体61、63、65に対して着脱自在に設けられている。このため、立体物61a、63a、65aを交換するという簡単な作業で、異なるタイプの回転制御装置60を構成することができる。なお、実施形態中では、立体物を支持する支持体リール形状の回転体(61、63、65)から構成し、当該回転体に対して立体物を着脱自在に設けているが、これに限定するものではない。たとえば、支持体をベルト形状のものから構成し、このベルト形状の支持体に対して立体物を着脱自在に設けるようにしてもよい。また、ベルト形状の支持体に識別情報が印刷されているものであってもよい。
また、立体物61a、63a、65aを個々に回転体61、63、65に対して回動自在に取り付け、回転体61、63、65の回転方向に応じて立体物61a、63a、65aを回動させ向きを変える方向転換機能(図示せず)を備えるようにしてもよい。具体的に、方向転換機能の作用としては、立体識別情報が右方向から左方向へスクロールしている場合、すなわち回転体61、63、65が右から左に回転している場合には、立体物61a、63a、65aの向き(キャラクタの顔の向き)を左向きにし、立体識別情報のスクロール方向が反転した場合、すなわち回転体61、63、65の回転方向が左から右に反転した場合には、回転体61、63、65の反転動作に応じて、立体物61a、63a、65aの向きを右向きに切り替える等がある。このように構成することにより、立体物61a、63a、65aの可変表示において動きのある演出を行うことができる。
また、立体物61a、63a、65aを光透過性の素材で構成するとともに、この立体物61a、63a、65aに光を照射する発光部材(たとえば、蛍光管やランプ等)を設けるようにしてもよい。このように構成することにより、立体物61a、63a、65aを光装飾することができるとともに、立体物61a、63a、65aを光装飾する場合としない場合とで演出に変化を持たせることができる。なお、光透過性の素材としては、ABS樹脂やポリカーボネイト等の透明な合成樹脂等であればよい。
次に、立体識別情報について説明する。立体識別情報は、図8に示すように、「イルカ」「タイ」「金魚」「フグ」「熱帯魚」「イカ」「カメ」「クジラ」の水中で生息する生き物のキャラクタと、当該キャラクタ毎に対応して付された数字(1〜8)とから構成される。具体的には、「イルカ1」「タイ2」「金魚3」「フグ4」「熱帯魚5」「イカ6」「カメ7」「クジラ8」の全8種の立体識別情報から構成されている。
また、上段の可変表示部および中段の可変表示部で可変表示される立体識別情報、つまり、回転体61、63(立体物61a、63a)によって形成される立体識別情報は、それぞれ「イルカ1」「タイ2」「金魚3」「フグ4」「熱帯魚5」「イカ6」「カメ7」「クジラ8」の順で配列されている。一方、下段の可変表示部で可変表示される立体識別情報、つまり、回転体65(立体物65a)によって形成される立体識別情報は、それぞれ「クジラ8」「カメ7」「イカ6」「熱帯魚5」「フグ4」「金魚3」「タイ2」「イルカ1」の順で配列されている。
上段、中段、下段の可変表示部は、LCD68a〜68cが横スクロールによって表示する背景画像と、LCD68a〜68cの前面側に配置されるとともに回転体61、63、65の回転に伴って回転する立体識別情報(「イルカ1」〜「クジラ8」の立体識別情報を構成する立体物61a、63a、65a)と、回転体61、63、65の前面側に配置される透明液晶であるLCD58とから構成される。
次に、制御コマンドについて図9〜図11を参照して説明する。制御コマンドは、中継基板18を介して主基板11から演出制御基板12に対して送信される、たとえば電気信号として伝送される演出制御コマンドである。演出制御コマンドは、たとえば、可変表示装置4における表示動作や、スピーカ8L、8Rからの音声出力、遊技効果ランプ9や装飾用LEDの点灯動作などを制御するためのコマンドである。図9は、この実施の形態で用いられる演出制御コマンドの内容の一例を示す説明図である。演出制御コマンドは、たとえば2バイト構成であり、1バイト目はMODE(コマンドの分類)を示し、2バイト目はEXT(コマンドの種類)を表す。MODEデータの先頭ビット(ビット7)は必ず「1」とされ、EXTデータの先頭ビットは「0」とされる。なお、図9に示されたコマンド形態は一例であって、他のコマンド形態を用いてもよい。また、この例では、制御コマンドが2つの制御信号で構成されることになるが、制御コマンドを構成する制御信号数は、1であってもよいし、3以上の複数であってもよい。
図10に示す例において、コマンド80XXHは、特別図柄表示器5において特別図柄の可変表示(変動)を開始するときに送信される変動パターンコマンドである。なお、XXHは不特定の16進数であるであることを示し、演出制御コマンドによる指示内容に応じて任意に設定される値であればよい。変動パターンコマンドは、たとえば特別図柄の可変表示が開始されてから確定特別図柄が停止表示されるまでの時間である特別図柄の可変表示時間や、可変表示装置4における飾り図柄の可変表示態様をリーチとしてからハズレとなるリーチハズレとするかリーチとすることなくハズレとなる通常ハズレとするかなどを示すEXTデータを含んでいる。
ここで、リーチとは、可変表示装置4にて導出表示した飾り図柄が大当り組合せの一部を構成しているときに未だ導出表示していない飾り図柄(リーチ変動図柄という)については変動表示が行われている表示態様、あるいは、全部または一部の飾り図柄が大当り組合せの全部または一部を構成しながら同期して変動表示している表示態様のことである。具体的には、あらかじめ定められた組合せ有効ライン上の一部の表示領域にあらかじめ定められた大当り組合せを構成する図柄を停止表示しているときに未だ停止表示していない組合せ有効ライン上の表示領域において変動表示が行われている表示態様(たとえば「左」、「中」、「右」の表示領域のうち「左」、「右」の表示領域には大当り図柄の一部となる飾り図柄が停止表示されている状態で「中」の表示領域は未だ変動表示が行われている表示態様)、あるいは、有効ライン上の表示領域の全部または一部が大当り図柄の全部または一部を構成しながら同期して変動表示している表示態様(たとえば「左」、「中」、「右」の表示領域の全てで変動表示が行われてどの状態が表示されても同一の飾り図柄が揃っている態様で変動表示が行われている表示態様)である。また、リーチの際に、通常と異なる演出がランプや音などで行われることがある。この演出をリーチ演出という。また、リーチの際には、キャラクタ(人物等を模した演出表示であり、飾り図柄とは異なるもの)を表示させたり、背景の表示態様を変化させたり、飾り図柄の可変表示態様を変化させたりすることがある。このキャラクタの表示や背景の表示態様、飾り図柄の可変表示態様の変化を、リーチ演出表示という。
ここで、リーチA系コマンド(コマンド8002H、8005H、8008H、800BH)とは、第1のリーチ演出およびリーチ演出表示(リーチA演出)を行い、さらに大当り予告を演出することを示すコマンドをいう。リーチB系コマンド(コマンド8003H、8006H、8009H、800CH)とは、第2のリーチ演出およびリーチ演出表示(リーチB演出)を行い、さらに潜伏演出中(前回の大当り時に、高確率状態に変化することを遊技者に報知する演出がなかった状態をいう。詳細は後述)であれば、高確率状態であるか否かを遊技者に報知する高確報知演出を行うことを示すコマンドをいう。リーチC系コマンド(コマンド8004H、8007H、800AH、800DH)とは、第3のリーチ演出およびリーチ演出表示(リーチC演出)を行うことを示すコマンドをいう。
また、大当り変動−1(コマンド8005H、8006H、8007H)とは、変動終了時に高確報知演出を行わないことを示す。大当り変動−2(コマンド8008H、8009H、800AH)とは、変動終了時に高確報知演出はあるが、高確率状態となることを報知しないことを示す。大当り変動−3(コマンド800BH、800CH、800DH)とは、変動終了時に高確報知演出があり、その後高確率状態になることを報知することを示す。
図11に示すように、コマンド90XXHは、特別図柄の可変表示結果が大当りとなるか否かの決定結果と、ラウンド中に高確報知演出において高確率状態となることを報知する(昇格演出を行う)か否かと、エンディング時に高確報知演出において高確率状態となることを報知する(昇格演出を行う)か否かとを示す表示結果通知コマンドである。また、表示結果通知コマンドは、大当り遊技状態の終了後における遊技状態の決定結果も示している。
コマンドA000Hは、特別図柄の可変表示結果が大当りとなったことにより、大当り遊技状態が開始されることを示す大当り開始コマンドである。コマンドA1XXHは、大当り遊技状態において開始されるラウンドの回数を示す大当りラウンド数通知コマンドである。コマンドB000Hは、大当り遊技状態が終了することを示す大当り終了コマンドである。
コマンドD0XXHは、パチンコ遊技機1における遊技状態を示す遊技状態通知コマンドである。たとえば、コマンドD0XXHは、現在の遊技状態が低確低ベース状態(高確率状態でも時短状態(高ベース状態)でもない状態)、低確高ベース状態(高確率状態でないが時短状態(高ベース状態)である状態)、高確低ベース状態(高確率状態であるが時短状態(高ベース状態)ではない状態)、高確高ベース状態(高確率状態であって時短状態(高ベース状態)でもある状態)のいずれであるかを示すコマンドである。
図2に示す遊技制御用マイクロコンピュータ100が備える乱数回路104では、遊技の進行を制御するために用いられる各種の乱数値を示す数値データがカウントされる。具体的な一例として、CPU103は、乱数回路104による乱数生成動作の設定を行い、数値データを所定の手順にしたがって定期的(あるいは不定期)に更新させる。図12は、主基板11の側においてカウントされる乱数値を例示する説明図である。図12に示すように、この実施の形態では、主基板11の側において、大当り判定用の乱数値MR1、リーチ判定用の乱数値MR2、可変表示パターン(変動パターン)決定用の乱数値MR3、遊技状態決定用の乱数値MR4、大当り遊技状態中に高確率状態に移行したことを報知するタイミングを決定するための乱数値MR5、普通当り判定用の乱数値MR6を示す数値データを、カウント可能に制御する。なお、遊技効果を高めるために、主基板11の側でこれら以外の乱数が用いられてもよい。乱数回路104は、これらの乱数値MR1〜MR6の全部または一部を示す数値データをカウントするものであればよい。CPU103は、乱数回路104とは異なるランダムカウンタを用いて、ソフトウェアによる更新によって、乱数値MR1〜MR6の全部または一部を示す数値データをカウントするようにしてもよい。また、たとえば、特別図柄を決定するための乱数等、その他の乱数を設けてもよい。
大当り判定用の乱数値MR1は、大当りの発生によりパチンコ遊技機1が大当り遊技状態となるか否かの判定を行うために用いられる乱数値であり、たとえば「1」〜「65535」の範囲の値をとる。すなわち、大当り判定用の乱数値MR1は、特図ゲームにおける可変表示結果の種類が大当りとなるかハズレとなるかの判定を行うために用いられる。リーチ判定用の乱数値MR2は、特図ゲームにて確定特別図柄が大当り図柄とならない場合に、可変表示装置4において可変表示態様をリーチとした後にハズレ組合せの飾り図柄を導出表示するのか、リーチとすることなくハズレ組合せの飾り図柄を導出表示するのかを判定するために用いられる表示用の乱数値であり、たとえば「1」〜「1530」の範囲の値をとる。
可変表示パターン決定用の乱数値MR3は、特別図柄表示器5による特図ゲームにおける特別図柄の可変表示時間や可変表示装置4における飾り図柄の可変表示態様などを、あらかじめ用意された複数の可変表示パターンのいずれかに対応して、複数種類のうちから決定するために用いられる表示用の乱数値であり、たとえば「1」〜「256」の範囲の値をとる。遊技状態決定用の乱数値MR4は、特図ゲームにて大当りとなる旨の判定がなされたときに、大当り遊技状態の終了後における遊技状態を、非確変遊技状態かつ非時短状態(低確低ベース状態)、非確変遊技状態かつ時短状態(低確高ベース状態)、確変遊技状態かつ非時短状態(高確低ベース状態)、確変遊技状態かつ時短状態(高確高ベース状態)のいずれに制御するかを決定するために用いられる乱数値であり、たとえば「1」〜「80」の範囲の値をとる。
大当り高確報知タイミング決定用の乱数値MR5は、確変大当りとすることが決定されているときに、その大当り終了後に確率変動状態となることを報知するタイミングを決定するために用いられる乱数値であり、たとえば「1」〜「400」の範囲の値をとる。普通当り判定用の乱数値MR6は、普通図柄表示器40による普通図ゲームにおける表示結果を「当り」とするか否かの判定を行うために用いられる乱数値であり、たとえば「1」〜「14」の範囲の値をとる。
図2に示す遊技制御用マイクロコンピュータ100が備えるROM101には、ゲーム制御用のプログラムの他にも、遊技の進行を制御するために用いられる各種のデータテーブルが格納されている。たとえば、ROM101は、CPU103が各種の判定や決定を行うために用意された複数の判定テーブルや決定テーブルを構成するテーブルデータを記憶する。判定テーブルとしては、特図ゲームにおける特別図柄を大当り図柄として可変表示結果が大当りとなるか否かを判定するために参照される大当り判定テーブルや、普通図ゲームにおける表示結果が「当り」となるか否かを判定するために参照される普通当り判定テーブル、特図ゲームでの表示結果が大当りとなる場合に、確変遊技状態とするか否かかつ時短状態にするか否かの判定を行うために参照される遊技状態決定用テーブル、特別図柄や飾り図柄の変動態様を決定するために参照される変動パターンテーブル、大当り状態中に確変遊技状態とすることを遊技者に報知するか否か、および報知する場合の報知タイミングを決定するために参照される大当り中昇格タイミング決定用テーブルなどが含まれている。
