JP5071406B2 - 溶液法によるSiC単結晶成長用種結晶の複合接着方法 - Google Patents

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Description

本発明は、溶液法によるSiC単結晶成長用種結晶の複合接着方法に関し、さらに詳しくは溶液法により結晶成長する際の炭素棒に設置した種結晶の破壊・剥離を防止乃至は抑制し得るSiC単結晶成長用種結晶の複合接着方法に関する。
SiC単結晶は、熱的、化学的に非常に安定であり、機械的強度に優れ、放射線に強く、しかもSi(シリコン)単結晶に比べて高い絶縁破壊電圧、高い熱伝導率などの優れた物性を有し、不純物の添加によってp、n伝導型の電子制御も容易にできるとともに、広い禁制帯幅(4H型の単結晶SiCで約3.3eV、6H型の単結晶SiCで約3.0eV)を有するという特長を備えている。このため、Si単結晶やGaAs(ガリウム砒素)単結晶などの既存の半導体材料では実現できない高温、高周波、耐電圧・耐環境性を実現することが可能であり、次世代の半導体材料として期待が高まっている。
従来、SiC単結晶の成長法の1つとして溶液法が知られている。この溶液法は、溶媒を入れる坩堝、例えば黒鉛坩堝、溶媒、高周波コイルなどの外部加熱装置、断熱材、昇降可能な基板支持用の炭素棒および炭素棒の先端に取付けた基板からなる基本的構造を有するSiC単結晶の製造装置を用いて、坩堝中、Si融液又はさらに金属を融解したSi合金融液などのSi含有融液中にC(炭素)供給源、例えば黒鉛坩堝からCを溶解させて、例えば低温部に設置したSiC種結晶基板上にSiC結晶層を溶液析出によって成長させる方法である。
この溶液法によるSiC単結晶の成長法では、他の成長法、例えば気相成長法に比べて結晶形の良好な単結晶が得られるが、融液に種結晶近傍の融液温度が他の部分の融液温度より低温になるように温度勾配を設けて成長させる方法、又は融液全体を徐冷して成長させる方法のいずれかのSiC単結晶成長法が用いられていて、いずれの方法によってもSiC単結晶の成長速度が制限を受けている。これは、溶液法では種結晶の破壊・剥離を防止する観点から炭素棒として熱伝導性の低い等方性炭素材料を用いているため、種結晶裏面から軸方向に移動する熱量が少なく成長速度が小さくなってしまうからである。
一方、気相成長法、例えば昇華法では熱伝導性の低い等方性材料を使用しなければならない必要性はなく任意の材料が用いられ得るが、種結晶と種結晶を固定する保持部との密着性の問題が指摘されている。
このため、SiC単結晶を成長する際の種結晶の接着方法について種々の提案がされている。
特開平9−110584号公報には、保持部にて保持される種結晶上に単結晶を成長させる単結晶成長方法において、種結晶と保持部がこれらの間に介在する高分子材料を高温処理により炭化した炭化層により機械的に結合された状態で種結晶上に単結晶を成長する昇華法による単結晶成長方法が記載されている。
また、特開2000−72598号公報には、α−SiC単結晶基板とSi原子及びC原子により構成されるβ−SiC多結晶板とを両者の対向面間に黒鉛層を介在させて積層させた状態で熱処理することにより、β−SiC多結晶板から昇華したSi及びC原子を黒鉛層を通して低温のα−SiC単結晶基板側に移動させ、α−SiC単結晶基板の表面で再配列させてα−SiC単結晶基板の結晶方位に倣った単結晶を一体に成長させる昇華法による単結晶SiCおよびその製造方法が記載されている。
また、再表00/039372号公報には、炭化珪素を加熱昇華して発生させた炭化珪素形成ガスを種結晶(2)表面に供給して、種結晶上に炭化珪素単結晶(3)を成長させる際に、種結晶(2)の裏面からルツボ蓋(8)側への温度勾配をゼロ又は正の値とすることにより種結晶(2)の裏面からの裏面昇華を防止、抑制する昇華法による炭化珪素単結晶の成長方法及び装置が記載されている。