大当り判定テーブルの具体例として、この実施の形態では、図13(A)に示す低確時大当り判定テーブル201と、図13(B)に示す高確時大当り判定テーブル202とが、ROM101に記憶されている。通常時大当り判定テーブル201及び確変時大当り判定テーブル202はそれぞれ、大当り判定用の乱数値MR1が、特図ゲームの表示結果を大当りとすることを示す大当り判定値データと合致するか、特図ゲームの表示結果をハズレとすることを示すハズレ判定値データと合致するかを、判定可能にする設定データなどから構成されている。そして、高確時大当り判定テーブル202では、低確時大当り判定テーブル201に比べてより多くの乱数値MR1が、大当り判定値データと合致するように設定されている。すなわち、確変遊技状態では高確時大当り判定テーブル202を用いて特図ゲームの表示結果を決定することで、低確時大当り判定テーブル201を用いて特図ゲームの表示結果を決定する通常遊技状態のときよりも高い確率で、大当り遊技状態とする旨の判定がなされることになる。
この実施の形態において、図13(A)に示す低確時大当り判定テーブル201では、乱数回路104にて生成される大当り判定用の乱数値MR1がとる値の範囲である「1」〜「65535」のうち「2001」〜「2184」が「大当り」とすることを示す大当り判定値データと合致する旨の判定がなされるように設定される。これに対して、図13(B)に示す高確時大当り判定テーブル202では、乱数回路104にて生成される大当り判定用の乱数値MR1がとる値の範囲である「1」〜「65535」のうち「2001」〜「3104」が「大当り」とすることを示す大当り判定値データと合致する旨の判定がなされるように設定される。
普通当り判定テーブルの具体例として、この実施の形態では、図14(A)に示す非時短状態(低ベース)の場合に適用される低ベース時普通当り判定テーブル211と、図14(B)に示す時短状態(高ベース)の場合に適用される高ベース時普通当り判定テーブル212とが、ROM101に記憶されている。低ベース時普通当り判定テーブル211及び高ベース時普通当り判定テーブル212はそれぞれ、普通当り判定用の乱数値MR6が、普通図ゲームの表示結果を「当り」とすることを示す普通当り判定値データと合致するか、普通図ゲームの表示結果を「ハズレ」とすることを示すハズレ判定値データと合致するかを、判定可能にする設定データなどから構成されている。そして、高ベース時普通当り判定テーブル212では、低ベース時普通当り判定テーブル211に比べてより多くの乱数値MR6が、普通当り判定値データと合致するように設定されている。この実施の形態では、パチンコ遊技機1が非時短状態に制御されているときに低ベース時普通当り判定テーブル211を用いて普通図ゲームの表示結果を決定する一方で、パチンコ遊技機1が時短状態に制御されているときに高ベース時普通当り判定テーブル212を用いて普通図ゲームの表示結果を決定する。これにより、時短状態では、通常遊技状態に比べて高い確率で普通図ゲームの表示結果が「当り」となり、遊技球が始動入賞口に入賞しやすくなる。
ROM101に記憶される決定テーブルには、大当り遊技状態となることが決定したときに確変とするか否かおよび時短状態とするか否かを決定するための遊技状態決定テーブル、特図ゲームの可変表示中での図柄等の可変表示パターンを決定するための可変表示パターン決定テーブルなどが含まれている。
遊技状態決定テーブルの具体例として、この実施の形態では、図15(A)に示す低確低ベース時遊技状態決定テーブル231と、図15(B)に示す低確高ベース時遊技状態決定テーブル232と、図15(C)に示す高確低ベース時遊技状態決定テーブル233と、図15(D)に示す高確高ベース時遊技状態決定テーブル234とが、ROM101に記憶されている。各遊技状態決定テーブル231〜234は、遊技状態決定用の乱数値MR4が、遊技状態を通常遊技状態かつ非時短状態に制御することを示す低確低ベース大当りデータと合致するか、遊技状態を通常遊技状態かつ時短状態に制御することを示す低確高ベース大当りデータと合致するか、遊技状態を確率変動状態かつ非時短状態に制御することを示す高確低ベース大当りデータと合致するか、遊技状態を確率変動状態かつ時短状態に制御することを示す高確高ベース大当りデータと合致するかを、判定可能にする設定データなどから構成されている。
図15(A)に示す低確低ベース時遊技状態決定テーブル231は、低確低ベース状態において大当りとすることが決定されたときに使用されるテーブルであって、遊技状態決定用の乱数値MR4のうち「1」〜「50」が低確低ベース大当りデータに、「51」〜「60」が低確高ベース大当りデータに、「61」〜「70」が高確低ベース大当りデータに、「71」〜「80」が高確高ベース大当りデータに、それぞれ合致するように決定用データが設定されている。これに対して、図15(B)に示す低確高ベース時遊技状態決定テーブル232は、低確高ベース状態において大当りとすることが決定されたときに使用されるテーブルであって、遊技状態決定用の乱数値MR4のうち「1」〜「40」が低確低ベース大当りデータに、「41」〜「50」が低確高ベース大当りデータに、「51」〜「60」が高確低ベース大当りデータに、「61」〜「80」が高確高ベース大当りデータに、それぞれ合致するように決定用データが設定されている。また、図15(C)に示す高確低ベース時遊技状態決定テーブル233は、高確低ベース状態において大当りとすることが決定されたときに使用されるテーブルであって、遊技状態決定用の乱数値MR4のうち「1」〜「30」が低確低ベース大当りデータに、「31」〜「40」が低確高ベース大当りデータに、「41」〜「50」が高確低ベース大当りデータに、「51」〜「80」が高確高ベース大当りデータに、それぞれ合致するように決定用データが設定されている。さらに、図15(D)に示す高確高ベース時遊技状態決定テーブル234は、高確高ベース状態において大当りとすることが決定されたときに使用されるテーブルであって、遊技状態決定用の乱数値MR4のうち「1」〜「20」が低確低ベース大当りデータに、「21」〜「30」が低確高ベース大当りデータに、「31」〜「40」が高確低ベース大当りデータに、「41」〜「80」が高確高ベース大当りデータに、それぞれ合致するように決定用データが設定されている。これにより、大当り遊技状態となったときにおける遊技状態は、特図ゲームの表示結果を大当りとする旨の判定がなされたときのパチンコ遊技機1における遊技状態に応じて、図15(A)〜(D)に示すような決定割合で低確低ベース状態、低確高ベース状態、高確低ベース状態、高確高ベース状態のいずれかに決定される。すなわち、特図ゲームの表示結果を大当りとする旨の判定がなされたときのパチンコ遊技機1における遊技状態に応じて、それぞれの状態に制御される旨の決定がなされる割合が異なる。
可変表示パターン決定テーブルの具体例として、この実施の形態では、図16(A)に示すリーチハズレ時可変表示パターン決定用テーブル241と、図16(B)に示す大当り時可変表示パターン決定用テーブルA242と、図16(C)に示す大当り時可変表示パターン決定用テーブルB243とが、ROM101に記憶されている。各テーブル241〜243は、変動パターン決定用の乱数値MR3に対応して、特図ゲームにて特別図柄の変動を開始させてから確定特別図柄を停止表示させるまでの総可変表示時間(図10参照)などを、決定可能にする設定データなどから構成されている。
リーチハズレ時可変表示パターン決定用テーブル241は、リーチハズレ(特図ゲームにて確定特別図柄が大当り図柄とならない場合に、可変表示装置4において可変表示態様をリーチとした後にハズレ組合せの飾り図柄を導出表示する)決定時に使用される可変表示パターン決定用テーブルである。大当り時可変表示パターン決定用テーブルA242は、変動終了時に昇格演出を行う決定がなされないように設定されたテーブルである。すなわち、低確大当り決定時と、高確大当り決定時であってラウンド中またはエンディング時に昇格演出を行うと決定したときに使用される。大当り時可変表示パターン決定用テーブルB243は、高確大当り決定時であってラウンド中またはエンディング時に昇格演出を行わないと決定したときに使用されるテーブルである。このときは、変動終了時に昇格演出を行う場合と、行わない場合(潜伏演出中に昇格演出を行う場合)とがあるので、変動終了時に昇格演出を行う変動パターンに振り分けることができる。これらのテーブル242と243とを使い分けることで、大当り遊技状態において遊技者に昇格への期待感を持たせることができ、遊技の興趣を高めることができる。
また、確変大当り遊技状態となるときに、乱数値MR5に対応して、大当り遊技状態中に確率変動状態となることを演出により報知するか否か、および報知する場合の報知タイミングを決定する大当り昇格タイミング決定テーブル251(図17参照)が、ROM101に記憶されている。
次に、図2に示す遊技制御用マイクロコンピュータ100が備えるRAM102の構成について説明する。RAM102には、パチンコ遊技機1における遊技状態などを制御するために用いられる各種のデータを保持する領域として、たとえば図18に示すような遊技制御用データ保持エリア120が設けられている。図18に示す遊技制御用データ保持エリア120は、特図保留記憶部121Aと、普通図保留記憶部121Bと、確定特別図柄記憶部122と、遊技制御フラグ設定部123と、遊技制御タイマ設定部124と、遊技制御カウンタ設定部125とを備えている。
特図保留記憶部121Aは、普通可変入賞球装置6が形成する始動入賞口に遊技球が進入(入賞)して特別図柄表示器5による特図ゲームを始動するための始動条件が成立したものの、従前の特図ゲームを実行中である等の理由のために可変表示を開始するための開始条件が成立していない特図ゲームに関する保留情報を記憶する。たとえば、特図保留記憶部121Aは、始動入賞口への入賞順に保留番号と関連付けて、その入賞による始動条件の成立に基づいてCPU103により乱数回路104等から抽出された大当り判定用の乱数値MR1を示す数値データを保留データとし、その数が所定の上限値(たとえば「4」)に達するまで記憶する。
普通図保留記憶部121Bは、遊技領域に設けられた通過ゲート25を遊技球が通過して普通図柄表示器40による普通図ゲームを始動するための始動条件が成立したものの、従前の普通図ゲームを実行中である等の理由のために可変表示を開始するための開始条件が成立していない普通図ゲームに関する保留情報を記憶する。たとえば、普通図保留記憶部121Bは、通過ゲート25を遊技球が通過した順番で保留番号と関連付けて、その通過による始動条件の成立に基づいてCPU103により乱数回路104等から抽出された普通当り判定用の乱数値MR6を示す数値データを保留データとし、その数が所定の上限値(たとえば「4」)に達するまで記憶する。
確定特別図柄記憶部122は、特別図柄表示器5による特図ゲームにて可変表示結果として導出表示される確定特別図柄を示すデータを記憶する。遊技制御フラグ設定部123は、パチンコ遊技機1における遊技状態やスイッチ回路107を介して各入賞口スイッチ70から伝送された信号等に応じて、各々セットあるいはクリアされる複数種類のフラグを設定するためのデータを記憶する。遊技制御タイマ設定部124は、パチンコ遊技機1での遊技制御に用いられる複数種類のタイマ値を示すデータを記憶する。遊技制御カウンタ設定部125は、パチンコ遊技機1での遊技制御に用いられる複数種類のカウント値を示すデータを記憶する。なお、フラグ設定やカウンタ/タイマに用いる回路は、RAM102とは別に設けたレジスタ回路などによって構成してもよい。
遊技制御フラグ設定部123には、たとえば特別図柄プロセスフラグや普通図柄プロセスフラグ、大当りフラグ、普通当りフラグ、確変フラグ、開閉設定完了フラグ、時短フラグ、低確低ベース大当りフラグ、低確高ベース大当りフラグ、高確低ベース大当りフラグ、高確高ベース大当りフラグなどが設けられている。
特別図柄プロセスフラグは、特別図柄表示器5に対応して実行される特別図柄プロセス処理(図23のステップS15、図24)において、どの処理を選択・実行すべきかを指示する。普通図柄プロセスフラグは、普通図柄表示器40に対応して実行される普通図柄プロセス処理(図23のステップS16、図32)において、どの処理を選択・実行すべきかを指示する。
大当りフラグは、特別図柄表示器5による特図ゲームを開始するときに、その特図ゲームにおける表示結果が大当りとなる旨の判定がなされると、オン状態にセットされる。そして、大当り遊技状態が終了するときに、大当りフラグはクリアされてオフ状態となる。普通当りフラグは、普通図柄表示器40による普通図ゲームを開始するときに、その普通図ゲームにおける表示結果が「当り」となる旨の判定がなされると、オン状態にセットされる。そして、普通図ゲームにおける表示結果が「当り」となったことに基づき普通可変入賞球装置6における可動翼片の傾動制御が終了するときに、普通当りフラグはクリアされてオフ状態となる。
確変フラグは、特別図柄表示器5による特図ゲームにて大当りとなることにより大当り遊技状態に制御された後、その大当り遊技状態が終了するときに高確低ベース大当りフラグまたは高確高ベース大当りフラグがオンになっていることに対応して、オン状態にセットされる。他方、確変フラグは、たとえば低確低ベース大当りまたは低確高ベース大当りに基づく大当り遊技状態が終了したことなどにより、確変遊技状態を終了するときに、クリアされてオフ状態となる。
開閉設定完了フラグは、普通図柄表示器40による普通図ゲームにて表示結果が「当り」となったことに基づき普通可変入賞球装置6が備える可動翼片を傾動制御するための設定が完了したことに対応して、オン状態にセットされる。他方、開閉設定完了フラグは、普通可変入賞球装置6が備える可動翼片の傾動制御が終了したことに対応して、クリアされてオフ状態になる。