また、特開2004−269297号公報には、成長容器内でSiC種結晶の成長面上にバルク状のSiC単結晶を成長させて、SiC単結晶を製造する方法において、上記SiC種結晶と該SiC種結晶を保持するための台座との間に、両者間にはたらく熱応力を緩和するための柔軟性黒鉛シートのような応力緩衝材を配置しておくことを特徴とするSiC単結晶の製造方法が記載されている。そして、SiC単結晶を成長させる具体例として成長容器内のSiC原料粉末を昇華させて種結晶から再結晶化する昇華法が記載されている。
さらに、特開2004−338971号公報には、SiC種結晶を支持するための種結晶支持部材とSiC種結晶との間にその熱伝導率が種結晶の熱伝導率の10〜25%程度の炭素製シート材よりなる緩衝部材を介在させ、SiC種結晶を緩衝部材側に接着するとともに緩衝部材を種結晶支持部材に残留応力が加わらない状態で連結し、この状態においてSiC種結晶からSiC単結晶を成長させるようにしたSiC単結晶の製造方法が記載されている。そして、SiC単結晶を成長させる具体例として坩堝内のSiC粉末を昇華させて種結晶から再結晶化する昇華法が記載されている。
特開平9−110584号公報 特開2000−72598号公報 再表00/0−39372号公報 特開2004−269297号公報 特開2004−338971号公報
しかし、これらの技術は昇華法によりSiC単結晶を成長させるために有効ではあっても溶液法には適用することはできず、溶液法によりSiC単結晶を成長する際の種結晶の破壊・剥離を防止して高い成長速度を達成することは不可能である。
従って、本発明の目的は、溶液法によるSiC単結晶を成長する際の種結晶の破壊・剥離を防止して高い成長速度を達成し得る溶液法によるSiC単結晶成長用種結晶の複合接着方法を提供することである。
本発明は、炭素棒の先端に種結晶を設置し、前記炭素棒が炭素棒と同軸方向に配向した異方性炭素材と等方性炭素材とが接合されたものであり、前記等方性炭素材と前記種結晶とが接合される配置位置とする溶液法によるSiC単結晶成長用種結晶の複合接着方法に関する。
本発明によれば、溶液法によるSiC単結晶を成長する際の種結晶の破壊・剥離を防止して高い成長速度を達成し得る溶液法によりSiC単結晶成長用種結晶の複合接着方法を得ることができる。
図1は、本発明の複合接着方法の実施態様によって得られた種結晶複合接着炭素棒を用いた溶液法によりSiC単結晶成長装置の模式図である。 図2は、本発明の複合接着方法の実施態様によって得られた種結晶複合接着炭素棒の写真の写である。 図3は、本発明の複合接着方法の実施態様によって得られた種結晶複合接着炭素棒の先端部の拡大写真の写である。 図4は、従来の溶液法による単結晶の成長に用いられる種結晶接着炭素棒の先端部の模式図である。 図5は、本発明とは異なる方法によって得られた種結晶複合接着炭素棒の昇温過程で割れが発生した状態を示す写真の写しである。 図6は、本発明の複合接着方法に用いられ得る等方姓炭素材の一例の写真の写しである。 図7は、本発明に用いられる等方姓炭素材の厚さと種結晶に割れ・破壊を生じさせないで成長させたときの成長速度との関係を示すグラフである。 図8は、本発明の複合接着方法を適用して得られた種結晶複合接着炭素棒を用いたSiC単結晶成長装置における融液の表面温度を測定する態様を示す模式図である。
以下、図1〜4を参照して本発明の実施の形態を詳説する。
図1において、SiC単結晶成長装置10は、成長炉2内に断熱材3を介して備えられてSi含有融液4を収容する坩堝5、該成長炉2の周囲に設けられ該融液4を加熱して一定温度に維持するための高周波コイル6および昇降可能な本発明の複合接着方法によって得られた種結晶複合接着炭素棒1が備えられている。
そして、本発明における前記の種結晶複合接着炭素棒1は、図2および図3に示すように炭素棒の先端に種結晶7が設置され、この炭素棒は炭素棒と同軸方向に配向した異方性炭素材8と等方性炭素材9とが接合されたものであり、前記等方性炭素材9と種結晶7とが接合されている。
一方、従来のSiC単結晶成長装置は、図4に示す等方性炭素材からなる炭素棒の先端に種結晶が設置された種結晶接着炭素棒がいられている。
本発明において用いられる異方性炭素材としては、棒状であって縦方向(炭素棒の軸方向)と横方向(前記の軸に直角な方向)とで異方性を有する異方性黒鉛が挙げられる。そして、前記の異方性炭素材は、例えば150〜260mm長の黒鉛であってよい。本発明においては、前記の異方性炭素材として、縦方向(炭素棒の軸方向)の熱伝導度が等方性黒鉛の熱伝導度より大きく、例えば熱伝導度が140W/m/Kより大きく、さらには150W/m/K以上、その中でも170W/m/K以上、特に170〜400W/m/Kである異方性黒鉛が好適である。そして、異方性炭素材は、横方向(前記の軸に直角な方向)の熱伝導度が、等方性黒鉛の熱伝導度より小さく通常120W/m/K未満、その中でも100W/m/K未満、特に80W/m/K未満である。
前記の異方性炭素材は、異方性黒鉛粉、例えば再結晶黒鉛紛、キッシュ黒鉛粉、膨張黒鉛粉、黒鉛化されたニードルコークス粉、メソカーボンマイクロビーズなどの炭素質を黒鉛化したものや天然黒鉛粉などと結合剤、例えばコールタールピッチとを混合し、必要であれば二次粉砕した後、冷間静水加圧成形して棒状成形品とし、高温焼成・黒鉛化(例えば典型的には1000℃程度で焼成、次いで3000℃程度で黒鉛化)することによって得ることができる。
本発明において用いられる等方性炭素材としては、従来の溶液法によるSiC単結晶の成長法に用いられている炭素棒用の等方性黒鉛からなり板状、例えば0.5〜50mmの厚さを有するもの(ペレットと呼ぶこともある)が挙げられる。前記の等方性炭素材として、熱伝導度が100W/m/Kより大きく、さらには120W/m/K以上、その中でも120〜140W/m/Kである等方性黒鉛が好適である。前記の等方性炭素材は典型的には4.8x10−6/℃程度の熱膨張率を有している。
前記の等方性炭素材は、等方性黒鉛粉、例えば特殊炭素材用やアルミ精練用に使用される石炭系及び石油系コークス等の黒鉛粉末の他、黒鉛化された特殊炭素材料の加工粉などと結合剤、例えばコールタールピッチとを混合し、必要であれば二次粉砕した後、冷間静水加圧成形して板状成形品とし、高温焼成・黒鉛化(例えば典型的には1000℃程度で焼成、次いで3000℃程度で黒鉛化)することによって得ることができる。
本発明においては、炭素棒として炭素棒と同軸方向に配向した異方性炭素材と等方性炭素材とが接合されたものを用いること、そして前記の等方性炭素材と種結晶とが接合される配置位置とすることが必要である。
本発明の複号接着方法における配置位置ではなく、図4に示す等方性炭素棒の先端に種結晶が設置された種結晶接着炭素棒を用いて種結晶をSi含有融液に浸漬させて前記種結晶にSiC単結晶を成長させると、2000℃程度の高温であっても等方性炭素材と種結晶との間での剥離や種結晶の割れは生じないがSiC単結晶の成長速度が小さい。このように剥離や種結晶の割れが生じないのは、SiCの熱膨張率:典型的には4.4x10−6/℃が等方性黒鉛の熱膨張率:典型的には4.8x10−6/℃と比較的近似していることにより割れが生じないと考えられる。そして、成長速度が小さいのは、結晶化に伴い発生する凝固熱を除くための種結晶裏面から軸方向への熱伝導性が低いことによると考えられる。