時短フラグは、特別図柄表示器5による特図ゲームにて大当りとなることにより大当り遊技状態に制御された後、その大当り遊技状態が終了するときに低確高ベース大当りフラグまたは高確高ベース大当りフラグがオンになっていることに対応して、オン状態にセットされる。他方、時短フラグは、たとえば低確高ベース大当りまたは高確高ベース大当りに基づく大当り遊技状態が終了したこと、時短状態における特図ゲームの実行回数が所定回数(たとえば100回)に達したことなどにより、時短状態を終了するときに、クリアされてオフ状態となる。
低確低ベース大当りフラグは、特別図柄表示器5による特図ゲームにて大当りとなると判定されたときに、低確低ベース大当りとなると判定された場合にオン状態となる。他方、低確低ベース大当りフラグは、たとえば低確低ベース大当りに基づく大当り遊技状態が終了したことなどにより、クリアされてオフ状態となる。
低確高ベース大当りフラグは、特別図柄表示器5による特図ゲームにて大当りとなると判定されたときに、低確高ベース大当りとなると判定された場合にオン状態となる。他方、低確高ベース大当りフラグは、たとえば低確高ベース大当りに基づく大当り遊技状態が終了したことなどにより、クリアされてオフ状態となる。
高確低ベース大当りフラグは、特別図柄表示器5による特図ゲームにて大当りとなると判定されたときに、高確低ベース大当りとなると判定された場合にオン状態となる。他方、高確低ベース大当りフラグは、たとえば高確低ベース大当りに基づく大当り遊技状態が終了したことなどにより、クリアされてオフ状態となる。
高確高ベース大当りフラグは、特別図柄表示器5による特図ゲームにて大当りとなると判定されたときに、高確高ベース大当りとなると判定された場合にオン状態となる。他方、高確高ベース大当りフラグは、たとえば高確高ベース大当りに基づく大当り遊技状態が終了したことなどにより、クリアされてオフ状態となる。
遊技制御タイマ設定部124には、たとえば、可変表示タイマやモード移行報知タイマなどが設けられている。可変表示タイマは、特別図柄表示器5による特図ゲームの実行時間である特別図柄の可変表示時間を、主基板11の側にて計測するためのものである。たとえば、可変表示タイマは、特図ゲームにおける特別図柄の残りの可変表示時間に対応したタイマ値を記憶し、定期的にタイマ値をカウントダウンするダウンカウンタとして用いられる。この場合、可変表示タイマには、特別図柄表示器5による特別図柄の可変表示が開始されるに際して決定された可変表示パターンに対応したタイマ初期値が設定される。
遊技制御カウンタ設定部125には、たとえば、時短カウンタなどが設けられている。時短カウンタは、時短状態にて実行可能な特図ゲームの残り回数をカウントするためのものである。時短カウンタには、大当り遊技状態が終了するときに、時短状態にて実行可能としてあらかじめ定められた特図ゲームの上限回数(たとえば「100」)を示すデータが、時短中可変表示回数初期値として設定される。そして、時短状態にて可変表示結果がハズレとなる特図ゲームが実行されるときに(たとえば、図柄停止処理においてステップS242;Noとなったとき)、時短カウンタにおけるカウント値が更新(たとえば1減算)される。また、遊技制御カウンタ設定部125は、普通可変入賞球装置6が形成する始動入賞口への遊技球の入賞に基づく保留データの数である特図保留記憶数をカウントする特図保留記憶数カウンタと、通過ゲート25を遊技球が通過したことに基づく保留データの数である普通図保留記憶数をカウントする普通図保留記憶数カウンタとを備えていてもよい。
演出制御基板12は、主基板11とは独立したサブ側の制御基板であり、中継基板18を介して主基板11から送信された演出制御コマンドを受信して、可変表示装置4、スピーカ8L、8R及び遊技効果ランプ9といった演出用の電気部品を制御するための各種回路が搭載されている。すなわち、演出制御基板12は、可変表示装置4における表示動作や、スピーカ8L、8Rからの音声出力動作、遊技効果ランプ9におけるランプの点灯動作及び消灯動作などを制御する機能を備えている。演出制御基板12には、音声制御基板13やランプ制御基板14に制御信号を伝送する配線や、可変表示装置のLCD58やLCD68に画像データ信号を伝送する配線や、遊技者が行った外部操作(たとえば、遊技者が操作ボタン15により行った外部操作)による信号を受け付ける配線などが接続されている。また、演出制御基板12には、可変表示装置4の回転体61、63、65を回動させるステッピングモータを制御するモータ制御部136(図2参照)が設けられている。
図2に示すように、演出制御基板12には、演出制御用CPU130と、ROM131と、RAM132と、表示制御部133と、乱数回路134と、I/O135と、モータ制御部136とが搭載されている。なお、演出制御基板12には、演出制御コマンドの受信に用いられるコマンド受信回路が設けられていてもよい。
演出制御用CPU130は、RAM132の所定領域をワークエリアとして用いながら、ROM131に格納されたプログラムにしたがって動作し、主基板11からの演出制御コマンドを受信する。そして、演出制御用CPU130は、受信した演出制御コマンドにしたがって、可変表示装置4の表示制御等の各種制御を行う。たとえば、可変表示装置4の表示制御を実行する際に、演出制御用CPU130は、表示制御コマンドに応じた指令を表示制御部133とモータ制御部136とに与える。また、演出制御用CPU130は、たとえば乱数回路134による乱数生成動作の設定を行い、数値データを所定の手順にしたがって定期的(あるいは不定期)に更新させるなどして、演出の進行を制御するために用いられる各種の乱数値を示す数値データをカウントさせる。
図19は、演出制御基板12の側にてカウントされる乱数値を例示する説明図である。図19に示すように、この実施の形態では、演出制御基板12の側において、大当り図柄・左確定図柄決定用の乱数値SR1や、中確定図柄決定用の乱数値SR2、右確定図柄決定用の乱数値SR3、大当り予告演出選択用の乱数値SR4、変動中における高確報知演出選択用の乱数値SR5、大当り中における高確報知演出選択用の乱数値SR6などを示す数値データを、それぞれカウント可能に制御する。なお、演出効果を高めるために、演出制御基板12の側でこれら以外の乱数が用いられてもよい。乱数回路134は、これらの乱数値SR1〜SR6の全部または一部を示す数値データをカウントするものであればよい。演出制御用CPU130は、乱数回路134とは異なるランダムカウンタを用いて、ソフトウェアによる更新によって、乱数値SR1〜SR6の全部または一部を示す数値データをカウントするようにしてもよい。
大当り図柄・左確定図柄決定用の乱数値SR1は、大当り時に可変表示装置4のLCD58における「左」、「中」、「右」の各表示領域で同一となる確定図柄と、ハズレ時に可変表示装置4のLCD58における「左」の表示領域にて導出表示される確定図柄(左確定図柄)とを決定するために用いられる乱数値であり、たとえば「1」〜「240」の範囲の値をとる。中確定図柄決定用の乱数値SR2は、ハズレ時に可変表示装置4のLCD58における「中」の表示領域にて導出表示される確定図柄(中確定図柄)を決定するために用いられる乱数値であり、たとえば「1」〜「111」の範囲の値をとる。右確定図柄決定用の乱数値SR3は、ハズレ時に可変表示装置4のLCD58における「右」の表示領域にて導出表示される確定図柄(右確定図柄)を決定するために用いられる乱数値であり、たとえば「1」〜「49」の範囲の値をとる。
図2に示す演出制御基板12に搭載されたROM131には、演出動作を制御するために用いられる各種のデータテーブルが格納されている。たとえば、ROM131は、可変表示装置4における各種画像の表示態様、スピーカ8L、8R等の音声出力態様、遊技効果ランプ9等による演出態様、大当り予告等の有無による演出態様、などといった、各種の演出態様に対応したプロセステーブル(図43)が格納されている。各種の演出態様に対応したプロセステーブルは、時系列的に連記された演出制御タイマ値及び演出制御データの組合せ、及び終了コードを含んで構成され、飾り図柄の可変表示が開始されてからの経過時間(あるいは飾り図柄の可変表示が終了するまでの残り時間)などに対応して、可変表示装置4における表示態様や、スピーカ8L、8Rから出力される音声、遊技効果ランプ9の点灯動作や点滅動作の態様などに関する情報が、あらかじめ設定されている。
また、ROM131には、可変表示装置4における飾り図柄の可変表示結果として導出表示される確定飾り図柄などを決定するために用いられる複数種類の飾り図柄決定用テーブルが記憶されている。この実施の形態では、図20(A)に示す左確定飾り図柄決定テーブル341と、図20(B)に示す中確定飾り図柄決定テーブル342と、図20(C)に示す右確定飾り図柄決定テーブル343とが、ROM131に記憶されている。
図20(A)に示す左確定飾り図柄決定テーブル341は、大当り図柄・左確定図柄決定用の乱数値SR1と、各飾り図柄とを、対応付ける設定データなどから構成されている。図20(B)に示す中確定飾り図柄決定テーブル342は、中確定図柄決定用の乱数値SR2と、各飾り図柄とを、対応付ける設定データなどから構成されている。図20(C)に示す右確定飾り図柄決定テーブル343は、右確定図柄決定用の乱数値SR3と、各飾り図柄とを、対応付ける設定データなどから構成されている。左確定飾り図柄決定テーブル341は、リーチハズレまたは通常ハズレとなるときに、可変表示装置4における飾り図柄の可変表示結果として「左」の表示領域にて導出表示される飾り図柄を決定するためのテーブルである。中確定飾り図柄決定テーブル342は、リーチハズレまたは通常ハズレとなるときに、可変表示装置4における飾り図柄の可変表示結果として「中」の表示領域にて導出表示される飾り図柄を決定するためのテーブルである。右確定飾り図柄決定テーブル343は、通常ハズレとなるときに、可変表示装置4における飾り図柄の可変表示結果として「右」の表示領域にて導出表示される飾り図柄を決定するためのテーブルである。
大当り時の図柄決定は、以下の方法で行う。すなわち、左確定飾り図柄決定テーブル341と、乱数値SR1とを対比することで、可変表示装置4における飾り図柄の可変表示結果として「左」の表示領域にて導出される飾り図柄を決定する。続いて、可変表示装置4は、前述の方法で決定した飾り図柄を、「中」の表示領域にて表示される飾り図柄および「右」の表示領域にて表示される飾り図柄とする。
図2に示す演出制御基板12に搭載されたRAM132には、可変表示装置4における表示状態などの演出動作状態を制御するために用いられる各種データを保持する領域として、たとえば図21に示すような演出制御用データ保持エリア150が設けられている。図21に示す演出制御用データ保持エリア150は、表示結果通知記憶部151と、確定飾り図柄記憶部152と、演出制御フラグ設定部153と、演出制御タイマ設定部154と、演出制御カウンタ設定部155とを備えている。
表示結果通知記憶部151は、たとえば主基板11から送信された表示結果通知コマンドのEXTデータが格納されることなどにより、主基板11の側から通知された特別図柄や飾り図柄の表示結果を特定可能なデータを記憶する。確定飾り図柄記憶部152は、可変表示装置4のLCD58における飾り図柄の可変表示結果となる確定飾り図柄を示すデータを記憶する。演出制御フラグ設定部153は、たとえば可変表示装置4の表示状態や主基板11から送信された演出制御コマンド等に応じて、各々セットあるいはクリアされる複数種類のフラグを設定するためのデータを記憶する。演出制御タイマ設定部154は、たとえば可変表示装置4における表示動作の制御といった、各種の演出制御に用いられる複数種類のタイマ値を示すデータを記憶する。演出制御カウンタ設定部155は、たとえば可変表示装置4における表示動作の制御といった、各種の演出制御に用いられる複数種類のカウント値を示すデータを記憶する。なお、フラグ設定やカウンタ/タイマに用いる回路は、RAM132とは別に設けたレジスタ回路などによって構成してもよい。
演出制御フラグ設定部153には、たとえば表示制御プロセスフラグなどが設けられている。表示制御プロセスフラグは、可変表示装置4に対応して実行される表示制御プロセス処理(図33ステップS706、図34)において、どの処理を選択・実行すべきかを指示する。
演出制御タイマ設定部154には、たとえば表示制御タイマなどが設けられている。表示制御タイマは、たとえば飾り図柄の可変表示における残り時間といった、可変表示装置4での表示による演出動作を制御するための各種の時間を計測する。
この他、RAM132には、たとえば変動パターンコマンドにおけるEXTデータを記憶することなどにより主基板11から通知された可変表示パターンを特定可能なデータを格納する可変表示パターン格納部や、主基板11から通知された特図保留記憶数を特定可能なデータを格納する特図保留記憶数格納部、大当りラウンド数通知コマンドにおけるEXTデータを記憶することなどにより主基板11から通知された大当り遊技状態におけるラウンド数を特定可能なデータを格納するラウンド数格納部、遊技状態通知コマンドにおけるEXTデータを記憶することなどにより主基板11から通知された遊技状態を特定可能なデータを格納する遊技状態情報格納部などといった、各種のデータ格納部が設けられていてもよい。
図2に示す演出制御基板12に搭載された表示制御部133は、たとえば図22に示すように、VDP(Video Display Processor;GCLとも呼ぶ)140と、CGROM(Character Generator ROM)141と、VRAM(Video RAM)142と、LCD駆動回路143とを備えて構成される。
VDP140は、たとえば可変表示装置4のLCD58、LCD68にて画像表示を行うための表示制御機能および高速描画機能を有し、演出制御用CPU130からの描画指令に従った画像処理を実行する。また、演出制御用CPU130とは独立した二次元のアドレス空間を持ち、そこにVRAM142をマッピングしている。たとえば、VDP140は、CGROM141から読み出した画像データをVRAM142の所定領域に展開する。そして、R(赤)、G(緑)、B(青)の階調データや、走査信号の生成に用いられるクロック信号等を、LCD駆動回路143に出力する。一例として、R、G、Bの階調データはそれぞれ8ビットで表され、LCD58、LCD68はVDP140からの指示にしたがってR、G、Bのそれぞれを256階調、これらを合成して約1677万色の多色表示を行うことができる。なお、R、G、Bの階調データのビット数は8ビット以外のビット数であってもよく、また、R、G、Bの各階調データにおけるビット数が異なる数となっていてもよい。