また、炭素棒として異方性炭素材のみを用いると、図5に示すように2000℃に昇温する昇温過程で種結晶に割れなどが発生してしまう。これは、異方性炭素材は、熱膨張率が小さく種結晶であるSiCの熱膨張率と大きく異なるため、種結晶に接合するとその接合状態を2000℃程度の高温加熱条件下で維持することができず、種結晶の割れ、剥離、脱落などが起ると考えられる。
さらに、炭素棒として炭素棒と直角方向に配向した異方性炭素材と等方性炭素材とが接合されたものを用いると、異方性炭素材と等方性炭素材と種結晶とのいずれの間でも剥離が生じてしまう。
本発明における等方性炭素材は、炭素棒および種結晶接着面の形状に対応してその形状を適宜選択し得る。
例えば、本発明における種結晶(シードともいう)接着面は円形又は四角形であり得て、炭素棒および等方性炭素材は円柱状又は角柱状であり得る。また、本発明における種結晶接着面は円形であり得て、炭素棒は全体又は主要部が円柱状であり得て等方性炭素材炭素棒は円錐状であり得る。また、本発明における種結晶接着面は四角形であり得て、炭素棒は全体又は主要部が角柱状であり得て等方性炭素材は角錐状であり得る。
本発明における前記の炭素棒と同軸方向に配向した異方性炭素材と等方性炭素材とが接合されたものは、例えば前記の棒状異方性黒鉛と板状等方性黒鉛とを接合することによって得ることができる。
前記の異方性炭素材と等方性炭素材との接合において、等方性炭素材が例えば円形を有しその直径15mm未満の小面積である場合にはカーボン接着剤による接着固定方法が用いられ得て、等方性炭素材が例えば円形を有しその直径が15mm以上の大面積である場合にはスリット接着法が用いられ得る。このスリット接着法では、等方性炭素材として例えば図6(2)および図6(3)に示すようなスリット入りの等方性炭素材を用いることが好ましい。
前記の溶液法による接合は、例えばフェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエステル樹脂などの熱硬化性樹脂と炭素成分とのカーボン接着剤の熱硬化性樹脂の硬化および炭化のための熱処理を行うことが好ましい。前記の熱処理は、加熱炉(脱脂炉および焼成炉からなる)を用いて真空雰囲気又は不活性ガス雰囲気中、例えば典型的には200℃で1時間、次いで700℃で3時間加熱し、炉内冷却して行うことができる。
前記のスリット接着法による接合は、スリット入りの等方性炭素材を用いて溶液法と同様に前記のカーボン接着剤を硬化、熱処理することによって行われ得る。
本発明においては、前記の炭素棒と同軸方向に配向した異方性炭素材と等方性炭素材とが接合された炭素棒の等方性炭素材と種結晶とを接合することが必要である。
本発明における種結晶としては、成長させようとする結晶と同じ結晶構造SiCバルク単結晶を使用することが好ましく、例えば6H−SiC結晶、4H−SiC結晶などの単結晶基板が挙げられる。
前記の炭素棒の等方性炭素材と種結晶との接合は、例えば前記の熱硬化性樹脂と溶媒と炭素成分とからなるSiC単結晶接合用接着剤を用いて接着剤の熱硬化性樹脂の硬化および炭化のために熱処理を行うことが好ましい。前記の熱処理は、加熱炉(脱脂炉および焼成炉からなる)を用いて真空雰囲気又は不活性ガス雰囲気中、例えば典型的には200℃で1時間、次いで700℃で3時間加熱し、炉内冷却して行うことができる。
本発明のSiC単結晶成長用種結晶の複合接着方法によれば、得られる種結晶複合接着炭素棒を用いて2000℃程度の高温のSi含有融液で結晶成長しても種結晶の割れ、剥離や等方性炭素材と異方性炭素材との剥離が生じることなく高い成長速度を達成することが可能となる。