CGROM141は、LCD58、LCD68にて画像表示を行うために使用される各種の画像データを記憶しておくためのものである。CGROM141には、キャラクタを示すデータ等が格納されている。キャラクタとは、たとえば、LCD58、LCD68に表示される人物、動物、または、文字、図形もしくは記号等からなる画像である。具体的な一例として、CGROM141には、図2に示すような飾り図柄をLCD58に表示させるための画像データが、各飾り図柄の図柄番号と対応付けて記憶されている。VRAM142は、VDP140による画像データの展開が行われるフレームバッファメモリである。LCD駆動回路143は、VDP140から入力された階調データやクロック信号等から走査信号を生成してLCD58、LCD68に出力することで、画像を表示させるためのものである。
次に、本実施の形態におけるパチンコ遊技機1の動作(作用)を説明する。主基板11では、所定の電源基板からの電源電圧が供給されると、遊技制御用マイクロコンピュータ100が起動し、CPU103が、まず、所定の遊技制御メイン処理を実行する。遊技制御メイン処理を開始すると、CPU103は、割込禁止に設定した後、必要な初期設定を行う。この初期設定では、たとえば、RAM102がクリアされる。また、遊技制御用マイクロコンピュータ100に内蔵されたCTC(カウンタ/タイマ回路)のレジスタ設定を行う。これにより、以後、所定時間(たとえば、2ミリ秒)ごとにCTCから割込み要求信号がCPU103へ送出され、CPU103は定期的にタイマ割込み処理を実行することができる。初期設定が終了すると、割込みを許可した後、ループ処理に入る。こうした遊技制御メイン処理を実行したCPU103は、CTCからの割込み要求信号を受信して割込み要求を受け付けると、図23のフローチャートに示す遊技制御割込み処理を実行する。
遊技制御割込み処理を開始すると、CPU103は、まず、所定のスイッチ処理を実行することにより、スイッチ回路107を介して各入賞口スイッチ70から入力される検出信号の状態を判定する(ステップS11)。続いて、所定のエラー処理を実行することにより、パチンコ遊技機1の異常診断を行い、その診断結果に応じて必要ならば警告を発生可能とする(ステップS12)。この後、たとえば図12に示す乱数値MR1、MR4、MR6などといった、主基板11の側でカウントされる判定用の乱数値を更新する判定用乱数更新処理(ステップS13)が実行される。続いて、MR2、MR3、MR5などといった主基板11の側でカウントされる表示用の乱数値を更新する表示用乱数更新処理(ステップS14)が実行される。なお、乱数回路104によって生成されたハードウェア乱数としての乱数のみが使用され、なおかつ、乱数回路104がCPU103からの指令によることなく乱数値となる数値データを更新可能である場合には、ステップS13、S14の処理が実行されなくてもよい。
表示用乱数更新処理に続いて、CPU103は、特別図柄プロセス処理を実行する(ステップS15)。特別図柄プロセス処理では、遊技制御フラグ設定部123に設けられた特別図柄プロセスフラグの値をパチンコ遊技機1における遊技の進行に応じて更新し、可変表示装置4における表示動作の制御や特別可変入賞球装置7の開閉動作の設定などを所定の手順で行うために、各種の処理が選択されて実行される。特別図柄プロセス処理に続いて、普通図柄プロセス処理を実行し(ステップS16)、普通図柄表示器40における表示動作(たとえばLEDの点灯、消灯など)を制御することによる普通図柄の可変表示(たとえば、点灯・点滅表示など)や、普通可変入賞球装置6における可動翼片の傾動制御の設定などを可能とする。
また、CPU103は、所定のコマンド制御処理を実行することにより、主基板11から演出制御基板12などのサブ側の制御基板に対して制御コマンドを送信し、遊技状態に合わせた動作制御を指示する(ステップS17)。たとえば、CPU103が所定のコマンド送信テーブルにセットされた制御データに基づいてI/O105に含まれるコマンド送信用信号出力端子からの信号出力動作を制御することなどにより、演出制御基板12等のサブ側の制御基板に対して、遊技の進行を制御する制御信号を送信させる。このコマンド制御処理により主基板11から送出された演出制御コマンドを、演出制御基板12の演出制御用CPU130が受け取り、たとえばその演出制御コマンドに含まれる表示制御コマンドにしたがって、可変表示装置4の表示制御などが行われる。
さらに、所定の情報出力処理を実行することにより、各種出力データの格納領域の内容をI/O105に含まれる各出力ポートに出力する(ステップS18)。この情報出力処理では、主基板11から所定の情報端子基板に、大当り情報、始動情報、確率変動情報などをホール管理用コンピュータに対して出力する指令の送信も行われる。続いて、CPU103は、所定のソレノイド出力処理を実行することにより、所定の条件が成立したときに普通可変入賞球装置6における可動翼片の傾動制御や特別可変入賞球装置7における開閉板の開閉制御を行う(ステップS19)。この後、所定の賞球処理を実行することにより、各入賞口スイッチ70から入力された検出信号に基づく賞球数の設定などを行い、払出制御基板に対して払出制御コマンドを出力可能とする(ステップS20)。
図24は、特別図柄プロセス処理として、図23に示すステップS15にて実行される処理の一例を示すフローチャートである。図24に示す特別図柄プロセス処理を開始すると、CPU103は、まず、たとえば各入賞口スイッチ70に含まれて普通可変入賞球装置6に設けられた始動入賞口への入賞球を検出する始動入賞口スイッチからの検出信号がオン状態となったか否かをチェックすることにより、始動入賞口に遊技球が入賞したか否かを判定する(ステップS101)。遊技球が始動入賞口に入賞して始動入賞口スイッチからの検出信号がオン状態となった場合には(ステップS101;Yes)、始動入賞処理を実行する(ステップS102)。他方、始動入賞口スイッチからの検出信号がオフ状態である場合には(ステップS101;No)、ステップS102の処理をスキップする。
ステップS102の始動入賞処理では、特図保留記憶部121Aが記憶している大当り判定用の乱数値MR1を示す数値データの個数である特図保留記憶数が、所定の上限値(たとえば「4」)となっているか否かを判定する。このとき、特図保留記憶数が上限値となっていれば、今回の入賞による始動検出は無効として、そのまま始動入賞処理を終了する。これに対して、特図保留記憶数が上限値未満であるときには、乱数回路104等から大当り判定用の乱数値MR1を示す数値データを抽出し、抽出した乱数値MR1を示す数値データを、特図保留記憶部121Aにおける空エントリの先頭にセットする。
この後、CPU103は、遊技制御フラグ設定部123に設けられた特別図柄プロセスフラグの値に応じて、以下のようなステップS110〜S117の各処理を実行する。
ステップS110の特別図柄通常処理は、特別図柄プロセスフラグの値が“0”のときに実行される。この特別図柄通常処理は、特図保留記憶部121Aに格納された大当り判定用の乱数値MR1を示す数値データに基づいて特別図柄表示器5による特図ゲームを開始するか否かを判定する処理などを含んでいる。ステップS111の特別図柄停止図柄設定処理は、特別図柄プロセスフラグの値が“1”のときに実行される。この特別図柄停止図柄設定処理は、特別図柄の可変表示後の停止図柄を決定する処理、特別図柄表示器5による特図ゲームにおいて大当り遊技状態となる場合、確率変動状態やベースの高低といった遊技状態を決定する処理、確率変動状態を報知するタイミングを決定する処理などを含んでいる。ステップS112の変動パターン設定処理は、特別図柄プロセスフラグの値が“2”のときに実行される。この変動パターン設定処理は、大当りとなるか否か、時短フラグがセットされているか否か等に基づいて、特別図柄および飾り図柄の変動パターンと決定する処理などを含んでいる。なお、特別図柄の変動パターンを決定することにより、特別図柄および飾り図柄の変動時間も決定される。ステップS113の図柄変動処理は、特別図柄プロセスフラグの値が“3”のときに実行される。この図柄変動処理では、所定時間(ステップS112の特別図柄の変動時間)が経過すると、特別図柄プロセスフラグの値を“4”に移行するように更新する。
ステップS114の図柄停止処理は、特別図柄プロセスフラグの値が“4”のときに実行される。可変表示装置4にて確定特別図柄を導出表示させて特別図柄の可変表示を終了させる。停止図柄が大当り図柄である場合は、特別図柄プロセスフラグの値を“5”に移行するように更新し、そうでない場合は、特別図柄プロセスフラグの値を“0”に移行するように更新する。ステップS115の大入賞口開放前処理は、特別図柄プロセスフラグの値が“5”のときに実行される。この大入賞口開放前処理では、たとえば所定の制御データをコマンド送信テーブルにセットすることなどにより、演出制御基板12に対して大当り開始コマンドを送信するための設定を行う。また、大入賞口開放前処理は、特別可変入賞球装置7の開閉板により大入賞口を開閉するなどの大当り動作における初期化処理などを含んでいる。ステップS116の大入賞口開放中処理は、特別図柄プロセスフラグの値が“6”のときに実行される。この大入賞口開放中処理は、特別可変入賞球装置7の開閉板により大入賞口を開閉するなどの大当り動作に関する様々な処理や、特別可変入賞球装置7が形成する大入賞口における1回あたりの開放時間をチェックする処理などを含んでいる。また、ステップS116の大入賞口開放中処理では、特別可変入賞球装置7による大当り動作の終了かどうかを判定し、終了ならば特別図柄プロセスフラグの値を“7”に更新する。ステップS117の大当り終了処理は、特別図柄プロセスフラグの値が“7”のときに実行される。この大当り終了処理は、たとえば所定の制御データをコマンド送信テーブルにセットすることなどにより、演出制御基板12に対して大当り終了コマンドを送信するための設定を行う処理などを含んでいる。
なお、大当り終了処理において、確変フラグおよび時短フラグのセット/リセットが行われる。大当り終了コマンドを演出制御基板12に対して送信した後に、高確高ベース大当りフラグがセットされている場合、確変フラグのセットおよび時短フラグのセットが行われる。大当り終了コマンド送信後に、高確低ベース大当りフラグがセットされている場合、確変フラグのセットおよび時短フラグのリセットが行われる。大当り終了コマンド送信後に、低確高ベース大当りフラグがセットされている場合、確変フラグのリセットおよび時短フラグのセットが行われる。大当り終了コマンド送信後に、低確低ベース大当りフラグがセットされている場合、確変フラグのリセットおよび時短フラグのリセットが行われる。
これらの確変フラグおよび時短フラグのセット/リセットが行われた後、特別図柄プロセスフラグの値を“0”に更新する。
図25は、図24のステップS110にて実行される特別図柄通常処理の一例を示すフローチャートである。図24に示す特別図柄通常処理において、CPU103は、特別図柄の変動を開始することができる状態となっている場合(たとえば、特別図柄プロセスフラグの値が“0”である場合)には(ステップS51;Yes)、始動入賞記憶数(保留記憶数)の値を確認する(ステップS52)。具体的には、始動入賞カウンタのカウント値を確認する。なお、特別図柄プロセスフラグの値が“0”である場合とは、特別図柄表示器5において図柄の変動がなされていず、かつ、大当り遊技状態でもない場合である。特別図柄の変動を開始することができない場合は(ステップS51;No)、処理をリターンする。
始動入賞記憶数が0でなければ(ステップS52;No)、始動入賞記憶数=1に対応する保存領域に格納されている各乱数値を読み出してRAM103の乱数バッファ領域に格納するとともに(ステップS53)、始動入賞記憶数の値を1減らし、かつ、保存領域の内容をシフトする(ステップS54)。すなわち、始動入賞記憶数=n(n=2、3、4)に対応する保存領域に格納されている各乱数値を、始動入賞記憶数=n−1に対応する保存領域に格納する。よって、各始動入賞記憶数に対応するそれぞれの保存領域に格納されている各乱数値が抽出された順番は、常に、始動入賞記憶数=1、2、3、4の順番と一致するようになっている。すなわち、この例では、CPU103が可変表示の開始条件が成立する毎に、各保存領域の内容をシフトする処理を実行するので、始動入賞が生じたときに実行された入賞時判定処理の判定結果が、いずれの始動入賞記憶に対応するのかを容易に特定することができる。なお、始動入賞記憶数が0であれば(ステップS52;Yes)、処理をリターンする。
次いで、CPU103は、RAM103の乱数バッファ領域に格納されている大当り判定用乱数である乱数値MR1を読み出し(ステップS55)、大当り判定モジュールを読み出す(ステップS56)。大当り判定モジュールについては、図26を用いて後述する。大当りとすることに決定した場合には(ステップS57;Yes)、CPU103は、大当りフラグをセットし(ステップS58)、大当りとしない場合は(ステップS57;No)、何もしない。そして、特別図柄プロセスフラグの値を“1”とする(ステップS59)。すなわち、特別図柄プロセスフラグの値を特別図柄停止図柄設定処理に対応した値とする。