前記のSi含有融液としては、SiとCとを必須成分とする任意の融液を挙げることができる。例えば、Si含有融液として、さらにTiおよび/又はCrを含むもの、例えばSi−Ti−C融液又はNiを含みNiとCrとの割合(原子比)(Ni/Cr)が0.2以下であるもの、例えば前記Si、Cr、NiおよびC以外の元素であって希土類元素、遷移金属元素およびアルカリ土類金属元素のうちから選ばれるいずれか1種の元素を含むもの、例えば前記の元素がCeであるものが挙げられる。また、半導体材料用に任意のドーパントを含有し得る。
前記のSiC融液の温度は1800〜2050℃、特に1850〜2050℃程度であり得る。
前記の温度の制御は、高周波誘導加熱によって加熱し、例えば図8に示す放射温度計による融液面の温度観察および/又は炭素棒内側に設置した熱電対、例えばW−Re(タングステン/レニューム)熱電対を用いて温度測定を行って求められた測定温度に基づいて温度制御装置(図示せず)によって行うことができる。
前記の図1に示すSiC単結晶製造装置を用いて結晶成長させてSiC単結晶を製造する方法においては、溶液法におけるそれ自体公知の製造法、例えば黒鉛坩堝の形状、加熱方法、加熱時間、雰囲気、昇温速度および冷却速度を適用することができる。
例えば、高周波誘導加熱による加熱時間(原料の仕込みからSiC飽和濃度に達するまでの凡その時間)としては坩堝の大きさにもよるが20分間〜10時間程度で、雰囲気としては希ガス、例えばHe、Ne、Arなどの不活性ガスやそれらの一部をNやメタンガスで置き換えたものが挙げられる。
前記の図1に示すSiC単結晶製造装置を用いることによって、2000℃程度の高温、例えば1800〜2050℃、特に1850〜2050℃程度の融液温度で高い成長速度でSiC単結晶を得ることができる。
以下、本発明の実施例を示す。
以下の各例において、SiC単結晶の成長は図1に示す溶液法によるSiC単結晶製造装置を用いて行った。また、Si含有融液の高温(2000〜2050℃)における温度確認は図8に模式図を示す表面温度を測定する態様によって行った。放射温度計は融液面を直接観察可能な融液面上方の観察窓に設置し、融液に種結晶を接触させる前後の温度を測定した。また、種結晶が接着された炭素棒内側(種結晶から2mmの位置)に熱電対を設置し融液接触直後からの温度を測定した。
以下の各例において、平均成長速度および最高成長速度とは以下の意味で用いる。
平均成長速度:成長実験前の種結晶の厚さと成長後の種結晶を含めた厚さとの差(増加分)を成長時間で割った値であり、μm/hr単位で示す。
最高成長速度:実施したなかで、平均成長速度が最大であったものを示す。
参考例1
表1に示す特性を有する等方性黒鉛(棒)、等方性黒鉛(ペレット)、異方性黒鉛および4H−SiCの種結晶と、表2に示す接着剤A又はBを用いて、次に示す接着条件で表3に示す炭素棒と種結晶との6種類の組み合わせの種結晶複合接着炭素棒を作製した。
接着条件
種結晶/黒鉛、等方性黒鉛/炭素棒のいずれも同じ方法で接着した。
1)黒鉛棒接着面の表面温度を80〜100℃に加熱し、表2の接着剤A又はBを表面に均一に塗布。
2)接着剤を塗布した面に等方性黒鉛又は種結晶を貼り付け、その接着面に対して0.05〜3Kgfほどの荷重を付加し、常温まで抜熱する。
3)加熱雰囲気炉(脱脂炉および焼成炉)を用いて接着剤を200℃で1時間、次いで700℃で3時間熱熱処理を行った後、炉冷した。
得られた種結晶複合接着炭素棒を用いて、Si含有融液による昇温過程における各基材の状態を観察した。
結果をまとめて表3に示す。