図26は、大当り判定モジュールを示すフローチャートの一例である。この大当り判定モジュールは、ステップS56以外の処理に用いられてもよい。大当り判定処理において、CPU103は、まず、確変フラグがセットされているか否かを判定することにより、そのときの状態が確率変動状態であるか否かを判定し(ステップS141)、確率変動状態であれば(ステップS141;Yes)、図13(B)に示した高確時大当り判定テーブル202を使用することに決定する(ステップS142)。確率変動状態でなければ(ステップS141;No)、図13(A)に示した低確時大当り判定テーブル201を使用することに決定する(ステップS143)。
ステップS142、S143の処理の後、ステップS55の処理で読み出された大当り判定用の乱数値MR1に一致する値が大当たり判定テーブル中の大当り判定値にあるか否かを判定し(ステップS144、S145)、一致する値があれば大当りとすることにし(ステップS146)、一致する値がなければ大当りとしないことに決定する(ステップS147)。
図27および図28は、図24のステップS111にて実行される特別図柄停止図柄設定処理の一例を示すフローチャートである。図24に示す特別図柄停止図柄設定処理において、CPU103は、大当りフラグがセットされているかを判定する(ステップS201)。セットされていなければ(ステップS201;No)、特別図柄としてハズレ図柄(たとえば“−−”)を決定し(ステップS234)、表示結果通知コマンドとしてハズレ指定コマンド(たとえば図11の9001Hの表示結果通知#1コマンド)を設定した後(ステップS235)、処理はステップS236にジャンプする。大当りフラグがセットされているならば(ステップS201;Yes)、確変フラグがセットされているかを判定する(ステップS202)。確変フラグがセットされていて(ステップS202;Yes)、時短フラグがセットされている場合は(ステップS206;Yes)、CPU103は大当り時の遊技状態決定に図15(D)の高確高ベース時遊技状態決定テーブル234を使用し(ステップS207)、時短フラグがセットされていない場合は(ステップS206;No)、CPU103は大当り時の遊技状態決定に図15(C)の高確低ベース時遊技状態決定テーブル233を使用する(ステップS208)。確変フラグがセットされていない場合(ステップS202;No)、時短フラグがセットされている場合は(ステップS203;Yes)、CPU103は大当り時の遊技状態決定に図15(B)の低確高ベース時遊技状態決定テーブル232を使用し(ステップS204)、時短フラグがセットされていない場合は(ステップS203;No)、CPU103は大当り時の遊技状態決定に図15(A)の低確低ベース時遊技状態決定テーブル231を使用する(ステップS205)。
ステップS204、S205、S207、S208でCPU103が使用する遊技状態決定テーブルを決定すると、CPU103は、乱数回路104等によって更新される乱数値MR4を取得し(ステップS209)、MR4の値と遊技状態決定テーブルとに基づいて遊技状態を決定する(ステップS210)。たとえば、図15(A)の低確低ベース時遊技状態決定テーブル231を使用し、MR4の値が“60”であったとすると、遊技状態は低確高ベースの大当りと決定できる。
ステップS210での遊技状態の決定の結果、遊技状態は低確低ベースの大当りである場合(ステップS211;Yes)、CPU103は、特別図柄として低確低ベース大当り図柄(たとえば“11”)を決定し、低確低ベース大当りフラグをセットし(ステップS212)、表示結果通知コマンドとして低確低ベース大当り指定コマンド(たとえば図11の9009Hの表示結果通知#9コマンド)を設定する(ステップS213)。その後、処理はステップS236までジャンプする。
遊技状態が低確高ベースの大当りである場合(ステップS211;No、ステップS214;Yes)、CPU103は、特別図柄として低確高ベース大当り図柄(たとえば“33”)を決定し、低確高ベース大当りフラグをセットし(ステップS215)、表示結果通知コマンドとして低確高ベース大当り指定コマンド(たとえば図11の9008Hの表示結果通知#8コマンド)を設定する(ステップS216)。その後、処理はステップS236までジャンプする。
遊技状態が高確低ベースの大当りである場合(ステップS214;No、ステップS217;Yes)、CPU103は、特別図柄として高確低ベース大当り図柄(たとえば“55”)を決定し、高確低ベース大当りフラグをセットする(ステップS218)。続いて、CPU103は、乱数回路104等によって更新される乱数値MR5を取得し(ステップS219)、乱数値MR5とROM101に格納されている大当り中昇格タイミング決定テーブル251(図17参照)とから大当り遊技状態中に確変となることを報知するか否かと、報知する場合の報知タイミングとを決定する(ステップS220)。ラウンド中に報知するのであれば(ステップS221;Yes)、CPU103は表示結果通知コマンドとしてたとえば図11の9005Hの表示結果通知#5コマンドを設定し(ステップS222)、その後の処理をステップS236までジャンプする。エンディング時(大当り終了時)に報知するのであれば(ステップS221;No、ステップS223;Yes)、CPU103は表示結果通知コマンドとしてたとえば図11の9006Hの表示結果通知#6コマンドを設定し(ステップS224)、その後、処理はステップS236までジャンプする。それ以外(変動中に報知する、または大当り終了までの間には報知しない)であれば(ステップS223;No)、CPU103は表示結果通知コマンドとしてたとえば図11の9007Hの表示結果通知#7コマンドを設定し(ステップS225)、その後、処理はステップS236までジャンプする。
遊技状態が高確高ベースの大当りである場合(ステップS217;No)、CPU103は、特別図柄として高確高ベース大当り図柄(たとえば“77”)を決定し、高確高ベース大当りフラグをセットする(ステップS226)。続いて、CPU103は、乱数回路104等によって更新される乱数値MR5を取得し(ステップS227)、乱数値MR5とROM101に格納されている大当り中昇格タイミング決定テーブル251(図17参照)とから大当り遊技状態中に確変となることを報知するか否かと、報知する場合の報知タイミングとを決定する(ステップS228)。ラウンド中に報知するのであれば(ステップS229;Yes)、CPU103は表示結果通知コマンドとしてたとえば図11の9002Hの表示結果通知#2コマンドを設定し(ステップS230)、その後、処理はステップS236までジャンプする。エンディング時(大当り終了時)に報知するのであれば(ステップS229;No、ステップS231;Yes)、CPU103は表示結果通知コマンドとしてたとえば図11の9003Hの表示結果通知#3コマンドを設定し(ステップS232)、その後の処理をステップS236までジャンプする。それ以外(変動中に報知する、または大当り終了までの間には報知しない)であれば(ステップS231;No)、CPU103は表示結果通知コマンドとしてたとえば図11の9004Hの表示結果通知#4コマンドを設定し(ステップS233)、その後、処理はステップS236までジャンプする。
ステップS213、S216、S222、S224、S225、S230、S232、S233の処理の後、特別図柄プロセスフラグの値を“2”とする(ステップS236)。すなわち、特別図柄プロセスフラグの値を変動パターン設定処理に対応した値とする。
図29は、図24のステップS112にて実行される変動パターン設定処理の一例を示すフローチャートである。図29に示す変動パターン設定処理において、CPU103は、大当りフラグの状態を確認する(ステップS71)。大当りフラグがセットされており(ステップS71;Yes)、設定された表示結果通知コマンドが9004Hまたは9007Hか否かを確認する(ステップS72)。表示結果通知コマンドが9004Hまたは9007Hである場合(ステップS72;Yes)、すなわち確変となるが、大当り中には報知しない場合、CPU103は大当り時可変表示パターン決定用テーブルB243(図16(C)参照)を選択する(ステップS73)。表示結果通知コマンドが9004Hでも9007Hでもない場合(ステップS72;No)、CPU103は大当り時可変表示パターン決定用テーブルA242(図16(B)参照)を選択する(ステップS74)。ステップS73、S74の処理の後、処理はステップS76へジャンプし、乱数回路104等によって更新される乱数値MR3を読み出し(ステップS76)、乱数値MR3と選択した変動パターンテーブルとから変動パターンを決定する(ステップS77)。
一方、大当りフラグがセットされていない場合は(ステップS71;No)、リーチ判定処理モジュールを読み出す(ステップS82)。リーチ判定モジュールを読み出した結果、リーチと判定する場合(ステップS83;Yes)、CPU103はリーチハズレ時可変表示パターン決定用テーブル241(図16(A)参照)を選択し(ステップS75)、処理はステップS76にジャンプする。
大当りフラグがセットされておらず(ステップS71;No)、リーチと判定されない場合は(ステップS83;No)、時短フラグがセットされていれば(ステップS84;Yes),CPU103は変動パターンを時短時ハズレ変動パターンに決定し(ステップS85)、時短フラグがセットされていなければ(ステップS84;No)通常ハズレ変動パターンに決定する(ステップS86)。その後、処理はステップS78にジャンプする。
ステップS77、S85、S86の処理により、変動パターンが決定されるので、変動時間も決定される(図10参照)。たとえば、通常ハズレ変動パターンの場合は、図10を参照すると、変動時間は10秒であることがわかる。この変動時間のデータを特別図柄プロセスタイマに設定し、続いて、特別図柄の変動を開始させる(ステップS78)。CPU103は、続いて、決定した変動パターンのコマンド送信テーブルのアドレスをポインタにセットし(ステップS79)、コマンドセット処理モジュールを読み出す(ステップS80)。
コマンドセット処理モジュールを読み出すことによって、変動パターンコマンド(80XXH)が設定される。この実施形態では、変動パターンコマンドはROM101に格納されている。
その後、特別図柄プロセスフラグの値を“3”とする(ステップS81)。すなわち、特別図柄プロセスフラグの値を図柄変動処理に対応した値とする。
図30はリーチ判定処理モジュールを示すフローチャートの一例である。リーチ判定処理において、CPU103は、まず、そのときの状態が確率変動状態であるか否かを判定し(ステップS151)、確率変動状態であれば(ステップS151;Yes)、図示せぬリーチ判定テーブルの高確率時のテーブルを使用することに決定する(ステップS152)。確率変動状態でなければ(ステップS151;No)、図示せぬリーチ判定テーブルの低確率時のテーブルを使用することに決定する(ステップS153)。なお、リーチ判定テーブルの高確率時のテーブルの方が、低確率時のテーブルに比べてリーチ判定値が少ない。
ステップS152、S153の処理の後、乱数値MR2に一致する値がリーチ判定テーブル中のリーチ判定値にあるか否かを判定し(ステップS154、S155)、一致する値があればリーチすることにし(ステップS156)、一致する値がなければリーチしないことに決定する(ステップS157)。
図31は、図24のステップS114にて実行される図柄停止処理の一例を示すフローチャートである。図24に示す図柄停止処理において、CPU103は、まず、特別図柄表示器5における表示動作を制御することなどにより、特別図柄表示器5に確定特別図柄を停止表示させて特別図柄の可変表示を終了させるための設定を行う(ステップS241)。続いて、CPU103は、大当りフラグがオンとなっているか否かを判定する(ステップS242)。このとき、大当りフラグがオンであれば(ステップS242;Yes)、可変表示結果は大当りであると判断して、特別図柄プロセスフラグの値を大入賞口開放前処理に対応した値である“5”に更新した後(ステップS243)、図柄停止処理を終了する。
他方、ステップS242にて大当りフラグがオフである場合には(ステップS242;No)、特別図柄プロセスフラグの値を“0”に更新してから(ステップS249)、図柄停止処理を終了する。
図32は、普通図柄プロセス処理として、図23に示すステップS16にて実行される処理の一例を示すフローチャートである。図23に示す普通図柄プロセス処理を開始すると、CPU103は、まず、たとえば各入賞口スイッチ70に含まれて通過ゲート25を通過した遊技球を検出するゲートスイッチからの検出信号がオン状態となったか否かをチェックすることにより、通過ゲート25を遊技球が通過したか否かを判定する(ステップS121)。遊技球が通過ゲート25を通過してゲートスイッチからの検出信号がオン状態となった場合には(ステップS121;Yes)、ゲート通過時処理を実行する(ステップS122)。他方、ゲートスイッチからの検出信号がオフ状態である場合には(ステップS121;No)、ステップS122の処理をスキップする。
ステップS121のゲート通過時処理では、普通図保留記憶部121Bが記憶している普通当り判定用の乱数値MR6を示す数値データの個数である普通図保留記憶数が、所定の上限値(たとえば「4」)となっているか否かを判定する。このとき、普通図保留記憶数が上限値となっていれば、今回の遊技球の通過による始動検出は無効として、そのままゲート通過時処理を終了する。これに対して、普通図保留記憶数が上限値未満であるときには、乱数回路104等から普通当り判定用の乱数値MR6を示す数値データを抽出し、抽出した乱数値MR6を示す数値データを、普通図保留記憶部121Bにおける空エントリの先頭にセットする。
この後、CPU103は、遊技制御フラグ設定部123に設けられた普通図柄プロセスフラグの値に応じて、以下のようなステップS130〜S134の各処理を実行する。
ステップS130の普通図柄通常処理は、普通図柄プロセスフラグの値が“0”のときに実行される。この普通図柄通常処理は、普通図保留記憶部121Bに格納された普通当り判定用の乱数値MR6を示す数値データに基づいて普通図柄表示器40による普通図ゲームを開始するか否かを判定する処理などを含んでいる。ステップS131の普通図柄判定処理は、普通図柄プロセスフラグの値が“1”のときに実行される。この普通図柄判定処理は、普通図柄表示器40による普通図ゲームにおける表示結果を「当り」とするか否かを判定する処理などを含んでいる。ステップS132の普通図柄変動処理は、普通図柄プロセスフラグの値が“2”のときに実行される。この普通図柄変動処理では、普通図柄の可変表示時間が経過するまで普通図柄表示器40の点灯、点滅、発色などを制御して、普通図柄を変動させる。ステップS133の普通図柄停止処理は、普通図柄プロセスフラグの値が“3”のときに実行される。この普通図柄停止処理では、普通図柄表示器40における点灯動作などを制御して、普通図ゲームにおける表示結果を出力させる。そして、普通当りフラグがオンであれば普通図柄プロセスフラグの値を“4”に更新する一方で、普通当りフラグがオフであれば普通図柄プロセスフラグの値を“0”に更新する。ステップS134の始動入賞口開閉処理は、普通図柄プロセスフラグの値が“4”のときに実行される。この始動入賞口開閉処理は、普通可変入賞球装置6の可動翼片を傾動制御することにより、始動入賞口を通常開放から拡大開放へと変化させるための設定を行う処理などを含んでいる。
次に、演出制御基板12における動作を説明する。演出制御基板12では、電源電圧の供給を受けると、演出制御基板12に搭載された演出制御用CPU130が演出制御メイン処理を実行する。この演出制御メイン処理では、所定の初期化処理が実行されることにより、RAM132のクリアや各種初期値の設定、また演出制御基板12に搭載された図示せぬCTC(カウンタ/タイマ回路)のレジスタ設定等が行われる。その後、演出制御用CPU130は、所定のタイマ割込みフラグを監視するなどして、タイマ割込みが発生するまでループ処理を実行する。たとえば、演出制御用CPU130では2ミリ秒ごとにタイマ割込みが発生し、このタイマ割込みが発生すると、所定のタイマ割込み処理を実行することにより、タイマ割込みフラグがセットされる。
また、演出制御用CPU130では、2ミリ秒ごとに発生するタイマ割込みとは別に、主基板11からの演出制御コマンドを受信するための割込みが発生する。この割込みは、主基板11からの演出制御INT信号がオン状態となることにより発生する割込みである。演出制御INT信号がオン状態となることによる割込みが発生すると、演出制御用CPU130は、自動的に割込み禁止状態に設定するが、自動的に割込み禁止状態にならないCPUを用いている場合には、割込み禁止命令(DI命令)を発行することが好ましい。
主基板11からの演出制御INT信号がオン状態となることにより演出制御用CPU130にて割込みが発生することで、たとえば所定のコマンド受信割込み処理が実行され、中継基板18を介して主基板11から送信された制御信号を受信する所定の入力ポートから読み込んだ演出制御コマンドを、受信コマンドバッファに格納する。たとえば、演出制御コマンドが2バイト構成である場合には、1バイト目(MODE)と2バイト目(EXT)を順次に受信して受信コマンドバッファに格納した後、割込み許可に設定する。
演出制御用CPU130がタイマ割込みフラグを監視することによりタイマ割込み発生を検出したときには、主基板11から送信された演出制御コマンドを解析するためのコマンド解析処理や、可変表示装置4における表示動作を制御するための表示制御プロセス処理などが実行される。表示制御プロセス処理では、可変表示装置4における表示動作を所定の手順で制御するために、演出制御フラグ設定部153に設けられた表示制御プロセスフラグの値を可変表示装置4における表示状態に応じて更新し、表示制御プロセスフラグの値に対応してあらかじめ設けられた各種の処理を選択して実行する。
図33は、演出制御基板12のCPU130が実行するメイン処理を示すフローチャートである。メイン処理では、まず、RAM132の領域のクリアや各種初期値の設定、回転制御装置60を初期位置に設定するための処理、表示制御の起動間隔を決めるための2ミリ秒のタイマの初期設定等を行うための初期化処理が行われる(ステップS701)。その後、CPU130は、タイマ割込フラグの確認(ステップS702)を行うループ処理に移行する。タイマ割込が発生すると、CPU130は、タイマ割込み処理においてタイマ割り込みフラグをセットする。メイン処理において、タイマ割込みフラグがセットされていたら(ステップS702;Yes)、CPU130は、そのフラグをクリアし(ステップS703)、以下の表示制御処理を実行する。
この実施の形態では、タイマ割込は2ミリ秒ごとにかかる。すなわち、表示制御処理は、2ミリ秒ごとに起動される。また、この実施の形態では、タイマ割込処理ではフラグセットのみがなされ、具体的な表示制御処理はメイン処理において実行されるが、タイマ割込処理で表示制御処理を実行してもよい。
表示制御処理において、CPU130は、まず、受信した表示制御コマンドを解析する(ステップS704)。ついで、ランプ制御基板14に対してランプ制御コマンドを送信するランプ制御コマンド出力処理を行う(ステップS705)。さらに、CPU130は、表示制御プロセス処理を行う(ステップS706)。表示制御プロセス処理では、制御状態に応じた各プロセスのうち、現在の制御状態に対応したプロセスを選択して実行する。また、3つの回転体61、63、65を制御するステッピングモータを制御するモータ制御を行う(ステップS707)。そして、乱数カウンタを更新する(1加算する)処理を実行する(ステップS708)。なお、乱数回路134によって生成されたハードウェア乱数としての乱数のみが使用され、なおかつ、乱数回路134がCPU130からの指令によることなく乱数値となる数値データを更新可能である場合には、ステップS708の処理が実行されなくてもよい。その後、ステップS702のタイマ割込フラグの確認を行う処理に戻る。
主基板11からの表示制御用のINT信号はCPU130の割込端子に入力される。たとえば、主基板11からのINT信号がオン状態になると、CPU130に割込がかかる。そして、CPU130は、割込処理において、演出制御コマンドの受信処理を実行する。
図34は、演出制御用CPU130によって実行される表示制御プロセス処理(図33ステップS706)の一例を示すフローチャートである。演出制御用CPU130は、表示制御プロセスフラグの値に応じて、図36に示すようなステップS800〜S806の各処理を実行する。
ステップS800の変動パターンコマンド受信待ち処理は、表示制御プロセスフラグの値が“0”のときに実行される処理である。この変動パターンコマンド受信待ち処理は、主基板11から、変動時間を特定可能な演出制御コマンドを受信したか否かに基づいて可変表示装置4における飾り図柄の可変表示を開始するか否かを判定する処理などを含んでいる。ここで、変動時間を特定可能な演出制御コマンドとは、図10に示される80XXH(XXは所定の数値)の制御コマンド(変動パターンコマンド)のことである。なお、変動時間を特定可能な演出制御コマンドを受信したか否かは、変動パターンコマンドを受信したときにセットされるフラグ(変動パターンコマンド受信フラグ)がセットされているか否かで確認する。
ステップS801の演出選択処理は、表示制御プロセスフラグの値が“1”のときに実行される。この処理において、演出制御用CPU130が、大当り予告や確率変動状態報知の演出態様を決定する処理、大当り中の演出を選択する処理などを含んでいる。この後、表示制御プロセスフラグの値を図柄変動開始処理に対応する“2”に更新する。
ステップS802の図柄変動開始処理は、表示制御プロセスフラグの値が“2”のときに実行される。この処理において、演出制御用CPU130は、変動パターン、確定飾り図柄、立体識別情報の態様、大当り予告演出や確変報知演出等の演出態様に応じて変動中に使用されるプロセステーブル(図43)を設定する。この後、表示制御タイマのカウントダウン動作を開始するとともに、表示制御プロセスフラグの値を図柄変動中処理に対応した値である“3”に更新する。
ステップS803の図柄変動中処理は、表示制御プロセスフラグの値が“3”のときに実行される。この処理において、演出制御用CPU130が行う処理は、変動時間の終了を監視する処理と、LCD58が表示する飾り図柄の変動を制御する処理と、回転体61、63、65を回転させるステッピングモータを制御する処理と、LCD68が表示する背景を制御する処理と、LCD58の所定の領域の透過/不透過を制御する処理とを含んでいる。変動時間が終了したときは、表示制御プロセスフラグの値を大当り開始コマンド受信待ち処理に対応した値である“4”に更新する。
ステップS804の大当り開始コマンド受信待ち処理は、表示制御プロセスフラグの値が“4”のときに実行される。この処理において、演出制御用CPU130は、主基板11から送信された大当り開始コマンドの受信があったか否かを判定する。そして、大当り開始コマンドを受信したときには、飾り図柄の可変表示結果が大当りであると判断して、表示制御プロセスフラグの値を大当り演出表示処理に対応した値である“5”に更新する。一方、主基板11からの大当り開始コマンドを受信することなく、表示制御タイマがタイムアウトしたときには、飾り図柄の可変表示結果がハズレであると判断して、表示制御プロセスフラグの値を初期値である“0”に更新する。
ステップS805の大当り演出表示処理は、表示制御プロセスフラグの値が“5”のときに実行される処理である。この処理において、演出制御用CPU130は、可変表示装置4における表示動作を制御することにより、大当り遊技状態に応じた画像を表示する制御や、確変報知演出を行う制御を行う。例えば、主基板11からの大当りラウンド数通知コマンドに対応したラウンド数を、可変表示装置4の表示領域内で所定位置に表示させることにより、遊技者に対して報知可能とする。そして、大当り遊技状態において実行されるラウンド遊技が最終ラウンド(例えば、15ラウンド)になると、表示制御プロセスフラグの値を大当り終了演出表示処理に対応した値である“6”に更新する。
ステップS806の大当り終了演出表示処理は、表示制御プロセスフラグの値が“6”のときに実行される。この大当り終了演出表示処理は、可変表示装置4にて大当り遊技状態の終了を報知する大当り終了報知演出表示や、確変報知演出を行う処理を含んでいる。
図35は、図34に示された表示制御プロセス処理における変動パターンコマンド受信待ち処理(ステップS800)を示すフローチャートである。変動パターンコマンド受信待ち処理において、演出制御用CPU130は、変動パターンコマンド受信フラグがセットされているかを確認する(ステップS871)。セットされていたら、そのフラグをリセットする(ステップS872)。そして、停止図柄決定用乱数を生成するためのカウンタのカウント値を停止図柄決定用乱数とし、停止図柄決定用乱数の値に基づいて飾り図柄の停止図柄を決定する(ステップS873)。
決定される停止図柄として、通常ハズレとする場合の停止図柄、リーチハズレとする場合の停止図柄、大当りとする場合の停止図柄がある。通常ハズレとする場合は、演出制御用CPU130は、乱数値SR1〜SR3および図20の飾り図柄決定テーブルにより、飾り図柄の停止図柄を決定する。ただし、停止図柄がリーチハズレの停止図柄や大当りの停止図柄となっているときは、演出制御用CPU130は、ハズレとする場合の飾り図柄の停止図柄の決定処理を再度行う。リーチハズレとする場合は、演出制御用CPU130は、乱数値SR1および図20の飾り図柄決定テーブルにより、左の飾り図柄の停止図柄を決定する。次に、乱数値SR2および図20の飾り図柄決定テーブルにより、中の飾り図柄の停止図柄を決定する。そして、右の飾り図柄は、決定した左の飾り図柄と同一となるように決定し、飾り図柄の停止図柄を決定する。ただし、停止図柄が大当りの停止図柄となっているときは、演出制御用CPU130は、リーチハズレとする場合の飾り図柄の停止図柄の決定処理を再度行う。大当りとする場合は、演出制御用CPU130は、乱数値SR1および図20の飾り図柄決定テーブルにより、左の飾り図柄の停止図柄を決定する。次に、中および右の飾り図柄は、決定した左の飾り図柄と同一となるように決定し、飾り図柄の停止図柄を決定する。
続いて、表示制御プロセスフラグの値を演出選択処理に対応する“1”に更新する(ステップS874)。
図36は、図34に示された表示制御プロセス処理における演出選択処理(ステップS801)を示すフローチャートである。演出選択処理において、演出制御用CPU130は、変動中演出選択処理モジュールを読み出す(ステップS501)。表示結果通知記憶部151に記憶されたデータから大当りとなるか否かを判定し、大当りと判定されたならば(ステップS502;Yes)、大当り中演出選択処理モジュールを読み出し(ステップS503)、大当りでないと判定されたならば(ステップS502;No)何もしない。続いて、表示制御プロセスフラグを図柄変動開始処理に対応する“2”にセットする(ステップS504)。
図37は、図36のステップS501の変動中演出選択処理モジュールを示すフローチャートの一例である。変動中演出選択処理として、まず、大当り予告を行うか否かを判定する(ステップS531)。具体的には、主基板11からリーチAハズレ変動パターンのコマンドまたはリーチA大当り変動パターンのコマンドを受信したか否かを判定する。受信していれば、大当りか否かを判定する(ステップS532)。具体的には、大当りコマンドである8005H、8008H、800BHを受信したかどうかを判定する(表示結果通知コマンド9002H〜9009Hを受信したかどうかで判定してもよい)。大当りであれば、乱数回路134等にて生成される乱数値SR4を取得し、乱数値SR4とROM131に記憶されている図38(B)の大当り時大当り予告選択テーブル302とから、演出する大当り予告態様を選択する(ステップS533)。大当りでなければ、乱数回路134等にて生成される乱数値SR4を取得し、乱数値SR4とROM131に記憶されている図38(A)のハズレ時大当り予告選択テーブル301とから、演出する大当り予告態様を選択する(ステップS534)。ステップS533およびS534の処理後、処理はステップS535にジャンプする。なお、図38(A)および(B)などに記載の演出については後述する。