表3の結果は、SiC/等方性黒鉛の配置位置を有する種結晶接着炭素棒(従来法)又はSiC/等方性黒鉛/炭素棒が炭素棒と同軸方向に配向した異方性黒鉛の配置位置を有する種結晶複合接着炭素棒(本発明方法)のみが高温で良好な接着状態を維持し得て、他の4つの配置位置を有する種結晶接着炭素棒では高温で種結晶の割れ又は剥離が生じ高温で良好な接着状態を維持し得ないことを示している。
実施例1
参考例1における実験番号6の配置位置を有し、厚さ2mmの等方性黒鉛を用いて種結晶複合接着炭素棒を得た。
この種結晶複合接着炭素棒を用いて、Si含有融液温度2012℃、成長時間1時間の条件で成長を行って、平均成長速度および最高成長速度を求めた。
結果をまとめて表4に示す。
実施例2
参考例1における実験番号6の配置位置を有し、厚さ5mmの等方性黒鉛を用いて種結晶複合接着炭素棒を得た。
この種結晶複合接着炭素棒を用いて、Si含有融液温度2012℃、成長時間1時間の条件で成長を行って、平均成長速度および最高成長速度を求めた。
結果をまとめて表4に示す。
比較例1
参考例1における実験番号1の配置位置を有する等方性黒鉛を用いた種結晶接着炭素棒を用いて、Si含有融液温度2012℃、成長時間1時間の条件で成長を行って、平均成長速度および最高成長速度を求めた。
結果をまとめて表4に示す。
以上の結果から、種結晶/等方性黒鉛の構成(従来法)の種結晶接着炭素棒では成長速度は平均400μm/mmで最大成長速度は平均500μm/mmあるのに対して、本発明によるSiC/等方性黒鉛/炭素棒が炭素棒と同軸方向に配向した異方性黒鉛の構成の種結晶複合接着炭素棒によれば成長速度は平均670μm/mm以上で、最大成長速度は平均950μm/mm以上と大幅に改善された。これは、異方性炭素材を用いることによる熱伝導性の向上に伴う種結晶裏面からの抜熱効果によるものと考えられ、種結晶と異方性炭素材との間に等方性炭素材の板(ペレット)が介在していても十分にその性能が得られることによると考えられる。
実施例3
参考例1における実験番号6の配置位置を有し、0.5mm以上の種々の厚さを有する等方性黒鉛を用いて種結晶複合接着炭素棒を得た。
この種結晶複合接着炭素棒を用いて、Si含有融液温度2012℃、成長時間1時間の条件で成長を行って、平均成長速度を求めた。
結果をまとめて図7に示す。
図7の結果から、成長速度は等方性黒鉛の厚みが大きくなるに従って小さくなっていることが判る。これは異方性黒鉛から種結晶までの距離に関係すると考えられる。種結晶を配置する黒鉛棒が等方性黒鉛の場合、表2から平均成長速度は400μm/mmであることから等方性黒鉛の厚みが50mm以下であればSiC/等方性黒鉛/炭素棒が炭素棒と同軸方向に配向した異方性黒鉛の構成の効果があると考えられる。
本発明の溶液法によるSiC単結晶成長用種結晶の複合接着方法によって、従来不可能であった融液温度が2000℃程度の高温で結晶成長を行って高い成長速度でSiC単結晶の製造をし得る。
1 本発明により得られた種結晶複合接着炭素棒
2 成長炉
3 断熱材
4 Si含有融液
5 坩堝
6 高周波コイル
7 種結晶
8 異方性炭素材
9 等方性炭素材
10 SiC単結晶成長装置
11 放射温度計
12 W−Re熱電対

Claims (3)

  1. 炭素棒の先端に種結晶を設置し、前記炭素棒が炭素棒と同軸方向に配向した異方性炭素材と等方性炭素材とが接合されたものであり、前記等方性炭素材と前記種結晶とが接合される配置位置とする溶液法によるSiC単結晶成長用種結晶の複合接着方法。
  2. 前記等方性炭素材が、0.5〜50mmの厚さを有するものである請求項1に記載の接着方法。
  3. 前記異方性炭素材が、150〜260mm長の黒鉛材料である請求項1に記載の接着方法。
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