一方、大当り予告のない場合、潜伏演出中(前回大当りの際に、変動終了時・ラウンド中・エンディング時のいずれにも昇格演出がない)であるかどうかを判定する(ステップS540)。たとえば、表示結果通知コマンド9004Hまたは9007Hと、変動パターンコマンド8005H〜800AHとを受信した場合に潜伏演出中フラグをセットしておき、ステップS540の処理においては当該潜伏演出中フラグがセットされているか否かを判定する。潜伏演出中でなければ、処理はステップS535にジャンプし、潜伏演出中であれば、高確報知演出があるか否かを判定する(ステップS541)。たとえば、主基板11からリーチBハズレ変動パターンのコマンドまたはリーチB大当り変動パターンのコマンドを受信したか否かを判定する。潜伏演出中フラグは、たとえばステップS541により高確報知演出があると判定されたときにリセットされてもよい。高確報知演出がなければ、処理はステップS535にジャンプし、高確報知演出があれば、高確中か否かを判定する(ステップS542)。たとえば、表示結果通知コマンド9002H〜9007Hを受信した場合に演出側確変フラグをセットしておき、ステップS542の処理においては当該演出側確変フラグがセットされているか否かを判定する。高確中であれば、乱数回路134等にて生成される乱数値SR5を取得し、乱数値SR5とROM131に記憶されている図39(B)の潜伏中(昇格あり)選択テーブル332とから、変動中の演出態様を選択する(ステップS543)。高確中でなければ、乱数回路134等にて生成される乱数値SR5を取得し、乱数値SR5とROM131に記憶されている図39(A)の潜伏中(昇格なし)選択テーブル331とから、変動中の演出態様を選択する(ステップS544)。ステップS543およびS544の処理後、処理はステップS535にジャンプする。
続いて、処理はステップS535に移り、変動終了時に高確報知演出があるか否かを判定する(ステップS535)。具体的には、主基板11から受信したコマンドが8008H〜800DHであるか否かを判定する。高確報知演出があれば昇格の有無を判定する(ステップS536)。昇格の有無は、受信したコマンドが800BH〜800DHであるか否かにより判定する。昇格があるならば、乱数回路134等にて生成される乱数値SR5を取得し、乱数値SR5とROM131に記憶されている図40(B)の変動中(昇格あり)選択テーブル312とから、変動中の演出態様を選択し(ステップS537)、昇格フラグをセットする(ステップS538)。昇格フラグは、変動中に昇格させた場合に、ラウンド中やエンディング時に重ねて確変報知演出を行わないようにするためにセットする。重ねて確変報知演出を行っても遊技の興趣を高めることができないためである。
昇格がなければ、乱数回路134等にて生成される乱数値SR5を取得し、乱数値SR5とROM131に記憶されている図40(A)の変動中(昇格なし)選択テーブル311とから、変動中の演出態様を選択する(ステップS539)。
図41は、図36のステップS503の大当り中演出選択処理モジュールを示すフローチャートの一例である。大当り中演出選択処理として、まず、昇格フラグがセットされているかどうかを確認する(ステップS561)。昇格フラグがセットされていなければ、ラウンド中に昇格があるか否かを確認する(ステップS562)。具体的には、コマンド9002Hまたは9005Hを受信したか否かを確認する。ラウンド中に昇格がある場合は、乱数回路134等にて生成される乱数値SR6を取得し、乱数値SR6とROM131に記憶されている図42(B)の大当り中(昇格あり)選択テーブル322とから、ラウンド中の演出態様を選択する(ステップS567)。ラウンド中に昇格がなければ、乱数回路134等にて生成される乱数値SR6を取得し、乱数値SR6とROM131に記憶されている図42(A)の大当り中(昇格なし)選択テーブル321とから、ラウンド中の演出態様を選択した後(ステップS563)、エンディング時に昇格があるか否かを確認する(ステップS564)。昇格があれば、乱数回路134等にて生成される乱数値SR6を取得し、乱数値SR6とROM131に記憶されている図42(B)の大当り中(昇格あり)選択テーブル322とから、エンディング時の演出態様を選択する(ステップS566)。昇格がなければ、乱数回路134等にて生成される乱数値SR6を取得し、乱数値SR6とROM131に記憶されている図42(A)の大当り中(昇格なし)選択テーブル321とから、エンディング時の演出態様を選択する(ステップS565)。
図43は、プロセステーブルおよびモータ制御実行データの構成例を示す説明図である。図43に示すように、プロセステーブルは、プロセスタイマ、LCD制御実行データおよびモータ制御実行データの組合せが複数集まったデータから構成されている。プロセステーブルは、ROM131に格納されている。LCD制御実行データは、可変表示装置4のLCD58およびLCD68a、68b、68cの表示画面における表示演出の内容を示すデータが設定されている。モータ制御実行データは、上段回転体61、中段回転体63、下段回転体65をそれぞれ駆動する3つのステッピングモータの駆動制御の内容を示すデータが設定されている。また、プロセスタイマには、直後に続くLCD制御実行データおよびモータ制御実行データに基づく表示制御がなされる時間が設定されている。
LCD制御実行データには、具体的には次のような内容のデータが設定されている。LCD58、68a、68b、68cの表示画面で表示される各フレーム(動画像を構成する単位となる1枚の画像)を構成する背景、図柄、キャラクタ等の画像の種類(静止画像、スプライト画像、ムービー画像)、位置、サイズを示すデータが含まれている。また、所定の画像を変形表示させる場合はその変形態様(たとえば、縮小、拡大、回転)を示すデータ(縮小/拡大率、回転率)が含まれている。さらに、複数の画像を重畳して(重ね合わせて)表示させる場合は、いずれの画像を前面側に表示させるかを示す優先度に関するデータも含まれている。なお、フレームにムービー画像が含まれている場合は、画像の位置、サイズおよび変形態様を示すデータはムービー画像を動画表示するムービー画像表示領域の位置、サイズおよび変形態様を示すデータとなる。
また、図43に示すように、モータ制御実行データには、3つのステッピングモータの速度(パルス周波数)を示すデータと、その速度で回転させるステップ数を示すデータとが設定されている。また、モータ制御実行データは、3つの回転体61、63、65のそれぞれに対応して設けられている。たとえば、上段回転体61に対応したプロセステーブルには、右から左に低速回転を行わせる場合は、右から左に低速回転させる時間を示すプロセスタイマと、右から左に低速回転させるときの回転速度を示すデータと、その速度で回転させるステップ数を示すデータとが設定される。また、停止させる場合は、停止させる時間を示すプロセスタイマと、速度0を示すデータと、ダミーのステップ数データとが設定される。
プロセステーブルは、各変動パターンにおいて、停止時に前面側に配置される立体識別情報の態様に応じて用意されている。たとえば、リーチ変動の変動パターンであっても、停止時に前面側に配置される立体識別情報が異なれば、変動期間における回転数(ステップ数)は若干異なるので、異なるプロセステーブルとして用意されている。ただし、変動時間は、停止時に前面側に配置される立体識別情報にかかわらず同じにする必要がある。
また、プロセステーブルは、演出の種類に応じても用意される。たとえば、大当り予告の種類が異なる場合は、LCD58に表示される画面が異なるため、LCD制御実行データが異なるので、演出の種類に応じて異なったプロセステーブルが用いられる。
また、プロセステーブルは、操作ボタン15の操作の有無や操作ボタン15の操作態様に応じても用意される。たとえば、操作ボタン15を用いてLCD58を透過にする領域を選択した場合には、透過にする領域ごとに異なったプロセステーブルが用いられる。さらに、操作ボタン15を用いて、LCD58を透過にする領域を順に複数選択した場合、選択された領域の順にLCD58を透過にする演出を行うために、選択されたLCD58の領域の順に応じて異なったプロセステーブルを用いる必要がある。すなわち、操作ボタン15による操作があった場合、操作ボタン15の操作態様に応じて、プロセステーブル(プロセスデータ)を切り替える必要がある。
演出制御用CPU130は、以上のようなプロセステーブルを参照し、プロセスタイマに設定されている時間だけ、直後に続くLCD制御実行データおよびモータ制御実行データに設定されている内容に応じて、LCD58、68a、68b、68cの表示画面に画像を表示させたり、ステッピングモータを駆動して回転体61、63、65を回転させたりする制御を行う。
図44は、表示制御プロセス処理における図柄変動開始処理(ステップS802)を示すフローチャートである。図柄変動開始処理において、演出制御用CPU130は、まず、飾り図柄の可変表示の変動パターン、回転体の停止時に前面側に配置される立体識別情報、変動中の大当り予告演出、変動終了時の確変報知演出に応じたプロセステーブルを選択する(ステップS881)。ここで、回転体を使用する(回転体をステッピングモータで回転させる)ならば、ステッピングモータに対する通電を開始する(ステップS882、S883)。そして選択したプロセステーブルにおいて最初に設定されているプロセスタイマをスタートさせる(ステップS884)。
続いて、演出制御用CPU130は、プロセステーブル中のLCD制御実行データ1の内容にしたがってLCD制御することを指示する(ステップS885)。具体的には、演出制御用CPU130は、LCD制御実行データに画像をVRAM142に展開すべきことを示すデータが設定されていれば、そのデータの内容にしたがって、LCD58、68a、68b、68cに表示されるフレームに配置される各部品画像(静止画像、スプライト画像およびムービー画像)のVRAM142への展開を指示する信号をVDP140に出力する。
画像の展開指示の信号には、各部品画像の展開位置やサイズを示すデータが含まれている。また、所定の部品画像を変形(縮小、拡大または回転)させて表示させる場合には、その所定の部品画像の変形態様を示すデータ(縮小/拡大率、回転率)も含まれる。また、複数の部品画像を重畳して表示させる場合には、いずれの部品画像を前面側に表示するかを示す優先度に関するデータも含まれる。なお、LCD制御実行データにはROMのアドレスが設定され、そのアドレスから始まる領域に、より詳細な制御データを格納しておき、それらの制御データにしたがってLCD制御を行うように構成してもよい。
また、演出制御用CPU130は、プロセスデータ1の内容にしたがってモータ制御することをモータ制御部136に指示する(ステップS886)。ついで、変動時間タイマ(飾り図柄の変動時間に応じたタイマ)をスタートし(ステップS887)、表示制御プロセスフラグの値を図柄変動中処理に対応した“3”に設定する(ステップS888)。
図45は、表示制御プロセス処理における図柄変動中処理(ステップS803)を示すフローチャートである。図柄変動中処理において、演出制御用CPU130は、プロセスタイマがタイムアウトしたら(ステップS831)、プロセスデータの切り替えを行う(ステップS832)。すなわち、プロセステーブルにおいて、次に設定されているプロセスデータのプロセスタイマをスタートさせる(ステップS833)。
続いて、演出制御用CPU130は、次に設定されているLCD制御実行データの内容にしたがってLCD制御することを指示する(ステップS834)。なお、ステップS834の処理は、上述のステップS885と同様である。続いて、演出制御用CPU130は、次のモータ制御実行データの内容にしたがってモータ制御することをモータ制御部136に指示する(ステップS835)。なお、ステップS835において、回転体61、63、65を動かしている期間以外は、モータ(ステッピングモータ)を停止制御する。
また、変動タイマがタイムアウトしていたら(ステップS836)、確定図柄を停止させ(ステップS837)、所定の大当り開始コマンド受信待機用初期値を監視タイマに設定し、監視タイマをスタートさせ(ステップS838)、表示制御プロセスフラグの値を大当り開始コマンド受信待ち処理に対応する“4”に設定する(ステップS839)。変動タイマがタイムアウトしていなければ、そのまま処理はリターンする。
なお、操作ボタン15による操作があった結果、プロセステーブル(プロセスデータ)を切り替える必要がある場合は、ステップS831において、プロセスタイマがタイムアウトしたものとして処理を行い、ステップS832において、プロセスデータを切り替える。
図46から図48は遊技者による一連の遊技の経過を、(1)から順に(26)まで、可変表示装置4の表示で示したものである。
図46(1)〜(7)は演出選択処理(図34ステップS801)の大当り中演出選択処理(図36ステップS503)において、大当り予告選択テーブルを使用してラウンド中の昇格(確率変動状態となることの報知)予告態様を選択後(図41ステップS563、S567)、大当り演出表示処理(図34ステップS805)を行っているものである。図46(3)〜(5)で「ボタンで5ヶ所えらんでね」と表示された後、画面中央の領域に立体識別情報が表示されている。これは、LCD58の表示画面を上下に3つ、左右に3つ、全部で3×3=9つに分割した領域のいずれかを、遊技者が操作ボタン15で選択することにより、当該領域が不透明から透明に変わり、LCD58の当該領域の背面部に存在する立体物61a、63a、65aやLCD68の表示画面を見ることができるようになる演出が行われていることを意味する。透過領域の数が異なる(透過領域の数により信頼度が異なる)複数種類の演出の総称を演出Bと呼ぶ。この図46(3)〜(5)の演出は、演出Bの一態様である。この場合、LCD58の表示画面を5ヶ所選択する演出Bが行われたが、同種のキャラクタが3個、ライン上に揃わなかったので昇格がなかったことを示す。
ここで、図46(3)〜(5)の場合、昇格がないことが決定されているので、選択テーブルは大当り中(昇格なし)選択テーブル321が用いられるが、昇格があると決定されているならば大当り中(昇格あり)選択テーブル322が用いられる。2つの大当り中選択テーブルを比較すると、演出A(後述する)の各態様の出現確率および演出Bの各態様の出現確率が異なることがわかる。たとえば、演出BでLCD58の表示画面を9個開く場合が出現した場合は、必ず昇格することがわかる。また、演出BでLCD58の表示画面を7個開く場合は、昇格する場合は100/650の確率で出現するが、昇格しない場合は20/650の確率でしか出現しない。すなわち、演出BでLCD58の表示画面を開ける個数の出現率は昇格する確率によって異なるので、遊技者は演出Bの態様、特に演出BでLCD58の表示画面を開ける個数にも注目し、確変(昇格)を期待するようになり、遊技の興趣を高めることができる。
図46(8)〜(12)は大当り遊技状態が終了したエンディング時の演出である。図46(9)(10)、図47(11)(12)は、図46(8)の演出の後、LCD58の表示画面を上下に3つ、左右に3つ、全部で3×3=9つに分割した領域のうち、LCD58の左、中、右の領域のいずれかが透明になって、3つの立体物61a、63a、65aやLCD68の表示画面を見ることができる演出を示す。透過領域の場所が異なる(透過領域の場所により信頼度が異なる)複数種類の演出の総称を演出Aと呼ぶ。図46(9)(10)、図47(11)(12)の演出は演出Aの一態様である。なお、図46(9)(10)、図47(11)(12)は演出選択処理(図34ステップS801)の大当り中演出選択処理(図36ステップS503)において、大当り予告選択テーブルを使用してエンディング時の昇格予告態様を選択後(図41ステップS565、S566)、大当り終了演出表示処理(図34ステップS806)を行っているものである。この場合、LCD58の左の領域が透明になって、同種のキャラクタが揃わず、昇格していない。
ここで、図46(9)(10)、図47(11)(12)の場合、昇格がないことが決定されているので、選択テーブルは大当り中(昇格なし)選択テーブル321が用いられたが、昇格があると決定されているならば大当り中(昇格あり)選択テーブル322が用いられる。2つの大当り中選択テーブルを比較すると、演出Aの各演出態様の出現確率が異なることがわかる。たとえば、演出AでLCD58の中の領域が開く場合は、昇格する場合は220/650の確率で出現するが、昇格しない場合は20/650の確率でしか出現しない。すなわち、演出AでLCD58が透明になる領域の位置の出現率は昇格する確率によって異なるので、遊技者は演出Aの態様、特に演出AでLCD58のどの位置の領域が透明になるかにも注目し、確変(昇格)を期待するようになり、遊技の興趣を高めることができる。
図47(13)〜(18)は、パチンコ遊技機1の可変表示装置4が可変表示(図柄変動)を行っていることを示している例である。図47(19)(20)、図48(21)〜(24)は、大当り遊技状態後、可変表示装置4が可変表示を行っている間に昇格演出が行われる一例である。なお、図47(19)(20)、図48(21)〜(24)は、潜伏演出中であって(図37ステップS540;Yes)、高確報知演出を行う場合であって(ステップS541;Yes)、変動中の演出態様を選択し(ステップS543、S544)、演出を行っている例である。この例では、確変状態なので(図48(24)参照)、潜伏中(昇格あり)選択テーブル332をステップS543にて選択し、乱数値SR5と選択テーブル332との対比の結果、LCD58の領域を3個開く演出Bが行われている。潜伏中選択テーブル331と332とを比較すると、演出Aの各態様の出現確率および演出Bの各態様の出現確率が異なることがわかる。たとえば、演出BでLCD58の表示画面を9個開く場合が出現した場合は、必ず昇格することがわかる。また、演出BでLCD58の表示画面を7個開く場合は、昇格する場合は80/500の確率で出現するが、昇格しない場合は20/500の確率でしか出現しない。すなわち、演出Aや演出Bの各態様の出現率は昇格する確率によって異なるので、パチンコ遊技機1の可変表示装置4が可変表示を行っている場合に、演出Aや演出Bが出現すると、遊技者はその演出Aや演出Bの態様にも注目し、確変(昇格)を期待するようになるため、遊技の興趣を高めることができる。図48(25)(26)は昇格演出を行った後の確変中の可変表示の例である。
図49(1)〜(3)は、可変表示中の例である。図49(4)〜(9)は、その後、大当りの予告があり(図37ステップS531)、大当り予告選択テーブルを使用して予告態様を選択した結果(ステップS533、S534)、LCD58の領域を3個開く演出Bが行われている例である。この場合、ハズレであるので、ステップS534でハズレ時大当たり予告選択テーブル301を選択し、乱数値SR4との対比の結果、LCD58の領域を3個開く演出Bが行われている。大当り予告選択テーブル301と302とを比較すると、演出Bの各態様の出現確率が異なることがわかる。たとえば、演出BでLCD58の表示画面を9個開く場合が出現した場合は、必ず大当りとなることがわかる。また、演出BでLCD58の表示画面を7個開く場合は、大当りとなる場合は120/400の確率で出現するが、昇格しない場合は30/400の確率でしか出現しない。すなわち、演出Bの各態様の出現率は大当りとなる確率によって異なるので、パチンコ遊技機1の可変表示装置4が可変表示を行っている場合に、大当り予告とともに演出Bが出現すると、遊技者はその演出Bの態様にも注目し、大当りを期待するようになるため、遊技の興趣を高めることができる。
図50(1)〜(3)は、可変表示中の例である。図50(4)〜(10)、図51(11)(12)は、その後、大当りの予告があり(図37ステップS531)、大当り予告選択テーブルを使用して予告態様を選択した結果(ステップS533、S534)、LCD58の領域を3個開く演出Bが行われている例である。この場合、大当りであるので、ステップS534で大当り時大当たり予告選択テーブル302を選択し、乱数値SR4との対比の結果、LCD58の領域を3個開く演出Bが行われている。この例の場合、遊技者が操作ボタン15を用いてLCD58の領域を3個開いたが、図50(8)に示されるようにライン上で同一キャラクタが揃っていない。しかし、大当りとなることはあらかじめ決まっているので(ステップS532;Yes)、このような場合は開かれていないLCD58の領域に同一キャラクタがライン上に揃っている。そこで、このような場合は、CPU130は、自動的にLCD58の領域を開いて(図50(10))、大当りとなるように同一キャラクタがそろっているラインを公開する演出を行う(図51(11))。なお、CPU130は、確変報知演出において、確変となることが確定している場合にキャラクタが揃わなかったときも、同様の演出を行う。
図52(1)〜(3)は、可変表示中の例である。図52(4)〜(9)は、その後、大当りの予告があり(図37ステップS531)、大当り予告選択テーブルを使用して予告態様を選択した結果(ステップS533、S534)、LCD58の領域を3個開く演出Bが行われている例である。この場合、大当りであるので、ステップS534で大当り時大当たり予告選択テーブル302を選択し、乱数値SR4との対比の結果、LCD58の領域を3個開く演出Bが行われている。この例の場合、遊技者がボタンを用いてLCD58の領域を3個開いたところ、図52(8)に示されるようにライン上に同一キャラクタが揃っているので大当りとなる(図52(9))。また、図52(10)、図53(11)〜(14)の場合、さらに変動終了時(大当り時)に高確報知演出があり(ステップS535、図52(10))、昇格するか否かで変動中選択テーブルを使用して変動中の演出態様を選択し(ステップS537、S539)、当該演出を行っている。この場合は確変が確定しているので(図53(14))、ステップS537で変動中(昇格あり)選択テーブル312を選択し、乱数値SR5との対比の結果、LCD58の領域を3個開く演出Bが行われている。ここで、変動中選択テーブル311と312とを比較すると、演出A、演出Bの各態様の出現確率が異なることがわかる。たとえば、演出BでLCD58の表示画面を9個開く場合が出現した場合は、必ず昇格することがわかる。また、演出BでLCD58の表示画面を7個開く場合は、昇格する場合は80/500の確率で出現するが、昇格しない場合は20/500の確率でしか出現しない。すなわち、演出Aや演出Bの各態様の出現率は昇格する確率によって異なるので、大当り後、さらに高確報知演出として演出Aや演出Bが出現すると、遊技者はその演出Aや演出Bの態様にも注目し、確変(昇格)を期待するようになるため、遊技の興趣を高めることができる。
図54(1)は大当り演出の一例である。図54(3)は、大当り後にラウンド中の昇格がある場合で(図41ステップS562)、大当り時選択テーブルを使用してラウンド中の予告態様を選択した(ステップS563、S567)例である。図54(4)〜(7)の場合、演出Aが出現し、確変が確定しているので、ステップS567で大当り中(昇格あり)選択テーブル322を使用して、乱数値SR6との対比の結果、演出AでLCD58の中の領域が透明になり、確変となった例を示したものである。図54(8)〜(10)は、ラウンド中に確変状態となり、その後、確変状態が大当り終了後も続いている例を示したものである。
変形例として、図52に記載の実施例は、図55に記載の実施例のようにしてもよい。すなわち、図52(4)において、大当り予告テーブル301または302を用いる代わりに、図55(4)〜(7)において、遊技者にボタンでLCD58の領域を1箇所選ばせて、大当りか否かの演出をおこなってもよい。これは、大当りおよびハズレの場合にLCD58の背面側に表示されるべき識別情報のテーブルを複数、ROM131に格納しておき、図55(4)の演出時において大当りまたはハズレと判断されるときに、ランダムで当該識別情報のテーブルを読み出して、テーブルの記載に基づいて識別情報が配置されるように、LCD68a、68b、68cの表示を変更し、また、立体物61a、63a、65aの表示がそうなるようにステッピングモータで回転体61、63、65を回動させれば実現できる。ただし、大当りの識別情報のテーブルは、大きな出目を持つキャラクタが出現する割合が大きくなるよう調整し、ハズレの識別情報のテーブルには、小さな出目を持つキャラクタが出現する割合が大きくなるよう調整する。このようにすることで、キャラクタが持つ出目によって大当りの信頼度を変えることができ、遊技の興趣を高めることができる。なお、確変報知演出においても、上記同様に、キャラクタが持つ出目によって確変の信頼度を変える演出を行ってもよい。また、キャラクタが持つ出目のほか、キャラクタが出現した場所によっても信頼度を異ならせる演出を行ってもよい。さらに、キャラクタが持つ出目とキャラクタが出現した場所との両方に基づいて、信頼度を異ならせる演出を行ってもよい。その他、キャラクタが出現した数とキャラクタが持つ出目とに基づいて、また、キャラクタが出現した数とキャラクタが出現した場所とに基づいて、さらに、キャラクタが出現した数とキャラクタが持つ出目とキャラクタが出現した場所とに基づいて、信頼度を異ならせる演出を行ってもよい。
なお、たとえば、可変表示中において、図56のように、立体物61a、63a、65aの出目は見えないが回転体61、63、65が回転しているのがわかる程度にLCD58の一部領域を透明にしておき、残りは不透明とするように制御する演出を行ってもよい。このようにすることで、遊技者には遊技状態が変化するのではないかという期待感を抱かせることができ、遊技の興趣を高めることができる。また、この演出は大当り中の演出として行ってもよい。
また、図46〜55の例において、演出Bにおいて透明とする領域を操作ボタン15で遊技者に選ばせて、遊技者からの入力を求めているが、CPU130が遊技者の入力を代行してもよい。しかし、遊技者に入力を求めることで、遊技者に遊技に参加しているという認識を高め、遊技の興趣を高めることができる。
本発明の遊技機は、パチンコ遊技機等の弾球遊技機において画像表示装置を有するものであれば、例えば、一般電役機、又はパチコンと呼ばれる確率設定機能付き弾球遊技機等であっても構わない。また、本発明は、入賞球の検出に応答して所定数の賞球を払い出す払出式遊技機に限定されるものではなく、遊技球を封入し入賞球の検出に応答して得点を付与する封入式遊技機にも適用することができる。
さらに、パチンコ遊技機1の動作をシミュレーションするゲーム機などにも本発明を適用することができる。本発明を実現するためのプログラム及びデータは、コンピュータ装置等に対して、着脱自在の記録媒体により配布・提供される形態に限定されるものではなく、予めコンピュータ装置等の有する記憶装置にプリインストールしておくことで配布される形態を採っても構わない。さらに、本発明を実現するためのプログラム及びデータは、通信処理部を設けておくことにより、通信回線等を介して接続されたネットワーク上の、他の機器からダウンロードすることによって配布する形態を採っても構わない。
そして、ゲームの実行形態も、着脱自在の記録媒体を装着することにより実行するものだけではなく、通信回線等を介してダウンロードしたプログラム及びデータを、内部メモリ等に一旦格納することにより実行可能とする形態、通信回線等を介して接続されたネットワーク上における、他の機器側のハードウェア資源を用いて直接実行する形態としてもよい。さらには、他のコンピュータ装置等とネットワークを介してデータの交換を行うことによりゲームを実行するような形態とすることもできる。